第11話 バトル、バトル、バトル!!
ダンVSクリステルの翌日
「どうかしら、新しい機体や武装は注文出来たかしら?」
「ええ、注文はすませましたわ
まあ、調整は必要でしょうけどね」
クリステルはまだ何か気に入らないという顔で、弧光に尊大な態度を取る。
「まあ、いいわ
時間の余す限り努力して自分に最適なものをお作りなさい
それよりも、数日中に機体が届くわ
そろそろ登録用の偽名でも決めましょう
何か、ご希望はあって?」
「名前・・、どうでも良いですわ
どうせ、わたくしのクリステル・ミライザと言う名前も本名じゃないことですし」
「なに、どういうこと?」
ルキアは意味不明とばかりにクリステルに問う。
「前に言いましたでしょ、従軍看護婦をしていたと
前線の基地で2個小隊がいた基地に配属されていた時に、出て行ったパイロットの中にクリステル・ミライザはいましたの
特に仲が良いという事もなかったのですけれどね
目鼻立ちが似ていて、でも髪の色は違いましたわ
そしてある日、クリステル・ミライザが中破した機体でわたくしのいる基地に戻ってきましたの
ヴァリム軍の1個中隊と遭遇線になり、彼女以外部隊は全滅・・」
クリステルは天井を見上げ、ふと物思いにふけると続ける。
「彼女はPFから這い出てくると、近づいてくるヴァリム軍と戦うためにエネルギーと弾丸の補給を指示しましたわ
そして、こう言いましたわ
私が時間を稼ぎます、皆さんは1秒でも早くここから逃げて下さい、と・・
そう言ってわたくしの肩に手を置いて事切れましたわ
その後はもう大パニックでしたわ
みんな一目散に逃げ出すし、リペアラーが逃げたのでPFの補給も完了しない
わたくしも正直どうしたものかと思いましたわ
で、仕方がないのでわたくしは整備途中のPFに乗って逃げる事にしましたの」
ド〜〜〜ン!!
「え、ええ〜〜〜!!」
「おいまて、そこはPFで仲間守るところだろう!!」
ルキアとダンが間髪入れずに突っ込んでくる。
クリステルはあなたたちバカ?と言う眼で哀れむ。
「パイロット候補者でもない、いち看護婦に何を期待してますの?
まともに動きもしないPFで、バーニア吹かして逃げるのが精一杯ですわ」
まあ、確かにそれはごもっともなわけで、ダン達は分が悪そうにうなずく。
「でも、まあ世の中そんなに甘い話はないわけで・・・
基地を出たとたんにヴァリム軍にみつかり蜂の巣にされましたわ」
天罰だなとダンがほくそ笑む。
「仕方がないので、機体を捨てて脱出しようと思っていたのですがじきに攻撃がやみましたの
まあ、弾切れとか、ジャムっていたとかそんな感じでしょう
わたくしはこれ幸いと、レーザーソードでヌエ3機を切り伏せ逃走しましたわ」
「マテマテ、3機とも弾切れとかになったのか、いくら何でも・・」
「ダン、あり得るから・・」
いくら何でもありえね〜とダンが言おうとしたが、ルキアの言い分をふと察して黙る。
「話の腰を折らないでいただきたいものですわね
結局、逃げた先にも伏兵の1小隊がいてその3機とも交戦
先にわたくしの基地から出て行ったJファーと交戦して故障していたんでしょうね
もの凄い動作がぎこちなかったので、遠慮なくレーザーソードで切り伏せ敵を全滅させましたわ」
クリステルは真顔に戻ると、全員を見据えて言う。
「逃げる必要がなくなったわたくしは、基地に戻って歓声と共に受け入れられましたわ
もっとも、歓迎されたのはクリステル・ミライザであってわたくしではありませんでしたけどね」
「どういう事かしら?」
誰もが思う疑問に弧光は問う。
「簡単な話ですわ
アルサレアの正規パイロットが束になっても敵わなかったヴァリム軍2個小隊を、パイロット候補生でもない、従軍看護婦が圧倒するなど合ってはならない
本当にくだらない話ですが、基地に戻った私が見たのは従軍看護婦:セシリア・ベクレルの死亡診断書と、クリステル・ミライザがわたくしのネームプレートを付けて袋詰めにされて死体置き場に転がっているところでしたわ
基地指令は勝って生き残ったことを喜ぶことよりも、プライドを維持することや、軍内部のあれこれを維持するのに夢中でしたわ
全く、滑稽なことですわ」
クリステルはああ、馬鹿馬鹿しいと声をあげて笑う。
「その後あなたはパイロットに転向して、クリステル・ミライザとして生きることにしたのね」
「まあ、楽な話ではなかったですけどね
