お読みになる前に:此の作品は作者が妄想したオリジナル兵器を出したいが為に作った作品です(まて)。
 続きそうですが連載物ではないです。あくまで読みきり(でも次の話は考え済み)です。

 それと今回は余りにもオリジナルの艦艇が出てきます。
 設定集(後ほど公開)を読んでから、読んでくださったほうが良いかもしれません(謝)






 

 機甲兵団Jフェニックス裏史実INコバルト



 「上陸! 不可侵領域Gエリア」
 Aルート編









 

 ノーデンス艦橋

「全艦艇に告ぐ! これより我が艦隊は後方に展開中の上陸隊の為の水先案内に入る・・・総員第1種戦闘配置! 先鋒、第2戦隊は全砲門一斉射撃。10秒後より残った艦も一斉発射・・・ウテェェェイ!!!」

 アルサレアGエリア解放部隊の主力部隊が積み込まれている輸送船団を護衛している第2艦隊の旗艦、戦術航空戦艦「ノーデンス」の艦長であり艦隊司令でもある人物は額に血管を浮き立たせて叫んだ。


 ズドォォォォン!!!


 その命令を受けて第2戦隊の戦隊旗艦であるナイアルラ級1番艦「ホテップ」の主砲40ミリ3連装砲を筆頭に駆逐艦から対艦ミサイルが飛び、巡洋艦達の主砲も火を噴く。
 そして、それは砲撃を受けたヴァリムも同じであった。







 

 ヴァリム軍Gエリア方面艦隊旗艦シナノ艦橋

「主砲の威力は我々のほうが上だ! ヴァリムの底力を見せてやれ!」

 同じくアルサレア第2艦隊と対峙していたヴァリム軍の艦隊も砲撃を撃ち返す。
 ヴァリムGエリア方面艦隊の旗艦である超弩級戦艦「シナノ」の全長400Mもの全長の甲板に備え付けられた46センチ3連装主砲5門が交互に砲撃を放つ。
 無論、シナノの手下であるモガミ級重巡洋艦達も射程に入った砲門を手当たり次第に発射。
 双方の艦艇の近くに大量の水柱が立ち、また爆炎と轟音と共に海底に没していく艦艇も出てきた。





 

 ここで説明が開始されるがアルサレア海軍とヴァリム海軍の艦隊の構成はコンセプトが反対のものである。
 PF発祥の地とされるアルサレア側は言うまでもなくPFをメインとした・・・と言うよりも極少数の戦闘艇以外の機動兵器はPFだけであり、艦艇は搭載力や対空ミサイルなどを重視した機動艦隊を構成。
 対してヴァリム側は大口径多連装主砲を多数搭載した艦艇で構成。
 ミサイルや魚雷を主兵器としている駆逐艦でさえ180ミリ連装砲を2門以上装備しているのだから、過剰を通り越して妄信的な大艦巨砲主義の艦隊であった。


 

 これには両国の国の事情が絡んでいる。
 国力の低いアルサレアはヴァリムの様な大艦を多数も保持・整備する力は無く、また新主相であるフェンナの意向で他国に脅威にならない様に映す為に大型艦艇の保有は少ない。
 其れを補うのがPFであり、艦艇はPFを支援する為の移動基地的な役割を持っている。
 そしてヴァリムは「力こそ正義!」の風潮と見栄的な思想から多数の大型砲を装備した大型艦の艦隊が作られていた。







 

「ネロ轟沈!」
「ロア、甲板前面に着弾!速度が落ちてます!」
「アル・アジフの主砲が敵巡洋艦に着弾・・・敵巡洋艦は戦闘不能に陥りました!」

 ノーデンスの艦橋にはオペレーターの叫びと外の轟音や水飛沫の音が響いていく。
 互いに撃ち合い始めて10分が経過し、大まかな戦況が把握されつつあった。

「敵艦隊の5分の3が速度を上げてきました・・・後方の艦隊に突貫する模様です!」
「・・・」

 オペレーターの報告に司令は思案し始めた。
 駆逐艦の突撃が始まったということは敵の砲撃力に此方が押され始めているのを示している。そのまま後方にいる輸送艦隊を攻撃するつもりなんだろう。
 そもそも結果は作戦会議の頃から分かっていた事だが実際に劣勢を報告されてみると散っていった部下達に申し訳が立たない気がしてならない。
 そこで司令の下した決断は常識外の事だった。

「フォーメーション変更! 鶴翼の陣に移れ!」

 これまで「偃月(えんげつ)の陣」(形は、読んで字のごとく、丸い月に似た型)を取っていたアルサレア側の艦隊は、「鶴翼の陣」(鶴が翼を広げたような形。簡単に言うならVの字)に移った。偃月の陣は相手を誘い込む場合に使う事が多い陣形である。
 対して突貫してきたヴァリム艦隊は「鋒矢の陣」(最も攻撃的な陣形。読んで字のごとく『↑』という形)である、突出してきた艦艇は両側から挟みこまれた形となった。

「第1から第3戦隊は砲撃を維持、突撃してこない艦艇を押さえろ! 第2艦隊は敵突撃隊の退路をふさぐように砲撃を開始!」

 これがアルサレアの作戦である。序盤は劣勢に立つ事で敵の主力を自分達の目の前まで前進させ・・・
 司令は弔いの言葉のように下した。

「PF隊前進! 敵突撃隊、及び機動を兵器駆逐せよ・・・弔い合戦だ!」

 その声に艦隊の周辺に配備されていた水中戦仕様のJファーやJドラグーンが水中を移動し、爆装した空戦型Jファー「スカイファルコン」やJフェニックス達も艦艇のカタパルトから飛び立っていく。
 アルサレアの反撃が始まった。













