読む前に:この話はガンパレードマーチのシナリオを元にして構成されています。話の中でのセリフのほとんどが作者が考えた物ですが、「原作のセリフを元にしたセリフ」がたまに入る事があります。話の関係上の為ですのでご了承ください



これは二つの物語が一つになった一例である。









機甲兵団Jフェニックス+高機動幻想ガンパレードマーチ




翼と翼をつなぐ歌









 

 第1話「ふざけた世界」



 ここは日本・九州熊本地区天草、その上空に空間の揺らぎが突如出てきた。

「ふぅ〜う、皆さん、瞬間転移の実験は終了で〜す」

 輸送機の無線から搭載されていたPFにルリエルの通信が入ってきた。

「こちらグレンリーダー。了解、現在地の確認をしろ」

「了解しました〜…」

 グレンリーダーはルリエルからの通信を切ると同乗していたほかの機体に通信を送った。

「こちらグレンリーダー。みんな異常は無いな?」

 その通信にどのPFからも異常なしの報告が来た。

「じゃあ、各自待機だ。ここの場所が解り次第追って指示する。」

 グレンリーダーの待機命令を聞いた隊員達は雑談をはじめる者、持ち込んで置いた携帯ゲームを始める者などやりたい放題になった。

 そんな中で同じグレン小隊のアイリとキースがグレンリーダーに話し掛けてきた。

「まずは第1段階の成功おめでとう、と言うところですね。この任務、予想通り休暇になりますね」

「ああ。だが、ここがどこかは今のところは不明だ。場合によっては戦闘になるかも知れんぞ。」

「隊長はマイナス思考だねぇ〜、もっとプラスに考えるのも良いんじゃない?いっそ、このまま空のドライブなんてのは?」

 キースの発言は職権乱用そのものだった。

 案の定、アイリの怒鳴り声が響く!


「キース!あんたは前向きじゃなくてふざけすぎよ!」


 その大声はその場にいたグレンリーダーとキースだけでなく通信すら繋いでいないほかのPFにも響いた。

 どのPFからも「何事ですか?」などと通信が入ってきたぐらいだった。

「隊長、あの馬鹿の言ったことは気にしないで下さい。後で私が修正しときますから…」

「いっ、いや、もう慣れたから問題は無い。」

 さすがにこれまで共に戦ってきた関係である。呆れと女性の男性に対する力強さに気圧されながらも何とか答えたグレンリーダーだった。



「グレンリーダー、応答願います」

「どうした、ルリエル?」

 他愛の無い雑談を繰り返していた所にルリエルからの通信が入った。その声は少し焦ってがあった。

「はい、機体異常ですがGPSなどのナビゲートシステムが原因不明の故障を起こしました」

「原因不明?」

「はい、異常は無いのですが全然繋がらないんです。」

 電子工業が発達しているアルサレアでは、電子部品の故障はヴァリムの故障率に比べるとおよそ20分の1の差が出ていた。それだけアルサレアの品質は良好な物だった。

 まして実験用のものである以上は特に厳選されているはずである。

 その部品が故障と言うのはいささか腑に落ちないものであった。

「分かった。方位磁石は生きてるな?」

「使えますね。」

「…では、最寄の基地を探します。」

 グレンリーダーは通信を切ろうとしたルリエルに付け足した。

「それからルリエル。そんなに言葉遣いを気にしなくて良い。君のいつもどおりで話してくれ。結構、きつそうだからな、君が。」

「ううぅ〜っ、そこまで言ってくださらなくてもぉ〜。では、特尉同様いつも通りで行きます〜」










 

 所変って熊本市街地


「諸君達の働きにより子供は救出された。御苦労!」

 闘が終わるなり5121小隊司令善行忠孝は戦闘が終わると部下たちに戦闘終了の意味をこめて言った。

 同乗者のオペレーター瀬戸口は皮肉そうな顔をしていたが無視を決め込んだ。

「やった!」

「やりましたね、私達!」

 前線で戦っていた者たちから歓声が聞こえてきた。

 初陣で大戦果・被害無しである。はしゃぐなと言う方が無理だ。

 ただ、彼等に聞こえないように瀬戸口は善行に言った。

「次からが大変ですね…」

「分かっています。」

 勝利の実感に高揚している者達に聞かせないように言った。

 負ければ死。勝っても「栄光な戦場」

 どちらに転んでも苦難しか選択肢は無かった。

 プルルゥゥゥゥゥゥー―――――ッ!

