○インターミッション #05







 

『最悪の事態です』

 

微妙に薄くなりはじめた頭を抱えて、ツェレンコフ・ゴルビー参謀長はモニターの向こうで渋面を作った

 

ここは、リベル諸島域の、“元”ヴァリム軍の拠点となっていた基地である

基地、と言っても小規模な物で、チャチな通信施設と格納庫があるだけのものである

その基地の通信室に備え付けられたモニターの前に、変装セットを外したフェンナと、グレンリーダーの二人が居た

そして、モニターの中でツェレンコフは先程の台詞を呟いたのである

 

『作戦部も、参謀本部も、方針を見誤っておりました・・・・・』

「ヴァリムでさえ、気付けていなかったんです。仕方が無いですよ」

 

フェンナもまた、沈んだ面持ちのまま慰めの言葉を口にするが、表情を俯けたツェレンコフは唸るように言葉を続けた

ほんの数十分前に知らされた、今回のヴァリムが起こしたGエリアへの侵攻の

 

――― 否、

 

“ベリウム・ヴァレリウス”個人が起こしたGエリアへの侵攻の真意

それは、俄には信じがたい話となって、アルサレア・ヴァリム・ミラムーンの三国の首脳陣へ伝えられたのだった



 

曰く、



 

“アルサレア、ヴァリム、ミラムーンの三国は、直ちに“私”に降伏せよ”



 

たっぷり10秒は言葉の意味が分からなかった

ベリウム・ヴァレリウスは、ヴァリムを祖国とする人間である。間違いなく、その筈である

それなのに、彼は言ったのだ。“ヴァリム”に向かって、“自分”に降伏しろ。

勿論、そんな話を真に受けた馬鹿は誰一人居なかったのだけれど

各国首脳陣の誰もが、何だこいついきなりびびらせやがって。と、鼻で笑ったその瞬間だった



 

いきなり、Gエリアから光の線が延び、大陸北部の、アルサレアとヴァリムの国境線に二分されているカシュー平原が、焦土と化した


 

誰もが、その知らせに硬直している間に、ベリウムは冷淡に告げた

 

“次は軌道エレベーターを狙う。その次はアルサレア、ヴァリム、ミラムーンの順番に首都を攻撃する。3時間の猶予をやろう”



 

『両閣下の御意志を、聞かせていただけますか?』

 

いつになく弱気なツェレンコフがそう問うてくる

グレンリーダーもフェンナも、何もしないままに降伏なんてするつもりは無い

そんなつもりは無いのだが、現状への打開策も全く思いつかない

 

何せ、リベル本島のヴァリム司令部、否、ベリウムの牙城へは、侵入することさえできないのだから













 

<Side:コバルト小隊、リベル本島>

 

先のやり取りから、少し時間を遡る

 

その総司令部は、まるで工業都市を一つ抱えているような巨大な基地である。規模としてはヴォルテック・シティ並だろう

立ち並ぶ工廠、その間から伸びる廃熱口からは、白い排気煙が細く伸びている

ごちゃごちゃとした工廠がまず目に付き、その周りを囲むように格納庫や資材倉庫、滑走路などの設備がある

居住区や通信施設と思しき建物は、工廠の中に埋もれるように点在しており、ただ指令施設である一際巨大な管制塔だけが、

天に向かって聳え立っている

 

そんな都市の中央に、“異様”と呼ぶべき存在があった

 

「・・・・・非常識、ですね」

 

それを同時に目の当たりにし、誰よりも早くそうぼやいたのは意外にもリンナだった

オスコットとギブソンの熟年コンビも惚けた顔のまま固まっており、ムラキも、ランブルさえも驚愕の色を露わに見せている

マコトは、驚いているのは間違いないだろうが、微妙に嬉しそうにも見えるのは何故だろう

 

「巨、巨大ロボだ・・・・・」

 

あぁ、そういうわけか

ちなみに、彼女の副官であるチェンナはこの場には居ない

シュキ共々、輸送機の医療ユニットに担ぎ込まれたクランの看護に当たっている筈だ

そんな一同の中でただ一人、驚くでも無く、ただ拳を握り締め、噛みしめた奥歯を軋ませて、

ジータ・ランバートは唸るような呟きを漏らした

 

「・・・・・父さん・・・・・ッ!」

 

彼らの視線の先には、一機の巨大なPFが居る

巨大なのだからGFと呼ぶべきなのかも知れない

正確な寸法は不明なのだが、並び立つ管制塔と比較・目算するに、恐らく人型形態に変形したオーガル・ディラム級の大物である

両手には、滑走路に敷かれている鉄板に柄を取り付けたような格好の、無骨極まる巨大な剣を引っ提げており、

両肩には、歪な形のウイングの様なパーツがくっついているが、これが数十分前に観測された高エネルギーの元であることは判っている

ここ、リベル本島から放たれた荷電粒子の光槍は、メイモンデット島の山地をぶち抜き、ゴスティール山脈の一部を削り取り、

そして本土のカシュー平原に着弾したのだという。被害の規模は不明だが、その有効射程から察するにとんでもない代物なのだろう

軌道エレベーターを、そしてフィアッツァ大陸を三分する各国主要都市を狙う

その言葉は、決してハッタリではあるまい

 

「で・・・・・どっから手ぇ付けるかなぁ、こいつぁ」

 

オスコットが、この期に及んで困り顔で後ろ頭をぼりぼり掻いていた

そんな減らず口が出てくるのは、彼だからだろう。他の連中はそんな思考を漂白されてしまっている

煙草を取り出して箱の中が空だった事に気付き、灰皿代わりの空き缶の中からまだ長いシケモクを探し出して、唇に挟んで火を点けた

もふ、と紫煙を吐き出して、

 

「取りあえず、一発いってみるか?」

「伍、伍長!!?」

「・・・・・冗談だよムラキ、本気にすんな」

 

おもむろにバスターランチャーの砲口を向けるゲイボルグの姿に、ムラキは慌てて制止の言葉を口にするが、

オスコットにその気は無かったようだ

 

「・・・・・恐らく、撃っても無駄だろう」

 

ランブルの呟きに、ギブソンも大きく頷いた

訳がわからん。とでも言いたげな一同に、ランブルは黙って指を指す

指先の向こうには、基地の外周付近に倒れている“ヴァリムの”PFが、基地の“内側で”倒れている

一機や二機ではない。殺虫灯に灼かれた羽虫の様に、基地の外周付近のそこら中にそんな姿があった

困惑する一同を尻目に、ランブルはおもむろにレールキャノンを発砲した

成形炸薬弾頭は、リニアレール上で加速され、大気を突き破りながら飛翔する

 

だが、その一撃は、何もない中空でいきなり弾けた

まるで見えない壁に激突したかのように

 

「バリアシステム、か。敵も味方も区別無く隔絶している様だ」

「あぁ、それで・・・・・」

 

合点がいった様子でリンナが頷く

それならば、基地の内側に倒れているヴァリムのPFは、

この基地から脱出しようとして、このエネルギーフィールドに触れ、灼かれてしまったのだろう

 

「突破は・・・・・無理っぽいなこりゃ」

 

そう言いながら、ゲイボルグのバスターランチャーを発砲させるオスコットである

こちらの光槍も、燐光を放って四散した

直接触れに行く無謀な勇気は、生憎、誰も持ち合わせていない

 

「むぅ、これじゃ全く手も足も出んゾィ」

「どうすれば・・・・・」

「ま、そう言うなよお嬢。厄介な状況だけど。一個だけ救いがあるじゃないの」

「え、何ですの?」

「こうしてバリアに囲まれてる間は、少なくともこの基地から敵が出てくる心配は無ぇ。あのデカブツも、な」

 

オスコットの言葉に納得しかけるリンナだが、すぐに表情を曇らせた

 

「でも、それを断言はできないのではありませんか?」

「そりゃそうだ」

「だったら!」

「落ち着け、お嬢」

 

同じ様な口調に思われるかも知れないが、リンナを窘めたのはランブルである

彼から“お嬢”呼ばわりされることに、初めのうちこそ異様な違和感を憶えていたが、今では何となく慣れてしまった

それもこれも、最初に“お嬢”と言いだしたオスコットの所為だ

まぁそれはそれとして、ランブルもオスコットと同じく口元に煙草を構えながら、リンナに言い聞かせた

 

「敵が出てくるようになれば、こちらからも攻め込めるようになっているかもしれん。
状況が変われば打つ手も変えることができるだろう」

「・・・・・」

 

しかし、どうすれば良いのだろう

アイツはどう見ても、自分達のPFでどうにかできるような代物とは思えない

グレンリーダーは前戦役の折りに、オーガル・ディラムを単機で行動不能にして見せたことがあると言うが、

それはオーガル・ディラムの人型形態の機能が完全な物ではなかった。言うなれば木偶の坊だったからだ

今回は違う。兵装から察するところ、あの機体は白兵戦もこなせる程度の運動性を備えているのだろう

 

仮に、このエネルギーフィールドを突破できたとして、それでどうすれば良いのだろうか

 

巨大である。ということは、それだけで十分に驚異なのである

知恵と勇気を振り絞ったところに意地と度胸を上乗せして、更に気合と根性でブーストしても無理なものは無理だ

作戦がとか、勝算がどうこうとか、最早そういうレベルではない。ネズミほどでも脳味噌があれば無理だとわかるだろう

一寸法師が鬼を倒せたのは御伽話だからだ。それほど現実は甘くない

 

「まぁ、あの図体じゃ却ってこんな小っさい的を狙うのは難儀だろうけど・・・・・あれだけじゃ無ぇんだろうなぁ」

「対PF用の誘導兵器か、自律兵器くらい隠しているでしょうな」

 

