―四千年前はただあの計画を阻止するために
それ以前は万民の幸せのために生きてきた
じゃあ私が今生きている理由は…
―クロノ・O・クルクスの言葉より抜粋
風が舞い降りて何日か経った
人の噂は早いもの
異邦人の存在が三国に知れ渡り
その未知の技術を手に入れようと色々な手を尽くし始める
風はどの手をとるのか
ミラムーンの辺境・ウェスペル
戦争の当事者でない第三国状態のミラムーンでも
特に戦争とは無縁の地域にあり
土着の人と戦争を避けてきた人が細々と暮らす
そんな場所につい先日山賊が襲ったが
異界の風により難を逃れた(その風によりまた厄介ごとが訪れる予定の場所でもある)
そういったわけで
この村には民間にとって
非常に珍しい物というレベルであるアルサレアの技術の結晶PFが
今日も土木作業その他に精を出す
惑星Jでもかなり奇怪な場所になった
―ウェスペル・老人の家 SIDEクロノ
・・・えーーーともうちょい右にやって
高さはこのままでいいかな
後は慎重にっと
どすん
ふぅーーー
これで爺さんの家の屋根は元の位置になったから
今度は固定しなきゃいけないので
「…WCSを起動して、目標を固定」
もうここらでわかったろうけど
先の襲撃で破損した家をPFとか言うので修復中
まぁ戦闘が前提だけど汎用性高くて助かった
ちょっといじれば工業用重機にはや替わり
WCSだってちょっといじれば
目的の位置へ誘導するのに助かるし
なんたってこれが入った一番の利益は
っといけないいけない
まずは修理しなきゃ
後はPFサイズの工具と精密作業用デバイスを
後付したIFS(イメージフィードバックシステム)を使って
最大限の力加減をし壊さないように固定していく
この利用法の一番の問題は力加減が難しいの一点に尽きる
これじゃ平和利用は民間の技術じゃ難しいわね(溜息)
「どうもありがとよ」
「いえいえそんなことはありませんよ」
と返事をすると老人は豪快に笑った
ひとしきり笑った後PFを指し
「近頃の機械は便利になったな」
機械じゃなくて最新兵器なんだけど
そう心の中で考え冷や汗を流した
とふと老人が遠い目になり
「こんなんがありゃぁ初期の開拓も楽だったろうによ」
たしかこの星は地球から移住した元未開の惑星らしい
今でこそ農地は開墾されているが
それこそ初期は困難を極めただろう
だけど
「まぁたしかに便利でしょうけど、それだとここまでJは発展しなかったと思いますよ」
どうしてだ、と問う視線を感じたし
説明する気だったからそのまま続ける
「所詮道具ですし、道具に頼っちゃ成長はしませんよ。これだって本当に扱えてるのは一部でしょう。結局道具の価値を決めるのは扱う人ですし、苦しみを味わうから発展はするんですよ」
所詮この世は等価交換、楽しようと考えたら負けです。と言うと
その御老体は豪快に笑い出し、私の背をたたいた(結構痛い(涙)
「若造が知った口ききやがって。でもありがとよ。おかげで気ぃ晴れたわ」
(実はあなたより数万年は長く生きているけど)という心の言葉を飲み込み笑った
そういうと彼は畑へ向かって歩き出していった
その如何にも逞しい壮年の男性のような背を見ながら思ったことを口に出す
「とても御年七十を数えてるようには見えないわ」
そんじゃ頼まれたことも終わったし
とっとと帰りますか
―工場・エーリューズニル SIDEクロノ
エーリューズニル・・・北欧の神話で地獄の女王と呼ばれるヘルの住んでいるという神殿の名前である
たしかにここにある技術が流出すればこの世は真の地獄となるだろう
…いやっ地獄になる前に世界が終わるか
そんな館の持ち主の名はクロノという
「ただいまー」
『『おかえり』』
とPFのモニターに映ったミストとセイジと言葉を交わす
この二人は電子での人格は持っているが生身はないので
防犯や来客対応のためこの工場の全システムと私がいないときはつないである(もっともつながってる電脳空間なら自由に移動できるのだが)
んでミストに頼んでた用件について聞く
「……でいないあいだ来客は?」
そう聞くとミストは少しログをさかのぼり
『えーーーと対応したのが一件、非合法な手段できたのが五件ってとこ』
その言葉を受けて辺りを見回すと確かに
泥棒よけの『対人用ベアトラップ』やら『スタンマイン』が起動した後があるわ
はぁーーー
これで非合法だけでも三十件か
額に手をやりながらそんなことを考える
しかし何だってまぁ
「そんなに力ばっかもとめてどうすんだか」
確かにわからなくもないけど
ん?ちょっと待てよ
対応したのが一件?
