お読みになる前に

 今回は今までと違って、結構「殺す」などの暴力セリフや作者の妄想兵器がでますので、気をつけてください



















 

機甲兵団Jフェニックス裏史実



















 

 終息の灯火

 5話「悩める若人」



























 

 タケルは夢を見ていた・・・
















 

 某所の演習場





 

「06! そっちに行った!」

 タケルの耳に通信から入ってきた怒声が響く。

 そうこう言っている間に眼の前に一機の巨人が接近してきた。

「任せとけ。でぇりゃぁーー!」

 叫ぶタケルも同型の巨人の中に居た。

 タケルの駆る巨人はカモフラージュの為に被せていたネットを振り払って飛び出す。

「げ・・・タケルが居たの!?」

 敵の巨人の中に居たパイロットは不意に飛び出してきたタケルに戸惑った。

 タケルの乗る巨人は背中に背負っていたカタナを手に持ち替え、そのまま上段から振り下ろす。

「うそぉ〜やられた?」

 斬られた巨人のボディには赤い線が付いていた。













 

「こちら06。03を撃破したぜ」

 タケルは周囲の警戒をしながら隊長的な立場の人物に通信を送った。

「01了解・・・早いわね」

「まぁ〜な。訓練だからって俺は手を抜かないからな」

 隊長的立場の人は何時も不真面目なタケルの意外な言葉に感心したようだ。



 彼等は訓練の最中である

 パイロット候補生にとって最も身が入る実機を使った模擬戦をしてたのだ、先のタケルに斬られた機体は刃の部分がフェルトペンに為っているカタナで斬られたのだ。

 ちなみに01やタケルの06とは機体の番号の事である、間違ってでもマンマシン計画のような被験者番号ではない。

 

「07は08を押さえに入ってるから今の所は此方が有利だわ。だから04と合流して05に向かって」

「02はどうする?」

「私が抑えるわ。私にだって出来る」

 隊長的立場の人物は見栄を張ってタケルに返した。彼女もタケルの事を好きでいる・・・って言うか部隊(8人の内で男性はタケル1人のみ)の内、6人はタケルの事が好きである。

「05の射撃には気をつけろよ」

 タケルは話しながらブースターを全開にして飛び上がった。

 目を凝らすと2機の巨人が銃で撃ち合いをしている。

 再度ブースターを一瞬だけ全開にして急加速、激しいGと共に機体が爆発的に加速した。

 これがタケルの得意技「二段ジャンプ」である。

 05と書かれている巨人がタケルに向きを変えた。

「甘いです、タケル」

「タケル、回避」

 05がタケル機に射撃しようとしている事を04が伝えようとするが、間に合わずに05はライフルを発射した。

 だが、

「奥義、3段飛び!」

 さっきと同じ要領で方向を転換、急降下する。見事に射撃を回避した。

 地面に着地したタケルに新しい通信が入る、01だ。

「ご免! 02が向かったわ」

「タケル覚悟!」

 報告と共にタケルの死角から02と書かれた巨人が剣を振り下ろす。

 だが奇跡的間一髪で回避した。

「やるな・・・けど!」

 タケルは冷静に狙いを済ましてライフルを発射した。

 十分に狙いを済ました為に一発である。教官からの命中率の評価を上げるためだ。

 そして、その一撃が運命の一発だった・・・

「・・・・なんで爆発するんだよ・・う、ウワァァー――――――!」

 狙い済ました弾丸はコクピットに着弾し爆発した。火薬が入っていない模擬弾ならありえない。

 模擬弾の筈が実弾であったのだ。

 タケルはコクピットの中で昏倒した。













































 

 時は今より20年後。

 マグロは31歳、コンブ子は30歳。ザサエ・マスミは50歳代。サバオは23歳、波吉、テイは他界。彼岸家はこのような状況になっていた。

 

