〜ヴァリム・????〜
金属の扉をノックする音が静かに響く。
「入るぞ」
返事はないが誰かいる事を見越し入ってゆく男が一人。
軋むような音を立てて扉がゆっくりと開く。
「何カ・・・ゴ用デスカ・・・?」
「お前達に知らせておこうと思ってな・・・」
入ってきた男は周りをぐるりと見回した。
全て同じ背格好で同じ顔をした男が何人もいる。
「・・・・・・」
周りにいる男達は話を聞いているのかいないのか分からないような表情だ。
「貴様等の兄弟NO.5が戦死したそうだ」
男はさしたる抑揚もなくそう告げた。
「HAHAHAHAHA!!イキナリ何ヲ言ウカト思エバ・・・」
「ソンナ冗談、笑エマセンネ!!」
「嘘ではない、嘘だと思うなら総合情報管理センターへ行って確かめるがいい」
「マサカ・・・ソンナ・・・マイブラザーノ中デ、
少シ抜ケテイルガ最モ優秀ダッタアイツガ!!?」
同じ様相の男達は大慌てで軍靴の音を響かせ部屋を出ていった。
「・・・お前達も同じ運命を辿ることになるだろうがな」
残った男はおもむろに通信機のようなものを取り出す。
「こっちの用事は終わった、Gエリアへ発つから機体の整備を頼む」
連絡が終わったのか、メッセージを入れただけなのかは分からないが
男もその部屋を後にした。
〜アルサレア軍輸送機〜
バルメッタ島を攻略したラグナ達一行は輸送機で次の戦地、ラクメレルト諸島に向かっていた。
「クラン〜、後どれぐらいで目的地に着くの?」
「そうね・・・後15分ぐらいでしょうね」
「後15分か・・・そろそろ用意しとけよ?みんな!」
何気にオスコットが仕切る。
「隊長〜、あんまり寝すぎると身体に毒ですよ〜」
そう言いつつラグナの鼻を摘んだりして遊んでいる。
「んあ〜って、俺で遊ぶなっての!!」
「隊長さん、あまりだらけないでくださいな!」
「いいだろ?まだ時間あるんだからよ〜」
けだるそうにラグナが手を振る。
長い間、輸送機に揺られてすっかりだれてしまったラグナであった。
「隊長、あまりだらけてると・・・」
ヒュウガがいつもの調子でラグナにせまる・・・が。
「!!・・・ヒュウガにそこまで言われちゃあなぁ・・・」
また一つヒュウガの過去に謎が生まれた瞬間であった。
「皆さんそろそろ着きますので荷物の再確認をお願いします」
目的地到着まで残り10分を切っていた。
〜アルサレア・ラクメレルト諸島本拠地〜
ラグナ一行が島に降り立つ、そこは離れ小島ばかりの危険な戦場だった。
「ここがラクメレルト諸島ですか・・・」
「随分風が強いですね〜」
「よくこんなとこに敵さんも陣地を構えるもんだね」
ジータ、ヒュウガ、オスコットがそれぞれ感想を漏らす。
「・・・どうやら皆さん無事に着けたようですね」
「なに言ってるのクラン?乗るときにも確認したよね?」
「まあ・・・そうなんだけどね一応よ、一応」
「クランさんも呆けることがおありですのね、意外ですわ」
慌てるクランを見てリンナが笑いを堪えている。
「珍しいんじゃねぇか?こんな構図はよ」
その光景を見てつられてラグナも笑う。
「そう言えばもうそろそろだと思うのですが・・・」
明らかに話を逸らそうとするクラン、余程恥ずかしかったようだ。
「あれ?もう来るのかい?」
「なんだ、オスコットも知ってる事かよ?」
「はい、先ほど資料を見ていましたら覗かれてしまいまして」
「覗き見はいけませんね〜」
「オスコットさん、そんなことしてたの〜?」
数人がジト目でオスコットを見る。
「おいおい、いずれ知ることをちょっと知っただけなのに・・・
みんなしておじさんをいじめて楽しいの〜?」
「それぐらいにしといてやれよお前ら」
「大将も笑い堪えてるじゃないさぁ!」
ちょっとした事でみんなのおもちゃにされてしまうオスコット、彼も苦労人である。
「冗談はそれぐらいにしておきましょう、もうすぐ新しいパイロットが来ますので」
「クランさん、誰が来るんですか?」
・・・とジータが言い終えようとしたその時・・・
「自分だよ・・・ジータ」
みんなが丁度後ろを向いている時にその後ろから声がかかった。
「その声は・・・まさか・・・」
「どうしたんだジータ?幻でも見たような顔して」
「知ってるのか?ジータ」
「は、はい・・・ムラキさん・・・何でここに!?」
ラグナに言われたようにまるで幽霊でも見たかのような顔をしているジータ。
「自分もこっちで戦うことになったんだよ・・・