へぇーーーまだ居たんだそういうの
感心感心私の力を借りたいならどうするべきかわかっているようね
…ほかの奴らは交渉術がどういうのか勉強してきたらって感じだしな
でも組織につきたくはないし
こちらから出向くほどの用件でもない
「まっ今度尋ねてきたとき居たら対応するか」
まぁいいや作業開始っと
今作り上げているのはPFに似ているようで違う機動兵器、TBF[Total Battle Figure]の内の一つ
「またあなたを作ることになるとはね、『ベリアル』」
っとそのとき微妙にミストが落ち込んだ気配をかもし出した
まぁなんでかはわかるけど(溜息)
そのままあきれた顔でミストのほうに振り向き
ベリアルを指差しながら
「…ミスト、まだあんた向こうでこれ壊したの覚えてるの」
と聞くと沈んだ顔のまま
『……まぁね』
予測どおりの答えありがとう
確かに一回壊されたけど当然の結果だから別に私はいいけど
…って言うかベリアルであれに勝てるかこんちくしょう
まぁあそこまで見事に壊されると悔しさも沸きあがらなかったが
未だにミストは『親友の機体を壊した』ことを後悔しているか
まぁ少し待てば大丈夫だろう
そう思った瞬間ミストは笑顔で
『それはそれでいいとして、とっととこの機体完成させましょう』
まるで三歩歩けば忘れる鶏みたいな反応を見せてくれました
心配するだけ損と作業に入る
「んでセイジ今回組み立てるパーツはどこ?」
その言葉にセイジは簡単な工房の見取り図を出しながら
『脚部と胴体の部品はこの場所、腕部のはこの辺だ』
その言葉を聴きながら少し考え
「まずは脚部を完成させるか」
…確かに賢者の石を使えばすぐに同じものが作れるけれど
そんなことして何が楽しい(断言)
職人としてそのままコピーは絶対に許さん(力説)
と無駄に気合を入れてから部品の場所へ行き作業しながら考える
いくら噂が広まるのが早いとはいえ
いくらなんでも広がるのが早すぎる
この村は僻地だ
たまに行商に来る以外ほとんど交流はない
ならばなぜ?
アルサレアはまだわかる
あの後調べたけどあの時私の相棒見られているし
存在は知っていよう
けどなぜ一応の敵対関係にあるヴァリムからも来る
一つにはあの時ヴァリム人が居て広めただが
それならば早すぎる
もう一つの可能性として…
(とこう考えながらも彼女はまったくペースを落とさず正確に組み立てたりもする)
と考えながら作業していると不意に呼び鈴がなった
誰だろうと思いつつ、ミストに言い呼び鈴の受け取り口とこの近くの通信設備をつなげさせ
「はい、クロノですがどちらさまでしょうか」
と非の打ち所のない超営業スマイルで言った
後ろからあきれたような声で
『あいつって客相手のときだけは、外面超いいよね』
『まったくだな』
そこっ痛いからそういうことはいうな
そして外の相手が反応したようだった
わざとらしい咳払いの音が聞こえ
『あーーーミラムーン軍大将のクサナギ・レイフォードだが』
とのたまった
そのときの異邦人三人の反応
クロノは手に持っていたスパナを飛ばしながら見事にずっこけた
ミストはうっかり『対人用ネズミ捕り』を発動させた
セイジは処理してたデータを危うく消し去るところだった
一瞬どころかかなり長い沈黙の後
私たちは声をそろえ叫んだ
『『「ミラムーンの大将!?」』』
何でこんなとこに大将がとか
お供に何人連れてるのかとか
って言うか護衛ぐらいつけろとか
というよか大将がそう軽々しく動いていいのかとか
疑問は尽きないが
とりあえず二階の応接室まで案内した
―二階・応接室 SIDEクロノ
とりあえず頭の混乱を直し
茶をいれ茶菓子を持って
応接室の扉をくぐった
「はい、どうぞ」
「すまんな」
レイフォード大将は一礼してから茶に手をつけた
(レイフォード大将ねぇ)
茶を飲みながらあそこでぱくった情報と
以前送ってきたメールと交渉仲介人から聞いた印象を含め
そして実際見ながら考える
資本家の影響力の強いミラムーン上層部でもまともな人物のうちの一人
戦略と交渉術に長け、数少ないチャンスを確実にものにし
三十台という若さで大将まで上り詰める
左官以上になっても陣頭指揮を執る稀有な人物
だが、その内面に反して外見自体は人懐っこい笑みを浮かべるおっさん
現在の主な動きは『ミラムーン』として独立するために
人材集めに奔走しながら
親ヴァリム派の勢力を削りながら親アルサレア派の牽制をしている