「マグロー! レポート書いたかい?」

「まだ〜!」

 そう、ご存知の通りマグロは大学受験に10年も落ち続け、やっと駄目駄目大学に進学出来たのだ。真実はザサエが大学に黄金色の茶菓子を渡して無理やり合格させたのだ

「もう、早く終わらせなさい! コンブーー!」

「なーにー!」

「あなた結婚相手は見つかったの?」

「まだー!」

 コンブ子はと言うと、一発で東大を合格したまでは良かったが就職できず専業主婦になると言い出したのだ。

 その時、マスミが帰ってきた。

「ただいま〜」

「おかえりなさ〜い」

「会社クビになった」

 マスミは数日前に会社に¥50000000000000000000000000の損害を与えてしまい、今日辞令が下されたのだ

「はぁ〜〜。これで彼岸家存続の希望はサバちゃんだけになってしまったわ」

 

 数日後

「今日未明×○区○川から男性と思われる遺体が引き上げられました。所持品から遺体の主は彼岸サバオと言う事が判明」

「サバちゃーーーーーーーーーん!」

 これで彼岸家の収入は完全に絶たれてしまった。

 実はサバオはスパイであり、米軍より機密を奪ったがのだが発覚してしまい消されたのだ。








 

 数日後

 収入源を一切絶たれた彼岸家。

 追い討ちをかけるようにコンブ子に彼氏が出来て1日で婚約、1週間後には式を挙げると言うのだ。

 更に結婚資金の半額を払わなくてはならない。

「不味い! こんな状況で結婚資金を出したら彼岸家は終わりよ」

 金額は1000万円。2000万円の豪華な式を挙げるというのだ。

 その夜、ザサエは1つの計画を立てていた。

「ここを通って・・・あーして・・・こーして」

 次の日、銀行の前にザサエは立っていた。

「よし! 行くか!」

 そう言うと銀行に入っていった。



 



 数日後

 彼岸家の前に警察と野次馬が集まっていた。

 そして家の中からマスミが警察に連れていかれる、逮捕されたのだ。

 ざわざわざわ

 何故マスミは逮捕されたのだろう? 実はザサエが変装の達人であったからだ。

 何故かと言うと、某怪盗に弟子入りしていたのだ。

 どうでも良いから話を戻そう。

「違う! 俺じゃない! 俺じゃないぃぃーーー! 俺じゃないぃぃーーーーー!」

 マスミの目がザサエと合った。

 ニヤッ!

「!! 貴様ー!」

 ザサエは何故マスミに変装して銀行に入ったのだろうか?

 一つは金を手に入れるため。もう一つは邪魔なマスミを消す事だった。

 不意に土砂降りが降って来た。

























 

 ヴォナン北東防空基地


 タケルは自分が水を大量に浴びた事で目を覚ました。

「・・・あれ?」

「起きたか?」

 目の前にはケンが居た、両腕にはドラム缶を持って。

 つまりケンは失神したタケルを起こす為にドラム缶に水を入れて頭から被せたのだ。

「起こしてくれたのは嬉しいんスけど・・・何でドラム缶ですか?! 普通はヤカンのはず!」

 タケル・・・スポ根マンガの読みすぎだぞ、それ。

 作者はスポ根は好きじゃないんだけどな。

「最初は泣きながら寝てたから寝かしといてやろうと思ったんだがな・・・途中から笑い出したんでムカついたから水をぶっ掛けた」

 ケンはシレッと答えた。

「まぁ、良いですけどね・・・(汗)」

 文句を言ったって直る性格でないと解っていたし、浴びた水が意外に少ない事からフザケと考えた、何より戦闘中に失神した事で自分の事を心配して(と思っている)ワザワザ来るような人に文句を言うのはタケルの性格に反する。

