〜ヴァリム・アマツの研究所〜
ここはヴァリムのザーンシティから離れたところにポツンとある研究所。
リュウハの親しい友人アマツが所長をしているいろいろなことに取り組む研究所である。
知る者からは通称【アマツ工房】と呼ばれており、リュウハ等のような特別なPF乗りにとってはかなり重要な役どころである。
「おーおー、リュウハでもさすがにこの機体には勝てないか? 2対1だしなぁ」
そう、今リュウハとユイとマイはPFのシミュレーターに入ってユイとマイ用に開発された新機体の模擬戦闘をやっていたのである。
「・・・くっ!!!」
リュウハの方は今まで使っていた愛機、ディアボロスのデータを使い、ユイとマイはアマツが開発した新機体【朧夜】と【朧月】のデータを使っている。
「・・・以前私たちが使っていたシンザンとは比較できないわね」
「姉貴の言うとおりだぜ、段違いのパワーだな」
戦闘が終了しシミュレーターの中から出てきたユイとマイは、アマツの開発した機体の能力に感嘆の息をもらした。
「ユイとマイにそう言われるとなんだか照れるな」
双子のファンであるアマツ、本当に顔を赤くするほど照れている。
「アマツ・・・・・・」
リュウハの方もシミュレーターから出て来ていた。
「おお、ボロクソにやられたリュウハ君じゃないか」
「アレだけのモノが出来るならディアボロスを完成させて欲しいのだがな」
リュウハはアマツの嫌味な発言を無視した。
「いま改修作業中だ、最後のシステムの調整に手間取っている」
「そうか、やっと完成か」
「ああ、待たせたな」
「気にするな、お前が期限を守らないのは前からだからな」
「ぐっ・・・それを言われると弱い」
「なんだよ、そんなこといちいち気にすんなよ?」
「マイ、甘やかすのは良くないわ」
と、リュウハたちがほのぼのとした空気を醸し出していると・・・
「リュウハ様・・・」
リュウハ達が話しているとリュウハの後ろから女性の声が聞こえてきた。
「ユリか」
ユリと呼ばれたこの女性は、リュウハが最も信頼する4人の部下の一人である。
「フォルセア神佐が例の機体の完成を急いでいるようです」
「ほう、あの年寄りもよくやるものだ」
リュウハが楽しそうに、しかし異様な雰囲気をたたえた笑いを浮かべる。
「リュウハ、あんまり無茶するなよ?」
「わかってるさ、アマツ」
「俺の機体を乗りこなせるのなんてお前ぐらいなんだからな、
データが取れなくなる」
(そっちかよ!!)、とマイは心の中で突っ込んだ。
ユイは別の事を考えていた。
(フォルセアが行動を開始したのね)・・・と。
〜アルサレア・輸送機内〜
セストニア氷原での戦闘も一段落したと思ったら、一休みの余裕も無く次の戦地【ゴスティール山脈】へと進軍するラグナたち一行。
ちなみにリュウハ達の話から数日が経過している。
「ふう、しかし上の人たちも人使いが荒いねぇ」
ため息交じりにオスコットが一言、確かに今回の進軍は少しの休みも与えられず、すぐさま次の戦地に飛ばされている。
「まあまあそうぼやかないでくださいよ〜オスコットさん」
「そうだぜオスコット、あまりぼやいてるともっと老けるぞ」
ラグナとヒュウガが苦笑交じりに答える。
「でも今回の進軍は早すぎだと思うんだけどな〜」
「しょうがないわよシュキ、軍人は上の命令が絶対なんだから」
シュキの疑問にクランが心底暗い顔で答える。
分かりきっている事ではあるがやはり口に出すと嫌になるものは嫌になるものだ。
「ふん、たかだか一度戦闘を終わらせたからと言って
休めると思っているのが軟弱なのだ!!」
「・・・確かに私たちは軍人として甘いのかもしれませんわ、
ランブルさんほど厳しいことは言いたくはないですけど」
ランブルが厳しい事を言う中リンナも自分たちの事を見つめなおしているようだ。
「話は変わりますが、なぜ敵の本拠地の中がもぬけの殻だったんでしょう?」
ジータが前回の敵本拠地の様子を思い出してポツリとつぶやく。
「あ、それは自分も疑問に思っていたよ」
ムラキも思い出したようで手のひらをポンッと叩く。
「うーん・・・ムラキさんのヘルファイアで敵兵力が
足りなくなったから撤退した・・・じゃ違うかな?」
「おおアイリ!! 今日は冴えてるじゃねえか!!」
一つの提案を出したアイリにキースがなるほどという形で同意する。
「【今日は】は余計よキース?」
「確かにそれぐらいしか考えられませんね」
神妙な面持ちでクランが答える。
彼女は別の原因があるのではと考えていたようだが結局そこに行き着いたようだ。
「ま、どちらにしろ勝てたからいいじゃねぇかよ? な、ヒュウガ」
「まあそうですね、原因がなんにしろ敵がいなかったってのはいい事ですよ」
なんとなくで話題に結論をつけたころにまもなく次の戦地が見えてきた、とクランが全員に伝える。
「もう着いたか〜・・・ん〜〜!!」
「隊長暇そうでしたね、輸送機の中で」
「んあ? ・・・まあ暇といえば暇だったか?
