〜進軍中・ギブソン中隊と護衛隊〜
ラグナたちが戦闘を開始する少し前に出撃したキース達、
偵察を始めてからあまり間を空けずに出撃したので
さすがにすぐには敵とも遭遇せずに進行できた。
「ふ〜、正直どれだけ敵がいるかって思ってたけど、
心配のしすぎだったかな?」
「こぉら、キース!! あんまり油断ばっかりしてるんじゃないわよ?」
キースがあまりの敵のいなさに少し脱力している。
そんなキースを責めるアイリもどこか脱力しているように見える。
「まあまあ、隊長達がちゃんとお仕事してるって証拠みたいなもんさ」
「それぐらいやってもらわないと困るがな」
オスコットがラグナたちについて一言言うと、
ランブルがさも当然と言った感じで冷静な一言を漏らす。
「ですが妙じゃありませんか?」
「何がだ?」
「いえ、あの隊長達のことですから戦闘があったのなら
そこらかしこに戦闘の痕跡が残るような気がするんですよ」
「・・・言われてみれば・・・たしかにそうですわ」
あのラグナとヒュウガが戦闘をするのだ、確かに
銃撃の跡やら剣撃の跡、なにより敵機の残骸がない事が
不思議でしょうがない。
「まあ、深く考えても仕方が無いゾイ」
「ギブソンのおっさんの言うとおりだ、とりあえずは
まっすぐ進もうぜ」
「ふう・・・それしかないのは分かってるんだけどね」
とにかく前に進もうとコバルト小隊とギブソン中隊。
「キースさ〜ん、聞こえる〜?」
「ん?お〜、シュキちゃんか、どうしたんだい?」
「えーと、クランがね「ぐおおお!!!」・・・」
シュキが何か言いかけたそのときである。
「ギブソン隊長、こちら後方の砲撃部隊γ!!
何者かの奇襲を受けて機体が一機大破しました!!」
ギブソンを先頭とし進んでいた砲撃戦のプロフェッショナル達の
一名が何者かの攻撃により大破していたが、パイロットは無事であった。
「シュキちゃん、クランに変わってくれ!!」
「うん、わかった!!」
キースが顔色を一変させシュキとの通信をクランとの通信に
切り替えるように促す。
「エルヴィン大尉、何か御用でしょうか?」
「まずい事になりやがった、現在詳細不明の敵機に
ギブソンのおっさんの部隊のPFが一機大破しやがった!!」
「分かりました、こちらでもデータの照合と索敵をしてみます」
「ああ、早いとこ頼むぜ?」
「・・・・・・こちらのレーダーには反応しませんが?
レーダーに反応しませんので敵機の判別も付きません」
「ちっ・・・おそらくステルスタイプなんじゃないか!?
厄介なヤツらに狙われたもんだぜ」
ステルスタイプ・・・主に瞬間転移システムを装備し
レーダーに引っかかりにくく発見が遅れると
もう手遅れというとこまで戦況をひっくり返してしまったりもする
面倒な機体である、他にもこのタイプで作られた部隊は
数も規模も分からなく、相手にするには大変厄介なものである。
「キース!!状況はどうなってんのよ?」
こちらのPFが一機は大破させられたものの、
その後に攻撃が加えられることは無く、コバルト小隊は完全に困惑していた。
「油断しちゃあいけないよ、あのタイプは時間差で
心理作戦をかけるヤツらもいるからねぇ」
オスコットの重みのある一言がコバルト小隊全体の緊張を生み出した。
「申し訳ありませんが先程のはなんだったんですの?」
「恐らく瞬間転移機能を内蔵した機体による一撃離脱攻撃だったんだろう」
リンナの問いにムラキが丁寧に答える。
「話だけは聞いたことがありましたけど・・・」
「私もそうでしたわ」
コバルト小隊では若年に分類されるジータとリンナ、
瞬間転移機能を持った機体の話は聞いたことがあるが
実際に戦場でその存在についての話を聞くのは初めてである
「こちらもステルス用レーダーに切り替えて調べてみます」
オペレータールームのシステムを切り替えて
再び敵機を照合するクラン。
「動きが取れないって嫌ですね」
「まあ、焦ったっていい結果になんかなりゃしないさ〜」
ムラキが頻繁に周りを見渡しているのを見てオスコットが言う。
「・・・・・・照合結果、出ました」
「やっとか、敵機の正体は!?」
「敵機詳細、ヤマブシ・・・ヴァリム軍です!!」
「嫌な相手に睨まれたものね・・・もうっ!!」
少々の時間をかけ敵の正体がわかった。
それに対してアイリが嫌そうな声を上げる。
「それで、肝心の敵の居場所はどこですの?」
「はい・・・・・・えーと「うわああああ!!」「このっ!!」
「このおおおお」「ええええい!!!」「ぬおああああ」・・・」
クランが居場所を敵部隊の居場所を伝えようとした時、
通信に複数の声が入ってくる、どうやらまたギブソン中隊が
奇襲を受けているようだ、それも今度は一度に何機も襲われているようだ
「ちっ、最悪のタイミングだな!!」
「ま、きっちり仕事をこなしましょうや!!」
舌打ちするキースにオスコットが言う。
「クランさん、敵機の正確な数は分からないんですか!?」
「・・・少なくとも100機以上・・・」
クランの声が震えている、これだけの大部隊を相手に
護衛部隊はギブソン中隊を守りきれるのだろうか?
