お読みになる前に
今回は今までと違って、結構「殺す」などの暴力セリフや作者の妄想兵器がでますので、気をつけてください
ヴォナンシティ・北部
ズドォォーーーーン
上空から青と白で塗装されたフェニックスが舞い降りた。
「降下地点に敵影無し!」
パイロットであるグレンリーダーはレーザーマシンガンを構えながら周囲を警戒しつつ、これから降りてくる仲間達に連絡を送った。
「了解した。フェンナ様、着地に備えてください」
そう言いながらヴァイスも着地し、シリアやギブソン、ムラキ達も次々と降下してきた。
そして、殿を務めていた残りのグレン小隊員たちも降りてくる。
「こちらアイリ。着地に成功!」
黄色のJファーカスタムが降り立つと同時に騒ぎ声が聞こえた。
「イィィーーーヤッホォォォォーーーーーー!!!」
キースである。
そして・・・・
ズガガッシャァァーーーーーーーーン!
毎度の如く着地に失敗した。
「いやぁ、失敗失敗」
それでも機体の損傷が無いのは神業に近い。
そして毎度の事の為に誰も労わらない。
愚痴の一つでも言った方が良いんじゃないのかと思ったキースが何かを言おうとした時、
「すみません! すみません! すみませぇぇーーん!」
ズガガァァーーーーーん!
キースの僅か1cm前にXハンマーが落ちてきた。一歩間違えれば「さようなら」である。
そして、落した本人であるサリアも無事に降下してきた。
降りてきたサリアは尚も謝っている。
「サリアちゃん・・・頼むぜぇ〜」
怒るべきなのだが、今のサリアに怒る事は出来ようか?
下手すると彼女のファンクラブからの報復が予想される。許す事しか選択肢は無いのだ。
「私的には逝って良し! 何だけどね」
アイリが付け足すように言った。
それに応じてキースも何かを言い返そうとしたが都合良くゴルビーが通信を入れてきた。
「諸君。無事に降下できたようだな・・・以後の指揮はワシが直接執る」
衛星軌道上にあるメテオゼロからの通信は良好だった。
兎も角、流石にフザケ過ぎた事に反省したのかアイリもキースも真面目に聞いている。
「ギブソン中隊は西部、ムラキ中隊は東部の防衛を頼む」
「「了解(ゾイ)」」
ゴルビーは更に続けた。
「ヴァイス隊はグレン小隊の護衛の下、議事堂に向かってくれ・・・途中、グレン小隊は議事堂の前方で防衛ラインの構築を頼む」
「「了解」」
そこまで言ってゴルビーは締めるように言った。
「各自の健闘を祈る」
行動に移ろうとした時、グレンリーダーがサリアに頼むように命令した。
「サリア。すまないがギブソン達と一緒に戦ってくれないか?」
「はい〜? どうしてですか〜?」
サリアは唐突な命令に意味を理解できないでいる。
「ギブソン達の中隊は主に砲戦を主体としているのは知っているよな。今回市街戦である以上、接近戦に持ち込まれる可能性もある」
ギブソン中隊は装備を近接戦仕様に換えてあるとは言え本業が砲戦である。
アイリは格闘戦が得意とは言え突撃が主体である。それを踏まえてサリアに頼んだのだ。
「えっとぉ〜」
「サリア、ファイト! 貴女なら出来るわよ」
悩んでいる所にアイリの激励の言葉がきた。
「先輩! 私頑張ります!」
さすがアイリラブの彼女。一発で迷いは吹き飛んで承諾した。
「よし・・・行くぞ!」
「「「了解!」」」
4機のPFは動き出した。
ヴォナンシティ・中央通り
そんな訳でグレン小隊とヴァイス隊はヴォナンシティの中央を駆け抜けていた。
予想された事だがシティの防衛隊と戦闘になっている。
Jフェニックス副座型の放った斬撃がロキを切り倒した。
「フェンナ様、体調が芳しくないのでしたら言って下さい」