休まないと戦えないってのもあったがな」
どうやらラグナは身体を動かせないことに不満があったようだ。
「全員準備は完了しましたか?」
クランがそう言うとコバルト小隊全員が起立する。
「みんな準備は完了してるみたいだよ〜」
コバルト小隊はまもなく次の戦地【ゴスティール山脈】に到着する。
〜ヴァリム・???〜
ヴァリムのどことも知れない場所にフォルセアと彼はいた。
「モーリ・・・貴方に重要な任務を与えるわ」
「・・・・・・」
フォルセアは彼の事をモーリと呼んだ。
モーリは牢屋のような場所に枷で縛り付けられている。
モーリはフォルセアに答えるでもなく抵抗するでもなく、ただ虚ろな眼をしてフォルセアのほうを向いている。
「もうすぐここに【コバルト小隊】というアルサレアの
特務小隊がやってくるわ」
「・・・・・・」
モーリはやはり虚ろな目のままフォルセアの言葉を受けている。
「その特務小隊の足止めをしておくのが貴方の任務・・・」
「コバルト・・・・小隊・・・足・・・止め」
「そう・・・それが貴方に与えられる任務よ、フフフフ」
「・・・・・・・・・任務」
「敵小隊にはかなりの数のやり手がいるわ、本気を出して殺しちゃダメよ」
「・・・殺・・・さない・・・」
「そう、殺さないようにして時間を稼ぎなさい・・・」
「時間・・・を・・・・・・稼ぐ・・・」
「いい子ね・・・そう、なるべく時間を稼ぎなさいモーリ」
「モーリ・・・任務・・・足止め・・・殺さない・・・時間稼ぐ」
「そうよ、フフフフフ・・・もしものときのためにアレを置いていくわ」
「・・・・・・了解・・・時間稼ぎ・・・」
(調整がまだ甘いかしら・・・たかだか時間稼ぎにあまり時間はかけられないわ
コレで良いことにするしかないわね・・・)
「神佐・・・ほんとにコレでよろしいのですか?」
「リヴィア・・・仕方ないこともあるわ」
「・・・了解」
「私は他の作戦の準備があるからもう行くわ、頑張ってねモーリ・・・フフフフフ」
フォルセアはモーリの枷をリモコンで外すと早々に出て行った。
「モーリ、コバルト小隊の足止め及び時間稼ぎ・・・任務・・・了解」
フォルセアが去った後の部屋にモーリの声が低く静かに響いた。
〜アルサレア・ゴスティール山脈到着〜
ラグナたちの乗った輸送機がゴスティール山脈の基地に降り立った。
「ふう・・・ここも雪があるんですね・・・」
「まあまあ、前の戦場と似たようなものじゃないですか?」
ジータがため息とともに雪に対してつぶやく、それにヒュウガがあきらめ半分といった感じで答えた。
「ゾーーーーーーーーーーーイ!!!!」
ラグナたちがゴスティール山脈の景色に眼を向けていると、基地の入り口から奇声を発しながら誰かが駆けてくるのが見えた。
「・・・いっ!?」
「アレってもしかして・・・」
「・・・また会うことになるとはな」
ラグナとヒュウガ、ランブルまでもが奇声を発して迫ってきた人物を見て眼の色を変えた。
「おお、久しいゾイ、ランブル・・・おおヒュウガもいたのか」
「お久しぶりです、ギブソン隊長」
ヒュウガが笑顔で挨拶する。
「元気そうでなによりゾイ・・・で、お前は挨拶もなしゾイ?」
「・・・・・・久しぶりだな、隊長」
「相変わらず素直じゃないゾイ」
ランブルがあさっての方を向きながら一応の挨拶をする。
「クランさん、こちらどなたですか?」
「あ、紹介が遅れましたね・・・ギブソン・ドゥナテロ大尉、
ゴスティール山脈で合流予定だった方です」
「ムラキもいるのかゾイ、にぎやかな部隊ゾ〜イ」
「久しぶりだな、ギブソン!!」
「おお、いつぞやの作戦以来だゾイ!!」
ムラキとギブソンが互いに手を取り合い久々の再開を喜び合う。
「・・・後はコレでラグナがいればあのときの小隊になったのに」
「あ・・・ギブソン隊長、その話は後で詳しく話しましょう」
「なんだ? そんなに顔を近づけて・・・気味悪いゾイ」
「ね!! ランブルさん」
「・・・・・・」
チラッとラグナを見るランブル、ラグナは手を合わせてお願いのポーズをしていた。
「・・・・・・・・・ああ、そうだな」
苦虫を噛み潰したような表情で仕方なくヒュウガに同意するランブル。
そんなやりとりを遠めに見てるキースとアイリの二人。
「・・・キース」
「あん?」
「私あのおっさん苦手なんだけど・・・」
「まあ同じ小隊になるからには仲良くしないとな?」
「ううう・・・嫌いじゃないんだけどね」
「ならさっさと挨拶して来い・・・・・・よ!!」
キースがアイリをギブソンの方に突き飛ばす。
「ん? おお、グレン小隊にいた・・・」
「あ、あはははは・・・まあこれからよろしくね」
「おう、ギブソンのおっさんも元気してたかい?」
引きつる顔のアイリの後ろからキースが声をかける。
「おんしは・・・キースだったか? もちろん元気ゾイ!!」
「じゃあ、ギブソンさん私達ちょっと用事がありますので」
「おお、また後でゾイ」
キースがアイリに引きずられてギブソンから離れていった。
しばらく後、ブリーフィングルームに来たときのキースの顔はボコボコになっていた。
「ヒュウガさん、この方とお知り合いですか?」
不意にジータがヒュウガにたずねた。
「ええ、かなり前ですがランブルさんも一緒の部隊で戦ってたんですよ、
そのときの隊長さんがギブソン隊長です」
「まあ、今は『元』隊長ゾイ」
ギブソンが遠い目で懐かしそうに呟く。
「みんな!! そろそろ作戦会議始めようってクランが呼んでるよー!!!」
シュキの声に目を向けるとシュキはすでに基地に入り、基地の入り口から頭だけ出してみんなに向かって叫んでいる。
しばらくして外にいたメンバーは全員基地の中に入っていった。
〜アルサレア本拠地・ブリーフィングルーム〜
新しく加わったギブソンを加え作戦会議を始めようとしているラグナたち。
「それでは作戦会議を始めたいと思いますが・・・ふぅ」
これからと言うときにクランがため息をつく。
「クラン、どうしたの?」
「あ、いえ・・・ここ、ゴスティール山脈に入る直前に
