お読みになる前に
今回は今までと違って、結構「殺す」などの暴力セリフや作者の妄想兵器がでますので、気をつけてください
ヴォナンシティ・国際議会堂、大議会場
議会場の演説席に立つヴァリム代表は周りに威嚇するように最後の文章を述べた。
「・・との事により各国への賊国アルサレアへの攻撃を提案するものとする」
その提案に周りの席にいた各国の代表者達は不満顔だった。
実際問題としてアルサレアとヴァリムの戦いは、ヴァリムの黒幕であるガルスキー財団の都合による闘いである。
自分達に利益が無いだけでなく、アルサレアが敗北するような事が起きれば明日は我が身なのだ。
「意見は在りませんかな?」
ヴァリム代表の声は笑いを噛み殺すように質問を求めた。どうせ誰も反論できないと分かっているからである。
シ―――ン
各国の代表は反抗したくてもする事が出来ない。
どの国にもガルスキー財団からの横槍と強迫が入っているのだから当然だ。
その現状で名目上の議会長はヴァリム代表を忌々しく睨む。
(我等の希望が潰えるのか?・・・)
議会長は心の底から悔やんだ。
今の状態でヴァリムに対抗できるのはアルサレアぐらいである。
その希望が潰えるのだ。
(せめて・・・奴等への大義名分さえあれば!)
アルサレアへの支援を行なえればヴァリムを圧倒でき、ガルスキーによる支配に終焉を討たせられるかも知れない。
その為にヴァリムを悪と世間へ認めさせる大義名分が必要なのだ。
そんな感情を無視してヴァリム代表は強引に承認を迫った。
「では。これで賊国アルサレアへのコウゲ・・・」
「ちょっと――――――!!!まったぁぁぁーーーー!」
議会場へ大声が響いた。
声の主を見つけた代表達は我が目を疑った。
言っておくが、議会場の周りを固める武装兵士達にではない。
叫んだエドにである。
定番の如く彼の衣装は予想外だった。
何せ、アルサレアではなくナチス・ド○ツ風の軍服であるからだ。
だが注意を引く事には成功していた。
各国の代表達が困惑に包まれる中でエドは高らかに宣言した。
「この議会に置いて我等アルサレアに発言を許していただきたいと進言します」
今までとは裏腹に極めて真面目で誠実さから出た様な雰囲気だった。
「良かろう、発言を許可する!」
ヴァリムの代表が何かを言い出す前に議会長は許可した。
エドの脇に居る人物を見てアルサレアに賭けてみたくなったのだ。
そのエドの隣に居たフェンナは議会長の許可と同時に演説席の前に立った。
そして始める。
―全世界の皆様、いきなりこの様な演説を放送する事をお許し下さい。私は、この度アルサレア首相に就任しました、フェンナ・クラウゼンと申します。本日はこの様なイレギュラーな形ではありますが、前アルサレア将軍、私の父、グレンがヴァリムの陰謀により辿った運命と、アルサレアの今後について聞いていただきたいと思います。―
ヴォナンシティ・中央通り
「遂に始まったようだぜ、隊長!」
「ああ・・・俺達も負けていられんな!」
流れるフェンナの声を聞きながらキースとグレンリーダーは市街地を駆け抜けてくる防衛隊のPFに本日何度目かの突撃をした。
グレンリーダーのフェニックスのカタールの一閃がロキを両断し、キースのバスターランチャーの閃光がヌエを消滅させる。
二人の機体は大気圏突入や長時間の戦闘で傷ついている。
それでも敵を逃さないように奮戦しているのだ。
「あんた達には絶対に負けないんだからァァ―――!」
アイリのグラップラーが放つパンチのラッシュがヌエを次々と屠っていた。
―皆様も御存じの通り、アルサレアは、氷山の影響を受けた痩せた土地が多い国です。その為、作物は思うように実らず、また、その日の暖をとる事もままなりません。その様な過酷な環境の中で生きてゆく為に、我々の先祖達は傭兵として生きてゆく事を選ばざるを得ませんでした―
ヴォナンシティ西部
「潰す!」
ケンは愛機の装甲の大半を剥離させ、またVシールドやロングレーザーソードを破棄。
サブマシンガン1発か2発に耐えられるかどうかの装甲だけ残したJフェニックスSはレンのキシンに向かわせつつ隠し持っていたレーザナイフを抜いた。
「早く、きやがれ!」
レンは挑発と言うよりも本音のように誘うとレーザーライフルからバズーカ、MLRSを連射。
だが、極限に近いほど軽くなったJフェニックスSの運動性とステルス性能によって辛くも回避。
「魔眼発動・・」
本人は気付いていないがケンの言う魔眼とは「神域」の事である。
これから使う技の為には刹那の時間を少しでも感じる必要があるのだ。
格闘戦の距離に近付いた時
「斬り飛べ・・・シュナイダー!」
ケンの機体のHMが発動。
その瞬間、JフェニックスSの関節の動きが神速の領域に到達。
ケンの操縦に呼応して、超高速で動く手に持たれたナイフがキシンの装甲のひび割れ部分や関節部分、装甲と装甲の隙間などの強度的に脆い部分をナイフで斬り裂く。
バラバラァ!
