―今よりさかのぼること四千年、この地を支配していた教国が世界を幸せに導くためにある計画を実行させようとしたところ、世界はわれわれが導くと反乱軍が興り内乱状態になった。内乱が激しくなっていったころ教国に裏切り者が現れた。その悪魔の名は『クロノ』。彼女は教国が進めていた計画を自分のものにしようとして要の物を全て盗んだのだ。そして悪魔を討つために両者は精鋭を送り込むが悉く返り討ちにあってしまった。教国と反乱軍はこの事態に手を結ぶが悪魔の暴虐は止まるところを知らなく、世界中の人々を恐怖の渦へと巻き込んだ。そして悪魔は聖域である宮殿に逃げた人に襲いかかろうとした。この状況に神像様が動くが、こともあろうに悪魔は神像を破壊した。そしてそこにいる全員を飲み込み、周りを滅ぼした。このままとめるものはいないのかと思ったところに勇者が現れた。両者は互角に戦うが、勇者が負けそうになる。そこで、勇者は己の身と引き換えに悪魔を封印した。そして平和が訪れ、現在の繁栄となった。
―ある吟遊詩人の言葉より抜粋





 

武を志す者は須らく『最強』の二文字を求める
その道に数多の屍を築こうとも
その果てに何があろうとも
決して歩みをとめず 振り向かずに行く

しかし多くのものは
最初の理由を忘れ
形見えぬものを唯追うだけの
数多の命を喰らい尽くす修羅と化す

果たして自らが望まずに
『最強』の二文字を手に入れたものは
それをどう思うのか

絶望と血に染まりし地に
異界より最強の力と称号を持つものが
舞い降りたときに物語は紡がれる





 

 異説機甲兵団J-PHOENIX
  戦場を駆ける風





 

―異界ドリュープ・サル


次元の狭間に存在するという
無数の世界からなる多元世界
そのうちの一つ
約四千年前のある事件より復興し
人と亜人が暮らす機械文明の発展した世界ノワ・ルーナ

この世界より一つの風が舞い降りる







 

―とある辺境 SIDE???


四千年前の悲劇・・・
それはこの世界に生きるものにとって忘れられない出来事であり
今の繁栄の元になった出来事である

今ここから四千年前にひとつの物語を終わらせたものが
また新たなる物語を紡ぎだす
…最も強制的にだが

 

とある工房内にある機体
幾多の戦闘を切り抜け
搭載している能力により最強となった伝説
その足元でがさごそと動く人影が見える


えーーと膝の部分…状態最悪
各部のエネルギーパイプ…損傷多々あり
股関節部分…よく動いたわねこれ

「…よし、脚部周辺の点検終了、と」

あーやばい
最近点検してなかったからなー
改めて相棒を見ながら

「意外と磨耗してる部分が多かったわねー」

とごちる
まぁいいや
それより修理に使うのはこれとあれとそれと……

『どーしたの、クロノ』

ってこの声は

「ミストか、コクピット周りはどうだった」

声のしたほうを振り向くと
コクピット近くで手を振っている立体映像の『親友』がいた
ミストはさっきの言葉に少し考え

『特に問題はないね、そっちは…』

その言葉に顔が引きつった

さすがに言えないよねー
あの惨状は

とどう言おうか考える
けど言葉が見つからない

「………」

その様子を見てミストが溜息をつき

『はぁ、壊滅的だったわけね』

ご名答です
ミスとは淡々と言葉を続ける

『まぁそれは自業自得として』

まぁそうだけど
改めて人から聞くと痛いわ
ミストはこちらを振り向き

『で、どうするの』

どうするといわれてもねぇ
やることといったらひとつしかないでしょうが
けど問題が一つある

「とりあえず部品あれば直るんだけど」

『全部はないと』

ぐっ、痛いとこつくな
まっ足りないものは足りないし
いつものとおりに頼むか

「というわけでセイジ、出番だ」

『何が「というわけ」だ』

私の言葉に手を組んで呆れた顔をした男が映った
…そんな呆れること無いじゃない
で、手を合わせながら頼む

「まぁそういわずにこの部分とこの部分のパーツ生成を頼むわ」

まったくとか賢者の石をなんだととか言ってるけど無視して
改めて機体を見る
一つ気合をいれ

「さて、ちゃっちゃか直すとするか」

・・・十分後・・・

さてと脚部も直ったし
今度は内部機関のほうか
改めて情報を表示する
ユグドラシルとIFSデバイスは問題なし
リジェネレーター…四千年前から直してないし
ディメンジョンスライダー…最近使ってなかったわね
となると必要なのは