そしてミラムーン内のPF技術開発の提案者で推進者
ただし政財界の反対にあい難航中
…というか上層部の足並みがそろっていないので国を維持するのに大変
私に接触してきた理由は
私の持っている未知の技術
そしてそれを使いこなす私自身
以前メールや代理人交渉であっさり断った
そういやそん時『本人見ないとどうともいえないわね』とかいってわね自分
て言うことは
「えーーとレイフォード大将」
そういうと彼は笑いながら
「クサナギでいいよ」
と言った
まぁお言葉に甘えて
茶を一口のみ
「ではクサナギさん、ご用件は」
その言葉に彼は茶を置き
瞳に鋭い眼光を走らせ
「単刀直入に言おう」
そこで一息ついて
というかこの後に続く言葉は大体予想できるわ(溜息)
「われわれの同志になってはくれないか」
「却下」
速攻返してやった
まぁ相手もこれまで何回も断っているし
それにアルサレアとの交渉もあっさりけって
ヴァリム(ガルスキー財団ともいう)も簡単に断ったから
大体予想していたのだろう
そう動揺は見えなかった
一息ついてこう返してきた
「ではなぜ断るのか教えてくれないか」
以前訪れた部下には本人じゃないから話せないという理由で返したそうだから、とも付け加えた
はぁ、あんときそう返さなきゃよかったとしみじみ思う
ちなみに茶を入れているとき
ミストに今日の尋ねてきた人について聞いたが
予想通りクサナギ・レイフォードだった
どうやら日中尋ねてきたとき留守だったので
ミストにいつごろ帰るのか聞いて
再び尋ねてきたらしい
その理由が『本人じゃなかったからいえなかったという断った理由』を聞きにだしなぁ
まぁ良識を持って行動できそうなので話そうと思う
ていうか話さなきゃ帰らなさそうだし(溜息)
茶を飲みながら切り出した
「そうですね、簡単に言えば混乱を起こしたくなかったということですかね」
そこで一息つく
彼のほうはそうだろうとある程度は考えていたようだ
特に動揺したそぶりもない
「確かに私の力は異邦の技術でそれこそ常識が覆るほどのものです。故に一つ間違えば星そのものを破壊しかねません。だから下手に技術を広めて今の惨状をこれ以上酷くしたくなかったのでどこにもつかなかったと言う訳です」
その言葉に彼は
ふむ、とどこか納得したようなしないような顔をした
なのでもう少し続けようと思う
「まぁわたしが力を振るえばこの星をすぐ制圧することもできますよ。だけどそんなことしてなんになるというのです。私は平穏に暮らせるのならそれでいい、だから自分の勢力下にないことを危惧する必要はまったくないのですよ」
まぁ言葉だけなので信じるかどうかはお任せします。といい茶を一口含んだ
彼の方は少し悩んでいるようだった
当たり前か
実質死刑宣告したに等しいからな
さてどう出るかな
襲っても意味のないことは言ったし
というよりこの星の兵器じゃ私は殺せないし
そしてそれなりに時間が経った後、彼は口を開いた
「わかった、現状のところ害がないのなら放って置く事にしよう」
まぁ最も排除できる存在じゃないがねと付け加えてそう言った
そん時私は心底
『厄介なことになんなくてよかった』
と思っていた
あっそういえば
「そういえばクサナギさん」
その呼びかけに彼は振り向いた
最初から気になってたのよね
「私のことはどこから?」
ずっと考えていたことだった
私は一つの結論に達したがその真偽を確かめるために聞いた
彼は少し思い出す素振りをしてから
「ソフィアという情報屋からだが?」
とのたまってくれたわ
それが?という視線を感じたが
別に気になっただけですと切り返しておいた
―エリューズニール・作業場 SIDEクロノ
そして宵も過ぎ暗くなってからも
この工房からはものを作っている音がする
はぁ、やっぱしあいつからか
すぐ見破られたぽかったからなー
まぁミラムーン軍からはもう来ないだろうし
あいつも仕事だからだろうし
とっととこいつを仕上げるか
・・・以下作業しながら考えていたことについて・・・
まぁあのクサナギっていう大将は信用できるかな
あの後『まぁ気が向いたらきたまえ』って
まだ私を同志として引き込みたいらしいし
私も嫌ってなく別れ際に『今度はさしで飲みましょうか』何って言ったし・・・(このとき脚部と頭部完成)
あとは非合法な手段を使って来る困ったちゃんの方か(溜息)
多分以前断った企業の方々ばっかだろうけど(更に溜息)
一々めんどくさいのよねー
別に忍び込むのはいいけど