 

 ノーデンス・甲板カタパルト

「ディウス・・・ジェノブレイカー出るぞ!」
「アリシア、ジェノザウラーでるぜ!」

 護衛艦隊の旗艦であるノーデンスもまた搭載されている2個中隊の内の1個中隊20機を戦闘体勢にとらせた。
 閃光の爪隊ともう一つ搭乗している中隊の隊長であるディウスと妹のアリシアのJドラーグーン・カスタム機、さらに随伴する2機の1個小隊が舞い上がった。
 そして残った16機もノーデンスの甲板に備わっている銃座にPFを備え付け、ある機体は肩のガドリングに銃座内の弾帯を装着させて常に弾を補充できる状態にし、また他にも保持しているバスターランチャーのエネルギーパック部分を船とつなげてエネルギーを船から貰う処理をするのもいる。

「なぁ兄貴。今晩の飯は何だっけ?」
「そうだな〜何だろな〜」

 そんな慌しい中でもアリシアは閃光の爪隊並みに不真面目な会話を出し、それにディウスもノンビリと受け取る。
 その様子に誰も突っ込まないのがアルサレア兵だった(おい)

「HQ(此の場合、ノーデンスの機体管制オペレーターの作戦ネーム)より各機へ・・・敵突撃隊からPF部隊が発進しました! 此方にカルラ部隊が接近・・迎撃を願います!」

 突然にオペレーターから迎撃要請が入る。
 その言葉にディウスはニヤリと微笑みながら

「じゃあ、カルラのコマ切れステーキだな!」
「硬いから僕が少し焼くぜ!」

 ・・・そういう問題でしょうか?
 とにかく、銃座のPF達は狙いを定め、ディウスたちは愛機のスロットルペダルを全開に叩き込んだ。





 

 ディウス達が飛び上がって直ぐにケン達も格納庫からカタパルトへ上がってきた。

「HQより閃光の爪隊の皆様へ・・・ディウス中佐の部隊の攻撃開始を合図に出撃してください」
「了解した・・・」

 作戦要綱を確認しながらケンは復唱。すぐに機体の状況を表示するモニターに眼を移した。
 今の彼らの機体は完全なテスト機である、実戦での信頼性はゼロに近い。カタパルトから射出されるギリギリまで機体のチェックを怠るわけにはいかない。
 其処にマユが話しかけてきた。

「隊長? ディウス中佐達の実力は高いのですか?」
「あいつらか・・・強いぞ。普段は強そうに見えないがな」

 ケンは無愛想だが確信を持った表情で答える。

「そうそう!アリシアちゃんは違うんだけどな、ディウスは普段はボケェ〜〜としてるし、甲板でコイツ(ケン)と緑茶すすってノンビリとしてるんだぜ。」

 割り込んできたコウスケは面白い事実を思い出すように言う。
 実際の事だがケンとディウスは茶飲み友達の様なものである。

「まぁ、決めるところは決める。任務の為なら非情にもなれるし考え方も柔らかい。何より腕は確かな奴だ」

 似た者同士の共感なのだろうか?ケンは言い切った。

「少なくとも副長よりは強くてカッコいい人なんですね」
「おい!」

 マユの結論にコウスケは突っ込む・・・が!

「ああ、そうだ」

 ケンは肯定した(笑)
 彼らに限らず、大抵の特務隊は戦闘前に軽い(軽いか?)雑談をする。
 重要な任務を当てられやすい特務隊は少しでも気を落ち着かせるために暗黙の了解としていた。

「ケン君にマユちゃん、コウスケ君苛めは帰ってから好きなだけやってくださいね。後3分でディウス中佐のギガ・ヒドラ隊が交戦を開始すると予想されてます。最終確認は済みましたか?」

 はっきり言ってシオンが隊長に見えてきた。
 実際のところ、階級などが比較的軽視される傾向があるアルサレア内でだが閃光の爪隊は限度を通り越している。だから、此の光景は珍しくないのだが(おい)

「じゃぁ・・・出るぞ!」
「「「「りょうか(〜)い!(です、ですわ)」」」」

 ここでも返答がバラつきが有る。
 少し規則を締めたほうが良いのではと突っ込むべきであろう。









 

「此の野郎!くらいやがれ!」

 海上を飛翔しながらアリシアはシラギクを振りかぶりながら突撃してきたカルラのメインフレームに猫の爪を射出、相対速度の効果で威力も増してカルラは胴体に穴を開けて海上に没した。

「この虐殺恐竜、キリング・ダイノのアリシアは僕だぁ!」

 Jドラグーン改造機「ジェノザウラー」を駆るアリシアは高らかに叫びながら右手のPクロウでイリアを切り裂きながら両肩のレールキャノンを連射してカルラを攻撃する。

「キリング・ダイノ?! し、しぬぅ〜!」
「何で奴らがここに居るんだよ!」

 アリシアの声を聞いたヴァリム兵達に混乱が襲った。


 キリング・ダイノとはアリシアの通り名である。
 彼女の凶暴な恐竜の如き戦い方に対して付いた名前である
 物心付いた頃から戦場で生きてきた彼女とディウスの戦い方は徹底した獣のごとき鋭さを持っていた。

 

「あ、あぶねぇ・・・ひぃ!」

 アリシアのレールキャノンを運良く回避できたカルラ1個小隊であったが、2度目は無かった。
 閃光が走り、致命傷ともいえる損傷を与えていた

「やれやれ・・・アリシア、もう少し丁寧に戦えよ」

 ディウスの真紅の色をしたJドラグーン改造機「ジェノブレイカー」の頭部に増設されていたメガバスターの閃光だ。

「と言う訳でお前らには死んでもらうぜ」

 更にウイングを広げフルブースト。
 ロキ、ウイングとグレネードランチャーを装備したヌエにカイザーシールドで砲撃を防ぎながら肉薄。

「たまにはイイカッコさせろぉ!」
「ユイさまぁ〜〜!」
「何で新参者にやられなきゃならんのだぁ〜〜!」

 口々に悲鳴を上げながらエクスカリバーで両断されていく。
 ブレイカーの名のとおり凄まじい威力の剣撃とザウラーの名に恥じない暴竜の猛攻。

 ズダダダダ!
 バビューーン!