ヴァイスは波の様に押し寄せてくるロキとヌエの大群の相手をしつつ、同乗するフェンナの体調を気遣った。
「大丈夫です・・・私の事は気にしないで下・・・さい」
そう言うフェンナであるが流石にヴァイスの高機動のGの前では辛い物があった。
本来ならば数秒で突破できるのだが、それでフェンナを壊してしまっては意味が無い。
「ゴンベイ君! 少し速度を落とすぞ」
ヴァイスの指示にゴンベエは両腕に装備しているアームドシールドを構えてヴァイス機を守るように併走し始めた。彼の役目はヴァイスの盾になる事である。
念のために付け足しておくが彼は無口ではない。作者がセリフを与えないだけだ。
ゴンベエが盾になっている間にヴァイスはサブマシンガンで近くの敵を迎撃した。
本来は牽制程度の武器であるがヴァイスが使えばバズーカと同じくらいの働きをする。
その頃、シリアとエド、グレン小隊はヴァイスへの敵の接近を防ぐ為に戦っていた。
「キース! 正面、1200にロキとヌエ!」
グレンリーダーが空中で見つけた敵にキースがバスターランチャーを発射した。
緑の閃光が走り、消えた後にはロキとヌエの残骸が転がっている。
「にしても、主力がヌエとロキだけだが数は馬鹿だぜ」
迎撃に向かってきた国際軍の主力がヌエとロキである事に対するキースの感想である。
市街戦である以上、防衛する側は被害の為に下手に火力を使うわけにはいかない。故に重火力攻撃型のタルカスやアシュラは配備されていない。
だからと言って高速型のイリアやオードリィでは障害物(ビルや車など)が邪魔で速度を出せない。
ヴェタールの防御力やカルラの空戦能力が有効とされるが廻すほど生産数が足りない。
それ以前に非戦闘地域に高性能機を回す意味があるのだろうか?
と言う訳で国際軍の主力はヌエとロキであった。
その当然の判断によって苦戦を強いられているヌエに一機のJフェ二ックスが急接近する。
「はぁぁーーーーハッ!!」
シリアの掛け声と共に放たれた抜き手がヌエのボディを貫いた。
「いっくぞぉぉーーーー!!」
アイリのJファーカスタムの真空飛び膝蹴りがロキの頭部を吹き飛ばした。
その時、飛び膝蹴りの硬直を狙ったロキ3機がアイリに向かってきた。
動き自体は大した物ではないが3方向一斉と言うのは厄介だ。
「アイリさん! 伏せて!」
シリアの言葉に反応して身を縮めたアイリ機の上をシリアのフェニックスが飛び蹴りで飛んで行く。
一機に蹴り打ち込んだ瞬間、そのロキを足場にして三角飛びの要領で別のロキに蹴りかかって行く。
僅か数秒の間に2機のロキが撃破されて残ったロキは混乱し、態勢を整えたアイリに結局破壊された。
「どうもです、シリアさん!」
お互いに生身の格闘を究めた猛者だけあって相性は良好のようだ。
二人がコンビネーションで戦っている頃、残った5人も激闘状態だった。
「隊長、そっちにヌエ4、ロキ2!」
「任せろ!」
キースの言葉にグレンリーダーはフォースソードを構えて肉薄。
程なくして残骸が出来上がった。
議事堂に向かっている戦力は約2個小隊。対する防衛隊は2個大隊。
全てを相手にしているわけではないが数だけは無駄に多い。
何よりフェンナが乗っている為にヴァイス機の速度と戦力が低下している。
それが敵が集中して来る原因の一つにもなっていた。
不意にエドの目の前に指揮官とおぼしき人物がジープで指揮をしているのが見えた。
(・・・・!)
エドは突然に愛機Jボレーのコクピットハッチを開けた。
「エドワード君!?」
グレンリーダーがエドの行為に驚く。戦闘中にコクピットを開けるのは自殺行為だ。
驚いているグレンリーダーやキースを尻目にエドは叫ぶ。
「ちょいやぁーーーーーーー!!」
謎の奇声と共にエドは飛んだ!