変な通信があった事を皆さんにお知らせしておかなければなりません」
「どうして今まで教えなかったんだい?」
「混乱が生じるかもしれなかったからです、この事に対しては
私一人の責任です、情報をお伝えするのが遅れてしまって
申し訳ありませんでした・・・・・・」
そう言って全員に向けて深々と頭を下げるクラン。
「それは誰かの生死に関わる事だったのかよ?」
と、ラグナが問う。
「いえ、そういう情報ではありませんでした」
「どう思うよ、皆?」
クランが答え、ラグナが皆に向けて問う。
「それなら問題ないと思いますけどねぇ」
「大丈夫ではないでしょうか?」
「私は問題ないとおもいますわ」
「あまり無駄な時間をかけるな」
「自分も大丈夫だと思いますよ」
「良いんじゃないの? クランが間違いすることなんてそうそう無いでしょ〜」
「オスコットさんに一票!! クランがヘマすることなんて無いと思う!!!」
「まだ付き合いは短いけど大丈夫だと思うわ」
「おれっちも問題なしだと思うぜ?」
「これだけ他のヤツらに信頼されてるなら問題ないと思うゾイ」
もはや聞くまでも無かったようだ。
クランの冷静な判断力には全員、全幅の信頼を置いているようだ。
「もちろん俺も大丈夫だと思ってるぜ」
「皆さん・・・・・・ありがとうございます」
少しだけ、ほんの少しだけ涙目になるクランであった。
「それで、どんな情報が流れてきたの?」
シュキが質問するときには元に戻っていたクラン、どこからか流れてきた情報を全員に伝えることにした。
「発信者が不明なのが心配なのですが・・・
どうやらゴスティール山脈ヴァリム本拠地に
何らかの研究施設がある、とのことです」
「なんの研究施設なんだ?」
「それはわかりません、ただ何らかの兵器であるらしいのですが・・・」
「あまりにも情報が不鮮明すぎるんじゃねぇか?」
「隊長の言うとおりです、罠の可能性も否定できないですね」
「だが、何の情報も無いままよりは怪しくても情報があるほうが自分としては
今までの経験上で助かると思います」
ムラキが多少自信ありげに言う。
「何故ですか?」
ムラキの自信の真意を図りかねるジータが問う。
「それはだなジータ・・・」
・・・とムラキが言おうとすると意外な人物が横槍を入れてきた。
「それはな、人を騙す為のウソには何%かの真実を
混ぜといた方がいいからさ!!」
「・・・・・・その通りだ、ジータ」
キースがムラキの台詞を奪ってしまったようだ、少しムラキがいじけている。
「キース! ・・・ったくもう!!!」
アイリがキースに向かってチョップを食らわした。
「まあ、ムラキもそう拗ねんなよ」
ラグナが苦笑しながら言う。
「拗ねてませんよ、で・・・どうするんです? 結局のところ」
ムラキが気を取り直して先を促すようにクランに言う。
「はい、何の研究施設かは分かりませんが研究施設の場所は
分かってるので、そこにドゥナテロ大尉率いる部隊を使い一気に殲滅する作戦です、
アルサレアの得にはならない研究だと言うこともその通信にありました」
「ずいぶん親切な内容だな」
「怪しさ爆発ですね」
「だが他に情報が無い」
ラグナ、ヒュウガ・ランブルの3人が口々に言う。
他のメンバーはなにやら色々考えるところがあるようで黙っている。
「他に作戦思いつく方いますでしょうか?」
クランが周りを見渡す、全員その作戦でいくことにしたようだ。
「いつもの作戦から考えるとちょっと行き当りばったりな気もするね?」
「ま、たまにはいいんじゃねぇの?」
「僕たちの力を過信するわけじゃありませんが、
新しい兵器や新しい機体にも慣れて来てると思いますしね?」
確かにラグナやヒュウガ、オスコットなどの能力は普通から考えたらかなり強い部類に入るだろう。
「次に作戦チーム分けなんですが・・・」
他に意見が無いのを見て次の説明に入るクラン。
「隊長とカミカワ大尉に偵察隊として出てもらいます、
他の方はドゥナテロ大尉達の防衛をしていただきます」
「へ?」
「僕と・・・隊長だけですか?」
「はい、先に出撃して他の方々の道を作っていただきたいのです・・・
偵察と言うのは誤解がありますね、ドゥナテロ大尉達の
機体は攻撃力は凄まじいものがありますが機動力は
あまり良いとはいえません」
「「「・・・・・・」」」
全員がクランの説明を真剣に聞いている。
「ですから、目標地点までの移動にもそれ相応の時間がかかり
いちいち敵の奇襲にでもあっていたらいつまでも目標地点まで到達できません」
「・・・読めてきたぞ」
「正直、大変そうですねぇ」
ラグナとヒュウガが手に嫌な汗を滲ませている。
「そこで隊長とカミカワ大尉には一足先に出撃してもらい
一直線に敵本拠地までの道を作っていただきます、
ドゥナテロ大尉達と他のコバルト小隊が奇襲にあわないように
一直線上の敵機の排除も行ってください」
「ばかな・・・無謀すぎる」
いつも無理ばかりしているランブルが珍しく弱気になる。
「作戦成功確立は何%も無いんでしょうね・・・」
「本当にこんな作戦でいくの?」
「おいおい、シミュレーション結果はどうだったんだよ?」
「現状ではこの作戦が一番成功確率が高いのです」
クランが顔を伏せて言う。
ジータが、アイリが、キースがそれぞれラグナとヒュウガの身を案じる。
「隊長たちが無理だと言うなら他の作戦も考えますが・・・」
「どうするヒュウガ?」
「僕は隊長に従いますよ」
「あ、この卑怯者め!!」
なんだか緊迫した空気にはそぐわない会話をするラグナとヒュウガ。
「隊長さん方、ふざけないでください!!」
「リンナさんの言うとおりですよ」
「大将たち、もしかして自信ありなのかい?
端からみたらこんな馬鹿げた作戦にさ?」
リンナとジータは本気で焦り、オスコットは疑問を抱き二人に詰め寄る。
「ま、絶対不可能ってワケじゃないだろうしよ?」
「そうですね、やってみなくちゃわかりませんよ? 皆さん」
その場にいるクラン、オスコット以外の全員が
(コイツ(この人たち)ら危なすぎるほどに無謀(ですわ)だ!!)