物の見事にキシンは数個に解体された。
シュナイダー。それはケンが使うHM必殺技である。
僅かな時間ではあるが神域に入る事が可能であるケンは(神域と気付いていないが)機体の関節のみ神速に入らせ、相手の強度の低い場所全てを的確に切り裂く技である。(コクピットは絶対に狙わないですが)
「全部隊に告ぐ!一時後退して再編成せよ!」
排出されたコクピットの中でレンは部隊に撤退を促していた。
大した実力と根性を持たない良家出身の国際軍は撤退と聞いた瞬間に逃げ出した。
(司令部には演説が終った後で全員を検挙する為の再編成と誤魔化すか・・)
「悪いな・・レン」
後からの誤魔化しを考えているレンにケンが極秘回線で話し掛けてきた。
「俺等としてはフェンナ女史に演説してもらったほうが都合が良いんでね」
レンの言う「俺等」とは穏健派の事である。
今のヴァリムを2分しているのは穏健派と強硬派であり、強硬派の勢力が上回っている。レンとしては戦火を無闇に増やす強硬派の勢力を減らしたいと言う考えがあるが、勢力の強さの所為で下手に動けば反逆者にされてしまう。
だから演説はレンにとっては渡りに船なのだ。
何故ならばアルサレア侵攻の主導となっているのは強硬派である。
それを批判する演説ならば手伝ったほうが都合が良いのだ。
「ならば、俺からの礼は必要ないな」
冗談だか本気だか分からないようにケンは答えた。
「な!せっかく俺が最初の計画を変えてまでやったのによ〜」
当初のレンの計画は自分達が突破し、グレン小隊に手を出す振りを何度も繰り返して演説まで時間を稼ぐつもりだった。
しかし、血気盛んかつ自分とは思惑が絶対に合わない国際軍が暴走する可能性考えていた。
其処へ都合良く、秘密の打ち合わせが出来そうなケンが来たと知って作戦を変えたのだ。
「言っておくが・・・アルサレアを裏切れとかだったら、この場で消すぞ」
ケンの眼には珍しく殺気が篭っていた。
こんな風に話しているが、やはり過去の所為でヴァリムへの憎しみはある。
「注文の多い奴だな〜まぁ、やると言ったら俺の手伝いで今の政権・・強硬派の勢力削ぎの為にだな」
「だったら考えといてやる・・・」
二人は極秘回線を切った。
部下に輸送されていくレンのキシンのメインフレームを見ながらケンは考えていた。
(・・・そういや、タケルはどうなったんだ?)
