お読みになる前に
 今回は今までと違って、結構「殺す」などの暴力セリフや作者の妄想兵器がでますので、気をつけてください


















 

機甲兵団Jフェニックス裏史実





 

 終息の灯火

 10話「終息の灯火」













 

 ヴォナンシティ・市街地中央


 満身創痍のJフェニックスが同じく満身創痍のラセツを組み抑えている。
 そのラセツに乗っているカールは呆然と呟く。

「・・・これが真実なの」

「ああ・・・そうだ」

 抑えているJフェニックスSに乗っていたタケルは拘束を弱めた。





 

 フェンナが演説する少し前に時間を戻します


「もうすぐアルサレア最強部隊が待ち受けてるのか〜」

 ビル群を駆け抜けるラセツに乗っていたカールはヴァリム内でも恐れられている敵に考えを集中していた。

(ヴァリムの為にも負けるわけには行かないんだよね・・・これ以上、犠牲を出さない為にもさ・・・)

 今までに見てきた多数の負傷兵や残されていった孤児や未亡人達がカールの頭によぎった。
 こんな後景を無くす為にもアルサレアを徹底的に叩かなくてはならない。
 その最強集団を倒せれば・・・出来なくても、せめて一機だけでも落とせれば味方の被害が減る。
 その一念がカールの頭を占めていた。

「それにしても、さっきの地味な人は意外に腕がよかったな〜。結構、貰っちゃったし」

 ラセツの装甲には幾つもの弾痕がある。
 ムラキの決死の反撃でプラズマライフルを数発、それも器用にも急所とも言うべき装甲の薄い部分を狙われた。
 幸いにも武器や電装系への被害は少ない。が見た目はボロボロである。

「とりあえず・・・ハイパージャマーで黙らせよっか」

 肩に装備されているエキスプロードウェーブ改造兵器の電子攻撃ユニットの使いどころを考えていた。
 ちなみに命名はムラキ中隊を黙らせたときである。

「さて・・・とりあえず用意だけは・・・」

 ラセツのレーダーに一瞬だけ何かが光った。
 わずかな一瞬であったが、本能が危険と騒ぎ立てていたことでカールは周りを見渡す。
 レーダーに映っていない事からステルス仕様の機体と考えて周囲を見渡そうとした。
 だが・・


「待ぁーーちぃーーやがれぇぇぇぇぇーーーーーーーーー!」


 ムラキ中隊の防衛ラインを突破した敵を排除しながら飛んできたタケルは叫んでいた。
 連戦で満身創痍の傷を負っているとは思えない速度で大声で叫びながら突っ込んで来る。
 それにしても隠密性が武器の機体で自らを暴露するのは馬鹿としか言いようが無いが構わないようだ。
 だが、カールの注意を引き付けることには成功。

「新手・・・でもねぇ!」

 用意しておいたハイパージャマーを照射。
 高速で動く機体の操作を奪って近くのビルに激突させようとする。
 しかし、カールの予想を裏切ってタケルのJフェニックスSの動きに変化は出ない。

「効かないの?! 故障? これだから新型は!」

 カールは機材の故障だと思っていたが、実際はJフェニックスSのステルス機能がラセツの妨害電波を遮っていたのである。

「俺が相手だ!うらぁぁぁぁーー!」

 叫びと共に高速飛翔で接近してきたタケルの飛び蹴りがラセツに決まった。









 

 ズガガッシャァーーーン!


 JフェニックスSの飛び蹴りの衝撃でラセツが吹き飛んだ。
 地面に足をつけたタケルはラセツに映像付き通信を送る、1対1の決闘に持ち込んでグレン小隊の元へ向かわせないためだ。


「俺の名はタケルだ! てめぇは誰だ!?」

「僕の名前はカールです」

 極光の不死鳥に投稿させていただきました設定ですと二人は地球に居た頃の親友です。
 言うなれば二人に面識があり感動の再会になるはずである。
 だが・・互いのモニターに写った顔を見た時、二人は・・・


(カールにそっくりだな?)
(タケルにそっくりだ?)


 

 ガァァーーーーーン!!