あそこまで見事にひっかから無いでほしいわよねー・・・(このとき腕部完成)
企業スパイとかそのての人たちが
対人用ベアトラップに引っ掛かっている姿とか
企業のトップエリートたちが
じたばたと足掻いている姿とか
妙に哀愁を誘うのよねー
まぁこれ以上めんどくさくならなきゃいいけれど・・・(このとき胴体完成)
・・・以下通常視点に戻す・・・
さてパーツも組みあがって
後は組み立てを残すところといったところだけど
半ば呆れながら後ろの二人に向き直り
「そこっ何呆けてんの」
その言葉に映像だけ映ってる二人は顔を見合わせ
『いや、ただお前の作業に呆れてただけだ』
『ほんと非常識を極めただけあるわねと感心してただけよ』
そんなすごかったかしら
私的にはいつもどおりに作業してただけなんだが
「どこが非常識なのよ」
『『全て』』
間髪いれずにそう返しやがった
そんな私の意など介さず二人は続ける
『超光速を大気圏内で出して無傷なとことか』
『そんな何か考えながら嘘みたいな速さで作り上げたりする姿とか』
以下いろいろ言うが無視
そこで溜息をつき一言
「科学者だったら常識程度超えて何ぼでしょ」
『『そういうのを非常識って言うんだよ』』
くっそういわれては何も言い返せない
まっいっか
「それはそれとしてとっとと組み上げちゃおう」
そう言ってPFに乗り
組み上げ作業に入る
ほんっとPFが手に入ってよかった
手に入った一番の利益は
こうゆう作業ができるようになるのよねー・・・一人で
すぐ作業に入ったから
半眼になった下の二人のこの言葉は聞こえなかっただろう
『そういう風に兵器を使ったりするから』
『更に変に見られるのに気がつかないのか』
そう一般人の間ではPFは兵器であり
こういう風に使われるわけがないのが
常識であった
そしてベリアルが出来上がった
武装はさすがにつけてはいなかったが
それでも存在感は十二分にある
クロノはPFの腕に乗り
完成したばかりのベリアルにさわり
懐かしい何かを取り戻したような顔で独り言を呟く
「久しいわねベリアル。また貴方を作ることになってしまったけどよかったかしら?
―そうありがとう。また貴方と天を駆けることが出来るわね、うれしいわ。
今度も貴方に与えた役割は同じよ。
―汝の後ろには護るべきもの
汝の前には払うべき脅威
汝の横には共に戦う戦友
汝は影を残さず弱者の脅威を払う槍となって
光のごとく駆け抜けよ―
四千年前は自ら捨てたような誓いだったけれど、今度は違える気はないわ。また一緒に背負ってくれるかしら。
―ありがとう、こんな身勝手な主だけど今後ともよろしくね」
そしてベリアルのコクピットに乗り込み
駆動系の確認をする
オールグリーンであることを確認した後
試運転に出かけていった
その姿はまるで
飛ぶ翼を取り戻した鳥のようであった
そうして夜は更けていく
・・・翌日・・・
…まずったわね
「作業に没頭してたから朝食の用意を忘れてた」
そうあの後組立作業が終わってから
試運転までやってしまったので寝てもいない
まぁ一週間ぶっつづけで作業したこともあるから大丈夫だけど
さて、どうするか
…朝食抜かすとリズムが狂うのよね
速さを追求した悪魔…銘を『ベリアル』という…の真下でなやんで居た
そこにミストが現れ
そのことを話すと
そういえばという顔つきになり
『ソフィアの店ならもう開いているわよ』
といった
一瞬頭の回転が止まった
…ちょっと待て
あそこは酒場じゃなかったのか
なぜこんな早くからやっている
まぁ理由も予想つくし
何より腹が減った
一つ息をついてから
「じゃ行って来るから後よろしくね」
ミストは手を振りながら
『いってらっしゃーーい』
といった
その声を背に受けて
愚か者の宴を目指した
―愚か者の宴 SIDEクロノ
私は戸を開け中に入る
どうやらソフィアは仕込みをしていたようだった
手を止め私を見ながら
「いらっしゃい、何の用?」
まぁこの時間に来たんだ用といったらひとつしかないだろう
カウンター席に座りながら
「酒と朝食にね」
といったら呆れたように
「こんな朝から酒飲むの」
といってくれましたよ
まだ朝だし反論の材料もないので
酒は飲みたいときに飲むのが一番とかいっといた
しばらく雑談などをして
程なく料理ができ、酒が目の前に置かれた
食事が九割すんだところで
本題を切り出す
「ねぇソフィア」
何かしらと不意に真剣になった私を見て
少し警戒したようだった