すでに何機もの砲撃仕様のPFが大破させられている。
「くそっ!!コバルト小隊、ギブソン中隊を囲むように
展開!!各個敵機を撃破してくれ!!」
「了解!!」
少し反応が遅れたがキースが全員に指示を飛ばす、
全員があわてつつも返事を返す。
「もし一人で耐えられなかったりする場合は、一番近くの
味方とフォーメーションを取るようにな!!」
「キース、ちょっと遅かったけどなかなかいい指示してるじゃない?」
「へっ!! おれっちを誰だと思っていやがるんだよ!?」
キースとアイリもギブソン中隊を守るべく、敵が迫る一角に進んでいった。
〜戦闘中・リンナとオスコット〜
瞬間転移をするタイプと戦うのは初めてと言うリンナ、
一人では戦い勝手が分からないらしく、
近くにいたオスコットに手助けしてもらうことにしたようだ。
「おい、あの白い機体の動きおかしくないか?」
オスコットが合流すると、敵機の通信が聞こえてきた。
「・・・どうやらこのタイプとの機体と戦ったことが無いのか、
戦い慣れてないようだな、動きで分かる!」
一機のヤマブシがリンナに迫る、だがそれを見逃すオスコットではなかった。
「な、なに!?うわあ!!!」
転移をしてリンナの横に現れたヤマブシ、
その動きに合わせるようにオスコットもヤマブシの横につけていた。
「はいはい、初心者は優しく扱いましょう・・・ってね!!」
槍でコクピット部分以外を滅多刺しにするオスコット、
こうして一機のヤマブシがスクラップと化した。
「オスコットさん、もうしわけありません、ですわ!!」
「なぁに、気にしなくていいよ〜、それよりも気をしっかりと引き締めよう!!」
「了解ですわ!!」
不慣れなリンナと一緒ながらも順調に敵機を倒していくオスコットだった。
〜戦闘中・ジータとムラキ〜
リンナと同じくこのタイプと戦うのは初めてのジータ、
やはり彼もどう対処していいか分からないようで
ムラキが手助けすることになったようだ。
「ジータ!! このタイプの敵との戦闘は、目で追うんじゃない」
「目では追わない? じゃあどうすればいいんですか?」
「それは自分で考えてみろ!! 危ないようなら自分が助ける!!」
「・・・はい!!」
ジータは剣を構えて、敵機の襲撃に備える。
ムラキはレーダーをじっと見つめ、敵がどこから来るのかを探っている。
そして・・・
「来たな!? ジータ、自分が先に仕掛ける!!」
「・・・・・・すいません、まだ分かりません」
「お前ならきっと分かる!!頑張れ・・・ちっ、そこか!」
ムラキは右後方からの敵機にレーザーライフルを撃ち込む。
敵機が大破し黒煙を上げている。
ムラキは徐々にではあるが確実に敵機をの数を削っていく。
ムラキが敵を倒すのに対し、敵の攻撃をかわす事しか出来ないジータは焦っていた。
「ジータ、焦っちゃだめだ!!!」
ジータの事を気遣いながらも地味に敵を減らし続けるムラキ。
ジータはもう一度落ち着いて考えることにした、
そのときジータの目がレーダーを捕らえる。
「・・・そうか!!」
突如ジータの機体が動き出す、まるで最初から
この敵機が出現する場所を分かっていたかのように。
「・・・ここだ!!!、セイッ!!!」
ジータの斬魔刀が敵機を両断した。
「ジータ、分かったようだな・・・自分の言わんとした事が」
「はい、目で見るなって言うのはPFのメインカメラで
敵機を追うのではなく、レーダーの反応で探した方が
戦いやすいって事だったんですね、ムラキさん」
敵との戦い方が分かったジータとムラキには、
もはやヤマブシなど敵ではなかった。
〜戦闘中・ギブソンとランブル〜
「邪魔だ、消えろ!!」
ランブルの前にはすでに7機ものヤマブシが
破壊され、スクラップとなり横たわっている。
「くっ、速い!!」
ランブルの機体を相手にしているヴァリム兵が一言漏らす。
「うわあああぁぁぁ!!」
ランブルがまた一機、スクラップを作り出した。
「ふん、弱いのが悪い・・・ただそれだけの話だ」
「ランブル、敵を倒すのも良いが・・・」
「なんだ、何か文句があるのか?」
ギブソンに対し、疑問の表情を浮かべるランブル、
ちなみにギブソンに対し対等な話し方になっているのは
今現在の隊長はラグナであるためである。
「いや、何も敵に対することで文句があるわけじゃないゾイ」
「では、何に文句があるのだ?」
「・・・おんし、ほんとに分かってないゾイ?」
「俺のどこに文句があるのかはさっぱりだな」
「おぬし、その癖だけは昔っから治ってないゾイ・・・はぁ」
ギブソンがやれやれといった表情でため息をつく。
「・・・ちっ・・・俺の前に出るな!!」
そういって敵を撃つランブル、が敵と自分の間に味方がいるのも
お構いなしと言った感じで撃っている。
「ふう・・・なら、おんしの前に出なければいいゾイ?」
「そういうことだ、弱い奴はおとなしくしていればいい!!」
また一機、敵をスクラップにするランブル。
「じゃあ、前に出ないから飛んでくれゾイ」
「何を言っている、そんな暇は・・・」
そう言おうとした時、ギブソンの機体から
異常な熱源を感知するランブル。
その熱源を感知したと思ったときにはもうすでに身体は
その機体を飛ばすことだけを考えて動いていた。
そして・・・
キュウン・・・バシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!
ギブソンの両腕に装備された2問のバスターランチャーが火を噴く。
しかもいつものギブソンなら気にするはずの射線上の味方のことなどを
考えずに撃ったようだ、何か考えでもあったのだろうか?
「何をする、ギブソン!!」
「何って、どういうことゾイ?」
「貴様、俺がいるのにそんなものを撃っただろう」
「・・・おんしがいつもやっとることゾイ、なんの文句があるゾイ?」
「・・・・・・」
「この気持ちが少しでも分かったのなら、
味方ごと敵を撃つのは止めるゾイ」
「・・・・・・ちっ・・・」
それ以来、ランブルが味方ごと敵を撃つ事は少なくなったようである。
〜戦闘中・キースとアイリ〜
すでに10機近い敵機を撃墜したキースとアイリ、
だが一向に敵機の猛攻がやむ気配は無い。
「これだけ多いと雑魚でも嫌になるぜ!!」
「しかも瞬間転移するから私みたいな近接戦闘タイプとは
相性が悪いのよね〜」
こんな事を言ってるが二人ともまだまだ余裕のようである、
さすがは元グレン小隊といったところか。
「だからって時間もかけてられねえんだよな、アイリ?」
「そうね、キース?」
まだまだ進行を始めてちょっとだと言うのに
こんな奇襲にあってしまったコバルト小隊とギブソン中隊、
時間の事を気にするのも当然と言えば当然だろう。
「手っ取り早くケリ付く方法って無いもんかね」
「そんな方法あればとっくにやってるわよ!!」
無駄話をしつつ的確に敵機を撃墜するキースとアイリ。
そんな無駄話をしてたキースとアイリの通信に
敵のと思われる通信が入る。
「おい、そこのアルサレアの二人組!!」
「ああん?ヴァリムから通信なんて珍しいな」
「そうね、なにかしら?」
「一つ聞きたいことがある、この質問が終わるまではそちらに仕掛けないようにしよう」
ヴァリムにしてはまともなヤツのようである、しかも一般クラスで
こんな事を面と向かって言えるのは凄いのではないだろうか?