「リジェネレーターの修復とディメンジョンスライダーの調整か」

リジェネレーターは使う必要がほとんどないから
優先するのはディメンジョンスライダーのほうだけど…

下手にこれ見るの忘れると痛い目見るのよねー
確か、昔一回わけわからない場所に飛んだときもあったしね

なので端末と接続してパラメーターを表示させる

うーーんと
簡単に見たところでは

「システム面で異常はなしか」

後は実際に起こる誤差の調整だけど

「っとその前に、内部も点検しとくか」

スパナをもって
えーと手順は確か
まず外装を取って
それから……

どがっ

「あだっ」

痛たた
何か破片がぶつかったのかしら
…ちょっと待てなぜ破片が飛んでくる
取りあえず状況を把握するためにミストを呼び出す

「ミスト、何がおきたの」

その言葉にミストは笑いながら外を指し
隣のセイジも呆れ顔で外を見ながら

『あはは、お客さんみたいよ』

『さすがに悪名を馳せただけある、見事な量だ』

とのたまいやがった
…って感心してんな
と心の中で突っ込み
壁に出来た穴から改めて状況を見るが
『それ』を見て一言

「確かに、満員御礼って札出したいわね、これは」

実際壊れた壁から見える「お客さん」はそれほど多い
まぁあれほどの事をやれば
悪名は広がるだろうけど
…少しは戦術書でも読んできやがれ
こんな撃破してくださいって量は久しぶりよ
そんな状況を見ながら溜息をつき

「正直うざい」

実際
『そこの悪魔よ、なだたる賞金稼ぎの…』だとか
『この悪魔よ、われらが主の御心に従い…』だとか
とかこの四千年で聞き飽きた謳い文句ばっかだし
もっとひねりがほしいわね(溜息)

そこでひとしきり笑ったミストがこちらを向き
笑顔を絶やさず

『で、どうすんの』

と聞いてきた

いつもだったら
…考えるまでもない、売られた喧嘩は高額買取が基本、誰に喧嘩を売ったのか恐怖と共に刻み込んでやる(黒笑)…
とか考えるのだけど
今日は量が多いのよね(溜息)
まぁこのまま帰りそうにはないし

「はぁ、正直めんどいけど…『ディメンジョンスライダーセットカンリョウ』

そうそうディメンジョンスライダーで
ってちょっと待て

後ろから聞こえた電子音声はなんて言った
セットカンリョウ?
誰も何もセットしてないぞ
私とセイジとミストは声をそろえ

『『「なんで起動してるんだ」』』

でディメンジョンスライダーを見てみると
ものの見事にささってますよ
『先の砲撃で壊れた壁の破片』と『そのとき飛ばされたスパナ』が
…あーどおりでないわけだスパナ

とそんな考えにふけっていると
次には地獄の宣告

『テンイジュウビョウマエ、ザヒョウハ…』

十秒前!?もう何も手を打てないわよ
ミストも焦ったように

『って聞いたことのない座標だけど、どうすんの』

って言うけどもうどうにもなんないわよ
あーーーもう

「なるようになれ、因果律のバッカヤローーーー!!(怒)」

と叫んだ瞬間
体が光に包まれ次元の壁を越えて
どこかに飛ばされる感覚がした


 

その後そこには
あまりの展開についてゆけない
一般人が残っていた






 

Chapter1「吹き荒ぶ嵐」
first「異界の風」






 

聖暦20年
惑星Jではある二国間の戦争が続いていた
帝政国家アルサレアとヴァリム共和国
ヴァリムの侵略行為から始まった焔は
憎しみを飲み込み更に激しさを増す中
アルサレアが二足歩行型機動兵器『PF』の開発に成功するが
皮肉なことに兵の安全を願い作られた存在によって
更に多くの命が飲み込まれていく
そんな中アルサレアの同盟国ミラムーンより
『未確認物体が出現 調査を頼む』という依頼が入った







 

―ミラムーン・ゴスティール山脈付近 SIDEルロイ

 

たしかこのへんだと聞いたのだが

「何もないな」

だが警戒するに越したことはない
先ほど受領した『先行試作型J-ファーカスタム』のセンサーを全開にして
付近の様子を探りながら
この任務を受けたときのことを思い出す