言って置くが空を飛んでいるわけではない、ジャンプしただけだ。
その矛先には先ほどのジープがある。
「なんだ・・・あれは!???」
エドを直視したジープの指揮官は我が目を疑った。
飛んでいる事よりもエドの服装である。
作務衣の上半身に袴姿の下半身!
それも袴は卒業式に女性が着るタイプである。
「うごはぁ!」
指揮官は落ちてきたエドのニーキックを顔面に受けて気絶。
ドライバーも反応するよりも前にエドに撃たれていた。
一瞬にしてジープを支配下に置いたエドはヴァイス機に繋ぐ。
「ジープを一台確保しました! フェンナ様を此方に」
「フェンナ」と言う重りを無くす事でヴァイスが本気を出せるようにしようとした事と、もう一つは人型の為にPFの揺れは通常車両よりも激しい、そう言う面でもジープの方がフェンナには都合が良いのだ。
「ではフェンナ様、これにて!」
エドにフェンナを渡した後のヴァイスは凄まじかった。
低威力の筈のサブマシンガンが火を噴くたびにロキに大穴が開き、ヴァイスが走るたびにヌエが二つに両断される。
ゴンベエの存在感は激減した。
「ヴァイス大佐、我々は此処で防衛戦を張ります」
部隊機動力が上昇した事でグレン小隊の持ち場に到着したのだ。
グレン小隊の3機はヴァイス達に敬礼すると反転。
追いかけて来るPF達に向き直った。
その様子を見ていたフェンナは思わず叫んだ。
「私も頑張ります! 皆さんに負けないくらい頑張ります!」
精一杯の仲間への応援だった。
西部
グレンリーダーやヴァイス達が議事堂に向かっているころ、サリアやギブソン達の西部も激しい戦闘を繰り広げていた。
ドガァーン! ヒュン! バギュン!
ギブソン中隊の砲撃は人海戦術をとるシティ防衛隊の猛攻を塞き止めていた。
グレネードやキャノンの豪雨に防衛隊のヌエ・ロキも砲撃で返すが、ビルや堤防の盾により射線が通りずらい。
運良く砲撃の嵐を抜けた防衛隊のPFも居たが、
「お覚悟を!」
Xハンマーの横薙ぎをストレートに受けたロキは空中を舞った後、骨格が有らぬ方向に捻じ曲がって地面に落ちた。
今度は無謀にも正面からサリアに接近戦をかます愚か者が居た。
「先輩直伝なんだからぁ!」
ミカムラ格闘術にハンマーがあるとは思えないが無視しよう。
兎に角、そう言って機体ごとハンマーをスピンさせる。
そして竜巻となったサリアに激突したロキは星になった(合掌)
その地点に向かう影・・・
「思ったより出来る連中だな・・」
オペレーター室から入ってくる情報に目を通しながらレンは冷静に実力を評価した。
性格はキザでアバウトな性格であり不真面目な奴であるが戦闘だけは別の男である。
数秒間黙考し、通信のスイッチをONにした。
「シティ防衛隊に告ぐ! 貴君らは現戦線より一時後退せよ!」
傷付いた友軍を助けると言う建前で、本音は雑魚に足を引っ張られたくないと言う判断だ。
レンの後退命令に防衛隊は我先にと後退する。
だが、隊長クラスの連中は別の意味で踏み止まろうとしていた。
「し、しかし! 下がっては命令違反に・・・「指揮権は俺が委任されている! 下がれ!」」
命令違反で処罰される事を恐れている隊長にレンは一喝した。
指揮権の委任に付いては、良識的な判断が出来る数少ない司令部要員の尽力で得ていた。
彼等にとって邪魔な部隊が消えた事を確認したレンは武器の安全装置を外す。
「さ〜て・・・アイアンメイデン千本針の刑! 破れるもんなら破ってみろや!」
アイアンメイデン中隊のヴェタールやロキに搭載されているMLRSやレールガン、バズーカが一斉に火を噴く。
針の変わりにミサイル・弾丸・レーザーの暴風がギブソン中隊を襲った。
「きゃあぁ〜〜〜〜〜」
暴力的な砲撃にサリアは混乱した。
その時グレン小隊で戦った経験とアイリの激励が脳裏によぎった。
「ええぇ〜〜〜い!」
轟!