「俺は貴様らの機体の動きに覚えがある、そして俺の予想が当たっていれば恐らく、
貴様らに対して数で攻めるのは無駄だろう」
名も無いヴァリム兵が淡々と喋っている。
名も無いとは言っても名前はあるのだろうが。
「はっきりしてくれないとこっちも困るのよ!!」
先を促すキースとアイリ、ただでさえ時間が無いのにこんな事をされればイライラするのも当たり前だろう、
もっとも敵にはこのような事情など思いもよらないものなのだろうが。
「なら率直に言おう、俺達では貴様らに歯が立たん」
「おい!!俺達の中に勝ち目の無い勝負を挑んで死にたいヤツはいるか!!」
どうやら一般の兵士だと思われたこの人物、この中隊の
隊長格に当たる人物のようである。
自分の後ろにじっとしているほかの兵士達に叫んでいる。
「「「「「いないです!!!」」」」」
恐らくほぼ全員が答えたのではないだろうか、
凄い人数の声がいっせいにそう答えた。
「・・・だそうだ、もちろん俺も無駄死にはしたくない」
「ずいぶんと綺麗に統率されてるな」
「ほんとね、アルサレアでもこんな綺麗に統率されてるのは珍しいわよ?」
あまりの統率の見事さに驚くキースとアイリ。
「俺達はヴァリムの中でも異端と呼ばれるものだからな、
なんと言われようと無駄死にはしたくないのでこの姿勢は貫いていく気だが」
「懸命な判断だな、で・・・どうしたいんだ?」
「まあ、言いたいことはわかるんだけどね?キース」
一応聞き返すキースとアイリ。
「俺達は貴様らと戦う気は無い・・・元グレン小隊所属
キース・エルヴィンとアイリ・ミカムラ・・・そうだろう?」
「・・・動きだけで良く分かるな〜」
「・・・私達の動きってそんなに特徴的なのかしらね?」
アレだけ有名になった部隊にいた者達が言う台詞とも思えないが
本人にしてみればそんな自覚はあまり無かったりするものなのだろうか。
「我々を見逃しては貰えまいか?
敵にこんな事を言うのも馬鹿げているとは思うのだがな」
「・・・どうするアイリ?」
「私に言われてもね、大体今の隊長はあんたでしょうが!!」
そう言われ考え込むキース、ヴァリムのやつも律儀に待っている。
もしダメ、といわれた場合はどうするつもりなのだろうか?
「無益な殺生はしないほうがいいしな、まあ見逃してもいいぜ
タダでってワケにはいかねぇけどな」
「どうするつもりよ、キース?」
「・・・・・・あまり無茶なことは聞けないぞ?」
アイリとヴァリム隊長の気持ちが少しだけ重なる。
いったいキースはどうしようと言うのだろうか?
「無傷か損傷の少ないその機体を置いていきな、それで見逃してやる!」
「そうきたか・・・これも味方の命がかかっていると思えば安いものか」
「キース、何に使う気なのよ?」
「こっちの味方の輸送にだよ、撃墜されたやつの中には
怪我してるやつもいるだろ?」
「そっか、機体数足りないもんね・・・珍しく冴えてるじゃない?」
「だから珍しいは余計だっつーの」
「我々はこんな能天気な連中に脅かされていたのだろうか・・・」
「「なんか言った(か)!?」」
「いや・・・・・・何も言ってない」
ヴァリム隊長が一喝された、かなり嫌な汗を流しているようだ。
「それではここに3機、ヤマブシを置いていく・・・
懸命な判断感謝する、一同敬礼!!」
ザッ!!!!!