まぁ積もる話は後にしとかないか?」
「ああ!すいません、予想しない事態だったからつい焦ってしまいました」
焦りつつみんなの後を追いかけていくジータであった。
〜ラクメレルト諸島本拠地・ブリーフィングルーム〜
「では、早速この地での作戦会議を始めたいと思いますが皆さん・・・何かありますか?」
「「「・・・・・・」」」
「・・・では作戦の説明・・・は必要ありませんのでこちらをご覧下さい」
そう言ってクランが2種類の書類を配り始めた。
1つ目はラグナ・ジータ・ムラキの3人に、
2つ目はヒュウガ・リンナ・オスコットにそれぞれ配られた。
しばらくその書類を見つめる6人。
「今日覚えていただく分はこの書類に書いてありますので各自しっかりと読んでおいて下さい、
それでは今日のところは解散にします、皆さんお疲れさまでした」
「納得いきませんわ!!」
「作戦に不服があるとでも?」
いつものクランにはない雰囲気に後ずさるリンナ。
「い・・・いえ・・・ありませんわ・・・ですがもう一つあります!
何故ヒュウガさんが小隊長ですの?納得いきませんわ!」
リンナがヒュウガを指さしクランに抗議する。
「あはははは・・・僕じゃ役不足ですかね?リンナさん」
「役不足とは言ってません・・・けど、
私はあなたの実力を見たことがありませんわ!」
「それなら問題はありません、今までのデータから見ると小隊長の実力は充分持っています」
「リンナ、ヒュウガをあんまり侮んなよ、コイツは強いぜ?」
「・・・・・・隊長がそこまで仰るなら構いません、ヒュウガさん、
あなたの実力この眼で確かめさせてもらいますわ!!」
再びヒュウガを指さすリンナ、敵対心をむき出しにしている。
「・・・他に異存のある方はいませんね?」
周りを見渡すクラン、そこでシュキが手を挙げてるのが目に入った。
「シュキはヒュウガさんの小隊のオペレーターを務めてもらうって書類に書いてあるはずよ?」
「だって私の分無いよ〜!」
「あら・・・ごめんなさい、私の手違いだったみたいね、
後で部屋に持ってくから・・・とりあえず解散にします、
明日に備えて充分休養を取ってください」
「「「了解!」」」
挨拶を終えると皆が散り散りにブリーフィングルームから出ていった。
〜ラクメレルト諸島・休憩室〜
「それにしてもジータ、久しぶりだな」
「はい!今まで連絡もくれないでどこで何やってたんですか?」
「それは言えんよ、軍の機密に関わるからな・・・」
「そうですか、それじゃ仕方がない・・・とでも言うと思いましたか!?」
ムラキに食って掛かるジータ、いつもの雰囲気はもうどこにもない。
「まあ待てよジータ、人には事情ってもんがあるだろう?」
「そんなこと言われても・・・俺は・・・俺は!!」
「すまなかったなジータ・・・まあしばらくは一緒だから大目に見てくれよ、な?」
「は・・・はい・・・取り乱してすみませんでした、ムラキさん」
幾分か落ち着きを取り戻したジータ、2回3回と深呼吸をする。
「ところでアイツはどうしたんだ?以前話してた・・・」
「・・・今は・・・ベリウムのところにいるそうです、風の便りに聞きました」
「そうか・・・辛いところだな・・・」
「今はそんなこと言ってる場合じゃないですよ、明日作戦開始ですから」
「そうだな・・・今日のところは休むか?」
「はい、明日はよろしくお願いします・・・ムラキさん」
深々と一礼するジータ、ムラキもそれに習う。
「そっちこそ、良く寝とけよ?」
「ははは、おやすみなさい!」
〜翌日・ブリーフィングルーム〜
「あら?・・・シュキ、早いわね・・・どういった風の吹き回し?」
「・・・・・・一人でオペレートしなきゃいけないと思ったら・・・
緊張して寝付けなかったんだよぉ〜!!」
そう言って振り返ったシュキの目の下には立派なクマが出来ていた。
「大丈夫でしょうね・・・」
さすがにクランも焦りを隠せない。
「頑張ってみる、敵が少ないルートだし・・・ふあぁぁぁぁぁ・・・」
「シュキさん・・・眠そうですわね?」
リンナがやってきて一言。
「ごめんね〜・・・作戦の時は頑張るから」
「まぁ、もしもの時は僕に任せてくださいよ♪」
「その自信、見物ですわ!!」
朝から上機嫌なヒュウガが一言、そして敵対心を顕わにしたリンナがまた一言。
「フォローは任せて〜!おじさん頑張っちゃうよ!!」
さらにオスコットが一言。
「ちょっと、私が悪者みたいじゃありませんの!!
