お読みになる前に
 今回は今までと違って、結構「殺す」などの暴力セリフや作者の妄想兵器がでますので、気をつけてください









 

機甲兵団Jフェニックス裏史実













 

 終息の灯火

 7話「閃光と鋼鉄」

















 

 閃光の爪隊に救援要請を出したムラキ中隊。
地味ながらも実力は高い彼等が壊滅する事となったのは何故か?





 

 彼岸家宅


「マグロォォーーーー!!」

 ザサエが怒り狂ったかのようにマグロの名前を叫んだ。


「マグロォォォォーーーーーーー!! 出てこぉいぃぃーーーーー!!! コラァァァァァーーーー!!」



 猛獣のような雄叫びを上げている時、玄関のドアが開いた。

「彼岸く〜・・・・」
「じゃかましいわ、このドブス! 引っ込んでろ!」

 マグロを求めて早25年。
 鼻澤(はなざわ)、ザサエの強烈な回し蹴り・足払いキャンセル地獄車で・・・
 その様子を物陰から確認していたマグロは戦慄した。

(くそ! ねーさんめ・・・たかがケーキを1つ摘み食いしたからって・・・のあぁ!)

 いい年こいて(約30歳)摘み食いをするというのはどうかと思うが?
 置いておくとして、マグロは壮絶な殺気を感じて身を屈めた瞬間、数本の包丁がマグロの頭の真上を飛翔して壁に突き刺さった。


「マグロォォォーーー!!」


 マグロの心の声が聞こえたのだろうか? ザサエはマグロを発見して包丁を投擲したのだ。
 その顔は既にキレていると言う次元の問題ではない。


「マグロォォーーーー! テメェ・・・ケーキ食っといて無事で済むと思うなよ!
 死にさらせぇぇぇぇぇーーーーーー!!!!!」


 果たして・・・マグロの運命は・・・・・・















 

 こうして・・・・ムラキ中隊は悪鬼と化したザサエに壊滅させられました。













 

 スイマセン! 大嘘です!(謝)
 こっちが本当です(汗)









 

 ヴォナンシティ・東部



 

「あ〜〜隊長。東部の防衛隊はJファーが8機でC型(Jファーカスタム)が3機にJキャノンが4機。それとJブラスターが2機でJフェニックス2機の隊長用にカスタム機が1機です」
「地味な編成だな・・・指揮官は余程、目立たないタイプなんだろうな」

 カールは自分が眼で見た実情を西部で戦闘中のレンに報告した。
 彼は愛機のラセツECをビルの隙間に潜ませながらムラキ中隊の戦力を偵察している。
 本来ならばアイアンメイデン中隊の一員として西部でギブソン中隊と戦う筈なのだが、隊長であるレンの命令で現在にいたるのだ。

「地味ですか〜〜〜。僕は隊長みたいに目立ちたがりでアバウトで・・・(この後、様々なレンが不真面目だと認めざる得ない内容が長く続いています)な人よりも、地味で堅実な隊長の方が威厳があって良いと思いますね〜」
「・・・」

 段々とレンは悲しくなってきた。
 慣れたとは言えカールの毒舌には容赦が無い。以前の隊長達に本気で同情してきた。

「そんな事より良いですか?」

 カールは毒舌とレンの哀愁を「そんな事」で一蹴した。

「とりあえず聞くが、何だ?」
「僕は何時まで此処に居るんですか?」

 カールは偵察任務など、さっさと切り上げて戦闘に参加したいのだ。
 ギャグ中心で忘れられていたが彼の心にはアルサレアへの復讐心がドス黒く満たされている。
 しかし、レンは聞かれる事を予想していたのか答えを用意していた。

「偵察ってのは簡単そうに見えてムズイのは知ってるだろ? 此処の防衛隊にンナ器用な事できると思うか?」

 カールは言葉を返せなかった。



 

 偵察は簡単そうに見えて難しい。
 敵の勢力範囲に進入して情報を得るのだから危険なのは勿論、情報を手に入れても伝えられなければ無駄になる。
 さらに例を挙げて言えば要塞の偵察で防衛部隊の配置情報を持ち帰っても、その情報を持ち帰る前に敵に見つかれば   配置を変更されて意味をなさなくなるだけでなく、最悪の場合として此方の攻撃時期や場所を読まれてしまうのだ。





