この企画はアルサレア作戦会議室にて、キャラ&機体構成を頂き、戦略ボードゲームの城取合戦風に各国の方々に戦略指令を頂き、ゲームを進行しました。
このSSは、その時の戦闘履歴にキャラの魅力を引き出すような形でSSに起こしたモノであり、全てがこのゲーム内の史実に沿ったお話です。
機甲兵団J-PHOENIX プロジェクトBT(ボックスタクティクス=箱庭城取合戦)
プロローグ〜4ターン
アルサレア某作戦会議室
「すいませ〜ん、遅れちゃいました」
何も悪びれず気の抜けた声の主は、真剣の一言に尽きる室内に舞い込んだ。
「なぜ、君がここにいるのか訪ねても良いかな?」
入ってきた男に対して向けられる視線は、一様とは言えなかったがしかし、好意や悪意の類ではなかった。
大まかにくくるならば、「疑問」である。
「なぜって、今日ここに来いとメールを頂きましたので来ました。はい」
質問を投げかけた男は身体をワナワナ震わせて叫んだ。
「そんな事はどうだっていい!!私が知りたいのは、5日前に自爆して意識不明で中央病院に担ぎ込まれた男が、どうしてここにこれるのかと、私は聞いているのだ!!」
そう、入ってきた男は左腕に持った刀を杖にしているだけでなく、顔以外の肌が見えるべき場所は全て包帯で覆われていた。
「別に意識不明で担ぎ込まれた訳じゃありませんよ、ちょっと仮死状態になっていただけですってば。それに自爆だって10回を超えると、いい加減身体が馴れてきますからねえ」
そこにいる大概のものは思った。
一度でも自爆すると普通の人間は死ぬんだよ!!
もちろん誰も口にはしなかったが。
「そんなどうでも良い事はおいといて、本題に入りましょう、ね!」
その男はあくまで姿勢を崩す気はないようだった。
「ふう、分かりました。ではケイオウ特尉も今回のミッションに予定通り参加して頂きます。では、Bエリアの大まかな配属先に」
「ちょっと待った!!悪い、聞き間違いか?Bエリアって箱庭のことかな、もしかして」
「そうですけど、なにか」
「ふざけるな!!何で俺があんな新兵育成所みたいなところに」
「神佐と特佐が現れました、それだけじゃないなく、ミラムーン側には未確認PFが3機確認されました。これでもまだご不満が?」
ど〜だ、参ったか?そんな顔で説明官が見下ろしたが、ケイオウ特尉は納得がいったせいか既にふやけていた。
あまりの張り合いの無さに、毒気を抜かれた説明官は続けた。
「今回のミッションはあくまでも、侵略ではなく防衛です。そこで特尉には威嚇のために最前線に立って頂きます、くれぐれも敵陣中央停止みたいなタワケタ行動は慎んでくださいね。もちろん、防衛目的でも自爆は御法度です、良いですねケイオウ特尉」
「現場の判断に任せて頂きま〜す。俺の最優先事項は、俺の部隊から死者を出さない事、故に必要とあれば・・・・・・、ね!!」
笑顔で答えたケイオウに、何か言うだけ無駄と判断した説明官はケイオウを無視して続けた。
「では、他のものの配属を伝えます。猛(たける)・ミラーソード伍長は特尉と同じF基地に行ってください。貴方には付属任務として特尉の監視をお願いします。では次、ハクト=アカツキ伍長はD基地へ、ラフト・ディレイク伍長並びにロウガ・マガミ伍長はC基地へ、ジェーク・ハイドラ伍長はE基地へ、・・・・・・・・」
こうして配属先が次々に決まっていく新兵の顔には、期待と不安、そして野心と希望がひしめき合っていた。
ミラムーン某所
「そうですか、神佐がBエリアに・・・・・」
何かに祈りを捧げているゴールド・スレイブ特佐に、彼女のファンがそう告げた。
「少し、大事にして見るのもいいかも知れませんね」
「なぜですか?下手にヴァリムにちょっかいを出しては我が国に不利になるかと」