―有史以来、アルサレアは、各国に優秀な傭兵達を派遣してきました。しかし、戦場と言う死と隣り合わせの環境は、図らずも少数民族国家である我が国の人口をさらに減少させてしまうという皮肉の結果をもたらすものでした。だからこそ、我が国では、傭兵達がなるべく多く帰還できるようにとの思いのもと、従来の兵器より強固かつ生還率の高い兵器の開発を行うに到ったのです。この兵器は、『パンツァー・フレーム(PF)』と名付けられ、アルサレア国民が期待していた通りの性能を引き出す事に成功しました。こうして、私の父や親しい人が、日々の糧を得るため、幼い子供達を家に残し、傭兵として世界中に散っていったのです―
サーリットン戦線南部山脈地帯
流れる演説の中でもレイジとジークは微動だにしなかった。
正確には動かないではなく動けないのだ。
「・・・」
「・・・」
ジークの乗るキシンの装甲は至る箇所が小さく裂けたり崩れたりしており、全身が傷だらけだった。
対するレイジのクサナギもメインフレームに大きな傷が数本も入っている。
「剣狼の名は伊達と言う訳ではないな」
ジークの強さをレイジは実感した。
クサナギの弾幕ですらジークの一撃を防ぐ事は出来ず、致命傷は避けているものの何度も斬られた。
並のPFならば回避することは不可能に近い弾幕をすり抜けているのだ。
「俺を此れほど追い込む輩が居たとはな・・・世界は広い」
ジークは楽しそうに言った。
暴風の如き弾幕は小さいながらもキシンを捉えていた。
一刀侍魂のBURMによって防御力の低下しているキシンはサブマシンガンですら高いダメージになる。
「次で決めるか」
「次で決める」
偶然の産物なのだが二人は同じタイミングで口にした。
両機とも稼動時間は限界に近い。
更に弾幕を張っていたクサナギの残弾数は僅か、キシンのエクスカリヴァも多数の戦いで敵を何度も切った為に耐用限界が近付いていた。
流れるフェンナの演説を聞きながら二人はタイミングを待っていた。
―各地で連戦連勝を続けるアルサレア傭兵達に快く思わない者達が現れ始めました。ヴァリムの軍事産業を牛耳る、ギルゲフ・ド・ガルスキーです。 ギルゲフは、各地で紛争を引き起こしては、敵味方を問わず武器を売りさばき、莫大な利益を上げています。本拠地のヴァリムは勿論、世界中の権力機構に強力なコネクションと影響力を持っています。しかし、独自にPFを設計・開発し、戦争の定石を変え、自分達の価値観で動くアルサレアは、ギルゲフにとって大きな障害だったのです。自らの欲望と手前勝手な理想を実現する為に、彼は実力行使に出ました。前将軍を、私の父を、ギルゲフは暗殺したのです。―
サーリットン戦線・中央戦区
「此れで終わりだ!」
全周波回線によって世界各地に流れるフェンナの演説を聞きながらグリュウは輝きだしたエイジの鬼哭に斬りかかった。
ヴァリムの軍人ではなく1人の人としてフェンナの演説を集中して聞いてみたいのが本心である。が、今は1人の武人として雌雄を決するのが大切なのだ。
「デェェェェ―――――イ!」
フッ!
グリュウの気迫と共に振り下ろされたシラギクの一閃は2機を捕らえる事は無かった。
シラギクを振り下ろしたキシンの上方から鬼哭が急降下をかける。
「まだまだ終わりではないぞ・・・受けて見たまえ!」
「ほざくなぁ!」
エイジの一撃をグリュウは気迫の叫びと共に見事に受け止めた。
しかし、受け止めた瞬間に鬼哭は押し返される力を反動として利用して再度上昇する。
僅かな時間の猛攻に安堵を覚える事は無くグリュウもキシンを跳躍させた。
「やるようで・・すわね」
グリュウの真下をトワネのプリムローズが放ったスライスカッターが通り過ぎていく。
ショットガンを放って牽制しつつ今度も鬼哭に目標を定めた。
だが鬼哭を認識した瞬間、グリュウは驚愕する。
「早くなっているだと?」
HMを発動しているのだから機体の速度が上がるのは当然である。
グリュウの驚いた訳とは鬼哭の機動力が時間と共に上昇している事であった。
まさかと思いプリムローズも見てみると同じ現象が起きていると気付いた。
「「此れが滅壊乃理だ!」」
エイジとトワネが絞り出すように叫んだ。
滅壊乃理とは二人が作り出したHMである。
最大の特徴は全能力が時間と共に比例して際限なく上がっていく事である。
時が刻まれるたびに機体速度は上がり、またGNも性能以上の出力を叩き出す。