サリアは手で持っていたXハンマーで近くのビルを粉砕した。
ガスガスガス・・・バンバンボァン!
崩れ落ちたビルの多数の破片が彼女に向かってきた砲撃の嵐を塞き止めた。
「うぅぅ〜〜助かったですぅ〜・・・ギブソンさん、大丈夫ですかぁ〜?」
「損傷は少ないゾイ。こっちもお返しゾイ!!」
ビルなどの建築物群を陣地とした事で被害が最小限で済んだギブソン中隊も反撃に移る。
JキャノンやJブラスターのバスターランチャーやキャノンも轟炎を走らせた。
「各機散開! 後は好きに撃ち返せ!」
ギブソン中隊の反撃に動揺する事無くレンは指示を下す。
なにせ此処まで彼の計算通りに事が進んでいるからだ。
色々と考え事をしながらキシンの両肩に装備されているMLRSを連射する。
狙われた緑色のJブラスターはビルを盾にキャノンとガドリングで返してくる。
「遅いな? 遅すぎるぜぇ!」
キシンは横滑りで回避。重装備とは思えない運動性だ。
お互いに一進一退の攻防である。
(あの砲撃じゃ、もう直ぐ干上がるな・・・予定通りだぜ)
レンの策は計算深い物だった。
彼等が派手にギブソン中隊と撃ち合う事で時間が稼ぐと同時にギブソン中隊の弾薬を浪費させる事が出来る。
西部と防空基地からアルサレア援軍が向かってきているが数は多くない上にギブソン中隊の支援も無い、稼がれた時間で再編成を終えた防衛隊なら数に任せて持ちこたえる事が可能である。後は自分達は突破すれば良い。
(後はアルサレアの狙いが予想通りかだな・・・)
そこまで考えて再編成中の防衛隊に繋ぐ。
「こちら指揮官代理! そっちの部隊を少し廻せ! 今すぐ!」
ヴォナン非戦闘地域南部、ヴァリム軍諜報部秘密アジト
「ふふふ・・・蟲が騒いでいるわ」
ヴォナンシティの南部にヴァリム諜報部の秘密基地がある。
その格納庫から出撃したオードリーのコクピットに座る女性「エヴァ・フォルセア」は嘲る様に笑った。
「さて・・・後はアルサレア軍が議事堂に到着するだけね」
舌なめずりする様に、これから起こりうる惨劇に妄想を膨らませた。
正直、そんな事ばかりしているから「ヴァリム軍・結婚したくない女性1位」や「近寄りたくない女性・1位」などの不名誉極まりないランキングで1位をとるんだと思う・・・
「うるさいわよ、無能作者! そんなに死にたいのかしら?」
神(作者)に刃向かうとは良い度胸だな?
ここまでコケにされるのも嫌ですし、作者に刃向かう事の恐ろしさを教えましょう。
と言う訳で彼女の狙いを暴露!