オスコットのぼやきに、ムラキは生真面目に言い返した

だよなぁ、と吸い殻を空き缶に突っ込みながら溜息をつく

 

「こんなことなら、ゴスティール山脈のアレ。ぶっ壊すんじゃ無かったのぅ」

「確かに・・・・・こいつを相手取るにはあのくらいの兵器が必要だったな」

 

ギブソンも同じ様な調子で丸い顎を掻きながら困り顔だ

ゴスティール山脈のアレ。とは、割と最近コバルト小隊が破壊した超弩級荷電粒子砲のことである

その事は、マコトを除く全員の記憶に新しい出来事だった

しかし、バルメッタ島を消滅させたハデスズ・ボイスは、コバルト小隊の活躍によって完全に破壊され、既に亡い

対抗手段は、自分達の手で用意するしかない

 

「でも、関節や装甲の薄いところを狙えば・・・・・」

「まぁ、な。確かにあれだけのデカブツの関節なんかは狙いやすいけどよ。効果は期待できないぞ」

「ヘルファイアでも叩き込めば?」

「フライト中尉、それは冗談でも笑えんゾィ」

「え、冗談じゃないけど」

 

彼女が骨の髄まで本気だったとしても、アルサレアが保有しているヘルファイアは既に無い

兵団本部が密かに保有していた切り札は、サーリットンでシオンがぶっ放した

ミラムーンか、或いはヴァリムに要請すれば手配ができるかも知れないけれど・・・・・政治的に考えてみると、得策とは思えない

一同が、エネルギーフィールドの向こうに聳える異様を眺めながら頭を捻っていると、

隊長代理であるムラキの元に、本部から通信が入った

 

「こちらコバルト小隊。どうぞ」

『あ、ムラキ少尉?シュキだけど』

 

高校生が電話で話すような口振りは彼女以外ありえない

配属当初は、いちいち注意していた事もあったのだが、最近ではもう気にならなくなった

諦めなのか、慣れなのか。後者であって欲しくはないとムラキは思っているけれど

 

「何か、状況に変化でも?」

『んーと、ね。色々あるんだけど、とにかくみんなで帰ってきて。方針が決まったらしいから』

「・・・・・方針が、決まった?」

『うん』

 

シュキの言葉を鸚鵡返しに繰り返して、怪訝な顔をムラキは拵えた

方針が決まった。ということは、兵団本部はアレをどうにかするつもりなのだろう。まさか降伏するつもりではあるまい

だが、どうやって・・・・・?

 

「了解、速やかに帰投する」

 

結論に辿り着けないムラキは、厳つい顎を頷かせて通信を切ろうとするが、そこにマコトが割り込んできた

 

「あ、ちょっとゴメン。いいかな?」

『マコト?どうかした?』

「えっとさ、その・・・・・クラン、中尉は?」

 

その名を聞くと、流石のシュキも表情を歪めてしまう

リベル諸島西方面に於いて、コバルト小隊の専属オペレーターであったクラン・ネルモア中尉は突如、独断で出撃し、

ヴァリム軍のバール・アックス大佐に喧嘩を売って、返り討ちにあったのだ

過去に視神経に重大な損傷を負っていた彼女は、この交戦により眼底部からの出血など、視覚機能に重大なダメージを負ったのだが、

 

『最悪の、一歩手前で間に合ったよ。失明の心配は無いって』

「そっか・・・・・良かったぁ」

 

空気が抜けるように脱力して、ほやっと笑うその姿は、過去最年少で中尉階級に上り詰めたエリートの姿には到底見えない

いつまで経っても一向に発達しない背丈とそれ以外の部分を気にしている、よく笑ってよく怒る、ただの女の子の姿だった

 

『うん、チェンナはまだ付き添ってるけどね。今頃枕元でマコトの恥ずかしい秘密をバラしてると思う』

「ちょっと待てッ!!何それ恥ずかしい秘密って何それ!!!!?」

 

うひひひひひひひひひひ、とシュキはまるで魔物のように笑い、

 

『意外よね〜。マコトって確かに童顔だけどさ。まさかいまだに生「わーっわーっぅわーっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
まだ言ってない「うるさいだまれそれいじょうしゃべるなしゃべったらころすころそうころすときころせばころしてしまえっ!!!!」

 

一体、どんな秘密が暴かれるところだったのだろうか

顔中を口にしてマコトはシュキの言葉を遮りに遮り、その様子が面白いのかシュキはまたケタケタと笑う

 

『早く帰ってね。クランが笑いすぎで二階級特進したら困るから』

「無視すんなおぃ待てこらぁっ!!!!」

 

トドメとばかりにシュキは、むひひひひひひひひひひひひひ、と笑う

呆気に取られる一同だが、マコトだけは真っ赤な顔でレシーバーに怒鳴り声を叩き付けているが、

 

「・・・・・切りやがった」

 

既に通信は切られていた

 

「あー、その、何だ」

 

最年長者ということで、周りの連中にぐいぐい押し出されたオスコットが後ろ頭をばりばり掻きながら声を掛ける

言葉を選んで、口にすることを躊躇って居るのだろうか。単にマコトの顔が怖いからだろうか

いつに無く、その弁舌は冴えない

 

「なぁ坊主。その、悩み事なら相談に乗るぞ。おじさんに何でも言ってみろよ「言うか馬鹿ぁぁぁぁっ!!!!!!!!」

 

神速の一撃がゲイボルグの顔面をぶち抜いた。実戦もそのくらい本気でやれ

誰もが、“あぁ、やっぱりね”という顔をしているなかで、ぜぇぜぇと荒い息をつくマコトは猛然と振り返り

 

「帰るッ!!!迅速且つ可及的速やかに帰る!!
でもってシュキをとっちめてついでにチェンナの恥ずかしい秘密もクランにバラしてやるッ!!!!」

「へぇ、そりゃおじさんにも教えて欲し「死にさらせエロ中年ッッッッッッッ!!!!!!!!」

 

今度は連打がゲイボルグの顔面に襲いかかった













 

<リベル諸島:アルサレア拠点>

 

通信室の中で、シュキが端末に向かっていた

とても珍しいことだが、彼女は今、とてもとても怒っているのである

先程ムラキ達に通信を繋いだときは、努めていつものように振る舞っていたが、

内心はかつて無いほどの憤怒に満ちていた

 

「・・・・・許さないんだから」

 

我知らず、一人呟く。キーボードの上に置かれた両手だけは、まるで別の生き物の様にキーを叩き続けている

端から見れば出鱈目に映るが、実は彼女はとんでもない事をやってのけている最中だった

 

彼女は今、“リベル本島のヴァリム司令部に”電子的な侵入を試みているのである

 

実は諸島域の拠点と本当の司令部は、地下ケーブルを通して物理的に接続されてたのである

そして、グレンリーダー達に彼女は此度の試みを申し出たのだ

サーリットンで、彼女の能力を目の当たりにしていたグレンリーダーは快諾したが、

事情を知らないフェンナは頑として首を縦には振らなかった

フェンナとて、オペレーター業務に携わる人間なのである。電情戦の難しさは知っていたし、

仮にベリウム側に接触していることを感づかれたら、即座に攻撃が始まるかも知れない・・・・・そんな危惧を抱いていたのだが、

 

「・・・・・」

 

今は、口を半開きにしたまま、シュキの後ろ頭越しにモニターを眺めていた

恐るべき事に、シュキはこの端末から地下ケーブルを逆流して司令部を目指し、

それぞれ鍵の違う逆接防壁62枚を幽霊の如く通り抜け、電子地雷原をスキップで飛び越し、光の速度で防衛戦を潜り抜け、

ムラキ達の立っていた足下から司令部への検問に辿り着いていた

僅かに、10分程の事である

 

「・・・・・さぁ、て」

 

ぺろりと小さく舌を出して唇を嘗める

可愛らしい仕草の筈だが、何故か凄味が漂う表情だった

しかし、アルサレア最大の銀行:オルフェン・テラバンクのセキュリティだってこれほど堅牢ではないだろう

司令部の“ゲート”を、前にシュキは感心したように嘆息した

ここまで来て、下手な手を打つわけにはいかない

一つでもしくじれば、物理接続はカットされるだろう。そうなれば彼女に打つ手は無くなってしまう

 

『だから今は、欲張らないこと』

 

自分に言い聞かせて、シュキはゲート目掛けて慎重にダイヴした

セキュリティ・チェッカー:電子の“番犬”がたちまちシュキを取り囲むが、彼女は慌てず偽装プログラムを展開

ハーメルン・ヴォイス・ウィルスの自殺プログラムさえ騙しおおせた偽装プログラムである。効果はあった

難なく検問を潜り抜けたシュキは、アルサレアの誰よりも先んじてリベル本島の司令部に侵入する

 

『うわぁ・・・・・』

 

電子の世界の中で、シュキは思わず感嘆の声を漏らしてしまった

今までに挑んだことがないほどの、膨大な量の情報が集積する、巨大な“山”だった

 

『そこに山があるから登るんだ。って言ったのは、誰だったっけ・・・・・?』

 

どうでも良いことを考えながら、シュキは素早く信号を探した

行き先はどこでも良い。今はとにかく、どれでも良いから信号にタダ乗りしてこの情報の山を歩き回る必要がある

光の速度で行き交う情報のシグナルの一つに、彼女は偽装プログラムと透過プログラム。そしてマーカーを構えて飛び乗った








 

「・・・・・これで後は、シュキちゃんの報告待ち。か」

「あぁ、いつかキースが言ったけど、あの子は本当に三階級くらい特進しても罰は当たらないだろうな」

「電子情報戦略課課長待遇でもまだ安いかも」

 