『この地点に未確認の反応を確認したそうだが
 その後すぐロストしたとのことだ
 貴公はこの地点へ行きそれが何なのか確認せよ
 …頼りにしているぞ、ルロイ・ファントムよ』

その後この機体を受領し
この近くまできたが

「何も見えないな」

ということで危険は伴うが
その地点までいったが結果はこのとおり
さてどうしたものか

「センサーにも何の反応もなしか」

仕方ないもっと周辺を探してみるか
と振り返ろうとした刹那
急に視界が真っ白になり
形容できないほどの爆発音がした
その方向を向いたとき見えたのは

異常な量の爆煙と
その中に浮かぶ『赤い眼をした何か』だけだった

その何かはこちらのほうを見ると
すぐ飛び去ってしまった

 

結局何かがあったであろうところには
これといったものはなく
『赤い眼をした何か』が映った映像を報告として出しただけだった

唯一つわかるのは
『それには勝てないという確信』だけだった







 

―ミラムーン・上空 SIDE クロノ


先ほど爆発が起こった場所からそう遠くない上空
そこに異邦人はいた
…かなり余裕な表情で


あそこから適当に飛んで
十分離れたのを確認してから
息を安堵と共に吐き出す

「あーーーそれにしても助かった」

まぁ最初ここに来たときは焦ったけど
所在を知られないように
家に光学ステルス機能付けといてよかった

二人も安心したように言う

『まさか作り置きの自爆装置が役に立つとわね』

『世の中何が幸いするかわからんな』

二人の感想には私も同感
でもまさか…

「趣味で作っておいただけなんだけどあそこまで役立つとわね、自爆装置」

あの家の中にはかなりの量の超技術が眠っていた
とっとと処分したいがうまい方法がなかったので
放って置いたが、場合が場合なので
自爆による一斉処分にしたのだ

さてこれからどうしよ
ミストも同じ考えにいたったようだった

『…でどうするの?』

その言葉に少し考え

「とりあえず元の世界に戻る、ていう案は却下ね」

『『異議なし』』

あら二人ともすぐ賛成したわね
まぁ確かにうざかったし
となると

「まずはこの世界の情報がほしいわね」

で何か適当な場所はないかと調べると
下の方に基地らしき熱源反応がある
ならば話は簡単

「真下の基地でも襲うか」

その言葉に間髪いれず返事が返ってくる

『まぁ妥当なとこかな』『否定する材料もないな』

ということで真下の基地に侵入決定
…何、もっと慎重に行動しろ?だいじょーぶ何とかなるって

と誰に言っているのかわからないことを考えながら近くに降り
アースガルズから降りる
端末の電脳空間に両者がいることを確認した後
腕の端末についているゾーンスライダーを起動させる

ゾーンスライダー起動
転移先は

「目前の基地、屋上」

そして
自分の身体が希薄になっていく感覚を感じた後
目的の場所に移動していた


 

―ミラムーン・某基地 SIDE クロノ

 

ミラムーンとか言う国の軍服に着替え
そのまま廊下を歩いていると
向かい側から偉そうな人が歩いてくる
その人に笑顔を向け

「ご苦労様です」

「ああご苦労」

と挨拶を交わして廊下を歩いていく
しかし まぁ

「ほんと警備ざるだね」

『『同感』』

ばれるといけないので、賢者の石の情報伝達を脳内に限定してあるから
直接頭に二人の声が響く

もう少し他人に注意を払ってもいいと思うけどねぇ
ほとんどが挨拶を交わせば素通りするのだ
まぁ仕方のないことだとは思うけど

「あんなことすりゃどこも同じだけどね」

そう空間転移で入ったから
警備の程度など問題ではなかったりする
しかも先ほどこの基地の詳細な地図も入手したし
おっと、中枢部についたようね

「後は中枢にハッキングするだけ、と」

左手にある扉に向き直り
ちょっと制御装置をいじって
息を整え

「おじゃましまーーす」

とはいった
目の前にはこの基地の情報を司るメインコンピューター

まずは私が入った痕跡を消す
ピアノを弾くように流れる手つきでキーボードを叩く
あっさり機能を掌握
そのまま痕跡を抹消、別の映像を偽造して差し替える
これでひとまず安心
…ここまで五分とかかっていない