と思っていた。
「それでは、作戦も決まったようなので一旦休憩にしようと思います」
クランがそう言うと、半ば呆れながら全員がブリーフィングルームから出て行った。
〜休憩時間その1〜
ヒュウガがラグナを引っ張ってとある部屋に連れ込む。
「隊長、早くしてくださいよ、時間が無いんですから」
「ああ、なんだよ?」
ヒュウガの横にはランブルもいる。
「貴様が自分でまいたタネを貴様が忘れてどうする気だ?」
「あぁ? ランブル、ワケわかんねー事・・・って、あれか!!!!」
「そうですよ、隊長」
「ラグナ、貴様本当に正体を隠しておく気があるのか!?」
ランブルがいっそう厳しい目でラグナを睨む。
ヒュウガも今回はさすがに呆れたようだ。
「事の重大さを分かってくださいよ? ・・・はぁ〜」
「二人とも、わりぃわりぃ・・・」
「別の部屋にギブソンを呼んである、速攻で説明しろ・・・いいな?」
「おう、助かるぜ・・・ま、びっくりして心臓発作でも起こさなきゃ良いんだがな」
「あはは・・・」
「・・・ふん」
「まあ、ここで黙ってても話しにならねぇな、行くか」
ラグナたちはギブソンが待つ部屋に向かった。
〜休憩時間・ギブソンとの会話〜
「すいません、遅くなりました〜」
「・・・・・・」
「おう、ちょっと話があってよ」
「待たされたことは別にいいゾイ、話とはなんだ?」
ギブソンの言葉に一同が少しだけ緊張する、もちろんランブルも含む。
「実はですね、隊長・・・ラグナ・グレイスもコバルト小隊にいるのですよ」
「・・・・・・俺も驚いたぐらいだ」
ヒュウガとランブルの言葉に口を全開にしてポカーンとしてしまうギブソン。
「ど、どういうことゾイ?」
「いやあ、黙ってて悪かったな隊長?」
「・・・と言うことなんですよ」
「・・・いっとる事がよく分からんのだが・・・」
「・・・このラグナがあのラグナだと言うことだ」
ランブルの言葉を聞き目を白黒させるギブソン、相当なショック、と言うかまだ認められないようだ。
「あの話すると長くて仕方ないんだよな・・・」
「まあ、仕方ないですよ」
ラグナは仕方なくあの事を話すことにした。
〜かくかくしかじか〜
「・・・・・・と言うことなんだよな」
「・・・まあ、フェンナ様が暗殺されかけたと聞いたが、
犯人はお前だったのかゾイ・・・」
「それが俺にもわからなくてよ?」
「どういうことゾイ?」
ラグナは夢のような感覚のことも話した。
「なるほど・・・そういうことだったゾイ・・・」
ギブソンは少し何かを考える顔をすると思うと突然顔を上げ・・・
「分かった、わしもそのことは秘密にしておいてやるゾイ、
それからこの地域での作戦が終わったらわしはお前たちの小隊に
配属になる、思う存分部下として使ってくれるとうれしいゾイ」
「ああ、すまねぇな隊長、助かるぜ」
「良かったですね、隊長♪」
「・・・・・・また命拾いをしたか」
「おう、お前たちのおかげでホント助かってるぜ・・・ありがとうな」
ラグナがヒュウガとランブルに感謝の言葉を述べる。
いつもと違った雰囲気の所為か照れているようだ。
「やだなぁ、いつものことじゃないですか?」
「貴様が人に迷惑をかけるのはいつものことだろう?」
「おいおい、今回のは不可抗力だったじゃねぇかよ!?」
ヒュウガとランブルの言葉に今までの態度を一転させ、情けない声を上げるラグナ。
「ははははは、あのときの光景がよみがえるようだゾイ!!」
ギブソンは昔の光景を思い出し今の目の前の光景と重ね大笑いした。
〜休憩時間その2〜
ギブソンを説得するのが一段落し、それぞれ次の戦闘の準備をしに行くラグナたち。
ラグナが一番遅れて歩いている。
「隊長・・・」
ヒュウガとランブルに聞こえないぐらいの声で後ろから呼び止められるラグナ。
「・・・ん?」
「少し・・・よろしいでしょうか?」
「リンナか・・・」
リンナが後ろからラグナを呼び止めたのだった。
それから二入は格納庫近くの休憩スペースで飲み物を買ってベンチに座る。
「はぁ・・・それでどうしたんだよ?」
「隊長は・・・本当にあんな馬鹿げた作戦が
成功すると思っているのですか?」
「・・・・・・」
「今回の作戦、クランさんはどうかしてますわ!!」
「そうだなぁ・・・」
ラグナはコーヒーを一口すする。
「ま、何とかなるんじゃねぇの?」
今回クランが立てた作戦はどこからとも知れない情報を信じた上で立てた計画である。
さらに偵察隊に抜擢される者にはそれ相応の、いや、よほどの腕が無ければこの作戦は成功することは無い。
「そんなに気楽にしていられる立場ですの!?」
「まあまあ、落ち着けよリンナ?
誰も戦場に死にに行くような真似はしねぇからよ?」
「当たり前です!!」
そう、当たり前なのだ。
それだけラグナとヒュウガがやろうとしていることは普通の人間から見れば、どう見ても自分から死ににいくようなものだと感じるだろう。
だからリンナはこんなにもラグナに対して怒りをぶつけているのだ。
が、それはただの怒りなどではなく心配だからこそ、よりきつく当たってしまうのだという事をリンナは理解していなかった。
「シミュレーションでは一番いい結果を出した作戦なんだぜ?」
「それは、シミュレーションだからです・・・
もし失敗したらどうされるおつもりですか!?
隊長は、自分の命だけではなく、他の隊員の命も預かってるのですよ?」
「やってみなくちゃわかんねぇだろ? それとも何か?
俺がその程度の作戦もこなせない男だと思ってるのか? リンナ?」
「・・・・・・」
さすがにその言葉には何も言い返せなくなるリンナ。
「ヒュウガだって俺と幾度と無く死線を潜り抜けてきた男だ、
あんななりしちゃいるがかなりの猛者だぜ?」
「・・・・・・ですが!!」
リンナがまだ何か言おうとするがラグナが指でリンナの口を押さえる。
「それ以上は言うんじゃねぇ・・・いいな?」
リンナは口を押さえられているため睨み付けることしか出来ない。
「はあ・・・・・・仕方ねぇなぁ」
リンナの口から指を離すラグナ。
「せめて他の誰かを連れて行ってください!!
私を連れて行けとは言いませんから・・・お願いです・・・」
「大丈夫だ、俺たちは必ず戻ってくるからよ?
今生の別れなんて事にゃならねぇからよ」
「・・・本当ですか?」
「ああ、絶対だ・・・俺たちは強いからな」
自信ありげにラグナが笑顔を見せる。
・・・・・が、しかし・・・
「また、入院でもされたらどうするんですの?」
リンナが鋭いところを突いてきた、と言うか今一番言われてはいけないところを言われたような・・・
「うっ・・・確かにあの時はやられたぜ?