「神佐を釘付けにしている間はヴァリムもそうそう派手に暗躍しないでしょう、その隙にこちらも新型の調整を終わらせてしまいましょう」
「なるほど、で、どの様に致しましょうか?」
「私が出向きます、それが一番手っ取り早いわ」
「何も特佐自ら出向かなくとも」
「いいえ、指揮官は前線にいてこそ志気が上がるというもの、それに上手い傭兵をしないと被害ばかりがかさんでしまうわ。出来るだけ死人は少ない方が良いもの」
「了解しました、ではそのように」
「私が自分で行きますわ、出来ればアルサレアが動く前にBエリアに入りたいから」
そういうとゴールドは立ち上がり、軍施設の高官がいる部屋に赴いた。
ゴールドには焦る必要があった。
そう、神佐という餌が最高の獲物をおびき寄せる為のお膳立てをするために。
ヴァリム某所
「そう、早速特尉と特佐がねぇ。さて、駒もそろった事だし、せいぜいと私の役に立ってもらいましょうかね」
神佐は机に両足を投げ出すと妖艶な笑みを浮かべたが、報告官は蛇に睨まれたカエルのようにイヤな汗をかかされただけだった。
「命令します、全軍動くな、相手の出方を見たいから」
神佐の言葉を聞いた報告官は一目散にその場を後にした。
「さて、一体いくつ捨て駒が残るのかしら?楽しみだわ」
笑う神佐の顔はひどく楽しそうだった。
BT開戦
1ターン
アルサレア
基地Eにてジェーク・ハイドラは落ち着き無く、貧乏揺すりをしていた。
しかし、それもじきに収まった。
原因は輸送機の立てる轟音だった。
ジェークは輸送機めがけて駆けだした。
「遅かったなラフト、マガミ!!」
ジェークは抱きつきそうな勢いで、二人に駆け寄った。
「出迎えご苦労さん」
そう答えたラフトとは対照的に、マガミは右手を軽く上げただけだった。
「「相変わらずだな、マガミは」」
二人はそろって笑った。
マガミはそんな二人にはお構いなしとばかりに、輸送機から出てくる愛機ストーム・フェンサーを見上げた。
その光景を二人も真似した。
「なあ、ラフトお前のPFはどうしたんだ?」
「パーツ自体を改造したPFは、Bエリアでは御法度なんだってよ。だからJファー、それも完全規格」
「大丈夫なのか、それで?」
「まあ、何とかなるだろ」
「世の中そんなに甘くないぞ。ただでも、お前は戦闘中周りが見えなくなるのだからな」
「まったく、口を開けばこれだもんなマガミは」
「まったくだよな、これから初陣なんだから不吉な事言うなよな」
「事実だ」
こうして、不安いっぱいだったジェークは頼もしい味方を得たのだった。
F基地では、アルサレアGSがぴょこぴょこ踊っていた。
「あの〜、出来れば手合わせをお願いしたいのですが?」
猛(たける)・ミラーソードは、機嫌を伺うように話しかけた。
「わるい、今日中にまともなPFに馴れたいんだ。稽古なら明日以降にしてやるよ」
「まともなPFって、今まではどんなPFに乗ってたんですか?」
「まあ、見た目は同じでも、関節が増設したフレームだったり、メインフレームには必ずヘルファイヤー2発を内蔵してある機体かな。もっとも、ヘルファイヤーは自爆用なので発射すら出来ない使用だったがな」
自殺志願者以外では、一体どういう意図があったら、そういうPFに乗る気になるのか分からないタケルは、場を和ませようと聞いた。
「噂通りの無茶っぷりですね。そうだ、前から聞きたかったんですけど、准将閣下にも噛みついたって本当ですか?まさか、そこまではしませんよねえ」
「はは、噛みつきゃしないよ、両足を撃ち抜いてやっただけだよ。まあ、ビクティム准将は太ってるから食べ応えがありそうだが、食ったら絶対もたれるだろうな。いや、当たるかもな、ふ、ふはははは」
や、やばい、やばすぎる。
タケルは今この瞬間に確信した。
この男と一緒にいたら、間違いなく帰還前に俺は死ぬだろうと。
ミラムーン