・・・シュキさん私もフォローいたしますからね、勘違いしないで下さいな」
「みんなありがと〜」
半泣きになるシュキ。
「顔を洗ってきなさい、少しはさっぱりするから」
「・・・うん」
「シュキ・・・大丈夫かしら・・・・・・皆さんシュキをよろしくおねがいします」
ヒュウガ、リンナ、オスコットは力強く頷いた。
〜アルサレア本拠地PF格納庫〜
軽い作戦会議を終え、それぞれ出撃の準備をしているパイロットメンバー。
「ヒュウガ、新しい機体使い辛いだろう?」
「あ、オスコットさん・・・でももうすぐこの機体にも馴れそうですよ」
「やっぱり若いっていいねぇ・・・おじさんも、もう少し若かったら
新しい機体でも何でも乗りこなしてみせるのにさぁ」
遠くを見る目で語るオスコット。
「そんな自信があって凄いですよオスコットさんは」
「随分楽しそうですわね、何を話しているんですの?」
笑い声を聞きつけたリンナが話に入ってきた。
「ああ、新しい機体について話してたんですよ」
「お嬢、Jカイザーって最新型だろ?
だから使い辛くないかって質問してたんだよ」
「そういう話でしたか、確かに・・・使い辛そうですわ
まああれだけ自信があられるなら・・・ねぇ?ヒュウガさん」
「ええ、もうちょっとで馴れると思いますよ」
リンナに臆する事無く普通の受け答えをするヒュウガ。
「まだそんなに回数乗って無いじゃありませんか、ホントに大丈夫ですの?」
「戦闘になったらわかりますよ?リンナさん」
ヒュウガは相変わらず微笑みを浮かべてキッパリと言い切った。
〜アルサレア本拠地PF格納庫・ラグナ隊〜
「ムラキ、この小隊で初めての戦闘だが・・・自信の程はどうよ?」
「そうですね、PF戦闘をしてなかったわけではないので実践でお見せしますよ」
「ムラキさんは強いですよ隊長!!」
「ジータにここまで言わせるって事は・・・」
ラグナがニヤリとムラキを見る。
「まあ、見てて下さいよ隊長!」
「ああ、期待させてもらうぜ?」
ラグナ達の話が一段落付いたところでクランから通信が入る。
ちなみにクランとシュキは通信設備を載せてあるトラックに乗って移動する。
空の移動が必要なときは各基地にある輸送機を利用している。
「それではそろそろ出発したいと思いますが各隊長、用意はよろしいでしょうか?」
「ヒュウガ小隊、いつでも良いですよ〜」
「ラグナ小隊、準備OKだぜ?」
PF格納庫のハッチが開けられる。
「ヒュウガ小隊、行きます!!」
「コバルト小隊出る!!!」
〜ヒュウガ小隊進行風景〜
ヒュウガ小隊は途中大きな山を抜けるルートを任されていた。
「今日はいい天気だねぇ」
「そうですね、こんな日はのんびり昼寝でもしたいですね〜」
「・・・もうすぐ敵基地じゃありませんの?油断していては・・・」
なんとものんびりとした進軍風景である。
「シュキです、もうすぐ敵軍エリアに入るよ!!」
「皆さん、そろそろ気を引き締めましょうか!」
「前方から敵・・・来るよ!!」
シュキの声が荒々しくなる。
「HAHAHAHAHA!!皆サン、ゴ機嫌イカガデスカ!!」
どっかで見たことのある金色で電柱を持ったPFが空を飛んでいる。
「「「・・・・・・・・・」」」
「ドウシタノデスカ?恐怖デ声モ出ナイヨウデスネ!!」
その時の3人は見事に心がシンクロした、
アンタ死んだはずだろ!!!