 

「つ〜訳で・・・もう少しで東部の防空基地の援軍もこっちに着く頃だと思う。そっちに一個中隊を送ったから防空基地の援軍の戦闘を合図にして、おまえが指揮して突破しろ」
「りょうか〜い」

 カールの声はヤル気が感じられない。
 要は「こっちで強い奴は引きつけてやる、だから命令があるまで待ってろ。それから足手纏いと一緒に攻撃開始」なのである。



 3分経過



「さて・・・そろそろ良いかな〜」

 カールはラセツECのコンバットシステムを戦闘レベルまで上げる。
 先の3分間の間は言い訳を考えていたのだ。
 此方に向かってきている援軍に一方的に通信を送った。

「これから単機で奇襲するんで、到着次第に攻撃に移ってください〜」

 有無を言わせずに通信装置を切る。
 そのままラセツを跳躍させた。













 

 カールが命令無視をして奇襲を狙っている頃、

「隊長。周囲に敵影は無しです」
「わかった・・・警戒を怠るなよ」

 ムラキ中隊は暇を持て余しつつ、それでも任務を忠実にこなしていた。

 仮に閃光の爪隊ならば、このような状況の場合は最初の数分は真面目に警戒しているが5分もすれば確実に放浪癖を出す馬鹿(ケン)や女性が居ないか探そうとする馬鹿(コウスケ)、遠くにいる人に思いを馳せている輩と彼を求めて争奪戦を繰り広げる者達(タケルと4小隊)など任務を忘れてしまうくらいである。

 彼等とて虚しくなくは無いが根が真面目なのだろう。
 その時、ムラキに副官が通信を入れてきた。

「隊長、提案があります。我々の一部を西部に送りましょう」

 その言葉にムラキは賛成するべきか迷った。
 副官の言い分は分かる。自分達が安全にしている(無視されている)間にもギブソン中隊やグレン小隊が必死に戦っているのだ。
 しかし、仮に此処から自分達の戦力が他の方面に向かったのを見計らって突破しようとしている可能性も否定できない。断じて自分が行けないからと僻んでいる訳ではない。

「隊長! レーダーに反応、敵が来ました!」

 突然、味方機が通信を入れてきた。

「各機、レーダー及びWCSをリンク! 1小隊と2小隊が前衛、残りが後衛だ」

 ムラキは的確に指示していく。
 さらに報告が続いて来た。

「敵数・・・1機? 敵はラセツが1機です!」
「何だと?!」

 別にムラキが驚いたのはラセツが相手だからという訳ではない。
 敵が1機だけという理由であるからだ。
 そしてムラキ中隊の視界に一機のラセツが映った。





 

 当然であるがムラキ達に見えるのだからカールにも見える。
 カールの視界にはムラキ中隊の機体が陣形を組んで攻撃態勢に入っている。
 驚きはするが冷静に対処はしているようだ。

「前衛が8機に後衛が12機か〜地味で堅実な人ですね」

 そう言うカールであるが目は真剣である。

 地味で堅実と言うのは面白みが無いと言う意味であるが、純粋な潰し合いの闘いでは最も有効である。
 地味であると言う事は目立った所が無い分、突飛した部分が無い為に弱点が見えにくい。
 堅実である以上は並大抵の反撃ではビクともしない。

 目立たないが実力は決して低くないのがムラキ中隊である。
 しかし相手がカールの駆る特機「ラセツEC」であったのが不味かった。

「早速だけど電子攻撃ウェーブの実験になってください。代金は旅行券です、地獄逝きですけど」



 

