それはシータ達とリサが会ってから3日後の事である。
相変わらずシータ達は訓練という名目の身体能力測定を行っていた。
そして丁度その頃、室内演習場に隣接する研究所に数機のPFが運び込まれていた。
「…これが試作機と改修機? ……とりあえず別々に搬入してちょうだい」
女性研究員の指示で、それぞれの機体が格納庫へ収容されていく。
そこに、一人の男性…特にこれといった特徴のない…どこにでもいる青年のような容貌の男が歩いてくる。
「どーも、あなたがこちらの責任者ですか?」
「…そういう貴方は?」
「あ、失礼しました。私、こういう者です」
男は名刺と紹介状らしき物を女性に手渡す。
「……ああ、あなたがそうなの? 初めまして…と言っても、今までの研究資料と成果は見させて貰っていましたので、初めてという気はしませんけど」
「…ははは…恐縮です」
「…で、どうします? せっかくですから、実際に動く所を…ご覧になりますか?」
丁寧な口調で聞いてはいるが、言葉の端々に探るような意図が感じられるのは、気のせいだろうか?
「いえいえ、私がここにいる事すら、本来はあり得ないはずですしね。調整の終わった機体搬入を終えたら、早々に引き上げますよ」
などと言いつつ、男は懐から書類をだす。
「整備作業明細と、領収書です。…よろしければ、私の携帯番号も教えときましょうか? お茶くらいならいつでも付き合いますよ?」
「いえ、結構です」
女性の方は男の冗談(?)を軽く流すと、書類に確認サインをする。
「…たしかに。…では、これで失礼します……」
男は業務用のような笑顔で待たせてあった車に乗り込み、そのまま出ていった。
女性研究員の方もそれを見送るまでは無表情であったが、しばらくするとフッと苦笑する。
「…参謀長お抱えの…ね。類は友を呼ぶとは、よく言ったものだわ」
…自覚がない一言だと思うのは、おそらく私だけではないだろう。
それはともかくとしても、シータ達の訓練…実験は新たな段階を迎えた
という事なのだろうか………?
そのシータは、研究所の自室で端末とにらめっこしていた。
「……うーん…これもちがうなぁ…」
画面にはパスワード要求画面らしきものが表示されている。
「…『ホットケーキ』…これでどうかな?」
…画面には警告音とともに『パスワードが違います』と出るだけであった。
「むう、これもだめかぁ……」
意気消沈して肩から力を抜くシータ。
コンコン…
「…シータいるか?」
「オマイクロン? どうぞ〜」
オマイクロンが二人分のコーヒーを持って入ってくる。
「ほらよ、のど渇いてるだろ?」
「…ありがと」
ほほがやや赤くなっているのは、疲れているからだけではないだろう。
「……で、どうだ? データディスクの解析は?」
「…ダメ、たぶん…日記か何かだと思うけど、ファイルのパスワードがわかんない。接触した全ての端末に管理者権限でアクセスできる、『CTICS(サーキット・トゥ・インプラントターミナル・コンバイン・システム)』があれば何とかできるんだけど…こんな最低限の機能しかない端末じゃ…」
ため息をつくシータ。
そのデータディスクとは、オマイクロンのバックの中に紛れていた、ミュウのものと思われるデータディスクである。
…オマイクロン自身に入れた覚えは無いのだから、誰かが紛れ込ませていたものと思われるが……?
「…あの時いたのはお前とパイ…シン…そしてカイか…」
「…パイは論外…カイはそんな事するような性格じゃないし…となると消去法でシン?」
「しかし、シンとミュウ姉じゃ接点が無いぞ? …パイじゃないのか?」
「…パイねぇ…そういえばパイってば、今何してるんだろ?」
「……どうせろくなことしてないと思うけどな」
「………確かに」
「…あの時も、結構暴れてたらしいからなぁ………」
そのパイは今、シータたちの予想(?)どおり、作戦中だった。
「…ハックシュッ!! …う〜……」
「……風邪か?」
「……誰かが噂してるみたいなの〜」
「…体調管理位しておけ」
ここはヴァリム領内のとある地方都市にある基地である。
今ここは『戦場』になっていた。
もっとも、ヴァリム正規軍の相手はアルサレアでもミラムーンでも無く、反戦を訴える反戦グループとの些細な諍い…そう、本来ならPFを使用するまでもない、本当に些細な揉め事程度で終わるものだったはずである。
…そこにパイ達が特命を受けて介入しなければ……
「…さて、予定時間まで15分を切ったな。そろそろ遊びはやめるか」
「ふふふ、楽しかったな〜」
サイレンサーを付けた銃を片手に、女の子…パイと男が基地の廊下を歩く。
その進路を邪魔するように人の形をした物が転がっているが、それを踏み越えて進む。
『こちら14番、16番へ、そちらの首尾は?』
パイの頭に直接通信回線が入ってくる。
『あ、クシー? うん、問題ない…』
「…こ…この、悪魔めぇ……」
パイに倒されたと思われる男兵士がうめき声を上げる
パシュパシュ!!
『…どうした?』
『何でもない。ちょっとゴミが邪魔だっただけ〜』
『そうか、あとここでは『クシー』と呼ぶな、16番』
『…別にいいじゃん、あたし達以外は誰も聞いてないんだし〜』
『……無駄話はそのくらいにしておけ。そちらはどうだ14番?』
『…ああ、こちらも順調だ。10分もあれば鎮圧できるだろう』
『……5分で出来るか?』
『…了解、21番』
とんでもない事をサラッと言う21番と呼ばれた男にこれまたあっさりと了解する14番…クシーと呼ばれた男だった。
「ねえねえ〜ファイ〜? スコアはいくつだった〜?」
「パイ…お前はいちいちつぶした虫の数を数えるのか?」
「きゃはは、そうだよね〜面倒くさいもんね。あたしも20までは数えたんだけどね〜」
……恐ろしく怖い事をまるでゲームのスコアを競うかのように話している。
もっとも、本人達はその程度の認識しかないのだろうが。
『こちら22番、基地中枢のシステムは全て押さえた。そちらに侵入路データを送る』
『『了解』〜』
再び頭に直接聞こえてくる声と同時にこの基地の地図らしきものが頭の中に描かれる。
「…こっちだな」
その頭に描かれた地図に従って歩く二人。
しばらく歩くと、さらにもう一人が合流した。
「やっほ〜、ラン〜」
「こら、名前で呼ぶなって言ってるでしょうが!? さっきの『会話』聞いてたゾ!?」
見た目二十歳前の女の子…ランが十二歳前にしか見えない女の子…パイを叩く。
「いいじゃない、どうせみんな壊しちゃうんでしょ〜?」
「…それはそうだが…っと、言ってるそばから…」
廊下を曲がろうとした男…ファイの視線の先には机と椅子で作ったバリケードらしき物があった。
パイが懐から手鏡を出して様子を窺う。
『……動体反応あり。…5人ほどがいるみたい〜…あたしがやるぅ〜?』
『…ここは無難にあたいと21番でやっちゃいましょう!』
そう『会話』すると、ランと呼ばれた女の子が何気なく壁に手を当てる。
(……アクセス。擬似緊急信号送信)
その言葉に呼応するようにバリケード付近のスプリンクラーから消火用の水と無酸素ガスが放出される。
そして案の定、その場に隠れていた兵士達が騒ぎ出し、頭を抱えて逃げ出し始めた。
「……クク…」
パシュパシュパシュパシュ!!
