※この小説には、PS2ゲーム「機甲兵団J−PHOENIX」および「BT」および「コバルト小隊編」にはありえない、
科学的にも無茶苦茶なオリジナルの設定が数多く用いられています。詳しくは、後述の用語(誤)集をお読みください
先にそっちを読んでもOKですが、できればこのまま読み進めて、用語(誤)集を読んだ上で、
もう一度読み返していただければ、筆者としては非常に嬉しいです
しかも、上記に加えてこの辺りから筆者の空想(妄想)の部分が多くなってきます
ぶっちゃけた話、嘘っぱち設定の嵐です。オフィシャル糞喰らえの展開を間違いなく突き進みます
その点に関しては、間違いなく物言いがつくとは思いますが、ゴールの見え始めた話です
せめて、終点に辿り着くまでは、できれば批判は無しで、お付き合いください
ご理解をよろしくお願いします
以上を踏まえた上で、どうぞ、お楽しみください
「おぉぃ、いつまでしょげてんだ?お嬢」
「・・・・・しょげてなんかいません」
「嘘吐け。見りゃぁわかるぞ」
「大丈夫です。いつまでも子供のように落ち込んではいられませんから」
「なぁ、お嬢」
「私は子供ではありません」
冷たく言い放って踵を返すリンナの、あまりに小さな背中に、
オスコットは無精髭をむしりながら小さくぼやいた
「その返事が、子供の証拠だっての」
シオン達がサーリットンへと発ってから、2日が過ぎた日の事である
<ゴスティール山脈、アルサレア前線基地:オペレータールーム>
シオン達がこの基地を発ち、サーリットンに向かってから二日が過ぎていた
かたかたかた
機械的なキーパンチの音が響く
オペレータールームの一角で、真っ直ぐに背筋を伸ばして端末に向かっているのは言うまでもなくクラン
いつもならば、ぶーぶー文句を垂れる教え子に小言の一つも言いながら作業をするところなのだが、今日は違う
静かだ
いつも隣のシートに座っている教え子:シュキは今、シオン達と共にサーリットン戦線へ向かっているのだから
オペレーター業務の作業量は、実際の所彼女一人でこなせないほどの仕事ではない。まして今は待機中なのだし、仕事は少ない
だが、この“有るべきが無い”という静寂の中には一抹の寂しさが漂うのも事実
つい、いつもの癖でこんな一言が出てしまった
「シュキ、コーヒーを頂・・・・・あ」
キーボードに乗せていた手を止める
誰にも聞かれていないはずだが、何となく赤面してしまうクランであった
彼女の白貌は、赤くなると良く目立つ
一息入れようと決めてやり掛けだった作業を一気に片づけ、大きく背伸びをする
「はい、どうぞ」
顔の横に、いきなりコーヒーを差し出された
驚いて振り返ると、珍しく悪戯小僧の笑顔を浮かべているジータが居た
「・・・・・聞いてたのね」
「え、えぇ、丁度入ってきたところだったので」
「一言欲しかったわ、コーヒーありがとう」
ちょっと怒っているらしい
そっぽを向いているのはらしくもなく赤くなった顔を隠すためだろう
理由を聞かれれば、コーヒーが熱かったからだと答えればいい。ジータだったら信じるだろうし
これが、シュキやアイリ。オスコットやキースだったらしばらくからかわれることになるだろうけど
コーヒーに息を吹きかけていると、思案顔のジータが呟いた
「みんな、無事でしょうか?」
「心配?」
「えぇ、あいつも、足引っ張ってなきゃ良いけど・・・・・」
「へぇ、シュキの事が気になってるのね」
「っ!」
仕返しとばかりに、意地悪く、意味深な言い方をしてやる。「心配」ではなく「気になっている」と
案の定、ジータは真っ赤になって、違うんです部隊運用がどうのこうの、オペレーターとしての姿勢がどうたらこうたら
それらの苦情は適当に聞き流しておくことにする
「通信があったわ。最終防衛ラインは無事防衛。これから侵攻作戦に入るそうよ」
「・・・・・そうですか」
その言葉にまたも顔を曇らせるジータだが、どうも誰かさんの意地悪が伝染ったクランは、
彼の表情の変化をいちいち意地悪な受け止め方をしてやる
「安心なさい。あの子に危険が及ぶケースなんて滅多に無いわ」
「だからっ!!違うんです!!隊長や、エルヴィン中尉や、ミカムラ中尉に万が一の「あら?」」
正確には、シュキはその“滅多にあり得ない危険が及ぶケース”の真っ直中にあるのだけど、そこは聞いていないらしい
ま、それはそれ
不意にジータの言葉を遮って、クランは疑問の声を上げた
通信の受信を示すサインが端末のモニターに現れている
怪訝な表情になりながらも、常軌を逸した速度で防壁を展開、同時に逆探知を開始
「中尉?」
「後にして」
逆探知には結局失敗した。光学接続で直接送りつけられたのだろうか?
考えても答えは出ない。だから絶対の自信が有るわけでは無いが、クランは回線を開いた
「・・・・・文書ファイル?」
ジータが気が抜けた表情でそう言った
確かに、転がり出てきたのは文書ファイルが一通だ
だが油断はできない、展開した瞬間論理爆弾が点火するような罠である可能性もある
クランは更にそのファイルを、防壁で十重二十重に取り囲み、意を決して展開した
そして、そこに同封されていたのは、二人を驚愕させるに十分な代物だったのである
素人が見れば、ただの「地図」と「時刻表」と言ったに違いないが、軍属の二人が見ればそれが何かは明らかだった
「これは・・・・・ヴァリムの配置図!?」
「それに、スケジュールまで!どうなってるんだ?こんな情報の漏洩なんて、普通だったらありえないのに!」
「ウィルスの感染は無し・・・・・どうなってるの!?」
混乱する二人だが、先に冷静になったのは意外にもジータだった
「とにかく、ムラキ少尉に連絡しましょう。それから、全員を招集して本部の判断を仰ぐのが良いと思います」
「そうね。少尉は今・・・・・「哨戒任務中です」ありがと・・・・・こちらオペレータールーム、少尉、応答願います」
珍しく焦りを帯びたクランの声を聞きながら、ジータはモニターを眺めている
送りつけられてきたのは、ヴァリムのメイモンデット島駐留軍の配置図と軍のスケジュールだった
目を皿のようにしてそれらを眺めるジータだったが、不意にその視線が動きを止めた
仮面のような無表情のまま、全身が痙攣するように小刻みに震えている
キーボードの上に置かれていた手は、今は固く握りしめられており、クランは彼の様子に気付いて、恐れを抱いた
見たことがないほど、冷たい怒りを湛えた瞳が、そこにあったからだ
何も言わずジータは立ち上がり、大股にオペレータールームを退出してゆく
「あ、ジータ君!」
彼は振り返らなかった
<10分後、ブリーフィングルーム>
「・・・・・また、妙な話が続くな」
溜息を吐き出しながら、ムラキは厳つい顎を撫でている
こんな風に、都合良くヴァリムの情報が送られてくるのはこれで2度目になる
一度目は、セストニア氷原で、敵拠点の所在が送りつけられた
「あの時の情報は正しかったんだし、今回は罠・・・・・かもしれんなぁ、どう思う?」
「真意はともかく、メイモンデット島はGエリアにおけるヴァリム戦力が集結しつつある筈。
ならば、罠だとしてもそうでないとしても、兵団本部への報告と増援を待つべきと思う」
「同感ゾイ」
オスコットの問いかけにランブルが答え、ギブソンもそれに同意を示した
そりゃそうである
現在、Gエリアのヴァリム戦力は占領地域さえも手放して、戦力を集結させているのだから
その、集結させている地域の一つが、そこ、メイモンデット島とされている
罠かどうかなど考えるまでもなく、ランブルの意見はもっともな話だ
それに、コバルト小隊はサーリットンに人員を割いたために、人手不足という事情もある
「ですが、これを見てください」
困惑した表情のクランが、モニターに数枚の書類を映しだす
それは、ヴァリムの兵員移動に関するスケジュールだった
「そのスケジュールを信じるならば、メイモンデット島の戦力の大半が、大陸本土に帰還するようなのです。
恐らく、サーリットンに集中させた戦力の補填ではないかと推測されます」
「・・・・・確かに、Gエリアのヴァリム兵力は強大でしたものね。どういった方針の転換なのでしょうか?」
「それと重大な情報がもう一つ」
一つ、息をついてクランは言葉を吐き出した
「Gエリア侵攻の総司令官とされる人物、ベリウム・ヴァレリウスがメイモンデット島の基地にいるそうなのです」
その言葉に、全員の目の色が変わった
オスコットが興奮気味に、鼻腔から煙を噴き出しながら、
「んだって!?じゃぁ、今、そいつの寝首を掻けば・・・」
「えぇ、一気にGエリアからヴァリムを撤退させることも可能かもしれません」
「いよっし!そうと決まれば、増援の派遣要請ゾイ!!」
勢い込んで立ち上がるギブソンだが、その出鼻をクランが挫いた
「それは不可能です」
「ゾイ?」
「ベリウムがメイモンデット島に滞在しているのは今日1日・・・・・リベル諸島方面の基地へ移動するらしいのです。
増援の到着には少なくとも1日は掛かります。整備や移動の手間を考えなくても、まず間に合わないでしょう。
強襲を敢行するなら、今、ここにいる戦力のみで、今すぐに向かわねばなりません」
クランの言葉に、誰もが押し黙った
確かに、今が千載一遇のチャンスだ
だが、それを教えてきた何者かの意図が読めない以上、未知数な危険が付きまとう
この文書自体、こちらを混乱させるための罠、偽物であるという可能性だって有るのだ
「・・・・・リスクが、でかすぎる」
唸るようなムラキの呟きに、誰もが小さく頷いた
「コバルト小隊は警戒待機の現状を維持し、シオン達本土部隊の合流を待つ。
ネルモア中尉は、先の文書の再調査と、この件を兵団本部に報告」
「了解しました」
「ま、待ってください!」
今まで押し黙っていたジータが、いきなり大きな声を出した
何事か、と彼の顔を注視する
当のジータ本人の顔にも、迷いと困惑の色が強かったが
「ここは討って出るべきではありませんか!?うまくやれば、ここで全部を終わらせることができるんですよ!?」
彼の言葉に、ムラキは太い眉を顰めて見せた
ジータの言い分もわからないわけではない
彼自身、その誘惑には心を惹かれたのも否定できない
だが、“指揮官”ムラキ・オニキスは慎重な人物なのである
「さっきも言っただろう。警戒待機を維持する。と」
「ですが、今な「おぃおぃ、随分こだわるなルーキー」
からかい半分のオスコットの声にジータは言葉を止める
笑いを含んだオスコットの声だったのだが、彼の目は少しも笑ってはいない
眼鏡越しの眼光は、ただならぬ気迫を感じさせている
「何でそんなにも焦ってやがんだ・・・・・ムラキが言ってたのが理解できなかったのか?」
「で、ですが、僕は一刻も早くこの戦争を終わらせたいんです!!」
「死ぬぞ」
ぼそり
オスコットの言葉に、ジータとリンナ。それにクランは息を呑んだ
最早、今の彼は別人に見える
眼鏡を外した、その下にある剣呑な眼差しは、紛れもなく何度も何度も死線を越えてきた戦士のそれだった
だが、気圧されながらもジータは反論を口にする
「そ、それはいつだって同じです!戦うべき時に戦わなくて、何が兵士ですか!」
おかしい
全員が確信した
らしくない
聞き分けが良いとは言い難いが、ジータは少なくとも年長者の言葉を軽く受け取ったりはしない
時に鬱陶しく感じるほどに生真面目で、正義感が強いのがジータ・ランバートの持ち味だ