 ついでにノーデンスの銃座に布陣しているPF達の訳の分からない擬音と共に放たれるガドリングやバスターランチャー。
 そして戦隊の防空攻撃の前に次々とヴァリムPFは火を噴いて堕ちて行く。
 中には運良く駆逐艦や巡洋艦を撃沈したのも言えるがアルサレア優勢に傾きつつある。









 

 激戦を繰り広げているのは空や海上だけではない。

「舐めんじゃねぇぞ!」
「敵役の分際で主役たちの仲間に勝てると思うな!」

 海中でもアルサレア海軍とヴァリム海軍のPFが血肉沸き上げる戦いの最中だ。

「三分後に支援雷撃が来るぞ! 退避ぃ!」

 水中用に局地改造されたキシンに乗るヴァリム海軍の中隊長は同部隊に所属するヌエ水中戦型やヴェタール水中戦型(見た目的には変わらず、ブースターがスクリューモーターに変更と全身に腐食防止のコーティングのみ。武装は魚雷発射ライフルとスピア、肩に対艦用の魚雷かミサイル、もしくは海上攻撃で使うレールキャノン)を後退させる。

「機を逃すな! 追撃せよ!」

 好機と見たアルサレア軍の指揮官は追撃を発令。
 JドラグーンやJファーの水中戦型が魚雷を連射したり、高速でスピアを突き刺していく。




 

 ここで両軍の水中戦部隊の主力だが、潜水艦を母艦としたPFなどの機動部隊が主役である。
 アルサレアは当初はJフェニックスを水中戦仕様に改造する予定だったがシードラボで開発されたJドラグーンをベースに移行。そして、当初から使用していたJファーの水中戦仕様を支援量産機として大量配備にいたる。
 ヴァリムも似たようなもので、戦役中は大量生産されたヌエと中期以降に一時期だけ主力PFに選ばれたヴェタールを水中戦仕様として配備。戦後から新主力機となったキシンも改造して配備されつつある。
 両軍共に武装は同じ様なもので、魚雷や振動機能の付いたスピア。そして肩には対艦用の大型魚雷やミサイル、もしくは海上での戦闘用にキャノンやレールガンなどを装備した構成になっていた。




 

「潰せ! 潰せ! つぶせぇぇー!」

 アルサレア指揮官は目の前のヴァリム部隊が羊、自分達が猟犬に見えているのかもしれない。
 それだけ戦果が上げられると思い込んでいる、そう思い込みである。
 追いすがるアルサレアPF達に突然に爆発が襲った。

「な、ナンだ!?」
「敵艦隊からの雷撃です! 上から40発! 正面より20! 側面から30!」

 部下からの報告より先に指揮官の機体は海の藻屑に変わっていた。
 艦隊から放たれたアスロックと高速魚雷の面による制圧雷撃、トドメと言わんばかりに後退中に陣形を立て直したヴァリムPFからの一斉攻撃。
 羊が皮を脱いで狼に変わり、さらに月夜と言う状況付の状態だ

「うわぁぁー!」
「そんな!」
「ひぃ!」

 悲鳴と共にJファーは勿論、宇宙での行動をかねて装甲の厚いJドラグーンまでもが海の底に落ちていく。
 何とか生き残ったアルサレアPFだが損傷が激しい機体もいる。
魚雷で応戦するが数が少ない。

「何とか・・・援軍まで!」

 名も無き士官の叫びは届いたのか?
 はたまた作者の演出によるものなのか?(おい)
 そいつらは現れた。(多分後者)

 ズグシュ!
 ズダダダダだだっ!

 そいつらは腕と一体化したクローでヴェタールの装甲を易々と切り裂き、ヌエの砲撃を嘲笑うかのように回避。

「アルサレアの新型! 速い! ・・・(ザザザ)」

 キシンに乗ったパイロットが驚きの声を上げた瞬間、装甲の至る所に孔を空けられて水圧によって機体が崩壊した。
 アルサレア海軍の新型水陸両用型PF「Jマリーネ」(前回の最後に出てきた新型機)
 突撃してきた敵戦隊の艦艇攻撃命令を受け、成功後帰ってきたのだ。

「何で俺達は作者の都合で引き立て役ばっかさせられるんだ?」


 作者権限だ!(まて)


 ヴァリム兵の悲しい突っ込みの中で次々とJマリーネに喰われて行く。
 ここが純粋な水陸型として設計された機体と局地改造された機体の差だ。
 此処に来てアルサレア海軍の優勢が誰の眼にも明らかだった。













 

 Gエリアの広い海岸


 Gエリアの中で1番の広さを持つ海岸。
 それだけの広さにも関わらずヴァリムは大規模な防衛陣地を構築していた。
 艦船からの砲撃から身を守る為のトーチカ(PFサイズ)に上陸艇を撃墜する為の大小のミサイルやキャノン、機動兵力には主力PFキシンやエース用のオニを主力としてロキやヤシャ量産型が脇を固め、浅瀬には小型GNを引っさげてバスターランチャー攻撃に特化させたヌエ・フォートと呼ばれるカスタム機。それだけでは飽き足らず「動く要塞」とも言うべきゼクルブまでもが配備されている。
 完全に絶対阻止の構えだ。