 名前まで名乗りあったのに二人は気づいていなかった(まて)
 二人が親友になりえた理由の一つが「馬鹿」と言う事である。

 此処まで来ると常識を疑ってしまうのだが、今回の二人は互いに背負うものが大きい。
 その重圧で思考が鈍ったのかもしれない。

「ったく・・・俺の昔の知り合いに似てるなんてよ〜」

「それはこっちのセリフだね。君のほうが彼より馬鹿に見えるけどさ」

 まぁ・・・キ○とアス○ンの様にならない分だけましかもしれないが(そうか?)、それでも親友同士の戦いに変わりは無い。

「つ〜わけで・・・行くぜぇ!」

「今度は僕の番だよ!」







 

 先に動き出したのは機動性の高いJフェニックスSに乗るタケルだったがカールは瞬間転移で距離を離す。

「何? 後ろ!」

 あわてて機体を空中で旋回するためにジャンプさせようとする。フェニックスは空中旋回の方が早いのだ。
 しかし、カールのラセツは攻撃を用意していた。

「遅いね。欠伸を出す代わりに此れあげるよ」

 メインフレームに装備されているダブルキャノンを発射。
 空中旋回の為に跳躍上昇中のフェニックスの軌道は単純である。
 直撃するとカールは確信していた。が、タケルには切り札がある。

「お前には出来ないだろ? ジャンプキャンセル!」

 上昇していたフェニックスだったが、体の体勢による荷重移動によって突然に急降下に入った。
 WCSの上昇先を狙った判断によって放たれた砲弾は虚しく頭上を通り越して行く。
 ラセツを正面に向きかえったタケルは目の前のラセツの装備などを確認した。

(武器はメインに内臓のキャノンと肩の妨害機・・・腕には無装備? ってことはパンチャーかよ)

 相手がパンチャーであることにタケルは少々の厄介さを感じる。
 パンチャーの特徴の一つが異常な腕稼動速度と威力。そして機体にもよるが重装甲や高機動力。
 タケルの武装はアサシンファング二刀流にウイング3連ショット、いつもは其処にメイン内臓ツインバルカンも有るのだが、今回は支給されたJフェニックスSの為に装備されていない。
 考えているタケルにカールの声が聞こえる。

「今度は僕の番だね。これで終わりだから辞世の句よろしくぅ〜」

 ラセツが跳躍し、ビルを通り越して空から迫る。
 だがタケルは和えて動かずに待ちの体勢だ。

(機動力は俺のほうが上のようだな。威力はたぶん・・・14000ぐらい!)

 頭の中で演算し終えたタケルも跳躍。近くのビルを蹴り飛ばして一気に加速。
 接近して来たラセツの脇を通り越すことに成功。
 だが、後ろを振り返ったタケルは驚愕した。


 ズガガガガッガガァ〜〜〜〜ン


 ラセツのパンチによってビルは上半分を吹き飛ばされている。

「逃げるなんて、酷いよ!」

(威力・・・20000以上有るんじゃなぇか?)

 カールの非難に気づかないほどタケルは自分の読みの甘さを思い知った。

「当たってたまるか!幾らなんでも死ぬだろうが!」

「うん! だって殺すつもりでやってんだもん!」

 死という言葉に嫌なものを感じているタケルは3連ショットを連射しながら叫び返した。

「てめぇ・・・殺すなんて言葉を軽々しく使うんじゃねぇぞ!」

「当たり前だよ! 殺さなきゃ救えないモノだってあるんだよ!」

 その言葉にタケルは戦慄する。今日は驚きっぱなしだが、それらすら忘れてしまうくらいのショックだった。


「ばかやろう・・・」

「なんだって?」


 タケルの呟きにカールは珍しく顔を締めた。


「人を殺せば人を救えんのか!」









 

「敵を徹底的に滅ぼせば敵は居なくなる。そうすれば味方の被害が無くなる、違う? 僕は今まで、そうして来た。これからもそうする!」

 それがカールの信念である。
 敵に恨まれるだろうが、味方が死ぬよりは何万倍もマシだ。

「・・・・」

 タケルは何も言い返せない。

「君だって自分の友が殺されたら嫌だろ!」

 カールは叫んでいた。
 それはタケルに言い聞かせると言うよりも自分に言い聞かせているようにも思える。

 


(当たり前だ・・・だからって殺すことが正しいのかよ! 何で、そんな事が認められる!)