 不意に指揮車内に通信音が鳴り響いた。善行は通信スイッチをオンにした。

「俺だ」

 通信の主は挨拶も無く話し始めた。

「天草に敵の大部隊が出現したそうだ。防衛線を構築する、よって貴様らはそれまでの時間稼ぎのため出撃要請がきている」

 出撃依頼とは、おそらく彼と同クラスの階級者からの援軍要請のようなものだった。

 その命令に無駄だと分かっていても善行は意見せずにはいられなかった。

「はい、いいえ準竜師。我が隊は先ほど戦闘が終了したばかりですが…」

「ふん。俺を忌々しく思っている輩が貴様らの壊滅を見たいだけだろうな。」

 この会話は盗聴されていたら軍法会議物だった。それにも気にせず善行は食い下がる。

「兵の無駄遣いは好まない、そうおっしゃったのは閣下ですが」

 実際、部隊との初顔合わせの時、準竜師はそう言ったのだ。

「貴様は自分達の戦力を過小評価している。それにだ…」

 そこまで言って咳払いをした後

「身の程をわきまえない奴らに一泡吹かせて見せるのも一興だ。もうすぐ風が吹く。以上だ」

 そこまで言って準竜師は会話は終わりだ、目で語っていた。

「了解しました。最善を尽くします」

 根っからの軍人である善行に反論する事は不可能だった。

 モニターが消えた後、オペレーターの瀬戸口が深刻そうに話し掛けてきた。

「正直、あいつらにこれ以上の無理は禁物でしょうね。」

「分かってます。」

 準竜師に返答したものの、善行はこの作戦に乗り気ではなかった。

「瀬戸口君、出撃前に各機体の整備を行ないます。故障の無いように隅から隅までやってもらえるように整備班に伝えてくさい。」

「了解。」

 善行の思惑を理解した瀬戸口は整備班にその旨を伝えた。

「司令…狸ですね」

「なんとでも言って下さい」

 善行は瀬戸口の皮肉にただそう答えただけだった












 