 

 だが、海上でのアルサレアの猛攻とは裏腹に海岸は静けさに満ちている。

「海では凄い事になってるそうですね、隊長」
「出来れば海で終わらせて欲しいな。俺たちが働くのは面倒だし」

 防衛部隊のヌエのパイロットとヤシャに乗った小隊長の会話はダラケきっている。
 そりゃあ、海と違って戦闘に入っていないのだからしょうがないとしても、これでは演出的に乏しすぎる。





 

 と言う訳で時間稼ぎの妄想講座
 ここで前述したヌエだが一般には旧式機に分類されている機体である。
 確かに此の時点で主力量産機はロキとヤシャ量産型に移項されている。が、だからと言って兵器としてのヌエの価値は無くなったというわけではない。
 ヴァリム最初のPFとしての長期間の運用で得た信頼性と量産重視設計によって得た多数の配備数の影響で現在もヴァリムPF部隊の中核を構成していた。
 それだけではなく、今までに作った補助部品の数や多数の機体転換(ヌエを破棄してオニなどを配備)の困難さ(数が多すぎて交換にも限度がある)、何よりもアルサレア戦役で失った兵力の補充で生産性は重要な要素となる。
 今後しばらくはヌエが戦線から消える事は無いといえた。





 

「暇だからって作者も無駄な事やるもんだな」


 ・・・酷いや!


 前々から思ってた事を書いただけなのにキャラクター(しかも名無し)に突っ込まれるなんて(悲)

「あれ? あっちが光りましたよ?」

 そんな事は無視されて(最近キャラに苛められすぎの作者)ヌエのパイロットは遠くで何かが光ったのが見えた。

「・・・取り合えずはWCSをオンにしとけ」
「了解です」

 敵の襲撃を予想したのか小隊長は迎撃体勢を整える。
 さらに詳しく情報を得ようとレーダーを光点のあった場所に集中させて索敵。
 そして、コンタクト。

「高速で所属不明・・・って言うかアルサレアしかないだろう。・・・速度はマッハ2以上か」
「と言う事は航空機ですね」

 ヌエのパイロットは簡単に航空機と判断するが無理も無い話ではない。
 人型ゆえの空気抵抗もあり、現有のPFの飛行速度は最速でJフェニックスのマッハ1.5(作者の妄想設定です)である。
 その現実の前では仕方ないだろう。

「対空ミサイル部隊に連絡! さっさと撃墜してPFの上陸に備えるぞ」

 部下への説明と同時に送ったデータと共に長距離対空ミサイルを多数装備した車両からミサイルが放たれる、それも多数。


 シュゴゴゴゴ









 

「こちら第4小隊シズルです。隊長! 敵防衛陣地からミサイルが発射されました。目標はワタクシ達のようですわ」

 海面ギリギリを飛翔するケンのJラプターを筆頭とした閃光の爪隊に先行して上空を飛んでいた第4小隊から連絡が入る。

「作戦に変更は無い。回避、そのまま爆撃。そして駆逐だ」
「了解しました」

 間髪いれずにケンは作戦指示を出す。
 その僅かな会話の間にもミサイルは第4小隊の目前まで接近。
 だが、彼女たちは動じない。

「皆様、バーティカルターンですわ」
「あんたの技じゃないでしょ」
「タケルさんの得意技だったね」
「言われなくたってやるしね」

 シズルの命令型提案に3人は突っ込む。
 基本的に仲が良いのだがタケルネタになると冷戦状態に突入するのだ。

「うだうだ言ってんじゃねぇ! いいから回避しやがれ!」
「「「・・・」」」

 キレて凶暴モードに入ったシズルを止めるすべは無いと今までの経験から知っているタカノ、シェリー、ミランダは渋々従う。
 そんなフザケ会話の所為で着弾10秒前。
 そして6秒前の瞬間、彼女たちの機体「J・ファルコン」の身に変化が起きた。


 ガシュン!


 其れまでの飛行機形態から一転してPF形態に可変。
 僅か3秒の出来事である。
 それだけでは終わらない。変形する前にブースターはオフになっており今は慣性移動中だったが、変形し終えた瞬間に旋回開始。
 一秒で機体を90度旋回させるとブースターを瞬間的に全開。
 爆発的な加速で機体の進行方向が90度変化した機動を見せた。
 これぞタケルの必殺技の一つ「バーティカルターン」。ブースト機動中に進行方向を90度曲げる荒業である。
 技自体も凄いが、それを変形も混ぜて僅か10秒でやってのけた彼女たちも凄い。
 第2のLIPSと言われるが実力は月と蟻の差が有った。

「回避成功ですわ」
「今度は仕返しするべきね、それも3・・・いえ5倍返しで」

 シズルの感想にタカノが続ける。
 更に

「いっそ1番戦果が多かった人がタケル君が帰ってきた時に告白できる権利を取れる事にしない?」
「あ! それ賛せ〜い!」

 ミランダの提案にシェリーは簡単に肯定。


 ・・・・・ニヤリ・・・・


 4人はニヤリと笑いながら、防衛陣地から慌てて撃ち上げられた対空射撃を回避しつつ突入開始する。
 こいつら、タケルの秘密を知ってるのか?