神佐の狙いは議事堂の防衛隊を助ける為に急行しているわけではない。
むしろ、さっさと防衛隊には全滅して欲しい位なのだ。
彼女の策とはアルサレアが議事堂周辺を制圧したのを見計らって彼等にハーメルンヴォイスシステムを照射。
そうすればアルサレア軍が議事堂を破壊した事になる。
国際世論を反アルサレアに向けさせる絶好のデモンストレーションになるだろう。
「ふふふ・・・そう言えばフェンナ・クラウゼンも居るようだし・・・グレンリーダーに破壊させるのも面白そうね」
彼に付けられた傷を擦りながら面白そうに想像する。
彼を信頼する人達を彼に殺させる。これほど面白い余興は無いと思っているに違いない。
その時、スピーカーから漢の声が響いた。
「楽しそうだな!」
そこには存在する筈が無いモノが居た。
「俺も出席させて貰おうか?」
言葉を聞くたびに彼女の本能が逃げろと叫ぶ、しかし逃げる事は出来ない。
それでも何とか言葉を捻り出した。
「貴方が生きているとは思わなかったわよ・・・」
彼女の目の前にエメラルドグリーンのJフェ二ックスが両手を組んで立っていた。
しかし、そこに乗っているパイロットは死んだと噂されていたはずだ。
「死んでいたも何も・・・俺は既に死人なのでな」
彼の名は「ケイオウ・ロンドゲイル」。数週間前に行方不明になったと言われている、アルサレア唯一の称号「特尉」を持つ漢であった。
ケイオウは両腕を解き、地面に突き刺しておいた斬馬刀2本を構えた。
――勝てない!――
そう本能が告げているのを実感しているフォルセアは恐怖を隠すように通信を返した。
「残念だけど抵抗しないでくれる? 此処に面白い物があるんだけれども?」
性根が腐っていても神佐と言われるだけはある。いざと言う時の切り札は持ち合わせているのだ。
モニターがONになっていない為に隠されているが、ひきつった笑顔だった。
「私の手にはねヴォナンシティの地下に仕込んである爆弾。ヘルファイア×50の起爆スイッチがあるのよ・・・何が可笑しい!?」
ひきつった笑顔のままで自分の優位を感じていたフォルセアだったがケイオウが笑っていた事に驚愕した。
「可笑しいも何もな。出来るわけ無いだろ?」
ケイオウは一蹴した。
フォルセアの中の恐怖心がオーバーロードした。
ポチッ
本当に押したのである。
この後、シティが爆発する
し〜〜〜〜〜〜〜〜ん!
しなかった(汗)
「ナ、何で?!?」
「出来るわけ無いと言った筈だろう? 随分前、自爆用に回収して持っていったんでな」
驚くフォルセアに残酷な真実を突きつけた。
既に回収済みであったのだ。
ことごとく自分の目論見を潰したケイオウにフォルセアは完全にキレた。
「この非常識めぇーーー!」
レーザーピストルを連射しながらJフェニックスに特攻。
しかし、ケイオウは大した回避もせずに待ち構える。
そしてオードリーのカタールがフェ二ックスに刺さる瞬間、神風が吹いた。
「神風のロンドォォーーーーーーーー!!」
風となった無数の斬撃がオードリーを切り裂き、メインフレームを残して細切れにした
神佐機が機能停止になったのを確認したケイオウはコクピットハッチを開ける。
「さて・・拝ませてもらおうか」
そう言って元オードリーのメインのハッチを開けた。
中に入っていたのは言うまでも無くフォルセア。
しかし・・・
「チッ!」
ケイオウは舌打ちするとフォルセアの顔の皮を剥いだ。
すると中から全然違う女性の顔が出てきた。
「こいつもハズレか」
先ほどの彼女らしくない混乱や行動の原因が此れである。
今回彼が戦った神佐の正体とは、名も無き諜報部の1人であった。
そもそも自分で危ない橋を渡らない性格のフォルセアが危険な任務を自らする訳無い。
彼女は多種多数の身代わりを持っている。
この諜報部員も、覆面と整形と薬物と洗脳によって自分を神佐と思い込まされて動かされた駒の一つであった。
Jフェニックスに戻ったケイオウの耳に警告音が響く。
「どうやら、此れで終わりでは無さそうだな」
レーダーに39機のオードリーを示す光点が映った。
本物の性格は更に用心深い様である。おそらく、先の情報部員と同じような神佐製造工場で完成した量産型神佐が乗っているのだろう。
しかし、ケイオウには関係なかった。
今回、今は亡き愛する女性唯一の肉親の為に戦うと決めて少し生き返ったのだ。
「我、今ここに誓いを立てる!!
この戦いの勝利も敗北も生も死もすべて、あの方(故クレア・クラウゼン)に捧げる!!
