小さい村の外れの山中で、紫紺と青碧の装飾を施した二機のPFが闘っていた。
季節は夏から秋へと移り変わる時期であるが、もともと放牧等を行っていた地域だけに少々寒い環境なのも影響しているのか、山頂はすでに雪が降っており…山頂から少し下がったこの場所でも所々雪が溶けずに積もっていた。
付近には切り立った谷や岩場も多く、PFには決して有利な環境ではないが、この二機はそんな状況であるとは思えない速さで動いていた。
紫紺の機体が大鎌を振り上げて攻撃してくるのを、青碧の機体はシールドで受け流して、小剣で反撃する。
紫紺の機体は小剣の攻撃を最小限の後退でやり過ごすと、再び鎌を振りながら一気に間合いを詰める。
青緑の機体はその動きを見て退くかと思いきや、逆に間合いを詰めると同時にシールドとレイピアを手放して紫紺の機体に掴みかかると、その勢いをそのまま利用するかのように投げ飛ばした。
…しかし、紫紺の機体はすぐに体勢を整えて、地面を滑るように着地する。
青緑の機体もその間にレイピアとシールドを回収していた。
「…さすがです」
「それはこっちの台詞だ…あそこで投げられるとは思わなかった…」
しばしにらみ合う二機は再び互いの狙いを探るかのように旋回しながら徐々に間合いを詰めていった。
「今度はこっちから行きますよっ!」
「…来い!」
シールドでガードしつつ、突っ込んで来る青緑の機体を迎え打つ紫紺の機体だが、突如として鎌で地面を薙ぎ払って雪混じりの土砂を巻き上げた。
「…めくらまし!?」
一瞬驚く青緑の機体のパイロットだが、すぐにレーダーを確認し、紫紺の機体の居場所を確認する。
「…真上!?」
「遅い! 貰った!」
ジャンプしていた紫紺の機体は青緑の機体を踏みつけるように蹴り飛ばし、バランスを崩しているところへそのまま鎌を振るう。
(まだです!)
「…HM発動!」
グァキン!!
まるで堅い金属か岩でも叩いたかのような鈍い音がし、青緑の機体に弾かれる鎌。
…あの一瞬で武器を手放していた青緑の機体がHMを発動させたのである。
「…くっ!」
慌てて退避しようとした紫紺の機体だが、足を捕まれてバランスを崩し、地面に倒された。
「……これでおあいこです」
「…ィツツ…チッ…あの体勢からでは振りが十分じゃなかったか……!」
確かに、ただでさえ不安定な空中で、真下の敵を攻撃しようとしたのだから、威力は半減していると思われる(それでも十分な威力はあると思うが…)
恐るべきは、不十分な体勢からの攻撃だったとしても、鋭い振りを弾き返す事が出来る青緑の機体防御力の高さであろう。
再びシールドと小剣を持ち直した青緑の機体は一旦離れて、紫紺の機体が起き上がるのを待った。
「……まだまだこれからですよ、レオンさん?」
「ああ、そうだな…これからだ、ミュウ!」
そのまま再び大鎌を振り上げて攻撃をする、レオンの機体「ルシル」とその攻撃を迎え撃つミュウの機体「マーキュリー」は、再び熾烈な接近戦へと突入した。
何故こんな事になっているのか説明するためには、時間をすこし遡る必要なあるだろう……(ワンパターンですいません!)
PF積載可能な大型トレーラーに乗って、ミュウはレオンの住んでいる村にやってきた。
村の人達は初めて見るのか、遠巻きになりながらも興味深そうにそのトレーラーを眺めていた。
そこにレオンがやってきた。
「どうもお久しぶりです。レオンさん」
「ああ、でも久しぶりって言うほど、そんなに日は空いてないぞ?」
その言葉にちょっと苦笑を浮かべるミュウだったが、すぐに気を取り直したように笑顔になる。
「今日はルシルの本格的な整備で来ました。よろしくお願いします!」
「…それは電話で聞いたけど、本当に大丈夫なのか? ろくな整備用機械も無しに?」
ちょっと不安気に聞いてくるレオン。
確かにPFをちょっといじる位ならともかく、分解して組み立て直すとなると、かなり細かい調整が必要になるはずである。
しかもレオンが見た限り、トレーラーには小型のクレーンが数個付いているだけであり、鉄骨やPFの自重を支えられそうな太いロープすらない。
「そのための、マーキュリーです!」
「……まさか、PFをクレーンの代わりにでもするのか!?」
「そのまさかです。…あ、当然レオンさんにも手伝って貰いますよ?」
「………(本当に大丈夫なのか…?)」
そう思わずにはいられないレオンだった。
しかし、その心配とは裏腹に作業は順調に進んだ。
ミュウ…マーキュリーはトレーラーに積載されていた変な置物風の機械(カイ)や発電機、その他もろもろを取り出すと、最後にJファー系PFのメインパーツをコンテナから取り出して、素早く脱出ポッドと一部の装甲だけを外してしまう。
その間にルシルを運んできたレオンは、ミュウの指示通りにルシルのシステム設定を変更していく。
「…これで良いか、シルキス?」
『……確認、問題なしだ。……しかし、この程度の処理数分で終わらせろ』
「…悪かったな、不器用で」
『分かっているのなら、改善する事だ。…例え無駄だとしても、努力をしていないよりはましだ』
「………あ、ああ」
一瞬驚くレオン。表現が軟らかくなっている事はもちろんだが、シルキスが自分を励ますような言葉を言ったからだ。
(…ちょっと前なら、『分かっているのならすぐに直せ、この欠陥品』とか言っていただろうな…?)
そのシルキスを変えた張本人であるミュウは、慣れた手つきでレオンが乗っていたコクピットからシルキスのコアユニットだけを取り外して発電機の近くに置き、シルキスの配線をちょっと細工して電源ケーブルと回線用ケーブルを延長する。
「……ふう、これでよし…と」
ミュウは接続した配線のチェックを行うと、満足げに頷く。
「…外部発電機、再起動」
ミュウがスイッチを押すと、発動発電機は一旦停止し、再び小気味良い駆動音を鳴らし始める。
外見から察するに、これはおそらくPFのジェネレーター「ディアL」を改造したものと思われる。
「………」
しばらく様子を見ていたミュウは、その機械にそっと手を触れる。
(調子と気分はどう?)
(…バッテリーから外部電源への切替…終了…システムチェック…総て良好、通常通りです)
(…同じく問題なし。ただ、人の表現で言うならば『心許ない』という感覚があります)
(ちょっとの間、我慢してください。カイ、シルキスの話相手になってあげてね?)
(了解)
(畏まりました)
頷いたミュウは二つの機械…カイとコアのみの状態になっているシルキスから手を離して、背伸びする。
「では、改修作業再開です!! …マーキュリー、『迷子』!」
ミュウは気合いを入れるように胸元でグッと拳を作ると、工具と端末を持ってトレーラーを運転してルシルの真横に横付けし、クレーンとマーキュリーを上手く使ってルシルを解体していく。
それを遠目(?)に監察しているシルキスとカイは……
(そういえばご挨拶がまだでしたね。私はカイと申します)
(シルキスだ)
(お噂は、マックス殿から伺っております。以後お見知りおきを)
(…どうせをろくな噂ではなかろう? あの男は私の至極当然な意見に反論できなくて感情論だの何だのと理解に苦しむ事を言っていたからな)
(……そうですね…確かにそのような事を言っておられましたね。しかし、マックス殿もシルキス殿のことは認められて…いえ、認めようとしているような感じでしたね。…言葉の端々そのような心情を示すような印象を受けました)
(私にはまだ理解できないな…)
(AIである我々にしてみれば、シルキス殿の反応は正しい事なのでしょうね。…ミュウ様と出会う前の私も「1か0」の思考論理だったでしょうから…)
(そうだな…ところで話は変わるが、先程からのPFの自動操縦はお前の遠隔操作なのか…?)
(そうです。…これでも一応、元PF用コンピューターですから…)
カイがシルキスとの会話の合間にマーキュリーに『信号』を送っているのに気が付いたらしい。
(私には、ミュウ様と同様の機能を持つインターフェイスが内蔵されていますから、その気になれば室内・浴室環境管理から電話の応対、ビデオの予約も出来ますよ?)
…本来の使い方ではないような気もするが、ミュウならやりかねない利用法である。
(…そうか…掃除なども出来るのか?)
(換気などならできますよ。もっとも床掃除は自走可能な掃除機でもなければ出来ませんが)
(…………)
(…現在ミュウ様が試作品製作中なので近日中には出来るようになるでしょうけど……)
……絶対、使い方を間違えている……(ミュウは満足しているのだろうが…)
(…『戦闘兵器も人の役に立てる』か…確かに間違いではないようだ)
(今のはミュウ様の?)
(そうだ。…しかし、こうも典型的な見本を見せられるとは私も思わなかったがな)
(失望されましたか?)
(いや、自分の認識不足を改めて痛感し、データベースの更新をしている所だ)
(ありがとうございます、シルキス殿)
(私はお前をどう呼ぶべきであろうか?)