そんな彼女の姿を見て
一つ息をついてから切り出す
「あんたわたしが異邦人ってわかってたでしょう」
そういうと彼女は肩をすくめながら
「これでも情報屋なんでね、相手ぐらい見極められないと商売にならないわよ」
…結構あっさり認めたわね
いってることもわかるし溜息をついてから
「いつわかった」
そうねぇ、と少し思い出す素振りを見せ
「最初から。正確に言えば貴金属類とか袋を見せたときね。Jじゃ取れない鉱石が何点かあったし」
まぁ確信になったのは、あんたがJ-ファー二機を潰した時だけどねと付け加える
はああぁあぁ
迂闊だったわ
もっとここで取れるのと似通ったものにすりゃよかった
カウンターに沈み込みながらそんな後悔をする
後悔し始めるとまったく止まらない
ここに来てアースガルズで馬鹿どもを絞めたことから
過去のいろいろなことまで
そんな後悔ばっかが押し寄せてくる
っとそんなんじゃだめだ
と首を横に振って考えを振り切り
がばっっと起き上がって
ソフィアを見据えて
聞こうと思っていたことを聞こうとしたとき
ばたんとかいう乱暴に扉を開けた音と
「ここにクロノというのが居るのを聞いたんだが」
とかいう変にしゃがれた声が
人の少ない店内に響いた
私たちはそちらを半眼で見て
「お客さん店内ではお静かに」
とソフィアがいった
私も酒は静かに飲みたいので首肯する
それを見た先ほどの大声の主は
「うるさい余を誰だと思っているのだ」
とかのたまってくれた
私たちは知らないと全力でいいたかったが
煩わしいので
互いに目を合わせ同時に溜息をついた
…まーた厄介事かよ
目の前の情報屋に唇の動きだけで愚痴をこぼす
(あんたが情報をほいほい流すからよ)
(はいはい、すみませんでした)
どうやらソフィアにも読唇術の心得があったようでそう返してきた
…ほんっとアースガルズ使わなきゃよかった
別にあの程度生身でも十分だったし
とか考えているとソフィアが何か唇を動かしていた
それを読み取ると
(面倒なことを起こしたら、次から酒出さないわよ)
やばい、いきなり死活問題になった
のでなるべく穏便に済まそうと思う
でも…
(それって殺しも入る?)
(状況にもよるけれど、基本的に無しの方向で)
はぁ、相手がなるべく普通なことを祈ります
…私の酒のためにも(太字)
その後仕方なく交渉と称した一方的な言い分を聞いてやった
ちなみにここはカウンターから結構離れたテーブルである
…カウンターの近くだとほかのプレッシャーがあるし
何とかカンパニーの社長とか言う雑魚Cはやっぱ私の技術の独占が目的らしい
…正直うざい
「・・・おい、聞いているのかお前」
ボディーガードA(総勢で八人居る)がんな事いってきた
正直まったく聞いてない
…聞く必要すらない、これは交渉であって演説や講義ではないのだから
溜息一つついて雑魚Cに向かい
「御託はいいから本題は何なの」
とものすごい呆れながらいった
…いくらなんでも一時間ノンストップはないだろう
そういうと社長は憤慨したように
「余のありがたい話がご「こんなことで時間を無駄にしたくないの」
語調を強め語尾にかぶせていってやった
ほんっと如何でもいいような事ばっかしゃべるんだよこいつ
さっさと終わらしたいのよね
…確認したいんだけれど、こいつ交渉に来たはずよね(呆)
かなり呆れながらそちらを見ると
周りになだめられ
ようやく落ち着きを取り戻したのか
ものすごーくわざとらしい咳払いをして
「余の下に…「却下」
すっごくむかついているので
相手が言い終わる前に結論を言ってやった
…何言うか手にとるようにわかるし
…その前に交渉がどういうものか勉強してからきやがれっての
なんかボディーガード達が動きそうだったから
ちょっと殺気を出してやった
そしたらボディーガード八人全員が動きを止めもとの位置に戻っていった
動いたらどうなるかわかったようね
…まだまともなほうらしい(溜息)
それに感づいてないのか
かなりお怒りの様子で雑魚Cは
「な、何だと余に「だから却下って言ってるだろう」
またすぐ返事してやった
まぁ言わせたらこうだろう
『な、何だと余に逆らう気か』
こいつ阿呆決定(溜息)
さっさとあきらめてくれねぇかな
そう考えてると散々喚いていた雑魚Cは
何かに思い当たったようであるが
絶対ろくなことじゃねぇ(溜息)
その予想はどうやらあたりのようだ
なにやら懐から取り出し
「ほら、金ならいくらでも出すから」
はっ、金ぇ?