 

「可変PFだと!」
「そんな物まで?」

 第4小隊の可変PFを目の当たりにした防衛部隊だが、驚いた所で戦いを回避できるわけではない。
 ヌエ・フォートのバスターランチャーが、ロキのMLRSやヤシャのAAFミサイルが次々と撃ち上げられる。
 並の機体ならば落とせる攻撃。だが相手が悪い。
 新鋭機とベテラン兵のツイン。次々と回避しながら陣地の上空に到達。







 

「一斉投下!」
「行け逝け!」

 シズルの命令にシェリーがノリノリで答えながら翼下の爆弾を投下。
 コンクリートで覆われた陣地を攻撃する為の特殊爆弾に威力にトーチカは吹き飛ばされ、通常爆弾の爆風がヴェタールを爆炎で覆った。

「第0小隊から第4小隊へ! 後、2分後に俺達も上陸する・・・それまで空中から撹乱攻撃!」
「「了解しました」」

 ケンからの命令にタケルに良い所を見せようと虎視眈々と隊長の座を狙っているタカノとミランダが答えた。
 そしてそれが引き金になったらしい。

「人の役奪ってんじゃねぞ! こいつら(ヴァリム軍)絞めたらテメェらの番だからな!」

 またもシズルが切れた(カルシウム不足?)
 PF形態に変形して地上に降下。
 右手に装備された新型ビームマシンガン「ガンセイバー」をソードモードでダイブ切りをかます、見事に目標とされたタルカスが両断。

「どうした! こんな雑魚ではアルサレアの叡知の結晶であるJファルコンを落とせんぞ! かかってきやがれ!」

 大声で名乗りを上げるシズル。
 それに続くように他の機体も次々と降下して攻撃を開始。
 僅か10秒足らずで命令は無視された。







 

 そして2分
 Jファルコンに怯えつつも浅瀬で海から来る上陸艇を警戒していたヌエ・フォートが爆発。
 一瞬にして12機も屠られた。

「そんなんじゃ私達に敵わない。どけどけどけぇ!」

 閃光の爪隊の切り込み隊長であるマユのJエピオンが振るった新型クィーンネイル「ダークウィスパー」の斬撃で7機。さらに彼女の第1小隊のJエピオンの放ったビームやグレネード弾が5機を屠ったのである。

「マユ、俺たちの目標機は分かってるな?」
「とりあえず俺達が砲台を潰すから、バスター装備機を殺ってくれや!」
「分かりました」

 同じくJエピオンに搭乗する第2小隊のイクスと黎はマユに連絡を入れると装甲とPFで守られた砲台に肉薄。

「久しぶりにアレ行くか?」
「アレだな・・・ヒドラファング?」

 イクスと黎は通り名として「マッドヒドラ」の異名を持つ。
 そしてヒドラファングと呼ばれる必殺技が有った。

「「ヒドラファング、行くぜ!」

 掛け声と共に第2小隊の2機の遼機に先行して二人は砲台を守備していたPF2個小隊の中に浸透。
 不規則な機動で動き回り、幾度か交差する。
 そして5度目の交差の後に守備隊は一機残らずPFを失っていた。


 ヒドラファングとは敵密集地点に浸透(内部に侵入)した後に無秩序な機動を繰り広げつつ黎が敵機を掴み、交差の瞬間にイクスがゼロ距離射撃で確実に葬る。
 場合によっては2機同時撃破もするぐらい凄い技なのだ。


 PFが居なくなった砲台は現時点で至近距離まで接近されたら役に立たない。
 上陸してくる船を攻撃する為の大砲なのだから仕方が無い。
 イクスと黎は別の砲台にむかいPF狩り、遼機の2機が砲台を破壊する作戦だ。





 

 そしていつも不幸なエヌスは

「邪魔しないでくれ!」

 エヌスの乗った機体の体当たりの威力はゼクルブを一撃で葬った。
 エヌス達、第3小隊の機体は可変砲撃型PF「Jウルフ」。4足歩行の狼型に可変機能によって砂漠や山岳地帯での高機動性と砲撃安定性を誇り、支援砲撃から突撃までこなす万能機だ。

「規定値以上のデータ取らないと僕の・・僕の!」

 エヌスは時間が惜しいのだろうか、砲撃ではなく突撃攻撃を繰り返している。
 狼形態の時のJウルフの背部には2本のレーザードリルがあり、高い速度も相まって一撃でゼクルブすら破壊する。
 ゼクルブは基本的に大火力による制圧攻撃が得意だが接近戦も出来る。が、それはJファーなどの第1世代機相手でありJフェニックスなどの第2世代機が相手では接近戦に持ち込まれれば7:3(7がフェニックスの勝利数)の結果となる

「砲撃地点に到達! 手当たり次第に砲撃してくれ! 少しでもデータが足りないとシエルに!」

 シエルに脅迫されているらしい
 シエルに尻に敷かれているエヌスであった。





 

「目標は高台の上の司令部。突っ込むぞ」

 ケンの下した目標地点にJラプター、サラマンダー、ファイターが向かう。
 だが敵戦力は2個中隊と多数の砲台に無人戦車。
 数の上では圧倒的な差があった。

「お退きなさい!」

 シオンはJファイターの装備していた銃を持ち替えてトンファー形態にすると進路を遮るように立っていたマウントハンター3機に殴りかかる。
 その拳の猛打によって見る影がなくなったマウントハンターを通り越して近くのヤシャ量産型の頭部を左手で掴み

「これってこういう使い方もあるんですよ」

 左手の平に内蔵されたビームサーベルを起動、頭部は消滅した。
 だが、そんな攻撃の為に一瞬だが隙が出来てしまい偶然にいた無人戦車部隊が一斉に砲撃を放つ。

 ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!