「それで、これからどうするんですか?」

 気を取り直して周囲を見渡しながらタケルは上官に向かって聞いた。

 当たりは焼け野原になっており、戦闘が終了したと判断してよい。

「この基地に用は無い。補給隊と合流中だ。飯と補給作業が終わり次第シティに向かう」

 ケンの言う事は参謀本部からの命令であった。

 議会にはグレン小隊、ヴァイス護衛隊、ムラキ中隊、ギブソン中隊が降下している。

 さらに地上から侵入して来た部隊の一部もシティに進撃している。

 フェンナの演説を妨害しようとしてくる敵を彼等と合流して迎え撃つ事になっているのだ。



 

 状況を理解したタケルは一息つくと余裕を取り戻したのか、前から気になった事を聞こうと思った。

「一つ聞いて良いっスか?」

「何だ?」

 ケンは珍しく素直だった。

「戦争って・・・何で人が死ぬんでしょうね?」

「戦争だからな」

 タケルの問にケンの答えは簡潔、そして重みを込めて答えた。

 答えられたタケルは少し考えながら続ける。

「だから・・・俺が言いたいのはですね。人を殺す行為が何で許されるって事です!」

「戦争だからな・・・」

 タケルの問にケンは1つの賭けに出ようとした。

 今タケルが聞いている事は前々からタケルの悩みと心配事に関係している物と解ったからだ。

 ケンとしてはタケルの問に答えを出すつもりはない、この答えは自分で見つけなければ意味が無い。だから重要なヒントで止める。

 今度はケンが質問をする番だった。

「お前は何のために戦う?」

「それは・・・」

 突然ケンに質問をされて戸惑ったが答えは決めてある。

「恩返しっす・・・今まで世話になった人。それだけじゃない、他にも沢山の人の恩返しをする為に戦ってます」

 その答えと眼は真っ直ぐだった。

 ケンは感心しながら答えた。

「じゃあ、自分の為じゃないんだな?」

「多分・・・」

 その言葉にタケルは少し考え込むように言った。

 今まで誰の為に戦ってきたのかなんて深く考えなかったからだ。

戦えば恩返しになるのか? 人を殺さなきゃ恩返しになるのか?」

 ケンの言葉は残酷にタケルの胸に突き刺さった。

 この言葉は今までのタケルの戦う信念を崩壊させるような言葉であるのだ。

 無論、ケンはそれを承知で言った。

「取り合えず今は何のために戦うかは忘れとけ。考えるのは何時だって良いぞ」

 そう言って締めた。

 ケンの賭けとは此れである。

 タケルの信念を一度砕き、そして不死鳥の様に正しい答えを見つけて甦るのを期待したのだ。





















 