・・・という感じに。
「まあ・・・目の前にいるものは仕方ありませんよね・・・倒しますよ、皆さん?」
「オスコット、了解!!」
「了解しましたわ」
「アナタタチデスネ?マイブラザーヲ殺シタノハ?許シマセンヨ!」
どこかで見た金色の機体が迫撃する。
・・・後ろの味方を大幅に突き放して。
「一人で突撃してきちゃいましたけど・・・どうしますか?」
「・・・じゃ、じゃあおじさんは後ろの敵さんを引き受けるよ」
「じゃあ、リンナさんは僕と一緒にあの指揮官を倒し「私が出ますわ!!」ますか・・・」
ヒュウガの提案に耳を貸さず突出するリンナ。
「ソコデスネ!!逃ガシマセンヨ!!!」
なおも突進してくるグッドマン(?)簡単に2対1の構図が出来上がってしまった。
ヒュウガとリンナの距離と言う問題はあるが・・・
オスコットはバスターランチャーで空を飛んでくる色違いの同型機を打ち落としている。
「モウ逃ゲラレマセンヨ?」
「逃げられないのはそっちですわ!!」
リンナがシラギクを構える。
「アナタカラ闇ニ葬ッテアゲマショウ!オ嬢サン!!!」
グッドマン(?)のパイルバンカーがリンナに狙いを定めた。
「リンナさん!?」
ヒュウガが叫ぶ・・・がしかし・・・
「一度見た技ならそれなりの対処のしようというものがあります、
あなたの技・・・見切らせていただきましたわ!!!」
リンナのシラギクが空を斬り次の瞬間には敵機の左腕関節に突き刺さっていた。
パイルバンカーを見事に見切りさらに一撃までをも加えたのだ。
「クッ・・・」
「あまり舐めてもらっては困りますわ!!」
「やりますねリンナさん、僕も負けられませんね」
言うが早いかヒュウガが一足遅れでグッドマン(?)に肉迫する。
「マダ負ケタワケデハアリマセンヨ!!」
左腕を壊されてなおMLRSで応戦しようとするグッドマン(?)、
しかし勝負はもうついたようなものだった・・・
しかし、グッドマンがMLRSを発射した時には既に決着は着いていた。
ヒュウガはもう敵機に【肉迫】していたのだ。
「・・・・・・」
「ほお・・・ヒュウガ、やるもんじゃないのさぁ〜」
リンナは驚愕の声をオスコットは納得の声をそれぞれ上げていた。
「これが・・・隊長の・・・言ってた・・・・・・ヒュウガさんの実力・・・ですの?」
「クッ、ミサイルヲ撃ツ前ニ近ヅカレルトハ・・・」
「撃たれようが撃たれまいが僕にはこんなミサイルは効きませんから・・・
それじゃちゃんと脱出してくださいよ?」
ヒュウガのレーザーソ−ドが振り下ろされ指揮官機の頭から右腕にかけてを切り裂かれた。
「オスコットさん、そちらはどうですか?」
「ああ、あらかた落としたよ〜、流石は再生怪人・・・ってところなのかねぇ?」
いきなり妙な事を言うオスコット。
「私がオペレートする必要なかったね〜」
急にシュキが通信を入れてきた。
「そんな事ありませんでしたわ、最初の声がなければ私たちは
敵に気付けなかった可能性もありますから」
「ですね、シュキさんの声があったからいち早く気付けましたよ」
「うう、みんなありがと〜・・・では作戦を継続してください」
「「「了解!!」」」
ヒュウガ隊はそのあとの占領も順調に進めていった。
〜ラグナ小隊進行風景〜
ヒュウガ小隊がグッドマン(?)を撃破し順調に作戦を継続している頃、
シュキからクランへ通信が入った。
「隊長、シュキから連絡がありました」
「おう、何だって言ってる?」
「こっちの作戦は順調だよ・・・と言ってます」
一つ心配事が無くなったラグナ達であった。
「残るはこっちだけですね隊長」
「ああ、早いとこ終わらせて次の戦場へ向かわなきゃな、
クラン・・・後どれぐらいで敵本拠地だ?」
「もう敵の占領区エリアは無いはずです、次が敵本拠地ですね」
「あの前方に見えてきたのがそうじゃないんですか?」
ムラキの言うとおり前方には一際大きい敵基地がたたずんでいる。
「ふん、あれが敵大将のいる基地か・・・」
