お読みになる前に
 今回は今までと違って、結構「殺す」などの暴力セリフや作者の妄想兵器がでますので、気をつけてください















 

機甲兵団Jフェニックス裏史実









 

 終息の灯火

 8話サイド3「キレ者と馬鹿は紙一重と言うかむしろ同軸線上?」











 

 ヴォナンシティ西部



 

 顔合わせは馬鹿らしかったが(7話参照)戦闘は真面目に戦っている閃光の爪隊であった。



「くたばれぇ!」

 マユの乗るJブラスターの放ったアサシンレーザーがヌエをビルごと撃ち貫く。
 だがアサシンレーザーの硬化している隙を狙ってヌエ2体がレーザーソードで迫ってきた。

「アルサレアが調子にのるな!」

「雑魚だと思って舐めんじゃねぇぞ!」

 そんな風に騒いでいるがマユには意味が分からないようだ。

「とりあえず五月蝿いから屠る?」



 ズバァ!


 雑魚の必死のアピールを「五月蝿い」の一言で済ませながらクイーンネイルで2機を薙ぎ払った。
 両断されたヌエを見下ろしながら呟く。

「もう少し強い奴はいないの? モグモグ・・」

 コクピットの中に置いておいたバナナを食べながら感想を言った。



 って戦闘中に何食べてんだ!



 マユはヴァリム軍のマンマシーン計画から脱走してきた被験者である。
 調整された性格はユイの冷静さとマイの凶暴性の両立によって構成されており、戦闘になるとマイの用に叫びながら戦うが、その一方で冷静に物事を考える。
 また、性格のベースはユイであり、作戦立案時にも冷静で客観的な意見を述べる。
 ただ研究者の誤算は性格が冷静だが捻くれている事、そして余りにもマイペースかつ自分勝手な性格であったことだろう。



 

 突然マユの通信機に救援を知らせる警告音がはしった。残った3本を急いで食べきり、レーダーで確認するとグレン小隊の1人と思われる機体が2個小隊に囲まれている。

「そこのピンクのPF! とりあえず後退しなさい」

 マユは再チャージし終わったアサシンレーザーを2個小隊の一角に撃ち込むと、一気に踊りかかっていった。









 

「きゃぁ! ヤッタですねぇ〜」

 四方から放たれるスマートガンを回避しながらピンクのPFに乗っているサリアはハンマーでビルを粉砕しつつ、その陰に隠れていたロキを破壊した。
 だが、ハンマーと言う大重量の武器を背負っているので動きは高速とは言い難い。
 サリアがロキを破壊している隙に他の機体が包囲していた。

「仲間を囮にするなんて・・・酷いです!」

 包囲部隊の動きを見るからに今しがた破壊した機体を助ける事は十分出来ただろう。
 だが、あえて助けず囮に使った敵にサリアは憤慨した。

「カワイイからって調子に乗るんじゃないわよ!」

「貴方ほどの人気が欲しいのよ、私だって!」

 シティ防衛隊に配属された女性兵達はモニターが偶然拾ったサリアの映像で殺意が湧いたようだ。
 確かにサリアはカワイイと思う(おい)
 兎に角、上空に展開したロキ4機ががMLRSを一斉に放つ。

「あ、アイリせんぱ〜〜い!」

 回避できないのを直感で悟ったサリアは思わず悲鳴をあげた。



 そして10秒。



「あれ? 生きてるです〜〜」

 自分に撃ちこまれる筈だったMLRSを見ようとしたところ、ロケット弾の代わりに別方向からレーザーの閃光が走っていた。

「そこのピンクのPF! とりあえず後退しなさい」

 聞こえた通信でサリアは分かった。
 今の通信の主がロケット弾を撃ち落した事を。

「は、はい! 分かりました〜!」

 サリアは取りあえず下がる事にした。








 

「遅い遅い遅い! 退け退けどけェ! 死ねぇ!」


 サリアと入れ違いに入ってきたマユはクイーンネイルを振り回す。
 無駄な動きに見えて実は計算された刃の軌跡は確実にヌエやロキを破壊して行く。


「一つ! 二つ! 三つ! 猪鹿蝶3連殺!」

 キメ台詞なのだろうか?
 僅か一瞬で20機中9機破壊。一瞬の攻防でである。
 そんなのを相手にしたくないと言わんばかりに残った機体は逃げていった。

「逃げたの? 追おっかな?」

 追撃で一気に全滅させようとした時、後退していたサリアが戻って来たのが見えた。
 モニターに映った顔には納得できないといった表情が出ている。

「幾らなんでもやり過ぎですぅ」

「は? 何言ってるの?」

 マユは意味不明の表情をした。

「敵が卑怯者だからって・・そこまで」

 サリアが文句を言いたいのだがマユは全然理解できていない。
 

 その中で毎度おなじみの救援要請が入った。

「ギブソン中隊がピンチね・・・そこのピンク。オッサン達を助けに行くわよ」

 弾薬が残り少ないギブソン中隊の戦闘力は低い。敵の数が多い中で不慣れな接近戦では危険だ。
 そんな現状をマユは知っているわけではないが、「人助けは良いことだ」とケンに教えられたマユは助けに行こうとしたのだった。