「俺は・・・」

「飯が来たから喰うぞ」

 何かを言おうとしたタケルを遮るように近付いてきた人を見て中断させた。

 ショートの黒髪の少女が2人分の食事を持ってきたのだ。

「隊長・・・食事を持ってきました」

「悪いな、マユ」

 彼女の名前はマユ・ハイブリット中尉。閃光の爪隊第1小隊で隊長を務めている少女だ。

 ケンは昇降ワイヤーでタケルのJフェニックスSのコクピットから地面に降り、マユに差し出された食事のトレイを受け取って地面に座った。

 渡したマユも地面に座る。

「あの〜・・・俺のは?」

「自分で持って来れば」

 自分の分が持って来られていない事に気づいたタケルは理解をしていたが口にした。

 しかし、マユの言葉は残酷な答えだった。

「君の分を持って来いとは言われていないわ。私、隊長の分を持ってくるのは部下の義務だと思うけど、君の分を持ってくる義務は無いと思う」

「・・・」

 タケルは何も言い返せなかった。

 何故か女に愛されやすい筈のタケルであったが彼女は珍しく違う。

「残念だが、自分で持ってくる他は無いだろう」

 こういう時にもケンは助けない。そもそも、大抵の男性は女性と野郎のどちらかを助けろと言われたら過半数以上は女性を助ける。

「少しは労わりの心は無いんですかね〜」

 タケルは愚痴るように配給のテントに向かった。

「逝ってらっしゃい」

 珍しく同情したのかマユは言った、内容は少し変だが。









 2分後



 補給隊から食事を受け取って戻ってきた頃、既にマユは食事の半分を食べ終わっていた。

「相変わらず早いな・・・量も俺の2倍位無いか?」

 タケルの感想にも関わらずマユは食べていた。

 彼の言ったとおりマユの食事量はタケルの2倍近い量もある。ちなみにタケルの量は通常の2倍の量だから常人の4倍も食べている事になるのだ。

「別に・・・」

 食べていながらでも口から飛び出す事も無く喋る。

 何か知らんがタケルも自棄食いのように食べ出した。

 って言うか、つまらない事を話している内に双方とも残りはデザートのヨーグルトとバナナのみになっていた。

「此れも食うか?」

 隣のケンが自分のバナナとヨーグルトを差し出して来た。

「じゃあ、遠慮なく・・・」

 タケルは食べ終わっていたトレイを置いてヨーグルトを取ろうとする。

 ケンは二人に上げようと考えていたのは明白だった。

 一応、二人の中央に置いたのだからそうだと思う(筈だ)

 その瞬間、マユのナイフがタケルに向けられた

 

「殺すよ・・・」

 眼がマジである。それ位ヨーグルトを食べたいのだろう。

「洒落になってないぞ、それ!」

 唐突にナイフを突きつけられたら誰だって驚く(多分)

 タケルは言い返そうとしたがマユが遮った。

「君は食べ終わっていない」

 タケルがトレイを置いてケンの分を取ろうとした数秒の間にマユは自分の分を食べ終わっていた。

 それは兎も角、唖然としながらもナイフを突きつけられた事で警戒態勢のタケルと殺気立っているマユにケンは(珍しく)仲裁に入った。

「その位にしとけ・・・足りない分は貰ってきてやるから」

 その言葉に二人は警戒態勢を解いた。

「ははは・・・」

「隊長がそう言うのでしたら」

 余りの可笑しさに気づいたタケルは苦笑し、マユはケンに対して素直に従った。







 何故マユがケンの言う事に素直なのかと言うと、彼女を閃光の爪隊にスカウトしたのだがケンであるからである。

 休暇で郷土に帰ったケンは暇つぶしとして暴走族狩りをしている(物騒だな)。

 何時もの通り適当な賊を潰した時、最強と呼ばれる暴走族が近くに居ると聞きだした。

 無論、まだ暇だったのでケンは殴り込みをかけた。

 その時に潰した暴走族の隊長が彼女であった。そしてケンは彼女を部隊にスカウト。

 実は数日前に起きたオーガルディラム戦によって軍の戦力が落ちた為に旧閃光の爪隊の小隊長達(3名)と手下達は補充として他の部隊の隊長に就任させられてしまったのだ。

 タケル達と変らない歳で暴走族の頭を務めていたのだから小隊長も出来ると思ったのと、何かを感じたのだろう。

 彼女も簡単に承諾、何が有ったかは知らないがケンに惚れたのだ。

 そして、ここからは少し外れるが、調べた所マユの戸籍は偽造であった。

 ケンは疑問に思い、誰にも話さずに自分の情報組織会社「神楽歌」を使って調べた。

 すると1つの答えが出た。

 ヴァリム内のキサラギ研究所よりマンマシン計画の1人が行方不明になっていたと言う事と、その顔写真がマユと同じ顔であったのだ。

 ここまで来ると真実は見える、マユはマンマシン計画の脱走者と言う事なのだ。

 しかし、ケンの性格と隊員選びの条件である『腕が良くて性根が腐っていなければ、「来る者拒まず・去る者追わず」』から気にせず入隊させた。

 無論、ばれた時の責めは自分が負うと決めて周りには話さなかったが。








 