十数機もいるヤマブシが一斉に敬礼をする、壮観である。
それから間もなくしてヤマブシ部隊は瞬間転移で帰還して行った。
「ふう・・・」
「どうしたのよキース、ため息なんてついちゃって」
「いや、これでここは片付いたけどよ・・・先が思いやられるぜ」
「しょうがないじゃない、あの人たちは二人でもっと難しいことやってんのよ?」
「そりゃあそうだけどな」
「とりあえず、他のみんなと合流しまし・・・」
アイリがそう言いかけたとき、ギブソンから通信が入った。
「おおキースか、そっちはうまくいったゾイ?」
「ああ!あらかた片付け終わったぜい?」
「そうか、そりゃ良かった・・・と言いたい所なんだが・・・」
「何かあったの?」
少し引き気味な声になるギブソン、そして聞き返すアイリ。
「こっちの部隊も先ほどの奇襲で数が足りないみたいゾイ」
「なにいいいぃぃいいい!!!!??」
「なんですってえええぇえぇぇえええ!!?」
そりゃ驚くだろうって事を言われたキースとアイリは
これ以上ないくらい大げさに叫んで見せた。
「わざとでもそれはやりすぎゾイ、おんしたち薄々感づいておったんだろう?」
キースとアイリの驚きをさらっと受け流すギブソン。
自分達の迫真の演技が見破られてか少し落ち込むキースとアイリ。
「・・・2回目の奇襲でかなりの数がやられてたみたいだからな」
「そうなのよね、被害はどれぐらいだったの?」
「やはり気付いておったかゾイ・・・全50機中、
38機が奇襲によって大破したゾイ・・・」
「そんなにか!?・・・俺達もたいした事ないな、ははは」
キースが自嘲的に笑う、アイリも声は出さないが相当悔しそうだ。
「あんまり自分達を責めるんじゃないゾイ、それに
おんし達がいなければ全滅してたかもしれないゾイ、
それがこの程度の被害で助かったと思えば、仕方が無かったことゾイ」
「だけど、これじゃあもう私達では作戦が遂行できないじゃない・・・」
「ああ、他にいい手でもあればいいんだけどな?」
3人が途方にくれているときにクランから通信が入る。
「エルヴィン大尉、そちらの状況は?」
「・・・どうやら作戦は失敗に終わったようだ」
「そう・・・ですか、ではこれ以上の被害が無いうちに全機帰還してください、
作戦を練り直しますので」
「「・・・了解」」
失意のうちに帰還するコバルト小隊、
全員の背中が暗い雰囲気で染まっていた。
〜作戦失敗・コバルト小隊帰還〜
作戦に失敗しどんよりとした空気が漂うコバルト小隊、
だがどんよりとばかりしていられないのもまた事実なのだ。
「みなさん、お疲れ様でした・・・
結果は残念なものとなってしまいましたが
元から成功する確率などほとんど無かった作戦を立ててしまった
私の責任でもあります、申し訳ありませんでした」
クランが深々と頭を下げる。
「誰のせいでもないんじゃないの、こういう場合はさ?」
オスコットがすかさずフォローを入れる。
「失敗は失敗ですわ・・・はあ」
「まだまだ未熟ですね、俺達は・・・はあ」
二人揃ってため息を吐くジータとリンナ、
まだ軍に入ってから経歴が浅い二人、
作戦を失敗させることもまた少なかったのだろう。
「今はそっとしておいた方がよさそうだな・・・」
そんな二人の様子を見てつぶやくムラキ。
「やはりラグナ達のような無理はするものじゃないな」
ランブルもそうつぶやいた。
「はあ〜〜〜〜〜〜・・・」
今回隊長を任されたキースの落ち込みようは相当深いようだ。
そんなキースにギブソンが話しかける。
「わしの隊の連中も相当落ちこんどる、仕方ないゾイ」
「今回ばかりはさすがのキースも堪えたみたいね
まあ私もその気持ち分かるけどね・・・」
アイリも相当堪えていたようだ。
「そういえばキースさんたち、隊長に会わなかった?」
突然シュキがこんな事を言い出した。
「・・・そういえばさっきから姿が見えないな、
もしかしてまだ戻ってきて無いのか?」
「うん、てっきり一緒に戻ってくるのかなあって思ってたんだけど・・・」
「でも、あの二人ってどこまで行ったの?」
「あ、クランに聞いてみるね・・・クラ〜〜〜ン!!」
「そんな大声出さなくても聞こえてるわ、シュキ」
「ごめん、隊長達ってどこまで行ったかわかる?」
クランがキーボ−ドに手を走らせる、画面になにやら色々と表示される。
「・・・・・・戦闘終了した場所から一番近い基地から信号が出てますね」
「ってことは?」
「どうやら補給のために一番近い敵基地を叩いたようですね、
私も帰ってくるとばかり思っていたので通信は入れてませんでした」
クランがラグナたちに通信を入れる。
「隊長、聞こえますか?」
「ああ、聞こえるぜ?」
「補給をするなら何故一言連絡を入れてくれないのですか?」
「すまねぇ、緊急だったもんでな、連絡入れ忘れちまったよ」
「すいません、僕が悪いんですよ」
「ヒュウガさん?」
ラグナの横からひょいっとヒュウガが入ってきた。
「カミカワ大尉、どういうことでしょうか?」
「実はですね・・・」
「はい」
「実は・・・コロナブリッド使い切っちゃいました」
ヒュウガが満面の笑みでそんな事を言った。
「あ、あの弾数を使い切ったんですか?」
「ええ、使い切りました」
クランの表情が引きつる、仕方ないことかもしれない。
「だからよ、ちょっと補給しに来たっつーわけよ」
「一番近い基地に、ですか?」
「ああ、弾薬補給にな」
「隊長には助けられましたよ、弾が無いと僕戦えませんからね」
「もしかして隊長一人で基地落としたの!?」
「たまたま手薄だっただけだ、そんなに驚くことじゃねぇよ」
「そうそう、隊長にかかれば手薄の基地ぐらいは朝飯前ですよね」
ラグナとヒュウガの声が届いた人はこう思った。
あんたらどんだけ無茶な事すれば気が済むんだ!!
「だからよ、帰還するのはもう少し後になるぜ」
「すいませんね、クランさん」
「了解しました・・・あ!!!」
珍しくクランが大声を出す、みんなも意外だったのか一斉にクランの方を見る。
「どうかしたんですか?」
「なんか用事あるなら言ってくれていいぜ」
「では、そのまま敵本拠地の施設を破壊しに行ってもらえますか?」
「「「「「ええ!!!!!!!!!!!!」」」」」
全員の心の声がシンクロする。
あんたも十分無茶言い過ぎだ!!!!!!
「どうするヒュウガ?」
「僕達の後に出た皆さんはどうなされたんです?」
「それがね、敵の大規模な奇襲にあっちゃってね・・・」
「ああ、分かった・・・」
「仕方ありませんね・・・できるだけやってみましょう、隊長」
「分かった分かった・・・敵討は俺達に任せろ」
コバルト小隊メンバーの無念を晴らすべく立ち上がったラグナとヒュウガであった。
「おいおい、俺達は死んでないぜ?」
「そうよ、勝手に殺さないでくれる?」
キースとアイリがブーイングをしている、
他のメンバーもラグナを睨んでいる様な感じだ、
中には冗談で睨むものと本気で睨むものがいたようだが。
「軽い冗談だろ!! 流してくれてもいいだろーによ」
「隊長が言うと冗談に聞こえないんじゃないですか?」
ラグナの後ろでヒュウガがお腹を抱えていた。
ラグナがヒュウガを睨む。
「え、えーと・・・それで、補給が済みしだい僕達は
敵本拠地に向かえばいいんですよね?」
「はい、無理なようでしたら帰還してください」
「隊長、絶対に帰ってきてね!!」
「俺がそう簡単に死ぬわけねーよ、な? ヒュウガ」
「ですね、むしろ殺しても死にませんよ、隊長は」
死なない人間はいない、これは不変の真理である。
が、ラグナやヒュウガを前にするとこの真理が霞んで見えるのは気のせいだろうか?