だが今はあの時とはぜんぜん違う状況だ、
戦場にリュウハのヤローの影は見えてないって話だしな」
「あのレベルの敵が出てくるとも限らないですよ?」
「・・・・・・もしそんなヤツがいても、
今度は遅れはとらないさ、ヒュウガのやつも一緒だしよ?」
「ふう・・・・・・」
どう言っても諦めない、と言うか最初から諦める気が無いのだが、そんなラグナを見てリンナも覚悟を決めたようだ。
「ヒュウガさんが一緒ならもしもの事があっても大丈夫そうですわね・・・」
そう言って冷めた目でラグナを見つめるリンナ、もちろん冗談ではあるのだがかなり冷たい目である。
「俺はヒュウガがいないと何も出来ないみたいに言うなよ〜」
「さあ、もう出撃ですわ・・・
お呼び止めして申し訳ありませんでした」
ラグナの言うことなど無視してリンナが格納庫へ入っていった。
「・・・・・・はぁ・・・ま、納得はしたみてぇだな・・・一応だが」
そうつぶやいてラグナも遅れて格納庫へと入っていった。
〜出撃・偵察隊〜
そんなこんなでラグナとヒュウガが出撃する時間が訪れた。
「隊長、カミカワ大尉・・・準備よろしいですか?」
クランが画面越しに出撃前の最終確認を取る。
「ああ、こっちは問題なしだな、まだ実践で使ったことが無い
兵器があるってのは多少ひっかがるがよ?」
「隊長と同じく問題なしです、全部以前から使ってる
ものばかりですから、大丈夫でしょう〜」
二人は余裕のようだ。
「二人ともよく落ち着いていられるよねぇ・・・ってクランもそうか」
シュキは出撃直前になっても普段のペースを崩さない3人がどうしても信じられないようだ。
「まあ、気持ちは分かるんだけどね、シュキ?」
「ううん、多分私が未熟なだけなんだと思うから気にしないでよ、クラン?」
「・・・本当の意味での、普通って何を指すのかしらね?」
クランはシュキを見つめながら、どこか遠くを見るような目でそう言った。
「・・・?」
「なんでもないわ、シュキ・・・それでは隊長とカミカワ大尉は出撃してください。」
「「了解!!」」
ラグナとヒュウガが勢いよく出撃した。
この後に待ち受ける予想外な敵との遭遇を知らぬままに・・・
〜戦闘開始直前・ラグナとヒュウガ〜
「隊長、この機体で二人っきりの戦闘って凄く久しぶりですよね♪」
「やけに嬉しそうじゃねぇか、ヒュウガ」
「そりゃもう!! 昔みたいに撃ちまくれますからねぇ♪」
「はあ・・・まあ好きにしてくれや」
「ここだけの話、隊長レベルじゃないと安心して撃ちまくれないんですよね・・・
あっ!! クランさん、他の人には内緒ですよ? 気を悪くされたら困りますからね」
通信だけはつながっているクランにヒュウガが自分が漏らした人間関係マイナス情報の流出を止める。
「わ、わかりました・・・」
クランは正直(カミカワ大尉ってこんな性格だったかしら?)と冷や汗を流していた。
「クラン、前方に何かの影を捕捉したぜ?」
「了解・・・データ照合完了、ヴァリム軍のPFです」
クランが素早くデータを照合する。
「やっとお出ましか・・・」
「それじゃクランさん、通信を一旦切りますね〜?」
「え!?」
ヒュウガの言葉に唖然となるクラン、だがクランが何か言うよりも早く、ヒュウガとラグナは通信を切っていた。
「さて・・・いっちょ揉んでやっか!?」
「ええ、しかし二人きりで戦うのもホント久しぶりです」
「さっきも言ったじゃねぇかよ」
「嬉しいんですよ、きっと♪」
「おいおい、自分の事だろうが・・・」
「久々に羽目を外せそうですからねぇ・・・相手が雑魚っぽいのが
気に入らないですが」
「そんな事言ってリュウハみたいなのがうじゃうじゃ出てきたらどうすんだよ」
「おや? 隊長ともあろう人が怖いのですかねぇ?」
「・・・ま、正直言っちまうと少しは怖えな、圧倒的だったしよ、
今ならそうそう遅れはとらねぇがな、ククククク」
本当に正直にあのときの感想を漏らすラグナ。
だが今のラグナは前とは全く違うと言っても良いくらいの力を持っている。
「それでこそ隊長ですよ・・・っと」
「どうしたヒュウガ?」
「そろそろ敵部隊とぶつかりますね・・・数だけは結構揃ってるみたいですよ♪」
戦闘狂という訳でもないのだろうが、ヒュウガの瞳が敵機を補足するレーダーの光点を見て激しく揺らぐ。
「・・・・・・・そりゃ俺だって興奮してねぇわけじゃねぇがな?
そこまであからさまなのもどうかと思うぞヒュウガ?」
「とりあえず100機は来てますね、種類は5種類ぐらいでしょうか」
「とりあえず、相手してみねぇと分からんな」
「それじゃ行きましょうか?」
「久々にアレやるのか?」
「良いですね♪・・・それじゃ、お先に!!」
「あ、てめぇ!!」
ラグナはフライングをするヒュウガを追いかけるように、夥しい数の敵の群れの中に突っ込んでいった。
〜出撃・ギブソン中隊護衛部隊〜
ラグナたちが出撃し、ついでに敵部隊と交戦に入るころ、ギブソン達を護衛すらために残ったコバルト小隊メンバー。
「隊長たち、本当に大丈夫なのでしょうか・・・」
ジータが不安げな表情でポツリと言葉を漏らす。
「大丈夫であろうが大丈夫でなかろうがもう出撃してしまいましたわ!!」
「落ち着け、イズミ少尉!!」
今の気持ちをコントロールできずに怒鳴るかたちとなってしまったリンナをなだめようとするムラキ。
「あいつ等が無謀なのは知っていたつもりだったが・・・」
「ランブルでも掴みきれなかったゾイ?」
「・・・・・・そのようだな」