それを歪んだ笑顔で銃だけ出して狙いつつ、しかも正確に倒していくファイ。
そして射撃中であるのにもかかわらず、ダッシュで移動するパイ。
その場に唯一留まっていた兵士はすかさずバリケードの隙間から攻撃しようとしたが…
「キャハ!」
嬉しそうに叫んだパイは、まるで足に吸盤でも付いているかのように壁を走りながらジャンプし…まるで蝙蝠のように天井に足を付け、一気に兵士の真上に移動する。
「…な!?」
慌てて上を見た兵士であったが、その瞬間に蹴り飛ばされていた。
「お師匠(おっしょー)様直伝、壁走りアーンド、天井三角蹴り〜! …あ、蹴った技は『独楽蹴り』って言うんだよ〜♪」
本当に嬉しそうに叫びつつ、兵士の上に乗るように踏みつけるパイだった。
「……グ……」
「……でも、本当に楽しいのはこれから〜♪」
年相応の笑顔で言いつつ、男が手にしているサブマシンガンを奪い取って、男の顔に向ける。
「バイバイ♪」
ガガガガガッ!!!
すさまじい轟音を鳴らし、サブマシンガンは自らの持ち主の命を奪った。
「…フフフフフ…キャハハハッ! …赤い色ってホント、綺麗〜…」
「……『無邪気な狂戦士』ね……たしかに、その通りだネ」
「まったく、ああいうのは敵に回したく無いな」
ファイとランは何人どころか何十人とも思えるような返り血を浴びて、服や手を真紅に染めているパイを見ながら、まるで自覚がない…他人事のように苦笑しながら嘆息するのだった。
……およそ4分経過……
『…こちら14番。22番へ、こちらは制圧を完了した』
『…22番、了解。…さすがだな5分どころか4分で完了させるとは』
『……別に、たいしたことじゃない。ちょっと仕事を荒くしただけだ』
『そうか。生存者はいるか?』
『…現在検索中だが…Εの機体に搭載した生体センサーが不良でなければ俺ら以外はいないだろう』
『了解した。一応周囲を再検索した後、Aプランで頼む』
『…了解』
22番と呼ばれている男…カイは、そのまま基地を襲撃しているファイ達に連絡を入れた。
『22番から…21番、そちらはどうだ?』
『…こちらもほぼ制圧した』
その21番…ファイ達は先ほどの言葉どおり、司令部を完全に制圧していた。
もっとも、『制圧』という表現より『蹂躙』という表現の方が相応しい様相になっていたが……。
ここに詰めていた兵士達のほとんどは事切れて、机やモニターを血で赤黒く染め上げており、この場で生きているのはファイ達とこの基地の司令官らしき人物だけだった。
「……き、貴様等…ヴァリムの兵士だろう…こんな事をしてただで済むと……!」
「………おっさん、五月蝿いヨ!」
司令官を捕まえていたランは、手にしていたナイフを司令官の肩に突き刺す。
「ギャッ!?」
短めの悲鳴を上げて、司令官は地面に倒れる。
「…安心しろ、お前らがやるはずだった反戦グループ…いや、『テロリスト』の鎮圧はすでにこちらで終わらせた。…お前らが考えていた方法とは少々違うやり方でな」
「……ガガ…グウ……!」
ファイの呼びかけに答えるような余裕は無いらしい。
「…あたし達は〜フォルセアおねーさんの命令で動いてるの、穏健派の司令官さ〜ん?」
「……ググ…神佐…そうか、貴様らぁ……!」
司令官は憎らしげな視線を正面にいたパイに投げかける。
「ふふふ、良いねぇ〜その顔……ワクワクしちゃう〜…その顔を赤い色と絶望に染め上げるのが楽しみ〜☆」
「生憎だが16番、そんな暇は無いぞ? この基地は爆破するからな」
「え〜…そうなの〜?」
本当に残念そうにするパイに呆れたような顔をする二人。
「…作戦書、ちゃんと見てなかったの?」
「……忘れちゃったよそんなの〜…すぐに燃やしちゃったし〜」
「…まったく…もっとも、おまえにそこまで期待はしてないけどな」
「なによそれ、あたしだって活躍したじゃない〜!」
「おまえは感情にムラがあり過ぎる。だから単独行動を許されないんだ」
「ぶ〜…!」
ふてくされるパイを冷笑しながら、ファイは基地の端末を操作する。
「…よし、自爆コード入力完了…10分後にセットした」
「「早すぎない?」〜?」
「……おまえらなら町から出る事を考慮しても5分あれば充分だろう?」
「もう、せっかく金品でも漁ろうかって思ってたのに…」
「あたしも、この人で遊びたかった〜!」
「……貴様等正気か…この基地には民間人も…!」
司令官の言葉に、ニヤリと冷笑するファイ。
「…ふ…『テロリスト』らしい手口だな。自らの『正義』とやらのために何の関係も無い国民の命を奪うのだからな」
などと言いつつも、ファイは自分の喉下を手で弄りつつ、マイクを手に取った。
『司令官より各員へ、この基地は遺憾ながらテロリスト達の手に落ちた。よって、最終手段としてこの基地を放棄する。くりかえす、この基地を放棄する!』
「…な…ググ!」
「駄目よ、邪魔しちゃ…」
自分の声色を真似ているファイに驚きつつも反論しようとする司令官の口を塞ぐラン。
『…なお、町にも爆弾が仕掛けられている可能性ググァッ…!』
ガガガガガッ!!
ファイはそう言いかけた所で、自分で無線機を破壊する。
「…ククク…これであんたは名誉の戦死を遂げる訳だ…二階級特進で大佐…いや、少将だったかな? おめでとうと言わせてもらう」
「じゃ、そゆ事デッ♪ …あ、おっさん良い時計してるじゃない。貰ってくネ!」
「…バイバイ♪」
ランは無造作にナイフを司令官の首筋に当てる。
「安心してネ、あなたの死は無駄にしないから…フフッ」
(…グ…申し訳ありません…大佐…!!)