 またも輸送機内


「グレンリーダ〜!緊急事態でーす!」

 輸送機内で待機していた中でルリエルの声が騒がしく響いた。あまりの大声に呆れたのかケイオウは戒めるように言った

「ルリエル…聞こえるからもう少し静かに言ってくれ」

「特尉、それよりも緊急事態ですよ〜」

 自分が戒められている事を一蹴しながらルリエルは続けた。

「現在地なんですがデータ―ベースには何処にも載ってないんですよ〜」

「「「なにぃ!」」」

 グレンリーダー以下、その場に居た者から驚愕の声が響いた。

 彼らの輸送機のデータ―ベースにはフィレッア大陸全ての地形データが記録されている。それに該当しないという事はフィレッツア大陸ではないという事になる。

 事態を重く見たのかグレンリーダーは様々な考えを頭の中でシュミレートしていた。

「グレンリーダー、良いか?」

「何だ、特尉」

「俺達ヴァールハイト小隊が偵察に行ってこようか?」

 ケイオウはグレンリーダーに意見をした。

「そうだな…よし頼む」

「俺達も行ってくる…」

 グレンリーダーがケイオウに許可を出すと同時にスラッシュ小隊隊長のケンも偵察の許可願いを出した。

「人数は多いほうがいいはずだ。グレン小隊はこの場で輸送機の護衛を頼む」

「…了解した。何かあったら連絡をくれ」

 グレンリーダーは心配そうに言った。

 彼の頭には「もう誰も大切な人は失わせない!」その一点が彼の信念であるからだ。

「ラムス、シェル。出撃後に回線を秘匿にして10分後に連絡する。」

「「分かった」」

 ケイオウは二人の養子にそう言うと愛機ヘルフェニックスのブースターを巡航モードにし飛びたった。

「私のことを無視するなんて良い度胸ですわね」

 唯一、呼ばれなかったゴールドは、後でケイオウに対する仕返しを考えながら追従していった。






 10分後

「ここらで良いか…ゴールド、この場所に覚えはあるか?」

「そうですね、この場所に覚えはありますよ」

 自分に最初に聞いてきた事がうれしかったのか、ゴールドはさっきまでの凄惨な仕返しの事を忘れて、すぐに返答した。

「やはりな…ここは。」

「ええ地球、たぶん日本の天草地区ですわね」

 その呟きにケイオウ、ラムス、シェルは黙ってうなずいた。






 そのころスラッシュ小隊は

「にしてもケン、なんだって山が多いんだ?」

「俺に聞く事が根本的な間違いだと知っていってるだろ…」

「当たり前だ」

 出発してわずか5分で隊長のケンと副官のコウスケは漫才を始めていた。

「冗談は置いといてだ」

「貴様の場合、冗談も本音もたいして変わらん気もするがな…」

「ケン…、頼むから喋らせてくれ…」

 ため息を吐きながらコウスケは続けた。

「正直、俺は最初はミラームーンのゴスティール山脈かと思っていた。」

「確かに…あそこなら山が多いですからね」

 コウスケの考えにそう答えたのは、同じくスラッシュ小隊のシオン・フロド(T.Kさんと区別の為言っておきますが女性)だった。

「だがここの気温は寒いといっても極地レベルじゃない…せいぜい涼しい程度だ。ゴスティールはかなり寒いのは覚えてるだろ?」

「結局、「ここがミラームーンじゃ無い」ということが分かっただけだろ…」

「まぁな」

 結局、事態が何も変わってないことに気付いた4人はそのまま偵察を続けた。

 その中でタケル・ミラーソードはいささか違和感を覚えていた。

(何だろ…この風景。どっかで見た事があるような…)

「どうしました?」

「えっ、ああシオンさん。いえ、ここ、どっかで見た事があるような気がするだけです」

「いつごろ?」

「それが思い出せないんですよ」

 そう言いながらタケルは必死で思い出そうとしていた。

 その傍らで今だケンとコウスケが漫才をしていた。

「じゃあ、未開の地ってことでGエリアか?」

「あそこはもっと寒いだろ…」

 いつまでも不毛な話し合いをしている事にシオンは腹を立てたのか二人の通信に怒鳴り込んだ。


「いい加減しなさい!!」

「「はっ、はい!」」


 二人は一瞬にして縮こまった。

 何故彼らが簡単に彼女に言う事を聞くのか?

 階級上ではケンが少佐、コウスケが大尉でありシオンは少尉だった。

 だが、シオンの実力は彼等のそれを凌いでいた。

 PFの操縦技術は概ね3人とも同等だった。

 だが、素手の場合はシオンの実力は想像を絶する物である。

 アルサレア首都オルフェンで28人ほどのチンピラに襲われた際、僅か2分で全員を病院送りにしたぐらいだ

 ケン、コウスケが逆らわないのも分かるという物だ。




 5分後…

 周辺を偵察しながらシオンはタケルに話し掛けた。

「タケル君、何か思い出せた?」

「シオンさん…後一歩なんですけど、何か特徴的なものを…」

 そう言っているとき彼等のPFに未確認機接近を告げる音がなった。

 それまでのふざけた雰囲気から凶悪な破壊魔の顔にみんな変わった。

「機体判別は…ヘリに、何だこれ?!」

「どうした?」

 コウスケの驚愕の声にケンは空かさず反応する。

 あまりの内容にコウスケの口から呆れた声が流れた。

「…冗談きついな?」

 そう言っただけである。

 ただこの時、タケルの頭に出た考えは違っていた

(あれって…自衛軍の"きたかぜ"だよな?それにあの赤目…どういうこと?)