 Jファイターは煙に包まれる・・
 しかし、

「損傷率は10%ですわね?」

 20機もの一斉砲撃を食らっても致命傷には程遠い装甲を持っていた。
再度の攻撃をかけようとした瞬間、

 ズバァァッァァァーーーーーーー!

 緑色の閃光が無人戦車と周囲のトラップを一斉に薙ぎ払い、閃光が消えた時には何も残っていなかった。

「うひゃ〜〜たまげた威力だぜ。無事か、シオン?」

 コウスケのJサラマンダーの肩に装備されたガドリングバスター(4連ガドリングバスターランチャー)の砲撃である。

「私は別に大した被害はありませんよ。それにしてもバスターの連射に重装甲・・・これ以上の性能になる第3世代機は化け物になるのでしょうね」

 自分たちの乗る機体の性能もだが、シオンは兵器自体が化け物に思えてくる時がある。
いや、それを平然と使って戦い続ける自分達が化け物なのだろうか?

「その為のナイツ計画だろ・・・それに化け物は増やせば生態系も崩れる。そうしないための計画だ」

 ケンがJラプターの両肩のウイングに内蔵されたレーザーキャノンを起動させる。
 巨大な翼の間に挟まっていた超砲身のキャノンが展開し光弾を発射。
 ダークアームド4機が頭部や武装、脚部を破壊され動かなくなる。

「次は貴様らだ・・・」

 パイロットが脱出したのを確認すると、今度は背部スタピライザーの中に収納された大型レーザーセイバーを両手で持ちあげ、今回やられ役のゼクルブを次々と両断。
 はっきり言って全然相手になっていない。
 それほどまでに性能も技量も差が歴然としていた。

「ん?・・・あれ見ろよ!」

 部隊の中で1番の索敵能力を持つJサラマンダーに乗ったコウスケが上空を進むモノを見て声を張り上げた。

「今確認した・・・作戦の第2段階に移るぞ!」
「次は突破ですわね」

 シオンからの通信を手始めに、それぞれの作戦行動を取っていた各部隊が一斉に前進を開始。
 そのまま防衛陣地を突破し始めていた。













 

 ノーデンス艦橋。


「先行上陸していた閃光の爪隊より緊急連絡! オーガルディラム級一隻、ほか輸送機ガンシップ型10機が海上に到達・・・あと数分で戦闘海域に到達します!」

 コウスケ達が見たものはヴァリム軍の決戦兵器とも言うべきオーガルディラム級空中空母と護衛する空中艦隊だった。


 まず、護衛艦隊とも言うべき輸送機ガンシップ型だが早い話が輸送機の搭載能力を生かして対PF武装や対艦武装を施した機動砲台的な大型航空機の事である。
 余談だが、現実の世界にも実在しベトナム戦争で活躍。これを元に攻撃ヘリコプターが開発された実績がある(現実でも輸送機に小型火器を装備している)
 そしてオーガルディラム級もアルサレア戦役の頃は航空機用の空母だった事もあり搭載機は僅か11機だったが2番艦以降は純粋なPF用に改良され、巨体と相まって大火力と60機もの搭載力を誇る空中空母に転生していた。




 

 兎に角厄介な相手である。

「艦隊に告ぐ・・・これより上陸戦に移る! 輸送艦隊の為にも道を作れ!」

 現実逃避したのではないかと疑いたくなるような命令だ。
 しかし、艦隊の中核をなすレギオン級駆逐艦を初め、主力戦艦であるナイアルラ級戦艦やニュルンベルク級巡洋艦、果ては対PF戦を意識して開発されたセイレーン級対機動護衛艦も全速力で進撃。
 ヴァリム海軍の艦艇の半数は既に撃沈され残った艦も損傷が激しく動けない艦も多い、海上でアルサレア艦隊を阻めるものはいない、空の空中艦隊とアルサレア海軍艦隊の一騎討ちなのだ(艦隊対決で一騎討ちはおかしいが)

「「全艦攻撃開始!」」

 見事に両艦隊の司令官の言葉がハモった。
 空中ではスカイファルコンやJフェニックスとカルラとオードリーが激突し、その脇をヴァリムの対地上砲撃とアルサレアの対空攻撃が壮絶な撃ち合いを展開。
 ノーデンスの放った対空ミサイルがガンシップの一機を打ち落とす。
 スカイファルコンがオーガルディラムの機銃に捕まって爆砕。
 仇と言わんばかりにJフェニックスがその機銃を潰す。
 そして全速力で前進していた互いの艦隊は交差。
 オーガルディラム級と僅かに残った護衛艦隊は傷つきながらもアルサレア艦隊を突破したのだ。

「・・・第1と第4戦隊は前進を続けろ! 残った戦隊は意地でもオーガル級を落とせ!」

 アルサレアの艦隊司令は大声で命令する。







 

 一方、突破したオーガル艦隊だが目的のアルサレア輸送艦隊を見つけられずにいた。

「レーダーに反応は無いだって!? だったら熱探査と光学探査に絞れ!」

 レーダーはおろか肉眼でも船を一隻も見つけられない事に驚きと疑問を持ちつつも他の探査方法を試す。
 だが、周りには極地らしく流氷と氷山しか見えない。

「敵艦隊の2個戦隊が回頭!! 砲撃来ます!」
「くっ・・・!」

 オペレーターからの報告に歯噛みすると共に


 ズガズガガガッッッ!