彼とは付き合いが長いムラキは特に、それを良く承知している
だが、今の彼はおかしい
焦りを隠しきれない口調に、オスコットの言葉に逆に頭に血を上らせている
これは、あまりにジータらしくない
「へぇ・・・・・じゃぁ、ルーキー。お前さんは、今が戦うべき時だって言うんだな?」
「えぇ」
まだ長いタバコを灰皿に押しつけた
オスコットは眼鏡をかけ直し、やる気のない口調でムラキに告げる
「ムラキよぉ。悪ぃけど、やるんだったら俺は抜けるわ。契約条項第3条12項を行使。クラン中尉は手続き頼むな」
返事も聞かず、オスコットは椅子を蹴って退室していた
ムラキとクランは溜息をついてそれを見送るが、彼の言う契約条項の詳細を知らない他の一同は困惑顔だ
「あの、中尉。契約条項3条12項とは、何ですの?」
一同を代表してリンナがクランに問う
「伍長には、Gエリア派遣に関してアルサレア兵団と独自に結んだ契約事項があるんです。
その中には、あらゆる命令への絶対拒否権も含まれている・・・・・それが3条12項」
「そんな!それって、敵前逃亡として扱われるのでは無いのですか!?」
「そうはならないのよ。報酬の大幅な減額というペナルティーを負うだけで、軍法にかけられる事は決して無い。
伍長の階級は本当に便宜上だけのもので、あの人は正式には軍人でさえないのよ」
そこまで説明して、困った顔のクランは眼鏡を押し上げた
あまりに違いすぎる立場に、呆然とし、同時に強い反発を覚える若手二人組だが、
溜息をついてギブソンが説明をしてやった
「オスコットの奴にとってはな、アルサレアもヴァリムも関係が無いんゾイ。
あいつにとっての全ては、ただあいつの家族のみ・・・・・」
いつか、彼はシオンに言った
限りなく不真面目な調子で言った台詞に聞こえたが、あの時の彼の視線はとてつもなく鋭いものだった
『俺は家族の為“だけ”にしか基本的に頑張らないから』
「“家族の幸せこそ最優先事項”。伊達や酔狂で吐ける台詞ではないゾイ・・・・・」
「とにかく、だ。コバルト小隊は警戒待機を維持する。わかったかジータ」
「・・・・・」
俯いた彼は答えない
見えない表情からは何を考えているのかを推し量ることもできない
ムラキが吼えた
「ジータ・ランバート!!!」
思わず身震いするほどの一喝も、彼は微動だにしなかった
ただ、小さくぼそりと、
「了解」
そう応えただけだった
<オペレータールーム>
一同が解散してから数分後、相変わらずオペレータールームにはクランの姿があった
姿勢を正して端末に向かうその姿は、教習校の教本に載せても良いくらいの姿である
だが、今の彼女の表情はいつになく冴えない
本当は、ここ、ゴスティール山脈での作戦以来、いつも一人の時の彼女はこんななのである
『俺は、俺にできることをやる。それだけだよ』
いつかシオンの口から聞いた言葉が、耳に残って仕方がないのだ
そっくり同じ台詞を吐いた知り合いが、彼女にも居て、そして、その知り合いは・・・・・
「中尉、少しよろしいか?」
「あ、はい」
完全に不意を突かれて内心は驚いていたのだが、何とか表情を作り直すことができた
振り返ると、そこには意外な人物が居る
ムラキにランブル、それに、先ほど「抜ける」と宣言したばかりのオスコットだった
あひるの様に突きだした唇で、ふてくされ気味にタバコをくわえている
「どうかしたのですか?」
「あぁ、仕事中に悪ぃね中尉。俺から相談があって集まってもらったんだ」
それは、同伴していたムラキとランブルも承知していたのだろうが、その内容に、一同の顔に驚きが表れる
まるで謀反の相談でも持ちかけるように、オスコットは声を顰めてそれを呟いた
「実は、な・・・・・ルーキーの奴を監視していて欲しいんだよ」
「ジータを?」
「確かに様子がおかしいようには思いましたが、何故ですか?」
ムラキとクランが疑問の言葉を口にするが、ランブルは黙ったままだった
スカーフェイスをしかめもせず、仮面のように表情を動かさない
「ここのところ、随分頻繁にヴァリムの内情が流れてきてるだろ?
もしかしたらの推論なんだが・・・・・」
「ルーキー。ジータ・ランバートが内通者なのではないかと、懸念している」
「・・・・・あぁ」
中途で言葉を引き取ったランブルに、オスコットは苦い顔で頷く
再び黙考に入るランブルだが、ムラキは彼ほど平静ではいられなかった
厳つい顔つきに驚愕を刻んで、声を荒げてしまう
「ジータが、スパイであると?」
「そうでないならそれが一番良いんだがよ・・・・・今日の様子も含めて、おかしすぎる。
あいつがあんな風に食い下がった理由が、俺達を扇動するつもりだったのかもしれない・・・・・全部推論だ。
「帰ってきたら居場所がありませんでした」なんてことになったら、色々探ってた隊長に合わせる顔が無いじゃないの?」
オスコットの戯けた調子の言葉に、クランはふと思案顔になった
だだ、“色々探っていた隊長”、ということは・・・・・?
「伍長は、その、ご存じだったのですか?」
「ん?何を?」
「隊長が、内通者に関する情報を探っていたことを、です」
ムラキとランブルが、驚いた様子でクランの顔をまじまじと見た
シオンがクランに頼んだ“仕事”とは、ヴァリムの情報が流れてくる“元”の調査と、
もしかしたらいるかもしれない、内通者の特定だった
最初は、彼一人で嗅ぎ回っていたのだが、結局一人ではどうしようもないとクランに依頼していたのである
誰もが、“何者かによってもたらされた情報”に関しては、“情報”の部分にしか注目していなかった
だがまさか、“あの”シオン・マクドガルが、先んじてその“何者か”に目を向けていたとは思ってもいなかったらしい
失礼な話だ。きっと、シオンはくしゃみを連発しているだろう
「あぁ。隊長さんも成長したもんだ・・・・・指揮官ってのは、そういう所まで見れなきゃな。
で、だ。さっきの話、身内を疑うなんざ寒い話だけど、悪いが協力してくんないか?」
がしがしと頭を掻きながら、ぼやくように言うオスコット
彼の顔には、真剣味など微塵にも感じられないが、それは毎度のことだ
「了解した」
「ランブル!」
即答する同僚に、ムラキが思わず怒声を上げる
だが、ランブルはあくまでも冷ややかに応じて見せた
「ムラキ、いくらなんでもここまで情報が流れ込んでくるという事態は異常だ。
原因が分からないなら尚更、不審な点をマークしておくべきだろう」
「だからといって、部隊の仲間を監視するなど、自分には賛成できかねます」
いかにもムラキらしい返答だ
だが、ランブルは容赦をしなかった
「白だったならそれが一番良い。だが、もしあいつが黒だった時、お前はどうするんだ。ムラキ・オニキス」
最も痛いところを、容赦なく的確に一片の情けも無く突いている
そして、今のムラキの立場はコバルト小隊の代理指揮官なのだ
もし、最悪の場合、ジータが内通者だった場合は、彼には相応の責任が問われることになるだろう
「・・・・・一度、あいつと話してみます。それから、心構えを決めたいと思います」
「指揮官ならば迷うな・・・・・では無かったのか?」
ランブルの口調に、嘲るような調子が僅かに混じった
そして、次の瞬間である
ムラキの背中に不穏な気配が混じると同時に、クランは一歩進み出て割って入ろうとした
が、間に合わなかった。幸いなことに
背を向けかけていたムラキが裂帛の気合と共にランブル目がけて裏拳を放ったのだ
狙いは顎
だが空振った
最大の衝撃を与えることができるポイントを超してなお手応えがないと思った瞬間には、ムラキはその動きを捨てている
上体の捻りをそのまま蹴り足に振り落として渾身の下段蹴りを放とうと、
目の前にタバコの火があった
「やめときなさい、ってよ」
疲れ切った表情のオスコットが、そこにいた
いつの間にか、ムラキの真横に立っていて、ゆるく延ばした腕の先、火の点いたタバコを指に挟んでいる
そして、その火はムラキの左目からほんの3cmほどしか離れていない
下手をすれば、目を焼きかねない
「頼むぜムラキ。お前まで熱くなるなって」
激怒したままの視線をランブルに向け、今度こそムラキは退室していった
そんな加害者の背中を、被害者である筈のランブルは胡乱気に見やっている
「ルーキー絡みの件でこれ以上あいつをおちょくるなよ」
横槍を入れたオスコットが、面倒臭げな口調でぼやくように言う
その言葉にまたも眉を顰めるランブルである
疑問を視線に乗せると、オスコットは注釈を短く付け加えた
「ムラキの奴の教え子なんだよ・・・・・それだけに、簡単にゃ納得できないんだろうさ」
「・・・」
「で、クラン中尉。今、ルーキーは?」
「あ、はい」
いきなり話を振られて、硬直が解けたクランは記憶を巡らせた
確か、今、ジータは・・・・・
「今は、哨戒任務中の筈です」
「単独でか?」
即座にランブルが口を挟むが、クランは静かに首を振った
哨戒任務に単独であたるようなケースは、よほどの人手不足でもない限りはありえない
「リンナとのツーマンセルであたっています。ちょっと呼び出してみましょうか」
「あ、頼むわ」
コンソールに向かって歩み寄り、彼女はヘッドセットを頭に乗せて、ペルフェクシオンとグランツに呼びかけた
が、
「あら・・・・・グランツへの通信がカット?」
トラブル、という可能性は即座に破棄した
後ろにいたオスコットとランブルの顔にも、さっと緊張が走る
「こちら管制室、ペルフェクシオン、応答を!」
「お嬢、何があった!?」
続けざまに呼びかける二人に、途切れ途切れの言葉がようやく返ってきた
荒い息をつきながらも、震える声音で必死に返答をしようとしているのだろうが、それは咳き込む音に消えてなかなか言葉にならない
『こちら・・・ペル、フェクシオン』
「何があったの!?ジータ君は!!」
そして、恐るべき事実を彼女は口にした
『シータ・ランバート軍曹が、状況放棄・・・・・ペルフェクシオン中破、彼は恐らく、単身、メイモンデット島へ・・・・・』
ぱきっ
オスコットの手の中で、握り締められたヘッドセットが小さく泣いた
<数分前、哨戒任務中:ペルフェクシオン・コクピット内>
「周囲に異常無し・・・・・残党もほとんど居なくなったようですわね」
『・・・・・えぇ、そうですね』
いつになく気の抜けた返事を返すジータに、リンナは訝しむような視線を投げかけて、溜息を一つついた
変だ。どう考えても
らしくない。どころの話ではない。既に異常事態とでも言うべきだろう
「軍曹・・・・・貴方は何を隠しているんですの?」
不意に、ペルフェクシオンが機体をターンさせて向き直った
さりげなく、ヒートグレイブを両手に構えている
高度500m余りの空中において、吹き荒ぶ強風になぶられながらも、二機のPFは相対した
彼我の距離は200m程。中距離の様だが、高機動機ならばぎりぎり一足で届く距離であり、
まして二人の機体は空戦仕様機である。気象条件などを考慮しても、それが一瞬で飛びかかれる間合いには違いない
そして、ジータはあまりに唐突なリンナの言葉に狼狽えながらも返事を返した
『か、隠し事なんかありませんよ』
「嘘ですわね」
言わずもがなである
ジータは嘘が下手だ。ここまできて彼が嘘をついていないと思うような奴は、きっととんでもないお人好しだろう
「メイモンデット島におけるヴァリム戦力と私達の戦力差。
ベリウム・ヴァレリウスという人物は、圧倒的に不利な条件を乗り越えてでも倒さねばならない相手なのですか?