それは機体のEPでの強化ではなくてリミッタ―を外して機体の限界を無くしたからであった。それは機体が崩壊するまで続いていく・・・
「大丈夫か・・トワネ」
「ええ・・まだいけそうですわ」
今の二人の体には恐ろしいほどのGと振動が来ているのだ。
時間と共に能力を限界無しに上げて行くと言うHMであるが故に、パイロットの限界をも軽く超えて伸びていく。
ハッキリ言って生存率20%以下の代物だった。
「早く決めるぞ!」
「ええ!」
最早、時間の猶予が無い事を感じ取っている二人はたたみ掛けようとグリュウに接近していく。
「認めよう・・・貴様等の信念と誇り。そして応えよう!」
最初はグリュウも驚いた。
しかし、対峙する二人から意志の強さを感じ取った彼は戦って答えるべきと思ったのだ。
「うぉぉぉーーーーー!!」
グリュウは今度も急降下して来た鬼哭の一撃を叫びながらショットガンで受け止めた。
今なお上昇中の鬼哭のパワーに耐えた事をエイジは信じられない。
「何!」
「我等が大義の成就のために負けるわけには行かないのでな!」
一瞬の攻防の後、グリュウは距離を離した。
キシンが耐えられたのは単純にGN出力の全てを片腕に廻したからである。
「終わりにして差し上げます!」
言うまでも無く片腕のモーターは過剰出力で融解して動かない、その隙を逃すほどトワネは甘くないのだ。
「まだだぁ!」
それでもグリュウは諦めない。
そのグリュウの行動にトワネは一瞬動きを躊躇する。
「自ら接近ですって!」
なんとグリュウはキシンのレッグモーターに出力を全て廻して得た一瞬だけの超瞬発力でプリムローズにゼロ距離まで接近したのだ。
元々は銃などの武器を持った敵にカタナでの戦い方として「格闘武器も射撃武器も関係無い状況に持ち込む」と言う考えで得た方法を応用したのだ。
「反応が遅い!」
「キャァァ――!」
一瞬の出来事にトワネは隙を生み、グリュウの一撃がプリムローズを吹き飛ばした。
「トワネの作った勝機!逃す訳には!」
妻の心配をしつつエイジは先の数倍に跳ね上がった速度でグリュウに狩人の皇牙を向けて突撃する。
「互いに最後の一撃か・・・面白い!」
グリュウは感づいている。鬼哭もキシンカスタムも既に限界で次の一撃しか残っていない事を。
「「勝負!!」」
2機が交差する
ヴォナン非戦闘地域・南部諜報部秘密アジト
「見事だ、フェンナ」
オードリーの残骸の上に立っているヘルフェニックスのコクピットの中に居たケイオウは今は亡き女性の妹の演説を聞きながら静かに感想をもらした。
そして偽神佐軍団の精神操作を解いてから地下シェルターに閉じ込め(押し込んだ)たケイオウは何時ものボタンに手をかける。
「さて死人らしく逝くか・・・」
チュドォォォ―――――ン!
辺りは白熱化
数分後、地下シェルターに閉じ込められた人達が出たときには何も無かった。
サーリットン戦線・中央戦区
グリュウとエイジの交差よりも3分後
「起きるんだ・・・トワネ!」
「え・・・あなた?」
プリムローズの中で気絶していたトワネにエイジの声が響く。
モニターには満身相違の鬼哭が立っていた。
「黒夜叉は部下に付き添われて去っていったよ・・」
「勝ったんですか?」
「ああ・・お前のおかげだ」
引き飛ばされる瞬間、プリムローズは内蔵兵器「クロス・ニードル」を放っており、数本がキシンの関節に食い込んでいた。
急加速したキシンはバランスを僅かに崩してしまい、結果としてエイジの一撃がキシンのメインに突き刺さって致命傷を与えたのだ。
エイジは感慨深く言う。
「それにしてもモモネに聞かせる良い土産話が出来たな」
「そうですわね。早く帰って3人で旅行に行きましょう」
機体を立ち上がらせながらトワネも楽しそうに言い返した。
「その前に無事に帰るぞ」
「ええ、貴方!」
2機はフェンナの演説を聞きながら拠点に後退していった。
一方その頃、ユイとマイによって救助されたグリュウは大破したコクピットに居た。
アームやレッグのモーターは既に融解して機体は殆んど動かない。
しかし、彼にはやる事がある。フェンナの演説を聞いていたのだ。
(この歳で此処までの信念を持っているか・・・)
目の前で切実に訴える少女やライバルを思い出したグリュウには見えた。
戦争を終らせる為に自らの戦いを続ける者たちを
(全ての平和を求める者達の為に私も覚悟を決めよう!)