いつもと違う雰囲気にランブルも言葉を漏らす。
ギブソンもそんなランブルを気にしているようだ。
「しっかし・・・もしかしてうちの隊長以上に無茶苦茶じゃねぇか?」
「あはは・・・・・・笑い事じゃないけどそうかも・・・」
キースの言葉に同意するアイリ、無論今言った隊長はグレンリーダーのことだ。
「まあまあ、そんな事言ってる間に俺達の出撃の時が来たようだよ〜」
周りを見回しながらオスコットがそう告げる。
ちょうどこの時にラグナたちは通信を切ったのである。
「隊長達側から通信を切られました、おそらく
戦闘の支障になるとの判断なのでしょうが・・・」
「でもそれじゃあ連絡が取れないよ?」
クランが淡々とラグナたちが通信を切った事を告げる。
シュキもその行為に疑問を抱いたようだ。
「ですので、ドゥナテロ大尉達を護衛するのは変わりませんが
出撃時間をずらします、もし隊長達に追いつけるようでしたら
何機かは先行してもらってもかまいません、
ですが一番重要なのは護衛だという事をお忘れないようにお願いします」
「「「・・・・・・」」」
「何か質問はありますか?」
「今現在で分かってる敵の規模を教えてもらいたんだけどねぇ?」
他のメンバーが唖然としてる中オスコットが言う。
「超遠距離レーダーで探ってみたんだけど・・・特に反応は無いよ?」
「ステルスの可能性は考えられないかしら? シュキ」
「・・・・・・一応照合はしたけど全く出てこないよ、クラン」
「そう・・・では、皆さん出撃準備はよろしいですか?」
「「「準備完了(ゾイ)(!)(〜)(ですわ)」」」
「どうやらみんな準備完了してるみたいだね、早いね〜」
ラグナたちとの通信が途絶えた今、クランの指示と自分達の考えを頼りに動かなければならなくなったコバルトメンバー。
「護衛隊のリーダーは元グレン小隊のエルヴィン大尉かミカムラ大尉
にお願いしたいのですが・・・よろしいでしょうか?」
「あ、じゃあ俺がやるわ・・・小隊長になった経験もあるしな」
「それじゃ、任せるわ、正直不安だけどね」
「では、エルヴィン大尉」
「おう!! みんなしっかり着いて来いよ! コバルト小隊及びギブソン中隊?」
「はいはい、威張ってないでさっさと出撃しましょ?」
「わかったわかった・・・んじゃ、コバルト小隊出撃!!」
「「「「了解!!(ゾイ)(ですわ)(〜)」」」
こうして基地に残っていた護衛部隊も進軍を開始した。
〜戦闘中・ラグナとヒュウガ〜
敵機を目視で確認できるところまで迫ってきたラグナとヒュウガ。
ちなみにこのあたりで護衛部隊は出撃した。
「おーおー、こりゃ大勢だな」
ラグナはその敵の数を見て感嘆の息を漏らした。
「確かに多いかもしれませんね〜」
なにやら楽しそうに敵の集団を見るヒュウガ。
・・・・・・・・・ホントに戦闘狂ではないのだろうか?
「まずは小手調べと行くか!!」
「じゃあ僕は適当にロックオンして撃ってますね」
そう言うが早いかラグナとヒュウガは別々の方向に自機を進める。
そして先行したラグナが見たものとは・・・
「おいおい・・・マジかよ!?」
そう、前回の戦場の指揮官戦で戦ったあのスピード狂な機体がラグナの目の前に5機もいたのだ。
「この機体相手にヒュウガじゃちょっとやべぇか、
コイツマジでめんどくせえんだよなぁ・・・」
そうこう言っている間にラグナにその5機のスピード狂が迫る。
遅れて近づいてくる敵機もその5機の援護とばかりにマシンガンやらミサイルやらをラグナに向けて撃ってくる。
「あ〜!! 考えてもしかたねぇ、片っ端から斬り捨ててやるぜ!!」
肉薄する5機のうちの一機に狙いをつけて斬りかかるラグナ。
が、やはりあのスピード自体が武器となり防御となりラグナの剣撃をことごとくかわしていく。
かわして行くと言うより当てられないと言った方が正しいか。
「ちっ・・・さて、どうするかな・・・
そういや、まだ使ってない新兵器あったな・・・」
ラグナはヒョウドウから受け取った兵器で使っていないものがあった事を思い出した。
「んじゃまずは・・・BFD起動!!」
軽く脳が揺れた感じの後に広がるのはより鮮明な擬似戦闘空間だ。
「・・・んで次は・・・っと」
ラグナはヒョウドウに教わった新兵器の起動の仕方を思い出していた。
「・・・ファミリア、アクセプト」
ラグナがそういうとハイ・アブソリュートの肩に装備されていたパックが開いていく。
そして開いた場所から何かが数機飛び出していく。
「・・・・・・なんか変な感覚だな・・・」
ラグナの頭に浮かんだ擬似戦闘空間になにやら数個の小さな物体が入ってくる。
さらにその新しく入ってきた物体はラグナが考えたように、想像したように動いている。
「なるほどな・・・どうやったらこんなん出来るのかわからねぇけど、
まあ使い易いっちゃ、使い易いじゃねぇかよ?」
さらにラグナはその物体がどう動くかを想像し、戦闘空間内で異常な速さで動く大きな物体に照準を合わせるように考える。
すると小さな物体は高速で動き始め異常な速さの大きな物体に動きを合わせていく、そして・・・・・・
「・・・・・・ファミリア、イット!!」
ラグナがそう言い終った次の瞬間、ラグナの頭の中でも現実の戦場でも激しい閃光が奔った。
「うわあ!!」
誰のとも知れない声がラグナのコクピットに響く。
激しい閃光も一瞬で引いていき、その後に残ったのは先ほどまで馬鹿みたいな速さで走っていた機体の残骸だった。
「おいおい・・・ついこの前にアレだけ手こずってたヤツがコレかよ?