その司令官には、それ以後の記憶は存在しなかった。
余談だが、後のヴァリムの新聞・各メディアはこの事件を『テロリスト暴走、司令官の命を賭した英断』として広く放送し、それに伴って世論の後押しと情報操作の影響もあり、この一帯へ強硬派軍人が指揮する最新鋭の大部隊派遣と要塞基地が設置される事となった。
…作戦終了後…
外で待っていたカイと合流したパイ達は、その足で地方都市を脱出していた。
ちなみに基地だけでなく、地方都市もすでに火の海である。
表向きでは…『テロリスト』達が脅迫のため、町に設置した爆弾が爆発したらしい……。
なお、何故走って逃げているかというと、下手に車や何かを使うと足がつきやすいからという事もあるが、この作戦は極秘であるため物資などが『独力で確保せよ』との指示だったからである。
そのため、PF以外の武器や作戦に不可欠な物資以外はすべて「現地調達」となっていたらしい。
おそらく、特殊強化兵の能力テストの意味合いもあるのだろう。
「ねえ、カイ〜…向こうはどうなってるの?」
各員バラバラで指定ポイントに向かう中、パイだけが『一人にすると何するかわからない』との事でカイが付き添っていた。
ちなみにパイが言っている「向こう」とは反戦グループの中心人物達が根城にしているとの噂がある村を襲撃している班の事である。
「…つつがなく終わったらしいぞ? Εのテストも問題なかったようであるし…」
「…む〜私も向こうで遊びたかったなぁ…」
「我慢しろ、適材適所だ」
「うぅ〜カイってばそればっかし〜この前だってそんな事言ってあたし達を止めたじゃない〜…!」
「…この前…ああ、シータの後方支援をしたときか」
「そうだよ〜」
あの時(本編SS時)、カイとシン、オマイクロン、パイはシータの後方支援とかく乱を目的として活動していた。
そして、万一シータが失敗した時の後始末を担当するつもりでもあった。
『…カイ、オマイクロンから連絡あったか?』
「…ない」
『…チ…あいつめ、やっぱシータの所に行きやがったな? カイ、何であいつにミカヅキの修理・補給担当を任せたんだよ!?』
シンが数日前に組立の終わった完成型ミカヅキ1号機から、3号機に乗っていたカイに文句を言う。
「…適材適所だ。あいつが一番シータとの相性が良い」
『相性よすぎて、二人して逃げちまうかもな?』
「その時は始末すればいいだけだ。…だからこそ、二人に因縁深いお前とパイを同行させているのだし…」
『…はっ、まあいくらシータが優秀だからって、乗っている機体は試作型…完成したミカヅキの敵じゃないけどよ』
「ふ、期待しているぞ」
『了解だ!』
そして、予定通りにシンがシータのサポートに、パイとカイはかく乱のため基地に攻め込んだ。
しかし、基地もシータのミカヅキ追撃に出撃させたJファー部隊を呼び戻して迎撃にあたり……
「キャハハッ! それそれ〜捕まえちゃうぞ〜!」
ミカヅキ2号機に乗ったパイはカイに基地襲撃を任せて、Jファーの部隊を一人で相手していた。
その機動性と跳躍力に翻弄されっぱなしのJファー部隊は最初に指揮官機を破壊された事もあり、ほとんどバラバラに逃げていた。
そしてその内の一機がパイにつかまる。
「…つっかまっえた! …はい、罰ゲーム〜」
そのまま力任せにJファーの右腕部を引き千切りつつ、Pクロウ改の爪を無造作に胸部部分に突き刺し、上下に動かしてより深くに爪を押し込む。
…引き抜いた白銀の爪が染まっているのはオイルや冷却液の色だけではないだろう……。
『このぉ…!』
果敢にも攻撃してくる奴もいたが……
「キャハ、いらっしゃ〜い!」
嬉々として迎え撃つパイ。…そして、まるで人間が動いているような動きでJファーを投げ飛ばし、地面にたたき付ける。
「…今度はこれ〜♪」
ミカヅキはJファーの頭部を踏み壊しつつ、ガトリングと頭部兵器を一斉射して穴だらけにする。
「キャハハ、火花が綺麗でおもしろーい!」
機械オイルがまるで返り血のようにミカヅキに付着する。
…そんなこんな(規制させていただきます)で、Jファーの部隊はあっさりと全滅してしまう。
「…もう終わり〜? …仕方ないなぁ…カイの手伝いついでにアリさんごっこでもしよ!」
ほとんどスキップに近い足取りで移動するパイのミカヅキ。パイも鼻歌交じりで機体を操っていた。
「…探して踏んで〜巣っ穴を壊し〜まーた踏〜んであっそぼうね〜♪」
…リズムからして「365歩のマーチ」の替え歌みたいだが…何か、とてつもなく恐ろしい事を歌っているような気もするのだが……?
しかし、幸か不幸かパイの目的先からカイの乗るミカヅキが姿を現す。
「あれ、カイ〜…もう終わったの〜?」
『ああ、通信系統と主な施設の破壊だけだからな。それほど手間はかからなかった』
「そっか、じゃあまだいっぱい遊び相手はいるんだね〜♪」
『…悪いが、これ以上ここにいる訳にはいかないだろう。今回はあくまで後方支援だ』
「え〜あたし、Jファー10機じゃ物足りない〜!」
『…それに、そうも言ってられなくなった。シータが失敗したらしい。今、シンが『後始末』をしているが……』
「…お師匠様が〜…? 寂しくなるなぁ…最後くらいあたしが遊びたかったけど〜……」
『…とにかく、いったん退くぞ。これ以上愚図るなら、お前とて容赦はしない』
「……うぅ〜…了解〜……」
不満げに答えるパイを確認すると、カイはヴァリム領内へ向かって移動を開始した。その後をパイが追う。
…その後の結果は、以前説明したとおりである。(SS本編参照)
「…あの時は仕方が無いだろう。まさか、あれだけハンデを与えてやって、シンが負けるとは思わなかったからな」
「シンも情けないよね〜あんだけ大口叩いて、死んじゃうんだから〜」
「ああ、予想外だったな…本当に」
「…あ、それより〜、今度こそお師匠様とかお師匠様と一緒にいたって言う、ピンクの機体と遊ばせてね〜!?」
「……機会があったらな」
「また〜…! カイッたらそればっかり〜〜っ!!」
カイが腕をブンブン振り回すパイを宥める様に飴をあげる光景だけを見ていれば、この二人が端末一つで基地施設を掌握し、大の大人が数人がかりでも足止めにしかならない戦闘技術の持ち主達である事など、微塵も感じさせなかった。
…一方、そのピンクの機体のパイロットである…リサ達(やっと登場です)は、自分達の機体を整備していた。
「こらっプリス、そこ勝手にいじらない!!」
「え〜だってこうしないと操縦しにくい〜」
「あんたは良くても、私が困るの! シュミレーションでも何でもして、機体の感覚に慣れなさい! ただでさえこっちは調整で手一杯なのに…!」
PFというのは、基本的に個人で使うものである。
それは個人の能力や癖に応じて機体の動作や各部動力の設定を最適化したほうがPFの性能を発揮させやすいからである。
しかし、一般兵の場合は専用の機体というものが無い場合もあるので、各個人で専用のOS(動作設定変更プログラム)を持っており、出撃時にデータを更新して機体設定を最適化するのが普通なのだが……LIPSは単に『面倒だから』という理由で各員共通のプログラムを使用しており、その時の気分で操縦系と火器管制系を分担しているのである。
そのリサは、1号機に整備端末を取り付けて作業していた。
その後ろではイズミが興味深そうにそれを眺めている。
ちなみにプリスは1号機のコクピットの中、セリナは2号機で作業中である。
「リサさん、何してるんですか?」
「…機体動作プログラムのバージョンアップよ」
「…ばーじょんあっぷ?」
リサの声を反芻するようにイズミが聞いてくる。
「そう。あの子…シータの動きを分析して、機体の動作プログラムを見直してみたの」
「…シータちゃんの? でもいつの間に?」
「あの子が1号機を操縦した時のIFCS(イメージ・フィードバック・コントロール・システム)設定データや動作状況なんかをモニターして、バックアップとして残してあったの」
「…ああ、そういえば病院から退院した後すぐに格納庫に向かったな?」
セリナが2号機の調整を終えて戻ってきたようだ。2号機は1号機とは運用方法そのものが違うので、プログラムの改修は行わないらしい。
「…しかし、私達に使いこなせるのか? ようやく今の機体に慣れ始めてきたというのに…?」
「一応、その辺も考えて今調整してるんだけど、これがなかなか難しくて…いまいち上手く行かないのよねぇ…プログラムにミスはないし…どうしてだろ?」
…根本的な問題として、「シータの動きをLIPSの面々に再現可能なのか?」という事に、その原因があると思うのだが……?