何考えてるんだこいつ
金の大小ごときで私が心を動かされると
「ふふふ、考えれば実に簡単なことだ」
なんか言ってるけど無視
「周りが失敗したのも金が足りなかったからだろう」
って言うかなにこのおっさん
私を金で飼いならせると思ってんの
というより私を飼いならすことができるとでも思ってるのか
私も甘く見られたものね
全てが自分の思い通りになると思ってんじゃねぇだろうなこの雑魚が(黒笑)
黙って俯いている私を見て
肯定だとか思ったのだろうか
目の前の阿呆は更に得意げになっているようだ
なんか鏡見なくても自分の表情わかるわ
多分、ものすごく黒い笑顔
こんな阿呆と会話するのも四千年ぶりだしね
周りは私が何をしかねないか気づいているのか知らないが
あの阿呆を止めようとしているが
もう遅い
無言のまま黒い笑みを消し雑魚Cを睨み付け
そのままテーブルを蹴り上げた
今日はまたよく飛ぶわね
中天を舞っているテーブルと
その上に置かれていた札が舞っているのを呆然と眺めている
雑魚Cその他諸々に向かい言い放った
「私を飼いならす?ふざけるな、金で全てが動くと思うなよ」
そういい終わったと同時に
落ちてきたテーブルを足で掬い上げ
そのまま目の前で固まっている雑魚に向かって
思いっきりぶつけてやった
…死にゃしない程度に加減したけれど
何故って?
そんなのつまらないじゃない、特に私が
このまま殺してもいいかなーと目の前の馬鹿どもに近づ…
がしゃ
ん?ライフルを構える音が聞こえたが
目の前の倒れている雑魚ではない
とすると
やな予感と共に振り返ると
ライフルを構えてるソフィアが見えた
狙いは目の前の雑魚か
雑魚供は気づいてないようだし
止めといてやるか(溜息)
とか考えているとソフィアが引き金を引いた
発射音に雑魚どもはようやく気づいたようだ
ん?風斬り音が微妙に違う?
まぁいいや発射されたそれが私の横に来たとき
右手に隠し持っていたバグ・ナクではじいた
私は溜息と共に
「何やってんのソフィア」
そういうと彼女は
柔和な笑みで、その中にかなりの殺気を内包し
「ほかのお客様の邪魔になるので、もう少し静かにしたら」
その言葉に逆らえる剛の者は居なかった
…私だって命は惜しいし、何より酒がなくなる
先刻の馬鹿は汚いせりふと共に
こっから出て行った
これ以上面倒なことになりませんように
そう切に願った
そしてソフィアのほうに振り向き
さっきの続きを聞こうと思った瞬間
ものすごい爆音が聞こえた
―愚か者の宴付近 SIDEクロノ
何だと外に出ると
VTOL機が離陸して飛び去るところだった
さっきの雑魚が乗ってるのか
何するかてにとるようにわかるしなー
仕方ない、先に手を打っとこう
「ねぇソフィア」
と振り向きながら
『情報屋』に問う
「あれって最高速度、音速超える?」
その問いに首を横に振りながら
「いやっ音速超えるVTOL輸送機なんてないはずだが」
なら先回りできるか
ソフィアに朝食代を渡して
…もちろんテーブルの修理代も含めてだが
とっとと工房へ戻った
―エーリューズニル・格納庫 SIDEクロノ
私は工房まで戻ると
ベリアルのところへ行く前に
服を着替える
上にワイシャツ
下は黒のロングスカート
さらに黒のロングコートを着て
黒のネクタイを締める
そしてコートの左袖に守護者の心をつける
…まさかこっちでまたこの正装に身を包むことになろうとはね
正装に着替えた後
さっさとベリアルを起動させる
戦闘じゃないので
起動シークエンスを駆動系に限定
…IFSリンク グリーン
…リミッター グリーン
…システム オールグリーン
「ベリアル起動」
その言葉に白銀の悪魔は律儀に答え
駆動系が唸り声を上げ
大地を踏みしめた
突然ミストが現れ
『ヤッホーどこに遊びに行くの?』
と聞いてきたので
唇を少し持ち上げ
そう、黒く微笑んでから
「ちょっと阿呆に私をなめるとどうなるかって事を教えに行くのと先手を打つためにね」
その言葉にミストは『あーあ誰だかわかんないけどお気の毒に』
とか言っていたが無視して
さっさと外に出て
向かうはミラムーン軍本部
「さぁて久しぶりに飛ばすか」
そして私と白銀の悪魔は
音を超えて駆け抜けた
―ミラムーン軍本部・大将執政室 SIDEクサナギ