諺に、“急いては事をし損じる”とも言うでしょう?」
『・・・・・』
ジータは応えない
逡巡するかのように俯いた顔を何度も上げようとしてまた俯かせてしまう
言葉を探しあぐねているのだろうか
数分の後、彼の口から発せられたのは、彼女の問いかけとは全く関係のない言葉だった
『軍曹はどうしてアルサレア兵団に志願したのですか?』
「そ、そんなことは今は全く関係がありませんわ!」
面食らってしまい、上擦った返事を返してしまうリンナであった
少しだけ落ち込みそうになったが、オスコットの前で強がって見せた手前もある
いつまでも、心に刺さるシオンの言葉を気にしてはいられない
『僕にも、理由があるんです。命を賭けてでも、成し遂げなければならない事があるんです』
口調こそ静かなままだが、彼の声にはただならぬ気迫が込められている
「・・・・・それが、今回の件と深く関わりのあることなのですね」
『詳しくを話すことはできません。その時間も無い』
「時間が無いとは、どういう
悲鳴を上げる暇さえなかった
唐突にグランツが斬甲刀を抜剣し、斬りかかってきたからだ
斬撃こそグレイヴの柄で受け止めたものの、ウェイトで優るグランツの突撃は捌きようがなかった
半ば独楽のように回転しながら弾き飛ばされたペルフェクシオンの姿勢を取り戻したときには、
既にグランツは二の太刀を振りかぶっている
「軍曹!何を!!?」
『このまま、メイモンデット島へ行きます。増漕の分も含めれば、航空圏内の距離ですから』
ジータの言葉に、リンナは息を呑んだ
予想はしていたつもりだったが、まさか本気で単身乗り込むつもりだったとは、と改めて衝撃を受ける
それに、メイモンデット島は確かに航空圏内だが、それは片道分の距離で、という話だ
彼は、もう帰ってくる気がないというのだろうか
死ぬつもり、ということなのだろうか
「何故ですか!?どうしてそうまで!!」
『・・・・・それを言うことはできないと言ったでしょう!!』
角度をつけたグレイヴの柄で斬撃を受け流しながらも、リンナは必死でジータに問う
だが、彼は頑なに跳ねつけるばかりだ
ある程度は加減をしてるのだろう、その斬撃は敵に向けられるものほどの力はないが、
その分一撃が速い為になかなか隙を見出せない
「どんな理由があるのかは知りませんが、行かせるわけには参りません!!」
『邪魔をしないでください・・・・・邪魔だてするなら押し通ります!!』
強化タングステンが打ち合わされる甲高い金属音に、リンナは歯を食いしばった
踏みとどまる足場がない空中では、重量で負けるペルフェクシオンが不利だ
グランツの振るう斬甲刀を受け止めただけで、下手をすれば機体が吹き飛ばされてしまう
インパクトの瞬間にブーストペダルを踏み潰して踏ん張ろうとするのだが、やはり適わない
そして、通信系を光学接続に切り替えていたのが仇になった
電波接続に切り替えて、基地に状況を知らせたいのだが、そんな一瞬の気の緩みをジータが見逃す筈がない
「くっ・・・・たぁぁっ!!」
吹き荒れる吹雪を、グレイヴで切り裂きながらグランツと激しく斬り結ぶペルフェクシオン
裂帛の気合いが込められたその一閃は、申し分ない速さと確かな力を備えていたが、グランツの斬甲刀にあっさりと阻まれてしまう
どちらも、近接・中距離格闘戦の技術は秀でている上に、互いの戦法を目にする機会だって多くあるのだ
リンナは、ジータの手の内を知っており、ジータは、リンナの手の内を知っている
互いに決め手を見出せぬ状況にあって、手早くケリをつけるにはどうすればいいか?
簡単である
ガキッ!!
グランツの振るう斬甲刀を、ペルフェクシオンが受け流す
もう、何度も繰り返した動作である
だが、今までとは手応えが違った
軽い
そして、リンナはそのわけに気付いた
今まで、両手持ちに構えて振るっていた斬甲刀を、右手一本で振るったからだ
右手一本で振った分だけ、斬甲刀を引き戻すには両手で構えていた時よりも多少時間のロスがある
そのロスに、グレイヴの斬撃を叩き込むことは、彼女にとって決して難しい事ではない
だが、問題はグランツの左手だった
マニピュレータが拳を握りしめている
近い
既にグレイヴの攻撃姿勢に入っていたペルフェクシオンと、それに気付いたリンナの意識
その僅かな遅延の中に、
『せぃっ!!!』
ジータは拳を叩き込んだ
ヘッドフレームを突き、零距離に食い付いたまま軽くブースターを吹かした膝蹴りを腹に見舞い、
「く」の字に折れ曲がったペルフェクシオンの背中に、斬甲刀の柄頭を叩き付ける
狙い澄ました一撃に肩部ラッチが砕かれ、片翼を失ったペルフェクシオンがようやくグランツから距離を取る
グレイヴを構え直すが、既に決着はついたも同然だった
『勝負あり、ですね』
「くっ!!」
冷静なジータの声音に歯噛みするリンナだった
片翼のペルフェクシオンでは、グランツに追い付けない。ウィングが無くては、空戦仕様機として不完全だからだ
こうなると行かせるしかなくなってしまった
『・・・・・ごめんなさい、本当に・・・・・』
「こうなってしまった以上、最早私に軍曹を引き留める力はありませんわ。
でも、一つだけ教えていただきたいのです!」
もう、グランツは背を向けている
この悪天候では、ホバリングが精一杯のペルフェクシオンである。もう何もできない
「今更、何故?とは問いません。
・・・・・軍曹、貴方は、何を為すために行くのですか!?」
グランツは飛び去った
フルブーストに尾を引く推進炎も、吹雪に消されてじきに見えなくなってしまう
リンナは、轟々と吹雪く風雪の中にあって、呆然と、彼が最後に呟いた言葉を繰り返した
終わらせに行くんです
彼は確かにそう言った
<Side:ヴァリム、メイモンデット島:ヴァリム軍基地>
「あ・・・・・ふぁ」
やんちゃ坊主じみてはいるが、年頃に似合わぬ不適な顔立ちの少年が大欠伸を放っていた
全身で背伸びをして首と背骨をごきごき鳴らすその姿は、怠惰に過ごす猫科の猛獣の様に見えなくもない
事実、基地施設の発令所に通じる通路のど真ん中に据え付けられたベンチに腰掛けて、彼を咎める者は一人も居ない
誰もが慌ただしく走り回っているというのに、傍目にはさぼっているようにしか見えない彼を、上官さえも無視を決め込んでいる
「暇だな・・・・・」
知らず知らずの内に口から漏れた呟きを聞きつけた数人は思わず足を止めたが、
青筋の浮き掛けたこめかみもそのままに、小走りに走り去る
否
小柄な女性が据わった目つきで、彼の居座るベンチに向かって一直線に歩み寄ってきている
クリップボードを小脇に抱え、如何にも軍人じみた大股で律動的な足音が廊下に響く
セミロングと言うにはやや長めの髪は背中の半ばで括られており、彼女が足を進めるたびに黄色いリボンが揺れている
が、彼はそれに気付かない
あまつさえ、二度目の大欠伸を炸裂させている
ごっ
クリップボードの角が、彼の脳天に炸裂した音である
「全く、こんなとこで何やってるのよ!!」
「・・・・・何やってるのよじゃねぇだろっ!!!痛ぇじゃねぇかっ!!!!」
獅子吼を受けても毫も怯まず、彼女は溜息を一つついて説教モードに移行することを心に決めた
「大体わかってるわよ出撃が無くて暇だって言うんでしょ敵が来なくて暇だって言うんでしょPFに乗れなくて暇だって言うんでしょ!?」
「おまけに喫茶ブースへの出入りも誰かさんに禁止されて喉が渇いて仕方ねぇ」
「あんたが自動販売機を殴り壊すからよ!手加減を覚えなさい手加減を!」
「あぁ?あれはハナから壊れただろ?コインただ飲みされちまったんだぜ?」
「基盤叩き割るほど殴れば何だって壊れるわよ」
危険な角度まで吊り上がりつつある彼女の柳眉に、ようやく危険を感じたらしい
冷や汗をかきながらも、殊勝な態度で彼は頭を下げた
「わ、悪かったよ。勘弁してくれ」
もし、こんな光景を彼をよく知る者が見たら驚倒してしまったかもしれない
彼の名前は、ダン・ロンシュタット少尉
ヴァリム秘蔵の特務小隊、グリュウ・アインソード率いる第一小隊“暁闇”に続く、第二の特務小隊“煉獄”の隊長なのである
年齢こそ未だに20を数えぬ若輩の身ながら、斬り込み役に関してはグリュウさえ一目を置いている腕前を誇る
間違いなく、エース級のパイロットなのだから
「わかったなら良いけどね・・・・・」
素直に謝った“隊長”の姿に、“副隊長”はようやく納得した様子だった
もう、こんなやりとりを彼と知り合ってからの十年余りの間に何度繰り返したことか
互いに背丈が現在の半分くらいだった頃から転げ回っていた仲だ
彼女、ルキア・サーカム少尉とダン・ロンシュタット少尉は、幼馴染みという関係にある
その関係を小馬鹿にするように笑い飛ばす者もいるが、
戦場に立ったダンの姿と、そんな彼をコントロールできるルキアを見れば、途端にそんな声は聞こえなくなった
まして、二人の口論の最中に口を挟む者などそうそういない
“夫婦喧嘩は犬さえ食わない”とは、昔の人はうまい事を言った物だと思う
「で、よ。結局のところ、俺達の予定はどうなったんだ?」
「“煉獄”小隊はベリウム総司令のリベル基地への移動に随行。当分、戦争はお預けね」
「・・・・・つまんねー」
「馬鹿言わないで。ただでさえ巻き返されているのに、こんな状況で打って出るなんて「わーった。わーかったって」
再び説教モードに移行しつつある幼馴染みを何とか押しとどめて、ダンは盛大な溜息をついた
「で、リベル諸島方面の、どこの基地へ移動するんだ?」
「ううん、諸島の基地じゃないわ。リベル本島の基地へ拠点を移すらしいのよ」
「・・・・・リベル本島に?」
ダンが、怪訝な顔で振り返った
その顔は、急速に真剣のような鋭さを宿らせている
「それって、確か、Gエリアで採掘したレアメタルやらハイドレートやらのほとんどを集めてるってトコだよな?」
「えぇ、そうよ」
ルキアの返事に、ダンは全身の空気が抜けるような溜息をついた
「・・・・・つまり最後尾かよ。全く、PFが錆ついちまうぜ」
「嘘。つい昨日模擬戦とか何とか言って、駐留部隊の機体を7機もやっつけた癖に。始末書書いたの私なんだからね」
「あ?始末書なんて回ってきたのか?」
頭痛を噛み殺す
子供を勉強机に縛り付けておくことができないように、ダンがデスクワークをこなしてくれた試しがない
一度報告書を書かせたのだが、たまたまその時が戦闘行動が一切無かった日で、
『PFに乗れない日なんざどっかで昼寝でもしてりゃ良かったであります』
という一行しか書かれておらず、それを受け取った基地司令に二人して呼び出され、こっぴどく訓戒を食らったことがある
もっとも、こうした訓戒の類で反省するような可愛気をダン・ロンシュタットが持ち合わせているはずがない
訓戒されたことなんか10歩歩く間には忘れてしまい、「腹が減った」とか言って持ち場を放棄し食堂に向かうような男である
「全く・・・・・どっちが隊長なんだか。
とにかく、敵襲でも無い限りは近日中にリベル基地に移動するから。準備しておきなさいよ!」
「はいはい。わかったって・・・・・ったく、アルサレアには単機で乗り込んでくるような肝の据わった楽しい奴はいないのかよ」
「あんたじゃあるまいし、居るわけ無
ルキアの言葉は中途で遮られることになった