赤毛の少女を頼もしく思うと同時に、疑念も抱いてしまうグレン小隊の三名+フェンナである

彼女はクランの教え子。という事だが、クラン・ネルモアが今現在オペレーターとして勤務しているのは、

視神経に負った障害の為に、パイロットとして不適格となったからだ

その後、パイロットからオペレーターとして後方に転属となり、現在に至る

言うまでもなく、クランは元々パイロットであって、オペレーターではなかった筈なのだ

そして今、シュキが見せている電情戦の手腕は、スパイ養成課程の中に含まれる教育プログラム程度から修得できる物ではない

電子の世界における彼女の実力は、最早存在そのものが驚異になりうるレベルと言っても良い

兵器で例えるならば戦略級兵器だ

 

断言できる

シュキは、クランの教え子ではない。少なくとも電情戦の分野に関しては

 

「・・・・・マジで、何者なんだろうな。あの娘」

 

真剣な顔で、キースが呟いた

グレンリーダーも、彼と同じく真剣な表情だが、アイリだけはお気楽に切り返した

 

「え?何言ってんのキース。シュキちゃんはシュキちゃんじゃない」

「あぁ・・・・・そうだな。その通りだ」

 

アイリの答えに渋面を作るキースと、そんな様子を不思議そうに見ているアイリを見比べて、

グレンリーダーは苦笑を拵えた

 

「あの娘は、クラン中尉の教え子の、シュキ・オールティー伍長だ・・・・・それ以外の、何者でもないさ」

 

その言葉に、キースもフェンナも小さく頷いた

今は、彼女の素性などを気にしている場合ではない。彼女を、信じるだけだ

 

「さて、と。フェンナ、アイリ。留守番を頼む。キースはちょっと付き合ってくれないか?」

 

いきなりグレンリーダーは踵を返し、そう言い置いて通信室から出て行こうとする

一軍の総大将がこんな時に何処へ行くというのだろうか

指名を受けたキースだが、慌ててグレンリーダーを呼び止めた

 

「た、隊長、どっか行くんスか?」

「あぁ、今後の作戦のことで、少しな」

「少し、って・・・・・何処へです?」

 

フェンナと共に留守番役を仰せつかったことが不満なのだろう

アイリはどことなく刺々しい視線でグレンリーダーの真意を見抜こうとするが、

どこか不敵な彼の微笑に目を奪われただけだった

 

「何、ちょっと知り合いの所へな」

 

その言葉を最後に、グレンリーダーと、慌てて彼を追い掛けるキースは、アイリとフェンナを残して通信室を後にした

シュキの指先がキーボードの上でけたたましく踊る音を背景に、二人は顔を合わせて呟いた

 

「「・・・・・知り合い?」」













 

<ヴァリム軍拠点>

 

「ったく、一体どういうことなんだよこいつぁ!」

「マイ、同じ台詞をもう何度も聞いたわ」

「何度も言ったことくらい憶えてるよ!怒鳴らねぇと、腹が立って仕方無ぇんだっ!!」

 

マイのように口にこそ出さないが、そこに居並ぶ暁闇小隊と、ダークアームドやシンザン等に乗っていたパイロット達は、

皆、同じ様な感情を抱いているだろう。マイを窘めているユイだって、内心は似たようなものなのだ

 

ベリウム・ヴァレリウスの唐突な裏切り。そして、彼の駆るPFがもたらした圧倒的な破壊

グリュウが出撃前に言っていた、「ベリウムの企み」の正体は、考えられる中でも最悪の、最もろくでもないものだった

 

「祖国を裏切り、全世界への宣戦布告。笑い飛ばせないのが悔しいわね」

 

ユイが自ら「悔しい」等という言葉を使うのだから、相当なものなのだろう

事前にある程度をグリュウが察知し、その予兆を知らせてくれたというのに、自分は何の調べも探りもいれなかった

戦闘直前だったという状況を考えれば無理も無いのだが、己の怠慢もこんな事態を招いた一因なのだと思うと、

まず自分を殺したくなるほどの激情がわき上がってくる

 

「・・・・・二人とも、ひとまず落ち着け」

 

先程から、巌の様に押し黙っていた男が、ゆっくりと口を開いた

地面に胡座を掻いて座り込んでいた彼、グリュウ・アインソードはゆっくりと立ち上がり、言い聞かせるように言葉を紡ぐ

 

「現状に於いて、ベリウム・ヴァレリウスの叛意は明白だ。これに対し、我らは何を為すべきかを決めなくてはならん」

「隊長、軍本部の指示は、仰がれたのですか?」

 

車座に座り込んでいる暁闇小隊の隊員の一人がそう問うてきた

それに対しグリュウは小さく頷く、が

 

「軍部も、評議会も、相当に混乱している様だ。具体的な指示など無かったな」

「多分、三国の中で一番狼狽えてるのがウチだろうなぁ・・・・・ちぇっ」

 

マイが悔しげに呟き、足下の石ころを蹴飛ばした。ちなみに彼女の言葉は正解である

最初は、ヴァリムのお偉方はGエリアからの砲撃がアルサレア領を吹っ飛ばしたと聞き、小躍りに喜んだのだ

これでアルサレアを潰せる。と

だが、次の瞬間、ベリウムは己の祖国を含めた全世界に喧嘩を売ったのである

天国に登る様な気持ちで地獄に叩き込まれたヴァリム上層部の連中の気持ちは、推して知るべし

 

「まぁ、政治畑の人間の都合などはどうでも良い。重要なのは、我らが今、何を為すべきか。という事だ」

 

グリュウの語気に、獰猛な戦意が宿った

それを敏感に察した一同は、自然と身を固くして、隊長の言葉を待つ

静まりかえった一同を前に、グリュウはゆっくりと、気を吐くように言葉を吐いた

 

「我らが選べる選択は二つ。投降か、あるいは抗戦か、だ。
いずれにせよ、ベリウムが指定した時間制限がある以上、悠長に本土の指示を待っているわけにもいかん。奴とて本気であろうからな。
さて・・・・・意見を聞こう」

「「徹底抗戦!!!!」」

 

即座に声を上げたのは、マイとダンだ

二人の率いる暁闇小隊と煉獄小隊の子分共も、持ち前の血の気の多さを発揮して年若き指揮官の言葉に賛同を示す

そんな様子に、グリュウは小さく口元を歪めたが、堅い口調で逆に二人に問い掛けた

 

「お前はどうしてそう思うのだ?マイ」

「嘗められっぱなしってのが、我慢ならねぇからさ」

 

単純明快にして一刀両断な結論である

ふむ、とグリュウは喉の奥で唸り、今度は少年の方に隻眼を向けた

 

「お前はどうだ?ダン。何故抗戦を選ぶ」

「・・・・・裏切り者は、許さねぇ。絶対にだ!!」

 

常に無い気迫を漂わせるダンの姿に、ルキアは渋面だ

彼の発言には、かつての親友の存在を垣間見せている

 

「・・・・・もう、駄目なの・・・・・?」

 

ルキアは小さく呟いた。誰にも、自分の耳にさえも殆ど聞こえない程度の声で

一方グリュウも、血気盛んな少年の姿に、何か様子のおかしい感じがしたのだろう

だが、敢えて言及はしなかった

 

「ユイ、サーカム少尉。二人の意見は」

「・・・・・二つの条件付きで抗戦。その条件が満たせない場合は投降を選択します」

「投降を選択、って、おぃ本気かよユイ!」

「本気よ」

「それで、その条件とは何だ?」

 

喰ってかかろうとするマイを押しとどめて、グリュウは尋ねた

ユイは手にしている書類から顔を上げず、紙面に踊る文字と数値から検討しているのだ

 

「一つは、司令部の防衛施設の問題です。現在司令部は強力なエネルギーフィールドを展開している為に、
外界からは完全に遮断された状態にあります」

「突破は、まず不可能と考えてください。私達の隊も、何人かが脱出に間に合わずに、
フィールドに触れて機体が大破していました」

 

ユイと同じく書類を手にしているルキアが、眉根を寄せた顔で警告した

流石に、頭に血が上った子分共も少し冷静さを取り戻してきたらしい。不安げな呟きが小さく聞こえてきた

 

「どっかに抜け道とか無いのかよ、ソレ」

「あると良いわね・・・・・地下搬入路の類は存在するようですが、こちらは調査してみなくてはわかりません。
その結果次第ということです。隊長」

「外部から強制的に解除することは不可能なのか?」

 

グリュウの問い掛けに、ユイは首を横に振った

溜息のような調子で言葉を吐き出す

 

「私では如何ともし難いです。
第三者からの接続は全て遮断されているでしょうし・・・・・神佐でもいれば話は違うのでしょうが・・・・・」

 

神佐こと、ヴァリム軍特殊諜報部所属:フォルセア・エヴァ神佐は、PFを操らせてもかなりの腕前だが、

所属が諜報部だけに、本業はPF操機よりも情報戦、特に電情戦において彼女は超一流の手腕を持つ傑物である

人柄は好かないが、優秀な人材であることに間違いは無い

 

「ここにいない人間の事を言っても仕方が無い。それで、二つ目は?」

「もう一つ。二つ目の問題は私達の戦力が不足している。という点です。
殆どが未知数であるベリウムの乗機:素戔嗚(すさのお)のスペックと、今ここにいる全機の武装・機体状況を比べてみたところ、
まず勝ち目はありません」

「んなもん数値を突き合わせただけの結論だろうがッ!!」

「お前ウルセェよ」

 