 そう言いつつもマユは一人でタケルの分も食べ始めた。

 そしてケンは本当に貰いに行った。

 片方は食事に専念し、もう1人は居なくなったのだから静寂が来た。

 やる事が無くなったのか、タケルは気絶中に見た夢を思い出した。

(にしても・・・今更の事だよな)

 後半の夢は良いとして(?)前半はタケルにとって忘れようと努力した記憶だった。



 当時、訓練中に起きた事故。演習用の模擬弾が実弾に掏り換えられていた事故は幸いにして死者は出なかった。

 犯人は反戦派の過激派が整備員に変装して格納庫に潜入。当初は爆破する予定だったらしいが警戒の高さに変更した様だった。

 犯人の思惑や事情、それによって多少の間拘束されていた事などはタケルにとってはどうでも良い事だった。

 重要なのは仲間に怪我をさせた事。発射した弾が一発だから装甲を貫通しなかった、不意の出来事で驚いて転倒して肩を打った程度とは言え、仲間を怪我させたことは変らない。

 本人もタケルに非は無いと言ったが納得は出来ない。

 それ以前に人を傷つけると言う現実を考えていなかった為に、改めて人の死に付いて考え込み、相手を殺すという現実が恐くなった位であった。





 

(遂にやっちまったんだよな・・・なのに実感が湧いて来ねぇ)

 タケルは気付いていないが、そう考える事自体が気にしている証拠である。

(何のために戦うか、か・・・)

 ふと、軍に入隊する時に恩人が言った言葉を思い出した。

 ――これ以上、自分の子供達を戦争で失うのは好きじゃないんだがな・・――

 恩人は多数の孤児の世話をしていた、そして数人は戦争に身を投じて帰って来なくなった。

 その言葉を聞いた時、彼の目に塩水が浮かんでいたのが映った。





 

 深く考えている最中、ケンが帰ってきた。

「盗って来たぞ」

 バナナが2人分、ヨーグルトは1人分を持って帰って来たのだ。

 余談だが、彼の副官と第2小隊の隊長、副長が地面で気絶していたと言う

 タケルは気分を変えようと追加の食べ物に目を向けた。

「じゃあ・・・いただきます!」

 取ろうとした時、マユが拳銃をタケルのコメカミに突きつけた

 

「君は食べ終わってない」



 考え事に夢中でタケルは食べ終わっていなかったのだ!

 ちなみに追加分もマユが1人で食べたようだった。

























 

 ヴォナンシティ上空・高度6万メートル

 一方その頃、国際会議場に遥か上空を落下している物体が在った。

 その数、48体。

 グレン小隊達が大気圏を通過して降下している最中だった。

「グレンリーダーより、各機へ! そろそろ防空攻撃が来るはずだ。一発たりともヴァイス機には当てさせるな!」

 フェンナの名前ではなくヴァイスの名前を出したあたりが性格の真面目さを物語っている。

 ヒューーーン!

 地上から数発のミサイルが上がってきた。

「俺ッチに任せときなって!」

 ダッダッダッダッダ!

 間髪入れずにキースのJブラスターの放ったガドリングの一斉射がミサイルを全発叩き落した。

 そしてミサイルは来なかった、殆んどの防空火器は閃光の爪隊が基地ごと制圧したのだから当然である。

 そして、ミサイルの爆炎の中を突っ切って行った。
























 

 ヴォナンシティ北西基地

「隊長! アルサレアの本命が来ました!」

 ヴァリム戦略機動軍、第09独立特務中隊「アイアンメイデン中隊」のオペレーターは基地のレーダーサイトから入ってきた情報を読んで、喜々としながら彼等の隊長に報告した。

「フッ! 俺の読み通りだ・・・降下地点は!?」

 そして受け取った隊長であるレンは間髪入れずに詳細なデータを要求する。

 それでもキザな仕草は変らない。

「え〜っと〜・・・シティの北地点ですね」

「意外にキレ者だな・・・アチラさんの指揮官は参謀本部のジジィか?」

 ゴルビー参謀本部長の存在はヴァリム内でも天才軍師と変態ジジィとしてブラックリストの上位に位置するのだ。

(そろそろ来るだろうな・・・)

