お読みになる前に
今回は今までと違って、結構「殺す」などの暴力セリフや作者の妄想兵器がでますので、気をつけてください
それと(*)はオリジナル兵器です。
ヴァリム、ヴォナン非戦闘地域
サーリットンで死闘が始まった頃、ヴァリム領の非戦闘地域の北東を疾走する影があった。
そいつ等は国際議事堂があるが故の非戦闘地域を完全武装でである。
「おい、ケン。メテオ・ゼロから開始コードが入電したぜ・・・」
作戦を指揮する指揮所(コード名、メテオ・ゼロ)からの暗号を受け取った参謀本部所属第4高速特務中隊、通称「閃光の爪隊」第0小隊(クソ長いな)の副隊長を務めるコウスケの声は心成しか少し震えていた。
それもその筈。この作戦に1つのミスも許されない、一つ間違えば全てが終わる。
「後の歴史が英断と呼ぶか蛮行と呼ぶかは終われば分かる事ですわ・・・」
同小隊のシオンも緊張を隠すように周りに激励する。彼女とて励まして欲しい状況ではあるが。
そして隊長、ケンは静かに叫んだ。
「スラッシュ1より各機へ・・・勝つぞ!」
20機のPFはスピードを上げていった。
20機のPF隊の先頭に居るケンは行動地点に近付くに連れて高まっていく緊張に対処しようとした。
「もうすぐ攻撃地点だが・・・最後の晩餐に悔いは無いか?」
攻撃前に「最後の晩餐を喰ったか」何て言うのは非常識だが、ケンに常識を問うのは間違いなのかもしれない。
いきなりの事で答えようにも言葉が出てこないが、第3小隊隊長エヌスは何とか口にした。
「最後の晩餐って・・・さっき食べたのはMRE(即食用個人食糧)NO12ですけど」
エヌスの言うNO12とはアルサレアのレーションの種類の一つで、ハムとクリーム煮ポテトをメインデッシュとして副食にリンゴソース、大クラッカー×2、チーズ×3、チョコクッキー、粉末ココア、粉末フルーツポンチ。調味料としてタバスコが同封されているタイプだ。
携帯性や量は文句無しだが味は食べるのがやっとの代物である。悔いが残るの一品だ。
エヌスの発言に乗じて第4小隊のシェリーがオドオドと続けた。
「私〜ハンバーグが食べたかったです〜」
内気らしいが言う事は言う! 何時もタケルに迫っているのだから言える!
「おれ、刺身!」
第3小隊の誰かが叫んだ。
「私、から揚げ!」
第2小隊の隊員も叫ぶ。
その言葉を聞いたケンは少し考えた後、不意に答えた。
「俺等・・さっき刺身も唐揚げもハンバーグも食ったぞ?」
その瞬間、隊の半分が驚いた。
アルサレア要塞の地下で作戦の概要を聞き、ヴァリム領に侵入してからの飯は全てレーションであった。
上記の献立が全て揃ってるレーションなど有りはしない。
しかしウソを滅多に言わないケンが言うのだから真実だ。
何人かが恨めしそうな表情をした時、事情を知っている第2小隊隊長イクス・グレック大尉は後悔するかのように言った。
「言っとくが・・・ミミズのハンバーグに野ネズミの唐揚げ。あと、マムシの刺身だぞ」
言ったイクスもだが、聞いたスラッシュ小隊以外も聞いた事を後悔した。
隊長達ならやりかねん! と分かっていても抵抗は有る。
そうこう言っている内に目標地点に付いてしまった。
「各機、予定通りに行くぞ!」
「了解!!」
一気に全員が表情を引き締めた。お笑い部隊から戦争の狗に変る瞬間である