 カールの言う電子攻撃ウェーブとは両肩に装備されているエキスプロードウェーブを改造した電子攻撃ユニットである。
 放たれた電磁波に触れた瞬間、操縦系に様々な暴走が引き起こされる。例えばOSの操縦部分にバグを作ってパイロットの意思に反した操縦をさせたり、計器類に偽の情報をもぐりこませるのは勿論、WCSの完全掌握なども出切る優れものである。
 だが欠点もある。
 上記の3つを任意で選べるが一個ずつしか発動できず、さらにヴァリエーションも上記しかないし、挙句は敵味方の見境無しと来てる。トドメと言わんばかりに使用中は機体を動かす事は出来ず移動も攻撃も不可能なのだ
 集団戦ならば使い道は在るかも知れないが現在は個人戦であった。





 

 そんな欠点が有る代物をカールは何も考えないで使うつもりは無いらしい。
 両肩のエキスプロードウェーブ改を起動させて地面に足を固定しつつ範囲と効果を設定。
 そうしている間にもムラキ中隊の前衛のJファーやJフェニックスが接近してくる。
 普通ならば混乱してミスる人もいるがカールは動じない。
 モニターをズームアップすると後衛も狙いを絞っている。おそらくカールが何かを狙っているのを感じて前後同時攻撃で一気に片付けるのだろう。
 それがカールにとってムラキ中隊崩しの狙いとは知らずに。
 そして遂にカールは電子攻撃ウェーブを照射。

「目標・・・全機侵入成功! 乗っ取りも成功〜」

 次々とムラキ中隊のPFが気づかれる事無く侵食されていく。
 カールの策は攻撃ギリギリで暴走を発動させるから今は潜伏状態にしている。

「さて〜ばれるかな? 隊長みたいに間が抜けてたらバレナイけど」

 口調こそ普段通りだが内心は防衛プログラムに妨害されるかどうか緊張していた。
 そして、ムラキ中隊後衛の援護射撃が放たれた。攻撃の合図である。
 Jブラスターのバスターランチャーやムラキ機のプラズマライフル、Jキャノンのグレネードが放たれた。


 ズダァーン! ビュン! ヒュン! ヒュン!

 無数の砲撃が次々と着弾。
 一瞬にして機体を葬った。

「馬鹿な!?!」

 ムラキは現状に驚いた。
 後衛の射撃技術は高レベルなのであろうか、見事なまでに前衛を全て破壊していた
 種明かしとしては後衛のWCSを掌握して攻撃の瞬間に前衛にロックを変更しただけだ。
 彼の電子ユニットでは此れが限界であるが受けたムラキ中隊にとっては洒落になっていない、一瞬にして戦力の4割を失ったのだ。






 

「さ〜て〜行きますか〜」

 一瞬で8機のPFを破壊した今が最大の攻撃のチャンスである。
 ブースターも併用して斜め前方へ跳躍。ビルと言う密林を抜け出して後衛を見渡せる高度まで上がった。
 カールの耳に警告を示す音がスピーカーから聞こえてきた。

「意外に冷静ですね〜隊長にも見習って欲しいですよ」

 味方を撃破してしまったという混乱の中でも辛うじて反撃に映ってこれる冷静な奴がいたことに対するカールなりの賛辞である、比べられたレンが哀れだが。

「消えたラセツ!」

 意味不明の言葉を上げながらカールは瞬間転移を発動。ラセツECは霧のように霧散した。
 そして強引にロックを外されたムラキ中隊のPFは更なる混乱に陥る。

「どこだ?! 各機、レーダーを全開にして策敵せよ!」

 それでもムラキは指揮官としては一流の部類に入るのだろう、自らの混乱を最小限に押えて指示する。
 そして、

「こんばんは〜もしくはこんにちは〜」

 ラセツはムラキ機の正面に現われたのだ。
 カール転移先設定を敵の正面に現われると言う何気に危ない場所に設定していた。
 突然の奇襲にムラキは反射的に反撃を試みる。

「何だと!?」
「遅いですよ〜スロ〜リ〜」

 出だしの早いツインバルカンがラセツに数発だけ突き刺さったが、結局は数倍の威力のキャノンがムラキ機に直撃した。

「後で会いましょう」

 被害は甚大だったがムラキ機が未だに戦闘可能だと判断するとカールは急いで距離を置いた、無理にトドメを刺しているうちに別の機体に攻撃されては面白くない。
 距離を離しつつ比較的動きの遅いJキャノンに接近。
 ムラキを楽に葬ったラセツにJキャノンのパイロットは恐怖した。