「…シータさんと言えば…あれから何か連絡ありました?」
「……ないわね…どうしたんだろ?」
「…約束を忘れてしまったのだろうか?」
「それはないと思う。あの子は約束した事、律儀に守る性格みたいだし」
「…って事は、まだその演習場にいるのかな?」
「……うーん…どうなんだろ?」
考え込むリサだが、手だけはしっかり動いているのは、さすがに元整備士である。
「…また忍び込んでみよっか?」
「………」
「出来れば…ちょっと…」
「そうだな」
「そっか、ちょっと残念」
LIPSは以前グレンリーダー捜索という『本人達』にとって非常に重要な目的のため、作戦司令本部に忍び込むという暴挙をやってのけている(結局、収穫はなかったが)。
「…それに、その時は焦ってたから実行したけど、下手に見つかってちょっと前みたいに要塞掃除をやらされるのはもうこりごりよ」
「「「それは同感」」」
さらに、少し前(SS本編前)の話になってしまうが、LIPSはとある作戦で大失敗をやらかして、降格と二ヶ月に及ぶ再訓練、要塞壁面の掃除という…重罪なのか軽罪なのかよく分からない処分を受けている。
その後、再訓練の締めくくりとなる試験として、重要物資護送任務などをこなして、昇進…実際は元の階級に戻っただけなのだが…とにかく、それなりに苦労をして(自業自得なのは否定できないが)ここに至っているという訳である。
リサ達に緊急呼び出しがかかったのは、丁度こんな時であった。
LIPSの面々は、まるで囚人護送車のような目張りがされた車に乗せられて、どこかの施設にある会議室らしき部屋まで移動させられた。
「……どこだろね、ここ?」
「…さあ? …どこかの地下施設みたいだけど……?」
周囲を見回すとLIPS。…確かに、外からの光どころか窓すらない。ここに来るまでの廊下も頑丈そうな金属製で、かなり重々しい雰囲気である。
「…お待たせしました、皆様」
そこに入ってきたのは…マヤ=シンジョウ中尉である。
…存在すら忘れられているかもしれないが、LIPSを含めてゴルビー参謀直轄部隊の通常任務におけるオペレーターを担当しており、典型的なマニュアル人間である。
…もっとも、LIPSのような存在を押し付けられてからというもの、苦労したせいか『突発的』な対応も出来るようになりつつあるらしい。
「…なんでマヤ中尉がこちらに?」
「……えーと…参謀本部長の指示ですけれど…?」
「……ゴルビー参謀長の? …また何かやらされるのかなぁ?」
しぶしぶと席に着くLIPS。
「…ホ……」
素直に席に着いたLIPSを見て、安堵のため息と共に胸を撫で下ろすマヤは、一段高い教壇に立ち、姿勢を正す。
「……まずはこちらをご覧ください」
部屋が少し薄暗くなり、映像が投影される。
「「「「……Jフェニックス?」」」」
映像に映っていたのは、ハンガーで最終チェック中と思われるJフェニックスだった。
「…以前イワサキ兵長が提出した機体改修案をベースにして、とあるPF設計技師さんに再設計をお願いし、出来上がった機体です」
画面を見ながらそっとリサの様子を見るマヤとその他のLIPS……
……しばらく反応なし………?
「……ええッ…ホ、ホントですか〜ッ!!?」
…と思ったら、飛び上がらんばかりの勢いで机を叩き、乗り出してくるリサ。
……マヤを含めたその他の面々も予想できた行動だったのか、すでに耳を塞いでいた。
「…はい。これを一目したツェレンコフ参謀本部長が『使える』と判断されたらしく…」
専門的且つ難しい話が連続するので簡単に説明すると、昔こそ次世代機としてエースパイロット用に配備されていたが、昨今の急激なPF開発能力の向上・高度化により、標準機のスペックでは時代遅れと言わざるを得ない状況になったのを鑑みて、一般兵士用の量産機として、リサのカスタム機を再設計して開発された機体らしい。
以前からの標準機と比べて全体的に性能が向上し、欠点であった防御力の不足を改善した事で、特に秀でた能力はないが、これといった欠点もない、非常に扱いやすい機体との事だが…?
(…強いて問題点を挙げれば、耐久力が少ないことくらいかな?)