スラッシュ小隊以外の機体が速度を落し、スラッシュ小隊は更に速度を上げた。
僅か4機だけが先行する形となった閃光の爪隊でタケルが感心するように言った。
「しっかし・・・隊長って口上手なのか無茶苦茶なのか分かんないッスね」
「フッ!」
タケルの褒めてんだか貶してるんだか判断しずらい言葉にケンは笑った。
先のフザケタ会話は部隊員達に一時期だけでも緊張を忘れさせようとしたのだった。
間違ってでも作者が薀蓄を語りたい訳でも、壮絶料理を言いたかった訳でもない。
その時、ケンの笑いに水を刺す奴が居た。
「無茶苦茶なだけですわ」
「無茶苦茶なだけだろ」
コウスケとシオンだった。
自分達の親友をフォローするつもりは皆無である。
「お前等・・・」
――ECM、レベルMAXに移項――
ケンが睨むように文句を言おうとした時、今回搭乗している機体の特殊機能が作動した。
更に目標基地がレーダーに映る。
事態を把握したケンは怒るのは後にして指示を出した。
「俺とタケルでPFを潰す、サイトはシオンとコウスケでやれ!」
「「「了解!!」」」
国際軍ヴォナン北東防空基地
その頃、閃光の爪隊が突撃しようとしている基地の防衛隊は怠慢の雰囲気に包まれていた。
「暇だにゃ〜〜どうせ、こんなとこに来る奴なんか居ねぇってのによ」
「そら、そうや」
基地を守るロキに乗っているパイロットは気だるそうに話す。
そもそも、ここヴォナンシティを中心とした付近の地域は非戦闘が原則である。
戦闘になるわけない・・・筈だ。
「いっそ、Jフェニックスあたりでも来れば俺様の実力を披露出来んのによォ〜」
「はははは。冗談は止せって・・・な!」
二人のパイロットは驚いた。
本当にJフェニックスが目の前に現われたのだ。
「ひっ!」
彼等が行動するよりも早く、機体が動かなくなった。
「タケル、あいつ等が来る前に片すぞ!」
「分かってます!」
ケンとタケルは今回の作戦用に受領した新型「JフェニックスS」(*)のコクピットで次の獲物を探していた。
JフェニックスSのSとはステルスの事で、Jフェニックスをベースに改良した隠密性能強化機である。
彼等はヴァリム領内にあるヴォナンシテイを防衛する基地の一つに奇襲をかけていた。
「邪魔!」
ケンの機体に装備されているロングレーザーソードによる横薙ぎの一撃がヴェタール2体の首を刎ねた、ヴェタールは地面に崩れ落ちる。
「もっと! もっとだ、フェニックス!」
叫ぶようにアサシンファングで突撃するタケルの通り過ぎた後には元PFが大量に落ちていた。
隠密機能の所為で基地防衛隊は無防備なままでケン達に喰らい付かれた、機動力が高い部隊だけに攻撃速度も速く防衛隊は混乱する。
チュドォォー――ン!
追い討ちをかける様に今度はレーダー施設が吹き飛び始めた。
そこにはケン達と同系機のJフェニックスSがウイング変形の3連ショットや手持ち式ガトリング(*)などの火器で破壊活動を始めたからである。
「時間は残り2分だ・・・急げ!」
「わ〜った、任せとけや!」
「任せてくださって結構です」
ケンの指示に破壊活動をしているコウスケとシオンは続けながら答える。
ケンとタケルが敵に混乱を招き、その隙にコウスケとシオンがレーダーサイトを破壊する。
考え無しに突撃するような部隊に見えて、実は考えている奴等なのだ!