はぁ・・・なんかやる気なくしちまうよなぁ・・・」
とはいっても先行して攻めてきていた機体がその5機なだけであり、その後方からはいまだに射撃でラグナを落とそうと迫る機影相当数見える。
「とりあえず、BFDに慣れるつもりであいつらを斬っておくか!!」
無理やりやる気を出そうとコクピットの中で大声で叫び、そして機影が迫ってくるほうに向けてゆっくりと歩みを進めていった。
〜戦闘中・ヒュウガ〜
ラグナと別れて別の方向から迫る敵の集団にゆっくりと迫るヒュウガ。
「そういえばこの小隊に来てから一人で動くのは初めてな気がしますね?」
確かに、コバルト小隊に来てからヒュウガは一人で作戦を遂行したことなど無かった。
「ここら辺一帯が荒れちゃうかもしれないですが、
まあ味方を巻き込まないし偶にはいいですよね?」
誰にともなくつぶやくヒュウガ、やはりいつもの彼とはどこか雰囲気が違う。
「それじゃあ、そろそろいってみましょうか!!」
ヴァリム勢の攻撃がギリギリ届く距離まで近づいて足を止めるヒュウガ。
そして両手、両肩の武装を全て展開した状態にする。
「う〜、まだですよヒュウガ、まだ撃っちゃダメですよ〜」
自分に言い聞かせているのだろうか?自ら自分の名前をつぶやくヒュウガ。
その時、敵部隊からの通信が聞こえてきた。
よほど余裕があるのか全周波放送での通信のようである。
「なんだぁ? 敵は一機か? ・・・俺達も舐められたものだな?」
「ああ、確かに舐めてるとしか思えねぇよな?」
「だけど一機で来るからには相応の力を持っているのでは・・・?」
「バーカ、グレンリーダーじゃあるめえし、そんな力を持ってるのは
ほんの一握りの人間だけだ」
「ですがこんな辺境の地まで我々を倒しに来るのですよ? たった一機のみで」
「そりゃあ、力があろうがなかろうが酔狂なやつってのは
結構いるもんだからな? 要するに馬鹿なんだろーぜ」
ヒュウガは通信を切った。
そしてそんなヒュウガの顔にはいつもの笑顔+青筋が張り付いていた。
「・・・・・・」
ヒュウガは思った【哀れ】・・・と。
そしてトリガーに指を掛ける、そしてこうも思う【相手が悪かったですね】
ちなみに今のヒュウガの状況は、敵機がかなり近くまで迫り銃弾が嵐のように飛び交う中をこんな事を考えながら避けているのである、ほぼ全てを。
多少のダメージを喰らいつつもつい先程までは完璧に避けていたのだから、ヒュウガはやはり凄いパイロットである。
そして運悪くヒュウガが目視で敵機を捕らえられるようになったころに、先ほどの通信が入ってきたのだ。
もはやヒュウガを止められる者はここにいない、
といっても先ほどからヒュウガ一人しかいないのだが。
「さあ、いきますよ!! 迷わず成仏してくださいね!!!」
突然通信をカットしたのを自ら復活させ、全周波放送でヴァリムのヤツらに向けてヒュウガが発言する。
その声にはいつもの声に加えて幾分か闇の波動が混じっている。
そしてその闇の波動に気づけたヴァリム兵はここにはいなかった。
「【銀翼の弾丸】の実力、しっかりとその目に焼き付けて逝ってください」
カラミティ・レイン
両手両肩から夥しい数のコロナブリッドMLRSが発射される。
一番最初の弾頭の着弾、そして・・・
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!
続いて全ての弾頭が着弾する。
一発あたりの威力もさることながらこれだけのコロナブリッドに狙われるのである。
そこにあるもの全てを破壊する災厄の雨、まさに必殺技の名にふさわしい威力である。
「ふう・・・これで結構すっきりしたとは思うんですがね〜♪」
少しずつ爆音と硝煙が晴れていく・・・
「・・・・・・おや?」
そこには運よく気付きバックダッシュで難を逃れた敵機が数機、残っているだけだった。
「・・・残ってる人たちがいましたか・・・」
残った機体に乗ったパイロット達は恐怖に身体を震わせてその場から動けないか、何があったのかを理解しきれないらしく、唖然としているもの、その他でもヒュウガに敵意を抱くものはいなくなっていた。
だが・・・・・・
「貴様・・・本当にあの【銀翼の弾丸】なのか!?」
運と言うものが目に見えるのだとしたら、この台詞を吐いたヴァリム兵士の運は、もう皆無としか言いようが無いくらいに尽きていたのだろう。
「はあ・・・せっかく撃ちまくってさっぱりしてたのに・・・
どうしてこうも余計な仕事を増やしてくれるんでしょうね・・・」
ヒュウガは仕方なく残った敵機を滅すると、ラグナと別れた地点まで急いで戻っていった。
〜戦闘終了・ラグナとヒュウガ〜
ラグナが一足先に戦闘を終わらせたため、ヒュウガを待っていると程なくしてヒュウガも戻ってきた。
「よお、無事みたいだな?」
「ええ、隊長こそ激しい損傷が無い様でなによりです♪」
控えめにではあるがお互いの安否を気遣う二人。
「ヒュウガ、なんか大事なこと忘れてねぇか?」
「え? ・・・・・・あっ!!」
「なんか思い出したか?」
「通信切りっぱなしですよ、僕達」
ヒュウガのその台詞を聞いたラグナは目の前が真っ暗になっていくのを感じたと言う。
「クランさんの怖い声が聞こえてきそうですね・・・」
ヒュウガも目の前が真っ暗になっていくのを感じていたらしい。
「勢いで通信切ったが、そのまんまだったからなぁ」
「とりあえず繋いでみましょう・・・」
ヒュウガとラグナが通信のスイッチをONにする。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
しばらく待ってみたがなんの声も音も入ってこない。
どうしたのだろうか?