突如として廊下を刺々しい警報音が満たし、壁の赤色回転灯が回り始めた
緊急警報
つまりは敵襲だ
「どうやら、居たらしいぜ?肝の据わった楽しい奴が」
これ以上無いくらい不敵で楽しそうな笑みを満面に浮かべ、ダンは猛然と格納庫に向かった
今更止めても聞きはすまい
長年の経験で思い知っているルキアは、発令所と整備班に緊急の連絡を入れる
視線を横に向けると、窓の向こうに見える滑走路を、丁度大型の輸送機が駆け抜けるところだった
「あぁもぅっ!!!」
間が悪いことこの上ない
あの輸送機にベリウムが乗っているというのに、最早離陸の中断ができない状態だったのだろう
今更慌てて着陸すれば、それこそ良い的になってしまう
全速飛行に入っているのだろうが、空戦仕様のPFからすれば七面鳥同然だ
今頃、輸送機の人員と管制室はパニックになっているだろう
あまりにも、タイミングが“良すぎる”。まるで、ベリウムの所在と移動の予定を知っていたのではないかと思えるほどに
「急がなきゃ・・・・・!!」
頭を抱えている場合ではない
格納庫を目指して、ルキアは走り出した
<Side:アルサレア、輸送機内>
「中尉、ジータとの通信は繋がりませんか!?」
「・・・・・駄目です。機体側で完全に遮断しています。何を考えているのあの子は!」
「くそっ!」
ムラキは苛立つ内心をそのままに、通信士席のヘッドレストを握り潰さんばかりに力を込める
頭の真後ろから聞こえてくる異音にクランが苦情を申し立て、ムラキは慌てて手を離した
だが、数秒後にはまた苛立たしげに壁を小突いたり足踏みをしたりしている
珍しいことだ。ムラキの性格は、冷静沈着、というにはやや遠いが、指揮官歴が長い彼がこんな風に振る舞っている姿は珍しい
珍しいと言うよりも、あってはならないことだ。指揮官が焦りや動揺を露わにするなど
そんな彼を鬱陶しげに見やりながら、ランブルはリンナの手首に巻き付けていたテーピングをハサミで切った
「・・・・・手数をお掛けして申し訳ありません。曹長」
「全くな。交戦を予想していながら返り討ちにあって、しかも傷を負わされるなど論外だ」
ランブルの、容赦など一片も無い言葉にますます落ち込むリンナであった
ジータとの交戦の後、結局ペルフェクシオンは手近な山地に降下し、基地から飛んできた輸送機に回収してもらったのだ
本来ならば回収は別の隊に任せるところなのだろうが、ペルフェクシオンが軽量級であることとリンナの技量を考慮して、
こうして回収されたのである
今、輸送機に乗っているのは、ムラキとオスコット、ランブルとクラン。途中で回収されたリンナである
ギブソンも、頑なに同行を主張していたのだが、輸送機の積載重量限界の都合上、留守番と言うことになってしまった
超長距離砲戦仕様の重量級であるギブソンの愛機:ファクトリーの重量は、軽量級であるペルフェクシオンの倍以上もあるのだから
仕方がないと言えば仕方がない話である
しかし、こうして“戦力”として拾われたリンナだが、ランブルの言葉に、どうしても暗い気持ちを抱いてしまう
そんな彼女の様子を見て取ったからか、どこか言い訳じみた口調でランブルが吐き捨てるように
「口さがない性分でな」
「・・・・・いえ、本当のことですし」
「テーピングの加減はどうだ」
「え?あ、はい。悪くないです。どうもありがとうございました」
交戦の最中に操縦桿で強く打ち付けてしまい、腫れ上がった左手首はテーピングで固定されている
幸い骨に異常は無い様だったので、鎮痛剤とテーピングで応急処置を施した
ちなみに、ランブルが巻いたテーピングをリンナは「悪くないです」と評したが、
もし、これがオスコットだったなら問答無用で巻き直しただろう
生き方同様に、彼の指先も不器用だった模様である
こんな時に不謹慎だが、リンナはシオンの事を思い出した
シオンは、何故かこうした応急手当に奇妙なほど見事な手際を見せるからだ
本人曰く、「腕が悪いからね、いつも傷ばかり作ってるから上達したんだよ」とのこと
その後に、「PF操機の方がこれくらい上達したらな・・・・・」と溜息混じりに呟いたことも覚えている
傷の手当てを申し出た時のやりとりである。この時はシオンの手当をするつもりが、逆にシオンに手当をされてしまった
「こういうのは、マクドガル中尉が巧いのだがな・・・・・」
ランブルの呟きに、忍び笑いを漏らしてしまうリンナであった
どうやら、彼も同じ事を考えていたようだ
「でも、なぁ。ランブルよぉ。あの時の隊長の姿はちょっと、なぁ」
タバコの煙を天井に吐き出しながら、オスコットは苦笑した
ランブルもリンナも、オスコットの言わんとすることに大きく頷いてしまう
“実に見事な手際で消毒薬を塗りガーゼを当て包帯を巻き傷の状態と症状と効果的な対処についてを話すシオンの姿”というのは、
極めて隊長らしくないからだ
手際が良いだけでなく、そうした処置を実に嬉しそうにこなすところも、隊長の威厳を損ねることに一役買っている
「衛生兵にでも鞍替えすりゃいいのによ」
「全く」
冗談めかしたオスコットの言葉に、ランブルは苦笑しながら頷くが、リンナは憮然とした顔だ
あからさまにシオンを馬鹿にされて、彼女が怒らない筈が無い
「おぃおぃ、そんなに怒るなよお嬢。冗談だって、冗談」
「私は怒ってなんかいません!」
「・・・・・でもよ、お嬢」
「な、何ですの?」
急に声を潜めて語りかけてくるオスコットの言葉に、リンナは耳を傾けた
「もし、隊長が衛生兵になったら、ずっと傷の手当てをしてもらえるんだぞ」
ぼっ
オスコットの呟きに、一溜まりも無くリンナは赤面した
それを見て、ますます笑いを大きくするオスコットである。ランブルまで、スカーフェイスを歪めた顔を手で隠している
そんな、緊急時としては考えられない程和んだ空気の中で、オスコットは視線だけを堅くしてムラキに言葉を投げかけた
「よぉムラキ。無理だとは思うけどちっとは力抜きなって」
「・・・・・・はい」
苦虫を噛み潰した様な顔になっているムラキに、リンナは責任を感じて顔を伏せる
「あ・・・・・申し訳ありません。私がもっとしっかりしていれば・・・・・」
「気にするな。悪いのは全部あの小僧だ」
謝罪の言葉はランブルが即座に斬って捨てた
「それと・・・・・ムラキ、お前はあの小僧について何か知っているのではないか?」
「・・・」
「そろそろ話せ。お前が知っていることを」
ムラキが、ゆっくりと振り返った
きつく噛みしめられた歯は、決して開くことがないように思えたが、
機内に響く轟音を僅かに消して、
「・・・・・ジータを連れ戻したら、必ず話す。あいつのことは、あいつの前で言うべきだ・・・・・」
ムラキは確かにそう言った
<Side:ヴァリム、メイモンデット島>
「へへっ、退屈してたところなんだ。楽しませろよっ!!!紅夜叉、出るぜ!!!」
「“煉獄”小隊、半数は基地の防衛半数は護衛機の援護!ベリウム総司令の輸送機が安全圏に達するまでは気を抜かないで!!
直衛機は輸送機護衛に集中!紅兎、紅夜叉の援護に出ます!!」
二機のPFがカタパルトを疾走して飛び出していった
どちらも紅一色にペイントされた、“煉獄”と言うに相応しい様相だ
ダンの乗機、“紅夜叉”は、中量級の機体に、格闘兵器:カイザーナックルを双拳に装備した格闘戦専用機である
背に背負うのは機甲の翼。真紅の翼が陽光を跳ね返し、この青空を呪うような紅の機体が宙を駆け抜けてゆく
それに追従するルキアの機体は、“紅夜叉”よりも一回り細いフォルムの軽量級だ
高機動機:イリアをベースにカスタマイズした軽量級。与えた銘は“紅兎”
武装はカタールにハンドMLRSユニットと軽装だが、その機動性と相まって距離を選ばない
加えて言えばルキアとダンは殆どの場合、常にペアを組んでいる為、個々の機体の弱点はあまり関係ない
突っ込むダンをルキアがサポート、という形なのだが、うまい具合に互いの欠点を補い合えている
「おぃ管制。敵の数と種類はどうなった!?」
横柄な口調でダンが問い、それに即座に管制室が答えてきた
『未だに機数1を確認するのみ。機種に関しては不明ですが、空戦仕様機であると推察されます』
抑揚の無い口調で告げられた報告の内容に、不信感を抱いたのはルキアである
様々な事態を予想しながら、念のため確認を入れる
「空戦仕様機は当たり前としても、本当に単機なの?索敵圏内に不明な点は?」
『当基地の索敵圏内には現在の所確認されていません。警戒体制を続行中です』
ますます首をひねるルキアである
この正体不明機の意図が全く掴めない
「囮・・・・・?でも、それなら単機を仕向けるなんて考えにくい。
強行偵察に来るような場所でも無い。どういうつもりかしら・・・・・ダンはどう思う?」
「何でも良い!こいつぁ面白そうだ!!」
「そう言うと思ったわ・・・・・」
順当に考えれば、総司令官であるベリウムを狙ってきたのだろうが・・・・・それには疑問がつきまとう
何故、ベリウムがこの基地にいることを、そしてこの基地から移動することを知っていたのか
偶然?
それはあり得ないだろうと即座に棄却する
情報の漏洩、という線を考えれば、本土にいる連中の仕業だろうか?
しかし、敵が単機というのがどうしても解せない
「ダン、油断しちゃ駄目よ。きっと、何か企みがあるに違いないわ!!」
「・・・・・いや、違うぜ」
「は?」
ダンは、満面に獰猛な笑みを張り付け、緊張感を滲ませた声音で言葉を紡ぐ
こんな彼の姿を見るのは久しぶりだ
いつもの通りのただの勘、なのだろうが、こと戦いに関してダンの勘は怖い位に良く当たる
敵の奇襲や陽動を、何故か見破ってしまうのだ
そんな彼が、こんな風に張りつめているということは、きっと強敵なのだろう
「こいつは、多分小細工なんか考えていない・・・・・真っ正面からぶち当たってくるな」
「・・・・・よく分からないけど、サポートは?」
「しなくて良い!!こうした手合いにはタイマン張るのが礼儀、ってな!!インサイト!!」
米粒大にしか見えない敵機の姿を直接視認した瞬間には、紅夜叉はフルブーストで中空を疾駆した
WCSが算出した相対距離のデジタル表示が雪崩落ちるように書き換えられてゆく
相手もまた、フルブーストを掛けたのであろう。どうやら、本当に真っ正面から来るつもりらしい
<Side:ジータ>
そう都合良く、うまく行くはずがない。心のどこかではそんな風に思っていたのは確かだ
だが、目の前に現実として2機のPFが現れた瞬間、凄まじい焦燥に駆られた
「くそっ!邪魔をするなっ!!」
ブーストペダルを踏みしめる
正面から接近中だった2機のPFは突撃と左側の確保に分かれる
挟撃されるのも癪だが、時間が惜しい
操縦桿を握り直し、機甲の翼を打ち振るって複雑なマニューバを描きながら、斬甲刀を振りかぶった
間合いに入った瞬間を狙い澄まして、振り下ろす
自信はあった
幾多の敵を屠ってきた斬撃だ。自信はあった
「!?」
だが、その一閃は驚くべき事にカイザーナックルに鎧われた掌で受け流された
白刃取りのように受け止めたのではなく、掌を剣の腹に当てて、角度をつけて捌いたのだ
言葉で表すのは容易だが、それはとんでもなく高等な技である。“素手で刃を捌く”など!
少なくともジータはこんな受け流し方をする相手とは戦ったことがない
(強い!?)