ガドリングから発射された火線の先には必ずレーダーサイトが存在し、1秒にも満たない時間で穴だらけになる。
1分が過ぎ、2分が経過しようとした時、
「おっしゃぁーー! サイトの破壊完了!」
「こちらも破壊し終わりましたわ」
その言葉を待っていたかのように、基地の策敵圏ギリギリに展開していた閃光の爪隊の残り部隊の指揮を受け持っていたイクスが割り込んで来た。
「こちら基地強襲隊。今から突撃します!」
基地のレーダーが生き残っていれば分かったかもしれないが、基地に16機のPFが接近してきた。JフェニックスにJブラスター、JキャノンやJファーなどの混成部隊であったが通常機よりも比較的に足が速い。
閃光の爪隊の機体は全て高速仕様に改造されており機動力が高いのだ。
並みの特務部隊の数分の一の時間で基地に殴りこむと、大量に残存している防衛隊に攻撃を加え始めた。
第3小隊のJファー・高速砲撃仕様「ヤークト・ライガー」(*)のキャノンがロキのメインフレームを撃ち抜き、第4小隊の空戦型Jファー「スカイファルコン」(*)が対地爆撃で支援火器を破壊していく。
「そらそらそら!」
第1小隊の隊長(女性です)がJブラスターの火器を全開で突撃しながら叫ぶ。
「遅い遅い遅い! 死ね死ね死ねェ!」
元暴走族という設定だけに凄まじいものだ、ページの都合で書けないのが悲しい。
その戦闘(暴走? )ぶりを確認したケンは機体を基地の奥に向けた。
「イクス! 俺等は奥に突っ込む、後は任せる!」
「了解しました!」
イクスに指揮を頼むとスラッシュ小隊の面々で基地の奥に向かう。
部隊の過半数を失い、閃光の爪隊の1から4小隊の猛攻の前に基地防衛隊は追撃は不可能。
僅かな時間で基地の奥にある施設・・・大規模な防空火器施設に迫った。
この基地への襲撃の本当の目的が防空設備の破壊なのだ。
スラッシュ小隊の各機が手当たり次第にロックしていく。
「往生せいやァァ――――!!」
ケンの振り下ろしたロングレーザーソードが大気圏を狙うような長大な砲身を持つレールガンを破壊。
「当たれ、当たれ!」
言葉とは裏腹にタケルのJフェニックスのウイング可変の3連ショットは確実に対空ミサイルに当たり、多大な誘爆で爆炎を撒き散らせていた。
無抵抗の状態で破壊活動をしているのだから仕事は早い。
1分も経たないうちに大型の対空火器は潰れ、中型や小型も残り僅かな状態に減った。
「スラッシュリーダーよりメテオ・ゼロへ。施設の破壊は無事終了。以後、掃討に入る」
遥か彼方にある指揮所に向かってケンは報告すると破壊を続行した。
後の事も考えると徹底的に基地を破壊しておいて損は無い。作戦予定でも破壊の規模に関してはやれるだけやれと書いてあったのだから問題は無いのだ。
そう言う訳で必死の思いで追撃してきた防衛隊の生き残りPFや残存施設への破壊を続ける。
目に入った物から選り好みせずに破壊していたタケルは今度も視界に入ったミサイルに向けて3連ショットをロックする。
「後、どん位あんだよ・・・な?!」
トリガーを引いた瞬間、ミサイルの脇に人が居たのが見えた。おそらく整備員か何かがメンテナンスをしていた
時に襲撃されて逃げ送れた為に居たのだろう。
ミサイルに当たった光弾は外壁を突き破って内部の炸薬にぶつかる。
その衝撃で炸薬は破裂して隣の炸薬に広がっていく。
ミサイルは燃え上がった、整備員か何かの人と共に。
そして、その光景はタケルの目に焼き付いた。
「う・・・うわぁぁーーーーーー!!」
その瞬間、恐れていた現実と忌まわしい思い出が甦った。
そしてタケルの意識は闇に落ちた。
惑星J衛星軌道上、アルサレア要塞衛星「メテオゼロ」
惑星Jの衛星軌道上に一機の人工衛星が光を発していた。
何故なら内部で軍人達が必死に働いていたからだ。
その司令官用シートに座っていたジジィ、ゴルビー参謀本部長はケンから入って来た通信を受け取ると、少し思案して決断を下した。
そして、この場に居ない補佐に通信で話し掛ける。
「ヴァイス君・・・地上の彼等がやってくれた様だ」
彼が話すヴァイスとはアルサレア軍大佐ヴァイス・ランドールであった。
パイロットとしても優秀なだけでなく、聡明な戦略家の顔も持っているために参謀補佐の役も今回得ていた。