「では、よろしくお願いします・・・出撃時刻になったらまた通信をしてください」
「「了解」」
クランはラグナたちとの通信を切った。
「本当に大丈夫かなあ・・・」
「シュキ・・・多分大丈夫なはずよ・・・あの話が本当ならね」
〜出撃時刻・出撃〜
コバルト小隊の作戦が失敗したため、
二人で作戦を継続することになったラグナとヒュウガ。
「さて、そろそろですね隊長」
「ああ、クランに連絡入れとくかなっ・・・・・・と!!」
PFのコクピットに入り通信をつなぐラグナ。
すぐさまクランが通信に応じる。
「はい、こちらブリーフィングルームです」
「おう、俺だ・・・そろそろ作戦を開始するぜ」
「すいません、やっと補給がすみましたよ」
「了解しました・・・御武運を!!」
「「了解!!」」
〜敵本拠地前・戦闘開始〜
かなり敵陣の奥深くまで斬り込んでいたラグナとヒュウガ、
ヴァリムの本拠地までほとんど抵抗なく進んでくることが出来た。
実際はこの二人の戦いっぷりに恐れたヴァリム兵たちが
馬鹿なマネをしなかっただけの話だったりする。
「さて、ここが目的地ですね」
「ああ、ついに来たな」
ラグナたちが敵基地を見上げていると・・・
ドカァン!!
突然上空から強烈な衝撃を受ける、恐らく威力と爆風から察するに
キャノン系の攻撃のようである。
ラグナとヒュウガもすっかり油断していたのでギリギリでかわしていた。
「・・・ヒュウガ、ダメージはねぇな?」
「ええ、あの程度の攻撃・・・と言いたいところですが気配を感じませんでしたね」
「ああ・・・少しは骨のあるヤツか、それとも・・・」
「ロボットみたいに感情がないヤツが相手か・・・ですね」
多少通信をかわし敵の正体に探りを入れるラグナとヒュウガ。
「お前達が・・・・・・コバルト・・・小隊・・・・・か?」
ラグナたちの頭上にPクローを装備したPFが立っている。
「貴様がここの指揮官か!?」
「指揮官・・・?モーリはここを・・・守るように言われた」
「・・・様子がおかしいですよ、隊長」
「ああ・・・一応喋ってはいるが、あいつの意思がみえねぇ」
ラグナもヒュウガも不思議な雰囲気をかもし出している
自分をモーリと言ったパイロットのことが気にかかったようだ。
「もう一度・・・聞く・・・お前達・・・は、コバルト小隊・・・だな?」
「だったらどうだって言うんだ?」
「ですね、仮に私達がコバルト小隊ではなかったらどうするんですか?」
「・・・?・・・モーリ・・・分からない・・・分からない」
「分からない?・・・ヒュウガ、ここの指揮官じゃねぇのかな?」
「さあ・・・どうなんでしょう・・・」
「分からない・・・分からない・・・分からない分からない分からない分からない
・・・・・・・・・フングァアアアァァァアアアァァァアアアアアアァァ!!!!!」
突如ラグナとヒュウガの耳を切り裂かんばかりの大きさの声が襲う。
「な、なんだ!?」
「どうやら理解し切れなくてキレたようですね」
驚くラグナと冷静に分析しているヒュウガ。
が、そんな暇すら与えず怒声を発していたモーリが襲い掛かってきた、
するとどこからかモーリと同じ型のPFに乗った奴等が
ぞろぞろと出てきた。
今の怒声が戦闘開始の合図となっていたようだ。
「ちっ!!ゾロゾロと出てきやがったぜ」
「僕がワラワラと出てきた方達を相手にします、隊長はあのモーリとかいう人を
お願いします・・・動きが違いますから」
「おう、分かったぜ」
※本来ならヒュウガのみ、あるいはラグナのみでも勝てる相手だが
ここは分担した方が効率がいいためこのような分担になっている。
〜ヒュウガ・雑魚掃討〜
「さて、あなたたちの相手は僕ですよ!!」
ヒュウガがモーリ以外の敵の気を引くためMLRSを一機につき
一発ずつ撃ち込んでいく。
もちろん自動のロックではこんな器用なことは出来ないので
ヒュウガがマニュアルでロックをしている。
ここで一つ、ヒュウガの機体に隠された秘密を教えよう。
ヒュウガの機体のロックシステムは少しだけ変わっている、
普通ロックシステムと言えば自動で限界ロック数の分までロックして終わりだが
ヒュウガの機体のロックシステムは限界ロック数分のロックを
マニュアルで一つずつ設定できるようになっている、
もちろんその分の処理などは大変ではあるがヒュウガは平然とやってのけている。
では話を元に戻そう。
ヒュウガからの攻撃を受けたモーリの機体with雑魚が一斉に
攻撃目標をヒュウガに絞る、ヒュウガの狙いに見事にはまる雑魚どもであった。
「鬼さんこちら♪ 手のなる方へ〜♪」
まるで敵を敵とも思っていないように敵を手玉に取るヒュウガ、
敵がいくらキャノンを撃とうとも掠る気配さえ見せない。
「そんな攻撃は止まって見えますよ!!」
キャノンを撃って硬直している隙を突いてMLRSを叩き込む。
硬直したまま機能を停止する敵PF。
キャノンを撃つとやられるという事を学習したのか、
今度は両腕に装備されたクローで攻撃しだす敵PF達。
「少しは分かってきたようですね、ですが・・・」
だが、結局は撃墜される時間が少し伸びただけだったようだ。
数分後には全ての敵PFが沈黙していた。
「ふう、こっちは終わりましたね」
サッと周りを見回すヒュウガ、すでに敵影は存在しない。
「後は隊長ですね、少し休みましょうか」
ヒュウガは適当な場所にPFを移動させた。
〜ラグナVSモーリ〜
ヒュウガが他の敵を引きつけている頃にはラグナはもう戦闘に入っていた。
「さあて、速攻でいかせてもらうぜ!!」
ラグナがモーリ機に突進する、モーリ機がキャノンを撃って来た。
「モーリ・・・足止め・・・コバルト小隊・・・」
モーリが先ほどの言葉を繰り返している、様子がおかしいと
ラグナもヒュウガも気がついていた・・・が、
そんな事を考えながら戦っていれば万が一にでも
危険な状態になるかも知れないのである。
ラグナやヒュウガは強いからこそ、こういう可能性をいの一番に考えている。
「・・・怪しいことには変わりねぇんだがな・・・
まあ、こっちがやられちゃ仕方ねぇし、降りかかる火の粉は払わなきゃな」
「・・・・・・・・・」
無言になり攻撃を再開するモーリ、少しだけ様子を見ていたラグナも
攻撃を再開する。
「・・・・・・っ!!」
「・・・・・・・・・」
ラグナの剣をクローで受け止めるモーリ、激しい火花が散っている。
「・・・・・・こっちを殺そうと言う様子が無いのは何故だ?」
なおも剣撃を繰り返すラグナとモーリ、
ラグナは軽くあしらう程度で戦っているのだが。
「・・・・・・モーリ・・・殺さない・・・」
「戦闘中に殺さない・・ってそんな台詞が吐けるほどてめぇは強くねぇだろ!?」
ラグナがモーリの台詞に激怒する、
その台詞を言うことが出来るぐらいの強さと言うものはどの程度のものなのだろうか?