「ちょっと〜まだ話はぁ!」

 それでもサリアはマユに何かを言いたいようだ。
 だが、次のマユの言葉で自分が思っていた事が間違いだったと気付く。

「サリアだったけ? その辺に居る敵パイロットは踏まないように」

「え!?」

 サリアが怒っていたのはマユが「死ね」や「クタバレ」を連発する為に敵のコクピットを完全に破壊していると勘違いしていたからだった。
 実際のマユは敵パイロットを殺していない。
 つまり気分で台詞だけ言っていたのだ。

「あの〜スイマセンですぅ・・」

「は?とにかく助けに行くわよ」

 それ以前に二人の会話は噛み合って居なかったが(まて)













 

「ははは! 待て、待てぇったら☆」

「当たるか・・」

 レンは語尾に☆マークをつけて叫びながらバズーカを放ち、何時もの無愛想な声を出しながらケンが急旋回や急加速で回避する。

「このぉ〜当たらなきゃメ〜だぞ〜!」

「変な声は好い加減にしろ・・・真面目に戦う気は無いのか?」

 普段の自分の事を棚に上げてケンは怒りながらレンのキシンの放ったMLRSをガドリングで撃ち落した。
 言い忘れていましたがケンは大抵はロングレーザーソードで戦っていますがVシールドも装備しており、変形させてガドリングにして使う事が多くあります。

「ったく・・・サンジョウ。少しはギャグって物を知らんのかね? そんなんじゃ女に近寄られんぞ?」

 何時ものキザ的な口調に戻したレンはレーザーライフルをビルの窓に突き刺して盾代わりにしながらケンを狙撃する。
 数発を掠らせながらもシールドに戻したVシールドで防ぎながらビルに肉薄し上昇。

「お前の様にキザ台詞ばかり吐いていても結果は同じだろう!」

 ビルごと両断すると見せかけて、実際はビルを通り越す。
 ライフルが突き刺さっている所為で移動に時間が掛かったレンの先行量産型キシンカスタムの背後に回りこんだ。

「じゃあな!」

「甘いな、残念! ・・・チィ」

 レンはギリギリでキシンを跳躍させて回避させたと思っていたが、左肩アーマーが切断されていた事に舌打ちした。
 キシンよりもスピードで勝るケンのJフェニックスSも跳躍して追撃に迫る。
 それはレンには予測済みだった。

「こっちからも返させて貰うさ!」

 キシンの両肩に装備されたMLRSから連射されたロケット弾が雨のように降り注いできた。
 しかし、ガドリングになったVシールドで迎撃しつつ格闘戦距離まで接近。
 レーザーソードを振りかぶった。
 その時、レンは特殊回線でケンの秘匿通信に強制介入すると小声で呟く。

で、誰が会議場で演説をやるつもり?」



 レンは今回のヴォナンシティへの侵攻は制圧ではなく演説が狙いだと既に感づいていた。
 今開かれている会議では他国へのアルサレア攻撃への協力を求めた物である。
 それに反発する国は多いが、レン達の穏健派と敵対する強硬派と繋がりのあるガルスキー財団の圧力を使えば反発は亡きに等しくなる。
 このタイミングでアルサレアが議会を制圧すればヴァリムに大義名分が手に入る。が、逆に此処でアルサレアが自分達の大義を訴えれば国際世論を動かす事が出来る。反ヴァリム国もガルスキーによって抑えられていたアルサレア援助を積極的にできるのだ。
 つまり、国際世論を動かす為には最高のタイミングなのだ。



「・・貴様が何でそれを?! グワッ!」

 切り裂こうとしたタイミングの最中にレンの言った言葉で動揺したケンは躊躇してしまい、結果としてバズーカの直撃を貰ってしまった。
 バズーカの直撃によって吹き飛ばされたJフェニックスSの先には不幸にもボロボロのビルが在る。
 ドガッシャン!
 ケン機が突っ込むと同時にキシンの砲撃でビルは崩壊した。












 