基地C、そこは近くに局地森があるような一見平和な場所にあった。
そして基地近くの小高い丘の上、黒い修道女を思わせる服をパイロットスーツの上から着ている女性が、片膝をついて祈りを捧げていた。
軽く30分はそうしていた彼女は、おもむろに立ち上がり言った。
「ごめんなさいね、退屈だったでしょう。私も特佐になどなる前は、一人で来たのですけれど」
そう言って、流れるような動作で「破壊なす聖女」こと、ゴールド・スレイブ特佐は頭を下げた。
「ああ、そんな頭なんて下げないでくださいよ。こうして、護衛を任されただけでも光栄だと思っているのですから、本当ですよ」
「でも、ずいぶんと時間が経ってしまったわ」
「気にしてませんよ、それに聖女が祈ってくれるからみんな無事で帰ってこれるって言ってますよ」
「ホントにそうだと良いのですけどね。さあ、帰りましょうか。これから出撃していく部隊に祝福をかけてあげないといけませんからね」
ゴールドのこぼれる笑顔を目の当たりにしたジーク=ヴィルトーゼは、耳まで真っ赤になった。
「はい、そうだ。もし時間がありましたらまたヴァイオリンを一緒に引いて頂けませんか?」
「ええ、時間が取れるならぜひ」
戦争中、それも最前線とは思えない光景がそこにはあった。
その少しあとミラムーンC基地からヴァリムJ基地に向かって3機のPFが出撃していた。
闇夜に紛れての奇襲作戦のはずだった。
しかし、不思議な事に最前線にもかかわらずそこにはPFは配備されていなかった。
パイロット達は、聖女の祝福だと喚起したのだった。
2ターン
アルサレア
基地D,Eからの時間差作戦が決行された。
作戦はこうだ、まず基地Dからがハクト=アカツキが出撃し敵戦力の分析および、基地能力を低下させたのち撤退、ヴァリム軍が戦闘態勢が解除されたところを見計らって、ラフト・ディレイクが基地を落とす算段になっていた。
基地D
「お前さんの仕事は、あくまで戦力分析だ。死に急ぐんじゃねえぞ!!」
「僕だってまだ、彼女も居ない身で死にたくありませんよ。ハクト=アカツキ出ます!!」
整備士にハッパをかけられたハクトは出撃した。
火山エリアを3時間かけてヴァリムG基地に着いたハクトは、いきなり歓迎を受けていた。
「ああ、うっとうしいですね!!こう激しく撃ちまくられると近づけないじゃないですか!!」
ハクトが毒ずく中、基地内部からシャドー・マイケルのシャドーブレイカーが応戦に現れた。
「クランよりハクト伍長へ、カスタムPFが出てきました。撤退の準備をお願いします」
「了解!!ガトリングの弾数も怪しくなってきたからな。って、とと」
「ヴァリムに仇なす愚か者め、死ねーーー!!」
あっという間に、空中から降り立った2機のPFはレーザーソードを振りかざし、激戦になろうとしていた。
「なかなかやるじゃないですか」
「アルサレアのくせに生意気だな」
二人を余所に冷静な声でクランが言った。
「基地から熱源関知、もう1機PFが出てきます。それと活動限界が近づいています、撤退してください」
「了解です、これでも食らっておいてくださいな」
ハクトはレーザーソードをシャドーブレイカーに投げつけた。
シャドーブレイカー難なく交わしたが、途端にレーザーソードが爆発したのだった。
ハクトはレーザーソードめがけてガトリングを撃って、レーザーソードを爆発させたのだった。
シャドーブレイカーは、爆発によりカメラアイを破壊され追尾不能となった。
その頃、アルサレアE基地では
「くれぐれも無茶するなよ、向こうはPFが2機あるそうだからな」
「な〜に、何とかなるでしょ」
「落ち着いて戦えれば勝機はあるだろう、クールにな」
ジェ−クとマガミから激励を受けたラフトは、いささかうんざりした面持ちで出撃した。
「そんなに、俺が信用できないかよ」