シータが見ても、気になったのはそのくらいだ。その耐久性にしても、機動性を上手く使えば十分に補えるし、防御力も並程度にはあるので、それほど気にはならないだろう。
ここは室内演習場の機体整備用のハンガーである。
シータはつい先程までこの「Jフェニックス リサカスタム量産型試作機」の動作試験を行っていたのである。
…すこし時間をさかのぼる……
格納庫に案内されたシータは、そこで問題の機体に乗る事になった。
最初は少し驚いていたシータだが、すぐに嬉しそうな顔になる。
「…Jフェニックス…の、カスタムタイプかな? …もう一度乗ってみたいと思ってたんだよね〜」
Jフェニックスは、シータがミカヅキ以外で初めて乗った機種でもある。
その時はろくに楽しむ間もなく気絶してしまったので、シータはいまいち不完全燃焼だったらしい。
そして、慣れない機体にも関わらず教本に載せても良いくらいの手際で操って、訓練場の中に入る。
『…どうだ、乗った感じは?』
そう言ってきたのはオペレーター室にいたオマイクロンだった。
「…どうしてそこにオマイクロンがいるの?」
思わず思ったことを口にしてしまったシータ。
『…一応、見学って名目で呼ばれたが…おまえが羽目外さないようにって事だろ?』
「……あとでじっくりと話し合いたいなぁ…」
『…話し合うだけならな』
(……シメてやる)
…などと思いつつ、シータは機体のスペックを確認しつつ、機体を動かしてみる。
(運動性は…悪くない。ブーストも…まあまあ…。武装が、ちょっと弱い気もするけど…)
腕に装備している武器はスマートガンとカタールだった。ちなみに肩はウイングが装備されている。
シータはとりあえず武器を壁に立てかけて、今度は柔軟体操のように機体を動かす。
(駆動系や骨格も良いみたいだね…それほど音もしないで滑らかに動く…ん?)
機体の状態表示に「腕部攻撃力補正」の表示が出ていた。
(…武器がなくなっても戦えるのか…)
そして再び武器を手に取り、ブースト全開で飛翔する……
……ここで元に戻る……
良くも悪くも『問題』無く動作試験スケジュールを消化したシータは、機体のシステムを再確認しながら、指示通りに動作データのバックアップを取ると、機体を降りてオマイクロンを探す。
「…あれ? どこいったんだろ?」
オペレーター室にもいないので、近くの人に聞いてみると『呼ばれたから先に行っててくれ』と伝言を受けたらしい。
「……なんか変だな? オマイクロンが私に何の説明も無くいなくなるなんて?」
疑問には思いつつも、仕方ないのかなぁ…と少々諦め気味のシータは、とりあえず予定通り、機体動作試験の報告とデータの提出をする為に格納庫を出る。
「………このように、完全規格機並の汎用性とカスタム機の戦闘力を両立させた機体である訳です」
「なるほどねぇ〜…」
「「「…………」」」
とんでもなく丁寧な説明をしていた関係で、恐ろしく長くなってしまったのだが、案の定リサ以外のメンバーは耐えられなかったらしい。
セリナはともかくとしても、イズミとプリスは完全にノックアウト状態である。
「これってある意味、拷問だよぉぉ……」
「……理解できませ〜ん……」
「…まったく、情けない…と言いたいが、私も半分わかるかどうかといった所です、中尉殿」
「……そうですか…わかりました。やはり、実感してみた方がパイロットである皆さんはわかりやすいですよね」
ちょっとがっかりした様子のマヤだったが、気を取り直して明るい顔になる。
「失礼します〜」
そこに突然入ってくるシータ……そして、視線が互いに合う……。
「「「「「……なんでここにぃ!!?」」」」」
…見事にハモる一同だった。
『……え〜と…先程の説明どおり、ここで行ってもらうのは、実戦を想定した戦闘訓練です』
マヤがオペレーター室で演習場にいるLIPSとシータに呼びかける。
「「「「「…了解」」」」」
リサとセリナ、シータが乗る単座式Jフェニックスに、プリスとイズミが乗る副座式Jフェニックスの計4機が演習場にいた。
ちなみに機体色は試作品であるにもかかわらず、彼女らのパーソナルカラーであるピンクと黄色、白で統一されていた。
武装はシータ機とプリス・イズミ機はカタールとスマートガン、ウイング装備だが、リサの乗っている機体はスマートガンが二丁にウイングと若干変化を加えただけだが…セリナの乗る機体は一風変わった武装をしている。
「セリナちゃん、格好良いね」
「…ん、格闘戦を考慮した武装らしいが…」
左右の手にはスパークフック…両肩にはスパイダーを装備し、一撃必殺タイプの武装になっているのだ。
「…攻撃力一万三千オーバーか…並みのPFなら一撃で撃破出来るな」
「……わたしの機体じゃないとは言え、あんまりJフェニックスが傷付くの、見たくないんだけど……」
「「…それは無理でしょ」」
プリスとシータの異口同音の突っ込みに、ムッとするリサ。
「……それにしても、模擬戦闘の相手ってだれなんでしょう? 私達とシータさんで対決するの…?」
「「「それ、イヤ」」」
「……別にボクはかまわないけどねぇ……」
一度は勝ったとは言え、それは偶然とシータの自滅であっただけに、もう一度戦うのはさすがに嫌らしい。
『…確認しました。損傷時における負荷や動作のチェックも兼ねているとの事ですので、機体は多少壊れてもかまわないという事です』
「…多少…ね」
…などと言いつつシータが苦笑していると…
ゴゴゴゴゴ……
演習場内への物資搬入路の扉が開き、PFが出てきた。
「「「「「…!?」」」」」
『……』
絶句する一同をよそに、PFが前に出る。
「…ミ、ミカヅキ…!? …いや、ちょっと違う…?」
外見的にはアームがイリア系からJファー系の形状に変更されている以外は以前と同じであるが、カラーリングが黒から茶系色に変更されていた。
しかも、前回の戦いで破壊したはずのPクロウ改やガトリング…頭部等も完全に復元されていた。
『…ええと、鹵獲したヴァリム製PF…JN−MK14G「ミカヅキ」のアルサレア仕様バージョン…略して「ミカヅキAV」…だそうです』
「「…安直なネーミング…」」
『…応急的なものらしいので……』
文句を言うリサとプリスに、いまいち歯切れの悪い説明をするマヤ。おそらく、手元にある資料を読んでいるだけなのだろう。
「……乗ってるのって…まさか…?」
『そのまさかだよ、シータ』
ミカヅキからの通信で映った声と姿は、案の定オマイクロンだった。
「あ!」
『…また、会ったな』
「……イズミちゃん、知り合い?」
目を丸くしていたイズミへ、特に驚くことなく挨拶するオマイクロンの姿に、訝しげな顔でイズミに聞くプリス。
「…えっと…この前町で少し………」
『……そこの…リサ…だったか? あとはシータからも聞いているかもしれないけど…オマイクロン=ブリッツだ…以後よろしく頼むな』
「…あ〜、シータちゃんのぉ…」
初めてのセリナはともかく、一度シータからオマイクロンの事を聞いているプリスは納得した顔で頷いた。
「…それはともかく…オマイクロン…あんたねぇ……?」
『俺もついさっき聞かされたんだから、仕方ないだろ? それにこの機体を扱えるの、俺かお前以外いないんだし』
(…ボクにCTICSの端末持たせたのはこの為なのかな?)