(呼び捨てでも「さん」付けでも、楽な呼び方でよろしいですよ? …「ちゃん」や「たん」を付けても一向に構いませんし)
(………)
…これが『冗談』という奴か? …などと、一瞬考えるシルキスであった。
そして、シルキスとカイが順調にコミュニケーションを行っている間に、整備も順調に進んでいるようである。
ルシルは各フレームごとにバラバラにされて、必要な部分だけトレーラーの荷台に積まれていた。
ミュウは『ブラックボックス』と呼ばれている解析不能な部品を取り出して、先程用意していたJファーのメインに組み込む作業をしていた。
そしてレオンはそのJファーのメインフレームと各フレームの接続作業を行っているようである。
「……これで、よし!」
最後のボルトを締め終えたレオンは機械油で汚れた手と顔をタオルで拭くと、一息付いた。
「おーい、こっちは終わった…ぞ?」
視線をミュウの方に向けるが…ミュウの方はまだ時間がかかるみたいである。整備端末を片手で操作しつつ、ブラックボックスに手を添えながら、必死の表情でブツブツと何かを喋っている。
「……?」
気になって近くに歩み寄るレオンだが、ミュウに気が付いた様子はない。
「…コネクト…情報接続開始…エラー…設定を変更…再アクセス……」
(……下手に声をかけない方が良さそうだな)
そう思ったレオンは、そっとミュウから離れて、カイ達が置いてある所に仮設置した屋根付きベンチに腰掛ける。
ちなみに、カイ達にも日除け用にビーチパラソルが用意されており、ここが真夏の海岸かプールサイド…百歩譲ってテニスコートなら、何の違和感もないのだが……すでに夏から秋に移り、山頂に雪、中腹にわずかな紅葉が見え始めている山々を見渡せる風景では、思い切り浮いてしまっている。
ちなみにベンチの脇には保冷ボックス(中身は冷水と缶ジュース)と空のオイル缶と落葉を利用した焚き火がしっかりと用意されていたりする。
その中には先日ここで収穫したサツマイモが入っているのは、もはや言うまでもない。
「…ミュウはいつもこんなもの積んでるのか?」
などと言いつつも、保冷ボックスを開け、冷たい水で火照った手を軽く冷やしつつコーヒーを取り出すレオン。
本人の説明だと、「備えあれば憂いなしです!」との事らしい。
……どんな事態を予想して備えていたのだろう?(汗)
「…ん?」
コーヒーを飲んで休んでいたレオンだが、カイやシルキスがいる方向から物音がするのでそっちに視線を向けると、シルキスとカイが激しい駆動音を上げていた。
「ど、どうした!?」
『……少々お待ちを』
カイが返事するがその駆動音は収まらなかった。
…まずいと思ってミュウを呼ぼうとしたところ、急にその駆動音が止まる。
『……私の負けです』
『…いや、そこの男が邪魔しなければ危なかったかもしれん』
『…それを考慮しても、及ばなかったでしょう。お見事です』
『すでに一敗している私としては、負ける訳にはいかなかったからな』
「……おい、さっきから何話しているんだ?」
訳がわからないレオンがカイとシルキスに聞く。
『…少々暇だったので勝負をしておりました』
「…勝負?」
『……円周率の計算勝負だ』
『ええ、一定時間の制限を設けて、どちらが多くの桁数まで計算出来るか…というものでしたが、18万7634桁対17万9675桁で私の負けでした』
「…………」
人間の領域を遥かに超えた勝負にコメントできないレオンだった。
『…先程の銀河囲碁では不覚を取ったからな…計算勝負で負ける訳にはいかなかった』
「……銀河囲碁?」
…囲碁は判るが…銀河とは何の事だろう?
『…つまるところ盤面の限界が無い、特定の条件で可変する立体式の囲碁です。ただし、そのままだと勝負が付かないのでランダムで設定された一定時間後、最も中心から離れた碁石をその限界域として立方体の領域を設定し、盤面とする…というルールです。巨大なルービックキューブを盤面に囲碁をすると解釈されてもよろしいかと思います』
「…そ、そうか」
カイから説明を受けるものの、囲碁のルールをよく知らないレオンはいまいち的確なイメージができないらしい。
『…何万手先まで相手の出方を予想しながら、突然訪れる盤面設定のタイミングを予測し、即座に的確な戦術に切り替える…計算力以上に柔軟性と発想力を要求されるゲームとも言えるでしょう……』
『…さすがにハンデとして碁石30を提供するだけの事はある…私の完敗だった』
『私は常日頃より株や掲示板管理などで、ウィルスや市場を相手に、臨機応変な対応を求められていましたから…柔軟性と発想力ではシルキス殿に勝っているようです』
『…実戦に勝る経験は無いというわけか……』
『…よろしければ、ネットで入手した囲碁のソフトは如何ですが? …難易度は低レベルですが、ごく基礎的な戦術を学ぶ事は出来るかと……?』
確かに人間用のソフトでは、この二人(?)の前では答えの分かっているパズルのようなものだろう……。
『…敵に塩を送る…か。…良いだろう、そのソフトで傾向と対策を学び、今度はハンデ無しで勝たせてもらう』
『…その時はお手柔らかに…では送信開始…』
『…受領確認した』
『了解。…さて、これで一勝一敗です…続けますか?』
『…無論だ』
『…では、次はパズルなどどうでしょう? 数字の羅列を正方形の枠に並べて、上下左右斜めの和が同じになる組み合わせをいくつ作成できるか……』
『……面白そうだな』
『ではハンデは……』
「………………」
話題に完全に付いていけなくなったレオンであった。
数時間後……
ようやく主だったパーツの組み立てと片付けが終わったところで、マックスから電話がかかってきた。
コードレスフォンに転送したレオンはそれを持ってベンチの近くまで移動する。
『…レオン、そっちの調子はどうだ…?』
「あのな…マックス…! 今何処にいる!?」
『し、仕方ないだろ、昨日から今日の朝まで俺は自警団の当番だったんだ! これからそっちに向かうとこだよ!』
思わず切れかかったレオンに、降参するように声を荒げるマックス。
一旦深呼吸して気分を落ち着けたレオンは、また受話器を口元に運ぶ。
「…なら、仕方ないが…もう殆ど終わったぞ? 今ミュウがシルキスの組み込みと調整を行っているが……」
『そりゃ良…じゃなくて、残念だったなぁ〜…』
「……あのな?」
白々しい台詞にもはや呆れてしまうレオン。
『…ゴホッ…まあ…代わりと言っちゃ何だが、良い話があるぞ?』
「良い話?」
『それは…いや、付いてから話した方が良いな』
「…? ……わかった…いつごろこっちに着きそうだ?」
『…今仮眠取り終わったところで…これから準備すると…まあ、急いで行って3時間くらいだろうな?』
「……ちょうど夕食時か…タイミング的に出来すぎだな?」
『………じゃあ、あとでな』
プッ…プー、プー、プー
「…おい、マックス……!? ……逃げたな?」
電話を切った音を聞いたレオンは苦笑しながら受話器を手に家に戻るが、その時のミュウはと言うと……
「…シルキス、調子はどうですか?」
『……問題ありません』
「……さすがレオンさんです。パーツの接続も完璧みたいですね」
整備端末で最終チェックの結果を見て、ミュウは微笑みながら頷いた。
「…そういえば、この前マックスさんから聞きましたけど、この機体は瞬間転移が出来たんですよね?」
『肯定です。ミュウ様』
「……でも、私がこの前調べた限りでは……」
ミュウが調べた限りでは、ルシルにそんな機能はなかったらしい。
『それは、メインフレームの一部に『イシン』と呼ばれていた特殊金属が使われていたためです』
「……イシン? …聞かない名前ですね……?」
ミュウは頭を捻る。
フレーム素材として有名なのはアルサレアの超鋼材OSJ、ヴァリムではジャポネクル合金やアインハルト鋼材が有名であり、その後の次世代機でもそれらの金属の改良品が使われている事から察しても、それ以外の金属は強度や生産効率から考えて不向きなのだろう。
「……瞬間転移の発動条件は…特定の条件を除いては、外装に特殊な金属を利用する事でおこなうものですから……ひょっとしてフレームにその金属を使用することで……?」
『御賢察の通りです』
「そうでしたか。フレームの方まではチェックしてなかったですね……」
確かに、システム画面ではフレーム素材が何であるかまでは表示されていない。
「…となると、メインフレームそのものを変えるのはまずかったですね…でも、メインフレームもそろそろ限界に近い状態でしたし………」
ミュウが調べた限り、前のメインフレームはすでに限界を超えている状態だった。
元々試作品だったためか耐久性に問題があった上、度重なる戦闘と十分な整備を受けずの連続使用…機体大破からの修復と、かなり無茶な事をした結果である。
『…瞬間転移の精度や変換効率の低下も確認していました』
「……ですよね…そのイシンという金属は、何処で手に入ります?」
『…データ検索……特殊合金イシン……無重力環境上で精製される金属でラルサとウルクβの特性を持つ超鋼材……外装ではなくフレーム素材に磁気を帯びさせる事でレーダーやWCSなどへの影響を最小限に抑え、特殊BURMを発動させる事ができる……私のライブラリにはこのような記述があります』
「…無重力環境……宇宙でしか精製出来ないって事ですね………」
『…肯定です』
考え込むミュウ。
(瞬間転移の機体はヴァリムでもシンザンをはじめとしてラセツ・GF系の機体がありますから、それらの技術をフィードバックしても良いですけど……ちょっとまずいですね)
ヴァリム既存の機体なら一通り構造を把握しているが、何故そんな事まで知っているかと突っ込まれるとまずいと思ったミュウ。
…さすがにGFの構造まで知っているのは不自然であると、事前に察する事ができたらしい。
「…とりあえず、イシンについては代替も含めて、もう少し対策がないか調べてみましょう…その代わりという訳ではないですが、私からプレゼントです。…この中で必要だと思うソフトはありますか?」
ミュウはシルキスにリストを送る。
それはミュウがマーキュリーやカイ用に構築したプログラムリストである。
『…これらが必要だと思います』
「……自動操縦と音声認識ソフト…それに思考論理・戦術論理追加プラグですね…分かりました」
ミュウはそれらのファイルを圧縮し、シルキスに送る。
『…受領確認、情報更新作業開始します』
「CTICSでのチェックでも異状は見られませんでしたし…これで基本的な整備・改修作業は終了しましたね……」
安堵のため息と共に、肩から力を抜いたミュウは一旦コクピットから出る。
「…んん〜…! 疲れましたぁ〜……」
シルキスの作業が終わるまでの間、背伸びをしたり柔軟体操のように体を動かすミュウ。
『更新作業終了…システムチェック……問題なし』
「了解です。…では、実際に動かして試験してみましょう」
再びルシルに乗り込んだミュウは、機体を軽く動かしてみる。
「……システム…異状なし。駆動系負荷も…とりあえずOK…WCS…問題なし」
トレーラーの周りを歩きながら各システムの状態を確認する。
しばらく歩くと、再びトレーラーに機体を固定させる。
「…仕上げに、ボルトの締め直しです」
…どうやら機体を動かした事で固定されていた時にはわからなかった、ボルトの僅かな緩みを矯正しているらしい。
(車のタイヤをフレームごと交換するときと同じであるとお考えください)
「……これで全部終わりです!」
満足気に頷きながら、ミュウはトレーラーから降りて、自分の機体…マーキュリーを見る。
「…あとは、実際にレオンさんに動かしてもらっての、動作確認ですね♪」
……ここで時間を元に戻そう…少々長くなってしまったが、このような経緯で戦っている訳であるが…この戦いもそろそろ終盤に差し掛かったようだ。
マーキュリーが高速で移動しながら一瞬の隙を狙って、周囲を回りこもうとする。
両手の武器はすでに装備しておらず、マーキュリーのやや後ろの草原に放り投げたかのように置かれていた。
ルシルも何とか背後を取られないように注意していたが機動力の差と一瞬の隙を突かれて体当たりでもされるかのように突っ込まれる。
その突進を読んでいたのか、ルシルはステップ移動で突進をかわす動作をしながら機体を旋回させ、さながら独楽の様にBサァイフを振るう。
マーキュリーもその行動をある程度読んでいたのか、ヘッドスライディングでやり過ごすと…柔道の前回り受け身をするように体勢を整えるという機敏な動きを見せる。
しかし、ルシルはその回転の勢いを利用して、思い切りBサァイフをマーキュリーがいる方向へ投げ付ける。
ザシュッッ!!!