獅子吼するダンの後ろ頭に、マイの裏拳が炸裂した

その細腕にどれほどの膂力が秘められているのだろうか。ダンは殴られた後頭部を押さえて声も無く悶絶している

 

「・・・・・つまり、ユイ。お前は投降を選ぶべきだと考えているのか?」

 

というグリュウの問いかけにも、ユイは小さく首を振り、

 

「投降そのものが受け入れられない可能性も考えられます。
状況は最悪を極めていますが、降伏が許されないのならば、命ある限り戦うのみです」

「ならば、決まりだな」

「って、隊長の意見は無いのかよ?」

 

早々に決断した様子のグリュウに、呆れ顔のマイが問い掛けた

その言葉にグリュウは、ニヤリと、獰猛な笑みを浮かべ、

 

「決まっている。何としてもベリウム・ヴァレリウスを止めるぞ」

 

その言葉に、獰猛な笑みが全員に伝播した

気心の知れた連中のこことである。グリュウの考えくらい本当は判っていただろう

彼が、無理を強いるつもりはなかったということくらいは

 

「ユイ。現状の問題点は、司令部のエネルギーフィールドの存在と、素戔嗚(すさのお)と交戦するにあたっての戦力の不足。
この二つということだな?」

「・・・・・もう一つ、あります。それは」

 

思案顔を上げて、ユイが呟いた。続く言葉を述べるべく唇を開き掛けるが、

グリュウは彼女が言うよりも早く、続く言葉を口にしていた

 

「アルサレア、だろう」

「はい」

「あ〜、忘れてたなぁ」

 

珍しく、困り顔のマイが金髪を掻き上げながらそうぼやいた

ダンは眼差しの剣呑さを強め、ルキアは何となく彼から目を逸らす

程度の差はあるが子分共もマイと同じ様な反応だ

だが、グリュウは笑っていた

 

「少しは柔軟に頭を使えないのかお前達は。マイ、目下我らの敵は何だ?」

「ベリウムの奴だろ?それとアイツにくっついてる勢力だ」

「ユイ、現状に於いてアルサレアが最も敵視していると思われるのは我々ヴァリムか?」

「いいえ、ベリウムの宣戦布告はフィアッツァ大陸全土に対するものでした。今、我々を重要視している暇は

 

そこで、ユイの言葉はぷっつりと途切れた

判ったのだ

グリュウが何を考えているのか

自分では、自分達では決して思いつくことができない発想を、思いついてはいけない考えを、グリュウは考え、

そしてそれを、実行しようとしている

ルキアも判ったようだ。何故か顔を輝かせて、期待を込めた視線をダンの方に向けている

訝しげな視線を向けてくる妹と子分共を尻目に、ユイは珍しく溜息を滲ませながらグリュウに尋ねた

 

「・・・・・念の為確認します。隊長、本気ですか?」

「心配するな。通敵容疑の処分くらいは覚悟している。今度は少尉になるかもしれんが・・・・・
まぁ、ここに至ってそんな些事を気にしてはいられないからな」

「隊長のお考えは全面的に支持します。ですが、向こうが乗ってくるかどうか・・・・・」

「なぁ、二人で何の事を言ってるんだ?さっぱりわかんないんだけどよ」

 

そしてグリュウは、あっさりと己の考えを口にした








 

「アルサレアと共同戦線を張る」

「反対だ!!!!!!」

 

誰もが驚愕から脱せぬ中、ダンだけが即座に怒鳴り声を上げた

憤怒に燃える眼差しでグリュウを睨み上きいね、挙げ句彼の襟首に掴みかかってみせた

双子は即座に彼を引き剥がそうと身構えるが、グリュウはそれを視線で制す

 

「見損なったぞ!!アンタにはヴァリムの誇りは無いのかよ!!アルサレアの手を借りるなんざ絶対に御免だ!!」

「・・・・・ダン、お前が反対する気持ちはわかる」

 

グリュウは穏やかに、言い聞かせるように言葉を紡ぐが、怒髪天を衝くダンに聞こえているかどうか

 

「だが、ベリウムを討ち果たすには、互いを信頼して力を合わせる必要がある。私情は挟むな」

「・・・・・信頼、するのか?アルサレアなんかを。敵を信じるくらい馬鹿な事はねぇだろ!!!」

「無理を強いるつもりは無かったが・・・・・ダン、お前は参加するな。命令だ」

「誰がアルサレアとの共戦なんかに参加するか!!!それくらいなら一人で行く!!!」

「ならば、煉獄小隊とサーカム少尉を借りるぞ」

 

舌打ちを一つして踵を返し、困惑顔の子分共を突き飛ばすようにはね除けながら大股に歩み去るダンであった

グリュウの考えに一縷の希望を抱いていたルキアだったが、やはり、ダンの頑なな心は動かなかった

彼女自身も、若干の抵抗はあるが、ベリウムの存在が共通の敵である以上、一時的な協力関係を結ぶことに異存は無い

ルキアは立ち上がって、グリュウに敬礼を向けた

 

「了解しました。煉獄小隊はアインソード中尉の指揮下に入ります」

「頼む」

 

首肯する“黒夜叉”の姿に、ルキアはかつて無いほどの、身が引き締まるような緊張を感じた

が、その直後、グリュウの後ろからひょっこり顔を出したマイがお気楽な調子で話し掛けてきたではないか

 

「よく考えれば、あたし等以外の女指揮官って珍しいよな」

「え、えぇ、そうですね。よろしくお願いします。キサラギ中尉」

「悪ぃけど、“キサラギ中尉”は二人いるんだ。あたしはマイで良いぜ?」

 

いきなり、「双子の悪魔」に親しげに話し掛けられて面食らうルキアだったが、何とか敬礼だけは忘れなかった

確かに、アルサレアに比べて、ヴァリムの女性士官は少なく、それが指揮官クラスの階級となると稀少とさえ言える

その数少ない存在に、双子と、ルキアが含まれている

マイは早速好奇心旺盛な様子で、同世代の同性という軍では稀少な存在にあれこれ質問を投げ掛けていた

ルキアの方は若干堅い表情だが、マイの大雑把な人柄によるものか。上官相手の対応としては柔らかい方だ

屈託の無い“娘”の姿を見やるグリュウに、ユイが小さく話し掛けてきた

 

「隊長。甘くはないですか?」

「・・・・・ダンのことか?」

「はい、ロンシュタット少尉の行動は、罰則規定が当てはまる暴挙です」

 

上官に掴みかかったのだから、それはそうだろう

だが、グリュウは苦笑いを浮かべてダンを弁護した

 

「確かに、少々甘くしているかもな・・・・・だが、アイツにはアイツの事情があるのだ。
私に免じて、大目に見てやってくれ。頼む」

「・・・・・隊長の御言葉ならば」

 

不満げな様子ではあるが、一度納得したならばユイは決して同じ話題を蒸し返したりはしない

即座に氷の仮面のような冷貌を取り戻し、本題に入った

 

「共同戦線の申し出、アルサレアの拠点に通信を求めましょうか?」

「いや、場所は判っているのだ。私が直接出向こう。一人で、丸腰なら、アルサレアとていきなり撃ってくるようなことはあるまい」

「危険です。おやめください」

 

そう言った瞬間には、彼女の繊手はグリュウの上腕を握り締めている

その細腕からは想像もつかぬほどの力だった。口から出た言葉以上に、その手が語っている。決して、行かせはしない。と

腕を締め上げる意外な力に驚きながら、グリュウがユイの方を振り返る

いつもと変わらぬ氷の仮面。だがその下から滲み出るのは、正真正銘の“怯え”だった

その事に、グリュウは言葉を無くす

 

「ロンシュタット少尉ではありませんが、アルサレアとは敵対関係にあるのです。
隊長の行動は、軽率で、無防備過ぎます」

「しかし、だな」

「駄目です。絶対に許しません」

 

いつになく頑ななユイの態度に疑問を憶えるグリュウだが、彼女の小さな、本当に小さな呟きに、ようやくその理由に気付いた

 

「・・・・・あの時、隊長は私達を置いていきました。あの時の苦しさと、悔しさを、今一度味わえと言うのですか」

 

バトルヒューマノイドとして“創り上げられた”ユイとマイには、“恐怖”などという生温い感情は持ち得ていなかった

だが、グリュウと出会って、暁闇小隊の副隊長として、戦争だけではなく、生活をする中で、双子は知ってしまったのだ

恐怖を、大切な存在を喪う恐怖を

己の命の危険などは決して顧みはしない。だが二人のバトルヒューマノイドは、大切なものを亡くすことを何よりも恐怖する

双子に今の全てを与えてくれたグリュウ・アインソードは、その大切な存在の筆頭格なのだ

新しく芽生えた感情だけに、心を支配する力は強烈だった

 

「今すぐ考えを改めてください。さもなくば気絶させてでも隊長を止めます」

 

大袈裟なことを言うな。とグリュウは言おうとしたが、ふと視線を巡らせるとルキアと話し込んでいた筈のマイの姿が無い

 

居た

 

後ろから右上腕を掴むユイとは反対に、左後方にはマイが静かに佇んでいた。掌がさりげなく平たい拳を作っている

共感覚で声も無く伝えたのだろう。何と言ったのかは知らないが、その視線は敵にさえ見せないほどの怒りで満ちている

どうやら、本気らしい

 

「・・・・・わかったわかった。一人で丸腰というのはやめる。だからそろそろ放してくれ」

 

溜息の様な口調でそう言いながら、グリュウはユイの指先を引き剥がした

恐らく、パイロットスーツの下で痣になっているであろう上腕を撫でながら、グリュウはもう一度心の中で盛大な溜息をつく

アルサレアの陣営に赴き、グレンリーダーに面会を求めて共闘を申し出るつもりだったが、

グレンリーダーを説得する前に、どうやら目の前の二人の副官を説得する必要があるようだ

どうしたものかと頭を捻っていると――――

 