彼女を知る人間とか、色々・・」
クリステルの苦笑を見て弧光はまた違和感という疑問を覚える。
「色々あったでしょうけど、変ね
何というか、あなたらしくないわね〜
勝手な、イメージだけど」
「どんなイメージを持たれたのかわからないですけど・・
始めはどうしようもない力に流されて、その後実力はあるのに報われない扱いを受けたりして、良く腹を立てましたわ
だから、わたくしはお金に困らないぐらい稼いだら、平和に暮らせる場所で静かに余生を過ごしたいと思っていますわ
その為に、ゴルビーに近づいたり、PF:クイーンに乗って実験小隊に所属したり、地位や発言力を高める努力をしていましたわ
まあ、何の因果か今はこんな所にいますけどね」
クリステルは思い通りに行かないものだと、うんざりした顔で言う。
弧光としては、国にこだわらない傭兵という位置付けにいるクリステルに好感を得ていた。
「まあ、成るようになるわよ
話を戻して偽名だけど、セシリア・ベクレル本名を名乗ったらどうかしら?」
「死んだ者の名前を名乗るなんて、縁起でもない」
「あら、生きてるじゃない
ここでは、自分を殺すことはないわ」
・・・・面白いことを言う。
自分を解放することは出来ない、と言うより許されない。
それを熟知してない弧光の言葉はしかし、クリステルの胸に打つものがあった。
「では、セシリア・ビシュレと名乗りますわ」
「ビシュレ?」
「母方の姓ですわ、ベクレルは思い入れがわるいですから」
「あ〜、なるほどね」
クリステルの言葉に、なぜかレオンが納得という感じに相づちを入れる。
「どういうこと?」
訳が分からないと言う風にルキアは隣にいるイオンに訪ねる。
「ベクレルは人名の他に、放射能の単位として使われますわ」
・・・・なるほど。
ルキアは引きつった笑みを浮かべたままうなずいた。
「まあ、あなたが良いのならそれで良いわ
で、二人はどうするのかしら?」
さてどうしようと悩むギーグ達に弧光は、それならと切り出す。
「さっき二人の機体を見て思ったのよ、まるで暴君に雷帝ねと
だから機体名は、タイラント(暴君)とグロザー(雷帝)、パイロットはガイウスとイヴァンでどうかしら?」
「ずいぶんと横暴な名前だな、だがまあいかにも偽名らしいところは悪くない」
「たしかにね、それに雷帝とは似合いの名だ
僕のスタイルはまさにグロザー(雷雨)そのモノだしね」
「では、決まりね
以後、ボロが出ないようにセシリア、ガイウス、イヴァンと呼ぶ事を強制します
イオン、三人を傭兵登録するための手続きに入りなさい
条件は以前決めたとおりにね」
「承知いたしました」
うなずくとイオンは早速行動に出る。
「では、私たちはシュミレーターによる特訓と行きましょうか」
弧光はついてこいとばかりに手を振りながら歩き出す。
シュミレータールーム
「まずは、おあつらえ向きに似た戦闘スタイルのペアがいるので手合わせしてみましょう
反省点や、改良点があれば遠慮なく言い合いましょう
互いが今後つまらない死に方をしないためにもね」
一同はうなずくとシュミレーターに乗り込む。
なお、組み合わせはパンチャー:ダンVSガイウス、ガンナー:ルキアVSイヴァン、トリッキー:弧光VSセシリアとなっている。
パンチャー:ダンVSガイウス
レディー、ゴーー!!
YOU WIN
「おい、まて!!」
ダンが開始1秒未満でシュミレーターからはじき出された。
あまりの瞬殺にダンは何が起きたのかもわからなかった。
「油断しすぎだ、真っ正面に棒立ちでは殴ってくれと言われているようなものだぞ」
「いや、なにしやがった?」
「ダン、弱すぎ〜〜〜」
設定していたレオンがお腹を抱えて大爆笑している。
「うるせー、くそ!!」
「アンタはね、開始直後音速超過で大気の壁ごと拳で木っ端微塵に粉砕されたんだよ
でも、設定距離は500mあったからかなり早かったね」
いきなり音速超過だ〜反則も大概にしろ、と叫びたかったが負け犬の遠吠えとダンは口をつぐみシュミレーターに入る。
「おい、開始距離を1kmに設定しろリベンジだガイウス」
ダンは早くしろと腕組みするガイウスに促す。
「ふう、待ちたまえダン
タイラントの初速はマッハ3、秒速1020mだ
設定は5kmぐらいないと何も出来ずさっきの二の舞だぞ?」
「っぐ、暴君は攻撃力だけじゃないのかよ
ああ、くそ!!