シータは固定されている整備用端末を見ながらそう思った。
これはシータの乗っていた試作型ミカヅキに搭載されていた端末である。
ちなみに完成型ミカヅキにはCTICSがシステムの一部として組み込まれているので、シータ達でなければ機体性能を十二分に引き出せないようになっているらしい。
『…少々俺としても不本意だが、上からは『手加減抜きで』とのお達しでな…遠慮なくやらせて貰うぞ?』
「…む〜…ま、しょうがないね…なら、ボクも本気でやるからそのつもりで」
「ちょ、ちょっと待ってよ、勝手に話を進めないで……」
『…では、時間は15分とします。各自時間を合わせてください…』
『「了解」』
「だから、ちょっと待てと言ってるでしょ!?」
『は、はい!』
…切れるリサに思わず反応するマヤ。
『…あ…イ、イワサキ兵長、何か質問でも…?』
返事をしてから「なぜ兵長であるあなたに…」などとでも思ったのだろう。少し顔を引きつらせてマヤが聞いてくる。
「なぜ、わたし達が戦闘に参加するの? 戦闘データを取るだけなら、シータとオマイクロンだけで十分だと思いますけど?」
「「「………確かに」」」
『………まあ、な…』
「……そうだね? なんでだろ?」
『…えーと…少々お待ちください……』
…何やらガサガサと音をさせながら、マヤは黙る。
マイクから離れているのか少々小声だが…
『…はい、どう説明……』
『……ええ、そんな……!』
…などと、誰かと話している声がする。
「……もしかして…マヤ中尉って、マニュアルがないと何も出来ない人?」
『……らしいな?』
「うんうん、そうなんだよ、シータちゃん」
「…そうなのよねぇ…もう少ししっかりしてもらわないと…」
「そうだな、オペレーターがああでは、任務に支障が出る」
「……やっぱり、こういう事は臨機応変に出来ないといけませんよね」
自分達の事を完全に棚上げしてシータ達に説明するLIPSである。
『…お待たせしました』
…幸いにもマヤはさっきの会話は聞いていなかったようだ。
『……ええと、その機体はいままでの様なエース用ではなく、量産用であるため汎用性を重視した設計になっているため、ベテランクラスから…ええと、ごく普通のレベルまで幅広く動作データを収集する事で、今後量産されるに当たっての指標にしよう……という考えらしいです』
「「「「……なるほど」」」」
『…ちなみに、この状況は今度の次期量産計画会議の資料になるという事で、主だった左官や将官、元帥閣下もご覧になるそうです』
「「「「!!!!」」」」
目の色が変わるLIPS。
『…念のため言っておきますが、会話などは会議場では出ませんので呼びかけても変なポーズをしているだけに見えますので、そのあたりをよくわきまえて、行動してください?』
「「「「…えぇぇ〜…そんなぁ〜!」」」」
…どうやら、マヤに助言しているのはLIPSの習性(?)を熟知している人間らしい…。
『…あとは、何かありますか?』
返答が無いのを確認すると、安堵のため息と共に苦笑したマヤは制限時間のタイマーに手を添える。
『では、頑張ってください。…訓練、開始です』
演習場内に開始の合図がなり…全員が緊張した面持ちで向き直る。
そして、戦いが始まった。
……その4に続く………
あとがき
…まず一言…すまん、また話を切ってしまった!!(泣)
現在40ページをゆうに超え、完成の見通しはおよそ内容だけで50ページに行きそうなので、仕方なく区切りました(号泣)
ただでさえ遅筆なのに、これ以上長くしてどうする!!?
…などと自己嫌悪に陥りつつ、リアルとの狭間の中でさながらマヤのように七転八倒していますが、何とかがんばっております(汗)
では、例によって何か文句がありましたらなら、いつでもメールなりチャットで言ってください。…善処します(汗)
設定
キャラ紹介(内容更新!)
シータ=クロウ
ベリウムの特殊強化兵の一人で、シリアルナンバー8「テータ」。現在はアルサレアにて参謀本部長直轄の特務部隊に所属しており、階級は少尉
やや赤みを帯びた栗毛の髪と瞳をした女の子で、胸元あるまである髪を首の後ろ辺りで纏めている。年齢は16歳。
全体的に強化されている第一ロットの中で、特に格闘技能を重視した強化を受けており、インターフェイスは格闘重視を持っている。射撃は並程度の実力しかないが、格闘に限定した戦いなら、全メンバー中で屈指の実力の持ち主である。
肉体能力及びPF操縦能力を中心に鍛えられているので、対人でも対PFでもかなりの実力を誇り、格闘技能を活かして潜入や破壊工作任務もこなせるだけでなく、その容姿と人当たりの良さで諜報活動もこなす事が出来る…万能的技能の持ち主である。
なお、ヴァリムの施設で強化手術中に事故で記憶を失ったという過去があり、記憶を失う以前はそこそこ名の知れたゲーマーで、PFのシュミレーション装置で高い数値を叩きだしたのを、ベリウムに目を付けられて拉致されているという経緯があるが、生来の明るさとポジティブな思考で、あまり気にしていないらしい。
性格は男口調で活動的なのとは裏腹に、怒っている時以外は虫を殺すのも躊躇う優しい性格で情に厚く義理堅い上に何事も前向き…ただしその反面、感情的になりやすく、私情で動く事が多い。
そのため、自らの意思でPF操縦時などは自分に暗示をかけて感情を制御するように調整を受けていたらしい…が、現在は少し後悔しているとの事。
趣味は体を動かす事と小物(アクセサリー)収集、キャンプであるらしい。
グレープフルーツ・レモン等、酸味の強い果実が大好物であり、パーソナルカラーもそれに影響してか黄色である。
名前は得意武器である手甲付きの爪牙(鍵爪のような形状の爪)から。
キャラクターイメージは「D・○・AN○EL」の梨紗と梨紅
オマイクロン=ブリッツ
ベリウムの特殊強化兵の一人。シリアルナンバー15「オミクロン」。現在はアルサレアにて参謀本部長直轄の特務部隊に所属しており、階級は少尉
やや長髪の髪を背中で纏めている、やや野性味がある青年。年齢は17歳くらいで強化を自ら志願したベリウム配下の兵士であった。なお、強化前の名前は「ブルックリン=スミス」で階級は軍曹だった。
シータの補佐を主任務としているため、肉体技能を中心に射撃能力やPF整備能力を重視した強化をされており、インターフェイスは射撃重視と整備重視を持っている。
中でも射撃技能はかなり強く、専用のライフルを使えば2km先にいる人間のボタンすら狙える(もちろん着ている人には当てない)技能の持ち主であり、普通の銃でも跳弾で狙ったり、その跳弾にさらにさらに当てる事で予測不可能な攻撃をするなど、超人的技能を有している。(本人は『ビリヤードショット』などと言っている)