ムラキの言う通り前方には一際大きい敵基地がたたずんでいる。
「やっと終わりに出来そうですね隊長」
「では、作戦を開始してください」
「「「了解!」」」
〜ラグナ隊・敵本拠地突入〜
「さあ、どっからでもかかってきやがれザコ共!!」
「援護しますよ、隊長!」
「俺もいきます!!!」
「未確認PF数機、来ます!!!」
あらかたザコを片づけたあたりで、基地から赤いPFと数機のPFが出撃してきた。
「やあアルサレアの諸君・・・我が王国にようこそ!!」
赤い未確認PF・・・指揮官機と思われる機体がラグナのJ−カイザーを指し叫ぶ。
「我が名はサーディン!この島の王にしてヴァリムの守り神である!!」
「偉そうなのはいいが戦わないのかよ?」
「そう焦るなアルサレアの愚民共、特別にこちらで決闘の場を用意させてもらった!」
「俺達にそこへ来い、と言うのか?」
「隊長、これは罠だ!!」
ムラキが小声でラグナに告げる。
「どうする?乗るも乗らないも勝手だがそこまで腰抜けなのかな?
アルサレアの愚民共は!!ハハハハハハハ!!」
「隊長・・・行きましょう!!」
「ああ、あからさまな罠だが・・・乗ってやっても良いだろ?
クラン、俺達はあいつの要求をのむことにするぜ・・・異存はねえな?」
「分かりました・・・気を付けて下さい」
「サーディン!!お前の要求のんでやるぜ、その決闘の場所を教えろ!」
ラグナの答えにPFの中でほくそ笑むサーディンがいた。
「流石だな、他の愚民とはワケが違うというわけだなアルサレアのエース!!」
「御託はいいからさっさと教えろよ!!」
サーディンの偉そうな物言いに怒りを顕にするラグナ。
「まあ焦るな、我がヴァリムの輸送機でその場所まで運んでやろう
勿論こちらは変な真似はしない、悪い話ではないだろう?」
「それは助かりますね・・・では早速運んでもらいましょうか?」
ジータも既に喧嘩腰な発音になっている。
「今の言葉を聞いていたな?我が王国の者共よ!
これからは一切手出しをするなよ!!決闘の場に連れて行くまではな!」
サーディンの言葉を聞いたヴァリム兵達が一斉に武器を捨てはじめた。
「では輸送機へ案内しよう・・・但しエース・・・貴様一人で来てもらおうか?」
「・・・だってよ、お前等はここに残ってくれとさ」
「くっ・・・・・・了解」
「隊長・・・死なないでくださいよ」
「お前ら余計な心配してんじゃねぇよ、まあ待ってなって」
ラグナは周りに気を配りながら輸送機まで進んだ。
「では残りのお二方は一旦退いていただこう、
なに・・・後ろからの狙撃などしないから安心してくれたまえ」
「・・・・・・少し調べましたが周囲に妙な動きをするPFはいないようです、
ランバート少尉オニキス中尉・・・帰還してください」
「隊長・・・ご無事で!!」
「退くぞジータ・・・隊長は大丈夫だ」
〜ヴァリム輸送機内〜
「PFは積み込んだようだな、エース」
「こちらの準備はいい、早く出発しな!」
「言われなくてももう出発する、せいぜい最後の景色を楽しむがいい」
最後の、と言う部分を強調するサーディン。
「随分余裕があるじゃねぇかサーディンさんよ」
「これでも王だからな、余裕を持って行動しないと国民に舐められてしまう」
「その余裕がいつまで続くのか楽しみにしてるぜ」
「こちらも楽しみだよ、君の腕を見るのがね・・・ハーハッハッハッハッハッ!」
「・・・・・・いつ目的地に着くんだ?」
「ああ、もうすぐだ・・・言い忘れたが輸送機が着陸する場所はないので
飛び降りてくれ、この高さならPFで出来ないはずはないからな」
「しょうがねぇな・・・もう乗らないと間にあわねぇな」
〜ヴァリム・離れ小島の決闘場〜
離れ小島上空に到着した輸送機から2機のPFが飛び立った。
サーディンは大きな丘の上に降りラグナは普通の平原へ降りた。
「さあ、かかってくるがいい・・・決闘だエース!!!」
ヴァリム本拠地からこの離れ小島までサーディンの異常なまでの自信はどこから?