「ウァァァァーーーー!」
「チャカを狙う時は腰を据えて落ち着かなきゃメーですよ」

 グレネードやロケット弾を交しつつ肉薄、そしてパンチ。
 Jキャノンのメインフレームの中央部、コクピットにラセツの腕が突き刺さっている。

「これが死ぬってことですよ・・・僕の友人にもキミにも・・・そして何時か僕にも来る」

 ひと時の悲しい表情の後、何時もの笑顔に戻る。

「さて〜何時も通りに皆さんには逝って貰います」

 そう言いながら今度は支援武装をしているJファーカスタムに狙いを定めた。
 牽制の為にサブマシンガンを連射してくるがカールの勢いを止めるには全然足りない。
 先に撃破してあったJキャノンを盾代わりにしているのだから当然だ。

「本当に戦いを辞めるつもりは無いんですか〜嫌でも辞めてもらいますけど」

 盾にしていたJキャノンを投げつける、投げてこられたJファーカスタムは反射なのだろうか避けてしまった。
 そのタイミングを逃す筈も無く、ラセツの接近を許してコクピットをアームが貫通した。
 相手を倒した事を確認したカールは殺気を感じた。


「どうして戦争を終わらせる邪魔をするんだ!」

 生き残り組みのJブラスターに乗っているパイロットが悲壮を込めて叫びながらレーザーソードを振り上げて接近してくる。
 Jブラスターのパイロットは今回の演説が戦争終結のカギになると信じているからこそ言えたセリフだ。
 そんな事を知る由も無いカールは関係無しと言わんばかりに答える。

「でもアルサレアの戦闘員が全員居なくなっても終わりますよね?」

 そう反論しながら、何と回転バックジャンプを敢行。
 後から斬りかかったJブラスターの後に逆に回りこんだ。
 攻撃の前にカールは呟く。

「だったら邪魔にはならない筈ですけど?」

 その言葉を聞く前にJブラスターのパイロットは絶命していた。

「人が少し死んだくらいで戦争が終わるんでしたら良いですけど、そんなに都合良くいきませんよ・・・」

カールはアルサレアの狙いが議会場に居るヴァリムの偉い人を暗殺する事だと思っている。 

その言葉は諦めきった声だった。



 カールが敵兵を生き残らせない理由。
 それは敵兵を全て無くす事で反撃させる力を排除する事で戦争を続けさせられなくすると言う考えがあった。
 そうすれば、戦争は終わるし味方の被害も減る。
 これ以上仲間を一人も失いたくないのだ、そんな気分はスイゲツを失った時に嫌と言うほど思い知らせれたから。
 無論、敵を生き残らせないつもりだから生き残った敵の関係者達に恨まれるだろうが、他の仲間が恨まれて苦しむよりも自分が苦しむのなら安いものであると考えている。
 それしか自分に出切る事は無いと思っていた。





 

「こちらシティ守備隊です。援軍に・・・うわぁ!」

 カールの耳に遅れてきた援軍の声が聞こえた。しかし、今の光景を見て驚いている。

「どうしたんですか?」
「いえ・・・私達が来る前に此処までになっているとは思わなかったもので」

 壊滅状態のムラキ中隊を見て国際軍東部増援隊のパイロットは驚愕と共に徹底的に破壊するラセツのパイロットが凶暴な人だと思って通信するのが恐くなってしまったのだ。
 だが、カールの顔と声を聞いた時に間違いだと分かったようだが。

「そうですか〜お願いがあるんですけど良いですか?」
「何ですか?」

 カールの礼儀正しい態度に隊長格のパイロットは答えてしまった。
 どちらにしてもカールの指示に従えと言う命令がきているのだから従うしかなかったが。

「僕は此れから此処を突破して議事堂に向かうんで生き残りの相手をお願いしますね」
「な・・・私達は貴方の命令にしたが・・・「プッツ」

 隊長格の人は礼儀正しいが余り有能と言うわけではないのだろう、カールは判断して通信を強引にきった。
 もはや押し付け同然であるが此れが軍隊名物「理不尽な命令」として理解して貰おうと思っていた。