 誰もタケルがそう考えていた事に気付く者は居るわけはなかった







 

「こちらスラッシュ小隊。応答せよ。繰り返す応答せよ」

「こちらルリエル。どうしました〜」

 ケンから緊急通信が入った事に気付いたルリエルは輸送機の機体制御をオートに代えると、手元のコンソールの内容をオペレーターモードに切り替えた。

「グレンリーダーに代わってくれ。頼む!」

 ケンには珍しい切迫した声だったためルリエルはすぐに回線を繋いだ。

「こちらグレンリーダー。スラッシュリーダー、どうした!」

「今、ヘリに攻撃を受けてる!それと驚くな!」

「何だ!」

「…怪獣にも攻撃を受けてる!」

 あまりの突拍子も無い内容にグレンリーダーの口から二の句は告げられなかった。








 

 5121小隊サイド

「何?幻獣の一部が引き返して行くだと!」

 オペレーターからの報告を聞いた善行は驚きの声を上げた。

「はい。俺らの出撃地点にいた奴らの5分の4あたりが後方に下がったみたいですよ」

「……」

 善行はかなり考えた。

 今のところは士魂号の稼働率の低さを利用し出撃を延ばしていたのだ。

 当初は敵との戦力差は3倍。勝算はかなり低く、「犬死するのでは?」と思ったぐらいだった。

 だが、今の敵の戦力はさっきのそれをはるかに下回る。出撃のタイミングとしては今以外に無いと思っていた。

「分かりました…出撃しましょう!」

「了解しました。しかし、さっきまでとは打って変わっての違いですね」

「今のは軍法会議モノの発言ですよ、瀬戸口君」

 瀬戸口は肩をすくめただけだった。







 

 スラッシュ小隊の状況


「だぁーーーりゃーーーーぁ!」

 タケルは気合のこもった大声と共に右手のアサシンファングを突き出しながらブーストペダルを全開にして駆け抜けた。

 その先には、人型でありながらおおよそ人からかけ離れた姿・両腕が異常に長くその先はハンマーのような形で、全身がまるで鎧を着た体格の良い牛人間のような8メートルの怪物…ミノタウロスに向かって行った。

「1ッ機、撃破!!」

 タケルの景気の良い撃破報告と共にミノタウロスはアサシンファングの一撃で横一文字に両断されていた。両断された体から鮮血が飛ぶ。

「敵は…歩兵サイズ!なら!」

 そう言いながら目の前より迫って来る化け物たち…1メートルほどのサイズとそれが2メートルに大きくなった異形の物、全身が人間とは根本的に違い、下腹が異常ふくらんでいて、手が蟷螂のように弧を描き、先はのこぎりのようになっている。顔には紅い目しかないモノ達・ゴブリンとゴブリンリーダーが約150匹ほどの集団で襲ってきた。

 タケルの対応は的確だった。

 アサシンファングの威力は確かに大きいが歩兵のような小型の敵を狙うには不向きを通り越して無駄である。

 メインパーツに内蔵されているツインマシンガンで掃射したのだ、弾煙の後にはたくさんの屍が転がっていた。

 だが、それでもゴブリン達の集団はタケルへの突撃を止めなかった。

 圧倒的な優勢を感じたのか?それとも、倒しても倒しても迫って来るゴブリン集団に恐怖したのか?

 タケルは後ろから迫ってきたミノタウロスの存在に気付くのに多少の時間が掛かった。

 気付いた時にはもうすでにミノタウロスのハンマーのような手が振り下ろされようとした時だった。

(やられる!)

 そう思っていた目の前でシオンのJファーカスタム・グラップラ−仕様が見事な空中三段回し蹴りを放っていた。

「タケル君、大丈夫?」

「ありがとうございます、シオンさん」

 そう言いながらもタケルは目の前のゴブリンの集団に目を向けた。

「俺が、小物を片付けますからシオンさんはあのミノ介を頼みます!」

「了解しましたわ。それにしても言うようになりましたわね」

 シオンはタケルの案に乗り、ミノタウロスやそれを4足歩行型に代え、背中に長距離生体ミサイルポッドを増加した化け物・ゴルゴ―ンに向かってノーマルサックとスパークフックで殴りかかって行った。