本部内のとある執務室
その中に若くして大将になった嫉妬と羨望の的クサナギはいる
今、彼は部屋の中で無数の書類と格闘している
ミラムーンという国を存続させるために
ふむ
部下の報告書を見るに
やはり大半の兵はアルサレア派か
まぁいいまだ独立は果たせないしな
そうなればヴァリムより
アルサレアを選んだほうがよいだろう
だがそうあてにはできないな
こちらのほうにまわしてくる機体などの情報はやはりというか当然向こうの制式兵器より数段性能が下だ
いつ裏切っても良いように
このままヴァリムについたとしても何の利益も得られまい
それにいきなり戦友を裏切れというのも無理な話だ
なのに上層部にはヴァリムとの同盟を真剣に検討しているものがいる
このままではさらにこの国は軽く見られてしまうな
どうしたものかな
切り札として考えていた異邦人も無駄に終わってしまったしな
…いやっある意味大成功か
あれをこちらが持っているとすると利益より損失のほうが上回る可能性が高い
それに彼女は『組織には縛られない』という意思は提示した
それならばこちらが失策を犯さない限りは敵に回ることはない
となると戦力均衡を図るためには
このミラムーンという国を…
と考えていると
扉をノックする音が聞こえた
誰だとは思いながらも中に入るように言った
扉をくぐり現れたのは
先日交渉に失敗したクロノだった
彼女は一礼し
よほど時間が惜しいのかすぐ本題へ入る
「クサナギさん、同志として力を貸すという提案、飲みましょう」
…言われたことを頭で整理するのに数分
その間彼女は身じろぎ一つせずに居た
一息ついてから
「どういうことかね」
その言葉に彼女は顔を引きつらせながら
「えーーーとそれはですね…」
と彼女から事の顛末を聞いた
要は
「協力するからそいつを止めてくれということか」
彼女は苦笑しながら
「まぁそういうことです」
まぁ悪いことではないか
…その程度のことで不安要素が一つ消える上に大きな利益をもたらしてくれるのだからな
あちらの技術に関しては一切手を出さないことを条件に
傭兵として新規PFの設計などを手伝ってくれるようだ
それで手を打った
…欲を言えばもう少し協力してもらいたいが、下手するとこちらが被害を受けるだろうからよしておいた
というより敵にまわした瞬間負ける
彼女の逆鱗に触れることだけは避けたほうが賢明であろう
―軍本部廊下 SIDE雑魚C
くそっ忌々しい若造が
余に逆らったらどうなるか教えてやる
と思いながら
途中の兵士やら何やらを買収して
大将の部屋の前へ行き
そのまま入った
そしてその場に凍りついた
「おやっなんのようだね」
すぐに氷解し
「大将、そこに居るのは反政府ゲリラだ。さっさとつかまえよ」
その言葉にクサナギは
何のことだという顔になり
「何をおっしゃているのです?ここに居るのは軍の協力者ですよ」
また思考が凍りついた
なんで奴の下へついて
余には見向きもせんのじゃ
そう考えているとまたクサナギが口を開き
「まぁ彼女と何があったかは追求はしないでおきましょう。だが彼女が軍の関係者である以上は軍を動かすことはできませんよ」
身の潔白なら私が証明できますのでほかの方を使おうとしても無駄なことですよ
そうさらっと言い切った正面の若造は腹立たしいが
軍が使えないのなら私兵を使おうと思い
舌打ち一つして部屋を後にしようとすると
今まで何も口出ししなかったクロノとやらが
あっそうそうと何かを言おうとしていた
仕方なくそちらを向くと
あの若造は身の毛もよだつようなすばらしい微笑をたたえていた
…何か黒いものが見えるのは気のせいと思いたい
そしておもむろに口を開く
「これ以上手出ししたらどうなるかわかっていますよね。まだその地位に居たいでしょう」
などといわれ
そのまま出て行ったが
もうあいつとは関わるまい
とだけ強く思った
このようにして風は
ミラムーンを吹くこととなる
それがどんな事を呼ぶかはわからない
ただ風は吹くだけ…白銀の悪魔と共に
…まぁ時限爆弾となんら変わりないが
second[Proud Fang]end
next[Lost Legend Weapon replica]
後書き劇場〜Proud Fang(誇り高き牙)〜