そして、この剣鐘の後には誰一人として無駄死にはさせん!!
異議申し立ての有る者は名乗り出よ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
名乗り出ぬのなら、その胸に秘めしそのセリフ金輪際吐くな!!
この誓いは約束、そして我と我らに続く全ての者の誇りなり!!!!」
誓いの剣鐘を鳴らし駆け出す。
「クタバレ、スミスもどきがぁーーーー!!」
ヴォナンシティ東部
激しい戦闘を繰り広げる西部と違ってムラキ中隊が担当する東部は暇だった。
「・・・我慢だ」
ムラキは胸の悲しみを隠すように愚痴た。
普段から地味なのに、さらにトドメを刺す様な扱いである。
そもそも、此処で彼が戦ったと言う事実を認識されるか怪しいぐらい目だって居なかった。
「・・・」
ムラキ中隊は隊長が地味と言う理由で暇だった。
ヴォナンシティ北西部
コクピットでタケルとケンは通信で状況を評価していた。
「西部エリアに援軍が到着したみたいっすね」
「らしいな・・・遅刻確定だな」
いまだ閃光の爪隊は西部に向かって疾走中である。
本来ならば国境線からの援軍よりも先に付いている筈だったが、制圧した防空基地を完全に破壊した為に基地施設が使えず補給に時間が掛かりすぎたのだ。
他にも副隊長とオマケ2名が地面に倒れていたのも原因である。
その倒れていた副隊長のコウスケが割り込んで来た。
「お前が殴ったからだろうが!」
コウスケは殴った本人であるケンに文句を言う、反省するとは思ってないが。
「俺は部下を大事にするのが流儀でな・・・」
「おまえ・・・傷害罪って知ってるよな?」
ケンの屁理屈にコウスケは一矢報いようと返す。
それ以前に暴走族狩り等をやっているケンに常識を問うのは間違いだと思う?
「相手に怪我させる事だろう? 知っているぞ?」
「・・・だったらな〜」
コウスケの呆れと怒りが混じった言葉を余所にタケルは考えていた。
(他人を傷つける事は罪なんだよな・・・)
コウスケにとっては何気ない一言だったが、前回の夢の事を思い出したので何かを感じたのだ。
そんなセンチメンタルなタケルを無視して二人の会話は続いていた。
「第一・・・俺達は戦争をやってるんだぞ?」
「味方に攻撃は違うだろうが!!」
その言葉にタケルは気付いた。
(戦争だからって・・・人を傷付けるのが許されるのか?)
「キミ・・・止めたら?」
重要な事に考えが行き着いた瞬間、通信回線でマユが話し掛けてきた。
マユ機の指先にはケン達が未だに議論を続けている。
「いい加減にナンパはやめとけ・・・消されるぞ」
「お前こそ女に縁が無いからって、部隊に女を増やすか普通?」
タケルは苦笑した。もはや当初の内容から外れている。
その時、マユがアサシンレーザーの狙いをコウスケ機に合わせた。
「・・・ウザイから副隊長消していい?」
「洒落になってないぞ、それ! 俺が止めるからやめろ、マジで!」
マユの口調は冷静だったが殺気を感じるし、表情も冷たい笑いだった。
例えて言うなら鬼!
ケンに惚れているマユはコウスケを敵と認識したのか攻撃態勢に入り、タケルは慌てて止める。
仕方ないので面倒くさいが止めに入ろうとしたタケルの前に一匹の鬼が追加された。
「タケル君が手を煩わせる必要はないですよ・・・私が処理しますから」
シオンである。ちなみに彼女の顔も鬼。
一応は付き合っているコウスケのナンパ癖にキレたのだろう。
タケルは嫌な予感がしたので止めようとしたのだが、間に合わずシオン機がコウスケ機の隣に近付いた。
そして・・・
ドガ、バキャ、ボギィ、ズグシュ!