「モーリ・・・殺さない・・・モーリ・・・足止め」
ラグナの怒声にも反応しない・・・どういう事なのだろか?
ラグナとモーリがもう一度攻撃を交えようとしたその時!!!
ドグァアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!
ラグナたちの背後の基地が突然大爆発を起こした。
恐らく件の研究施設を破壊するのが目的だったのではないだろうか?
「・・・コバルト小隊・・・・・・?・・・!?」
それまで単純に言葉を繰り返していたモーリが感情をあらわにしだした。
「おい、お前・・・今ここで何があった?」
モーリがラグナに問いかける。
「・・・俺に聞いてんのか?」
ラグナが問い返す。
「そうだ、俺は何をしていたのだ?答えてくれ」
モーリは今の自分の状況が分かっていないようだ。
「お前は今この俺と戦ってたんだよ」
「・・・フォルセアめ・・・・・・ハッ!!!」
「どうした?」
「・・・モーリの・・・家族は・・・家族はどうしたぁ!!」
「俺はしらねぇぜ、お前の家族なんてな?」
「・・・まさか・・・今の爆発で・・・まさか・・・」
モーリの表情が暗くなっていく。
「・・・・・・落ち込んでるとこすまねぇがお前がここの指揮官か?」
「・・・まさか、いやそんな・・・でも・・・モーリはどうすれば・・・」
「おい!!人の話も聞けよ!?」
突然苦しみだすモーリ、頭を抱えて唸っている。
「おい、どうしたん・・・」
苦しみだしたモーリにラグナが近づこうとする、が・・・
「ウウォオオオオオオアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
ガシュン!!!
近づいてきたラグナにクローで強烈な一撃をお見舞いするモーリ。
油断してはいなかったがモーリの機体性能が先程よりも
上がっていたため攻撃を掠ったラグナ。
「・・・ウガルアアアアアア!!!!」
先程とは別人のようになりふり構わぬ攻撃をしてくるモーリ、
体勢を立て直そうとしていたラグナもこれには少しだけ焦る。
「・・・仕方ねえ、あれ使うか・・・まだ慣れてねえんだがな」
「・・・カ・・・ゾ・・ク・・・ゴアアアア!!」
「BFD起動!ファミリア、アクセプト!」
なおもモーリの猛攻は続く、
そのときヒュウガからラグナに通信が入る。
「あ? 今忙しいんだがなヒュウガ!?」
「いいんですか?そんな事言って・・・モーリさん、でしたっけ?
モーリさんの機体をよく見てくださいよ、何かおかしくありませんか?」
「なんだって?」
しばし激しい動きをしながらもモーリの機体を凝視するラグナ。
「・・・・・・了解、とりあえず出来ることはやってみるぜ」
「では僕はまた傍観してますねぇ♪」
「なんだ、そっちはもう終わってたのかよ」
「ええ、それでは」
ヒュウガが通信を切った。
ラグナとヒュウガはモーリの機体の何に気がついたのだろうか?