性格は比較的常識的で口は悪いが、面倒見が良く文句を言いつつも非情に徹しきれない優しい性格。シータに対して「保護者」的な感情を持っており、何かと面倒をみてやっては煙たがられているらしい。
趣味は釣りとサイクリングで、好きなものは辛い物、蕎麦、饂飩などの麺類である。
名前は自分の得意武器である「弾(ブリット)」と本名の略称だった「ブリット」をかけたものであるらしく、パーソナルカラーは灰色(銀)。
家族とはアルサレア戦役以前に死別しているらしいが、構成等の詳細は不明である。
キャラクターイメージは、髪などを黒くした「○ラヴィ○ン」のエイジ。(「廃○○女」のシャノンでも良いが…)
パイ=ドゥパーソン
ベリウムの特殊強化兵の一人。シリアルナンバーは16「ピー」
見た目はショートカットで元気そうな10〜12前後の女の子ながら、仲間内で「無邪気な狂戦士」と称されるほどの戦闘狂で、完全に戦争、殺し合いを遊びかゲームのようなものと考えているようだ。
クローンとも、戦災孤児とも言われているが、詳細は不明。
戦闘能力よりは諜報能力を重視しているタイプで、インターフェイスは格闘重視と諜報重視を持つ。
ただし、シータを格闘技の師としているために格闘技能がかなり高くなっており、射撃も並程度にこなせるので、その容姿と趣味嗜好から諜報以外にも暗殺や裏工作・破壊工作を得意とする。PF操縦は「通常時(CTICS未使用)」は中の上といったところ。
強いと思いこんでいる相手と戦い、その相手を跪かせるのを至上の悦びとしている節がありながら、自分が「強い」と認めた相手には、比較的従順な態度でいるというしたたかさと、「自分の好きなものは壊してでも自分だけのものにする」と公言して憚らない大胆さを併せ持つ困った性格をしており、仲間内からも恐れられている。(色んな意味で)
但し、精神年齢が幼いため損得勘定に弱く、自己の欲望を優先しがちになる所があり、微妙な駆け引きにも弱い。
師匠であるシータも実は「標的」の一人。しかし、普段は猫をかぶっているので、シータ本人はその本性こそ知っているが、その無邪気な仮面のおかげで、邪険には出来なかったらしい。
甘い物には目がない、大の甘党であり、飴やチョコ、人工甘味料を大量に使ったお菓子が大好き。
名字は「二面性、二重人格」という意味の言葉を略したものを「かっこいいし、あたしにピッタリ」という理由で使用している。(本人も自覚はしているらしい)
パーソナルカラーは意外だと思うかもしれないが、白である。
もっとも『赤い色で染めた時に映えるから』というある意味、とても怖い理由からその色にしているらしい(苦笑)
キャラクターイメージは「Z○ガ○ダ○」のプル、性格は…全然違うやつから。
カイ=コンチェルト
ベリウムの特殊強化兵の一人で、シリアルナンバーは22「キー」。
どこかの優秀な兵士のクローンらしいが、詳細は不明で年齢は20歳前後…やや長髪の髪で能面を思わせる無表情な冷たい印象を与える顔立ちである。
特殊強化兵としては珍しく、情報収集能力や諜報活動に特化した能力を持ち、特にハッキングやデータ解析はお手の物で、自分に突破できないプロテクトは無いと思っている。その反面肉体能力はさほど高くなく、作戦立案能力や統率力はあるので、第二ロットの中では実質的に隊長的な役割になっている。なお、インターフェイスは諜報重視と射撃重視を持っている。
情報解析能力に特化している分、戦闘能力は射撃関連以外、それほど高くは無い。ただし、想像力と集中力が大きく影響するCTICSを活用すれば、PF戦闘に限っては一流レベルの操縦技能を有している。
性格はかなりの自信家で沈着冷静を絵に書いたような性格をしている。…ただし、内心は結構人情家であり、決して見た目ほど冷酷でも非情でもないが、自分達に対して悪意を持って利用するものを何よりも嫌い、そういう相手には笑顔で対応しつつも平然と裏切る狡猾さならある。
クラシック音楽が趣味で、名前もそこから取っている。
好きなものは意外にもお酒(果実酒)、チーズ。ただし、下戸でほとんどお酒は飲めない。
パーソナルカラーは髪の色である茶色。
キャラクターイメージは「○ン○ムW」のトロワ。
クシー=ハルバート
ベリウムの特殊強化兵の一人。シリアルナンバー14「クシー」
ミュウやガンマ同様、とある人物のクローン体で年齢は20前後。
金髪で特に髪型にこだわっていないらしく、短めにしている。
特殊強化兵の中では、戦闘技術の他に諜報能力が強化されているタイプで、剣術重視と諜報重視のインターフェイスを持つ。
情報収集・処理能力及び作戦立案能力はカイと比べるとやや劣るが、その分身体能力や戦闘能力が高くカイが後方で部隊を統括する軍師的タイプだとしたら、クシーは最前線で部隊を統括する前線司令官的なタイプである。
性格は徹底的な合理主義者で無駄な事が嫌い。目的のためなら手段を選ばず、必要とあれば仲間の死さえ利用する冷血漢…だが、同じ性質を持ちつつ対極の考え方であるカイとはなぜか仲が良い。
接近戦…特に槍や斧、鎚を使った戦いが得意で、直進的で力任せな攻撃であるが、隠し持っていた小型の斧や鎚を投げたり、ジャンプの踏み台や支えにして蹴ってくるなど、武器を変則的に使ってくるので、中途半端に武器を使って攻撃してくる相手よりは手強い。
諜報活動も得意だが、自分以上の能力を持っている仲間がいるので、どちらかと言えばPF戦闘を重視した訓練を行っており、PF操縦技術は第二ロットの中でも指折り数えるレベルである。
名前は得意武器であるハルバートハンマー(先端が槍、左右に斧と鎚を持つ、両手用の大型武器)をほぼそのまま使っている。
趣味は囲碁や将棋、園芸…書道など、渋いものが多く年齢不相応に和服が気に入っており、プライベートな時に好んで着ている。
好きなものもお酒(米酒)、ご飯に刺身、大豆加工食品全般(を使った料理)など、いかにもそれに影響されたと思われるものが多い。
パーソナルカラーは青、キャラクターイメージは「ガンスリンガー・ガール」の「ジャン」で、さながら「日本かぶれの外国人」的なイメージである。
ファイ=ミッドナイト
ベリウムの特殊強化兵の一人。シリアルナンバー21「フィー」
ミュウやガンマ同様、とある人物のクローン体で年齢は18前後、一見穏和そうな顔立ちの青年だが……その実、対人戦闘および潜入・破壊工作のスペシャリストで、射撃重視と格闘重視のインターフェイスを持つ。