 カールの主張を聞いていたタケルは憤りを感じていた。
 昔、別の星・・・遥かなる故郷に居た頃の敵は謎の生命体だった。
 そいつ等を倒すために訓練していた頃は、その正当性を分かっていた。
 だが、今相手にしているのは生まれた星が違うだけで「人」という種である。

「俺は認めない! こんな馬鹿な争いで人が死んでいくなんて俺は認めない!」

 この瞬間、タケルは自分の答えを見つけていた。









 

 そしてタケルの突然の叫びを聞いたカールも気づいた。

(・・・その通りだよ!何で気づかなかったんだよ!)

 スイゲツの仇とも言うべき復讐の事しか考えていなかったカールは目先の敵しか考えていなかった。
 だが、タケルの叫びに答えがあった。

(そもそも戦争の所為で人が死んでるんじゃないか!)









 

 二人は気づいた。
 戦争が終われば、それが理由で死ぬ人が居なくなる。無論、完全にという訳ではないが、戦いが収まれば被害は減る。
 答えを見つけたカールの背後に突然にタケルが回り込み、組み倒した。

「うわっ!」

「おい!これから、この戦争の真実を教えてやる! 目ぇ覚ましやがれ!」

 地面に組み伏せられたラセツの受信アンテナにフェンナの演説が響く。













 

 で、冒頭に戻します。




 

「そっか・・・全ての元凶はヴァリムでもなくアルサレアでもなく、ガルスキーとか言う奴等だったんだ」

 フェンナの演説を聴いたカールは言い切った。
 普通だったら敵の指導者の演説を鵜呑みにしないだろう。
 だが、フェンナの演説は別物だった。彼女の真摯な態度と言葉がカールに響いたのだ。

「普通は少し疑うだろ? まぁ、良いけど。 つ〜訳だ」

 小声で突っ込みながらもタケルは「どうだ」と言わんばかりに張った。
 少し一息つくと続ける。

「お前と少し話をしたいんだけどさ?」

「良いよ〜」

 その提案にカールは承諾。タケルはアサシンファングを地面に刺し、カールは休めの態勢をとった。

「今のフェンナの話を聞いて信じてくれたのは嬉しいんだけどよ・・・その・・なんだ」

「君の言いたい事は分かってるよ。もう無闇な殺生をするなでしょ?」

 カールは今までスイゲツの仇という自分への免罪符の元で敵を殺してきた。
 殺したくないと言う気持ちが心の中で叫んでいたが、自分の信念の間違いを認めるのが怖くて受け入れられなかった。
 しかし、フェンナの演説を聞いたとき間違った信念を貫き続ける事こそ真の恥と思った。
 それに先の戦いの中の会話で自分に素直なタケルを見て羨ましく思い、自分に正直に生きようと決めたのだ。

「いや・・・そうじゃなくて違う事言おうとしてたんだが」

「え?! はははははは〜で何?」

 笑ってカールは誤魔化した。

「たぶん・・・今は戦いを一時的に中断したけどよ・・・今後、俺たちが戦わないって事ないじゃん。俺はお前と戦いたいとは思わないんだけどさ」

 親友に似ているとかいう理由ではない。
 この戦いの中でタケルはカールに共感とも言うべきモノを感じていた。
 タケルの不殺主義とカールの行いは全く反対だろう。だが二人とも誰も悲しませないために、方向が違っても何処かの誰かの為に戦ってきたのだ。

「それは無理だと思うね」

「ナンだって!?」

 カールの返答にタケルは驚く。
 だが続きは正しい。

「君と僕・・・もしも、どちらかが間違った事を成そうとした時に止める役割を果たそうと思うんだ」

「なるほどな・・・御もっともで」

 自分の早とちりに呆れながらもタケルは納得した。







 