「た・・・たすけぇ・・・」
シオン機の手でコウスケ機を掴みながら無人操縦を入れて彼の機体のコクピットを無理やり開けた後、自分のコクピットも開けると飛び移った。
そして擬音で解るとおりタコ殴りを始めたのだ。
恋する乙女の嫉妬は鬼が裸足で逃げると言うのは本当であるようだ。
そして5分後
シオンは満足げな表情で自分のコクピットに戻った、そしてコウスケはボロボロだった。
他の面子は恐くて助けなかったと言う・・・
「あの〜そろそろ戦闘エリアに着くんですけど、副隊長どうします?」
会話や行動は不真面目を極めているがやる事はやる面子である。
さっきの間にも西部エリアに向けて移動はしていたのだ。
兎に角、味方の攻撃でボロっているコウスケに周りはトンデモネェ奴等ばかりだった。
「とりあえず盾にはなるだろ?」
「最初の特攻役には調度良いんじゃないかしら」
「代わりに私が入ろうと思います」
ケン、シオン、マユの言葉は「酷い」を通り過ぎて「惨い」
って言うか、仲間を思いやる気持ちは無いのか!?
とコウスケは心で思っていたが口に出せる体調ではなかった。
上は無視して、タケル機のレーダーに赤色の光点が複数映った。
「あの〜敵が来てるって自覚ありますよね?」
心の底からの問に誰も答えなかった。
「ち・・・取り込み中なのに迷惑なやつらだぜ!」
しかし、気づいたのだろうかケンが次々と指示を出し始めた。
そんな中、ノイズ混じりの通信が流れる。
「こち・・・ら・・ムラキ・・・・敵の・・・で壊滅・・・オクラ・・・」
詳しい内容は解らなかったが「ムラキ中隊が壊滅」と言う事は断言できた。
「おい! 地味キス、どうした!」
ケンは必死にムラキに通信を送っていた。
後書き
仕事の研修合宿が入るわ、家の近くで発砲事件が起きるわと波乱な事が周りで起きる(?)神楽歌です。
・・・J2に間に合わねぇーーーーーーーーー!
当初は今月の中盤で終わると思っていたんですけどね(汗)
本当は地味キスことムラキの戦いを書きたかったんですけど、時間と次以降の展開の為に次に廻してしまいました(謝)
にしても、世の中物騒ですね〜
と言う訳(?)で次は何時になるかわかりません。4月までに終わるかすら怪しいです(爆)
では!
オマケ
ゴンベエの機体:彼の機体はヴァイスの盾になるべくアームドシールド×2とHPパック×2の盾の役割に特化した機体です。これはフェンナが副座として乗っている為にヴァイスがフルで戦えないからという理由です。
袴:服。色々と説明するのが難しいのですが、今回は卒業式に女性が着るものと思ってください。
ちなみにエドは上半身が作務衣、下半身が袴でした(こんなのを見たら誰だって驚く)
アイアンメイデンの刑:アイアンメイデンとは昔の拷問器具の名前で、棺桶の様な物の中に人を入れ(動けないようにして)、大量の針が付いているフタ(針の向きは棺桶の中)を締める。中の人は大量の針に刺されると言う仕組み。
ケイオウ・ロンドゲイル:踊る風様からお借りしました。
言わずと知れた有名オリキャラ。現在、行方不明中だったが風のように現われて神佐軍団と激闘中。説明は踊る風様のを見てください(無責任)
量産型神佐:オリジナル。洗脳と整形と肉体強化で自分を神佐と思い込ませて自分の代わりに働かせる為に神佐に処置を受けた人たち。彼女とは無関係の人が多い。
全員、自分をフォルセアと思い込んで行動しており、戦闘技術のみは彼女と同等。
ある意味、エージェント・ス○ス(笑)
地味キス:ケンのムラキへの呼び方。地味の後に、彼の苗字だと思われるオニキスのキスを付けた。(笑)
管理人より
神楽歌さんより第6話をご投稿いただきました!!
……ムラキ小隊、何と当たった?(爆)
それにしてもエド……セオリー無視でしたね(爆笑)<ナイス!