もうスキに設定してくれ!!」
レオンはは〜いと景気よく返事をするとガイウスをシュミレーターに促す。
バトル!!
「いくぞ・・、なんだ?」
気合いを入れたダンには、タイラントが見えなかった。
ダンは距離が離れすぎているのかとレーダーをみると背後からタイラントがものすご速度で肉薄してきている。
「くそ、背中合わせかよ」
設定:背中合わせで距離5km
ダンは振り向く暇なしと、全方位型高電圧バリア:フォースフィールドを展開しながら振り向くと左手手掌に内蔵されたプラズマカノンでタイラントをロックしようとする。
「バリアか、小賢しい!!」
ガイウスは下らんと、振り向きざまのボルカノ・ブラットをマッハ3で追い抜こうとして見せた。
ダンは、頭上通過を狙うも、あまりに早すぎて旋回性能が追いつかなかった。
「凶器の速度だな、一撃離脱タイプか・・」
仕方がない、戻ってきたところをとダンが思ったときだった。
背後からフォースフィールドが吹き飛ばされた。
「な、もう戻ってきたのか!!」
「一つ誤解があるようなので訂正しておこう
私はもっとシンプルな「漢」だ
見つけたら、ただ殴り倒すだけだ
あらゆる障害を避けきり、ただ殴るだけだ
こんなふうに」
ガイウスのセリフを聞き終える前にダンはまたシュミレーターからはじき出された。
「おい、まて!!
フォースフィールドはどうした?!」
興奮するダンに、ガイウスは静かに告げる。
「タイラントの拳は、ゴッズ・ハンドが発動している
インパクト終了時まで神のごとき攻撃力と、あらゆるものを打ち砕く無敵のフィールドが展開されている
同種のフィールドは干渉しあえばショートするのが道理
後はただ殴っただけだ」
「マジかよ、詐欺みてぇ〜なもんだな
いや、それもそうだがいつのまに戻ってきたんだ?
あの速度で急旋回は・・」
「HM:瞬間停止
瞬時に運動エネルギーも、慣性もゼロにするHMだ
頭上を通過と同時に停止、後は殴っただけだ
シンプルだろう?」
確かにシンプルだ。
ただ近寄って殴るだけ、シンプルすぎると言って問題ないが、ダンは違和感を覚える。
果たしてそんなこと、本当に出来るのか?
一対一のパンチャー同士だから出来るのではないかと、ダンは思わずにいられない。
だから、ダンは射撃を中心に次の戦いをしようとレオンに注文をつけシュミレーターに入っていった。
ダンが、ガイウスにボコボコにされている頃
ガンナー:ルキアVSイヴァン
ステージ森林
ルキアはシュミレーター開始直後イヴァンを探してレーダーに目をやった。
その直後ミサイルの弾雨を浴びる。
「っちょと、いくら何でも反応速早すぎやしない?」
ふざけんな〜〜!!
という叫びを込めてルキアは叫ぶ。
「んん、何のことだいルキア嬢?」
回避行動をとるルキアだったが、まるで先読みされているかのように弾雨の雨からルキアは逃れられない。
「いったいどうなってんのよ!!」
これ以上は回避不可能と、ルキアは判断するとバックパックに追加されたGF級の大型アームを盾にしながら、戦艦の主砲も真っ青のリニアバズーカ:レーディヒ・シュライ(独身の悲鳴)をイヴァンに向かって構える。
「余裕ぶっこくのもここまでよ
初速16.7km/s(第3宇宙速度)のエナジーバレット何とか出来るなら、やってみなさいよ!!」
ルキアは叫ぶとトリガーを引く。
・・・・・
が、弾は発射されなかった。
代わりにレーディヒ・シュライが爆発した。
「暴発!!