「隊長!」

「ん、どうした。ベル」

 

かつての副官にして今は一兵卒。そして“親衛隊長”とも綽名されるベルモット・ケイが慌てた様子で駆け込んできた

グリュウと双子の間の張りつめた空気を敏感に感じ取ったようだが、それについては何も言わず、

ぜぇぜぇと荒い息をつきながら、驚くべき言葉を口にした

 

「ア、アルサレアから通信が入りました!」

「何!?」

「軍曹。内容を」

「あ、はい。何でも話し合いをしたいとか。使者を一人、こちらへ向かわせているとのことです。
レーダーエリア内に、それらしき機影を一つ確認しております」

 

グリュウには、その使者というのが誰なのかさえわかるような気がした

あいつは、そういう奴だ。と彼は断言できる

 

「話し合いに応じると返答しておいてくれ。全員におとなしくしているように伝達を頼む」

「一人、騒ぎ出しそうなのがいるけど、どうすりゃ良い?」

「・・・・・マイ、頼めるか?サーカム少尉と二人で見張っておいてくれ」

「りょーかい」

 

マイがルキアを捕まえて小走りに走り去っていった

ベルとグリュウのやり取りが聞こえた他の連中が、困惑も露わに慌てふためいている

 

「隊長、まさかとは思いますが・・・・・」

「あぁ、案外、同じ様なことを考えた者がいるらしいな」

「・・・・・グレンリーダー、でしょうか」

「さぁ、な」

 

とぼけた答えを返すが、グリュウには確信に近い予感があった

そして、空の向こうから機甲の翼を打ち振るう白銀の機体が現れた時、

確信に近い予感は、確信に変わった









 

コクピットから降りてきたのは青年だった

グリュウ以外の者達からすれば驚くべき事に、その青年はアルサレアのエース:グレンリーダーその人である

彼一人を殺害する為“だけ”にサーリットンでフォルセア・エヴァ神佐は茶番を演じ、残念なことに失敗していた

そうまでしてでも殺したいほどに邪魔な存在。アルサレアのエースパイロット

誰もが、その姿を呆然と、あんぐりと大口を開けて見守る様を一通り眺め、彼は軽く片手を上げて挨拶をした

それに倣って、グリュウも同じ様な挨拶を返す

 

「よぅ」

 

あまつさえ、そんな気軽な言葉まであった

 

「こうして、実際に顔を合わせるのは初めてだな。アルサレアのエース」

「あぁ、モニター越しなら何度も見てきたけどな。ヴァリムのエース」

 

両国家の最強のパイロット同士は、顔を見合わせて何故かわははと笑う

まるで旧友と話すような気楽さで、二人は和んだ空気の中にいた

 

「さて、では用件を聞きたい。わざわざここまで世間話をしに来たわけではないのだろう?」

「それも楽しそうだがな。じゃぁ単刀直入に行こう。力を貸して欲しい」

 

すっぱり、とグレンリーダーは言った

やはり、と思うべきか。そこら中でどよめきが上がる。ユイも表情には出さないが内心では驚いていた

そしてグリュウは、唇の端が笑みの形に吊り上がらぬよう必死に我慢している

弾みそうになる口調を、何とか低く押し殺した調子で威嚇するように言葉を紡ぐ

 

「我らはヴァリム。お前達アルサレアの宿敵とも言える。その我らに力を貸せと言うのは本気か?」

「本気だ。無論、タダで手を貸してくれなんて虫の良い話はしない」

 

真摯な口調で、グレンリーダーは自分の胸に手を当てて、グリュウを真っ直ぐに見て、こう言った

 

「事が終われば、俺の首をやっても良い。それでどうだ?」

「なッ――――!!」

 

その言葉が広まるにつれ、爆発的な勢いでざわめきが増してゆく

アルサレアのエースが、己の命を差し出してでも、ベリウムを止めたいと言ったのだ

狼狽えるなという方が無理である。グレンリーダーはヴァリムにとって最大の強敵なのだから

 

「正気か?アルサレアのエース!貴様は・・・・・!!」

「勿論、命は惜しいさ。死なずに済むなら死にたくはない。
だけど、俺程度の命で共同戦線の約束ができるなら悪い条件じゃないさ。ヴァリムが力を貸してくれるなら、勝てない相手じゃない」

 

笑みさえ浮かべて、グレンリーダーはそう言った

そんな宿敵の様子に、グリュウは堪らず吹き出した

我慢の限界を超えた笑いの衝動は瞬く間に全身を駆けめぐり、彼はひとたまりもなく笑い出した

 

「全く・・・・・貴様とはどこまでも気が合うようだな!私の企みと全て同じ事を言ってくれる!!」

 

誰もが呆気に取られる中、グリュウは目尻に涙を浮かべるほど大笑した挙げ句にそう言った

 

「はぁ?」

「た、隊長!?」

「わからんか?私も先程アルサレア本陣に赴き共同戦線を申し出ようとしていたところだったのだ!
アルサレアのエース。貴様ならばその申し出を無下に扱う筈がない。何なら私の首を引き替えにしても良い―――
そこまで考えていたのが馬鹿馬鹿しいようだ。貴様も同じ事を考えていたとはな!」

「で、では!」

 

共同戦線を張ってくれるのか!

グレンリーダーが顔を輝かせるが、グリュウは

 

「しかし、条件を一つ出させてもらう!」

 

万軍を震え上がらせる黒夜叉の一喝である

一瞬前の喜色を引っ込めて、グレンリーダーは硬い面持ちを作った

グリュウは、満面に獰猛な笑みを浮かべ、

 

「事を為した後に、一勝負したい。何人たりとも邪魔をさせぬ一騎討ちだ」

 

その言葉が全員の耳に染み渡るまでには数秒の時間が必要だった

 

「誰にも手出しはさせん。対等の条件での勝負を所望する。どうだ、受けて立つな?」

 

水を打ったように静まりかえる中、グレンリーダーも獰猛な笑みで受けて立った

 

「誇りに賭けて、受けて立とう」

 

そう言って、グレンリーダーは腕組みをしているグリュウに手を差し出した

一時的な関係とは言え、協力してベリウムと戦うのだ

その証として、握手を求めたのだが、グリュウはその掌を不機嫌気に睨み下ろし、唇を捲り上げて怒声を叩き付けた

 

「勘違いはするな。アルサレアのエース!
我らは我らの祖国たるヴァリムと、そこに住まう全ての者達の為に戦うのだ!断じてアルサレアと馴れ合うわけではない!
事が終われば、我らは再び敵対関係となる。それを、忘れるな!!」

 

そう言われてしまうと、グレンリーダーとしても所在なげに差し出していた手を引っ込めざるを得ない

もしかしたら、これがアルサレアとヴァリムの、和平に繋がるきっかけになるかもしれないと、一縷の希望を抱いていたのだ

相手がグリュウ・アインソードならば、もしかしたら、と

だが、現実はそんなに甘くなかったようだ。小さく溜息をついて、差し出した右腕を引き戻そうと








 

した瞬間、不意に掌を力強く握り締められた

 

驚いて顔を上げると、そこには獰猛な笑みを浮かべたグリュウが、右腕を伸ばして自分の掌をがっちり握っている

柄にもなく照れたような顔で、グリュウは言い訳のように付け加えた

 

「まぁ・・・・・それまでは休戦だ。よろしく頼む。アルサレアのエース」

 

グレンリーダーもまた、獰猛な笑みを返して、がっちりと、力一杯ごつい掌を握り返した

 

「感謝する。グリュウ・アインソード大尉」

「・・・・・今は中尉だ」

 

その言葉に、表情を曇らせるグレンリーダーであった

グリュウがどれほど勇猛なパイロットであるかは、良く知っている

だからこそ、降格されているというのが納得できなかったのだが、グリュウはそんな思惑など知らぬげに笑いながら言った

 

「しかし貴様も大胆なことをする。止める者は居なかったのか?」

「居るさ。だから黙って来た。帰ったときに2、3回殴られるのは覚悟してる」

 

苦笑いを張り付けて、グレンリーダーはぼやいてみせた

口ではそう言ったが、殴られる程度で済めば上々だろう

そしてグリュウは、その言葉にまた呵々と笑い、

 

「そうか、私も黙って行けば良かったな」

「良かねぇよ」

 

ドスのきいたマイの脅しに、冷や汗を流す羽目になった

ユイは黙ってグリュウの腕に指先を這わせて、思いっきり抓っている

 

「・・・・・すまん、私が悪かった」

 

心から詫びるグリュウである

そんな、ヴァリムのエース達の様子を汗ジトで眺めるグレンリーダーだったが、気を取り直したようにグリュウに告げる

 

「今後の作戦の都合は、できるだけ早く連絡する。もう少し調査に時間をくれ」

「頼む。こちらでもできる限り進入経路などの調査を進めておこう」

 

もう一度、掌を握り直し、二人は互いに背を向けた

その背中に、振り返ることなくグレンリーダーは言う

 

「じゃぁ、また後でな」

「あぁ」










 

「待たせたな、キース」

『お疲れさん・・・・・でもこれっきりにしようぜ。心臓に悪ぃからよ』

「あぁ、すまなかった。お前しかこんな役頼めそうに無かったからな。今度一杯奢ろう」

『ベリウムにオルフェンが吹っ飛ばされてなけりゃね・・・・・しっかし、ホントに隊長の言う通りに事が進んだなぁ』

「信用していなかったのか?」

『当たり前だ!下手すりゃ殺されてるところだったんだぞ!!』

 