焦りが募るが、焦った心で勝てる相手ではないようだと自制し、崩れた体制をそのままに、フルブーストで距離を
取れなかった
ほぼ密着に近い距離に、そいつはいた。緋色の機体:ヤシャタイプ
馬鹿馬鹿しく思えるくらいの、カイザーナックルの巨大な拳が迫っていた
射出はしていない、ただの拳撃だ
それでも、機体重量とブースターの推進力とが乗せられた拳は十分に重い
その一撃は斬甲刀の鍔元で辛くも防ぐが、眼前のヤシャは両腕にカイザーナックルを装備しているのだ
ラッシュが来る。もし通信が繋がっていれば、ダンの実に嬉しそうな雄叫びが聞こえたであろう
『おらおらおらおらおらおらおらぁぁぁっ!!!!!!!』
防ぐ、捌く、下がる、グランツの中でジータは操縦桿を操り脳波を振り絞って、耐え難きを耐え忍び難きを忍ぶ
結果として上体に纏った装甲の至る所が砕け散ったが、実質的なダメージは殆ど無い
だが、ジータは不思議な既視感を感じていた
先程のラッシュを捌き切れたのは、自分の実力であったように思えないのだ
何故、あれほどの、猛然と繰り出される攻撃を捌き切ることができたのか
接敵直後の挙動からして、敵は決してただ者ではあるまい。恐らくはエース級の腕前の筈だ
インファイトに持ち込まれた時点で、こちらは少なからぬ被害を被っていただろう。だが、どうしてか凌ぐことができた
そして、そこに感じる奇妙な既視感
“まるで、先程のラッシュの手を、全て知っているような”
「・・・・・だけど、今はこんなことを気にしている場合じゃない・・・・・!!」
操縦桿を握り直し、WCSで相対距離を感覚する
ブーストペダルを踏み潰し、全身に感じるGに高揚と恐怖を感じながら、ジータは斬甲刀を突き込んだ
<Side:ダン>
「くそっ!何者だこいつ!!?」
繰り出したラッシュが全て防がれたことに、ダンは未だかつて無いほどの興奮と恐怖を感じていた
グリュウの、黒夜叉の横っ面さえ殴り飛ばした自分の連撃が、まさかすべて防がれるとは!
『ダン、どうしたの!?機体の調子でも「るせぇっ、黙ってろ!!」
決着が付いていないことを訝しむ様に声を掛けてきたルキアからの通信を叩ッ切り、ダンは眼前に意識を戻した
目の前のそいつ、翼と、長大な剣を構えたアルサレアのPFが突っ込んでくる
水平に寝かせた刃を構え、相対距離を素晴らしい速さで詰めてくる
迎え撃とうと拳を握り直し、その剣先をじっと睨み据え、
「!?」
ドクン
余裕を持って避けたつもりだった、
カウンターのフックを横っ面に叩き込もうとした瞬間足下の芝生が剥がれるような勢いで は回転しガラ空きの脇腹に木刀が
ドクン
心臓が跳ね上がった
何故かはわからないが、不意に心臓が鷲掴みにされるような、奇妙な感覚が走り抜けた
恐れ、によるものでは無いと思う。事実、ダンはきっちりその刺突撃に反応できていた
ブースターを刻んで、瞬間移動に等しい速さでサイドステップ
陽光にギラつく刃を紙一重に見据えながら、奇妙にゆっくりに感じる時間の中で、
自然に体が動く
握り締めたカイザーナックルをカウンターで叩き込もうとしていたのに、
先程も感じた奇妙な悪寒が全身を支配し、体は自然に緊急回避を取っていた
上体をのけぞらせながら、フルブーストで距離を取る
正しかった
瞬き一つの瞬間に、そいつは刺突の動作を捨て、機体を沈ませながら殺した姿勢制御とブースターの推進角度を操ってスピンを切っている
のけぞった喉元を、風圧だけで切られそうな斬撃が通過していった
そのまま攻撃していれば、こちらのパンチも当たっただろうが、自分は脇腹から薙払われていただろう
「何なんだ、こいつ・・・・・!!」
得体の知れぬ疑念を感じながら、ダンは操縦桿を握り直し、今度こそはと必殺のコンビネーションを放った
<Side:ジータ>
「避けられた!!?」
その瞬間思わずそう口走っていた
刺突は囮。カウンターを誘って、本命の斬撃を叩き込もうとしていたのだ
だが、避けられた
まるで、予知していたかのような動きでそいつは攻撃動作を捨て、距離を取っていた
「何者なんだ。このパイロットは・・・・・」
ワンツーから一気に間合いを詰めての膝関節を狙った蹴り下ろし、ステップから全身を振り回して放つ横蹴り
その全てに反応できた
一撃一撃はとても鋭く、速く、重いのに、ジータは捌くことができる
“まるで、これが決められた型か何かのように、「知っている通り」になっている”
ドクン
避けられ続けるのに業を煮やしムキになったのか、
一連のコンビネーションから一気に、 は噛みつくように間合いを詰め全身を使ったラッシュを繰り出して
ドクン
心臓が跳ね上がる
強烈な既視感が体を支配する
獣の様に間合いを詰めてきた敵PFの攻撃から、何とか急所をかばいながらジータは後退した
(知っている)
ジータは確信した
信じられないことだが、彼は確かに知っていた
近接格闘術、等という綺麗な型ではなく、むしろラフファイト、喧嘩殺法じみた技を使う相手を
(間違いなく、僕は知っている!!)
<Side:ダン>
(なんだ、こいつ・・・・・俺は、こいつを知っているのか!!?)
今まで、考えたこともないような思考に取り憑かれながら、ダンは必死でPFを操った
だが、どんな手を打っても逃げられてしまう
短気が爆発し、切れた瞬間にはブーストペダルを踏み潰して、猛然と距離を詰め、格闘術もくそもない、出鱈目な攻撃を繰り出していた
それでさえも、避けられた
(俺は・・・・・知ってる!俺はこいつを知っているぞ!!)
信じられない思いだった
敵味方に振り分けられ、互いに剣と拳を交えた二人は、同時に互いの名を叫んでいた
<Side:ジータ>
「ダン!ダン・ロンシュタット!!君なのか!!?」
<Side:ダン>
「お前は、ジータか!?ジータなんだろう!!!?」
<Side:ルキア>
外部音声で叫ばれた二人の声を聞いて、ルキアの表情は凍った
「・・・・・・嘘」
<Side:アルサレア輸送機>
「グランツをレーダーエリア内に補足しました!」
クランの声に、一同は慌ててレーダーに詰め寄った
確かに、画面には友軍機を示す緑の光点と、「Glanz」のコールサイン書き出されている
ほっと息をつく一同だったが、次の瞬間それが凍り付いた
レーダーエリア内に、新たな反応が二つ、捉えられたからだ
“アルサレアの識別信号ではない”という意味の赤い光点が二つ。間違いなくヴァリムの機体だろう
「中尉、やっこさんの機種は!?」
「ヤシャタイプと、イリアタイプの様です。どちらも空戦仕様機の模様!」
「イズミ軍曹、支援に出てくれ!俺達の機体では援護にならん!!」
ムラキが叫ぶ
ウィングが破損し、完全空戦仕様では無くなったペルフェクシオンだが、身の上は元々軽量級だ。短時間なら何とかなるだろう
だが他三名の、ムラキとランブルの機体は砲戦使用の中量級で、オスコットのゲイボルグに至っては重量級である
高々度空戦に関しては、男性陣の機体は効果的な援護ができそうにない
「無理すんなお嬢!高度さえ下げれば俺達の支援が届くからな!!
「了解ですわ!」
「頼む!ランブル、俺達も発信準「待て!!」
格納スペースに駆け出そうとしていた一同を、ランブルは一喝した
何事かと呆気に取られながらも、ヘッドセットに耳を当てたランブルの後ろ姿に怒声の一つでも叩き付けようとしたムラキだが、
『ジータ・・・・・?本当に、お前なのか!?』
知らない声が、スピーカーから流れ出した
どうやら、グランツと、ヴァリム籍の二機が、外部音声でやりとりをしているらしい
グランツが通信系を閉鎖したままだった為に接続ができなかったから、そう言う手段での接触を持ちかけたのだろう
だが、戦闘行為もせず、一体どういうことなのか?そう訝しむが、本当の理由などいくら考えても湧き出てきはしない
分かることは、ジータとヴァリムのPFのパイロット2名の間に、今のところ敵意が無いということだ
それ以上の事は、この生中継を聞いて推測するしかない
『ダン・・・・・久しぶりだね』
間違いなく、ジータの声
そして、先程の声は、ダン、とジータが呼んだ少年のものなのだろう
『ジータ・・・・・貴方なのね・・・・・生きて、生きていたんだ・・・・・』
感極まったように震える声
きっと、泣いているのであろう少女の声
『ルキアも・・・・・でも、生きていたのかって、どういう・・・・・?』
『そう、聞かされていたんだよ』
<Side:ジータ>
「ど、どういう事なんだ!?」
『ジータが消えたあの日・・・・・貴方がどうしていたのかは知らないけど、私達は、ジータが事故で死んだって・・・・・』
『ま、お前が簡単に死ぬ筈が無ぇって思ってたけどな』
不敵に笑うダンだが、彼の顔には、未だに困惑と混乱が混在している
『でも、驚いたぜ。道理で何やっても通じない筈だ・・・・・まさか、戦ってる相手がお前だったなんてな・・・・・』
ははは
そう、笑い飛ばそうとするが、その声が、不意に低く静かに消えてゆく
『そうだよ・・・・・戦っていたんだ・・・・・』
「ダン?」
その語気の変化に、ジータとルキアは彼の名を呼ぶが、
彼はその呼びかけには何も答えず、ただ、右足はブーストペダルを踏み潰していた
『ダン、何を!!?』
ルキアが悲鳴を上げて制止しようとするが、如何に紅兎の機動力が優れているとしても、流石に止めることは適わない
まして、千々に乱れた今の彼女の心では、ダンの挙動を負うことで精一杯だ
そして、紅夜叉がフルブーストの勢いもそのままに、振りかぶった拳をグランツに叩き付けた
不意の一撃を何とか斬甲刀で受け止めるが、突然のことにジータも戸惑いを隠せない
「な、何をするんだ!?ダン!!」
『るせぇっ!!どうして・・・・・どうしてお前がアルサレアについてるんだよ!!!』
「!!」
絶句した瞬間に放たれた回し蹴りに大きく弾き飛ばされ、ジータは斬甲刀を構え直した
だが、構え直しただけだ
その刃をむける意志は、もはや彼には無い
『お前は・・・・・裏切ったのか。ヴァリムを、俺達を裏切ったのか!!?』
「待って!!話を聞いてくれ!!」
『ダンやめて!!ジータには、きっと事情があるのよ!!!』
「僕は、みんなを裏切ったんじゃない!!ヴァリムを捨てたわけでもないんだ!!」
中継される会話を聞いていた輸送機の一同の、心が凍り付いた
「あの人に、僕が裏切られたんだ!!その所為で、こんな」
『じゃぁ、どうしてその時に何も言わなかったんだよ!!』
「巻き込むわけには行かなかったんだよ!!!」
ガツンッ!!!
拳と剣が打ち合わされる
押し合いながら、ジータは何とか説得の言葉を探すが、ダンの激高は止まらない
『お前は・・・・・忘れたのかよ。誓っただろうが!!』
はっ、とジータの動きが止まる
全身を戦慄かせ、思いがけず震える吐息を吐き出して、ダンは怒号のように言い放つ
もしかしたら、彼は泣いていたのかもしれない
『ルキアと!ジータ、お前と!俺の三人で!!誓いの言葉を口にしただろうが!!
お前は・・・・・お前はそれさえも忘れていたのかよ!!!!!』
もしかしたら、彼は泣いていたのかもしれない
紅夜叉の拳がヘッドフレームに叩き込まれた。衝撃にグランツが吹き飛ばされる
だが、ジータが心に受けた衝撃の方が遙かに大きかった
『どんな時でも助け合うって!!三人で戦争を終わらせてやるんだって!!何があってもずっと一緒だって!!
誓った言葉を・・・・・お前は、お前は!お前はッ!!忘れていやがったのか!!!そんなにも軽い誓いだったのか!!!!?