ちょっと何よ、データの打ち込みミス?」
まさかの事態にルキアが叫ぶ。
そこに冷静な一言が返ってくる。
「いや、キミがまんべんなく食らっているテスラデインは兵器破壊属性だ
単純に被弾しすぎなのだよルキア嬢
そして、トドメだ」
イヴァンはリニア粒散弾重砲を初めてルキアにロックするとぶっ放した。
「そう簡単にやられてたまるもんですか!!」
ルキアはガーディアン・ウイングを前面に展開しつつ、最強の誘導性能を誇るMLRS・クレイジーをぶっ放す。
リニア粒散弾重砲は森林の木を瞬時になぎ払い、防御特化したガーディアン・ウイングをも問答無用でぶち抜いてルキアに肉薄する。
「全く、腹立つ威力ね」
味方なら頼もしいのよね、やっぱり。
とか思いながら、ルキアは重力レンズを前方に展開しつつ、二重構造になっている肉厚の盾:グランパンツァー・シュバリエを構えその後ろに隠れる。
リニア粒散弾重砲は、重力レンズで多少軌道を反らされるも、その大半がルキアの乗るケーニッヒ・フラウに直撃する。
が、イヴァンの期待を裏切る防御力でルキアはまだ生きていた。
「・・たいしたものだね
だが、後何秒持つかな?」
「同じセリフを返させてもらうわ!!」
ルキアはリニア粒散弾重砲でクリアになった射撃軸線上に鎮座するイヴァンの乗るグロザーに向けてビックホーンにリニアリボルバーキャノンとソードレーザーキャノンを内蔵した兵器:ヴェクサシオン・シュナイデを構える。
リニアリボルバーキャノンには、既にエナジーバレットが装填されている。
触れた物質全てを励起崩壊させ光エネルギーに変換させる弾丸を防ぐすべはない。
そもそも、グロザーは機動性能0。
タダの一歩も動けないのだ、索敵された時点で勝負は決まっている。
そんなものに負けてたまるものですか!!と、ルキアは引き金を引く。
と、ここでルキアは失念していたことに気づくべきだった。
それはさっき反撃にぶっ放したMLRS・クレイジーがどうなったかについてだ。
勿体ぶらずに言えば、戦闘開始直後から現在進行形で全方位にぶっ放され続けているテスラデインに、とっくになぎ払われている。
そして、ケーニッヒ・フラウはヴェクサシオン・シュナイデを構えている間も兵器破壊属性とはいえ、数万発のクラスターミサイルの雨に打たれ続けていた。
ルキアの一撃がどれも岩おも砕く一撃とするなら、イヴァンの攻撃は岩おも穿つ雨水である。
そして、次の瞬間勝敗は決する。
ケーニッヒ・フラウは下手に防御力がありすぎたせいで、自身の兵器がものすごい速度で破壊されていることに気づけず、気がついたときには丸裸。
挑発も相まって、防御力を根こそぎそがれた機体はクラスターミサイルの誘爆に巻き込まれ爆散した。
対するグロザーも、一発とはいえエナジーバレットを打ち込まれていた。
触れたものを光に変換してしまう一撃自体に防御のしようはない。
だが、エナジーバレットは無尽蔵に質量を励起崩壊させられるほどのエネルギーはない。
だから、対象を完全に光に変える武器ではなく、あくまで着弾地点を励起崩壊させつつ、防御力無視で貫通する弾丸なのである。
つまり、自身に着弾する前にエネルギーを消費してもらえばタダの弾丸に成り下がる。
イヴァンは、ボディー内蔵のウォータージェット(ウォーターブレード)でエナジーバレットのエネルギ−を水に当て水を光に変換させると、弾丸を装甲に当たる前に空中に止めて見せた。
と、そこで戦闘終了した。
シュミレーターを出た二人
既に34回も負け続けたダンがぶち切れながら再戦をガイウスに促す中、ルキアはイヴァンをシュミレータールームに備え付きのバーカウンターに誘う。
「完敗だわ
いろいろ聞きたいのだけど、いいかしら?」
ルキアはイヴァンを促しつつ、今の戦闘のリプレイに目をやる。
「答えられるものであれば、いかようにもお答えしましょう」
「じゃ、聞くわね
なんで、戦闘開始と同時に全方位無差別攻撃なのよ!!」
頭可笑しいんじゃない?と、最後の一言だけはルキアは理性で押さえる。
「索敵無視がお気に召さないと言うところかい?