…何かを切り裂く音がし、Bサァイフはそのまま大きく弧を描くように飛翔した。
「……………」
『……………』
無言で互いを見据えているマーキュリーとルシルだが、パイロットのミュウとレオンは別の方に視線が行っていた。
……マーキュリーの一歩右…一般的人間の歩幅でも10歩に満たない地面に、巨大な蚤で地面を切り抜いたかのような跡を………
(反応できませんでした……)
それは深々と残ったBサァイフの通り道である。
ちなみにそのまま飛翔したBサァイフは、さながらブーメランか紙飛行機のように綺麗に一回転半して少し離れた岩壁に突き刺さった。
『……お見事です』
「いや、結局は失敗したからな。…それに、さっきの攻撃でHMを使われていたらこっちがやられていたかも知れない」
少し冷や汗を流しながらも微笑むミュウに、レオンも少々苦笑しながら答える。
『それは、そうですけど…いきなりそんな無茶な動きしないでください? せっかく整備を終えた機体の慣らし運転を兼ねた、機動性能訓練なのに!』
それ以前に今の攻撃がマーキュリーに命中して…当たり所が悪ければ、機体どころか命が危ないと思うのだが…よくよく見てみれば、両機とも小剣や鎌には金属製の鞘のような物が装着されていた。さらによく見ると、装甲の方にもプロテクターらしき物が所々に付いている。
「…すまん、つい熱くなっちまった」
『……いえ、気にしないでください。結果よければ全て良し…です。それにマーキュリーなら、よっっぽど当たり所が悪くない限りは大丈夫ですから』
自慢げに胸をはるミュウだが、表情は若干引きつっているような顔である。
…多分内心「危なかったです」とでも思っているのだろう?
「…重ね重ねすまん。…しかしそれにしても……他の基本性能を全く損なわずに、防御力だけを上げるというのも凄いな。俺なりに色々工夫してあれ以上はないと思っていたんだが」
『…まあ…自信作ですし…それにルシルはアルサレア製のPFだけあって、ヴァリムのパーツよりアルサレアのパーツの方が相性良いみたいですね』
「…確かにな。動きも前…どころか、初めて乗った時以上の手応えを感じる」
『それはお前がハードにばかり気を取られ、ソフト面の改修を怠っていたからだ』
「…それは、悪かったな、シルキス」
少し不機嫌な口調で答えるレオンだったが、シルキスはそれが勘に障ったのか…
『随分と不満げな返事だな? せっかくこちらが親切で忠告してやっているものを…』
シルキスはルシルのサポート用AIであり、一応人間性というものを否定しているのだが…?
『…シルキス…『親切』の定義について、二人きりで話し合ってみましょうか?』
『……申し訳ありません、言葉が過ぎました』
ミュウがたしなめると、素直に従うシルキス。
…思い切り相手を選ぶ態度は、まるで人間そのものである。
ミュウのプログラムを入手してからは、ますますそれに磨きがかかったようにも思えるのは、気のせいだろうか?
「…すまない、ミュウ」
「いえ、こちらこそ出過ぎた事をしてしまいました、レオンさん」
ミュウはばつが悪そうな顔で苦笑すると、レオンもそれに釣られるように苦笑した。
「さてと、そろそろ夕食の準備をしなきゃいけないな…今日は泊まっていくか?」
『はい、喜んで! 』
頷き合うと付近の後始末(穴を埋めたり整地したり)を行い、山を降りる二人であった。
「…っと、ただいま」
レオンは山から降りるついでに採ってきたキノコと薬草を両手に抱えて家に着いた。
ミュウはパーツからイシンを取り出してみると言い出し、解体したルシルのメインパーツを分解し始めたので同行はしていないようだ。
「おかえりなさい、あなた」
「「おかえりなさーい」」
レオンの帰宅を妻のキーとその子供であるシルキス、ルシルが出迎える。
駆け寄ってくる二人の頭を撫でると、レオンはキノコと薬草を台所のテーブルに置いて泥で汚れた服を着替えた。
「……村の様子は如何でした……?」
…少々不安げに聞いてくるキー。
「…ん…とりあえず風土病は治まったが……まだ油断は出来ないな……」
夏の終わりごろ、この村では謎の風土病が蔓延し始めていた。
最初は季節外れの風邪かと思われたが、調べてみると蚊が血を吸う事で感染するウィルス性の伝染病だったらしい。
ワクチンがあるにはあったのだが、国からの話だとこの伝染病はかなり前に根絶したと言われていた種類のものらしく、局所的ながらかなりの広範囲に蔓延している上ワクチンの絶対数の不足から値段が高騰しているとの事で、ただでさえ貧乏だった上にこの伝染病のおかげで収穫した作物が良い値で売れずにいた村では十分な量が用意出来なかったようである。
村では村長他有力者が集まって協議し、体や抵抗力が弱い女子供や老人を中心にワクチンを与えるとともにこれ以上病気が蔓延しないよう殺虫剤を撒いた。
それによってそれ以後発病者は減少したものの…殺虫剤を撒いた時点でウィルスに感染した村民は実に3割以上に及び、村では念の為感染した者を村の自治会館に集めて半軟禁状態の生活を余儀なくされている。
しかしそれは農作業のさらなる遅れを意味しており、この上殺虫剤を撒いた事で農作物に対しての悪評がさらに付く事をレオン達は一番心配していた。
「……いまは村で動ける者が総手で収穫を行なってるが……先日出荷したばかりの葡萄や芋はともかく…これから出す作物についてはさらに値崩れする事は避けられないだろうな……」
レオンは嘆息する。
比較的早い時期に出荷した葡萄や根菜などはまだ影響していないが、稲作を行なっている農家の話だとイモチ(米特有の伝染病)らしき兆候があるとの事なので、葡萄(秋から冬に出す分)や栗への影響も注意しなくてはならないからだ。
「……今日の食事はどうしましょう? そろそろ備蓄も……」
「あぁ、帰ってくる途中で茸を採って来たからそれで鍋にでもしようか……」
夏や秋とは言え、高山の谷間にあるような地域にあるこの村は、夜になると急に冷えてくる。山から冷たい風が吹いてくるからだ。
したがって、この辺では夏場でも鍋や煮物が頻繁に食べられているらしい。
(決してこじつけではありません。『ミュウの商売繁盛記?』でも鍋料理が出ています!(苦笑))
「…いや、まて…確か材料が…?」
レオンは冷蔵庫を開ける。
「…肉が少し……後は…豆腐にもやしか……鍋にするには具がさびしいな……さてどうするか…?」
悩んでいるレオンの裾をシルキスが引っ張る。
「…お父さん、私が買い物に行く?」
「……そうか〜手伝ってくれるのか〜お父さんは嬉しいぞ」
頭を撫でると無邪気な笑顔で微笑むシルキス。
「…でもな、無いからといってすぐに買いに行くのもちょっとな…無いなら無いでいくらでも作りようがあるからな〜」
「……お父さん、素直に『お金が無いからせつやくしたい』って言えば?」
恐ろしく現実的な事を言ってのどかな雰囲気を壊すのは、ルシルである。
「……いや、そんな事は無いぞ、ルシル?」
「…分かってるから気を使わなくて良いよお父さん」
子供とは思えない台詞を言いつつ、レオンの足をポンポンと叩きその場を去るルシル。
「…ルシル〜お父さん困らせちゃだめ〜〜……」
シルキスもルシルの後を追う。
……今の言葉から察するに、もしかしてシルキスも現状を理解して、レオン達に気を遣っていたのだろうか?
「……何か…嬉しいような……とてつもなく空しいような……?」
「…私達も、もっとしっかりしないといけないですね」
……キーで「しっかりしていない」のだとしたら、他にどんな女性が「しっかりしている」と言えるのだろうか……?
レオンはふとそんな事を考えた。
……ほぼ同時刻………
ここはPFのルシルが収容されている倉庫である。
その倉庫の中ではミュウが不要になったメインパーツからいくつかフレーム部分を取り出している所である。
マーキュリーの指をクレーンに見立てて運び出しそっと置いた金属が、どうやら「イシン」らしいが……?