答えろよ!!』
そして、アルサレアとジータの繋がりを絶つ、決定的な一言が、ダンの口から放たれた
『答えろよ!!!ジータ・ヴァレリウス!!!!!』
<Side:アルサレア輸送機>
誰もが、驚きを隠せないでいた
呆然と、スピーカーから迸り出た言葉の意味を、すぐには理解できなかった
「・・・・・ジータ・・・・・ヴァレリウス・・・・・?」
「何だと・・・・・ルーキーの姓は、ランバートだろ?それに、ヴァレリウスって言やぁ・・・・・」
クランが呆然と呟き、オスコットさえも声の震えを隠せないでいた
誰よりも速く冷静さを取り戻したランブルが、抑揚の無い口調で、最も恐るべき事実を口にする
「ベリウム・ヴァレリウス・・・・・最早、疑わぬ余地は無いな」
ベリウム・ヴァレリウス。それはヴァリムの、Gエリア占領軍総司令の名前
ジータ・ヴァレリウス。それはつまり・・・・・
「ジータ・ランバート・・・・・いや、ジータ・ヴァレリウスは、素性を変えてアルサレアに潜り込んでいたヴァリムの人間だ」
「そんな!!」
リンナが悲鳴の様な声を上げる
無理もあるまい
短い間だが、肩を並べて、互いの命を預けて戦った仲間が、ヴァリムの人間で、順当に考えれば、内通者というのは・・・・・
「そう考えれば、今までの内通者の件も納得がいくな」
「ま、待ってくれ、ランブル!!」
動揺と狼狽を露わにしたムラキが、大声で制止した
そんな彼を、氷塊めいた視線でランブルは見やり、
「何だ。ムラキ・オニキス」
「まだ、そうと決まったわけではないだろう!!様子から見て、あいつが内通者だったとは思えん!!!」
「氏素性を隠し軍に所属していた敵側の人間を、お前が疑わずにいられる理由は何だ」
「・・・・・」
ランブルの言葉に、ムラキは押し黙った
巌の如き厳つい顔立ちが、今は悔恨に震えている
そんな同僚を諭すように、スカーフェイスを苛立たしげに歪めてランブルは言う
「良いか、ムラキ。今は黙っていろ。何も言うな・・・・・」
ジータの件に関しては、事は既に最悪を極めている
彼を庇うことは、その立ち塞がった者の立場さえ危うくする
“お前もこいつの仲間か”、と
「よし、とにかく、今はルーキーを回収するぞ」
オスコットが気を取り直したように呟き、
「中尉、輸送機は30kmまで寄せてくれ。お嬢、ランブル、俺でルーキーを拘束する」
「抵抗したら?」
青ざめた顔のリンナが、問いかけてきた
返答の想像はついているのだが、どうしても、聞いておかねばならない
そして、オスコットはまだ長い煙草を唇から落とし、床に落ちたそれを踏み潰しながら、苦い口調で呟いた
「撃墜しろ」
「伍長!」
ムラキが叫ぶが、オスコットはそれ以上取り合わなかった
輸送機から、1機のPFが飛び立ち、2機のPFが地上に降下した
<Side:ジータ>
『ジータ・・・・・貴方の事情はよく分からないけど、これだけは、聞かせて』
ルキアだった
殴り飛ばしたグランツに追撃を懸けようとする紅夜叉を押しとどめるように、両者の間に紅兎が割って入っている
微かに涙の滲んだ、痛々しいくらいに寂しさを含んだ震える声音を紡いで、彼女は言葉を織り上げた
『貴方は、私達を裏切っていない。そう言った』
ジータは何も応えない
ただ、噛みしめた唇だけが彼の内心を物語っている
『ヴァリムを捨てたわけじゃない。そうも言った』
ようやく、ジータがのろのろと顔を上げた
視線の先で、紅兎が、ルキアが手を差し伸べてくれている
そして、決して代わる者の無い無二の親友は、こう言ってくれた
『なら、ヴァリムに帰ってきて!!私は、私とダンは、必ず貴方の力になるから、お願い!!』
ダンが物言いたげな様子を顕すように紅夜叉は紅兎の肩を掴むが、
それ以上の事は、何もできなかった
何だかんだとつっかかりはしたが、彼だって本音はルキアと同じなのだ
『もう会えないって、ずっと前に諦めて、それでも、こうして会えたのに、それが、敵としてだなんて・・・・・そんなの、
辛すぎるよ・・・・・こんなのって無いよ!ねぇ、お願い!お願いだから、ヴァリムに、一緒に帰ってきて!!ジータ!!』
血を吐くようなルキアの懇願を、ジータと共に聞いていたダンも、震える吐息を吐き出して、ジータに言った
『・・・・・戻れよ、戻って来いよジータ。俺は、何があっても誓いは忘れねぇ。ルキアだってそうだ。お前だってそうだろ?』
差し伸べられた手を振り払うのが正しかったのだろうか
差し伸べられた手に縋ってしまうのが正しかったのだろうか
たった一人、何も言わずに消えた自分を、かつての親友だった二人は受け入れようとしてくれている
俯かせたジータの表情は見えない
そして、ジータは二人に向かって告
『動くな』
「!!?」
聞き覚えのある声がレシーバーから流れ出すと同時に、レーダーが悲鳴を上げた。照準波に狙われている。と
レーダーに目を向ければ、後方に3機。アルサレア籍のPFが居た
1機はペルフェクシオン。ウィングが無いために不自由な空中機動を強いられているようだが、まっすぐにグランツを目指してくる
そして、地上に2機。バスターランチャーを構えたゲイボルグと、レールキャノンを構えたディンゴの姿がある
『ルーキー、じゃなかった。ジータ・ランバート軍曹。貴官を敵前逃亡、友軍機への攻撃、通敵容疑で拘束する』
「・・・・・」
ルキアとダンも、地上の2機はともかく、グランツを追いかけてくるペルフェクシオンの姿には気付いたらしい
緊張が走り、さっと身構えるが、斬甲刀をぶら下げたグランツは、黙って二人に背を向けた
結局それが、ジータの選んだ返答だった
『そうか・・・・・そうかよ、そうなのかよ!!畜生!!』
『ジータ、どうして!!?』
追いついてきたペルフェクシオンに、無言で斬甲刀を投げ渡し、グランツは両手を上げて恭順の意志を示す
「ダン。ルキア」
二人の名前を呟いて、彼は、トドメの、隔絶を決定付ける、短い一言を紡ぎだした
それが、どれほど二人を傷付けるか、どれほど残酷な運命を招くことになるか、
全てを知っていて、それでも、彼は選んだのだ
訣別の道を
「・・・・・ごめん」
ああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!
ダンが吼えた
怒りと悲しみに満ちた、悲痛な雄叫びを
カイザーナックルの射出機構を作動させ、巨大な拳をグランツ目掛けて射出する
亜音速で飛来した拳は、振り返ったグランツの胸部装甲版を叩き割り、大きく機体を吹っ飛ばした
『俺達は、今日この瞬間から敵同士だ!!!!
今日の所は見逃してやるけどな、今度会ったら、今度戦場で会ったときは、絶対に叩き潰してやるからな覚悟していろよ!!!!』
『・・・・・ダン・・・・・』
紅夜叉が、踵を返した
そして、フルブーストで基地に帰還する
取り残された紅兎が、困惑するようにグランツと、紅夜叉の後ろ姿を何度も見比べるが、
程なくして、紅夜叉の後を追って基地に帰還していった
『軍曹・・・・・大人しく、していてください』
今更の様だが、リンナはジータにそう言った
彼女の目には、最後の一撃でつけられた胸の傷が、まるで何かを暗示するかのように映っていた
<半日後:ゴスティール山脈、アルサレア前線基地:オペレータールーム>
誰もが、沈んでいた
結局、一切の抵抗も無くジータを拘束することには成功し、大急ぎで基地まで引き返したのだが、
「・・・・・」
まだ長い煙草をオスコットとランブルは灰皿に押しつけた
もう、灰皿はそんな吸い殻が山になっている
ムラキは俯いたまま身じろぎ一つもせず、事態を未だに理解し切れていないギブソンは目を瞠るばかりだ
そして、そんな実に居心地の悪い空間で、リンナは当たり前のように居心地の悪い思いをしている
「報告・・・しないわけにはいきませんよね・・・・・」
「・・・・・あぁ」
表情こそ、平素とさして変わらないが、クランも衝撃を受けているらしい
いつもなら、既に報告書を書き上げているだろうが、流石に今回ばかりは草案さえまとまっていないようだ
「なぁ・・・・・ルーキーの話。どこまで信じる?」
ぽつりと、オスコットが呟いた言葉には、誰もすぐには答えることができず、
リンナが同じく、ぽつり、と答えた
「・・・・・半分くらいは」
「優しいな、お嬢は」
苦笑しながらそう言うオスコットに、リンナは顔を上げた
「では、伍長は・・・・・全く信じていないのですか?」
「・・・・・流石に、状況が状況だからな・・・・・信じてやりてぇけど、駄目だ。
もしかしたら、全部あいつの作り話なんじゃないのかって事を、ちらっと考えちまう」
「では、どうするんですの!?このまま、軍曹を見殺しにするのですか!?」
「・・・・・ムラキは、どう思う?」
不意に、オスコットはムラキに矛先を向けた
ずっと顔をうつむけていたままだったムラキが、ゆっくりと顔を上げ、
「・・・・・キルマ大佐に、あいつのことを頼まれていました。
自分は、ジータと、キルマ大佐を信じます」
「てことは、ムラキ。お前はその時から聞いていたのか?ルーキーのことを」
「はい・・・・・あいつの話した事情の全てではありませんでしたが・・・・・」
ムラキの返事に、一同はまた考え込んでしまう
だが、答えなど本当に出るのだろうか
取るべき手は一つだけなのだろう。だが、それをするのはどうしても嫌だった
ジータ・ランバートが話した、彼の秘密とは、それ程までに深いものだった
「もう、知っているでしょうけど・・・・・僕はヴァリムで生まれた人間です」
自嘲気味に笑って、彼はそう切り出した
基地の一角にある独房の椅子に座らされ、後ろ手と足首に手錠を3つも掛けて拘束されている
だが、その姿は、単なる裏切り者、というよりも、辛うじて捕縛されている怪物のような印象を与えていた
決して大柄でもなく、膂力だってたかが知れているはずなのに。彼の目が、ただならぬ気迫を湛えて輝いているからだ
その剣呑な光に、ともすれば気圧されそうになる
「先程交戦していた2機のPFのパイロット。彼らの名は、ダン・ロンシュタットに、ルキア・サーカム。
ヴァリムにいた頃の親友で・・・・・そう、幼馴染みでした」
「それでつい、話し込んじまったわけか?」
オスコットの軽口に微笑で答えるジータ
どうやら、そうした切り返しができる程度の余裕は持ち直しているらしい
「彼らは、お前をヴァレリウスと言った。ジータ・ヴァレリウス。と」
「はい」
「ベリウム・ヴァレリウス。彼との関係は」
詰問口調のランブルに、ジータはしばし顔を俯けた
思案するように顔を伏せていたが、それも決して長い時間ではない
顔を上げ、彼は全員が予想していた、そして当たって欲しくは無かった答えを彼は口にした
「父です」
「なっ!!!?」
ギブソンが、ドングリ眼を瞠って後ずさるが、他の面々は溜息をついただけである
やはり、というか、予想していた通りだった
「それで、お前さんはメイモンデット島の基地に親父さん・・・・・ベリウム・ヴァレリウスが居るのを知って、
妙に焦った様子で攻撃を主張していたよな。どうしてだ?」
「・・・・・僕が、アルサレア機甲兵団へ入団したのは・・・・・」
いつも、快活な少年だと持っていた
頭に一言付くくらいに正直で丁寧で真面目な若者だと思っていた
だから、すぐには信じられなかった
昏い炎を瞳に宿し、彼はまるで、毒を飲み下すような口調でこう言った
「父を・・・・・殺す為です」
不意にオスコットが動いた