「今度はグレン小隊ですか〜」

 遥か前方で戦闘している最強部隊にどう立ち向うか考えながらボロボロのムラキ中隊の陣地を突破した。
















 

 時間を6話の終わり頃に戻す。



 ヴォナンシティ北西部



「そういう事だ・・・今、敵援軍の1個中隊と戦闘中だが此方の被害が大きすぎて追撃を送れそうに・・・ちィ! ・・・心配するな。今のは敵の攻撃を避けただけだ。スマンが御前たちで追撃を出して欲しい。頼む!」

 そう言ってムラキは通信を切った、もしくは切らざるえなかったのかもしれない。
 大まかな自体を推移をムラキから送られてきたデータで判断したタケルの行動は早かった。

「俺が止めに行きます!」

 完全に行く気満々である。
 タケルは徹底的に相手の命を容赦なく取るパイロットに憤りを感じていたのだ。
 高速飛行の為にウイングを展開して跳躍しようとした時、ケンが通信を入れてきた。

「標的のジャミングは取りあえず無視しろ! 予想だが、機体の電子妨害で防げる筈だ。ついでだが広いところで戦え! ビルの合間から死角に回りこまれると殺られるぞ!」

 止める様な事をしない。今まで(紅き翼編)の付き合いから性格的に助けに行こうとすると分かりきっていたからだ。

「了解! ウォォーーーー!!」

 簡単なアドバイスを頭に覚えさせてタケルのJフェニックスSはビルの真上を飛行していった。







 

 残った閃光の爪隊の面子も西部に向けて移動を早める。
 タケルを誰も止めなかったのは謎のラセツの脅威も重要だが、西部での戦闘も重要だと判断したからだ。
 移動している最中にシオンがケンに話し掛けてきた。

「その様子だと、貴方も行きたかったんじゃないですか?」
「どうだか・・・」

 答えたケンの本心は本当は自分が行きたかった。強いラセツと戦える事もだが、面倒な奇策を取る厄介な敵と言う不安要素もある。グレン小隊の防衛地区に深い影響を与える可能性が大きいのだ。
 とは言うが西部の状況も楽観できない。似たような敵が西部にも居ないとは限られないし、事前情報には軍師と呼べるほどの指揮官はヴォナン地区の司令部に居ない筈でありながら此れだけの策を取る奴がいたのだ。
 おそらく西部で戦っているヴァリムの出向部隊の指揮官だろう、都合良く心当たりがあるのだ。

「奇策を持つ敵には一直線な馬鹿に当たらせるのが有効だろ?」
「とか何とか言って、本当はタケル君の成長を楽しみにしてるんでしょう?」

 又も本心を当てられた。
 ケンはヤバイと知りつつも反論する。

「だな・・・少なくともアイツの近くならば暇は少ない。それに此処の奴等の指揮を押し付けさせるには後少しは成長してもらわなければ困るしな・・・」

 馬鹿にしているのだか褒めているのか分からない答えである。
 ついでに言うならば、タケルの他にエヌスにも目をかけている。何時もの無理難題がイイ例だ。

「それで副隊長とタケル君の穴はどうします?」

 マユが通信に割り込んできた。
 この部隊は不真面目だがギリギリのラインは保たれているのだろう。
 ケンは少し考えながら喋りだした。

「取りあえずコウスケはバックなら使えるだろう・・・タケルの分は俺が本気で動けば良い訳だ。そん位だな」

 その内容にマユは少し悔しそうだった。せっかく邪魔な副隊長とタケルが居ないタイミングだからスラッシュ小隊に配属されると期待していたのだからである。
 ちなみにマユはスラッシュ小隊に配置換えされる事を常日頃から狙っており、コウスケとタケルの席を狙っていた(シオンは女性として尊敬しているため除外)






 

 そうこうしている間にも西部地区の爆発やレーザーの閃光が見えてきた。
 ケンは気を引き締めて叫ぶ。

「さて・・・突っ込むぞ!!!」

「「「「了解!!!」」」」


 19機のPFは速度を全開にして突撃しだした。















 