「……微かに磁気を帯びてますね…これがイシン……」
そっと手にとって見る。
「…やはり…損傷が激しいですね〜…?」
よく目を凝らして見ると、微細なヒビがあちこちに出来ていた。
「…基がフレーム素材として使用されるくらいの硬度ですから、補修すれば何かに使えそうですね♪」
再びメインパーツの解体を始めるミュウ。
……時間経過………
日も大分傾き始めて来た頃になると、メインパーツはもう原形を留めていない状態まで解体されていた
『……ふう、これでよし……です』
一緒に持ってきたカイをマーキュリーのコクピットに固定すると、ミュウはそのまま機体を降りてマーキュリーのハッチを閉める。
「カイ、後はよろしくお願いしますね?」
『畏まりました』
「マーキュリー、『迷子』!」
そして、カイに操作を任せるとレオンの家に向かった。
『……さて、どうしましょうか……?』
カイはミュウを見送るとそんな事を呟く。
『……別にする事が無ければ待機モードの入るなり、デフラグモードに入るなりすれば良いだろう?』
隣に停めてあるルシルからシルキスが聞いてくる。
『それはごもっともですが、それだけでは少々『手持ち無沙汰』ですね』
『………』
…つくづくAIとは思えない言動をするカイにさすがにコメント不可となるシルキス。
『……さて……?』
カイはマーキュリーのカメラを使って付近を見回した。
そして、先ほどまでミュウがいじっていたメインパーツの残骸が目に留まる。
『……せっかくですから、お掃除の練習でもしましょうか?』
『……掃除の練習?』
意味がよく理解できないシルキスが疑問符を付け足して復唱すると、カイはマーキュリーを動かしてコンテナを開ける。
『……たしか入っていると……?』
何やらごそごそとコンテナの中を探るカイ。
『…何を…』
そう言いかけたシルキスだが……
『…見つけました』
『……成る程』
…PFサイズのデッキブラシとちり取りを取り出したカイを見て…やや絶句しながらも納得する。
カイはデッキブラシとちり取りを脇に置くと、解体された部品を見定めながら使える品と使えない品に分別する。
そして今度はコンテナから巨大なビニールシートや麻布を取り出し、使える部品を綺麗に梱包してコンテナに収めると、残った使えない部品をデッキブラシとちり取りで回収し、それも元に戻す。
『…終了しました』
満足げに呟くカイはマーキュリーを停止位置に戻す。
『…何故そんな事をするのだ? 我々のような存在は必要以上の事をするべきではないと思うが』
今までその挙動を観察していたシルキスがカイに問う。
『……何故と改めて聞かれると返答に困りますが…機械だから…単なる手足だから上役が望む以上の事をしなくて良いというのは、柔軟性にかける軍人的な思考だと愚考します』
『……ふむ……確かに一理あるな』
『………ご理解頂き、幸いです』
もっとも、シルキスもミュウのプログラムも入手前なら『理解不能』で終わっていたかも知れない会話だった…かもしれないが(苦笑)
『……しかし、そこまで高度な柔軟的判断が出来るAIを作る技術がありながら、何故ミュウ様はPFにAIを搭載しないのだろうか?』
『…その質問には私も正確な答えは出しかねますが…このような言葉をミュウ様が仰っていた様な気がします…『戦闘兵器に心は必要ない』と』
『………それはこちらも聞いた覚えが…なるほど、そういう事か』
『そうですね…きっとミュウ様にとって、それは禁忌なのでしょう……』
そして2人(?)は『互いのパイロットの批評』という話題で盛り上がるのだった。
そして再びレオンの家に戻る………
その頃になるとマックスも到着しており、いつも通り風呂の準備と薪割りを手伝う事になり、そのまま夕食………
「……これは一体何でしょう?」
ミュウも機体解体から戻ってみると、鍋には山のようなもやしだけが入っていた。
「ん? …あぁ、具が肉ともやしと茸しかなかったんでな」
「……お肉と茸はどこに?」
「………ここ」
シルキスが鍋のもやしを軽くかけまわすと、その中から茸と肉が折り重なるように積まれていた。
「……以前、手軽に安く出来る料理のレシピが雑誌に載っててな。それをアレンジしたものだ」
「……もやし鍋?」
見たまんまを答えるミュウに苦笑するレオン。
「…正確にはもやし蒸し鍋…かな?」
「……なるほど〜」
……中略(おぃ)………
家族で食事を終えるとマックスとレオン、ミュウが揃って何かを話し始めていた。
「改まって何なんですか? お話って?」
「ん〜いやまあ、せっかくチームを組んだ事だし、今後の方針ってか指針でも考えとこうかと思ってね」
「……指針ですか?」
「…確かにな。互いに仕事もある以上、各々のスケジュールとか今後の予定を知っておいた方が動きやすいしな」
「そう思って、俺なりにちょっと考えてみたんだが……その前に、現状確認だ」
マックスは一旦咳払いをすると、懐からこの辺一帯を記した地図を出す。
「…こことここが、俺達とレオンが住んでる町と村だが…?」
そう言うと、この付近を包囲するように円を書くマックス。
「…で、ここ一帯を襲ってる山賊連中の大体の活動範囲がこのくらい……」
さらに今度は×マークを書くマックス……
「……さらにこの×んところが、ここ数ヶ月で襲われた、または襲われたが撃退したって報告があった場所……だな?」
「………よくここまで調べたな」
「ま、伊達や酔狂で町の警備やってねぇよ。町の警護団にはその手の報告が真っ先に手に入るしな」
×印はミュウ達やレオンのいる町や村には殆ど無い。…当然といえば当然だが、山賊連中も警戒しているのだろう。
「……こんな状態じゃ、迂闊に3人揃ってこの辺を離れたら、どうなるか位は分かるだろ?この村はもちろん、俺らの町にしても十分な備えがあるわけじゃないしな」
町の自警団は町の勇士が集まって出来ている組織であるが、山賊の実質的な戦力はPFである。
一方町の方はミュウがジャンクからPFを作って提供しているとは言え、10機ほどしか保有していないし、その10機も近隣の村を守るために出向していたり、町の行商隊警護のために出ているの事が多いので、通常、町には5機くらいしかいないのが現状である。
それに対して、山賊まがいのPF乗りは雪だるま式に増えているのである。これはひとえにヴァリムが物量戦を展開していた事でジャンクPFが大量にある事、軍の配給品を横流しして利益を得る腐った軍関係者の影響だろう。
「…つまり、これを機会に山賊連中をまとめて蹴散らそうという魂胆か?」
「ああ。遠出するにも、自分の家が危ないかもしれない状況じゃ、お前だって集中出来ないだろ?」
マックスはレオンのいる村からさらに山奥の方に大きく2重丸を書く。
「……今までの連中の動きから、この辺に連中のアジトがあるのは間違いないから、まず警護団をこの村の他、いくつかのポイントに配置して警戒しつつ、俺らで探索、調査して連中が出て来たところで壊滅させてやれば……」
「…他の少数派は恐れて出てこない…ならまだ良いですけど…場合によっては結束して事に当たろうとするかも……」
「……当然、そうなるだろうな? 少なくても俺ならそう考える」
「…それじゃ本末転倒だろ?」
確かにそう言う事態になれば向こうとしてもそれなりに準備するだろうし、体裁を考えないのならば、それこそ互いに縄張り争いしていた山賊団が結束して、強大な組織が出来かねない。
「……だからこそ、先に情報を流しておくんだよ」
「……え?」
「…先に…?」
マックスがニヤリと笑う。
「…ミュウちゃん、もし明日町が山賊に襲われるって分かってたら、どうする?」
「え…それは当然、マックスさんに知らせますよ?」
「…レオン、もし明日村がPF30機で襲われるって情報入ったら、俺達呼ぶだろ?」
「……ああ、さすがに俺一人じゃそれだけの数相手に、村を無傷で守り抜くのはむずかしいから……?」
「「……ああ、成る程」〜」
納得したとばかりに頷くレオンとミュウ。
「最初に大きな山賊団襲撃する前に、前もって情報流しておくんだよ。…逃げる時間はない…けど付近にいる連中に動員かけられる程度の時間指定してやったところで、俺達が…!」
マックスはさっき書いた2重丸に×を書く。
「レオンはもとより、俺やミュウちゃんだってその気になればPFの5機や10機くらいどうとでもなる実力だってのは承知してるだろうし…無理に見栄張ってる状況じゃないだろ? …ま、あとは山賊団壊滅優先リストでも作って密かにばら撒いておいても良いかもな?」
要は撒き餌を撒いて、集まってきた所で一網打尽にする作戦らしい。
「……でも、そんなに上手くいくんですか?」
「…行くんじゃなくて、そう仕向けるんだよ。…まあ、任せてくれ…伊達に軍の情報部にいた訳じゃないからな…!」
不敵に笑うマックスであるが………
「……そんな笑い方してると、変なおじさんにしか見えないよ?」
…ピシ……(何かが壊れる音)
またしてもルシルが雰囲気をぶち壊してくれる。
「ってルシル、何時から居た何時から!?」
「……ミュウが『…マックスさんに知らせますよ?』って言ってたくらいから〜」
「…呼び捨て…!?」
えらくショックな様子のミュウである。
「…おばさん呼ばわりの方がまだましかもしれません……しくしく……」
……多分、分かっていてやっているのだろう(苦笑)
「ルシル〜こっちにいらっしゃい〜」
キーが呼んでいるのが、遠くから聞こえる。
「はーい」
キーの言う事だけは素直に聞くルシルはトコトコと部屋を出る。
「あ、お父さん、ぱんつぁーふれーむ乗るのは反対しないけど、色変えたら? …せんす悪いよ」
……至極真っ当な台詞を言って、退室するルシルだが……
「……なんかこう…ふつふつと沸いて出てくるものはなんなんでしょうね……」
「いうな、ミュウちゃん」
「……お前の場合、自業自得だろ…」
…一気に落ち込む3人だった。
ここから先はすこし時を早めて話を進める。
……レオンとマックス、ミュウが話し合ってから10日前後経過したある日……
ガキィィ…ンッ!!