「レン隊長! 総司令部より出動依頼が来ました!」

 レンの読みどおり出撃の命令が出た。

 総司令部としては出向部隊に出撃を頼みたくは無いのが現実であるが、相次ぐ陽動作戦に戦力は激減されてナリフリ構っているられる状態ではなくなったのだ。

「基地司令に「あんた等は此処から出るな」って言っとけ。出るのは俺達だけで良い」

「了解しました」

 北西部から東進している部隊が居る以上は降下部隊との挟撃も在りうる、基地をカラには出来ない。

 レンは指示しながらもゴルビーの知略に歯噛みしていた。



 最初に北西部で行動を起こし、更に南進する事で事実上は西部と南部の戦力を牽制して釘付け出来る。

 東部の基地は真っ先に陥落している為に残存戦力はシティ直衛隊と北部基地・・・しかし、北部の戦力は北西部での戦闘に半数以上も派遣されているので期待できるほど残っていない。

 完全に負け戦状態であった。

 

「さて・・・ジイ様は何が狙いだか・・・」

 そう言いながら出撃する為に格納庫へ向かって行った。
















 

 基地格納庫

 オペレーターの連絡を受けたのでアイアンメイデン中隊の機体が置いてある格納庫は準備で大忙しであった。

 レンは自分の新しい機体である先行量産型キシンに向かう前に、用を済ませようと一区間隣のハンガーに居る男性の隣に行って声をかけた。

「よッ! 調子はどうだ?」

「暇人の相手をしないで、さっさと戦闘に行きたいぐらい好調ですね」

 此処まで非情な毒舌を吐くのはカールしかいない

 レンは戦闘前に隊員の何人かに声をかけるのが日課なのだ。部下との交流は何時の時代でも大事だからとの事だが、カールの場合は少しでも考えを改めさせようとの試みもある。

「暇人ね・・・どこぞの馬鹿中隊あたりの隊長か?」

 レンの言いたい人物が何となく誰だか分かる様な気がしてきたな・・・

「誰でしょうね〜早く出撃したいんですけどね〜」

「ははは」

 レンは笑っていた。この位で怒ってはカールの理解者には成れないと思っている。

 ちょっと傷ついた心を隠してラセツを見上げた。

「んで・・・新しい機能の調子はどうだ?」

「すこぶる調子良いですね。人間相手に聞かせれば最高なんですけどね」

 カールも上機嫌に答えた。

 カールのラセツは穏健派中心の開発部より廻って来た部品を使って「ラセツ・EC(エレクトロ・カスタム)」と生まれ変わっていたのだ。

 相変わらずの毒舌にレンは面白そうな答えを考えて答えた。

「人間ね・・・諜報部のクソババァあたりに聞けば真人間になるぜ」

 言うまでもなくフォルセア神佐であった。



 ラセツECの最大の特徴は肩のエキスプロードウェーブより放たれる電子攻撃ウェーブである。

 ウェーブの範囲に入ったが最後、計器やレーダーは偽の情報しか表示しなくなり、機体の操縦系は正常な操作を阻害、挙句はWCSが完全にラセツに握られる。

 使用中はラセツの移動・攻撃が不可能になるが集団戦なら問題はない。

 神佐失脚を狙った穏健派の技術者がハーメルンヴォイスシステムを量産化するために作ったのだ。





 