「それは違いますよ、彼らは貴方に死んで貰いたくないだけですよ」
「それでもだ。あ〜〜〜、なんか苛ついてきた」
不安ではなく自分が信頼されていない事に、腹が立って仕方がないラフトだった。
彼の中では、ラフト・ディレイクはエースパイロットだった。
夢見るお年頃ではなかったが、それでも彼は自分を美化しすぎていた。
火山エリアを5時間かけてヴァリムG基地に着いたラフトは、奇襲にも近い攻撃を開始する事が出来た。
しかし、それはヴァリム側の策だった。
「オラオラ!!そんなチンケな豆鉄砲で俺がやれると思ってんのか?」
完全に調子に乗っていたラフトの耳には、クランがPFが出撃したという報告は耳に入らなかった。
そして、それはいきなり起こった。
ガーーン
重い金属音が鳴り響くと共に、ラフトのPFが派手に吹き飛ばされた。
「何が起こったんだ?」
ほどよく脳みそをシェイクされたラフトには、それを知る余裕も考える余裕もなかった。
それでもラフトは、ビル群を盾にしなから敵PFの射程に入らないように移動した。
「やばい、あちこちがイカれちまった」
既にPFのシステムは2/3がダウンしていた。
「くそ、こんなところで、こんなところで死んでたまるかよ!!」
「死ぬなんて言わないでください!!敵はロキ・デザートです。ノーマルサックさえ気をつければ、撤退可能です。落ち着いてください、いま撤退ルートを送ります」
クランの言葉に、希望を感じたラフトはそのルートに従って後退を始めたがビル群を出たその時だった。
待っていましたとばかりに、ロキが襲ってきた。
「逃げるか臆病者め!!」
「俺は臆病者ねえ!!」
余りにも安っぽい挑発だった、しかし撤退中に基地からの射撃にビクビクしていた彼の精神は既に限界に達していた。
そこに挑発されたラフトは切れた。
「うおおおおおーーーーーー!!」
「ひよっこが、しねーーー!!」
ラフトの振るったレーザーソードがロキの顔面に寸止めされた。
否、当たる瞬間にカウンターが入ったのだった。
コクピットコアは、ノーマルサックの直撃で脱出のまもなく押しつぶされた。
ラフトは叫ぶまもなく、貴い犠牲になった。
クランはオペレータールームのコンソールを叩いて、今にも叫びだそうとする口を塞いだ。
クランは静かに怒っていた。
戦死したラフトにではなく、自分がオペレートするのがあまりにもピカピカ過ぎる新兵であり、オペレーターの言う事を簡単に聞かなくなってしまうことを、配慮に入れていなかった自分に怒りを感じていた。
Bエリア初の戦死者だった。
その頃F基地では、ケイオウを追いかけてきたヒルツを交えお茶会が開かれていた。
「の〜〜〜んびり」
「あの〜、良いんですかそんなに、ふやけちゃってて?」
「特尉ならいつもあんな風に、のほほ〜んとしてますから平気ですよ。それに、戦闘になったら人が変わりますから」
ヒルツの言葉に一抹の不安を感じずには要られない、タケルだった。
彼らはまだ知らなかった、既に戦死者が出ている事や、これから起きるであろう激戦を。
ヴァリムJ基地の激戦
ショウ=ミカズチはPFの整備に余念がなかった。
なぜなら、最前線にもかかわらずJ基地にはPFが1機しか居なかったからだ。
ここには、本来ならばもう1機YAMABUSIは配備されていたのだったが、神佐の鶴の一言によりYAMABUSIは姿を消したのだった。
そして、今状況は頻拍していた。
なぜならば、お隣のヴァリムJ基地が陥落したからだ。
そして、どう見ても戦力的に次に襲われるのはここだった。
しかし、ショウは余裕だった。
根拠のない自信だったが、自信があった。
「俺はついてる、ここで基地を守りきれば2階級特進も夢じゃない」
彼は底抜けに前向きだった。
それから1時間後、彼の基地は襲われた。
「ショウ伍長、未確認PF3機接近応戦せよ!!」