「そのようですな。作戦の第2段階に入るべきでしょう」
優秀な補佐の判断が確認出来た事もあり、ゴルビーは通信マイクを手に取り叫んだ。
「作戦シークエンスを第2段階に移項! 健闘を祈る!」
ヴォナンシティ・国際軍司令部
ヴォナンシティに存在する国際軍(現実世界で言う国連軍の様な物)のトップに位置する総司令はアルサレアの作戦に度肝を抜かれていた。
「アルサレアが北西の防空基地を制圧だと! 馬鹿なぁ!」
国際会議場の存在のために非戦闘地域となっている地域に侵攻し、更に基地を制圧したのだから驚く。
普段ならば考えもしないが、今回の国際会議はアルサレアへの戦争介入を世界各国に呼びかける為の者でも
あった、アルサレアが行動に走る可能性も考慮が出来るはずなのだが、出来ないのが彼の限界なのだ。
司令ほどではないが混乱していたオペレーターが更に緊急事態を知らせる。
「アルサレア国境線より入電! 大量の輸送機が国境線を越えて、こちらへ向かってるそうです!」
その言葉に総司令は先の基地襲撃が輸送機によるヴォナンシティへの空挺作戦だと考えた。
彼は頭の中で妄想を繰り広げる。
(そして、そのまま国際会議場を制圧して要人達を人質にするか・・・面白いが詰めが甘い!)
突飛的な判断だが所詮無能者である。
「エリア内の国際軍に通達! 防空仕様に換装してアルサレア輸送機隊を迎撃せよ!」
「司令本部より全基地へ・・・防空仕様に換装して迎撃せよ。繰り返す・・・」
満足顔の総司令に参謀が意見してきた。
「司令。ヴァリムの出向部隊に参戦要請を出されては?」
参謀は総司令と違って優秀である。非戦闘地域に篭っている国際軍の練度の低さを理解している。まともに戦ったらアルサレアの精鋭に瞬殺されるのがオチだと分かりきっていた。
しかし、総司令の顔は急に不機嫌顔になる。
「あんな奴等に力を借りる必要など無い! 貴様、クビにするぞ」
自分を天才だと思い、さらにヴァリムが世界の王者と信じている彼にとってヴァリム穏健派は下等な兵と見下している。
そして穏健派が集まる出向部隊も当然見下していた。
参謀は黙るしかなかった。
ヴァリム、非戦闘地域・北西エリア
司令本部から命令を受けた国際軍のPF隊は防空仕様に換装すると我先にと迎撃地点に出撃していった。
殆んどの兵が初陣と言う(非戦闘地域だから)戦力ではあるが、国際会議場を守るという大義名分の為に数は多い。
そして態度もでかく(?)、真面目さも無い。
「ったく・・・せっかくのデートをどうするんだよ、ええ!」
その辺の背景と変らない扱いの少尉が愚痴をこぼした。
「ぼやくな、ぼやくな。さっさとアルサレアの卑怯雑魚を潰して飲みにでもいきゃあいいんだからよ」
同僚は笑いながら慰める。
はっきり言って閃光の爪隊以上に不真面目だ(まて)。
彼等の目には覚悟も精悍さも無く、雰囲気からして初陣だろう。ガルスキー財団と深い関係を持つ親の七光りで来たと言うのが事実だった。
話している内にレーダーに反応、低空を飛ぶ飛翔体が捕捉された。
「結構、低いな」
名も無き兵士Cが輸送機の大群が低空飛行をして来た事を口にする。
「ヴァリムの勢力圏を抜けるために低空を飛んできたからだろ?」
今度は珍しく真面目そうな兵士が答えた。
アルサレア国境を抜ければヴァリムの国土である、各所のレーダーサイトが目を光らせているのだ。捕捉されれば迎撃機や対空ミサイルの雨が来る。
その目から逃れる為に低空飛行は極めて有効なのだ。
「う〜し〜各機、発射よ〜〜うぃ!」
隊長格の人物が低空を飛行する為に比較的低速な事で楽勝ムードを感じながら対空砲撃の用意を始めた。
ヴェタールやロキに装備されている対空ミサイルや対空弾を装填したレールキャノンが仰角を上げる。
「撃てぇ――――い!」
発射命令と共に膨大な数のミサイルと砲弾が輸送機に浴びせられる。
空挺降下を任務としたタイプは装甲が厚いので数秒は守ったが、純粋な輸送を任務としたタイプは一瞬で火だるまに変った。
「よっしゃぁーーーー!! 続いて降下してくるPFを撃ち落せ!」
隊長格の兵士が輸送機から脱出してくるPFに追撃命令を出した。
彼のヴェタールはもとより他の僚機も空を警戒し続けている。
数秒の静寂・・・
「何も降りてこない?」
ズガァぁ―――ん!
