警告
 この話は、作者の先走った妄想の産物です。実際のゲームとは設定がまるで違ったりしますが、御了承下さい。
 尚、「そんな事は認めない」という方は、速やかにお戻りになる事をお勧めします。
(管理人より:これはJ2本編発売前に投稿された作品を再掲載した物です)






機甲兵団J−PHOENIX ―ただ一つの願いの為に―




 

 薄闇と静寂に包まれたPF格納庫。常ならば、整備士やパイロットなどが何らかの作業を行なっているのだが、真夜中という時間もあり、今は閑散としている。

 もっとも、この格納庫は特別で、基地内でも極めて機密性の高い場所であり、関係者以外立入禁止となっているので、常にこの様な感じではあるのだが。

 そんな格納庫に聳え立つ、鋼鉄の巨人――PF――。騎士然としたその機体の名はブラフォード。

 ブラフォードはMM計画の主旨の1つである、「人機融合」によって生み出された究極のPFであった。

 「人機融合」。それは文字通り人とPFを一体化させる事。すなわち――。



 

 不意に、小さな、とても小さな溜息が格納庫内に響いた。 

 溜息をついたその人物は、ブラフォードの足元、そこに背中を預ける様にして立っていた。

 パイロットスーツに白衣を纏った黒髪の女性。この基地の司令官である、グロリア・ルバトーレその人が、ブラフォードの足元にいた。

 司令官というものの、彼女の立場は軍内部でも非常に微妙なものだった。

 それもその筈、と言うべきか。彼女は元々ヴァリムの人間ではない。それどころか敵対国であるアルサレアの、それもPF研究者だったのだ。

 一流の研究者として名を馳せていた彼女は、ある時、アルサレアでも屈指のPF開発・研究施設であるシード・ラボの極秘データを手土産に、突如ヴァリムへと寝返ったのである。

 いかに「力こそ正義」たるヴァリムでも、裏切り者への不信感というものが全くない、という訳ではない。彼女の事をスパイだ何だという輩は、それこそ腐るほどいた。

 陰口を叩かれ、後ろ指を指され、それでも彼女は淡々と自分の役割を果たした。時に司令官として、時に研究者として、そして時にパイロットとして。

 たった一つの願いの為に―。



 

「大丈夫。私が必ず助けてあげる」

 そっと、まるで壊れ物に触れる様にグロリアはブラフォードに触れる。

「アークレル…私の愛しい人…」

 アークレル。グロリアはブラフォードの事をそう呼んだ。

 アークレル・レガルド。かつて第202特務小隊――通称レガルド小隊――を率いていたエースパイロットであり、グロリアの恋人でもあった人物。

 しかし、不慮の事故により瀕死の重傷を負った彼は、そのままヴァリムに捕らえられ、MM計画の犠牲者となってしまう。

 MM計画の主旨の1つである「人機融合」PF開発。その実験体として、アークレルは開発中だったブラフォードに組み込まれてしまう。――PFのメインコントロールシステムとして。

 独自の情報網でそれを知ったグロリアは、単身ヴァリムに向かう事を決意したのだった。

 彼を、アークレルを助ける為に。全てを捨てて―。



 

 祖国を、アルサレアを裏切った事を後悔はしていない。彼を、アークレルを失う事に比べれば、彼以外の全てを失う事も、裏切り者と呼ばれる事も、些細な問題でしかなかった。

 しかし、それでも。それでも心は、痛みを訴える。

「あなたは、今の私を見たら、なんて言うのかしら」

 物言わぬ鋼鉄の騎士を見上げて呟く。無論、その呟きに応える者はいない。

 全てを捨てて、祖国に牙を剥く自分を、彼は責めるだろうか。それともなじるだろうか。

 多分どちらも違う。彼はきっとこう言うだろう。

『帰ろう…俺達が居るべき場所へ』

 犯した罪は消えないけれど、償う事はできる筈だから。そう言って彼は手を差し伸べてくる。…そういう人だから。

 そっと額を鋼鉄の身体に触れさせる。そこから感じる鋼の冷たさが、凍てついてしまった彼の魂と時間を感じさせて。

「大丈夫。私が必ず助けてあげる」

 先程と同じ言葉をもう一度呟く。その双眸は悲哀と苦痛、そして決意とで満ちている。

「必ず、助けてあげるから」

 更にもう一度、呟く。その声に自身ですら気づかない程の悲哀と苦痛を滲ませて。

 アルサレアを裏切った事を後悔はしていない。だが、心が痛まない訳ではない。

 祖国に、かつての友軍に牙を剥く度、心は決して癒されることのない傷を負って血を流し、悲鳴をあげる。

 それでも――。

 それでも、自分は、選んだのだ。この血塗られた道を歩く事を。自らの願いの為に。

 大丈夫。心の中でそう呟く。

 あなたを助ける為なら、この手が血に汚れる事も、心が血を流す事も、耐えられる。…いいえ、耐えてみせる。

 自分が罪深い事は知っている。でも―。

「でも、私は願う事をやめられない」

 あなたを、助けたいから。





 

 咎人は、歩き続ける。血塗られた道を。たった一つの願いの為に。自らも血を流しながら。

 ――いつか、願いが叶う、その時まで。








 

―ただ一つの願いの為に―(完)
 



 あとがき

 はい、すいません。ごめんなさい(土下座)作者の蒼輝狼(我龍)です。
 えー、チャットで散々騒いでいたJ2先行妄想ネタです。
 色々とオフィシャルと違う部分は、全て作者の妄想ですので、ツッコミは勘弁してやってください(泣)
 というかですね…今回は本当に苦しみました(遠い目)
 何しろ、キャラの性格が全くわからない(当たり前)上に、初の独白(?)ネタ!
 ええ、あっさりと玉砕です。見事に砕け散りました。
色々と問題は多々あるでしょうが、「我龍め、また阿呆な妄想をしているな」くらいに受け取って、笑い流していただければ幸いです。


 


 管理人より

 我龍さんよりJ2本編先行ネタをご投稿頂きました!

 う〜ん、なかなか良い感じです(笑)

 本編でもこんな感じだと良いですねw
 


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