 だが、タケルがミノタウロスの名前を口にした事に気付いてはいなかった。



 二人が戦っている時、ケンとコウスケも目の前の敵に攻撃を繰り返していた。

 タケルとシオンがJファーカスタムの改修機なのに対し、こちらはJフェニックスとブラスターであった。

「しっかし、こいつら…知能低いんじゃねぇーの?」

 コウスケは目の前のゴブリン集団に右肩のキャノンで溜弾を発射しながらケンに通信を送った。

「確かに個体ごとの性能は高い…あの牛みたいなヤツは機動力はおおむねヌエと同等、だが装甲はヴェタール級だ。しかし機動力と攻撃のパターンが乏しいな」

 ケンは冷静に判断していた。その反応にコウスケも無言で肯定した。

 二人は当初の「怪獣」という驚きがあったものの、さすがはプロである。すぐにその観念を捨て去り、圧倒的な数の差でも的確に大物狩りと小物潰しを状況に応じながら分担して戦っていた。

「右からチビ介共、左から…また新しいのが来たぜ、ケン!」

 上空から幻獣にサブマシンガンで掃射をしていたケンにコウスケは敵の増援を発見したという通信を送った。

「ああ、何と言うか…あんま良い気分じゃないな、あの面じゃな…」

 左翼からケン達に向かってきた幻獣、ナーガと呼ばれる長さ12mのヘビ型の異形のモノ達が横一文字で迫ってきた。

「何やらかす…って、あぶねぇ」!

 ナーガが体の左側をコウスケに向けるとそこに付いていた紅いモノから多数のレーザーを一斉に、しかも複数で集団を組んでいるから膨大な数のレーザーがコウスケに襲って来た。

 美しい女性の顔を持ってはいるが体の両脇には多数のレーザーを発する目を持っていたのだ

「…コウスケ、生きてるか?」

「ああ、何とかな。心配してくれてんのか?」

「…生きてたか。残念

 状況が悪化したというのにもかかわらず、ケンとコウスケは相変わらず余裕で漫才同然の会話をしていた。

 後方から高速で接近中のPFが誰であるか予想がついていたからである。


「無事かぁー―!?ケン、コウスケ!」

 グレンリーダーはそう叫びながら、搭乗しているJアームドのメインパーツ内蔵兵器・コアバスターをナーガの集団に向けて発射していた。横一文字隊形であったナーガはその一撃で20匹全てが消滅していた。

「「…」」

 だが、ケンとコウスケは押し黙りながら目の前の敵を潰していった。

 何故そのような行為に走られたのか分からないグレンリーダーは目の前のミノタウロスをレーザーソードで一刀両断にしながら通信で訳を聞き返した。

「何故黙るんだ?」

「いや、一人で突っ込んできたことに呆れただけだ…」

 ケンも両手で持っているロングレーザーソードで目の前のミノタウロス3匹をまとめて斬り伏せながら淡々と言った。

 さらにコウスケがトドメをさした。

「さすがアルサレア独断専行コンテスト半永久的首位保持者と思っただけさ」

「…」

 二人の返答にグレンリーダーは反論する事が出来なかった。

 反論しようにも否定できない事実であるからだ。

 そんな二人と違って、タケルはグレンリーダーのことを本気で心配したように話し掛けた。

「隊長たちの戯言は置いといて。他のグレン小隊の人達はどうしたんですか?」

 ようやくまともな事を言われ、真面目モードに戻れたのか、グレンリーダーはアームドバルカンでゴブリン達を蜂の巣にしながら返答した。

「あいつらには輸送機でヴァールハイト小隊と合流するようにしてある。それまで持ちこたえる!行くぞ!!」

 グレンリーダーの突撃命令にその場に居た4人は、すでに当初の34%に減った幻獣の中に踊りかかって行った。

「潰す…!」

「さぁ〜て、怪獣退治にでも転職するとしますかぁーー!」

「私の武、存分に味わってください!」

「ここって…まさか!」

「全機、こいつらがアルサレアに来ない様にここで叩くぞ!」

 ケン、コウスケ、シオン、タケル、グレンリーダーは思い思いの言葉を叫びながら、そして今だにここが地球だとは思っていないタケル以外の4人は「アルサレアのために!」と思いながら目の前の敵を屠っていった。