後は情報を引き出すだけ
腕につけている端末と接続して
中にいる二人に呼びかける

「二人とも頼むわよ」

『りょーかい』『わかった』

切れの微妙な返事と共に二人は電脳空間を通り
コンピューターへとハッキングする

・・・二分後(早っ)・・・

「これで全データいただき、と」

そうなると必然的にここに長居することはないので
後始末もしたし
何より空気が悪い
基地だから当然なのだが軍人然とした空気が苦手だ
…私が居たところそう規律にうるさくなかったしね

「とっとと出るか」

と『相棒』のところへ転移した
その後付近の町などを調べ一番平穏に暮らせそうな場所を探す
…ちなみに戦火がどうとかはほとんど関係ない
確かに平穏に暮らせればいいのだけれど
それはあくまで穏やかに暮らせることで単調とした毎日が続くことを願っているわけではない
何より戦争を対岸の火事程度に認識して平然としていられるほど人間が出来ている自信はない

ここで同行者二人はこう突っ込もうとしただろう

『『そんなんだからお客さんが絶えないのよ』』

だけど突っ込むまい
この姿こそが彼女なのだから




 

―ミラムーン・辺境『ウェスペル』

 

この狭い店の中は
客の喧騒に包まれていた
外では戦争をやっているようだが
このような辺境までは飛び火しないだろう

この村『ウェスペル』は
貧しいながらも何にも脅えることなく平和に暮らしている
今の時代稀有な場所だ
この酒場『愚か者の宴』は数少ない酒場なので
常に客入りがある

がははと笑う村人たちを見ながら
ヴァリム軍にいたころと比べる

「この光景見ていると今まで何をしていたか虚しくなるわね」

戦争をしているとはいえ
反戦派の弾圧
上層部の足の引っ張り合い
ゲリラの掃討作戦
今まで無駄に命を巻き添えにしていた自分

情報部だからか
命を直接取り合う機会なんてほとんどない
それで自分のもたらす情報で巻き添えになる命の重みを軽く見ていたのかもしれない
それがますます命を巻き込む結果になっていたとは…
道化みたい

『平和のために』って軍に入ったはずなのに
逆に戦争を長引かせている自分
それが可笑しくなって
私は軍を抜けた


と物思いにふけっていると
からん、と来客を告げる音がした

「いらっしゃいませ」

と義務的に返事をし、そちらを見ると
外見的に大体二十歳前半の女性がいた

黒い長い髪の後ろにかかっている部分をリボンで束ねていて
目の色は紅、その目から強い意志を感じる
黒いロングコートとロングスカートを着ているその姿は
軍人というよりは中世の騎士を思わせる
だが一番興味を引かれたのは…

と観察している間に
その女性はカウンターの近くに座り
微笑んで

「とりあえず酒といいたいとこだけど、金がなくてね」

とかのたまってくれたわ
こちらとしても慈善事業じゃないので
ただ酒を飲ます余裕などない

そんなことはわかっていたようで
その女性は懐を漁り何かを取り出した
それをカウンターに置き
さらに微笑を深くした後

「…で貴金属でも取引できるかしら」

取り出した袋を見ると
金やら銀やら見たことのない石やら
いろいろ出てきた

見たことのない石ねぇ

まぁ十分に換金できる量の金があるし
考えていることを出さずに

「…別にいいけど、どれを飲むの」

女性はそうねぇとつぶやいた後

「適当にお勧めのやつで」

といわれたので
そこら辺の普通の酒を出した
正直もってきた量の貴金属ならこの店ごと買えるんだが
どうやらその気はないらしい
となると

「で、ほかに何のよう」

単に酒を飲むだけなら
この量はいらないだろう
十分の一で十分だ
となればほかの用があると考えるのが一般的

その女性はグラスを傾けながら

「まぁ簡単に言えば、住む所が欲しいんだけど」

つまり

「『そういうひとを紹介してくれ』ってこと」

その言葉に彼女は首肯しながら

「そう言う訳」

と答えたことばにちょっと考える
まぁさしあたっての問題はないだろうし大丈夫だろう
…何か問題を呼び込みそうだが
私は外を指差しながら

「じゃ、この近くの村長を尋ねたら」

その言葉に彼女は首肯し

「ありがとう、早速行ってみるわ」

と代金代わりに金塊を置いて
出ようとした

…ちょっと待て

「そういえばあんた名前は?ちなみに私はソフィア」

自己紹介すんの忘れてた

「ふーん、ソフィアっていうんだ。私はクロノ。今後ともよろしくね」

と出て行った

 