基本的に冷静沈着な性格だが、やや冷酷非情・残虐性が強い傾向にある。その目を背けたくなるような戦闘スタイルから、研究員からは『殺戮人形(スローサー・ドール)』などと皮肉られていたが、『面白いな』と言ってあえてその名をあだ名にするほどである。
戦闘技術が高いのはもちろんだが、特筆すべきなのは潜入技術であり、声帯変化や変装も大得意。また任務上の関係からか、得意とする武器を持たない(何でも使えるようにする)信条らしく、それ故に使う武器を全く選ばない自由な闘いが出来るので、サバイバル・ゲリラ戦では強く、「何でもあり」の闘いでシータに勝った事もある猛者。
名前は自分のパーソナルカラーである濃紺をイメージして決めたらしい。
趣味は特になし。強いて言えば格闘・戦争関係の映画・ビデオの鑑賞である。
好きなものは干し芋、干し柿、甘栗などといった甘いものが好きであるとの事。
ただし、理由を聞くと「糖分などの栄養価が高い上に簡単に手に入るので、戦闘用の保存・携帯食として気に入っている」と言う事らしい…。
ビーフジャーキーや魚介類の燻製も好きだと言うが、おそらく同じ理由からだろう…。(任務上同行する事が多いランと一緒に、よく食べているらしい)
キャラクターイメージは「宇宙のステルヴィア」の「ケント=オースチン」であるが、この人畜無害そうな顔と声が、本当の『顔』なのかどうかは不明である。(ファイは変装の名人ですから)
ラン=マイヤーズ
ベリウムの特殊強化兵の一人。シリアルナンバー20「ユプシロン」
シータやアイオタ同様、民間からスカウトされた被験者で年齢は18歳の女性。腰まである髪を首の後ろ付近で結って纏めている。リボンがお気に入りらしく、それで髪を結うことが多い。
好奇心旺盛で何事も前向きに考える、明るい性格である反面、頭の回転が速くしたたかで、加虐志向的一面もある、とても利発で怪しい魅力を持つ女性…語尾を強調する変な喋り癖もあるが…実は対人戦闘および潜入・破壊工作のスペシャリストで、整備重視と剣術重視のインターフェイスを持つ。
機体整備もこなせるが、どちらかといえば戦闘に特化した特殊技能の持ち主で、武器はナイフや針・鋼線といった、携帯しやすい暗器とも言える得物を得意とする。
特に鋼線を扱った戦いやトラップの設置・解除、毒物の調合が大得意で、インターフェイスの能力も手伝って基地等の密閉された空間や森林・湿地帯での戦闘では圧倒的戦闘力を誇り、自他共に認める『暗殺』のエキスパートでもある。
任務上、ファイとは一緒に仕事をする事が多く、「この二人に狙われたら最後」と言う意味と二人の名前を洒落て『最終(ファイナル)』という固有コードネームを持っている。
趣味はアンティーク(金目の物)を収集する事と水泳で、好きな物は酒類全般と宝石の類…酒好きの影響か銀杏や塩辛、乾物系の苦い物やしょっぱい物も大好きである。
名前は得意武器であるワイヤーの頭文字「W」を「M」に変え、少しいじったものを名字に、「ラン」は「ユープサイラン(ユプシロンの英名)」からで、彼女のパーソナルカラーは朱色(橙っぽい赤)。
キャラクターイメージは「バスタード!」の「ティア=ノート=ヨーコ」
Ε(エプサイラン)
PF搭載用自律稼働型AIシステムの呼称
ただし、このAIは戦闘用というより、PF自動操縦特化AIであり、PFの性能(スペック)を理解し的確な運用方法(状況を見て戦闘パターンを変える、自機の様子を見てパックを使用する等)を行う事を重視したものであるため、まるで人間の動きを見ているような俊敏かつ臨機応変な動きが可能である。(レパートリーが多いだけで、動きに特定のパターンがあるのは変わらない)
また、完全無人機用AIであるためか会話機能は簡略化されているらしく、質問などしても物事の結果のみを簡潔に答えるのみである。
特殊装備として振動センサー、熱感知センサー等を組み合わせた生体センサー搭載しており、対PFだけでなく対人を含めた戦闘に対処できるシステム設計となっているらしい。
なお、製作には特殊なパーツが必要であり、そのままでは量産化できない。(普通の技術で再現出来ない事もないが、巨大化してしまいコクピット周辺の改修が必要になるのでその分余計にコストがかかる)
マヤ=シンジョウ(真城 摩耶)
アルサレア所属のオペレーターで現在中尉(昇進しました)
年齢は24歳で、見た目いかにも和服が似合いそうな日本的女性な雰囲気で、髪はロングでストレート。
士官学校では有望株として期待されていた新人オペレーターであったが、どういう訳か参謀本部長の眼鏡に適い、幸運(?)にも作戦司令部に配属された経緯を持っている。
オペレーターとは言っても、最低限の実戦訓練はこなしているし、成績も優秀だったので決して素人ではないが…考え方が典型的マニュアル思考であるため、何事も決められた行動しか出来ず、突発的な事態に対応できない欠点がある。
性格は極めて真面目で何事も一生懸命にしようとする、いまどき珍しい性格
趣味はテニスとお風呂だという事で、暇があればガイドブックのチェックを欠かさないマメな所もある。
好きなものは甘いもので特にアイスクリームやシュークリームが好きらしい。
現在は作戦司令部にて参謀本部長直轄部隊の担当となっているため、LIPSを始めとしたかなり癖のある(問題ある)兵士相手に七転八倒の毎日である。
キャラクターイメージは「天○のしっ○」のユキ。
その他の設定
壁走り、天井三角蹴り、独楽蹴り
…私のオリジナル(想像上の技)です(汗)
独楽蹴りは、正確には『空中回転踵蹴り』です(分かりますか?)
命名の由来は、身体を丸めるように回転して、さながら手刀を振り下ろすように踵蹴りをする所から。
もちろんですが、シータもこの技は使えます。
パイの替え歌
…歌詞を考えて、リズムに合う歌を決めたので、この歌のために1時間も費やしました(汗)
確か「365歩のマーチ」は、正しくは…
幸せは歩いてこない、だから歩いていくんだね。一日一歩、三日で三歩、三歩進んで二歩下がる
…だと記憶してますが、パイはこれを…
アリさんは隠れてしまう、だから自分で見つけよね。探して踏んで、巣穴を壊し、また踏んで遊ぼうね
…と、歌っている(滝汗)
2番の替え歌、誰か考えてみませんか?(笑)<2番を知らない(汗)
管理人より
ヨニカさんよりその3をご投稿いただきました!
…………パイ、怖いぞ(汗)
とは言え似たような感じのキャラは知ってますが……(苦笑)
しかし、カイってなかなかやりますね(笑)<上手く逃したり
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