 打ち上げられた大量のミサイルに耐え切れずオーガルディラムは巨体を海に没した。











 

 そして5分


 アルサレア上陸部隊輸送艦カタパルト


 オーガル艦隊が決死の捜索にも関わらず見つけられなかった輸送艦隊は遂に上陸可能海域まで到達していた。

「カタパルトを開け! せっかく先行隊が開けてくれた穴だ、無駄に時間を掛けて埋められるようなヘマはするなよ!」

 艦長の命令と共に輸送艦・・・氷山の一角が開いてカタパルトが現れる。また水面でも一部が開いて中から次々と上陸艇が吐き出される。
 見つけられなかったのも当然だろう、輸送艦は氷山に偽装され・・・って言うか氷山空母であった。
 此の氷山空母は早い話が移動型海上基地の周りにバルブと耐熱樹脂を混ぜた液体で作った氷板を重ね合わせて作くった氷山なのだ。
 面白い事に液体の中にはレーダーをかく乱する塗料やニブル改を粉末化した物も入っており、攻撃時や発艦時以外は見事なステルス性を持つ。
 その性でカタパルトや武装は常に内蔵していなければならないため(レーダーは偽装して外付け。内蔵すればレーダーは使用できない)に展開スピードが遅いという欠点がある、その為に閃光の爪隊が先行上陸して海上攻撃が可能な敵を潰していたのだ。




 

「うらぁ〜〜〜!」
「アルサレア万歳!」

 上陸したJキャノンやJフェニックスが閃光の爪隊によって半壊させられた陣地に攻撃を開始。
 他の陣地から援軍を出してもらったが数が満足とは言えない、次々と撃破されていく。

「一斉砲撃!」

 JキャノンやJブラスターの重火器が陣地ごとヌエを吹き飛ばす。

「CB発動・・・一刀両断!」

 Jファーカスタムのフォースソードがヤシャの装甲を切り裂く。
 もはやアルサレアの橋頭堡確保は時間の問題だった。





 

 その頃、先ほどから蚊帳の外に置かれていた閃光の爪隊はというと・・・

「第2小隊3番機! 東40からカルラ隊が接近、潰せ!」

 ケンの命令を受けた3番機は両肩武装ゴールキーパーを作動。長射程レーザーやミサイルが発射され近づくことなく防空システムの餌食となった。
 閃光の爪隊は遊んでいたわけではなく、内陸部から来る援軍を阻止する為に陣地を突破して後方で暴れていたのだ。

「・・・此の感じ? 双子?」

 どこぞの種に出てくる鷹(SE○Dの少佐)の如く因縁を感じ取ったのかマユは何かの接近を感じた。

「双子ってシンザンのか?」
「はい!」

 コウスケの問いにマユは自信を持って答える。

「だったらやる事は一つですわね、行くわよマユちゃん。ついでにコウスケ君」
「やる事?・・・あれですね」

 シオンの言うアレの重大さを感じたマユはシオンに追従して行く。
 コウスケも何をやるかは知らないが、とりあえずは信じたのか付いていく。

「ケン、後は頼むぜ!」
「いや、俺も用事が出来た・・・」

 明後日の方向を見ながらケンはコウスケの頼みを拒否。
 仕方ないと言った風に今度はエヌスに振られた。

「エヌス。お前が指揮を執れ」
「え・・・えーーー!?」

 突然の抜擢にヌエをドリルで突き刺すつもりが間違ってアシュラを突き刺してしまったエヌス。
 だが、

「冗談だ・・・イクス、後を頼むぞ」
「・・・(この人は・・・!)」
「了解しました」

 冗談で済ませてイクスに指揮を頼んでJラプターは陣地へ引き返す。
行き成り隊長格の二人が抜けた閃光の爪隊だが動じない。
 なぜならば何時もの事だからだ(おいおい)







 

 程無くしてシオンとマユは2機のシンザン・・・ユイとマイに出会った。
 目の前の敵を見つけたシオンは昔に渡されたキサラギ研究所出身者のみ使える通信ラインを使って話しかける。

「貴女がユイさんとマイさんね?」

 だが、双子は答えない。

「あなた・・・これを知っているのは何故?」
「知ってるのは貴女達が有名だからよ」

 元マンマシーン被験者と言う情報は与えず別の理由をマユはこじつける。この辺はケンから教えてもらった交渉術の一つらしい。
 ユイは出方を伺おうとして黙ったが有名と褒められたマイは違う。

「そりゃそうだな! 何てったって」

 マイの言葉の途中でマユは暴言を吐いた。

「有名になる人といえば可愛い人でしょ、あと頭の良い人でしょ、そして途方も無い馬鹿ね」
「ナンだと!」

 マイは怒った。
 可愛いと取れば良いのだが、マンマシーンの偏った知識の為に可愛いという概念が薄い。
 代わりに馬鹿が強調されたようだ。

「私、どれとは言った覚えは無いわよ?」
「・・・殺す!」
「「二人ともいい加減にしなさい」」

 両者の漫才にシオンとユイが突っ込む。
 二人が黙った為に今度こそシリアスに突入した。

「貴女・・・何が目的なの?」

 少ない新鋭機のデータから判断するにシオン達のほうが有利であると分析していたユイだが、当のシオンが動かない事に疑問を感じていた。
 そのシオンの次にした言葉はユイとマイを驚かせる

「私達は貴女に意見します」
「戦い以外の道を見つけたら」

 シオンとマユの言葉に双子は黙った。
 今までに少ない例外が在ったものの大抵は戦う事を命令される事が多い二人だ。
 普段ならばグリュウなどの一部の例外を除いて無視できるが、まさか敵から言われるなんて思いもよらなかったらしい。

(本当に今ならば間に合うかもしれない)
(私だってキサラギの呪縛から逃れられた・・・彼女たちも出来るはず)

 二人ともマンマシーン計画から逃れた過去がある。
 自分達と同じ境遇である双子を助け出したいと前々から願っていた。

「貴女達の言うことは理にかなっていない・・・排除するわ」
「戦い以外に面白れぇ事はねぇしよ・・・悪いな!」

 願い空しく双子のシンザンが動き出す。

「残念ですわ」
「残念・・」

 ズガッシュ!