誰もが呆気に取られて、二の句を次げずにいる中で、オスコットは猛然とジータに歩み寄り、
その頬げたを力一杯殴り飛ばした
ジータの体が、彼を拘束してた鉄製の椅子ごと横倒しにひっくり返るほどの強烈なパンチだった
重い金属音が独房に鈍く響き、誰もがオスコットの鬼気迫る形相に口の利き方をしばらく忘れた
「どんな事情があるのかは知らねぇが・・・・・そんな馬鹿な真似だけは絶対にさせねぇぞ」
ぶっきらぼうに言い放ち、倒れた椅子をムラキの手を借りて起こしてやった
殴り倒されたジータが礼を言い、殴り倒したオスコットが気にするなと言う
そんな奇妙なやりとりの後、ジータは話を続けた
「僕の父は、ベリウム・ヴァレリウス。ヴァリムのGエリア占領部隊の総司令官に就いている男です」
「それは知っている。所在を知ったのはついさっきだがな」
ランブルが苦笑しながら言い、ジータも薄く笑みを浮かべた
その「ついさっき」には、クランと彼が立ち会っていたからだ
「母の名は、エリアノーラ・ヴァレリウス・・・・・旧姓を、ランバートと言いました」
すっかり、ジータの言葉に翻弄されているような気がする
今度はまたとんでもない言葉が飛び出してきた
「ランバート」と言えば、ジータが名乗っている姓であるがそれだけではない
“ソードマスター”キルマ・ランバート大佐を当代当主とする、アルサレアでも有力な家柄に数えられている
そして、その意味に気付いたリンナは息を呑み、
「えっ!?それでは、軍曹のお母様という方は元はアルサレアの?」
「えぇ。母は、アルサレアの人間でした。結婚して、ヴァリムへ」
訥々とジータは話すが、それを聞いている一同は頭痛を感じる思いだった
「エリアノーラ・ランバート。突如として失踪した名門貴族の令嬢の行方が、まさかヴァリムだったとは・・・・・」
「ドゥナテロ大尉。母をご存じだったのですか!?」
ギブソンの呟きに、ジータは驚いて問いかけるが、
どうしたことか、問われたギブソンは照れた様子で後ろ頭を掻きながら
「い、いや、な。その、お前さんの母親とは知らなかったが、
その、ワシらが若かった頃は、世間が注目していた別嬪だったゾイ」
「おぃコラ、ギブソン。緊張削ぐからそーゆー話は今度にしろ。
だが、何でまた、そんな面倒臭い事をしやがったんだ?」
オスコットが半ばぼやくように問う
無理もあるまい
アルサレアとヴァリムは戦争をしているのだ
敵対国の人間を娶るなど、普通では考えられない。それとも、そんな障害を乗り越えられる程の大恋愛だったのか
どちらにしても、正気の沙汰とは思えない
「もしかしたら、父と母の結婚は、アルサレアとヴァリムの不和を解消するきっかけになれたかもしれなかったんですね・・・・・」
「それがいつ頃のことだ?」
「僕が生まれる1年前と聞いていますから・・・・・17,8年位前ですね」
「PFが実用化される数年前か・・・・・」
「えぇ、歴史では、ヴァリムが歩行戦車を使って近隣国を制圧していた頃です」
オスコットとギブソンは、陰鬱な思いで目を伏せた
二人は、その時には既に戦場に立っていたのだ
迫り来るヴァリムの歩行戦車に感じた恐怖は、今でも忘れられない
「そんな中で、母はヴァリムに移住し、結婚しました」
「理由は?」
「わかりません・・・・・結局、母は話してはくれませんでした」
「今も、お母様はヴァリムに?」
リンナの言葉に、ジータは天を仰いだ
もし、手が動いたなら、彼の指先はきっと空を指しただろう
「母は、6年前に死にました・・・・・殺されたんです」
さっ、と一同の顔に緊張が走った
「マン・マシン計画。という名前を、いつか喋ってしまいましたよね」
「あ?・・・・・あぁ、そんなこともあったな」
シオン達が、サーリットンに起つ直前の話である
ここ、ゴスティール山脈での戦闘が終わり、拾い物のクロスブーメランの試射をしてた時だった
あの時は、キース、アイリ、シュキ、それにオスコットがシューティングレンジにいて、彼の言葉を聞いていた
“マン・マシン計画”という物について、ジータが少しだけ喋ったのだ
「アルサレアがPFを開発して、ヴァリムもPFを作り上げた時から、この計画は始まりました・・・・・
最初は、“優秀なパイロットを育成するための計画”という事で始まったそうなんです」
「具体的にはどんな?」
「幼い頃から武術の訓練やPF操機の感覚を体に覚え込ませることで、優秀なパイロットを輩出しようとしていたんでしょうね。
当時は、数年後の戦争の激化を想定して、主に10歳くらいまでの子供が被験者となっていました」
「ようは、パイロットの英才教育ということか?」
そうです。とムラキの言葉に頷くジータ
「・・・・・僕と、ダンと、ルキアも、被験者でした。彼らとはもっと幼い頃から知り合いでしたが、共に訓練を受けていました」
目を瞠る一同に、淡々と「その時僕らは7歳でした」と付け加えた
7歳と言えば、まだまだ幼すぎるだろうに。そんな時から訓練を課して成果があるとは思えないが・・・・・
「直接的な訓練ばかりじゃなかったんです。催眠学習で、記憶に技術を刷り込ませるようなやり方もありました」
オスコットが床に唾を吐いた
当時のジータ達と、彼女の愛娘:マリーユ・リースボンは丁度今同じくらいの年なのである
つい、自分の娘にそんな事があったら、と考えてしまったのだろう
ジータは知らないことだが、こうした“刷り込み”は、今ではマン・マシン計画の第二段階として確立している
第一段階が、ジータやダンが受けた英才教育。これが最も肉体や精神への負荷が少ないが、時間が掛かるというデメリットがある
第二段階が、“刷り込み”。今まで交戦した敵では、サーディンやブライスがこれに当たった
知識や技術、時に思想や記憶さえも、意のままに操る“刷り込み”は、手軽に強化兵を量産できるが、
第一段階の催眠学習よりも遙かに精神へ及ぼす悪影響も大きく、思想や記憶の挿入は、記憶障害のトリガーになる可能性もあるし、
そうでなくても、第二段階の被験者は興奮状態を何度も経験すると、精神が崩壊する場合まであるという
もっとも、彼はこんな事までは知っていない。だから、喋ることはなかった
「訓練を受けることは辛かったですけど・・・・・ダンとルキアが居てくれたことと、
それに、催眠学習の影響で、ある程度そういう感覚が麻痺していたのかも知れません。逃げ出すことはありませんでした」
「腹の立つ話だな」
ランブルがスカーフェイスを歪めてそう評するが、ジータは苦笑を向けただけだった
「そんな訓練を4年間続けた頃でした。マン・マシン計画について奇妙な噂が流れるようになったんです」
「噂?」
「はい。“マン・マシン計画が新たな段階を導入する”とか。段階という言い方はこの時初めて耳にしました」
ある一つの可能性に思い至ったオスコットが、恐る恐ると言う感じで、それをジータに問う
「それって、よ。ルーキー。お前がいつか言っていた・・・・・」
「えぇ、恐らく。ヴァリムの“双子の悪魔”は、その新段階の被験者なのではないかと思います」
ジータの言葉は、正確には外れている
正確には、双子の立場は、マン・マシン計画第三段階の被験者、ではない
マン・マシン計画第三段階の、“創造物”だ
「そんな風に、マン・マシン計画について奇妙な噂が流れるようになると、僕達も不安を抱くようになりました。
それでも、脱走とか、思い切った行動に出る者は、いなかったんです・・・・・」
「それも、催眠学習の影響。か?」
「恐らく・・・・・そんな時でした。母が、夜中に突然僕を連れて、アルサレアに亡命しようとしたんです」
「また・・・唐突な話だな。それに反対はしなかったのか?」
「母が亡命に踏み切ったのは、恐らく、マン・マシン計画の“何か”を知ってしまったからだと思うんです。
父は、マン・マシン計画に深く携わっていたという話でしたから、何か軍事機密に触れてしまったのかも知れません。
母の提案には、驚きましたけど・・・・・僕も、本当の事を知りたかったんです。
だから、母の亡命について行くことにしました」
大きく溜息をついて、ジータは言葉を切った
ひどく疲れた笑顔を見せて、彼は居並ぶ一同に問いかけた
「どういうオチがついたと思いますか?」
その言葉に一同は顔を見合わせるが、考えて答えが出るものではない
ジータもまた長くは待とうとせず、あっさりと正解を口にした
「ザーン・シティを出て、3時間も車を走らせない内に捕まりました。
母はその時に僕を逃がして、射殺され・・・・・僕は、一人で国境を目指しました」
「ちょ、ちょっと待てルーキー!お前、その時は10歳かそこらだろ!?」
「えぇ」
「良くもまぁ・・・・・アルサレアまで辿り着けたな」
「辛い旅でしたよ・・・・・ヴァリムでの訓練の方がどれほど楽だったか。
そして、母の実家であったランバート家を頼って、僕はキルマ大佐の養子となり、アルサレアに亡命しました」
半ば病気自慢じみた心理で、暗い笑みを浮かべるジータであった
一様に押し黙る一同だが、最初から未だに、不信感を露わにしたままのランブルは重ねて問う
「だが、いくらお前の母、エリアノーラの実家とは言え、お前自身とランバート家は全く繋がりがなかったのだろう?」
「えぇ、最初は怪しまれましたが、母が渡してくれた家紋入りの指輪と、事情を話したら信用してくれました」
家紋入りの装飾品を身につけるのはアルサレア独自の風習で、名家の者ともなればそれを誇りとして、肌身から離すことは滅多に無い
レーザー彫刻の技術はアルサレアでしか確立されていないため、ヴァリムでは偽造することは不可能だ
そうした辺りが、説得力として決定的だったのだろう
「父さん・・・・・キルマ大佐と、母さんは、兄妹だったらしいんです。
それに、ランバート家は、ずっと母さんの行方を探していたらしかったので、事情を話したら、快く迎え入れてくれました」
「・・・・・それで、これまでの話と、お前さんの目的。どことどこが繋がるんゾイ?」
腕を組んで思案に耽っていたギブソンが、そう問いかけた
ジータの話で、彼の生い立ちや、ヴァリムからアルサレアに亡命したのだ。ということはわかった
だが、ベリウム・ヴァレリウスの殺害を目的とする理由が見出せない
幼少期に、過酷な訓練を強いられていたらしいが、彼の話を聞く限りそれに強い恨みを抱いているようには思えない
ランブルの問いかけにジータは瞑目し、大きく息を吐き出して、
「母に連れられて、ヴァリムを去ろうとしていたあの日・・・・・」
彼の視線が一気に剣呑になった
まるで、“その日”あったことが目の前で展開されているかのように、
ジータは両の拳を握り締め、眉根を寄せた凶眼を床に向けて、込み上げてくる吐き気と戦いながら、彼は、言った
「母を射ったのは、あの男・・・・・ベリウムでした」
「重要機密を知った母親を、口封じの為に殺したのは父親。そして仇討ち・・・・・やりきれない話ですね」
「全く、なぁ」
寂しげに目を伏せて、微かに揺れる声音のクランの言葉に、オスコットは弱り切った顔で頭を掻いた
「だけど、仮に本当だったとしたら・・・・・俺はもう、あいつには戦わせたくないねぇ」
「・・・・・同感ゾイ」
オスコットの呟きにギブソンも同意を示し、二人の言葉に一同は痛みを堪えるような顔をするしかなかった
ジータ・ランバートは、コバルト小隊の貴重な戦力だ
零距離、近距離格闘戦の一翼を担う、腕の立つパイロットなのだが・・・・・