キースは、被っていた偽装ネットを投げ捨て、しがみつくように構えていた対重装甲ライフルをなげやりな格好で肩に担ぎ上げた

彼は、ヴァリムの陣地が見下ろせる山の天辺で、ライフルを構えて狙撃準備姿勢にあったのだ

最悪、グレンリーダーが殺された際にそれを見届けて報告するためと、報復の一発を叩き込むために

結果として要らぬ心配だったが、できればこんな役回りはもう二度と御免だった

 

「まぁ、ヴァリムの協力は取り付けられたんだ。あとは、こっちの部隊を説得しなきゃな」

『その前に、お姫様方のご機嫌取りが先じゃねぇの?』

「・・・・・ぅっ」

 

考えるだけで胃に穴が空きそうに思えた

怒り狂う二人の少女と、ベリウムの素戔嗚(すさのお)。一体どちらが強敵か・・・・・



 

案の定、基地に帰ったグレンリーダーはフェンナに泣きつかれ、アイリに本気で叩かれた

医務室送りにならずに済んだのは、万に一つの僥倖といえよう








 

およそ一時間後・・・・・







 

『楽にして聞いてくれ。長くなる』

 

集結したアルサレア所属の全PFに、グレンリーダーは通信を繋ぎ、そう言った

頬が微妙に腫れているので格好がつかない有様だが、アイリの一撃が平手でなく拳だったなら、これが青痣になっていただろう

奥歯の一本も抜けていたかも知れない

だが、そんな彼の様子を笑う者などいない。モニターに映る顔はどれも疲労の色が濃い、諦めさえ漂う雰囲気の者ばかりだったからだ

世界の終わりだ。そんな声さえ上がっているらしい

 

『あまり時間が無い、敬語だの堅苦しいのは抜きだ。
既に知ってるとは思うが、ベリウム・ヴァレリウスはフィアッツァ大陸全土に対して宣戦を布告した。
ヴァリムも含めて、だ』

 

最後の一言に、困惑の表情を浮かべる者は多かった

高エネルギー収束帯による超長距離射撃がカシュー平原を焼き尽くしたことは知っている

そして、脅迫の言葉を短く告げたことも、殆どの者が知っていた

だがそれは、アルサレアとミラムーンに対してのもの。と思いこんでいた者が、当たり前のことだが大半だったのだ

 

『要するに、奴は世界の全てを敵に回したわけだ。そして、世界の全てを屈服させるつもりでいる。
無論、我らはフィアッツァ大陸に住まう全ての隣人の為に、これを阻止せねばならない』

 

表情を引き締める者もいるが、声高に嘆いた者も多い

無理もないか、と内心では思う

状況を鑑みて、普通なら勝算があるようには思えないだろう

潮騒の様なざわめきから、徐々に抗議の声が大きく聞こえてくる

“俺はまだ死にたくない”何て言う言葉まで耳に届いてきた

その有様に、グレンリーダーは唇を噛む。戦意喪失の果てに敵前逃亡する者が居たとしても引き留めるつもりはなかったが、

まさか、これ程までに、全軍の士気が崩壊していたとは思わなかったからだ

 

(・・・・・ヴァリムとの協力も、無駄になるか・・・・・?)

 

内心に浮かんだ考えを即座にうち消す

ここまできて、尻尾を巻くわけにはいかない

覚悟を強いるのは本意ではないが、そうしなければならないのだろうか・・・・・臍を噛むような思いをしながら、思案していると








 

『―――― 皆さん、聞いてください』

「フェン、ナ・・・・・!?」

 

ざわめきが、凍り付くように消え失せた

全機のモニターに映っているのであろう、そこには、アルサレアに籍を置く者なら知らぬ者はいまい

前戦役の最中に新首相に就任した、前将軍の愛娘、フェンナ・クラウゼンの姿があった

グレンリーダーの記憶が確かなら、先程まではフェンリエッタ・クローヴィスに変装していたはずなのだが、

伊達眼鏡も長髪のウィッグも外した、素顔を晒している。オペレーターの制服のままで

 

『今、間近に迫りつつあるフィアッツァ大陸の危機を打ち破ることができるのは、私達しかいないのです』

 

私達、という言葉を、鼻で笑いそうになる者も居た。首相閣下はオルフェンの執務室だろう。と思っていたからだ

だが、その鼻息は鼻腔から出る直前で凍り付くことになる

彼女の後ろ、まん丸に目を見開いて彼女の背中を見守る大勢のオペレーターの姿が目に入ったからだ

つまり、彼女が今、何処にいるのか。わかったからだ

 

首相閣下は、そこの奪取した基地の、管制塔に居られる

 

その事実に気付いた者は例外なく言葉を亡くし、この場にアルサレアのトップ二名が居ることに頭を抱えた

グレンリーダーは元々軍人であり、特務小隊の隊長を務めていた。現在は将軍職にあり、前線で戦っているというのは不思議ではない

だが、フェンナは首相。アルサレアの権力構造の頂点に位置する存在だ

それが何故、こんな最前線にいて、オペレーターをしているのか

あまりに突然な首相の登場に度肝を抜かれた連中は、状況さえ忘れて固まった

 

『ベリウム・ヴァレリウスを止めて欲しい。でも、あれほどの強大な存在を見たことがありません。
皆さんが恐れるのは、当然の事と思います。ですが ―――― 』

 

目を伏せていたフェンナが、眼差しを上げた

そこにあった憐憫は拭い去るように消え失せ、今は強烈な意志の光を輝かせている

決して大きな声ではない、だが、済んだ声音ははっきりと、それを聞く全員の耳に響き渡った

 

『アルサレア、ミラムーン、そしてヴァリム。フィアッツァ大陸に住まう数多の人々の命が今、危険に晒されているのです。
このままでは、私達、貴方達が大切に思う人々を含んだ、多くの無辜の命が消え去ってしまうんです』

 

フェンナの言葉に、声高に嘆いていた連中が顔色を変えた

己の命惜しさを彼女が否定したわけではないが、それ以上に、多くの命が危険に晒されていると言うことに気付いたのだ

自分達の大切な存在、家族、恋人、隣人、同胞。しかし、国家や民族を問わぬ全ての人々に、ベリウムは今、銃を突き付けている

銃を突き付けられている人々はその事実さえ知らず、あと2時間もすれば彼らの命は消え去るのだ

それを阻止できるのが、自分達しか居ない。その事を改めて実感させられた

 

『・・・・・生前、父が良く言っていました。私は、“翼”でなくてはならない。と』

「 ―――― フェンナ」

 

グレンリーダーは、知らぬ間に襟の裏、彼女が縫いつけた翼の刺繍に指を滑らせていた

 

『空には、何の道標も無い。だけど、飛ぶ鳥は全て虚空を羽ばたく翼を持っている。未知の空間を恐れぬ勇気を持っている』

 

先程までのざわめきはどこへやら

今は満場咳き一つなく、フェンナの言葉に聞き入っている

誰もが、魂が引き付けられることを感じるように。フェンナの語り口調は決して流暢ではないし、

一国の首相が語るに相応しい内容でもない。だが、その訥々とした語りは、彼女の心を切実に訴える

 

『今、私達が地に墜ちれば、後に続く群も地に墜ちてしまう・・・・・お願いします、命令ではありません、“お願い”です。
恐いでしょうし、苦しいでしょう。だから、負けても良いんです』

 

負けても良い。その言葉に、波紋のようなざわめきが走った

 

『アルサレアの為とか、そんなのじゃ無くて良いんです』

 

アルサレアの為じゃ無くても良い。その言葉に、またもざわめきが走る

彼女の言う言葉は、言うなれば兵団と自己の存在の否定だからだ

“負けても良い”戦争ならば、兵士なんて必要無い

“国のことなんかどうでも良い”そんな事を言う首相は、首相なんてやるべきではない

前戦役で父と姉を亡くしたただの少女は、心から、声の聞こえる全員に訴えた


















 

『貴方達の思う、大切な人の為“だけ”で良いんです。勇気を、持ってください』

 

「フェンナ・・・・・ッ!!」

 

グレンリーダーは、知らぬ間に頬を流れていた熱い涙に、ようやく気付く

何故かは判らない。涙が流れたのはどうしてだろう。感動?悔恨?