穏健派としてのグリュウは戦いを終らせる為に次の首都での戦いの決意を決めた。
―しかし、それでも組織としてのアルサレアが動じない事を悟った彼は、アルサレアそのものを壊滅させようと目論みました。まず、ギルゲフは、ヴァリム軍を使い、アルサレア国境を侵略し始めたのです。そして、アルサレアの同盟国であるミラムーンの大統領を買収し、アルサレアを背後から襲撃させようと画策しました。しかし、これらの卑劣な行いは、勇敢な将兵の方々の働きによって、見事に退けられました。その後もアルサレアは、ヴァリムの・・・いいえ、ギルゲフの仕掛けた卑劣な侵略戦争を生き抜き、今に到ったのです―
惑星J某所
「今すぐに放送を止めさせろ!」
「ヴァリムにヴォナンシティへの援軍を出させるんだ!」
「部隊が無いだと!?だったらオーガル級をだせ!」
ガルスキー財団の中枢を担うビルの一室は喧騒に包まれていた。
今まで裏で動いていた自分達が白日の元に出されたのだ。
これ以上の演説をさせてはいけないと構成員たちは幹部も下っ端も関係なく動き回っている。
その中で1人の老人は静かに考えていた。
(何故戦いを終らせようとする、それしか人は発展できぬと言うのに・・・グレンの娘よ!)
財団の長「ギルゲフ・ド・ガルスキー」はテレビに映る少女を睨みながら次の一手を考えていた。
―世界は大きく変わりました。何故ならば、神ではなく人間が、あらゆる形の幸せと、あらゆる形の生命を消滅し得る力を持つようになったからです。しかも、私達の祖先が築いてきた、人間として持ちうる正当な諸権利と国家の寛容は、富みを貪る一部の権力者の手によって蝕られようとしています。本来、私達が豊かに暮らせるようにと、父や母達が残してきた財産を、ギルゲフは、全て己だけの内に収めようとしているのです―
サーリットン戦線・南部山脈地帯
「残った全火器を集中させる」
補助AIに命じながら最初に動いたのはレイジのクサナギだった。
瞬間転移を持っているとは言え圧倒的に機動力が劣る。先に動かれては一方的に攻撃の主導権を取られてしまうからだ。
多数の火線が迫る中、ジークも己を奮い立たせる様に叫んだ。
「俺を止められるのならば止めて見せよ!俺の行く先は最強だ!」
何とジークは自ら火線の中を飛び込んだ、まるで自分を止める事は出来ないと示すかのようにである。
極限の戦いにおいて最後の切り札になるのは恐怖を討ち破る勇気でも発想の転換による奇策でもない。
自分が慣れ親しんだ自分の能力である。
それ故にクサナギは圧倒的な攻撃力、ジークは超高速による突撃斬撃を選んでいた。
「俺の勝ちだぁ!」
ジークの宣言が響く。
クサナギの残弾が遂に切れたのだ。
無傷な場所を残さないほど傷ついたキシンは最終加速を開始。
メインフレームへ迫る。
「まだ終わりではない!」
吼えるかのようにレイジも叫んだ、その声には諦めは無い。
キシンに狙いを定め、クサナギの腕を引く。
弾が切れたからと言って攻撃の手段がなくなるわけではない、パンチがある。
「上等だ!おぉぉぉぉーーー!」
「相手が誰であろうと負けるつもりは無い」
ガギィィン!
キシンのエクスカリヴァとクサナギの右腕が激突。
ガギギギギギィ!
ナックルガードが装着されているは言えエクスカリヴァの一撃に粉砕。
クサナギの右腕を拳から半分に切断しつつ(人間で言うならば骨の線にそって)メインフレームに迫る。
だが、
パキィン!