緊急警報にせかされながら、ショウは出撃した。
「何だ、あの猫耳は?」
そう言いながらも、基地上空まで飛び上がったシュウはスマートガンにより弾雨を降らせた。
勝敗はあっけなくついた。
応戦すら出来なかったマリアは、あっと言う間に沈黙した。
もっとも、彼の操るPF:ハデスのスマートガンも弾切りになっていた。
「ちっ、2対1じゃ話にならない。基地内部に誘い込むから隔壁で2機を分断してくれ」
シュウのアイディアは的確だった。
分断に成功したシュウは基地の損害を減らすタメに、武装の換装もせずに2機目のマリアに襲いかかった。
しかし空間が限定されているため、目からビームを交わしきれなくなってしまったことには、シュウはまだ気づいていなかった。
「くそったれ、なんだよ、あの冗談みたいな攻撃は!!」
毒づきながらも、シュウはブーストサイファを振りまわし2機目のマリアの首をはねた。
「くそ、思いの外苦戦したな。でもまだ次があるんだよな、ふーー。でも、次で最後だ。そして、昇進だーーー!!」
この状況になっても、彼は前向きだった。
「昇進はいいけど、早く最後のを倒してくれ!!もう、基地がめちゃくちゃだ」
基地内部からの悲痛な叫びが、シュウを焦らせた。
「なんだよこれ」
シュウの目の前には、ガタガタの廃墟になったアリーナと、溶岩の海がそこには広がっていた。
「この野郎、好き勝手やりすぎだぞ」
しかし、次の瞬間リリスはシュウの予想を超えた行動に出た。
目からビームはなった直後に、リリスは穴の空いた隔壁から撤退した。
「ふう、冷静な奴だな。まあ、これはこれでおいしいか」
そう言ったシュウはそのまま気絶した。
緊張の糸が途切れたのもあったが、それよりも体力の限界だった
その後、彼は自分の予想通りに2階級特進を果たした。
3ターン
アルサレア
D,E基地共に重い雰囲気が満ちていた。
特に、E基地ではラフトを送り出してしまった二人が落ち込んでいた。
「分かっていたのに、俺がもっとちゃんと言っておけば・・・・・・・」
マガミは鏡に映った自分の姿を見て、そう繰り返した。
ジェークも一緒に行くべきだったと後悔した。
そんな二人を余所に、死体すらないラフトの葬儀は行われた。
その頃、ヴァリムIを落とし損ねたリリスのパイロット
「マリアを2機も失い、このままおめおめと帰れるものか!!」
そう言って、パイロットはアルサレアF基地を目指して飛んだ。
作戦行動的には間違っていなかったが、それはあくまでヴァリムIを落としたらの話だった。
それから2時間後のアルサレアF基地
「ヴァリム方面からの未確認機を1機確認、応戦なんて言わずにバンバンたおしちゃおーー、ファイトーみんなーー!!」
なんか、逆に気が抜けそうなオペレーターはシュキだった。
「ちょっと!!特尉その機体で出るつもりですか?」
タケルは大声をだしてケイオウ特尉を止めに入った。
ケイオウのPFの肩には、ヘルファイヤーがマウントされていたからだ。
「まあ、俺のトレードマークだしね」
「そう言う問題じゃないでしょ、だいたい使うなって言われたじゃないですか。忘れたんですか?」
「持っていっても、使わなければ良いんだろ?」
「それは、そうですが」
この男は絶対に使う気だ、目がそう言っている。
タケルはこの数日で、ケイオウのことを少し理解していた。
だから、今回の予想には確信があった。
「分かりました。でも、今回は俺に先陣を譲ってください。そうじゃないと、特尉の出撃を許可できません」
「いつからお前はそんなに偉くなったんだ?ま、いいか。じゃあ先陣をつとめる君に、先輩からのアドバイスだ。未確認機とは距離を詰めずにガトリングだけで戦え、接近速度から考えて、もどう見ても俺の機体より早い。至近戦に特化したタイプのはずだ、相手のフィールドに乗ってやる必要はない。それにその方が基地からの支援がしやすいからな」