強いて言うなら哀しみに近い。だけど、そんな後ろ向きな感情ではない

そんな、言葉では説明のできない思いが、胸に溢れていた

首相が兵士に掛ける言葉ではないだろうに。だが、どんな名将の演説よりも胸に響く、心を熱くさせる、フェンナの願いの言葉だった

グレンリーダーは、袖口で乱暴に拭う。凛々しく引き締まったその貌からは、躊躇いや後悔は微塵も感じさせない

大切な人の為に。心の中で一度呟くと、多くの人々の顔が脳裏に浮かんできた

 

護りたかった、だけど護れなかった多くの人々

そして護るべき、護らなくてはならない多くの人々

 

逃げるわけにはいかない

立ち向かわなくてはならない

その勇気を今、フェンナが与えてくれた

 

『・・・・・私は、私が大切に思う多くの人々の為に、ベリウム・ヴァレリウスを止めたい。皆さんは、どうですか?』

 

言葉を発する者は居なかった

背を向ける者も居なかった

ただ、誰もが、何かが吹っ切れたような、清々しい表情で、笑っていた

その姿に、フェンナもまた同じような微笑みを浮かべる

言葉にこそしていないが、確かに、心を繋ぐやり取りがそこにあった

 

そしてフェンナは目を閉じ、両手を胸の前で組み合わせて、祈りの言葉を口にした








 

『恐怖を越える、翼の勇気が、私達と共にありますように ―――― 』



 

歓声が弾ける

疲労困憊しきった兵士一人一人の意識に、フェンナの願いと、祈りの言葉は、彼らの心に魔法を掛けた

全員の意識に、“革命”とも呼べる程の励ましを与えたのだ

その歓声には自暴自棄の響きも、嘆きの響きも無い。在るのは純粋な闘志の迸りと、勝利を確信したかのような力強い雄叫び

それらは瞬く間に全軍に波及し、大合唱となって基地を震わせるほどになった

恐れるものか、退くものか、誰もがそんな決意を込めて、声の限りに雄叫びを上げる

キースはちょっと困ったような顔をしていたけれど、それでも決意の強さは変わらない

アイリは拳を突き上げて吼え、彼女に続くようにサリアも可愛らしく喉を震わせている

セイバーはやっぱり戸惑っているようだったけれど、周りの歓声に引っ張られるように叫んでいた

熱くなりやすいジータやムラキは勿論、ポーカーフェイスを崩さないランブルさえ同じように吼えている

最初からその境地だったオスコットも、美味そうに煙草を一息吹かしながら相好を崩し、景気づけのように声を上げた

リンナも、空に向かって、空にいる彼女が大切に思う人に届けとばかりに声を張り、

マコトとチェンナも小隊の仲間達と共に手に手に得物を振りかざし、決意の叫びを響かせる

 

過去に類を見ないほどに、アルサレア兵団の士気が沸点に達した瞬間だった

















 

<Side:暁闇小隊>

 

「恐怖を越える翼の勇気が、我らと共にあるように。か・・・・・」

 

眼下にアルサレアの基地を見下ろしながら、グリュウは一人呟いた

彼らの高揚が伝染したのだろうか。いつになく、心が躍っている

 

「 ―――― 良い文句だ」

『隊長、何か言いましたか?』

「あぁ、正直、感心した。まさかアルサレアの士気がこれ程に高まっているとはな」

『先程までの様子からは考えられません。一体、何が起こったのか・・・・・』

「さぁ、な。だが、共に戦えば互いに理解できる部分があるかもしれん」

『なぁ隊長。さてはいっぺんくらいアルサレアのエースと共闘してみたかったんだろ?』

「まぁ、な。そういう気持ちは確かにあった」

『ちぇーっ、あたし達じゃ不満なのかよ。な、ユイ』

『・・・・・そうなのですか?隊長』

「む、むぅ、そろそろ行くぞ!作戦の詰めを話し合わなければならないからな!」

『あ、逃げやがった』

『逃げたわね』

















 

<基地:医務室>

 

「外は、大騒ぎみたいね」

「うん。一念発起、っていうのかな?」

 

クランの呟きを、シュキが引き取って言葉を紡いだ

 

「あたしも、負けていられないね」

「・・・・・シュキ」

「今回ばっかりは聞かないよ、クラン。
あたしは、別にアルサレアだのヴァリムだのっていうのはどうでも良いけど、今は、ベリウムの奴を許せない。
だから、できるだけのことを、あたしにだけできることをやってみる」

 

一瞬、驚きと哀しみが混じった、複雑な顔をシュキに向けてしまったが、言葉にしては何も言わなかった

ただ小さく、クランは頷いて見せた

 

「それと。はい、コレ」

 

そう言いながら、シュキはベストのポケットからクランの眼鏡を取りだした

先の出撃にあたってクランはいつも掛けている眼鏡を置いていったが、実はこの眼鏡、度が入っていない伊達眼鏡なのだ

クランは過去にバールと交戦し、視神経に重障害を負った。ただ、その結果視力そのものに問題は無く、

PF操機等で視神経を酷使すると、神経が“灼き切れる”というものだったのである

それを忘れないための、彼女が自分自身につけた“枷”。それが、この伊達眼鏡だった

小さく笑って眼鏡を掛けながら、クランは言う

 

「私も現場に復帰するわ。コバルト小隊のオペレーターが貴方一人だなんて、危なっかしくて、見ていられないもの」

「・・・・・大丈夫なの?」

「私の目が届くうちは、一人前気取りはさせないわよ」

「えぇっ!?もう卒業って言ったじゃん!!」

「え?そうだったかしら・・・・・?」

 

すっとぼけるクランに、シュキは抗議の声を叩き付けるが彼女は毫も怯まなかった。当たり前か

それよりも、こんな風にシュキが垂れ流す文句を聞くのが久しぶりに思えて、ついつい意地悪な言葉で彼女を煽ってしまうクランである

 

「言った!絶対言った!!もう卒業させてあげるって絶対言った!!」

「記憶に無いわ」

「むきー!!!」

 

余人が見ても決して信じられないだろう

ベリウム・ヴァレリウスを撃破する為、これから展開される作戦は、

クランにからかわれ、顔を真っ赤にして抗議の言葉を地団駄踏みながら叩き付けている赤毛の少女が、



 

彼女、シュキ・オールティーが全ての鍵を握っているとは





















 

<Side:宇宙、シードラボ>

 

「降下ポッドの全システム、オールグリーン。RCTチャンバーへの格納を完了しました」

 

オペレーターシートのカグヤが、肩越しに振り返ってそう言った

勿論、不安はあるが、リーネは少女らしからぬ威厳を込めて小さく頷いた

本来、RCT:レールキャノン・トランスポーターは資材投下用の射出機構であって、人員輸送は想定されていない

02インペリアルと、そのパイロット:シオン・マクドガル中尉を腹に収めたポッドだって、実際に運用するのは初めてだ

はっきり言えば、こんな危ない橋は渡らせたくは無い

だが・・・・・

 

リーネは毅然と顔を上げると、発令席のマイクに唇を寄せて、全館放送でシードラボ中に告げた

 

『こちらシードラボ責任者、リーネ・フォルテです。
本ラボはこれよりRCT使用の為、施設維持、生命維持を除くほとんどの電力供給を一時カットします。
外殻ブロックの全作業員は機密装備の着用を。端末使用中の皆さんは全データの保存を10分以内に完了してください。
えっと、それから・・・・・』

 

免責条文が山ほど書き込まれた書類の束を片手に、リーネは書面を読み上げ始めた

こうした前時代的な段取りが必要なのかと問われれば、その必要性は限りなく疑問であるが、

軍隊的に“正しい行為”を行うためには必要なのであろう

 

言い慣れない単語をたどたどしく読み上げる発令席のリーネを見上げながら、202特務小隊の隊長殿は大きく溜息をついた

 

「本当に、大丈夫なのかな・・・・・」

「大丈夫でしょ」

 

陰鬱な隊長に反して、その隣に並んでいる女性パイロット:クリオは涼しい顔でのたまった

不安そうな顔でブレッドが振り返るが、クリオはひらひら手を振りながら、

 

「あの子は“できない”ことは絶対しない。でも、“できる”自信がある事は絶対にやってみせる子だよ」

「確かに。隊長は主任の実力を少々、過小に評価しているのではありませんか?」

 

丁寧な口調は、バックスだ。いつも冷静沈着な彼は、今も常と変わらぬ様子だった

平坦な口調にも咎めるような雰囲気は無く、どちらかと言うと諭すような響きがある

 

「俺だって、リーネの事は信頼している。だけど・・・・・」

「だけど何なの?」

「・・・・・嫌な、感じがするんだ。こんな風にRCTを使うのは初めてだろう?」

「でも、貨物運搬には何度も使ってるじゃない」

 

クリオがそう言ったとき、そこら中の照明が暗くなり始めた

ほとんどの明かりが消え、モニターの照り返しと、ぽつぽつと灯る薄暗い明かりだけが発令所を薄く照らし出す

エネルギーラインの切り替えが始まったのだろう

シードラボのほとんどの電力をつぎ込んだ電磁加速投射で、シオンを、02インペリアルをのせたポッドを惑星Jに叩き落す

史上初の試みが、これから始まろうとしていた

だが、ブレッドは浮かない顔だ

松葉杖を不器用に操りながら、カグヤの傍まで歩み寄る。シート越しに肩に手を置いて小さく呼びかけた

 

「カグヤ、ちょっと・・・・・良いか?」

「居住区、工廠区の切り替え完了・・・・・何ですか?隊長」

 

レシーバーのマイクを押さえながらカグヤが腰を捻って振り返った

モニターの照り返しを受けて輝く頬と、暗闇に塗りつぶされて見えない表情に、何だか奇妙なギャップを感じる

ブレッドとしては、何気無い呼びかけだったが、クリオは一瞬にして物凄い目付きになったし、リーネは朗読をとちりかけた

 

後ろからその姿を見ていた二人の角度からは、まるでカグヤの振り返り様にブレッドが彼女にキスをしたように映ったからである

実際、振り返ったところにあったブレッドの顔は思いがけないほど近くにあったし、下手をすれば鼻先が触れそうな至近距離だった

 

「えっ?そ、その、いきなり、なんですか?」

 

辛うじて、それだけは口に出せた

高鳴る心臓を必死で押さえるカグヤだが、彼女の気持ち(誤解だが)に反して、ブレッドは生真面目な口調で彼女に問うた

 

「今回のRCT使用で、電力を残すのはどのくらいなんだ?」

「え?えぇっと、生命維持と施設維持のみで、あとはほとんどカットしていますけど・・・・・」

「施設維持、っていうのはどのくらい?」

「制御系統や、非常灯の類みたいな、歩き回るのには支障の無い範囲ですよ」

「つまり、実験施設や工廠設備の電源が落ちる。それだけなのか?」

「あとは、衛星通信なんかに割かれる電力も、通信を維持できるぎりぎりまで落ちます」

 