何時までもアルサレアの生き残りが落ちてこない事を不可思議に思った瞬間、周囲のロキ対空仕様やヌエ対空仕様が吹き飛んだ。
実際のところ輸送機内には一機もPFは搭載されておらず、無人仕様で飛んでいたのだ。
更にレーダーから西部よりPF群が接近してくると言う表示が映る。
目視でもJブラスターやJグラップラーなどの陸戦部隊の大群が確認できた。
「馬鹿なぁ! ・・・ウワァァー――――!!」
信じられないと口にしようとしたが、その前にバスターランチャーの緑色の閃光が彼を焼き尽くした。
惑星J衛星軌道上、アルサレア要塞衛星「メテオゼロ」
メテオゼロの格納庫には多数のPFが最終チェックを終えようとしていた。
その格納庫の中にある一機のJフェニックスのコクピット中にパイロットスーツを着ず、代わりに清潔さと上品さを醸し出すスーツを着たアルサレア首相「フェンナ・クラウゼン」が座っていた。
その彼女の近くにあるモニターに映像が映った。
「こんにちは〜フェンナさん、気分は悪くないですか〜」
マイペースそうな声で話してきたのはエドである。
彼はフェンナが行なう偉業の重大さから来るプレッシャーを少しでも和らげる(ただ単に話したいだけかもしれないが)為に何度も話し掛けていた。
「大丈夫ですよ、エドさん。皆さんが守ってくれますし、私も頑張ろうって思って力が湧いてくるんですよ」
その声は一人の少女ではなく、一国の代表者としての風格が漂っていた。
さらに別の通信モニターが起動する。
「ありがとうございます。フェンナ様の信頼も私達の力になります」
入ってきたのはシリア・ブルーナイト。彼女は上官と共に今作戦でのフェンナの護衛を任務としている。
更に言えば暗部からエドと一名「ナナシノ・ゴンベエ」と呼ばれるパイロットも同任務の為に小隊を組んでいた。
フェンナにニッコリとした表情で返すと、今度は戒めるようにエドを見た。
「それよりもエドワード少尉? その服装は何ですか?」
シリアにとってエドの服装に対する疑問が主題だったのだろう。
確かにエドの服装は変を極めている。
「これですか? 作務衣(さむえ)ですけど?」
そう! 通信モニターに映っているエドの服装はパイロットスーツではなく、作務衣であった。
作務衣とは僧の方々が作業をするときに使う作業着の事である。
気密性は当然として防弾性も無い。
「ですから・・・なんでパイロットスーツじゃないんですか」
「どうせ地上に降りるんですし。だったら動きやすい服装の方がいいじゃないですか?」
エドの言葉にシリアは返す言葉を無くしてしまった。
宇宙で撃墜されたらどうするんだ! という言葉を聞いてもエドは気にしないだろう。
その様子をフェンナはクスクスと笑っていた。
(信頼してくれる皆さんの為にも私は絶対に引きません・・・お父様、姉さんそれに○○○さん。見守ってください)
今は亡き二人と、そして友人にライバル宣言された相手の顔を想いながら成功させると決めていた。
「フェンナ様。そろそろ出撃の時間です。準備はよろしいですかな?」
フェンナの乗るJフェニックス複座型に一人の男性が入ってきた。
男の名はヴァイス・ランドール。今回、ゴルビーの補佐と共に現場での直接指揮とフェンナ護衛部隊の隊長を任せられていた。
「大丈夫です、ヴァイスさん。皆さんが力をくれましたから」
迷い悩み、そして嘆くよりも、今自分に出来る事をすると決めた決意の笑顔である。