ボクの二つ名、ヴァリムでの名は知っているかい?」
「・・確か、押し寄せる戦火だったかしら」
「そう、押し寄せる戦火だ
ボクは舞台を作るのが仕事、敵を倒すのが仕事じゃない
ガイウスが戦い易いよう、見晴らしの良いバトルフィールドを作ることと、相手にするまでもないものを選別するのがボクの仕事
欲を言えば、すてごろ(素手オンリー)の戦いに無粋な飛び道具を持ち込む輩から武器を取り上げるのもボクの仕事だ
これがボクのスタイルだ、そしてそれは状況によって変化するものではない
例えそれが、ガイウス抜きでの戦いでもね」
「あなた、どんだけ無茶苦茶なのよ!!
もっと、効率のいい戦い方があるでしょ!!」
ルキアの怒り顔をみて、イヴァンは楽しげに言う。
「キミは勘違いをしている
ボクの戦闘スタイルは一撃必殺ではないよ、キミと違ってね
ボクの戦闘スタイルは、誘い込んで仕留めるだよ
現にキミは、クラスターミサイルの雨に攻撃手段をどんどん奪われ、あげく逃げ場すら失い、ダメージを受けるのを承知で反撃に出た
ボクは一切攻撃を最初から最後までゆるめなかった
ボクの射程距離にいるうちは、まずキミに勝ち目はないよ
一撃の威力は勝らないけど・・・
数の暴力は才能や、性能といった全てを飲み込んで喰らい尽くす
致命傷にならない軽微な一撃を驚異と感じない全てのものがボクの獲物になる
狩る側と油断しているものに、ボクは負けない自身があるよ」
ルキアはゾクゾクする。
映画俳優顔負けの優男なのに、中身は全てを飲み込む恐ろしきウワバミだということに気づいたからだ。
ルキアが引きつっている頃
トリッキー:弧光VSセシリア
「さあ、お出でなさいウスノロ」
セシリアは余裕ぶっこいて相変わらず尊大な態度をとる。
「ああぁ〜ん、もっとなじって〜〜」
弧光はうれしそうに悲鳴を上げながらアマダスに突撃する。
セシリアは相変わらず抜刀せずに、弧光を待ち受ける。
と、弧光の機体:ベリアルの背中がうにょうにょとざわめく。
次の瞬間、蜘蛛の足のように展開された背部装備のデビルフィッシュからレーザー砲が打ち出される。
ハリセンボンという感じのレーザー砲にセシリアは回避を強いられる。
「ええ〜い、本当におぞまじいですわね」
セシリアはプリズム加工された長剣の鞘:キュベレーを回転させつつ、鞘の回転運動で地面を漕いで真横に滑り出す。
キュベレーに当たったレーザーはことごとく乱反射するが、数が多すぎるのか多少は被弾してしまう。
と、セシリアがレーザー砲の拡散砲火を避ける軸線上に大型の手斧:スワンチカが投げ込まれた。
それも、刃の部分が光り輝いている。
「エナジーウエポンですわね、同じ轍は踏まなくてよ」
ぶち当たる寸前、簡易ニアフレアを発生させるガントレット:テュポーンを起動させ、緊急回避する。
「ふふ、すばらしいわ
あなたも、何とも読めない動きをするじゃない
でも、そろそろ叩き潰させてもらうわ」
イライラし始めるセシリアを無視して、弧光は楽しそうに、唱うように言う。
「させませんわ、お受けなさいゴットブレス!!」
セシリアは鞘であるキュベレーの半分ぐらいの長さしかない剣:ティターニアを抜き放つ。
本来は高周波磁場を発生させた刀身は、周囲の空気の密度を変え光の屈折率を変えることで刀身を見えなくさせているのだが、今は電圧シールド並の電気を帯で青白く発行していた。
そして、帯電状態を斬撃もろとも打ち出し狙った場所に落雷を落とすのがゴットブレスである。
「何が出来るか、私は知っているのよセシリア!!」
それはおもしろくないとばかりに、弧光はガントレット内蔵の高電圧投網:スプライトを展開する。
同質のエネルギーは簡単に誘導されると、パージされたスプライトを感電融解させて消滅した。
「な、ちょっとずるいですわ」
「あら、うれしい」
それは褒め言葉とばかり先ほどと反対のスワンチカを投擲。
セシリアはそれを警戒し、ディターニアを高速で連続斬撃し真空波を飛ばし打ち落とす。
「あなたちょっと頭が高いですわよ」
両手の武器が極太の鎖で回収される前にアマダスは跳躍すると、ベリアルの右肩に着地する。
そして、左足でベリアルの顔面を踏みつぶしながら背後に跳躍しつつ、等身を優に超える長さを持つキュベレーのレーザーブレードで背中を切り伏せようとセシリアは思っていた。
が、アマダスは右肩に着地した途端にバランスを崩させるはずが、自身のバランスを崩したわけでもないの地面に叩きつけられた。
「ぎゃぁ・・」
なにが?