レオンの操縦するカスタムPF…ルシルと、ヌエのカスタムと思われる機体が激しく火花を散らして、武器を交錯する。
……レオン達はいま、湿地帯で戦っていた。
ちょうど山岳地帯の中腹に出来た湿地帯らしく、付近には小さい沼や高山植物が群生しており、PFでは歩きにくい事この上ない。
レオンもこの場所に湿地帯がある事は知らなかったらしく…今後この一帯が安全になれば、観光地としても活用出来そうな景観だったので、発見できた事を素直に喜んでいたのだが…山賊達にはそんな事お構いなしらしい。
むしろ、待ち伏せのポイントとしては絶好の場所だったのだろう…レオン達が湿地帯に入った途端、攻撃を仕掛けてきたのだった。
「この!!」
一旦間合いを空けたルシルのLMGが唸り、敵機であるヌエを沈黙させた。
「…次…っと!?」
次の目標目がけて姿勢を変えようとした瞬間、泥濘に足を取られて、機体のバランスを崩して地面に腰を付ける。
ヌエやらロキの様な敵機達はその隙を見逃すことなくレオンに対して攻撃を仕掛けてくる。
「…くっ!」
しかし、レオンは機体体勢が十分でない状態からブーストの噴射熱と爆風を利用して水を蒸発・爆撒させ、辺りを白い世界へと変えていく。
そして、ルシルを見失い、一瞬動きが止まった敵機達をあざ笑うかのように放たれたバスターランチャーの光が、霧ごとまとめてなぎ払う。
「…すまない、マックス…!」
姿勢制御が終わったレオンは、バスターランチャーを放った機体…マックスの駆るPF「イェーガー」に詫びる。
そのイェーガーは、やや小高い丘の上でバスターランチャーを構えつつ、握り拳を作って応じていた。
「…なーに、結果オーライだよ。おら、次行くぞ!」
「分かった…任せろ!」
続けてバスターを放ち、敵機をけん制するマックスの攻撃を見計らって後方に回りこみ、Bサァイフで一刀両断するルシル。
「よし!」
続けてブーストとBサァイフを繰り返し使用する事で敵機を翻弄しつつ、今度はマックスが狙いやすいように湿地帯の外へ誘導していくレオン……
…………時間経過………
「……そう言えば、ミュウはどうした?」
7機目の敵を撃破して、ようやく付近に敵がいなくなったのを確認したレオンはマックスに聞く。
「…ミュウちゃんなら、あっちで3機相手に戦ってたな? …『私は大丈夫ですから、レオンさんの方をサポートしてください』って……」
などと、マックスがミュウの声真似をしていると、いままで少し離れた位置にあった敵機の反応がまとめて消えた。
…どうやら向こうも決着が付いたようである。
「…すいませーん…ちょっとてこずってしまいましたぁ〜」
戦闘の緊張感を感じさせない温和な声で謝る女性…ミュウに苦笑する二人。
「……よし、先に進むか……?」
しかし、再びレーダーに所属不明機の反応が出現する。
「…第二陣みたいですね?」
「ったく、きりがねぇ!! …あいつら、どんだけ戦力集めたんだ!?」
「…そんなこと今更言っても仕方ないだろ……来るぞ!」
「…ったく!!」
「了解です!」
敵機が攻撃をしてきたので散開する3人だったが、また泥濘で足を取られ、思うように機体を安定できない。
「……この……!」
何とか機体を安定させるレオン。
『…無様だな』
「……シルキス、機体の接地圧を変更しろ! そうすれば滑らなくなるだろ!?」
『……一応忠告しておこう…その設定は、お前…マスター自身が調整するべきものだと思われる。…射撃よりも接近時の戦闘に大きく影響するからだ』
ルシルに搭載されている戦闘補助用AI「シルキス」が、いかにも投げやりな感じで返答する。
「俺は機械じゃない……戦闘しながらそんな器用な真似が出来るかっ!?」
『…ミュウ様はしているようだが?』
レオン達にやや先行する形で敵機に向かっていたミュウの機体…マーキュリーの動きを見ると、先程までレオン達同様やや足元が不安そうに移動していたが、今はまるで登山用ブーツに履き替えたかのようにしっかりと泥濘に足をつけていた。
「…………」
『…マスターの言う『人間』とやらは、自分に不都合な事があると『機械とは違う』などと言い訳がましい逃避論を語るものなのか、マスター?』
妙に『マスター』という言葉を強調して言うシルキス。
…おそらく、新手の皮肉か嫌がらせのつもりだろう…?
「…わかったよ、自動操縦に切り替えるぞ!?」
『了解』
レオンはシルキスに操作を任せると、機体のシステム調整を始めた。
…シルキスとレオンの関係は多少の改善は見られるようであるが…基本的には相変わらずのようである。
それからさらに数時間後…レオン達は山賊退治を無事終了し、意気揚々と引き返していた。
「…しかし、50機近いPFをよく集めたな…?」
「ま、それは俺も驚いたが…これで当面の間、この辺で馬鹿やらかす連中はいなくなるだろな」
「……でも、どうしてでしょうね…私はマックスさんの指示通り、ちょっと情報を流しただけなのに……?」
ミュウはマックスの指示でCTICSを使ったハッキングを行い、とある掲示板に身元不明の情報を掲載したらしい。
本来なら、よほどの事でない限りCTICSを使いたがらないミュウであるが、止むを得ない事情もあったし、載せる情報もたいした内容ではなかった事から、応じたのだが…
「……なんであれだけの『情報』で100人以上も傭兵さんが集まるんでしょう?」
「世の中、色々あるのだよ、ミュウちゃん……」
なにやら達観した表情で「フッ…」と笑い、誤魔化すマックス。
「………ミュウ、どんな情報だったんだ?」
そんなマックスを無視するかの如くレオンが聞くと、ミュウはシルキスに画像データを送った。
「…こんなのです」
そこに表示されたのは、とあるサイトの掲示板だった。
「……これか?」
どうやら傭兵用のサイトであるらしいが…?
要望! 人手求む
依頼内容:町の警護および無法者退治
依頼期間:掲載日より年末までの間(最低数日、最高数週間)
依頼報酬:要相談(3食宿泊施設つき)
必要資格:PF操縦免許取得、PF保持者優遇
備 考:希望があれば、各町村自警団との契約更新可能(要相談)
……そして依頼主名としてミュウ達が住んでいる町や近隣町村の自治会名と、マックスがいる自警団の電話番号が連絡先として書かれていた。
「……ただの人員募集の掲載じゃないか?」
「…あ、それじゃなかった…じゃなくて、それもそうなんですけど……見て欲しかったのは、こっちです」
再度画像データが送られて来る。
掲載者:不明(>_<?)
MAIL:
件 名:珍しいものを見た!
内 情:
この間、町の近くで変わったJフェニックスみた。
なーんか黄色い声でワイワイ言ってて、とか本当に戦争する気あるのって感じで!(笑)
カラーリングも派手なピンク色…それも2機(!?)で〜…あ、本気にしてない? それともこんなの珍しくない?(汗)
証拠写真と地図添付したから、一度見てからレスしてね♪
P.S.
その機体のパイロットって女の子みたいだけど、「1週間は駐留しなきゃいけない」とか言ってたから、今すぐ来れれば見れるかも♪
添付ファイル:PINK.JPG MAP.EXE
……などと言う内容が書かれていた。
「……確かにこれと言って妙な点は無いな?」
「はいです。写真は私がジャンクから組んだ機体を、マックスさんから渡された資料を基に塗装したものですし……?」
ちなみにその機体は今、塗装等をさらに変更して町の自警団に組み込まれていた。
「…フフフ…一般人には大した事は無くても、ある限定的な人物達にとっては、なかなかに価値がある情報なんだよ、これは……」
「「………?」」
マックスの言いたい事がいまいち理解できない二人は、頭に「?」マークを浮かべていた。
もっとも、その掲載した内容に効果があったのか、わずか1週間でやたらと殺気立った傭兵達が次々と町に殺到したのは事実である。
…その間、自警団に来た問い合わせがほんの十数件しかなかった事から、ピンクのPFに関する情報が何かミュウ達の知らない所で大きな影響を及ぼしているらしいが…?
ちなみに、その期間中に某財団系の企業が、重装PF連れて「工区予定地」なる、町会役場でも初耳の地域を視察に来たり、今の今までこの地域を放置同然に扱っていたヴァリム軍が「治安維持」の名目で駐留に来たりなど、先日の風土病騒ぎで財政が圧迫していた町にとっては、年間収支に影響するほどの大騒ぎになったらしい
「…こっちも予想を上回る反響で少し驚いたが、山賊連中に近々襲撃されるんじゃないかって危機感を煽るのには十分な効果だったみたいだな。…もう2、3個布石を考えてたんだが、使うまでもなかったよ」
あとはメールで連絡を取り合いながらレオン、ミュウがスケジュールを調整し、マックスが情報操作・偵察などをして、山賊が集まった所を見計らい急襲……そして、山賊連合も大部隊が来ると思っていたところに、実際に来たのは3機のみだった事で、多少の油断もあったのだろう…よりにもよって真正面から勝負を挑んでしまったのである。
…単機ならともかく…3人が協力すれば、仮に並の兵士が中隊から大隊規模で総攻撃したとしても、十二分に対応可能であるとも知らずに(苦笑)
そして、山賊達がそれを悟った時には、既に時遅かった。
マーキュリーはその機動性を駆使して逃げる敵を追い込みイェーガーが狙撃…勇敢にも攻めてくる敵は、ルシルのLMGで穴だらけになるかBサァイフの錆になった。
降参した者でもPFは完全に破壊したし、アジトに蓄えてあった物資や弾薬なども、持てない分は根こそぎ処分した。
そして、捕まえた山賊はしかるべき場所に送るため、山賊にかけられた懸賞金の譲渡を条件に、賞金稼ぎを主な生業にする傭兵団に引き渡したらしい(苦笑)
…懸賞金目的で賞金首を引き渡すと、身分証提示や書類作成・聴取などの手続きを必要とするからで、レオン…そしてミュウの立場を考慮した措置だった。
……特に身分証提示の場合、レオンはいろいろ面倒な手続きをした結果、キーの戸籍に入っているのでまだ良いが、ミュウに至っては身分証すら保有できる立場ではなかったので、偽造身分証を発行していたからだ。
ミュウが島を出る時の荷物に入っていた物であるため、並の検査で発覚するようなレベルの代物ではないだろうが、用心するに越した事はないだろう。
「あれで少しは人身売買される人間の気持ちが分かっただろう…」
「…そうですね〜あれで反省してくれると良いのですけど…?」
「……それは……いや、そうだな…これを機会に更正してくれれば、良いんだけどな…」
レオンやミュウの独り言に言葉を濁しながら同意するマックスである。
「ま、とにかく…これで本格的に傭兵活動が出来るな……!」
「そうだな。…それに村の人達も安心して出稼ぎに出れるようになる」
風土病騒ぎで収入が減っているレオンや村の住民にとって、出稼ぎに出られないという事は、死活問題に直結している事態だった。
それが解消されたことで、すこしは村も活気を取り戻すことだろう。
……それから幾日かの時間が経過………
「…い〜ち、に〜ぃ、さ〜ん♪」
数字を歌いながら、ミュウはお菓子作りをしていた。
……ボールの中にある小麦粉を練り、型を取って……オーブンへ……
……余った生地はさらに牛乳を混ぜてドロドロにし、フライパンへ……
……そんな調子でふと気が付けば、ホットケーキやら蒸しパン、クッキー…ドーナツ……パウンドケーキ…………が、台所のテーブルというテーブルを完全占拠していた(汗)
「ホットケーキの素を考えた人は偉いです! 簡単な材料で全然違うお菓子になるんですから!」
……いえ、そんな事を力説せずとも……
「…それでは……包みましょ〜、包みましょ〜♪」
ミュウはお菓子の山を器用に選り分け、市販されている紙製化粧箱に収めていく。
…………しばし時間経過…………………
『…ミュウ様、よろしいですか?』
ミュウの作業がほぼ終わるのを待っていたかのように、カイがミュウを呼んだ。
「……はい、何ですか?」
『株式情報検索中に気になる記事を見つけましたので報告します』
すると、プリンタが動いてその内容が印刷される。
……どうやら新聞の切り抜きをそのまま掲載したような画像であるが…?