その顔に満足を覚えたヴァイスは部隊員達に激励を送った。
「シリア君にエド君、ナナシ君。我等が姫君のためにも頑張ろうではないか」
「「おおぉ〜〜」」
「了解しました」
フェンナ護衛隊の士気は一気に急上昇した。
メテオゼロ・指揮所
フェンナ達が作戦成功に向けて意気込んでいる頃、指揮所は最終シークエンス実行の為の準備で多忙を極めていた。
現に指揮をとるゴルビーにオペレーターから大量の連絡が集中する。
「防空基地攻撃隊のスラッシュリーダーより入電! 基地の完全制圧に成功、1名が気絶し各機が多少の被弾をしたものの戦闘続行は可能とのことです」
「補給隊を向かわせろ。その後、制圧隊に合流させるんじゃ」
今度は別のオペレーターから連絡が入る。
「北西エリアでの我が軍が勝利しました。以後の指示はどうしますか?」
「そのまま南部に進軍させる。進撃速度は低速で構わん! ただし、退路の確保は万全を期させ」
「はっ!」
そして遂にゴルビーが待ち望んでいた報告が来た。
「格納庫より伝令! 全部隊の出撃準備が整ったそうです!」
「まことか!」
これまで、サーリットンでの陽動や閃光の爪隊の防空基地制圧、さらにカラ輸送機をワザと撃墜させて敵部隊に奇襲を掛けるという囮行動は全て最終シークエンスの為の布石だった。
満を持した事を確認するとゴルビーは叫んだ。
「これより最終シークエンスに移る! カタパルト用意!」
「イエッサー!」
オペレーターの返礼と共にメテオゼロの外郭の一部が展開した。
メテオゼロとは元々はヴァリムの開発したミサイル衛星である。
前に(本編12話)破壊した奴を回収・改修してアルサレアの戦闘衛星としたのだった。
カタパルトも対地ミサイル発射管を改造したものであり、シードラボ同様アルサレア宇宙軍の要であった。
「カタパルト・・・発進準備整いました!」
「今から3分後に発進させる・・・目標、ヴァリム領、ヴォナンシティ、国際会議場!」
そこまで言って基地全体に繋がるマイクを取って続ける。
「全軍に告ぐ! 我々は新首相フェンナ様の演説の為に国際会議場に降下をする! アルサレアの正しき姿を世界に認めさせる為にも、そして勝利の為にフェンナ様を無事に届けるのじゃ!」
おおぉぉーーーー!!
メテオゼロの各所から歓声が上がった。
そして締めくくる様に叫ぶ。
「興国の興廃、この一戦にあり! 各員、奮励努力せよ!」
同時にオペレーターが告げる。
「各機、発進します! 御武運を!」
フェンナとヴァイスの乗るJフェニックス副座型が。そしてムラキ中隊やグレン小隊のPFが次々と射出され、大気圏用バリュートを展開。
惑星Jの地表へと降下していった。
その様子をゴルビーは敬礼したまま見守っていた。
後書き
と言う訳で第4話「コン・ゲーム」(騙しあい)が出来ました。
実際・・・ヴァリムが騙され続けてるから騙しあいじゃない気もしますが、突っ込まないで下さい(まて)
本当は火曜日に完成するはずだったんですが、学校が無駄な時間を掛け過ぎてる所為で遅れました(言い訳)
本当は倒れたタケルの事もやりたかったんですが、時間が取れなかったんですので次に廻します(おい)
今回、そして次以降に昔から考えていたPFのヴァリエーション機が出てきますが、それは別紙の設定集にまとめます。
次はいよいよ降下部隊の活躍です。特にシリアとエドが凄いです!
