ここはアルサレア軍軍事法廷所、滅多に使われないような部屋から何やら声が聞こえる。
「静粛に!!」
広い軍事法廷所に厳格な、そして冷徹な声が響く。
「何か異議はあるかね?」
一人の青年が軍法会議にかけられているようだ。
「まて、いったい何のことなんだ?俺は何も知らんぞ!」
「黙れ!!小僧、貴様は我が神聖なるアルサレアの反逆者として銃殺刑と決まったのだ!!」
「そうだ!今さら見苦しいぞ!」
「静粛に!!!」
「何か異議はあるかね?」
「何かも何も俺は無実だ!!それにいったい何の罪なのかも知らないんだ!」
青年は反論を試みるが全て無駄に終わる。
「貴様よくもそんな事が言えるものだな、フェンナ様を暗殺しようと企んだ若造が!」
「ほんとに見苦しいな・・・」
アルサレアの重役であろう中年達が、汚いものでも見るような顔で青年を見下している。
「これ以上無駄な口論は止めませんか?議長殿」
「それがいいと思いますよ、私も」
「それではこれにて閉廷、被告は独房に入れておいて下さい」
議長が直立不動だった兵士達に言いつける。
「まて、フェンナ様を暗殺?何かの冗談だろ!?」
「確かに未遂で終わったがな、おとなしく付いてこいよ!」
「黙ってれば痛くも何ともないからな」
「変な気を起こすなよ?」
「・・・・・・・・・」
3人の兵士相手に丸腰では敵わないと悟ったのだろう。
青年は仕方がなく、おとなしく従うことにした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ピチョン・・・ピチョン・・・
水滴が頬に当たる感触で青年は目を覚ました。
「うっ・・・今は何時なんだ?それよりも何日目だ・・・
暗くて時間の感覚が何もない・・・それに石の上に直接寝てるから
体が痛くて仕方がない・・・くそっ」
「大分ご立腹のようだな」
「誰だ・・・どうせ俺は無実の罪で殺されるんだろ?」
「ふん、聴く耳持たず・・・か」
「それより、ここになんのようだ?
ツェレンコフ・ゴルビー参謀本部長様?」
「貴様を助けてやろうという男に随分な態度だな」
青年の瞳に炎とも間違えるほどの光がともった。
「本当か!?」
青年はゴルビーに襲いかからんとする勢いで迫る。
「危ないぞ、青年」
ガシャアーーーーーーーン
青年は柵に向かって思いっきり体当たりをしてしまった。
「はぁ、忠告はしたのだがな」
「お・・・遅ぇよ」
それでも青年は怯むことなく参謀本部長に聞き返した。
「で、どんな手で助けてくれるんだ?」
「キミは何か勘違いしてないか?
キミみたいな重罪人をなんの得も無しに助けるはずがないだろう?」
「それは・・・俺に何か頼み事がある、ということか?」
「また勘違いしてるようだが、これは頼み事ではない」
「なに?」
「これは命令なのだよ!私の方が位も上だし、何より今キミは重罪人なんだぞ?」
「なっ・・・」
青年は少し後ずさる。
「いいか、なんの苦労も無しに重罪人を助けられると思うか?!
貴様は今私に命運を握られてるということを忘れるな!
私が今何もせずにここから去れば貴様は銃殺刑だ」
「わ、わかったよ、俺もバカじゃない、今はとにかくアンタにおとなしく従う
それでいいんだろ?」
青年はあせって頷いた。
ここで参謀本部長を帰してしまえば、確実に自分は死ぬと言うことが解ったようだ。
「頭の回転は早いようだな、それでなくては助けた意味も無いがな」
「それで俺は何をすればいいんだ?」
青年が参謀本部長に先を急がせる。
「Gエリアのことは知っているな?」
Gエリア、それは豊富な鉱物資源がある未開の地であるが、厳しい環境条件と、頻繁な地形変化の所為で生活が困難であり、非常に生活がしにくい危険な土地である。
「ああ」
「では、最近一部のヴァリム軍がそのGエリアにアルサレア侵攻のための
要塞を建設しているのは知っているか?」
「いや、それは知らなかった」
「そのヴァリムの侵攻部隊の総司令がベリウムという」
「・・・」
「そのベリウムを半年以内に捕虜として捕まえろ
貴様が指揮する部隊でな」
「な・・・・・・それじゃこっちも条約を破ることになるぞ?」
「細かいことは考えなくていい、やるのか?やらないのか?」
青年は悩んだ、俺が指揮する部隊で敵の指揮官を捕虜としてとらえろ?
ここで死ぬよりはマシかもしれないがかなり分が悪い戦いになるであろう事は、頭の回転が早い青年は気付いていた。
「やらせて貰います、というか選択肢なんて無いだろうが」
「フフフ、まあ契約は成立だな」
参謀本部長はこれ以上愉快なことはなさそうに笑った。
「では早速働いて貰おうか・・・名前を聞いておこう」
「ラグナ・グレイスだ」
「よろしい、ではラグナ、これからはコバルトリーダーと名乗って貰う
貴様の部隊はコバルト小隊だ」
「わかった、でどこへ向かえばいいんだ?」
「まずは・・・バルメッタ島へ向かって貰おうか」
「・・・了解」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これからこの青年は様々なことを体験して行く。
辛いこと、悲しいこと、嬉しいこと、苦しいこと、楽しいこと、それらの体験の中でこの青年はどのような終わりを迎えるのか?
これはその青年とその仲間が体験する壮絶な出会いと別れの物語、誰に受け継がれるでもなく語られもしない一人の青年の物語・・・・・・
管理人より
桃音さん&ナイトメアさんより、ご投稿頂きました!!
なんか、相当シリアスな話になりそうですね・・・・
この先どうなるのか、楽しみにしてます!
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