その話はギブソン中隊と護衛隊が出撃して少ししたところまで遡る。
各種設定
人物
名前:タカヒロ=アマツ(天津尚裕)
年齢:19歳
性格:明るいが腹黒い所がある
趣味:親父ギャグ
補足:リュウハの数少ない友人。ディアボロスの兵器、
システムは全て彼が作った(機体その物は彼の父親(死んでます)が作った)
またパイロットとしての腕も一流で近接兵器はどんな物でも扱えるが
射撃は全く駄目である。因みに兵器は全てノリで作るらしい(爆)
出会ったのは3年前リュウハがディアボロスの製造を彼の父親に依頼した時に
偶然出会って話をしたら何故か意気投合し現在に至る。
ついでに言うと双子のファンである。
我龍さんからお借りしてます
名前:リヴィア・ストール
年齢:25歳
階級:大尉
設定:ヴァリム特殊諜報部所属。寡黙なる傍観者。感情の機微というものが殆ど無い。しかしそれは苛酷な環境で生き抜く為の仮面。狂わぬ為に、己の心を閉ざした女性。
PFやパイロット達の戦闘データを収集する為に専用PFと共に戦場を渡り歩く。対象はヴァリムだけではなく、アルサレア・ミラムーンも含まれる。どのような事態になろうとも、基本的に戦闘には参加しないが、その実力は間違いなくエース級と言われている。
戦闘に参加しないのは、フォルセアの様に性格によるものではなく、任務(データ収集)を最優先している為。
ガルスキー財団と関わりがあると言われているが、真偽は定かではない。
〜作者どものお遊び・今回の作業スピードは異常だった
ひょっとしたら執筆者壊れてるんじゃないの? いい意味で〜
背徳の旋律「ああ、なんかここに来るのも久しぶりだなあ」
悪夢の召喚士「何ヶ月ぶりだろうか?」
背徳「えーと・・・・・・」
ティア「一ヶ月と半分ぶり、ですね〜」
悪夢「この娘だれ?」
虚ろう魂「誰でしたっけ?」(虚ろは単純に忘れているだけ)
背徳「2回ほど前の後書き、丁度おまえさんがいないときに入った俺の助手だよ」
ティア「ティア=ノヴァルティスと言います、悪夢さんよろしくです♪」
悪夢「ああ、よろしく」
悪夢「・・・で、こいつはどこで引っ掛けてきたんだ?」
背徳「誰も引っ掛けてなんていないよ」
悪夢「ほう・・・なら何処で見つけてきたんだ?」
ティア「私は先生の研究所の助手ですよ? 本来のお仕事は4研の仕事ですけどね」
背徳「暇なときに手伝ってもらってるんだよ」
ティア「結構面白いんですよね、やってみると」
悪夢「研究所?」
背徳「ああ、前回のゲストに感化されてな・・・」
ティア「結構面白いんですよね、やってみると」
悪夢「ゲストって誰?」
ティア「ヨニカさんですよ、ああ・・・あの時、悪夢さんいませんでしたね」
悪夢「あの時は中の奴が兎狩りがしたいって言って交代してたからいないな」
背徳「あの人のカスタマイズの腕を見れば誰でも感化されるような気がするけどね」
ティア「一応虚ろさんもいたんですよね、ヨニカさんが来てるときに」
虚ろ「あの時はどうも会話に参加してなくてすいませんでした。ウサギ鍋を食べるのに夢中だったのでね。
今度はおなかいっぱい食べてきましたし、大丈夫ですよ」
虚ろ「今度は睡魔に襲われるかもしれませんけど」
悪夢「ならこいつを置いておくか」と言いながら人食い兎(悪夢の改造によりかなり凶暴化してる)を虚ろの横に置く
虚ろ「わお♪ こんなとこに食後のデザ・・・って、ぎゃあぁぁぁぁっ!!」(魂は屍となった)
背徳「こっちが機械ならあっちはバイオを研究し始めたか」
ティア「先生・・・アレ怖いですよぉ〜」
背徳「・・・多分、目標はセットできるみたいだから大丈夫だろ
いつまでも俺の後ろで震えてるんじゃないぞ」
ティア「本当ですか? ・・・ううう、まだ不安ですよ」
悪夢「俺は昔からやってるんだけどな」
背徳「そんな話は聞いてなかった・・・って、話がずれてる」
ティア「今日はどんなお話をするんでしたっけ?」
悪夢「何か裏話をやれとか聞いたが?」
背徳「裏話・・・特に無いな」
ティア「無いんですか( ̄□ ̄ !!」
悪夢「アホ作者共は行き当たりばったりでやってるからな」
背徳「俺達もそのアホ作者の内なる者なんだけどな」
背徳「まあそれはおいとこう、なんかネタあったかな〜」
ティア「それなら私、ひとつ気になってることがあるんですけど・・・
いいですか、先生?」
背徳「なんだいティア?」
ティア「少し前の話から出てきてる単語で『狂える漆黒の疾風(くるえるしっこくのはやて)』
と今回出てきた『銀翼の弾丸(ぎんよくのだんがん)』って何か共通してるんじゃないですか?」
背徳&悪夢「ギクゥッ!!」
悪夢「どうする?」
背徳「どうするったってなあ・・・結構先の話になりそうなんだけど」
悪夢「なら何処まで喋る?」
背徳「まだ決まってないことの方が多い状態だしな、
まあ、ラグナとヒュウガに上官がいたってことと、その上官のせいで
今のラグナたちが出来上がったと言っても過言ではない、と言ったところぐらいか」
悪夢「後はラグナがいた部隊を○○○達に潰されたくらいだからな」
ティア「あの〜・・・」
悪夢「何だ?」
背徳「あ・・・っと、なんだい?」
ティア「結局のところあの単語は何を指してるんでしょうか?
なんか凄くカッコイイ単語だなあ、とは思ったんですけど」
背徳「はあ、仕方ないなあ・・・ティアよく聞いてろよ?」
ティア「はい・・・」
背徳「『狂える漆黒の疾風』はラグナの昔の異名で、
『銀翼の弾丸』はヒュウガの昔の異名なんだよ」
ティア「異名・・・ですか?」
悪夢「と言ってもアルサレアでは有名ではないけどな」
背徳「ああ、かの有名なグリュウ=アインソードにも
あっただろ?」
悪夢「黒夜叉だろ」
背徳「そうだな、でラグナ達の異名はさっきのヤツってワケだ」
悪夢「それがどこまで話に影響するかは誰にも分からないんだよな」
背徳「まあ、今は霧を掴むような話だよ」
ティア「なるほど・・・先生たちも色々考えてるんですねぇ」
悪夢「まあ、考えてるのは中の奴なんだけどな」
背徳「それは言わなくてもいいんじゃないのか?」
悪夢「ところで虚ろう魂って誰だ?」
背徳「知らなかったっけ」?
悪夢「2話以降出てこなかったしな」
ティア「先生教えてなかったんですか?」
背徳「いやぁ、研究が忙しくて忘れてたよ・・・」
悪夢「そんでその研究の成果はどこでお披露目するんだ?」
背徳「しばらく後のサーリットン戦線の話で絡めようと言う話は持ち上がっているな」
悪夢「サーリットンか・・・なら俺も一機ほど出そうかな?」
ティア「あ、そろそろ時間みたいですよ、先生?」
背徳「おお、もうこんな時間だったか・・・」
悪夢「私もそろそろアレの続きをしないといけないから消えるか」
背徳&悪夢&ティア
「それでは、後編でまたお会いしましょう」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そのころ虚ろう魂は地獄にて・・・
虚ろ「さあ・・・かかってくるがいい!!」
強化兎「キシャーーーーーーー」(注 実際の兎は鳴いたりしません)
果たしてこの闘いの勝者は誰か?
次回に続・・・・・・かない
今回のネタ製作のスペシャルサンクス
タングラムさん
管理人より
桃色の悪夢さんより第4話前編をご投稿頂きました!
……あちゃ〜、ああいうタイプを怒らせちゃ駄目ですよ、ヴァリム兵さん(爆笑)
さて、ギブソン達に何が起こったのか……次回に期待!
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