その背中を見送りながらしばし考える

見たことのない服装に所持品
住む場所が欲しいといってきたことから
恐らく

『あの情報の関係者』

と考えるのが妥当か

本業は情報屋だから大体のことは耳に入る

『数日前未確認物体が現れ、見失った』

最低直接関係はなくとも
何か知っているだろう
…十中八九本人だろうが

「まっ次あったとき聞くか」

下手に考えても答えは出ないし
最後のせりふからまた来る気だろう
だが、後もう一つ気になった点がある

身にまとっている気配は暗殺者や殺人者のものだ
だがあの目から感じられたのは
絶対守りぬくとかそういった感じの覚悟
それを持つのは暗殺者や殺人者の対極のものだ

アンバランスなものを持つ異邦人か…
なかなか面白そうね

しかし

「何もなきゃいいけれど」

とつぶやいた瞬間
爆撃音がした





 

―ウェスペル付近 SIDE雑魚

 

「うひゃひゃひゃ」

あーーーまったくPFさまさまって感じだな

『まさかこんな簡単に略奪できるとわ』

相棒もそんなことを言う
なんだか家の決まりだとかで
軍に入れられた時は焦ったけど
こんな力が手に入ったんだから

「家族に感謝の一つくらい言ってやらねぇとな」

まぁこのまま帰ってもいいが
相棒に一つ指示をやって

『まぁ礼くらいはしねぇとな』

ひときわ目立つ建物に向けて撃たせた

いつの間にかいた『何か』が
その銃弾を叩き落した

 

―同地 SIDEクロノ

 

はぁ間に合った
村の被害状況はそう大きくなさそうね
状況を確認した後、私は安堵の息を漏らす

あーーよかった、左腕の賢者の石の小型端末にゾーンスライダーつけておいて
おかげで相棒のところまですぐ戻れたし
そこからすぐ戻ってこれたし

相対している機体のパイロットだろうか
何か通信が入った
それを正面モニターに映す

そこに映ったのは震えまくりの優男だった

なぜか震える指先で私を指しながら

『だ、誰だてめぇ』

とか言われても返答に困るんだけどねぇ
一番無難な答えで返しておくか

「この村の住人(仮)だけど」

まぁこのままつぶしてもいいけど
こんな雑魚を相手にするなど面倒くさいので
降伏勧告でもしておくか
…絶対聞かないだろうけど

「一応言うけど、降参してくんない」

『『誰がするか』』

間髪入れず予想通りの反応を有難う(溜息)

とか考えていると
相手に動きがあった
…って言うか通信ぐらい切れよ(溜息)
なので相手の動きが手に取るようにわかる

『と、とにかくうて』

『わ、わかりました』

あら、すぐ攻撃するの
…未確認の相手にすぐ攻撃しないって、普通

…本当に馬鹿だな(溜息)

次の瞬間大量の弾が襲ってきた

…正直よける気も起きないし必要もない

そのまま避けずに全弾受ける
一応機体情報を提示して確認

全弾命中
被害ゼロ

予想通りね
でもしかし

「ここまで実力差あるとむなしいわね」

そんなこと考えていると
通信機から下卑た笑い声が聞こえる
…だから敵との通信ぐらい切ったら、全く

『うひゃひゃひゃひゃ』

何がおかしいんだろ
そう溜息をついて改めて向き直る
もう遊びは終わりだ

「次はこっちからいくよ」

同時に相棒に指示を出す

スライサーセットアップ

その命令に後ろのブースターについている
片刃の剣兼ウイングのスライサーが手元の近くに出てくる

それを手に持ち、構えたところで
相手の二機の動きが止まった
また通信機から声が聞こえてくる

『なななんで無傷なんだ』

……もうどうでもいいや

まずは撃ってきたほうの懐に入り込む
あわてて防御しようとするがそんなの無意味
…そう早く動いてないのに無防備すぎだろこれ
そのまま『コクピット』を剣で貫く

それを見たもう一人は
逆上した声で

『てめぇ絶対殺す』

…頭痛くなってきた、もう少し状況を見ろっての
まぁいいや
同じように懐に飛び込み
今度はコクピットを無理やり剥ぐ
そして雑魚Aを握る

…今にも泣きそうな顔なのはおいといて

「そんな命をかける覚悟もなしで、ましてやそれに対する反抗にすらおびえるのに武力を振りかざすな。振りかざすんなら業を背負う覚悟ぐらい持て」

…マジむかつくんだよねこう言う輩
ってよく見てみるとこいつ気絶してるし
…何なのこいつら



 