「慣れてないからよーく狙わねぇとな・・・・・・」
「ウウウウウウウウウゥアアアア!!!!」
頭の中に浮かんでいるファミリアの狙いを慎重にターゲットに合わせる、
狙いはモーリ機のコクピットブロック以外である。
ラグナはもともと射撃の方は得意ではないのでこういう作業には
人一倍労力を要するのだ。
「・・・やっぱ慣れてねえときついな・・・仕方ねぇけど」
愚痴をこぼしながらも的確にロックを合わせていく、
コクピットブロックを完璧に外し6基あるファミリアの照準を合わせていく。
もちろん照準をセットしている間にもモーリの機体がラグナに襲い掛かる。
「・・・・・・・・・ふう・・・一度照準を合わせればオートで
ついていってくれるのは助かったぜ・・・さあ、モーリ・・・覚悟しろよ?」
ラグナの声など聞こえていないのだろう、
モーリはかまわず単調な攻撃を繰り返す。
「ファミリア、イット・・・・・・これで終わりだ!!」
ラグナの声とともにファミリアから光が迸る。
「ギャオオオオォォォオオオアアアアアァァァ!!!」
光はモーリの機体の両腕、両足、そして頭を弾き飛ばした。
コクピットブロックだけを残したモーリの機体は地面に叩きつけられた。
「アアアア・・・・ァァァ・・・ァ・・・・・・ァ・・・」
どうやらモーリは気絶したようである。
すぐさまヒュウガに通信を入れ、モーリ機からモーリを回収する。
「・・・・・・・・・」
「隊長、とりあえず休ませましょう」
「そうだな・・・おれはあの煙を噴いてた頭部を調べてみるか・・・」
「隊長、機械に強かったでしたっけ?」
「・・・・・・回収の準備でもしておく・・・」
「お願いしますね〜」
〜戦闘終了・モーリの目覚め〜
「・・・ウ・・・ウウ・・・」
モーリが気絶して30分が経過した頃のことだった。
「隊長、気がついたみたいですよ?」
「・・・・・・おい」
「うう・・・頭が・・・ハッ!!!!!頼む、教えてくれ!!」
モーリが近くにいたラグナに掴みかかる、
獣人であるモーリの握力は人間より強い。
「イダダダダダダダダダ!!!」
肩を強くつかまれたラグナが絶叫する。
「頼む!!頼む!!」
なおも肩を掴みながらラグナを揺するモーリ、
ラグナはすでに死にそうである。
「まあまあ、モーリさん落ち着いて・・・隊長が死んでしまいますよ?」
ヒュウガになだめられ正気を取り戻すモーリ。
「う?・・・うおお!!」
慌ててラグナから手を離すモーリ、だが・・・
わざとらしくラグナの脈をとるヒュウガ。
「隊長おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
ラグナの手を握り締め天を仰ぎ絶叫するヒュウガ。
ラグナは・・・・・・・
「ヒュウガ・・・て・・めぇ」
しっかりと生きていた。
「・・・すまなかった、モーリ取り乱した」
「・・・肩が外れるかと思ったぜ・・・で、モーリ・・・
何か教えてくれとか言ってなかったか?」
「ああ・・・モーリの家族はどうなったのか・・・」
「どこにいたんですか?」
モーリが指を差す、がそこには爆発炎上した基地の後があるだけだった。
「「・・・・・・」」
さすがになんの言葉も出てこないラグナとヒュウガ。
そんな時ラグナたちの後ろから何者かからの声がかけられた。
「・・・モーリ・・・あなたよね?」
「・・・そんな・・・いやまさか・・・」
「「パパーーーー!!!」」
モーリのもとに小さな影が二つ、走りよる。
「本当に・・・お前たちなのか!?」
「ええ、私達は無事・・・モーリ、怪我は無い?」
「でも・・・どうしてあの爆発で・・・」
「えーっとねぇ・・」
「知らないお兄ちゃんとお姉ちゃんに」
「「助けてもらったの〜」」
「どういうことなんだ?」
「子供達の言う通りよ、見知らぬ若い男女が助けてくれたのよ」
「・・・そうか・・・その人たちは?」
「私達を安全なところまで逃がすと急いでどこかへ行ってしまったわ
お礼も言えなかったの・・・」
死んだと思っていた家族との再開を喜ぶモーリたち、
だがラグナたちも暇ではない。
「モーリさん」
せっかくの家族の水入らずを邪魔するのは気が引けるのだが
こればっかりは仕方がないことだろう、ヒュウガはモーリに声をかけた。
「・・・ああ、分かってる聞きたいことがあればなんでも言うといい」
「すまねぇな・・・モーリ」
「いや、お前達はモーリの命の恩人だ・・・洗脳装置で
狂わされて戦わせられていたモーリを救ってくれた」
そう言ったモーリはラグナたちの質問に何も隠さずに答えてくれた。
PFの頭部の洗脳装置のこと、自分を操っていたヤツのこと
家族を人質にとられたこと・・・などなど、
コバルト小隊にとって有益な情報もかなりあったようだ。
「そのフォルセアって人に脅されていたんですね?」
「そうだ、アレはもはや人ではない・・・人の皮を被った化け物だ」
「そりゃ怖そうだ」
ラグナはまだフォルセアの怖さを分かっていないようだ。
「モーリさん、ご協力ありがとうございました」
「助かったぜ、ありがとな」
「それはこっちの台詞だ、ありがとうアルサレアの勇者達よ」
「勇者なんて照れますね、隊長?」
「ああ、俺たちはそんな大層なものじゃねぇよ」
「ははははは、謙遜するな」
「それはそうとモーリさんたちはこの後どうするんですか?」
「・・・・・・」
一転して表情が暗くなるモーリたち。
「アルサレアに来るか?俺たちも力になるぜ?」
「・・・その気持ちはありがたいがモーリたちが住むのはこの地だ」
「そうか・・・」
「でも、またフォルセアが来るのでは?」
ヒュウガにそう言われ【ビクッ】となるモーリ。
「ヒュウガ、てめぇ失礼な事言うなよ・・・大丈夫さ、な?」
「・・・モーリたちはこの地から離れて生活することなど考えられない、
大丈夫だ、家族も戻ってきた・・・モーリ、次は負けない!!」
「・・・仕方がないですね、決意を秘めた人には何を言っても無駄でしょうし」
「モーリ、必ず勝つ!!お前たちに迷惑はかけない」
モーリの決意を改めて感じたラグナたちは何も言うことなく
仲間の元へ帰還して行った。
「ラグナ・・・アルサレアの勇者よ・・・ありがとう」
モーリは遠ざかるラグナとヒュウガの機体の背中に向かってこう呟いた。
〜ヴァリム・フォルセア:???〜
モーリが守っていた基地から2機+αのPFが爆発に紛れて脱出していたのを
戦いの最中であったラグナ、ヒュウガは気が付かなかったようだ。
「・・・流石はリュウハね」
「はい・・・アレを奪われては後々問題があるのではないでしょうか?」
「アレだけは失敗だったかもしれないわね・・・
でももうどうしようもないわ、リヴィア、貴女に何か案はあるかしら?」