 幻獣たちにその猛攻を耐えられるはずも無く、全滅するのに5分ほどの時間しかかからなかった。












 

 5121小隊指揮車


「司令、敵の撃退に成功しました。それと転進していった幻獣ですが、識別不明の集団に壊滅させられたそうです。」

 目の前のモニターに映った情報を見ながら瀬戸口は報告した。

 彼等、5121小隊は戦力が減った事もあり、連戦でありながら一つも損害も出さずに勝利していた。

「識別不明の部隊ですか…?」

「はい、それで今すぐにその部隊に接触せよとの命令が来ていますが」

「…」

 善行は迷っていた。軍のデータに無い部隊が味方という保障が無い以上、敵である「幻獣共生派」の可能性もあった。


 幻獣共生派とは、幻獣と戦争するのではなく共存しようと考える一派であり、そのためにしばしば軍に反抗したりする者がいる。中には幻獣と話す事ができるという噂もあるくらいだった


 しかし、今回の戦闘は短時間ということもあり、先ほどの「整備」を理由とする時間稼ぎは出来そうに無かったのである。

「分かりました…各士魂号に伝達!座標の地点に急行してください。ですが気は抜かないように、以上!」

「「「「了解」」」」

 腹をくくったのか善行がマイク越しにパイロット達に戦闘継続を伝えた時、彼等から威勢の良い返事が返ってきた。

 連戦で損害無しの勝利をしたのである、自信がついたのであろう。

 3機の侍と指揮車が駆け出していった。








 

 その頃のアルサレア勢は


「ケン!今度もまた未確認機が接近中だ!」

「「「「なにぃ!」」」」

 コウスケのJブラスターのレーダーに今度は新しい未確認機が接近しているとの反応があった。

 その連絡を聞いた4人は驚くのも無理は無かった。

「各機散開!攻撃の際はすぐに反撃に移れ!」

 最も階級が高いグレンリーダーの指示にスラッシュ小隊の面々は従った。

 どの機体も一定の間隔を置き不意打ちにも備えられる様に陣形を立て直した。

「今度は…また生物かよ…。ん、いや今度は車両も一緒だ!」

 その報告を聞いたグレンリーダーはすぐに思った事を口にした。

「分かった。とりあえず、俺が交渉してみようと思う。異論は無いよな?」

 その声に異論を唱えるやつは一人としていなかった。

 そうこうしている内にその未確認機はJアームドやJブラスターの射程に入った。

 グレンリーダーもコウスケも本音で言えばトリガーを引きたい衝動に駆られていた。だが、一歩のところで理性が押し止める形になっていた。

 グレンリーダーが外部スピーカーで交渉に応じようとした時、その前に3機の中で最も細身の機体が外部スピーカーで叫んだ


「かっ!、かっこいいぃぃーーーーーーーーーー!!」


 その叫び声にその場に居た全ての反応が固まった。後ろでカラスが「アホォー、アホォー」と言うような状態である。


「この!たわけが!!」

 士魂号軽装甲に搭乗している滝川陽平が大声で外部スピーカーで叫んだ直後、士魂号複座型に搭乗していた芝村舞も大声で叫んでいた。

 案の定、滝川に善行が説教を始めたのだ。


 芝村は苦々しく思いながらも相棒に会話を続けた

「全く…滝川は何を考えておる!」

「まぁ、舞。滝川って素直なところがあるから…そこがあいつの長所だし。」

 そう答えたのは同じく複座型に搭乗している速水厚志であった。

 滝川は大のロボット好きで、いつもそのような話ばかりしているのだ。

 それを知っていた速水は呆れはしたものの、まだ正気は保てたのだ。


「でも舞。実際…あの機体って士魂号じゃないよね」

「うむ。確かにな。人型という所だけしか共通点はないように見えるな」

二人が分析をしている間に善行が説教を終えたのか外部スピーカーで交渉を始めた。

「私は生徒会連合所属、第62戦車学校5121小隊司令善行忠孝千翼長です。貴君たちの所属と階級を聞かせていただきたい」


 その声にアルサレア勢は誰一人として反応が出来なかった。

 4人は頭に(な、何言ってんだ?)と多少の違いはあるもののそう思っていた。だがタケルは違った。

(生徒会連合だって…!それにさっきの幻獣…まさか、ホントに地球に帰ってきたってこと!)