―ウェスペル・愚か者の宴付近 SIDEソフィア

 

存在し得ない機体
圧倒的な強さ
明らかに大型機動兵器相手に戦いなれている戦い方

やっぱりあいつだったか
村長が走ってきて私の横に来る

「ソフィア」

「あっ村長」

村長に振り向き儀礼的に一礼をする
村長は心なしか震えた指であの機体を指し
震えた声で問いただす

「あいつは何者なんじゃ」

その言葉に少し考え

「まぁとりあえず敵じゃないと思いますよ」

といいながらそちらを見ると

山賊『二人』を縛って運ぼうとしている
クロノの姿が見えた

まっ何者かはわからないけど

「……とりあえず退屈せずにすみそうね」

 

そのころ…

話題の渦中にいるクロノは
山賊を縛り熨斗をつけてからこう考えていた

「やっぱまずったかなーアースガルズ使ったの」

『『いまさら遅いって』』

と二人に突っ込まれていた

 

かくして異界よりの風は舞い降りた
そしてその風を巡り各国の思惑は展開していく

 

異界の『吹き荒ぶ嵐』が舞い降りた時
傭兵国家の『壮烈なる竜巻』は仲間を守る術を考え
『穏やかなる凪』は黒き鬼と共に
魔弾の射手と共にあるは『荒れ狂う暴風』
いまだ目覚めぬ『駆け抜ける風』

これは信念と共にある風の物語






 

first[Night Knocker] end

next[Proud Fang]






 



後書き〜Night Knocker(迷惑な来訪者)〜

はじめまして時の妄執というものです
まだ至らぬ若輩ではありますが
いろいろと指摘をしてもらえるとうれしいです

さて、この吹き荒ぶ嵐ですが
この物語全体のプロローグとなります
また、作者のオリジナルの世界観も流用しているのでわかりづらいと思いますが
生温い眼で見過ごしてもらえると幸いです

では今後ともよろしくお願いします

改訂版後書き

やっと私生活も安定して改訂が終わりました
これで多少は読みやすくなっていると思います
それではまたどこかで会いましょう



 

簡易設定

人物

クロノ・O・クルクス
―異界より舞い降りし最強の力と称号を持つ正真正銘の人外。女性。外見上23歳。性格は複雑怪奇。基本行動原理は酒、又は暇つぶしと主人公らしからぬ存在。実年齢は……

ミスト
―賢者の石が形成する電脳空間に住む人格。女性。クロノをサポートするのが主な役目。

セイジ
―賢者の石の基本人格。男性?。冷静な性格で記憶にあるあらゆるものを無限に生成できる。

ルロイ・ファントム
―後のグレンリーダー。このとき提出した記録が何を呼ぶか…。

ソフィア・フェイス
―酒場『愚か者の宴』を経営する情報屋。女性。21歳。元情報部所属でかなりの情報網を形成している。

雑魚A・B
―アルサレアの脱走兵。山賊行為を行っていたがあっさり捕まり熨斗をつけて警察につれて行かれた。

用語

多元世界ドリュープ・サルと異界ノワ・ルーナ
―次元の狭間にたゆたうさまざまな世界によって構成される世界とそのうちの一つ。要は作者の脳内世界。

アースガルズ
―クロノの最初の機体で相棒と呼ばれる機械神。冒頭の最強の力のこと。無軌道にして無限の力を誇る。文中で名前が出てこない…。

ディメンジョンスライダー
―次元移動システムだが今回すぐ壊れる。暴走するともれなくランダム次元転移がついてくる。

ゾーンスライダー
―空間移動システム。転移方法は空間歪曲と情報転送の二種類。基地侵入に使ったのが情報転送で、村を守るときに使ったのが空間歪曲。

あれほどのこと
―四千年前クロノが犯した大罪のこと。そしてそれがあるからこそクロノは死ねない。今は多くは語るまい。

吹き荒ぶ嵐
―平穏を乱すものを破壊する。まるで表面のものを薙ぎ払っても世界という概念にまったく影響を与えない嵐のように。




 


 管理人より

 時の妄執さんよりご投稿頂きました!

 イレギュラーといったところでしょうか(笑)

 さてさて、どのように展開していくのか楽しみにしています。
 



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