「・・・いえ、神佐に考えがつかないことは私にも分かりません」
「でしょう?アレは諦めるわ・・・でも」
フォルセアが口の端を歪めた。
「・・・・・・」
「今回は私の勝ちよ!! オーッホッホッホッホ!!」
不気味な嘲笑がフォルセアの機体とリヴィアの機体に響き渡った。
〜ヴァリム・リュウハ:山の中〜
「・・・・・ハッ・・・・っシュン!!」
フォルセアの声が届いたのか違うのか、
リュウハがクシャミをした。
「大丈夫ですか?」
「リュウハ様、大丈夫ですか?」
「・・・・・・大丈夫?」
「おやおや、風邪ですかい?旦那」
「・・・・・・キョウイン、お前はいいから前を見て運転しろ」
リュウハたちは今ある山の中を戦車の大砲を取っ払ったような
乗り物に乗って進んでいる。
「しかし、今回の作戦はあのババアにしてやられたな」
「ちっくしょう・・・フォルセアの奴め!!」
「今度はこっちが吠え面をかかせてやりますわ」
「・・・・・・次は頑張る」
「あの年増を爆破したら快感だろうなあ、クックックック」
リュウハの言葉にユリ、ホムラ、カコウ、キョウインがそれぞれ返す。
「まあいい、一つでも手土産があればそれを活かすのが俺の仕事だ・・・」
各種設定
☆ヒュウガの機体の特別な秘密
WCSが従来のシステムとはちょっと違う。
限界ロック数の分、個別にロックできるシステムになっている。
ただ、ロックするのはパイロット本人なので
その処理が大変なため、ごく少数の人しか使えないものになってしまっている。
ヒュウガのものはさらに、従来のWCSの能力も兼ね合わせている。
〜作者どものお遊び・最速記録更新記念特別ゲストインタビュー〜
※今回相方の都合が悪い為司会はナイトメアのみで行います
ナイトメア「今回は一人なので前フリはなしでいきます」
ナイトメア「では、今回の特別ゲストは辺境の地管理人タングラムさんと水無月零士さんです」
タングラム「宜しくお願いします〜」
零士「……宜しく」
ナイトメア「宜しくお願いします」
タングラム「それにしても桃音さん……もとい背徳の旋律さんもやりますね。最速記録更新とは……」
ナイトメア「前編が出来上がった時ラストバトル手前まで書いてましたからねえ」
ナイトメア「では、いきなりですが質問ありますか?」
タングラム「そうですね……では、前編でフォルセアが言っていた『他の作戦』とは?」
ナイトメア「それは次回の4話裏編にて明らかにしたいと思います」
タングラム「そうですか、楽しみに待っていますねw」
ナイトメア「頑張ります」
零士「それでは次は俺から……4話前編でフォルセアが完成を急いでいると言っていた
『あの機体』とは、正史からするとやはりゼクルヴ系列の機体ですか?」
ナイトメア「正解です」
零士「やはり……。
しかし巨体にするのなら、どれ程の火力をつぎ込むつもりやら……重すぎても問題があるというのに」
ナイトメア「そこはお楽しみです」
タングラム「……(相変わらずメカにしか興味がないようだな(汗))」
零士「別にそのような事はないが?」
タングラム「(……しまった、顔に出てたか)それより次の質問ですが、
例のグットマン兄弟は何時再登場するでしょうか?(マテ)」
ナイトメア「あいつらですか?サーリットンで出そうと考えてます」
タングラム「そうでしたかw 語られざる〜では割と良く描かれているんですよね(爆)」
零士「まぁ、大抵精神攻撃兵器として使われているからな。まともに戦う機会も少ないし……」
ナイトメア「1話で好評だったせいか分かりませんがグッドマンに関して凄いイベントを用意してます」
タングラム「凄いイベントですか! 面白そうですね、期待してますw」
ナイトメア「所で以前ミラムーンの狩人でグレンリーダーとグリュウの腕を評価してた零士さんに質問があります」
零士「何でしょうか?」
ナイトメア「語られざるに登場したキャラで気になる奴はいますか?」
零士「……やはりリュウハ神佐とフォルセア神佐ですね。俺個人としては、ただ単に力を持っていても、
それを使いこなせる頭脳も必要と考えているので。もっともフォルセア神佐の場合は外道の手段が得意のようですが」
タングラム「……確かにお前の師達と似ている部分があるな、フォルセアは」
ナイトメア「それはどういった部分ですか?」
零士「効率優先の手段を好む所ですね。その結果として、人道から外れた行為が多い事は言うまでも無いでしょう。
……その割にはヴァリムの利益を損ねている事も多いようですが」
タングラム「お前が言うか、それを(汗)」
零士「……まぁ、俺としては敵対者に容赦するつもりはないのでね。
とは言え師やフォルセアのように、無関係な人間まで殺すつもりはないが」
ナイトメア「まあ、何はともあれババアにだけは気をつけておきましょう」
タングラム「そうですね(苦笑)」
零士「確かに……色々危険なシステムも持ち歩いているようですし(アレの所為で一度危機に陥ったからな)」
零士「そして何より、本物の所在がなかなか掴めないという問題もありますからね」
ナイトメア「今回はここでお開きにしますか」
タングラム「そうですね……あちらも大変なようですし」(左手に持った水晶に何処かの映像が映る)
タングラム「虚ろさん、ファイトですw」
ナイトメア「どこまで粘れるか見ものですね」
タングラム「さて、それでは……って、アレ?(いつの間にか零士がいない事に気付く)」
(そろそろ整備の時間なので戻ります。レイジ)<置き手紙
ナイトメア「・・・・ほう」
タングラム「……ま、まぁ、何はともあれ4話裏編頑張って下さい!」
ナイトメア「頑張ります」
タングラム「背徳の旋律さんと虚ろさんにもよろしくお伝え下さい!」
ナイトメア「了解」
ナイトメア「では、次は4話裏編でお会いしましょう」
〜一方そのころ冥界では(すでに戦闘場所が変わっている)〜
「クックック・・・貴様中々やるのう」
「いやなに、昔とった杵柄ってやつさ」
「ふん、我々の攻撃にいつまで耐えられるかな?行くぞ!!」
そう言うがいなや超兎は上空に飛び上がる、
対する虚ろは防御体制をとる。
「甘い!!」
「なに!?」
突然背後を取られる虚ろ、はたして虚ろの運命やいかに!!
・・・・・・・・・続いちゃうのかなぁ(滝汗)
by桃音
生き返るまで続いてそうだ(汗)
byナイトメア
管理人より
桃色の悪夢さんより第4話後編をご投稿頂きました!
モーリも無事という事でw
果てさて、フォルセアとリュウハは何をやっていたのでしょうね?<次回に期待!
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