 西部



 ギブソン中隊への援軍として国境線から駆けつけた部隊のJファーカスタムに1機の先行量産型キシンのカスタム型がほぼ一方的に攻撃している。

「ふむ・・・意外に粘るな」

 激しい機動を繰り返しながら砲撃しつつ戦況を確認していたレンはつぶやいた。



 彼の言う「粘る」の対象はアルサレア軍と国際軍の部隊両方をさしている。
 2.5個中隊(ギブソン中隊は弾薬不足のために戦力が半減)対3個大隊(+1個中隊)ヴァリムと国際軍の連合側の方が数は圧倒的に多い。それでもアルサレアの方が練度は上らしく、連合側が優位を確保しつつもトドメを刺せないでいた。



 Jファーカスタムは反撃しないのではなく出来ない。ロックが簡単に外されてしまう。
 そしてレンのキシンのMLRSから計12発のロケット弾が撃ち出される。

「1機撃破っと・・・次ぃ!」

 目の前のJファーカスタムを両肩のMLRSで破壊した後に味方機に握りこぶしに親指を突上げたポーズを取って知らせた。
 今度は部下と交戦しているJファーバルカンに狙いを定める。


「俺も混ぜさせてもらうぜぇぇーーー!」

 叫びながらキシンを走らせる。重機動型といわれる機体の先行量産型だけあって重武装をものともしない推力で動きまくった。
 翻弄されるJファーバルカンも反撃する事は出来ない。



 バリぃ、ベキィ、パキィ!


 レーザーライフルやバズーカの砲撃が次々と至近距離で爆発や掠り、Jファーバルカンの装甲が悲鳴を上げる。


 プシュゥ〜〜〜〜


 耐え切れなくなった全身から黒煙を噴出して倒れた。
 今度は片腕を天に向かって突上げて決めようとした時、部下が通信を入れてきた。

「隊長! 北東に敵影です・・・機動力中心の編成です!」

 部下の報告を聞いた時にレンは誰だか予想が付いた気がした。
 彼の予想通りの奴ならば、この作戦に参加させられない訳が無い。
 そしてセオリーが通じない奴だとも直感で分かった。
 直ぐに自分の近くで戦っている部下に通信を繋ぐ。

「オメェら! 今すぐ飛び上がれ! 早く!」

 珍しくレンの真面目な声を聞いた部下は何事かと思いつつもジャンプやブースターで飛び上がった。
 そして部下達はレンに感謝する事にした。


 ズダダダダダだ!


 彼等が居た地点に多数の銃弾が撃ち込まれた。
 犯人は直ぐに見つかった、紺色のJフェニックス。つまり隠密制強化型のJフェニックスSである。彼等はステルス性を利用した奇襲を掛ける為に先行して来たのだ。

  レンは先頭に居るJフェニックスSの肩のエンブレムを見て誰だか判断できた。
 それは奇しくも当のJフェニックスSのパイロットもレンのエンブレムを見ていた。
 そして両方とも叫んでいた。




 

「健康の爪隊!」
「アイアンメイド中隊!」









 

 おまえ等バカか?(汗)

 一瞬だが時が止まった。(笑)







 

 レンに間違えられた事に怒ったのか、先頭に居たケンが強引にレンの機体に通信を送りつけた。

「誰が健康だ・・・俺達は針治療ならぬ爪治療なぞやるつもりは無いんでな・・」

 確かに爪治療なる物が在りそうな気もするが関係は無いだろう。
 そして受け取ったレンも相変わらずキザったらしく、だが怒った文面の通信を返した。

「俺達はアリスやリリスなぞ装備していないぞ! 第一、そんな趣味はアルサレア参謀本部長の趣味だろが!」

 確かにアイアンメイドならばアリスやリリスが該当する。って言うか、一歩間違えばトンデモネェ作品になってしまう。

 だがゴルビーの趣味は事実として認めていた。



 

 そうしている間に閃光の爪隊の残りが到着。
 フザケタ会話にはケンの時間稼ぎが仕組まれていたのだ。(ウソ)
 到着したのを確認したケンは何時も通りの口調に戻してレンの機体に通信を送る。