クロノ(以下ク)「どうも皆さんここまで読んでありがとうございます。正式に自己紹介しましょう私が『吹き荒ぶ嵐』の主人公クロノ・O・クルクスです。作者の代わりに後書きで語れということでここにいます。
前よりは行動は把握しやすくなっていると思いますが、まだ勝手がわからないようなのでどんどん言ってください
さてこの『吹き荒ぶ嵐』ですがコンセプトは『主人公らしからぬ主人公』だそうです。まぁ破綻するかどうかは見ててやってください。
後もう一つあくまで私は最強というよりぶっ飛んだ存在として認識しておいてください。さてと」
どっかを向く
ク「いい加減出てきたら」
といい作者(以下時)をどっからか引っ張ってくる(ついでにアースガルズに乗っている)
時「な、何でしょうか(汗)」
ク「何で私こんな非常識になったのかしら(笑)」(太字)
時「えーと諸般の事情により(汗)」
ク「あら、そう。じゃあここに出された理由もわかるわね(黒笑)」(太字)
時「わかりませんのでとっとと帰せ(焦)」
ク「やだ。というわけで対消滅バリア展開」(太字)
時「そ、それだけはやめてーーー」
ク「問答無用、行くわよバリアブレイク」(太字)
時「のぎゃ」
ク「では次回また会いましょう」
その後作者を見たものはいなかった
改訂版後書き
クロノ「何とか改訂が終わったようです。微小な変更点以外はそう手をつけていないそうです。まぁ結構場面は追加されていますが。この後短編を三本書いてから本筋に戻る予定なのでご了承くださいませ。それではまた」
簡易設定
人物
クサナギ・レイフォード
―前線に出る問題のある大将閣下。三十八歳。現場からの叩き上げ。詳細は本文にて。
雑魚C
―金で全て従うと考えてる雑魚。息子と娘がいるらしいが・・・
用語
多目的作業用重機「J−ファー」
―クロノが一話で掠め取った二機のうちの一機の成れの果て。戦闘用の出力のままで土木作業からどぶさらいまで何でもこなせる。普通こういう風にする際には出力を落とす。
ベリアル
―白銀の悪魔。色は白銀を薄緑で縁取っている。スピードのみを追い求めた機体。最高速度はリミッター解除時で亜光速。ちなみに自爆装置つき。
TBF
―総合戦闘用機動兵器の略称。異界においての汎用機動兵器のこと。ベリアルは厳密に言うと高機動戦闘用機動兵器。ちなみにアースガルズも違う。
泥棒よけの罠の数々
―冗談半分でつけた罠。大体読んで字のごとくのもの。
超光速を大気圏内で出して無傷なとことか
―クロノの非常識さを表す言葉。設定上ミストもこの速度に耐えられる。
バグ・ナク
―インドのほうの武器。意味は「虎の爪」でその名のとおり動物に引っかかれたような傷を残す。横棒の両端に親指を通すわっか、横棒自体に4〜5本の爪がついている。使い方はわっかに親指を通し、爪が出るように握る。
風斬り音が違う弾
―ゴム製の暴徒鎮圧弾。対象の近くで十字に展開し動きを止める。
VTOL機
―垂直離着陸機のこと。
対消滅バリア
―これに触れたものは対消滅を起こすというバリア。アースガルズの両腕部についている。対消滅爆発を余裕で防ぐらしい。
バリアブレイク
―対消滅バリアを展開したまま殴るというアースガルズの最大にして単純な攻撃。
おまけ
クロノの力の基準
―力を無闇に誇示したり自分を過信したりしているものを三流又は雑魚。
自分を過小評価しているものは二流。
自分の力を正確に把握している上で相手の力量を測れるものを一流とみなす。
天災科学者
―クロノをさす言葉。命名者はミスト。
そのあまりの非常識振りなどを総称してこう呼ぶ。
まぁ大気圏内で兵器で超光速出すようなやつだし。
クロノについて
―正直言うと何をやっても厄介ごとが舞い降りる奇跡のような能力を持っています。何故って?そりゃ主人公だし。
過去についてはものすごーい人生を送ってきたとこの時点では言っておきましょう。まぁ一つ言うのなら軽々と世界を敵に回せるような人で、戦争のやり方は知らないけれど虐殺の仕方は知っているといったところか。
管理人より
時の妄執さんよりご投稿頂きました!
いやはや、破天荒な事で……(苦笑)
まぁ、問題はどれだけ暴力以外で解決するか、と言ったところでしょうね。今後に期待です。