限界に来ていたエクスカリヴァが遂に粉砕された。
同時にレイジは爆発の危険が出た右腕をパージ。
「ち」
「くっ」
互いに痛み分けだった。
そして二人の機体の状況では継戦は不可能である。
「ここまでとは。剣狼よ、勝負は次に廻すぞ」
レイジは勝負を預ける言葉を残すと瞬間転移に移った。
いまだ未完成の部分を作り上げてから戦ったほうが色んな意味で良いと思ったからだ。
「良いだろう!それまで腕を磨く事だ!」
ジークも再戦を望んで叫び返す。
最強までの道のりに多数の障害が在ってこそ遣り甲斐がある。
フェンナの演説が流れる中でジークは次の戦いに備えて誓っていた。
―富で兵器を作り、さらに多くの富を不当に手に入れようとする彼の行いを、人々の自由と存続と可能性を摘み取る様な存在を、アルサレアは決して容認しません―
サーリットン戦線カンドランド
「全部隊に告ぐ・・・我々は現時刻を持って撤退する!」
アルサレアサーリットン戦線を指揮する司令の宣言に参謀達は戦線の部隊に撤退命令を下し始めていた。
だが、彼等には負けたと言う悲壮感は無い。
「次の戦いの為に今は退け! 最後に勝つのは我々だ!」
何故ならば次の戦いの為の準備に入っていたからだった。
―私達に好意を持っていてくれる国、持たない国を問わず、あらゆる国々の自由と存続を確保するため、これらの国に決して屈してはなりません。戦争による悲しい呪縛を断ち切ろうと奮闘している諸国の方々に対し、私達は幾らでも助力する準備があります。今こそ、全ての国々が、この危機を取り去り、新たな信頼関係を築く時なのです。その希望の灯火が、悪意ある人々の凶行の刃に倒れる事があってはなりません―
惑星Jにある都市の一つ
都市の中央に位置するビルに装着された大型モニターにフェンナの演説している姿が映っている
「ヴァリムって悪いんだぁ〜」
「あ、ヴァリム代表者が逃げ出した!」
「暗殺しといて今度は買収するか〜?」
モニターを見ていた市民達は口々に感想を述べた。
だが、そんな中でも一部は違う。
「ふざけんな、この女!テメェの言ってる事なんか誰も信じねぇよ!」
ヴァリムから偶然に旅行で来た軍人であった。
だがフェンナの誠実な表情と本心が響き渡る言葉の前に見ていた人達は気にする事は無かった。
―全てのアルサレア近隣諸国及び善意ある方々、私達は共に手を携え、如何なる侵略や不当な略奪にも対抗すべきである事を知って欲しい。そして、アルサレアが、あくまでも自分の家の住民でありたいと考えている事を、全ての国々の方に知ってもらいたいのです―
惑星Jの某国家・最高評議会
「では・・・アルサレアへの支援の採決する」
評議会を構成する議会員たちの4分の3が一斉に拍手した。
しかし、残った議員たちは騒ぎ立てる。
「あんな国に義理立てする意味は無いですぞ!」
「それよりもヴァリムへ同調するべきです!」
だが彼等の周りに憲兵が近付き拘束する。
「残念だが君達に発言権は無くなったんだ・・君達には国家反逆罪と汚職容疑がかかっている。主にヴァリムと財団とのね」
評議会の議長の言葉に拘束された議員達は黙っているしかなかった。
―今、この時代に生きる私達は、戦争という過酷な環境の中、確かに存在する絆を信じ、父や母の思い、そして、愛する人達を守る事を誇りとしています。私は、この声を、愛する人を守り戦う全ての人に送りたいと思います―
惑星J周回軌道・戦闘指揮衛星メテオゼロ司令室
「見てているか・・・お前さんの娘の晴れ姿を・・・」
世界各国に流れる議会のテレビ放送を傍受していたゴルビーは今は亡き戦友に対して語りかけた。
「お前の意思は若者達にしっかりと受け継がれておるぞ・・・」
ゴルビーの脳裏に愛に生きた漢や不真面目なくせに戦いの虚しさを知る者や最強を求める漢の姿が見えた。
「良き時代代の為にも、もう少し手伝いをせねばならんようじゃ。それまで待っておれ・・・」
不意にゴルビーは、あの世に居るグレンが応援してきた様な気がした。
―アルサレアの民も、世界の人々も、共に手を携え、時代を切り開く新しい力となり、戦争や貧困と言った暗黒の時代を終結させる為、共に戦いましょう―
ヴォナンシティの中央付近
タケルに組み抑えられていたカールは演説を聞き終わった時、呆然と呟いた。
「これが・・・真実?」
後書き?