彼の話を聞いて、正直、ジータにはもう戦場に立ってもらいたくなかった
「親殺しをさせたくない。と?」
「お前さん達にゃそれがどれ程の禁忌か、わかんないだろうけどな」
紫煙と共に吐き出された言葉に、再び重苦しい沈黙が場を支配する
だが、今論じるべきは、ジータの事情ではなく、ジータの進退だ
ギブソンが、躊躇いがちに切り出す
「だが、どうするか?事の経緯を報告すれば、軍法会議を免れることはできんゾイ。そうなれば、まず間違いなく・・・・・」
「それに、事が明るみに出れば、軍曹だけでなく・・・・・キルマ大佐まで罪に問われると思いますわ」
「下手をすれば、ランバート家は取り潰されるだろうな・・・・・何故、馬鹿の方が長生きするんだ!?」
スカーフェイスを歪めて、ランブルは拳を握り締めた
彼は経歴が経歴なだけに、無条件で“上の階級の者”への反抗心が強い
特に、間抜けな上司への苛烈な評価と対応は、凄まじいの一言に尽きるほどだ
彼がちらりと向けた視線の先では、ムラキが腕を組んで座っている
巌の様に押し黙ったまま、ひたすらに黙考に耽る彼の姿に苛立ちを感じながら、彼は一同に問いかけた
「それで、現状をどう動かす?いつまでもこのままでいるわけにはいかない。
出撃した事実は伏せようがないし、事の全てを隠し通すことは不可能だ」
隠し事をするに当たっては、まず事実を知る人間が少ない方が良い
今回は、それがまずできていなかった
輸送機に乗っていたのは何もコバルト小隊の隊員ばかりではないのだ
パイロットもいれば、メカニックもいた。この基地にいる一部の人員は、ジータが独房入りしたことを知っているだろう
箝口令を敷いていても、いつかは噂という形で口に上り始めるに違いない
そうなれば、事実が明るみにでるだけではなく、それを隠蔽していた罪に問われることになる
状況は、どう割っても余りが出る状態だった
「・・・・・隊長に相談してみては如何でしょう?」
リンナの言葉に、全員の視線が彼女に集中した
様々な種類の、微妙な感情が籠もった視線が
一拍の沈黙の後、藁にもすがる思いの一同を代表して、オスコットが苦笑しながら呟いた
「・・・・・ま、まぁ。隊長さんなら何か良い知恵貸してくれるかもしれないしな。だから、ほら、怖い顔すんなよお嬢!」
「私は別に怒ってなどいませんが」
口ではそう言いつつも、“藁”扱いされたことを十分に察知していたらしい
きりきりと、危険な角度まで吊り上がりつつある柳眉に、おっかなく首を竦める一同であった
「うそつけ・・・・・あぁ、クラン中尉、悪いけど、サーリットンに連絡取ってみてくんねぇかな?」
「わかりました。すぐに・・・・・」
クランが席を立ち、通信端末の方に向かった
その間、誰も口を開く者は居ない
事態の厄介さと、ジータの話した彼の過去の暗さがこの場で滲み出てきているようだった
あそこまで、負の感情を露わにした彼の姿は、教官を務めていたムラキでさえ見たことがない
彼はキルマ大佐に頼まれて彼を預かり、いっぱしのパイロットに鍛え上げてやった
だが、それも、
(今となっては、間違いだったのかも知れないな)
そんなことまで、考えてしまう
兵士にさえならなければ、親友に刃を向けることだってなかっただろう
唯一の肉親へ憎悪を抱くことはあっても、それを忘れて生きていくことだってできただろう
ジータのやろうとしているのは、心に負った傷の痛みを消す為に、更に大きな傷を付け、最初の痛みを麻痺させようとしているだけだ
結果として、最初に負った傷の痛みは消えるかも知れないが、更なる苦痛に彼が苛まれることは間違いない
(あいつは、もう・・・・・)
そんな、やりきれない思いに駆られていると、
「な、何ですって!!!!!!?」
「のわっ、あちっあちっ!!!」
「た、大尉!?」
いきなり、クランが聞いたこともないほど、取り乱した大声を放ち、
運悪く茶を啜っていたギブソンが驚きに手を滑らせて、膝の上に湯飲みを落としてしまって悶絶している
その後、数言のやりとりの後、クランは通信を切り、
白貌を、まるで紙の様に白くさせて彼女は振り返った
そして、震える声帯を酷使して、彼女はそれを口にした
「隊長・・・・・シオン・マクドガル中尉が、逮捕されたそうです」
静まりかえったオペレータールームにおいて、オスコットとランブルは揃ってくわえていたタバコを唇から落とし、
ギブソンは膝の辺りをじっとりと灼く茶の熱さも忘れて立ち竦み、
ムラキは最前の姿勢のまま顔だけを上げて、目も口も開きっぱなしの、実に見事な驚愕の顔を作っている
そして、失神したリンナが倒れる音だけが妙に大きく響いた
<リベル本島:ヴァリム軍基地>
「ダン・ロンシュタット、参りました」
「ルキア・サーカム、参りました」
だだっ広い執務室に、二人の声が木霊する
驚くほど離れた距離にある執務机に向かっているのは、一人の男だった
その側には、まさしく「巨漢」と呼ぶに相応しい大男が聳えるように佇んでいる
「・・・・・御苦労。報告は聞いている。大儀だった」
「だが、交戦したアルサレア機を撃墜しなかった。というのはどういうことだ」
大男の方が、野太い声で詰問してきた
咄嗟に言葉に詰まるダンを差し置いて、ルキアが努めて感情を押し殺した声で応える
「アルサレア籍のPF数機と輸送機の機影を確認し、基地への包囲を懸念して一時後退としました」
「だが、実際には奇襲など無かった・・・・・叩き潰しておけば良かっただろう」
「待て。バール・・・・・それらは全て結果論だ。今更責めても仕方があるまい。被害は未然に防がれたのだ」
顔を上げもせず、書類に目を通している彼の言葉に、バール、と呼ばれた大男はそれ以上の詰問をやめた
ほっと胸を撫で下ろすルキアだが、今度はダンが勝手に進み出た
一介の少尉風情が、総司令の前で許可無く振る舞うなど、許されぬ無礼である
それくらいダンも知っているはずだが、彼には、どうしても聞きたいことがあった
「総司令。つかぬことを伺いますが・・・・・」
「ロンシュタット少尉!貴様、無礼だぞ!!」
「バール、少し黙れ。それで、私に聞きたいこととは何だ?ロンシュタット少尉」
狐めいた視線がダンに向けられる
冷たく、鋭利な視線には、ダンでさえ息を呑み、一瞬話す決意を揺るがす程の“何か”が込められていた
「・・・・・総司令の子息、ジータ・ヴァレリウスは・・・・・」
「もう6年程になるか。事故で死んでいる。それがどうかしたのか?」
「いえ・・・・・それを聞きたかったんです」
ルキアさえ知らなかった表情で、ダンはそれを口にした
「ジータ・ヴァレリウスは、確かに死んでいる。それを、確認したかっただけです」
つづく
○用語(誤)集、順不同
・この用語集とゲーム本編は、ほとんど関係有りません
加えて、想像で書いている部分がほとんどです。あんまり深く考えちゃダメです
ダン・ロンシュタット、少尉
・人物
ヴァリム軍第2特務小隊“煉獄”隊隊長
前戦役ではグリュウの隊に属し、斬り込み役を担当していたが、終結後昇進。現在に至る
愛機は紅夜叉。(クレナイヤシャ)近接格闘に特化した高機動型中量級
ゲームでの武装は、カイザーナックルとビッグフォーン
しかし、ビッグフォーンはあまりに地味で、書き表すのが面倒なので、本文中では両腕共にカイザーナックル
ルキア・サーカム、少尉
・人物
ダンとは、いわゆる幼馴染み
階級だけでは決して従わせることができないダンを止めることができる希有な人物。それだけに苦労が絶えない
愛機は紅兎。(ベニウサギ)高機動、オールレンジに対応した機体でダンをフォローしつつ、共に戦線に立つ
J−2ではダンは登場したのに彼女は出てこなかったりと、ゲームでは非常に地味な存在である
ジータ・ヴァレリウス
・人物
アルサレア機甲兵団所属、ジータ・ランバート軍曹の本名
ベリウム・ヴァレリウスとは血縁関係にあり、ダン、ルキアとは旧知の親友だった
詳細は本文中に。彼に関わる設定は全てオリジナルです。ゲーム中にこのような展開はありませんし、このような設定はありません
ベリウム・ヴァレリウス、総司令官
・人物
ヴァリム軍のGエリア占領部隊総司令官
サーリットンでの戦力の補填にGエリアの部隊を再編する羽目になり、今回はリベル本島に逃げ込んでいった
これはギルゲフの策略であったりするのだが・・・・・本人はここまで追いつめられても諦めるつもりはないらしい
また、ジータの父親でもある
バール・アックス、大佐
・人物
“ヴァリムの猛牛”と渾名される鬼大佐。ベリウムに絶対の忠誠を誓っており、現在は副司令官の立場にある
グリュウとはライバルらしいが、どうもそれはバールの一方的な主張の模様
今のところは、顔見せに留まっている
エリアノーラ・ランバート
・オリジナルキャラ
ジータの母親。通称:エリア
名門:ランバート家に生まれた御令嬢。
その美貌と溢れる教養に求婚者は絶えなかったと言うが、突如失踪してしまい、その行方は依然知られていない(ギブソン談)
実はベリウムと結婚し、ヴァリムに移住していたのだが、既に故人である
ベリウムとの間に何があったのかは、最早当人達以外に知る者は居ない
紅夜叉
・PF
ダンの愛機。名前の由来は言うまでもなく、グリュウの“黒夜叉”に張り合ってつけたもの
名前の通り、機体のカラーリングも赤
ちなみに各特務小隊の機体は、“暁闇”隊は黒、“煉獄”隊は赤を基調にしている
紅兎
・PF
ルキアの愛機
“紅”はともかく、何故“兎”なのかというと、ゲーム:コバルト小隊編のおまけマップで登場するルキアが搭乗している機体が、
「ミルク=兎」だから
マン・マシン計画
・ほぼ全てがオリジナルの設定になりつつあります。大雑把にまとめてみると、
第一段階:英才教育、被験者:ジータ、ダン、ルキア、他
第二段階:刷り込み、被験者:サーディン、ブライス、他
第三段階:バトルヒューマノイド生産、生産物:ユイ、マイ。副産物:クローン兵
第四段階:精神融合、被験者:アークレル
コミックスの方では、“マンマシン・プログラム”という中途半端な物も存在している模様
後書き
居ないとは思いますが、ゲーム:コバルト小隊編に関して全く予備知識が無い方の為に今一度
ゲーム本編ではこのような展開は、何一つありません
ゲーム本編にはこのような設定は、何一つありません
ジータが元はヴァリム人という事はオフィシャルの設定通りなのですが、
ゲーム中ではそれを匂わせるような展開が一切無かった為に、
キャラの割に影が薄かったダンとルキアとを接点として、ジータの過去と、ヴァリムの出自でありながらアルサレアに属する理由と、
その理由に付随する彼の目的。その辺りを捏造してみました
相変わらず強引で有り得ない展開ですが、それなりにまとまった方ではないかと思っています
ジータとベリウムの関係については、非難囂々の予感ですが(待て)
しかも、逮捕者二人目(待っとけ)
片や、ヘルファイアの無断使用。片や敵前逃亡、友軍機への攻撃、通敵容疑
普通だったら銃殺ものですが・・・・・?
次回、インターミッションを挟んだ後に、舞台はいよいよ最終決戦の場:リベル諸島へ移ります
シオンとジータの明日は何処にあるのでしょうね(考えてないんかぃ)
では!
管理人より
T.KさんよりArea:07をご投稿頂きました!
まさかジータがベリウムの息子とは……
ジータ、それにシオンはどうなるのか!<インターミッションをお楽しみに
待ちに待った続きですので、皆さんも是非感想を書きましょう!