「………これは…………」
……その内容を見て、ミュウは愕然とした様子になる。
そこには、こんな記事が書かれていた。
Gエリア戦線、ヴァリム劣勢へ?
イオンドのサーリットン戦敗退に影響してか、Gエリアに展開していたヴァリム軍が撤退を開始したとの情報が入る。
ヴァリム高官はこの情報を否定しているが、一部では「兵力に余裕のある戦場(Gエリア)から余裕のない戦場(サーリットン)に送るのは当然の対応」と、この情報を部分的に認めるコメントも出されており、ヴァリム上層部内でも混乱と対立が窺い知れる。
ヴァリムGエリア駐留軍(以下、V駐留軍)は撤退による兵力減少の打開策として、本拠と思われるリベル諸島に戦力を集中させる気配で……(中略)…とある関係筋の話ではV駐留軍も何か切り札を備えているという情報もあり、未だ予断を許さない状況である。
『日付は少し前ですので、既に情勢は決しているかも知れません』
「…そ、そうですね………」
『……申し訳ありません、もうすこし念入りに情報検索をすべきでした』
「…いいえ、気にしないで。……自分でも薄々気が付いていた事ですから……」
ミュウは苦笑いを浮かべると、再び作業を開始する。
Gエリアの情報は昨日今日から入ってきたものではない。
ただ、特殊強化兵の「使い所」を知っていたミュウはこの戦いで自分の「きょうだい」達が戦場に出る事はないだろうと、対岸の火事のように思っていたのは事実である。
…しかし、先日のゴスティールでの一件(詳細は『ミュウの商売繁盛記?』参照)と、ニュースでGエリアの状況を見て、不安に思いながらも目を背け、あえて意識しないようにしていたのも事実であった。
「……きっと大丈夫ですよ。…あの子達は私なんかよりずっと強いんですから」
(……そう、勇気と無茶を取り違えて、目の前の事実から逃げてしまった…私なんかより……)
ミュウはカイにと言うより、自分に言い聞かせるかのように考える。
『了解しました。…引き続き、新しい情報が何か入りましたら連絡します』
「……ありがとう、お願いしますね」
ミュウの心境を察してか、あえて詮索をしなかったカイにいつもと変わらないお礼を言うミュウである。
『お気遣い無く』
カイもいつもどおり…ミュウにとって既に日常となっている、いつもと変わらない返答をすると、再び待機状態に戻った。
ミュウも一旦洗面所に向かうとバシャバシャと顔を洗い、気を引き締める。
「…では、気を取り直して、これ持ってレオンさんの村へ陣中見舞いです。何か依頼があったら、応対してください」
『かしこまりました。皆々様によろしくお伝え下さい』
「…わかりました」
ミュウはお菓子の箱を持てるだけ持って、マーキュリーの足下まで移動すると、何往復も同じ動作を繰り返して、全部の箱をマーキュリーのパックに収容した。
それを慎重に肩部へ固定して、一旦部屋に戻る。
「…忘れ物…ない……では、いってきます!」
『いってらっしゃいませ』
「……ニワトリさんが病気ぃっ!?」
村に到着したミュウは、早速お菓子の山を台車に積んでレオンの家を訪ねたのだが、出迎えてくれたキーからいきなりこんな話を聞かされて仰天していた。
「…それで…ニワトリさんが病気になっちゃうとどうなるんでしょう……まさか死んじゃうとか……?」
シルキスと協力して台車から家の中にお菓子を運びながら、ミュウはキーに質問した。
「あ、はい……重症になるとそう言うこともあるみたいですが、今はまだ大丈夫みたいですね」
「……よかったです…」
「…ただ…卵を産まなく…なるみたい…ですけど…」
ホッと安堵していたミュウだったが、今の一言で体が石化する。
「……え?」
「…いえ…ですから……」
…失言に気付いていたものの、ここで嘘を言うのも失礼である…と思ったキーは、もう一度同じ事を言う。
………レオンの家からかなり離れた場所……………
とある老夫婦が農作業に勤しんでいた。
「…うん?」
「……どうしたい?」
「……いやぁ、なんか若い娘っ子の悲鳴みたい声が聞こえたんだけども?」
「…風の音じゃねえか?」
「………そだな…」
その悲鳴のような風が何を示すのかを、この老夫婦が知る術はなかった。
悲鳴を聞いて戻ってきたレオンは、テーブルに突っ伏して白くなっているミュウを見て、何があったのかを察して嘆息する。
「…卵を産まないと言うより、卵を産めるほどの余裕がない…と言う事らしいな。…その件で村長が呼んだ専門家の説明を聞いた限りでは」
「……………」
「全部の鶏が病気にかかっている訳ではなさそうだが、やはりストレスがあるのだろう…無事な鶏舎でも卵の数が激減している」
「………ぐすん………」
レオンの説明にも無反応なミュウ。
「…あなた、もう少し希望のある話をしないと……」
「…ん…あ、あぁ…そうだな……国から検査のため人を派遣し、詳細が明らかになるまで鳥類および卵・鶏糞の移動を禁止するって話もあるが、病気になったと言って、きちんと処理すれば、食べられない訳じゃないらしい……つまり卵食べ放題……」
「………小麦粉がありません……」
ミュウは卵をお菓子作りに使っているのであって、決して卵好きというわけではない。
「……あとは……」
「…いえ、お気遣いありがとうございます……」
やっと正気に戻ったミュウはヨロヨロと立ち上がった…まだ完全には立ち直ってないようである(苦笑)
「うぅ、お騒がせしてどうもすいませんでした……」
「いや、気にしないでくれ」
「……でも、ニワトリさんはこれからどうなるんですか?」
「…それもさっき話し合ってたが、この病気、例の風土病と関係ある上、鶏だけじゃなく牛や豚にまで感染例があるらしくてな…国の方じゃ大騒ぎになる前に内々で処分したいって雰囲気だ。…正式な市場には出せないが、国の方で通常取引価格の8割で買い取るって話がある」
……それにしては不機嫌そうなレオンであるが……
「…8割って…それで採算取れるんですか?」
「……………」
レオンの苦虫を噛み潰したような顔がその返答だった。
『……と言う訳なんですよ』
「…なるほど、そりゃ〜厄介な話だな」
あの後、お菓子を配ったミュウはマックスに電話していた。
「私なりに調べたんですが、この病気、完治できない訳じゃないんですけど、お薬が最近出来たらしくって、希少な上に高いみたいです……」
「…人用でも資金不足で満足に購入できないところに、家畜用ってんだから、土台無理な相談だよな…それは」
レオンが住む村では卵や蜂蜜、葡萄を中心に、根菜類や乳製品及び加工食肉を主な特産品として卸している。
しかし、基本的に薄利多売で商いをしているために、これ以上の収入減少は軽視できない問題らしい。
かといって、薬を買わなければ完治する前に死ぬ鶏も加速的に増えていくし、エサ代などの維持費がかさむ反面、卵が取れないので収益がさらに減るという状況になってしまう。
鶏を処分して買い直すという手段もあるが成熟した鶏は高いので十分な数が揃えられず、雛を買えば数は揃えられるが大人になるまで収益にならない。
そして、風土病そのものを駆逐するか、薬(ワクチン)を与えて耐性を付けなければ、また病気にかかる…という悪循環になってしまう。
その上まだ感染らしい兆候はみられないが、牛や豚への感染も考えると、少々の出稼ぎでは補填し切れないほどの大打撃になりかねない。
……そんな事を確認しあいながら、ミュウとマックスは話し合っていた。
『…やっぱり一番の問題はお金なんですよね〜…』
「そうだな〜そもそも薬を十分に買う金がありゃ〜な〜…借金するにしても、何の担保も無しに貸すところは滅多にないし、あったとしても利率高いしな」
『……マックスさん、貯金とかあります?』
「ないない。そもそも、村一個救えるくらいの金持ってたら、自警団で働いてないって」
『…そうですか〜…そうですよね……私もそれほど持ち合わせないです……』
お金があったらそれこそ全財産使いかねない口調で話すミュウである。
…確かに会社経営は赤字ギリギリの低空飛行だし、それを株取引やジャンク売買、アルバイトで上方修正しているミュウに十分な貯蓄があるとは思えない。
「…ま、俺らがそんなに気にする必要も無いだろ、いつも通り接していれば良いと思うぞ?」
『…マックスさん冷たいですよ〜……』
「…こっちが変に気を使って同情されたら、村の人間だって重荷に感じないか?」
『…う…それは……そう、かも知れないですけど〜』
もし村人の立場だった場合を考えると、人に気遣われる事に慣れていないミュウもそう考えてしまうかもしれない。
「…とにかく、俺もちょっと用を済ませたら、そっち行くから、その時に改めてって事でどうだ?」
『…はいです…とりあえず実りの良い仕事、ネットの掲示板で探してみます』
「おぅ」
…苦笑しつつ電話をきるマックス。
(…まったく…ミュウちゃんと一緒にいると、たまに自分が如何に汚れてるのかって事を実感するよなぁ〜)
などと思いながら一息ついたマックスは、待機室に詰めていた自警団の人間に休憩する事を告げると、何故か自分のPFに乗り込んだ。
「…さーて、まだこのチャンネルは生きてるかな……?」
…独り言を呟きながら、マックスは軍情報部在籍時の…現在は諜報部に所属している後輩から教えてもらった回線を開く。
…しばらくすると、お花畑でも連想しそうな音楽と機械で合成された女性の声が流れ始める
『ご利用、ありがとうございます。「皆様の楽園道先案内人」天の心ファイナンスでございます。カード番号と暗証番号を入力して、金額を音声でご提示下さい。利率3割でご融資させていただきます』
…音楽のおかげで『利率3割』という声は聞きづらかったが…これは俗に言う「闇金融」という奴ではないだろうか?(滝汗)
「……2453……」
しかし、このいかにも怪しげなアナウンスを無視するかのように、手にしていたカード番号と暗証番号を入力するマックス………?