そう思ったアマダスのカメラには、ベリアルの右肩フレームが変形した姿が映っていた。
竜の顔をもした右肩が消え、対になっている左肩の竜の顔が鎌首をあげてこちらを伺っていた。
「あら、ドラゴンヘッドの紹介はまだだったかしら?」
弧光の言葉と同時にドラゴンヘッドがアマダスの左肩に食らいつき、コールドジェルを放つ。
ちなみに、右肩のドラゴンヘッドは右足に巻き付くと大腿部にコールドジェルを放っていた。
RF(レボリューションフレーム)は、磁性流体を内蔵しているのでそれが氷結すると駆動系が無事でも動けなくなる。
数少ない弱点であるが、足と肩を止められた状態では虎の子の衝撃を推進力に変える超流動滑走も、敵機を踏み台にしつつ斬撃を加えるアクロバット戦法もくそもない。
即座に判断したセシリアはHM:セカンド・ウォーリアを起動させる。
機体カラーが肌色に変色し、より女性らしい姿に変貌するが、反面強力な腕力を発揮しドラゴンヘッドを引きちぎると、そのままベリアルを投げ飛ばす。
「思い切りの良さは感服するわ
でも、それだけじゃ駄目よ」
「好きにさえずりなさい!!」
アマダスは武器を放棄すると、空中を吹き飛ぶベリアルに駆け込む。
既にアマダスの右腕には追加兵装のグラビドンナックルが発動している。
拳が触れた場所限定で、高重力を掛けて圧壊させる拳でセシリアは勝負出た。
が、加速したアマダスはベリアルを大きく飛び越してあらぬ方向に飛んでいく軌道をとる。
「ネガ・グラヴィタスよ」
ベリアルの不可視重力砲:グラヴィタスは前方に加重フィールドを、ネガ・グラヴィタスは重力キャンセルフィールドを展開する。
ただでも脚力のあるアマダスが、今はセカンド・ウォーリアでより強化された脚力に重力キャンセルがかかり、セシリアには既にアマダスが制御不能になっていた。
「抜かりましたわ」
「はい、ゲームセットね」
弧光は引き寄せたスワンチカを再び投擲、アマダスのボディーに深々と刺さったスワンチカは、膨大な光の本流を発生させるとアマダスを真っ二つにたたき割った。
正確には、刺さった勢いそのままに貫通した。
シュミレーターを出た二人
「なかなか、楽しいバトルだったわ」
「お黙りなさい、わたくしをさんざんからかっておいて・・・
手を抜いて戦っていたことなど、お見通しですわよ!!」
・・・ホント、データって当てにならないわね。
セシリアはもっと弱いパイロットであり、性格からして洞察力や、観察力がもっとないパイロットなはずである。
にもかかわらず、的を射たことを言う。
弧光はそう思いほくそ笑む。
「多少手を抜いたけれど、バカにしたつもりはなくてよ
私はダンとの戦いで、あなたの手の内や、戦闘スタイルを知っていたからね
私も、手の内をさらしてあげようと思っただけよ
気にしたのなら、ごめんなさいね」
「気にしますわ!!
それに、謝るようなことを堂々とするなんて永遠に早いですわ!!」
セシリアはストレス解消とばかりに弧光に蹴りを入れまくる。
むろん、全弾直撃でも快感しか感じない弧光には何の意味もないことではあったが、それでもセシリアの溜飲は少し下がるのだった。
その後ペアは変えず2時間意見交換を交わしながら、シュミレーターを使った特訓は続くのであった。
第12話に続く
後書き
今回はクリステルの意外?な過去編と新型機の性能紹介&各キャラの癖紹介でした〜。
次回は、問題点洗い出し&そのだめ出しに対しての機体改良編になると思う。
いければ、ベクレルさんの本領発揮によるルキア覚醒編と、ダンの決意編も書きたいと思っている。
でも、その前にイラストも描きたいな〜と思っている。
我ながら欲張りな話だ。
やるべき事は、散在しているというのに・・・