「そういえばさ〜君って殺す事に不快感出してたけどさ〜今まで不殺だったの?」

 カールの思い出した言葉にタケルは少し悲しそうな顔になるが直ぐに戻った。

「いや・・さっき完全不殺じゃなくなったさ・・・」

「そっか・・・」

 タケルの心底に浮かぶ哀愁を感じ取りカールは少し反省した。
 だが、タケルは空を見上げる様に上を見ながら呟く。


「それは俺の罪だと思う。
 だからと言って、そこで罪を償うために人生を終わらせた所で罪が消える訳じゃない。
 だったら罪と向かい合って生きて行こうと思う。
 これからの人生で俺は次も人を殺めてしまうかもしれない。
 罪を償うために何が正しいのか分からない、今は戦いを終わらせるのが正しいと思うが正解とは限らないと思う。
 だから俺は生き続けて答えを見つけようと思う。
 俺は人を無闇に殺めない様に戦う。
 それでも殺めてしまったら早い答えを見つける為の戒めとして心に刻む」

 そこまで言い切ったタケルにカールは心の底から感動を覚えていた。
 「青春だね〜」と冷やかそうと考えていたが止めたぐらいだ。

「じゃあ、互いに戦いを終わらせる為に生きよう!」

「たりめぇ〜よ!」

 JフェニックスSとラセツECは握手していた。







 

 突然に感動のシーンは瓦解する。

「こちらヴォナン防衛隊司令室・・・全軍に通達! 北部よりオーガルディラム級が来ました!南部にて再編成し挟撃に移れ!」

 カールは歯噛みした。
 今のアルサレアを潰す事に意味があるのか一目瞭然である。
 そんな判断しか下さない上に怒りが出てきた。

「逃げて! 再編成してる所にいる僕の隊長なら何をするべきか分かってくれると思うから一緒に時間を稼ぐ! その隙に逃げて!」

 しかし、タケルは穏やかな笑みで言い返す。

「いや、良いって。俺達は死なないさ。じゃあ行くぜ!」

「まって・・・あ!」


 ラセツの静止を振り切ってJフェニックスSは飛び去った。
 司令部とのデータリンクで手に入れた情報によるとヴォナンシティに居たアルサレアの部隊が合流し、全機がオーガル級に突撃しようとしている。
 このまま行けば確実に主砲、その他の砲で殲滅されるだろう。
 思わずタケルに文句を叫ぼうとした。
 だが、親友と同じ名前であるタケルの顔を思い出すと信じられる気がする。
 変わりに別の言葉が出てきた。


「またねーー!」









 

 数分後・・・オーガル級の周辺で多数の閃光と爆煙が上がっていた。
 それは戦争の終結のための狼煙の様に・・・














 

 エピローグに続く




 



 後書き

 トンでもねぇ終わり方ですね。
 と言う訳で会社の寮で酒を飲みながら書いてる神楽歌です。
 社会人になってSSの執筆速度が急激に低下しました。
 それ以前に深夜(21時から朝6時)勤務のおかげで吸血種に生活が変化してきつつあります。(その内、カレー好きの司教やメガネ君に消されるかも)
 と言う訳で今回のネタ。今回の二人の出した答えは大まかなところで本題と言いますか、より鮮明な内容は次に出ます。
 本当は戦闘の描写が凄くなる筈だったんですけど、いつの間にか低レベルで終わりました。

 では、次のエピローグでお会いしましょう。
 もしかしたら新作を次に入れるかもしれませんが、どうにかなる筈です(まて)




 

 おまけ

 プラズマライフル:サーマルがJ2で抜けましたので、こう書きました。

 ハイパージャマー:ラセツECの電子攻撃のカールの付けた名前。

 二人が気づかなかった理由:馬鹿だから(おい)

 ジャンプキャンセル:タケルの必殺技。ジャンプ中に体勢を変化させて荷重移動し、機体を急降下させる。おもに敵のロック外しや回避に使う。似たような技にダッシュキャンセルなども有る。

 タケルの戦おうとしていた昔の敵:翼の続編のクロス作品の為に選んだ作品の敵。



 


 管理人より

 神楽歌さんより第10話をご投稿いただきました!!

 ……いや、二人とも気付よ?(爆笑)

 そしてさり気なくオーガル級が出ましたね(爆)
 


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