ようやく9話の登場です。なんか今回は場所が色々と動きすぎて読み難いですね(謝)
って言うか、今回のタイトルといい前回といい、どっかで聞いた名前になってしまいました(元ネタを知っている人は言ってください)
最後で出てきたタケルとカールの話ですが、最初は8話サイド4で書こうと考えていたのですが、それよりも10話で一気に書いたほうが良い(全部の決着を9話で書くのが難しかったからと逃げたのが真実)と思ったんですよ。
って言うか、我龍さん、桃音さん、タングラムさん、踊る風さん、キャラの性格はアレで大丈夫でしたか〜(違っていたらマジでスイマセン)
此処まで書いといてなんですが、次はネタとして温存していた裏史実INコバルトも書きたくなってきました(まて)
まぁ来月からは投稿速度がかなり落ちます(悲)
と言う事で、次は今回の最後に出てきたタケルとカールの戦闘です。(時間的には8話の各サイドと同時間)
では〜
シュナイダー:ケン専用HM必殺技名
搭乗している機体の装甲を最低限度(通常の装甲を鎧を着た人間とすれば、生身の人間ぐらいの強度程度)だけ残してパージ(切り離す)し、武装も隠し持っていたレーザーナイフ一丁にします。
相手に接近(近くでパージすると言う手も可)し、HMを発動。HMは機体の関節駆動のみ神速(時間は0.4秒)並の速度に達します。
そして敵の装甲のひび割れ部分や関節部分、装甲と装甲の隙間などの強度的に脆い部分をナイフで斬るです。(装甲排除による軽量化は高速による関節の負担を減らす為)1瞬で敵はバラバラに解体されると言う結末です。
某知り合いに言わせると、「あの高校生の17分割?」と突っ込まれました(爆)
ケンのレンの手伝い:此処から極光の不死鳥(踊る風さん)でケンがヴァリムに居た理由になります。
カンドランド撤退:いずれ又(おい)
劇中の都市・某国家:名も無き所(まて)。フェンナの演説が世界に響いていると表現する為の存在。
滅壊之理(めっかいのことわり):壊神乃華プロトタイプ案<桃音様よりお借りしました(感謝)
(このプロトタイプは鋭慈と永久音レベルでしか使えく、桃音クラスが使用すれば間違いなく命を落すそうです)
一戦闘中に一回のみ、さらに危険度は∞
(壊神乃華が使ってもまだ大丈夫って程度ならこっちは危険度特大、さらに生還確率20%を切る危険さだそうです)
能力は全機体性能が時間に比例して際限なく上がっていき、特にスピードとG出力は比例上昇率が他の能力より高いです。
(勿論自分でそのHMを止める事ができる。本来HMは自分でとめることが出来ませんがこのHMは自分で止めないと危険過ぎるので止めることが出来るとの事です)
このHMが出来た理由は鋭慈、永久音両者とものPFに関する莫大な知識を持っていたためであり、そこら辺の研究者がいくら一人で研究しようとも絶対に作り上げることは不可能なHMです。(PFに詳しくてさらに特殊能力があるような人間なら不可能ではないですが)
さて、危険度∞の理由ですが前にも書いた通りHMに制限時間が設定されてないからです。
本来のHMはEPが無くなってしまえば切れてしまうものでしたが鋭慈と永久音が作ったHMはたとえEPが切れても使えます。(もちろんEPを必要とする兵器は使用できなくなりますが)
その理由はこのHMはEPを利用して機体性能を上げるのではなく機体自体のリミッターを外して機体性能を上げるからです。
このリミッターを外した後のPFに限界というものは存在しません。あるのは崩壊までの時間だけです。
管理人より
神楽歌さんより第9話をご投稿いただきました!!
エド……本当に幾つ携帯している?(爆笑)
そして各戦闘も決着しましたね!
次回は遂にタケルとカールが激突ですかw