「外装損傷率は13%・・内部はコクピットに損傷ありか」

 一応は特務部隊の機体と言うだけ合って彼や彼の部隊の機体はカスタムとは別のチューンナップが施されている。
 まして、野性の本能で戦っているケンは激突した瞬間に背後にVシールドを使って壁への機体の直撃を防ぐと共に、崩れてきたビルを防ぐ傘代わりに使っていたので大した損傷を受けなかったのだ。
 だが機体本体は無事だったが衝撃でコクピットの壁に頭をぶつけてしまった。
 更に衝撃で割れたり壊れたりした場所の破片の幾つかが体に刺さっている。
 それなりに出血しているのだ(出血多量レベルだが)。

「奴は俺達の狙いに気付いたようだな・・・だが奴の狙いは何だ?」

 レンと言う人物を今までの交戦を思い出して考える。
 結果として思想と派閥の観念から1つの結論に至った。

「なるほどな・・・そう言う事ならば話は早い」

 そう言うとケンはシートの下に設置してある救急箱を取り出し、中に入れておいた赤い液体の入ったビンを取り出す。
 そして


 ゴキュ!ゴキュ!

 一気飲みにした。

「輸血完了・・・」

 さっき飲んだのは輸血用の血液である。
 ケンは「点滴で時間を掛けて輸血するよりも飲んだほうが早い」として飲んだのだ。
 間違ってでも彼は吸血鬼ではない。
 それ以前に意味が在るのかと言う突っ込みが来るが、本人は血色が良くなった様に見える。(流石は馬鹿!思い込みで回復するとは!)

「さて・・・此処で決着をつけるぞ、レン!」

 瓦礫をVシールドで振り払いながらJフェニックスSは飛び上がった。








 

「いいぜ! 互いに隊長クラスだ。負けたほうの部隊が瓦解するしな!」

 ケンからの通信と飛び上がったJフェニックスSでレンは自分の狙いにケンが気付いたと確信できた。
 レンもケンが其れなりにキレ者と気付いていた為に考えた作戦だった。


「「全機に告ぐ・・・手を出すな(よ)!」」

 二人は自分の周囲に居る部隊に手出しさせないように命令する。
 迫力に負けて周囲に居た他のPF達が離れ始めた。
 更に閃光の爪隊とアイアンメイデン中隊の機体が周囲で戦いを始めて他の部隊が入り込めないように整える。

「いい部下だな・・・」

「そっちもな・・・」

 妨害を排除した二人は少しの距離を離して睨みあう。
 そして、

「「行くぞ!!」」

 鳳凰と鬼神が動いた。





















 

 一方その頃

 国際会議場前



「ちょっとエドさん。周りが囲まれてますよ!」

「ははは! 大丈夫ですって〜」

 フェンナとエドのジープの周りには数台の装甲車が囲んでいる。
 しかしフェンナの叫びとは裏腹にエドはマイペースな声でジープを運転していた。

「どこが大丈夫ですか! これでは皆さんの苦労が・・・」

 フェンナは自分を議会場に行かせるために身を呈して戦っている人達の為にも作戦を絶対に成功させるつもりだった。
 それが頓挫してしまっては顔向けできないほど無念である。
 そんなフェンナの心情を裏切る言葉がエドから出た。

「だって味方ですよ、彼等」

「はいぃ?!」

 その瞬間、装甲車の上部ハッチから出てきた車長と思しき人物たちが一斉にフェンナに向かって敬礼した。

「驚かせてスイマセンな、フェンナ様。彼等は数日前からシティに潜入していた工作員達です」

 通信機越しにヴァイスから説明が来た。
 この作戦を成功させるには議会場内を一時的にも制圧しなくてはならない。
 建物の内部である以上はPFではなく歩兵が必要であったので、歩兵戦闘のプロや暗部の工作員を防衛隊の歩兵部隊に潜入させていたのだった。

「そうでしたか・・・でも人が悪いですよ」

 事情を理解したフェンナは拗ねたように答える。

「はははは〜〜〜」

 だがエドは笑っているだけだった。











 

 国際会議場入り口


 防衛隊に潜入していた工作員達が近くに居たためにフェンナ達は大した妨害も受けずに会議場の入り口まで潜入できていた。
 装甲車から工作員達が完全武装で降り立ち、ヴァイスやシリアも護身武器を持ってPFから降り立つ。