 後方から放たれた光刃がシンザン2機の頭部をえぐる。
 えぐられた瞬間、2機のシンザンは瞬間転移で撤退していた。

「ったく・・・まさか説得をやるなんて思いもしなかったぜ」

 撃ったのはコウスケ。
 二人が説得に失敗した瞬間に砲撃する手筈になっていたのだ。

「でも意義はあるでしょう?」
「次は成功させる・・・」

 二人は今後も双子に戦い以外の道を教えようと考えているらしい。

「ま! 良いけどな」

 コウスケも正しいと思っているようだった。







 

 そしてケン。
 ケンは防衛陣地の近くの高台に迫っていた。
 周囲にはゼクルブやオニの残骸、ただし無人制御された人形。
 この様な兵器を扱う奴を探して此処まで来たのだ。

「噂通りの実力のようね・・・私の元で働かない?」
「貴様が冗談を言うとは・・・はいと言うと持っているのか?」

 奴ことフォルセア神佐の勧誘にケンは敵意むき出しで言い返す。

「だいたい味方にハーメルンシステムを使うような奴の下に付くつもりは無いんでな」
「あら、ばれてたの? 意外に良い頭持ってんじゃない」

 彼女はアルサレア軍を上陸させる為に味方にハーメルンヴォイスを使ったのだ。
 味方すら平気で陥れる神佐にケンは明らかな敵意を持っている。
 一瞬だが不殺主義を捨てて消そうかと思ったぐらいだ。

「其処までしてアルサレアに上陸させて・・・底なしの消耗戦に引きずり込ませる気か」
「・・・どうやら甘く見ていたつもりね。こっちの狙いもお見通しって訳?」


 ケンの調べでは既に神佐・・ガルスキー財団の狙いを読んでいた。
 アルサレア軍とヴァリム軍をGエリアで戦わせる事で両国に戦争を起こさせる火種を作る事。もう一つは底なしの消耗戦で両国の国力を疲弊させ、ガルスキー財団が表立って行動する時の対抗力を落とさせる計画なのだ。


「お前の目論見だが・・・誤算があるとすれば馬鹿が働く事だ」
「馬鹿? 彼ね・・・そう、貴方が其処まで言う彼の働きを見させてもらうわ。貴方の代わりにね!」

 フォルセアのオードリーが漸く動き出す。
 此処まで互いに無駄話をしていた理由だがネタ暴露の為ではない。
 互いに情報を引き出しあっていたのだ。無論本当の事ばかり喋るわけではない(むしろウソが多い)。だが、其処から推察できる事も多いのだ。

「・・いつまでも同じ手が効くと思ってるのか?」

 ケンはコクピットから何かを取り出し、Jラプターを走らせる。
 だが、それよりも早くオードリーのハーメルンシステムのウィルスがJラプターに進入。

(進んでないですって? 此のウィルスが常に進化している代物よ)

 既にウィルスを送りつけた。すぐにJラプターは暴走するだろう。
 だが、

 ズラッシュ!

 暴走する事なくJラプターはオードリーを切り裂いていた。

「何・・・故?」
「言うと思ったのか? 教える義理も無い」

 未だに信じられない様子の神佐にゲーム機用コントローラー(?)を持ったケンはオードリーを拘束しはじめる。
 ケンはハーメルン対策として「従来と違う操作方法」で対抗したのだ。
 動作操縦を限りなくOSに依存した少なすぎるボタン操作にウィルスは暴走を引き起こせなかったらしい。
 そんなネタ晴らしは兎も角、操縦系を戻したJラプターは危険を感じてオードリーから離れる。


 ズガァァァァぁーーーん!


 オードリーは自爆した。

「ち・・・無人機だからってエゲツない女だ」

 既に無人機と生体センサーで判断していたケンは実験用に回収できると思っていたオードリーの自爆に愚痴をもらした。

「ケン! 用事は済ませたか?」
「ああ・・・一応はな」
「こっちもです」

 コウスケから通信が入りマユが報告する。
 さらに

「隊長。上陸部隊が橋頭堡の確保に成功しました」
此の時点で最後の命令が待っている。
「各員、撤収!」
「「「「了解!」」」」

 Gエリア最後の任務として機体を無事に本土まで持ち込む命令がある。

(さて・・・あとはお前らの番だぞ、タケル)

 飛び立たせながらケンは今後の主役とも言うべきタケルに期待を膨らませていた。







 

 Aルート終了



 



 後書き


 今回の作品を書く上で色々とハプニングがありましたが何とか書き終えました。
 この作品はオリ兵器が多数乱出Aルート(オリジナル編)と原作に近いBルート(コバルト編)に分けられた面倒な作りになってます。
 自分でも読んでて「絵が描けたらな〜」と思ったぐらいイメージが難しい兵器が多かったと反省してます。
 兎に角、コバルト編は読みきりとして何度か書かせてもらいます。
 その前にBルート編も書き終えねば成りませんがね(汗)

 最後にディウスとアリシアを貸していただいたヴァイカーさん。本当にありがとうございました。
 貴方のSSの感想を書きたいのですが感想掲示板に入れないので未だに掛けずにスイマセンです(此の場を借りて感想書こうかな)


 

 ではまた〜


 設定集は別記です(謝)


 


 管理人より

 神楽歌さんよりAルート編をご投稿頂きました!!

 艦隊の名称はクトゥルー(デモンベイン)などからですかね?

 しかし氷山戦艦……(爆笑)
 


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