とラグナは疑っていた。
「どうした来ないのか?やはりアルサレアのエースと言ってもその程度か!」
その時ラグナの目が地面に変な光を見つけた。
凄く小さな光だったが明らかに地面の色とは違う色だ。
「試してみるか・・・」
ラグナはサブマシンガンを地面に構え狙いを定めた。
「何をしているアルサレアのエース・・・地面に敵などいないだろう?」
「黙ってろよ狙いがずれるじゃねぇか・・・よ!!」
ラグナは短くサブマシンガンを連射した・・・
するとサブマシンガンが当たっただけとは思えない爆発が起こった。
「やっぱりな、あぶねぇあぶねぇ・・・サーディン!!
てめぇやっぱりワナしかけてやがったな!?」
「良く気付いたな、だが、この島に入った時点でお前の負けは確定しているんだよ!!エース!
大体、王が自ら相手なんかするわけないだろう!?」
「大した王様だな」
「ふん・・・強がりを言えるのもそこまでだ!この地雷はこっちで遠隔爆破できるのでな!!」
「ちっ・・・・・・」
「これで最後だ!アルサレアのエース!!!」
嬉々とした表情で手元のリモコンを操作しまくるサーディン。
「くっ・・・・・・」
ラグナの周りで激しく地雷が爆破される。
「戦争とは頭を使うものだ!!どんな手を使おうが勝てばいいのだよ!!
ハーハッハッハッハッハッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
突然、上部からの衝撃で爆発四散するサーディンのPF。
勝利を確信したサーディンの機体を何者かが頭上から切り裂いたのだ。
機体は爆発炎上し脱出ポッドも確認は出来なかった。
「一撃・・・誰だてめぇ!アルサレアのヤツじゃねぇな?」
「この程度の罠で音を上げるようでは・・・この先、勝てはしないぞ」
声のする方を向くとそこには雨雲のよう様な色のオニが佇んでいた
「・・・ここの基地はもう用済みにだ、貴様等にくれてやろう」
「どういう事だ?」
「どうもこうもない、俺は真実を言ったまでだ」
その声には余裕どころか退屈さがありありと浮んでいた。
「・・・お前は攻撃してこねえのかよ、あ?」
「そんなに勝負がしたければ他の島でしてやる」
「・・・また罠じゃねえだろうな」
否応無く慎重になるラグナ。
「来ないのなら勝負はお流れだ、期待外れだな・・・腑抜けが」
「誰が行かねえなんて言った、案内しな!!」
先程「ムラキ達には挑発に乗るな」と言っておきながら
あっさりと敵パイロットに乗せられてしまうラグナであった。
「いいだろう、着いてくるがいい」
ラグナがは敵に先導され別の島へとその戦場を移した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ここまで来ればいいだろう」
「・・・ああ」
無言で対峙するラグナと・・・
「名前ぐらい聞かせろよ」
「・・・リュウハだ、そういう貴様こそ自分から名乗るものじゃないのか?」
「ラグナだ」
身構えるラグナ。
シラギクを構えるリュウハ。
「・・・」
「・・・」
慎重に距離を測るラグナ。
サーディンを斬り捨てたのを見て相手の技量が相当なものだと悟ったようだ。
対するリュウハはシラギクを正眼に構えてはいるがラグナ程の慎重さは無い。
「・・・ッ!!」
先に動いたのはリュウハだった。
「速い!!機動性重視か!」
ラグナはサブマシンガンを構える。
「遅い」
高速で繰り出されるシラギクにシールドを構え耐えようとするラグナ。
「ぐっ」
シラギクで斬りつけバックステップで距離をとるリュウハ。
そこからショットガンを撃つ。
ラグナもバックステップを取り少し距離を開けた。
ショットガンがまばらにヒットするが、ダメージは微々たるモノだ。
「ほう・・・」
「・・・チッ」
バックステップで開けた距離をさらに離しAFFミサイルを放つラグナ。