いつも自爆ばかり考えている男だと思っていたが、ケイオウの今の言葉からは微塵もそれが感じられなかった。
タケルは考えを改める必要があると、思い出した。
「了解です、ではタケル・ミラソード出ます」
基地から4キロ地点でタケルはリリスと善戦していた。
ケイオウの言った通り、敵は接近戦使用であったからだ。
「当たれ、当たれ、当たれーーーー!!」
しかし、またもケイオウの予想通り動きも早かった。
そして、リリスはガトリングをかいくぐってタケル機にエクスカリヴァの一撃を入れた。
「うわーーー!!」
機体は撃破こそされなかったが、かなり危険な状況に陥った。
「く、ここまでか?」
死を覚悟するも、あきらめずタケルは上空に飛び上がった。
もちろん、ガトリングを撃ちながらである。
しかし、そんなタケルを無視するかのようにリリスは基地に向かった。
「まずい、ケイオウ特尉逃げてください!!その機体は強すぎる!!」
既に強く握り過ぎた手は、操縦桿を離す事を忘れ限界まで機体を上昇させていた。
タケルはそのことにも、機体が風に流されている事にも気づいては居なかった。
「ふー、逃げろってお前ねえ。俺を誰だともってんだよ、アルサレアの踊る風を舐めてんじゃねーーーーー!!」
ケイオウは雄叫びを上げながらリリスに突っ込んだ。
リリスの横凪の剣閃をジャンプで交わしたケイオウは、斬馬刀の1撃でリリスを大きく跳ね飛ばした。
「閃光と共に消えされーーー!!」
ケイオウは躊躇なしにヘルファイヤーを発射した。
しかし、ケイオウは動かなかった。
着弾を確認していた。
そもそも、この機体ではヘルファイヤーの射程距離から逃れる事は出来なかった。
それでも、基地と風に流されたタケル機にはその威力が影響する事はなかった。
「ケイオウ特尉ーーーーーーー!!!!」
タケルはその命の灯火が消えていくのを見ながら叫んだ。
数分後、ようやく爆発が収まった時
「生きてるよ・・・・、わめくな。ふう、あちい。機体は沈黙回収頼む、それと未確認機は消滅を確認した、以上任務完了!!」
「貴方って人は、なんなんだよ、まったく」
心配して損した感じもしたが、生きていてくれた事がどうにも嬉しかったタケルだった。
4ターン
アルサレア
基地Dにいたハクトは、上官に再出撃の要請をしていたが断られていた。
「今の君には、たとえ偵察任務でも任すわけにはいかない。今回はベテランを呼んだから、彼らに任せなさい。死に急ぐな、いいな」
それが殺し文句だった。
「チャンスを待つ事しか、僕には出来ないのか・・・・」
壁を叩きながら、ハクトは涙が流れるのを必死にこらえた。
E基地でも、失意に陥った二人は相変わらずだった。
D基地では、またも包帯でぐるぐるにされたケイオウ特尉が居るものの、防衛が成功した事もあってムードは暗くなかった。
ミラムーン
C基地では、ゴールドが頭を悩ませていた。
後詰めの戦力は、そろってきていたがマリアとリリスを失った代価は大きかった。
しかし、折角の戦果を無駄にすべきではないという方向で、一応の進軍案は出来た。
ヴァリム
G基地にはまたも招かれざる客が来ていた。
Jフェニックスが2機である。
シャドーは愛機を駆り、航空制圧能力をもつJフェニックスを地に付けさせる作戦に出た。
「そら、そら、そらーーー!!」
シャドーは基地の上空からJフェニックスの真上から襲いかかった。
1機を取り残すもののウイングをもぎ取られたJフェニックスは、きりもみしながら落下した。
「もらったーー、な!」
しかし、Jフェニックスはいきなり反対のウイングを強制排除し、足早に撤退した。
それはもう1機も同じだった。
「逃げるな、卑怯者ーーーーーー!!」
しかし、その叫びは届かなかった。
5〜7ターンへ続く