「・・・レン。いい加減に縁を切りたいのでな。此処で終わらせる!」
「それはこっちのセリフだっつ〜の! 俺もお前の無愛想面は見飽きたんでね!」

 レンも返す。二人の表情は何時に無く真剣である、近くにいれば知覚できる位のライバル関係だけあって長い間戦ってきたのだろう。
 お互いに決着をつけようとしているのが分かるぐらい気迫を出していた。

 一瞬の静寂の後、


「ハァァぁーーー!」

 先に動いたのはケン。
 ケンは右腰あたりにロングレーザソードを後ろ向き・・・刀を鞘に入れている態勢でレンの機体に突撃。
 レンも正面から受け止めようとしているのか動かない。
 そしてケンの攻撃範囲にレンが入った時に二人は動いた。

「斬る!!」

 ケンはロングレーザーソードを横薙ぎに居合い切りを放った。全身をフルに使った一撃は恐るべき範囲に斬撃の輝石が残る。

「いいぜぇ! それぐらいやらなきゃ面白くネェしな!」

 だがレンはケンの一撃をジャンプで回避していた。ギリギリまで動かなかったのは見切るためである。
 更に飛び上がりつつ地上のケンに向けてレーザーライフルとバズーカを交互連射。
 ケンも反応して後に回避する。
 そして砲弾が地面に着弾した瞬間、3つの轟音が発生した。


 

「「各機、攻撃開始!!」」


 ガラガラガラ、ガッシャァァーーーーン!!

 チュドドォォドォォォーーーン!







 

 一つはレンとケンの攻撃命令。
 二つ目は最初のケンの居合がビルを両断していた為に崩れ落ちた音。
 三つ目はレンの砲撃が地面をえぐった音である。


 

 そしてそれが激闘を始めさせる鐘であった。










 

 第8話に続く


 



 後書き

 こうしてムラキ中隊はザサエさんの猛攻で壊滅しました(笑)
 スイマセン! 冗談です
 前半のボケと中盤のシリアス、そして後半のボケのミックスが私を蝕みました(笑)
 それにしても、ようやく忘れられていたカールの戦闘が書けましたよ(長かった・・)
 そして当初はライバル関係のくせに、そんな描写が一度たりとも出なかったケンとレンの戦闘も始まりました。って言ってる傍からJ2の発売で執筆速度に異変が!

 上の暴言は捨てておくとしまして、次から2〜4話位は同時進行で話が進んでいくと思います。大まかに言えば「サイド○」ごとに同時に進んでいる設定です。

 と言うわけで、次は何時頃になるか分かりません!(おい)
 では




 設定


花澤さん:マグロ一筋に不動産屋の娘。現在は大企業の秘書をする一方で、その企業を陰で操っている。


電子攻撃ウェーブ:オリジナル
読んで字の如く、ラセツECから放たれる電子攻撃の名称です。
電磁波の波に触れている間は劇中に説明された3つの暴走のどれか一つが引起されます。


瞬間転移の転移場所って変更できるのか?:ゲーム内ではできませんが、この作品中では出切ると仮定しております。


軍隊名物「理不尽命令」:これは今は分かりませんが昔は結構有ったと思います。
現に第2次世界大戦の頃、日本の作戦に(かなり略してますが)「日本人は草食だ。周りが山だから山菜や草を食べて進め」と言う食料の現地調達を前提とした補給無視のバカ作戦がビルマで行なわれました(インパール作戦だかジンギスカン作戦のどちらかの名前)
無論失敗ですが


ギリギリで保たれている:閃光の爪隊がマトモな部隊かどうかのライン。多分、不真面目に見えるのはケンの所為だと思うが。


ケンとレン:当初(昔書いていた奴)ではライバル関係でしたが、それをボケて消してしまったので(爆)ここらでライバルらしくた戦ってもらおうと思い書きました。

 


 管理人より

 神楽歌さんより第7話をご投稿いただきました!!

 ……ムラキ小隊、哀れ(爆)

 そして遂にタケルとカールが……
 


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