リュウハはそのミサイルをあえて避けようとせずにMSRSをロック数限界まで溜め放つ。
4発のMLRSがラグナを襲う。
サブマシンガンで3発を落としシールドで1発防ぐ。
またしてもダメージは微々たるモノだった。
「ダメージ軽微・・・」
AFFミサイルによるダメージを確認するリュウハ。
まともに喰らったせいかダメージは多少大きかったようだがたったの一発だ。
「ヤツの得意な距離はどれだ、それがわからねえ事には・・・」
シラギクを持っている事から近距離戦が得意なヤツなのだろう、と考えていたラグナ。
だがソレは悪い意味で彼を裏切っていた。
「埒があかんな・・・次で決めるか」
「これじゃいつまでたってもおわらねぇな・・・」
リュウハがその機動性能を活かしラグナの懐に入ろうとする。
「くっ・・・それなら」
「トドメだ、ラグナ」
近づきながら大上段の構えで迫るリュウハ。
「オオオオオッ!!」
ラグナは気合と共にフォースソードを振り上げる。
「・・・」
シラギクは見事にリュウハの手から飛ばされていた。
「・・・どうだっ!」
「甘い、コード【村雨】」
{コード認証、武装パージシマス}
リュウハの機体から腰にある刀を除いて全ての武装が弾け飛んだ。
「その目に焼き付けろ、これが俺とお前の今の差だ」
「なに!?」
リュウハがラグナの懐に食い込んだ瞬間、Jカイザーが戦闘不能になった。
「安心しろ・・・今すぐ止めを刺す気はない、
それ相応のステージを用意してやろう・・・そこで殺してやる」
「上等だ・・・今すぐ止めを刺さなかったことを後悔させてやるぜ!!」
「威勢だけは一人前だな」
戦闘不能になったラグナに背を向けリュウハはどこへともなく姿を消した。
「隊長、聞こえますか?・・・隊長・・・応答してください!」
「・・・ああ、聞こえてるぜ」
「やっと繋がったようですね、いきなり隊長機の識別信号が無くなったので心配しました」
「・・・久々に強いやつにあったぜ」
ポツリと漏らすラグナ。
「え?」
「いや、なんでもねえ・・・もう基地は制圧したのか?」
「ええ、それでしたらカミカワ大尉と合流したオニキス中尉達が
隊長の識別信号が消えたので敵基地に突撃したところ、もうもぬけの殻だったそうです」
「・・・あのヤローの言ってた事は本当だったか」
「隊長、どうかしましたか?」
「いや、なんでもねえよ、帰還するぜ」
「了解しました、お待ちしています」
思わずリュウハの事で呟いてしまったラグナ。
クランがすかさず聞くがラグナは誤魔化してやり過ごした。
〜アルサレア本拠地〜
「皆さん、お疲れ様でした・・・現時刻を以ってこの島での作戦を終了したいと思います」
通信を受けたラグナが占領した敵基地に戻ってきてすぐに、
クランのこの台詞がブリーフィングルームに響き渡った。
「みんな無事みたいだね〜、よかったよかった〜!」
「ええ、全員生きてたわね、シュキ」
「まー喜んどきましょうかねぇ、こうしてまた顔を合わせられた事に」
オスコットが回りにもそれそれ、と盛り上げようとしている。
「あはははは・・・それにしても、一度倒したと思っていた人が
また出てくるとは思いませんでしたね」
「そうですわね、あの金色のPF・・・ぱいるばんかー、でしたっけ」
ヒュウガの出す話題に相づちを打ったのはリンナだった。
まだ若干聞き慣れていなかった言葉を喋る彼女の発音はどこか間が抜けている。
「そっちではそんな事があったんですか」
「こっちはこっちで大変でしたよ、なんか自分は王だーとか偉そうなやつが出てきまして」
ヒュウガたちの話を聞き自分達の話も聞いてもらおうとムラキが話しかけ、
ソレを追うようにジータが事の発端を喋る。
「あー、自称王様、か・・・」
ラグナが気だるそうにサーディンの事を思い出している。
「自称・・・ですか?」
「ああ、自称王様、だとさ・・・まあもう死んじまったから確認する術は無いがな」
「隊長がやったので?」