続きはもしかしたら来週の火曜あたりです。
では!
オマケ
コン・ゲーム:言葉。
騙しあいと言う意味
閃光の爪隊の部隊編成:前々から書こうと思ってたんですけど忘れてましたので書きます(今頃)
閃光の爪隊は第0小隊、第1〜4小隊で編成されており、0が指揮と強襲、1が突撃、2が機動攻撃、3が砲撃戦、4が航空戦を得意とする編成となっています。
メテオ・ゼロ:オリジナル。
本編12話でグレンリーダーが陥落させたミサイル衛星を回収して作ったアルサレアの宇宙衛星。
シードラボが研究施設として重点を置かれていたために指揮通信や支援砲撃力が劣っていた為に建設したような物。
カタパルトは対地ミサイル発射管を改造した為に狙いは良好!
MRE(即食用個人食糧)NO12:食べ物
戦闘用の携帯食料の事。携帯性や保存性が高いのだが味は期待できない。
メニューアメリカの実際にあるレーションのメニューを流用しました。
ケンのゲテモノ料理:食べ物
・・・何も聞かないで下さい(謝)
JフェニックスS:オリジナル兵器
私が考えたJフェニックスの隠密仕様のヴァリエーション機。
設定集を書きますので、それで詳しく書きます。
手持ち式ガトリング:オリジナル兵器
BTのOPに出てくるガトリングガン。
Jファー・高速砲撃仕様「ヤークト・ライガー」:オリジナル兵器
私の考えたJファーのヴァリエーション機。
詳しい設定は設定集にて
空戦型Jファー「スカイファルコン」:オリジナル兵器
私の考えたJファーのヴァリエーション機。
詳しい設定は設定集にて
ロキ対空仕様やヌエ対空仕様も同じです。
北西エリアで、輸送機がカラなのにPF部隊が奇襲を仕掛けれたか:
これは閃光の爪隊と同じく、1週間まえからPFのみで侵入して、隠れていたからです。
シリア・ブルーナイト:双首蒼竜様からお借りしました。
金髪碧眼の女性。階級は少佐。
年齢は二十代半ばで、かなりの美人である。
ヴァイス小隊の良心で、暴走しがちな彼らを止めることのできる唯一の人物。
惑星Jにおける最古の拳法[夢幻星光流]を極めた女性であり、拳の一撃はPFの装甲すらブチ抜くと言われている。また、その技術はPF戦闘にも生かされている。
かつてヴァイスに命を救われたことがあり、以来、彼を敬愛している。
ヴァイス・ランドール:双首蒼竜様からお借りしました。
白髪の壮年男性。階級は大佐。
かつてはグレンリーダーと共にグレン将軍の近衛兵を務めたこともあり、彼とは戦友の間柄。指揮、作戦立案、戦闘能力、PF操縦技術すべてにおいて隙のない、まさに最強の軍人である。
人を食ったような笑みを常に浮かべ、戦闘時も余裕を崩すことがない。
かなりのヘビースモーカー。
同小隊のシリアとは年の離れた恋人関係であり、二人の間には過去に因縁がある。
ナナシノ・ゴンベエ:名前だけのキャラ。
キャラ辞典には付け足さないでも問題無しのキャラ(酷)
○○○さん:用はグレンリーダーです。名前はそれぞれなのでこうなりました(笑)
管理人より
神楽歌さんより第4話をご投稿いただきました!!
そして目的地でも遂に戦闘開始(笑)
しかしタケルは………次回に期待!(爆)
それにしても、ケンはいつもの事ながら……(苦笑)