その言葉を飲み込むまでに、若干の空白が合った

だが、それこそが、おのれの懸念していた“嫌な予感”の実態であったことに気付いたブレッドは、慌てて叫ぼうとして、

 

モニター上で、衛星の一つからの信号が途絶えたことを示すサインを、確かに見た

 

遅かったのだ

 

「クリオ!バックス!202特務小隊総員は直ちに出撃せよ!カグヤは外殻作業員を避難させるんだ!急げ!!」

 

突然の豹変に誰もが呆然とする中、書類の束から顔を上げたリーネが驚いた様子で聞いてきた

 

「どうしたんですか?リーダー君。突然・・・・・」

「リーネ、敵襲だ!!RCTの状況は!?射出を中断はできないのか!?」

「え?えぇ??」

 

バックスがようやくブレッドの言葉の意味を飲み込み、クリオの襟を引っつかんで格納庫へ駆け出していった

カグヤが外殻作業員への連絡を怒鳴り、リーネは書類を抱えたままおろおろと首を振っている

 

「ど、どうしてですか?ここまで敵が接近してきていたのに、レーダー網にかからなかったなんて!」

「RCTの為に、通信系の電力供給をケチったのが仇になったんだ。
いくら衛星のレーダーが警報を飛ばしても、こっちに超長距離通信を受信するだけの電力を残していなかったから!」

 

暗闇の中、途端に騒然となる発令所だが、そんな彼らの様子など露も知らぬ様子で、

リーネの座す発令席のコンソールにシオンの顔が映り、

 

『あの、主任。どうかしたんですか?急に黙っちゃって』

「・・・・・て、敵襲です」

『へっ!!?』

 

惚けた表情を返すシオンの耳にも、ブレッドの声が聞こえてくる

 

「202の総員はシードラボの全周囲を警戒せよ!バックス、クリオ、サタナガ教官はRCT射出口を護ってくれ!!」

 

怒鳴り声を張り上げるブレッドの姿に、リーネも躊躇いを投げ捨てた

無茶は承知で、シオンに言う

 

「マクドガル中尉、良く聞いてください。敵が当ラボに接近中です。規模その他は一切不明」

『機体をポッドから切り離してください!迎撃に加わります!!』

 

予想通りのシオンの言葉を、リーネは

 

「駄目です」

 

の一言でばっさり斬り捨てた

 

「RCTへの電力供給は既に始まっています。これから作業を中断して格納するのにも、少なくとも30分くらいは必要なんです」

 

一瞬、躊躇った。本当に良いのか。と

だが、リーネ・フォルテはシード・ラボの責任者なのである

責任を引き受ける者として、彼女は常に少女らしからぬ決断力を身につけていた

 

「RCTによる強襲ポッドの射出を強行します。降下プログラムの再計算はすぐに済みます。
中尉さんは強行射出の衝撃に備えておいてください。当初の2倍程の出力で発射します。
それだけの速度があれば軌道降下中に敵勢力に狙われることは無いでしょう」

『しかし・・・・・!!』

「マクドガル中尉。貴方と02をフィアッツァ大陸に送り返すことが、私達の使命です。安心してください。
快適では無いでしょうけど、安心して宇宙の旅を満喫してください」

『・・・・・信じて、良いんですね?』

 

緊急時にそぐわぬ、リーネの気楽な物言いに、シオンはやるせなさを感じながら問い返した

苦渋を極めるシオンの表情に、リーネはほやっと笑って見せ、

 

「大丈夫、202特務小隊は精鋭揃いです。決して、中尉さんには指一本触れさせません」

『その通りっ!!!』

 

突然割り込んできたダミ声の持ち主は、バックス、クリオを共にRCT射出口付近に陣取る3機のPFの内の一機

射撃戦仕様のバックス機と、万能タイプのクリオ機、そして宇宙であるというのに完全無武装の格闘戦特化機のパイロット

その名も、ジン・サタナガという元レガルド小隊の隊員だった腕利き

現在は隊員職を辞め、シード・ラボで無重力空間戦闘操機の教官として教鞭と鉄拳を振るうのが彼である

サタナガ教官は豪快に笑い、

 

『安心せぃ、マクドガル中尉!!貴官の無事はこの“侠”の一文字に誓おうではないか!!』

 

良く見れば、彼の駆るPFの肩には、確かに“侠”という漢字がペイントされていた

こういうのはどちらかというとヴァリムの趣味だと思うのだが、それもその筈、彼はアルサレアの軍人だがヴァリムの出自という、

このご時世にしてはなかなかトンデモない履歴の持ち主だったりするのである

 

『まーた始まったわよ・・・・・』

『聞こえたぞクリオ!!このジン・サタナガ!!痩せても枯れてもまだまだ現役よ!!!ふんっ、はァッっ!!!!!』

 

豪快な男が繰り広げる演舞はやはり豪快であった

無重力空間に格闘戦仕様機というのは、最悪な相性の様に思えるがどうしてなかなか

小刻みにブースターを用いて姿勢を完璧に制御し、推進力を乗せた拳と蹴りは確かな破壊力を秘めていそうである

 

『・・・・・教官、もう少し冷静に対処しましょう。熱くなりすぎても良いことはありません』

『甘い!!甘いぞバックス!!貴様はどうにも消極的すぎる!!慎重なのは良いが貴様のは臆病と紙一重ではないか!!!』

『教官の勇猛果敢振りは単なる蛮勇と同義かと』

『ふはっ!言ってくれるわ青二才が!!』

 

豪快な男の笑い声はやはり豪快であった

どことなく、不安そうな顔になりつつあるシオンを励ますように、リーネは声を掛ける

 

「と、とにかく、あと5分ください。ポッドを射出してしまえば、RCTくらい少々壊れても良いんですから」

『少々壊れても、って・・・・・』

「壊れたなら直せば良いんです。機械なんてすぐ直ります。直します。直せます」

 

三回も繰り返すリーネの言葉は嘘ではない

彼女は、シード・ラボの責任者、リーネ・フォルテ主任なのだから

 

「と、言うわけで、あと5分くらいラボのレーダーは役立たずです。機体側のレーダーで対処するしかないので、
皆さん気を付けてくださいね。機体が壊れたら幾らでも直してあげますから、遠慮無くどうぞ」

 

一風変わった鼓舞の言葉に、出撃中の202特務小隊全員から「了解!」との声が返ってくる

これがいつものノリなのだが、202の隊員ではないシオンにとっては、単なる虚勢なのではないかと心配に思えてくる

だが、既に賽は投げられたのだ

出目はどうあれ、駒を進めるしかない

何もできないまま、狭苦しいコクピットの中で、シオンは奥歯を噛みしめた




 

暗黒の宇宙に、爆発の華が紅く咲いていた

















 つづく



 




○用語(誤)集、順不同
・この用語集とゲーム本編は、ほとんど関係有りません
 加えて、想像で書いている部分がほとんどです。あんまり深く考えちゃダメです

 

ジン・サタナガ、教官
・人物
 元レガルド小隊の隊員。アークレルの事故の後、隊員を辞め、教官として籍を置く
 現在もシード・ラボにて無重力空間戦闘操機を後進に叩き込んでいる熱き教官
 豪快な為人で、態度、行動、やはり全てが豪快
 その声は、どう聞いてもマスt

エネルギーフィールド
・リベル本島:ベリウムの居城を守る高エネルギー帯
 原理とか仕組みとか理屈とかは考えちゃ駄目です。触ったらヤバいバリア。とでも









 

後書き

 

・・・・・悩みました
ぶっちゃけ、一月前にはほとんど書き上げていました
ですが、今回の話は、ラストバトルへの序章ということで・・・・・悩みました
推したり敲いたりした結果が、この有様です
皆さんの予想の裏を良い意味で掛けていれば良いのですが、裏掛き過ぎて皆さん引いてるかなー・・・・・という心配もあります
後書きから読んでいる人がいないと信じて、言います

 

グリュウ&双子との共闘は、BTのおまけミッションの中にありましたけど、
そうじゃなくて、アルサレアとヴァリムの共闘を描きたかったんです。その結果、このようになってしまいました
アルサレアとの共闘を約束したグリュウ。条件の一騎討ちを受けて立つと言ったグレンリーダー
未だに意固地なダンと、彼を見守るルキア。ベリウムへの復讐に燃えるジータ。三人は力を合わせて戦えるのでしょうか?
素戔嗚(すさのお)のいる堅固な総司令部に攻め入る作戦の鍵を握るのは・・・・・シュキ?・・・・・大丈夫なのかホントに・・・・・
そして次回は恥ずかしい秘密をバラされたマコトの猖獗極まる復讐劇が!!!(嘘です)

次回は、いよいよリベル本島:素戔嗚(すさのお)戦。決戦です
決戦なのは良いのですが、二部に分かれます(待て)三部にはならないと思いますがその可能性は否定できません(待てぃ)
あまりにインチキで嘘っぱちな展開に読者離れが今以上に進むのではないかと戦々恐々です(待っとけ)

では、続きをお楽しみに・・・・・













 

追伸:シオンの出番・・・・・少ないなぁ・・・・・しかし、モンハンGは面白い。困ったものです(死ね)


 


 管理人より

 T.Kさんよりインターミッション #05をご投稿頂きました!

 まさかこのような流れになるとは……

 少々ダンが気がかりですが、うまく共闘できそうですね。

 最終決戦、シオンがいいとこ取りをしてくれることを願います(笑)







 

 それと読者の皆さんに一言だけ。

 変な所で言ってないで、ちゃんとメールなり何なりで感想を送ってあげて下さいね。

 感想は作家さんにとってやる気の素ですから。
 


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