「最初の実験は身近な人がベストですよね♪」

 カールは部隊に慣れたのかレンに遠慮のない言葉を発して行く。

「だったら丈夫な人を選んでくれ。そろそろ行くぞ」

「りょうか〜い」

 時間も迫ってきた事だしレンは話を終えさせた。

 カールより離れて先行量産型キシンに乗り込み起動する。

 そしてハンガーの固定を外した後、歩き出て武器置き場に向かった。

「ライフルはっと・・・」

 言いながら右手にレーザーライフル、左手にバズーカを持たせた。

 さらに換装用ハンガーに入って肩武装を取り付ける、両肩共にMLRSだ。

 他の面々も用意を終えて基地のハッチの前に集結する。

 そしてレンはマイクを全開にして叫んだ。

「アイアンメイデン刑の開始だ!」

「「「オオォォォォーーーーーー!!」」」」

 部隊員達も叫び返す。

 アイアンメイデン中隊はブーストを全開にしてシティに向かった。

 格納庫にはレンの叫びで耳を押えている整備員達が残っていた・・・・










 

 第6話に続く


 



 後書き

 不味いッス!
 予定では7話で終わる筈が伸びそうです!
 と、何故か叫び上げている神楽歌です。
 まずは御詫びです(いきなり)
 双首蒼竜さん。今回、シリアとヴァイスが活躍する筈でしたが書けなかったです(謝)
 それにしても、冒頭の夢の後半は書いている自分も笑いました(おい)
 友人Tさん、感謝です!
 今回はシリアスをメインにしたつもりでしたが、結局ギャグが多かったのは何故でしょう?
 それは置いておくとして、もうすぐJ2発売ですね!
 発売までに書く所まで書かねば執筆量は落ちるですね
 と言う訳で
 次の話はヴォナンシティでの戦闘がメインです。
 それでは!




 

 おまけ


 夢の後半:知人が昔(2002年10月)考えた「20年後のサ○エさん」のキャラ名を変えて再編集した物です。
 Tさん、SEEDを観てる最中にありがとうございました!


 マユ・ハイブリット:オリジナルキャラ。女、19歳。黒髪のショート
 本名、マユ・キサラギ。閃光の爪隊第1小隊の隊長を務める女性。
 性格は非戦闘時はユイと同じく冷静で感情が乏しいものの(ユイ似の口調)、戦闘時にはマイの用に恐怖を感じず楽しむ様に叫びながら(口調は変らず)計算された暴風の様に戦う。
 実力はユイ+マイの3分の2.
 食べる量は超大食いで早食い(でも太らない)。好きな食べ物はヨーグルト。

 元々はヴァリムのマンマシーン計画で「ユイとマイの両方の特性を持ち合わせた兵士」と言うコンセプトで育成されていたが、矛盾した性格の為に精神異常をきたして同研究所の一部施設を破壊して脱走。
 その後、精神は安定するものの何の因果かアルサレアで盗賊まがいの暴走族の頭になった(下克上でなった)
 しかし、暇つぶしに暴走族狩りをしていたケンに壊滅させられた後、何かを感じたのかケンに惚れてスカウトに応じた。
 珍しくタケルに惚れないだけでなく、ケンに色々と眼をかけられているのを理由に多少の敵意を持っている。

 愛機はクィーンネイルとクロスブーメラン(アサシンレーザーとしてしか使わない)を装備したJブラスター。(基地攻撃時は施設破壊の為に通常仕様で戦闘)


 

 昔の閃光の爪隊:電撃FC時代の閃光の爪隊。
 当時は凄腕お気楽傭兵集団だったが、此処のサイトで復活の際にはオーガルディラム戦での各地の戦力回復の為に指揮小隊のケン、コウスケ、シオン、イクス、レイ(イクスの相棒)を除いて他の隊に昇進して隊長として編入されていった。
 そして、新しい部隊員(今の)を迎えて凄腕不真面目傭兵集団になった。

 ラセツ・EC:オリジナル兵器。カールの愛機
 ハーメルンヴォイスシステムに似せて作られた電波兵器を搭載。
 詳しくは設定集にて



 


 管理人より

 神楽歌さんより第5話をご投稿いただきました!!

 タケルがようやく出たら……マユの印象が強すぎて、のまれかけてますね(笑)

 そして次回は遂に衝突!
 


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