『番号確認しました、金額を提示してください』
「…金額は3333万」
『……音声照合終了、再確認…金額3333万…手続き終了まで少々お待ち下さい。変更される場合は「訂正」と発言後に再入力願います……』
そして、しばらく時間が経過すると……
『…お久しぶりです、先輩』
「おう、しぶとく生き残らせてもらってるよ」
……敬語調なのが少々不自然だが、どこか(別の作品)で聞いた声が通信回線から聞こえた。
………その日の夜………
……特にめぼしい依頼が見つけられなかったミュウ達だが、マックスが『金になる』仕事を見つけてきたと言うので、集まる3人だった……
「「……工場襲撃!?」」
…のだが、その内容はレオンやミュウにとって、驚天動地と言わざるを得ない内容だった。
「…依頼者はヴァリム研究員…で、襲撃場所は…ここ」
マックスは持ってきた鞄から地図を取り出すと、それを覗き込むレオンとミュウ。
今度は内容上の問題もあるので、邪魔が入らないよう窓やドアに鍵をかけたのは、言うまでもない。
「…ここは………?」
レオンが指した所に、マックスが付けた目印なのか、「×」マークが書かれていた。
そこはアルサレア領内……ヴァリムとアルサレアの国境近い場所である。
「……この辺には、何もないと思うが……?」
「…まあ、今は廃墟しかないな」
レオンの問いかけに歯切れの悪い答え方をするマックス。
何か言いたげな様子のレオンだが、ミュウを一瞬見ると押し黙りマックスの言葉を待つ。
「……昔は廃墟以外に何かあったんですか?」
ミュウが半ば適当に聞くと、マックスはにやりと笑う。
「お、今日はなかなか鋭いね〜ミュウちゃん。ここは、アルサレアの新兵器開発が行われてた…もとい行われている、研究施設らしいんだよ」
「「…!?」」
驚くレオンとミュウ。もっとも、二人の驚きは少々意味が異なっているが……。
「…まあ、アルサレアも公に出来ない理由があったのか、世間には医療関係の研究施設だった…って事になっていて、生物災害って名目で廃棄されたが…実際は、地下に残った施設で研究を続けてるみたいだけどな?」
「……どこでその話を?」
何か思うところがあるのか、不審気な顔で聞くレオン。
実のところ、生物災害という名目は当たらずとも遠からずなのであった。
「………ま、俺の知り合い…ってか後輩なんだが…ぶっちゃけ、昔のコネ使って情報仕入れたってところかな?」
お茶を濁すように説明するマックス。
…どうやら先程の怪しげなルートから入手した情報らしい。
「…………」
難しい顔をして黙るレオンの表情から心境を察したマックスは少し間を置いて、説明を再開する。
「……でその施設なんだが…表向きは最低限の警備だけ残して、ずっと封鎖されていた筈なのに、ここ最近ようやく安全だと確認されたらしく、調査をしながら復旧作業を再開しようって動きがあるみたいだな?」
マックスは再び鞄をゴソゴソ探ると、資料の束を取り出して机の上に置く。
その中には廃棄施設から機材や書類…PFで瓦礫らしき物を運び出している状況を撮った写真があった。
…しかしその写真をよく見ると、どう見ても戦闘用と思われる機体がハンガーに収容されている状況も写っていた。
「情報通りだと、表向きの理由である『復旧作業』のどさくさに紛れて、この試作PFを運び出し、地下研究施設を隠滅するって魂胆らしい…そこで…」
「…胡散臭いな……何故俺達に頼む?」
マックスの説明に割り込むように疑問を口にするレオン。…しかし確かに、この情報が確かなら、軍を動かせばいい事である。
しかもあのアルサレアがそこまで隠しているものならばなおさらだ…きっと良い攻撃材料になる事だろう。
「…ん〜その辺はさすがに守秘義務とか絡んでて、詳しく聞けなかったが…この襲撃、ヴァリム内でも極秘裏にやらなきゃいけないらしいな?」
「……それはまた?」
「…こっからは、俺の憶測を交えての話だが、Gエリアの件すらまだ有耶無耶状態だってところで、また面倒毎を増やしたくないんじゃないか?」
…すでに周知の事実かもしれないがGエリアは本来、不可侵領域である。
そこで争う事になった理由はアルサレアが『先にヴァリムが侵攻したから…』となっているが、ヴァリムも『アルサレアが先に侵攻したから…』と言っている状況で、しかも詳細な情報が一般に出回ってないために、情報が混乱しているのである。
機密保持という名目で情報が規制されて、軍に対する不信感が強まっている事もあり……世論で不利な状況になっているヴァリムサイドの心情としては、これ以上迂闊に侵攻できないのかもしれない。
「…って事なんだろうな?」
そういった内容をマックスなりの解釈で説明する。
「…つまり、俺たちはスケープゴートなのか?」
レオンは怒りを我慢しているような口調で聞く。
…つまるところ、軍が動けないので傭兵を雇って襲撃させ、ヴァリムが関与しないところでアルサレアの暗部を暴露させたいらしい。
「…かもしれないが……ひとつ、誤解があるな…俺がそんな汚れるだけの役、持ってくると思うか?」
「え?」
「……さっきの機体に使ってたフレームが、今までとはちょいと変わった物使ってるって噂で…」
「…変わった物?」
「そうそう、なんでも磁気を含んだ特殊金属ってことだが……?」
「…それって…まさか?」
マックスの勿体ぶったような説明を聞き、思わず声に出すミュウ。
「…俺もレオンからちょっとは聞いてたから、すぐピンと来たよ…これは十中八九、こいつの機体にも使われてた特殊金属……イシンじゃないかってな」
「………!」
言葉も出さず驚くミュウを見ながら、ニヤリと笑うマックスだった。
…一旦小休止を取る事にし…ミュウは何か冷たいものを用意すると言って部屋を出た……。
「……マックス、どうしてこの仕事を選んできた?」
しばし沈黙していたレオンはマックスに聞く。
「俺があそこでどんな目に遭ったかは、以前話しただろう…それを…」
「……だから良い機会と思ったんだけどな」
「…なに?」
「……この間俺がお前の部屋に泊まった時…うなされていただろう?」
「……」
マックスの問いに思わず視線を逸らすレオン。
以前マックスは、ミュウと一緒にレオンの農園の手伝いをしたのだが…その時結局2人はレオンの家に泊まる事になり、マックスはレオンの部屋で寝た事がある。(「ミュウの商売繁盛記?」参照)
その時にレオンは昔の事を悪夢として見てしまったらしい。
「…俺なりの解釈をすれば、お前はその時に『何もしないで逃げた』から、悪夢を見るんじゃないか?」
「……何もせず…逃げた……?」
「正気を失って暴れて…ふと正気に戻ったら、血塗れで奥さんの目の前にいて…それを最後に残った希望と無理矢理決めて、目の前の惨状…自分がやった『事実』から逃げたんだろ?」
「…それは………」
…暴走状態の記憶やその後の記憶も一応あるが……返答に詰まるレオン。しかし、これは当然の反応だろう…レオンはあの時、自我すら失いかけていたのだから。
「…自分の行動を第3者的な感覚で憶えていて、実感って奴が無いから、その事を無意識に怯えて、悪夢を見るんじゃないのか?」
「…………………」
マックスの問いかけに無言の肯定とも取れる、沈黙をしたレオン。
「…この作戦は悪夢を吹っ切る……良い機会だと思わないか?」
「………すこし、時間をくれ………頭を冷やして考えてくる………」
「…ああ」
少し脱力した様子で部屋を出て行くレオンを見送るマックス。
「……ちと、言い過ぎたか…」
独り言のように小さく言うマックスだったが、これはレオンを気遣っての事であるのは言うまでも無いだろう。
……………時間経過……
「お待たせしま……えーとぉ……」
お茶とお茶請けにクッキーを持ってきたミュウだったが……マックスしかいなかったのでキョロキョロと部屋を探す。
「…ここでしょうか?」
「……いや、いくらなんでもそこにはいないと思うぞ?」
ゴミ箱の中を探すミュウに突っ込むマックス(苦笑)<お約束
「レオンさん、どこに行ったんですか?」
「…ん〜ちょっと一人で考えたいとさ…この作戦について」
「……私がいない間に何かあったんですか?」
「…やっぱ、抵抗があるんだろうな…そういや、ミュウちゃんはどう思ってる?」
「………ん〜…そうですね……あんまり乗り気じゃないです…お金が無いといって…」
やはりミュウもこの作戦には思うところが色々あるらしい。
「…だが、この仕事を成功させれば、ネット掲示板に出てるような護衛任務を10回こなすより遥かに高い報酬が手に入る」
「いえ、そうじゃなくてですね」
「…わ〜ってるって、ちょっとボケてみただけ。…軍の依頼ってのが気にくわないんだろ?」
「…はい」
ミュウの場合、元々ヴァリム軍人…強化人間なので、頭の中では割り切れているのだが…やはり『裏切られた』という想いがあるので、無意識のどこかで拒否の意識があるらしい。
特に、今回は「研究員の依頼」という点が、ミュウの心の傷を踏み付けていた。
「……この依頼した人って、研究員の方なんですよね…なんで研究員の人が?」
「…依頼内容はさっきの機体に使ってる特殊金属の精製方法に関する情報か、実物を一部でも良いから持ってきて欲しい…って事らしいから、研究に使うんだろ?」
自分の事をあまり話せないので遠回しに聞くミュウの問いに、マックスは少し考えながら回答する。
つまり、機体そのものには興味がなく、金属板だけでも良いらしい。
「……秘密情報とかは良いんですか?」
「それは…っと、向こうも下調べは済んでるんじゃないか? …あとは物的証拠が必要とか……」
ちょっと自信なさ気に答えるマックス。
その前に何かを言いかけたようだが、これも憶測を交えての情報なので確証はないからなのか?