「ゴンベエ君は現状で入り口での防衛を頼む。他は私の指揮の元で議会室に突入する!」

 ヴァイスの指示に次々と他の兵達が自分の用意をチェックさせていく。
 更にヴァイスは続けた。

「言って置くが諸君。命を差し出してフェンナ様を助けるのは良いが絶対に死ぬなよ。そうですね、フェンナ様」

「はい。皆さん、一緒に帰る為にも頑張りましょう!」

 不意にヴァイスに向けられたフェンナだった為に咄嗟に本心を語ってしまったが、それはそれで兵達に堅い結束をもたらしていた。





 

「この一撃は平和のために」

 音も無く入り口の前に居た衛兵の背後に忍び寄ったシリアの手刀が決まり、衛兵達は地面に崩れ落ちた。

「α1、突入!」

「了解!」

 入り口を開けた瞬間、αチームと呼ばれた歩兵達は身を低くしつつ銃を構えながら玄関に転がり込んだ。
 本来ならば最初にスタングレネ―ドなどを使用できれば助かるのだが、下手に騒ぎを大きくして会議を中断させては支障が出るために使えないのだ。

「玄関制圧!」

「玄関制圧了解、オーヴァ!」

 周囲の状況の報告を受けたヴァイスは新しい指示を出す。

「γチームは玄関口での脱出路の確保。他は進むぞ!」

 ヴァイスの指示によって脱出口部隊以外の歩兵達が廊下を進んでいく。
 監視カメラがあれば近くの壁に穴を空けて中に有る配線から偽の情報を流して偽装し、衛兵がいればサイレンサー付き麻酔銃で眠らせるほど徹底的に隠密を重視した動きだ。



 そして進んで行く内に大議会場前の曲がり角で先頭のシリアが停まった。

「ヴァイス大佐。大議会場の前に衛兵が30名です」

 シリアは曲がり角で隠れながら確認した敵情報をヴァイスに報告する。

「ふむ・・・シリア君、この距離ならば無力化は可能かね?」

「可能ですが・・互いの距離が離れている為に通信されるかもしれないですね・・」

 ヴァイスの意見にシリアは難色を示した。
 シリアの腕を持ってすれば並の歩兵が2個小隊でも素手で圧倒する事は余裕である。
 だが、今回は下手に強力な戦闘力を使えば議会への多大な妨害として演説に支障が出るかもしれない。
 可能な限り、穏便かつ不殺で行動しなければならないのだ。

「でしたら僕に任せてください。隙を作りますからシリアさんは攻撃に集中してください」

 後方に居たエドの突然の言葉に反応して、エドを見たシリアやフェンナ達は驚いた。
 しかし、ヴァイスは不敵な笑みを浮かべて命令する。

「よかろう。やって見たまえエド君」

「了解しました〜」

 エドは曲がり角から飛び出た。







 

「ちゃ〜ちゃ〜ちゃらぁ〜らぁ〜ちゃちゃちゃちゃんちゃん!」

 エドは謎の音楽と共に飛び出る。


「な!?」
「馬鹿な?」
「・・・?」
「うそ?」


 エドの姿を見た衛兵達は驚いた。
 何故ならば、


 目の前に現われたのはウェディングドレスを着たエドが現われたからだ


 有り得ない出来事を見た衛兵達は見事に停まった。
 そしてその僅かな一瞬にシリアが駆け抜ける。

「は! せい! しょう! ハッ! しょう!」

 掛け声と共に放たれる手刀や蹴りが入るたびに衛兵達は地面に崩れた。
 一瞬の出来事とは言え凄まじいだろう。
 兎に角、大議会場の入り口を制圧したのだ。

「ではフェンナ様!」

「はい! 最後の仕上げです。頑張りましょう!」

 ヴァイスによって開かれたドアの向こうへフェンナは進んでいった。














 

 9話に続く。




 



 後書き

 え〜冗談に聞こえるかもしれませんが、今回の話は1日で書きました。
 実際、来月からネットが出来なくなるかもしれなかったので9話を先に書いてしまおうとした結果、半分書き終えたと言う所で何とかなりそうでしたので、速攻でサイド3を書きました。
 此処まで引っ張りに引っ張りすぎたので次は9話です。
 下手すると木か金には出来るかもしれないです。
 さて、今回を書いていてケンとレンは馬鹿そうに見えて実はキレ者なんですよね。
 エドは何時ウェディングドレスに着替えたのか?(そっちかい!)
 語られざるレンの秘策とは何なんでしょうかね?
 そして忘れられたタケルとカール(まて)

 では、9話出会いましょう。

 


 管理人より

 神楽歌さんより第8話その3をご投稿いただきました!!

 エド、流石だ(爆笑)

 とまぁ、それはそれとして……今回はマユの戦闘が見られましたね(爆)

 どうやらお忙しくなるようですが……次回も楽しみにしてます!
 


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