ヒュウガがそうラグナへ問う。
「いや、俺じゃねえんだ」
「指揮官だったのですよね、隊長でないなら誰だと言うのですか?」
「・・・・・・リュウハってヤツだ」
嫌な事を思い出したように言うラグナ。
「その方はアルサレアの方ですの?」
「いや、ヴァリムだと思う、乗ってる機体が機体だしな」
「何故ヴァリム同士が戦っているんだ?」
「わからねえよ、分かってるのは俺を負かす力があるぐらい強いって事ぐらいだ」
と言って頭を掻き毟るラグナ。
「ソレは・・・ほ、本当ですか、隊長?」
「嘘言ってどうするよ、ヒュウガも分かってんだろーが」
「・・・・・・・・・」
何か聞いてはいけない事を聞いてしまったような表情をしているヒュウガ。
彼はそのまま沈黙してしまった。
「ヒュウガさん、どうかしたの?」
「い、いえ・・・なんでもありませんよ」
一瞬陰りがあったが、すぐにいつもの笑顔を見せるヒュウガ。
「・・・では、そろそろ解散にしたいと思います」
皆の様子を見て今が頃合だと判断したクランは、解散を告げた。
誰からともなくブリーフィングルームを後にしていった。
〜アルサレア・ラグナの夢・????〜
コツコツコツコツ
俺は今どこを歩いてるんだ? こんな場所は見覚えがねぇな・・・
それに何故俺は勝手に歩いてるんだ?
どうやら体の自由がきかねぇらしいな・・・
・・・ってそんな事を冷静に考えてる場合かよ、とりあえず抵抗してみるか
・・・・・・やっぱり俺にはどうしようもないみたいだな、俺の身体なのに・・・
・・・カツカツカツ・・・カッ
どうやら目的の場所に着いたようだな?
一体何をやらかす気だ俺の身体は?
バタァン!!
なんだ!? いきなりドアを蹴破ったぞ!?
・・・っと、中に誰かいるみたいだな・・・・・・人数は4人か
今度は俺の手が勝手に動いてるみたいだな・・・腰か?
チャキ・・・
おいおい、まさか銃を取り出そうってんじゃねぇだろうな・・・
「あんた何やってんの? そんな冗談笑えないわよ」
見覚えのない女が二人・・・どうやらそのうちの一人をねら・・・
バァン!
ちっ! 本当に撃っちまっただと?
・・・お、側にいた男が庇ってくれたみてぇだな、人が死ぬ場面は避けられたようだぜ
「オイオイ、本気だったてーのか?」
それはこっちのセリフだってーの・・・って、
悠長につっこんでる場合でもねーよな、今度は俺がピンチだぜ
バァン!
・・・・・・・・・どうやら命は奪われなかったようだな?
何狙ったんだ? ・・・・・・俺の持ってる銃を撃ち落としたのか、やるじゃねぇかあの金髪
「あんた、今何やったかわかってんの!?」
今度は女が俺に向かってきたか・・・今の俺は丸腰だからな・・・
・・・バキィ!!
うわっ! 痛そうだな俺、顔面に良い一発くらっちまったぜ
その所為か後ろに倒れ込んでるみたいだな、今の俺は・・・っと
どうやら後ろにも人がいたみたいだな、取り押さえられちまったか・・・
〜アルサレア本拠地・ラグナ自室〜
「・・・・・・〜〜〜〜〜ッ!!」
ガバッと布団を跳ね飛ばして起き上がるラグナ。
「・・・なんだ今のは」
朝から頭を悩ませるラグナだった。
第二話改訂版・END
第三話改訂版へ続く
桃音「はい、現実逃避も2週目へ突入しましたと言うことで改訂版2話をお送りいたします、
終盤大きな穴が見つかりどうしようかと思いましたが、
3話にまで修正の手を伸ばし解決するような方向で話が進んでおりますです」
ナイトメア:今回思い切って直した結果、3話も大幅に変更することになりました(爆)
いつも乗ってる無駄に性能が高い機体は中編で出す予定
管理人より
桃色の悪夢さんより、第2話改訂版をご投稿頂きました!!
終盤が思いっ切り変わりましたね(笑)
この調子だと第3話も相当変更がありそうですね。
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