 ようやくタケルは頭の違和感の理由を理解した。彼の故郷である地球に来たのである。

(だったら…俺がここで所属を言えば何とかなるかも)

 そう判断したタケルは何かを言おうとしたグレンリーダーを遮って叫んでいた。

「自分は、私立青甲学園所属、5129対ドール小隊所属タケル・ミラーソードです。」

 タケルの発言にアルサレア勢はおろか5121小隊も呆然となった。

「おい、何言って…」

 コウスケがタケルの発言に割り込もうとした時、ケンとグレンリーダーが手で制した。

 ケンとグレンリーダーは、タケルが病院で何を言っていたのか知っているため、彼の話が本当である可能性を見出し、本当だろうがハッタリだろうが賭けて見る事にしたのだ。



 

 呆然としていた善行も正気を取り戻したのかタケルに向かって返していた。

「対ドール小隊とは古い言い方をしますね。現在はその名前は駆逐戦車小隊に変わっていますよ。」

 時間の流れに取り残された様な物をタケルは感じたがそのまま交渉を続ける事にした。

「分かりました。千翼長、その部隊の管理に携わっている芝村夕子さんを呼んでくださいませんか?」

「ちょっと待ってください…その前に一つ。5129小隊ですが、すでに存在はしません」

「!?」

 タケルの表情が変わった。

「ですから…なんです瀬戸口君?…はい、分かりました。今、その芝村女史から連絡がありました。繋ぎます。」


 モニターが2分割され片方に少しきつめの顔をした女性が映った。

「向こうでの生活はどうだった?ミラーソード?」

 挨拶もなしにいきなり話し掛けて来られる事に慣れていたのか、タケルはさっきの部隊全滅の事を聞きだそうとしていた。

「そんな事より、5129部隊が全滅ってどういうことですか?」

「…まぁ、実験の成果は後で聞くとしてと…」

「答えてください!」

 いまいち話が噛み合っていないように感じたのかタケルの声の音量が1オクターブ上がった。

「いいわ。本当よ。5129部隊は3月21日…1週間前に阿蘇戦区にて全滅、同伴していた整備部隊もろともにね。」


 夕子の返答にタケルの顔は蒼白に変わった。見かねたのかケンが声をかける

「おい…しっかりしろ!聞いているのか、タケル!」

 その呼び声にも反応せずタケルは呟いた。

「認めない…」

 そして大声で叫んだ


「そんなふざけた事!俺は認めない!」


 周りの物は誰一人として声をかけることは出来なかった。

 ただ、タケルの声が響いただけだった。

 








2話に続く
 


 後書き

 神楽歌です。
 何とか1話目を書き終えました。
 今回、アルサレアの面々が主役でしたがこれ以降もそうなっていくでしょうね。

 このガンパレードマーチは裏設定が多く、その一部しかここで使わない(使いすぎると話が変な方向に向かってしまうから)気ですが、それを補う形(都合の良いように改ざん)でオリキャラを使っていくつもりです。
 これ以降の話では極力オリジナルの会話で行なっていますが、たまにゲームやCDドラマのセリフが入っているかもしれないです。(話の流れ的に言わなければいけない様なセリフです)

 話が長くなってしまいましたが、この後予定では6話完結とする気です。
 途中に打ち切り(?)になるかもしれませんが努力の一文字でがんばっていきます。

 


 管理人より

 神楽歌さんよりガンパレのクロスオーバー作品をご投稿頂きました!!

 さて、これからどうなっていくのか、楽しみですね♪
 


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