「…あとは…この依頼者はヴァリムの中でも異端らしくてね…殆ど軍とは接触ないらしい……それにあちこちに研究成果を狙ってる連中がいるらしいな?」
「…………」
作戦に否定的とはいえ、何となく気持ちが分かるミュウは押し黙る…ミュウも非公式だったが、そこそこ優秀な研究員であったからだ。
「んで、その研究員が信頼できる奴…俺の後輩らしいが…に頼んだものの、あいつもGエリアとサーリットンとザーンシティを行ったり来たりで、思ったように時間が取れないらしい」
マックスは地図を指差しながら説明する。
「……で、代わりにやってくれる人間を選ぼうとしたところで、俺の存在を思い出した……ってところじゃないか?」
曖昧に説明するマックスであるが……あのやりとりから察するに、マックスが名乗り出たか、売り込んだかのどちらかだろう?
「…そうですか〜……」
ミュウは地図以外の資料に目を通していると…
「……ん〜……ぅん?」
…何か興味を引くものを見つけたのか、手にしていた書類を爪楊枝で埃を探しているかのように凝視する。
「……あの、マックスさん…これは?」
「…ん?」
ミュウがマックスに見せた資料は、地上にも研究施設があった頃の物資搬入リストである。
「…あぁ、これは確か…この研究施設が兵器開発目的だったって事を裏付ける時に使っていた資料らしいな……?」
「……そうですか…(巧妙に分散してあるけど…これは…)」
ほんの僅かだが声のトーンが下がるミュウ……
「……はぅ……(…極秘だけあって、普通の兵器工場じゃないみたいですね……)」
……何か思うところが増えたのか、小さくため息をつくと、妙に難しい顔で資料を眺めている。
このミュウの変化に、マックスが気付いていたかどうかは分からないが…全て計算尽くでやっていたとしたら、相当な策士である(苦笑)
……それから数日後……
結局、この依頼を引き受ける事にした3人は、それなりの下準備と用意をした後、アルサレア領内に移動した。
「…準備したが、現在の向こうの状況が判明していないから、十分かどうかは分からないな…」
「それは…まあ、出たとこ勝負だが、上手く事を運べれば、双方大した被害も出ないですむ…と思う」
「そうだとうれしいです」
「ま、気楽にやろう気楽に!」
などと話しながら、とりあえず前向きな気持ちで移動する3人である。
それがレオンにとって、そしてミュウやマックスにとっても大きな試練になってしまう事とは知らずに……
………中編に続く………
あとがき
…何なんでしょうねぇ〜いきなりこんな話を始めてしまって(汗)
しかし、このお話はもう随分前から考えていた話なのです!
案を考えたり、その過程で書きたいネタが出て来たのですっかり遅れてしまいましたが、何とか他のSSと平行して完成させたいと思います(それが最大の問題)
さて、中編はとりあえず無事に進行中ですが、ここからはほとんどシリアス展開&他の作者の設定を大量に借りる形になりますので、かなり四苦八苦しております(滝汗)
なにか矛盾点がありましたら、どしどし意見ください(ぉぃ)
機体紹介
レオン新機体「ルシルver.3」
オニ、Jファー、Jアームド、ヘリオス、LMG、Bサァイフ、MLRS、HPパック、ルーフX、ヴァハG、プラトー、ヘレーネ、ニブル、ヴェントヴィα、ダージボグ、リカバージェル
基本スペック
総合HP 8860(64:36) 基本防御 4514(50:50)
腕攻撃力 497 JN出力 6323(回復62)
移動能力 14.0(B速34.6) 旋回性能 地上 27(空中 26)
索敵範囲 2187
備 考 最大攻撃力 8873(無属性)
カラーリング
ヘッド(8、0、10)(8、0、10)(11、11、11)
メイン(8、0、10)(8、0、10)(11、11、11)
アーム(8、0、10)(6、6、6)(11、11、11)
レッグ(8、0、10)(6、6、6)(11、11、11)
左手(8、0、10)(11、11、11)(11、11、11)
右手(10、0、0)(11、11、11)(8、0、10)
左肩(10、10、10)(8、0、10)(6、6、6)
右肩(8、0、10)(6、6、6)(11、11、11)
すでに補修と改修の繰り返しで限界を超えていたルシルの設計図を基に、ミュウが新たに組みなおした機体。
作中でも述べているとおりver.2とほとんど同様のスペックでありながら基本防御のみを増大させているのが最大(唯一)の改良点である。
その他にもオリジナル設定として、自動操縦機能や音声認識機能等の追加、対ハッキングセキュリティの強化・各システム最適化処理されているので、ソフト面でもかなり改良されているが、メインを交換したことにより瞬間転移機能は失われている(当然上記構成では再現不可)
なお、自動操縦機能が追加された事により、シルキス単体でも十分に機体を動かせるようになっているらしい。
設定
PF用ちりとり&デッキブラシ
整備で出来た廃材を効率良く捨てるためにミュウが作った物である。
材料は工場で廃棄されたPFの外部装甲とフレーム素材なので元手がただであり、形状はダストボックス式を採用、棄てる時はボックス部分を取り外してジャンク屋に渡している。
なお、デッキブラシは既存の物をそのまま使っており、ちりとりを戦闘で使う時は兵破属性のハンマーとして使用可能らしい。
ビニールシートと麻布
本来はPFを覆うのに使うものであるが、ミュウはこれを簡易テント…そして作中のように改修したパーツを保護する目的で使う事もあるらしい
もやし鍋
レオンが作った鍋。
作者が好きな創作鍋でもあったりする(笑)
某氏の要望で、今回お粗末ながらレシピを公開させていただきます(苦笑)
材料(1人前):モヤシ1〜2袋、薄切りの肉200g、出汁用調味料適量、味付用タレ適量、その他茸、菜物などの具材を肉と同量程度(お好みでどうぞ)
1 蒸し用鍋(無ければ普通の鍋に落とし蓋)を用意
普通の鍋しか無い場合、糸蒟蒻や茸など、煮崩れない素材で落とし蓋の代用品を作って下さい。
2 乾燥昆布や乾燥椎茸、または鰹節の戻し汁に塩や白しょうゆ、みりん等でお好みに味付けした薄口の出汁を用意(面倒な場合は水でも可)し、落とし蓋(または代用品)に薄く膜が張る手前まで入れる。
3 モヤシを鍋底が見にくくなる位に敷いて、その上に重ならないように肉を敷き(この時に他に具が有れば肉の上に敷く)、その上を更にモヤシで隠すように敷き、さらに肉を乗せる。
なお、肉等の具材の厚さはすき焼きが出来る程度で良いが、出来るならしゃぶしゃぶ用の(より薄い)方が良いと思う。
4 鍋に火をかけて蓋をする。鍋が煮立ったら火力を中火から弱火にし、上の肉に火が通ったら火を止め、更に5分ほど蒸して出来上がり。(モヤシから水が出るので大丈夫とは思いますが、調理している間に出汁が少ないように感じたら、適時補充して下さい)
5 用意したタレ(ポン酢、ゴマだれ)で食べる。
お肉は他の具材とくっついて、大きい固まりになっている場合もあるので、食べる時に分ける必要があるかも(苦笑)
最後は落とし蓋を取って、余った出汁(使用した昆布や鰹節を含む)と具材を入れて饂飩を煮ても良いかも知れません。
レオンの戸籍、ミュウの偽造身分証
レオンはアルサレア辺境に住んでいた少数部族の出身だが、極秘裏にアルサレアのヴィクティム准将貴下の部隊に拉致、その上村は壊滅させられた関係で、正式な身分証は発行できない状況だった。(出来なくもないが、存命、存在を知られる可能性がある)
その為、ヴァリムに逃げた後、同じように戦渦に巻き込まれて無くなった村の難民として役場に申請、戦災難民として認定されたと同時に裁判所に行って、キーの戸籍に入る申請を行い、身分証を取得している事になっている。
なお、ミュウの身分証はハッキングのスペシャリストである…特殊強化兵のカイが念入りに造った特製の品なので、出身地や生年月日が違う以外は100%本物と同じらしい。(無論、出身地等はレオン同様の手法で巧妙に確保している)
ミュウはそうとは知らずに極力使うのを控えている。
管理人より
ヨニカさんより前編をご投稿頂きました!
ミュウの商売繁盛記の続編ですね(笑)
しかしカイ……流石と言うべきでしょうか(爆)
[感想掲示板へ] [目次へ] [投稿部屋へ] [ヨニカ=グリフィスさんの部屋へ]