最終話戦闘Aパート
大阪城を中心とした戦場が描かれたモニターを見ながら大阪城陣地司令部の参謀の一人は呟いた。
「司令…戦闘が始まりました」
「そうか。清馬(せいバー)参謀、不安みたいだな?」
司令官「愚連将太郎」は力強く静かにセイバーに話し掛けた。
セイバーは信頼する上官のグレンに自信無さげに答えた。
「はい…これほどの戦力差をどうにかできるのか不安ですよぉ〜」
この戦いの戦力は10万対500万の規模である。無論、10万が人類側だ。
惑星Jに居る同名の人物と同じくセイバーはピンチには弱かった。
しかしこの一戦がどれだけ重要化は理解している。逃げ出そうとは微塵も感じていなかった。
「フン、不安だと?僕の完璧な作戦に何処が不安なんだ?」
そう言ったのは同じく参謀の茜大輔だった。
彼は10代前半という年齢にもかかわらず、その実力で参謀の職に身を置いているのである。
はっきり言って、彼は自尊心とプライドの塊であるが人当たりが良ければ参謀長になっても可笑しくない実力があった。
「こんな状況で不安にならない奴の方がどうにかしてるよ」
自分より(多少)年齢の低い茜に色々と言われたのでは面子が立たないと思ったのか強気に出た。
静かな様子だが一触即発である。
その状況を破ったのはグレンだった。
「今はお互いにやるべき事に集中するべきだろう?」
癖のある人物の扱いに長けているのは平行世界でも同じらしい。
茜とセイバーにそれぞれ話し掛けた。
「茜参謀。君の能力ならいかなる状況になっても対処できるはずだ。それに集中すべきじゃないのか?
星馬参謀。不安かもしれないが人類は強いんだ。それを信じるのも指揮官としての務めだと思うな」
グレンの声は司令室全体に聞こえるような高さだった。
それは立派な演説である。
この世界でもグレンの名は英雄であった。
「こちらグレンリーダー。ルリエル、これより出撃する」
グレンリーダーはルリエルに出撃宣告を出した。
今回は敵新型幻獣「玄武」の影響で上空からの管制が出来ないのだ。
そのために輸送機を地上施設代わりにして簡易的な司令所としたのだった。
幸いにも、メガバスターや機銃での支援が可能でかなりの好評である。
「こちらルリエルです。了解しました〜」
返事をしたルリエルは輸送機のハッチを開放した。
ハンガーからPFがリフトオフしていく。
それをルリエル配下の整備員A〜Nが敬礼して見送くる中、アームドやブラスター達が勢い良く飛び出した。
「グレンリーダーより、第2中隊から第4中隊へ。俺達、第1中隊で敵後方に回り込む。君達は敵部隊への防衛線を展開して欲しい」
グレンリーダーは同じ戦闘エリアを担当する他の中隊長へ命令を出した。
この戦闘で、グレンリーダーは第17戦隊の1個大隊の指揮を任されているのだ。
「こちら第2中隊長チェンナ・麻狼(マーロウ)です。了解しました。貴方に精霊のご加護がありますように」
「第3中隊長、綸菜(リンナ)・伊豆見(イズミ)ですわ。この戦いが終わったら結婚してください」
「第4中隊、唯(ユイ)希更技(キサラギ)。了解…」
どの部隊からも了承の返事が来た。
何か変な言葉も混じっている気もしない訳ではないがグレンリーダーはそのまま加速しだした。
「なぁ、隊長。狙いを絞るべきだと思うぜ?」
グレンリーダーの隣を併走していたキースから連絡が入る。
キースの助言に納得したグレンリーダーは中隊の面々に通信を送った。
「グレンリーダーより各機へ。ヴァールラッシュ小隊はミノとゴルへの攻撃を、ムラキ小隊はキメラなどの支援型への攻撃を優先してくれ。俺達で玄武への攻撃を開始する!」
「「「了解」」」
バシュッ!
アームドの脇をレーザー砲が掠めていった。
シュバッ!
スペリオルの目の前の地面に多数の弾痕が生まれる
ズギャオォォ――ン
イリア・ソニックカスタムの近くで生体ロケット弾が爆発した。
命令を受諾した瞬間に幻獣からの攻撃が始まったのだ。
たった16機に100匹の攻撃である。
だが誰も立ち止まらなかった。
時を同じくして朝鮮半島
ズバッシュ!
ジハードの光剣が煌いた
オギャンオス!
意味不明の音がした
ケイオウもまた一人ではあるが戦っているのだ。
これから彼は物語の幕引きを行なう。今はそのウォーミングアップの最中だった。
目の前のモニターに映る200匹もの幻獣達にロックオンを示すマークが灯った。
「目標ロック…喰らえ!」
叫びと共にジハードの肩に背負われている大口径バスターランチャーからマシンガンの様に光線が撃ち出された。
本来は極太バスターランチャーなのだが、今回は出力を絞って低出力で連射したのである。
その光は狙いたがわずに200匹の幻獣を捉えつつ380匹以上も巻き込んだ。
「貴様等ごときでは俺を止める事はできん」
撃ち終った瞬間にケイオウは既にその場を離れていた。
別に回避しなくてもジハードRの装甲の前では傷一つ付く事は無い。
しかし、この戦いはウォーミングアップである。
練習ステージの様な物でもあるし、本来のジハードよりもこの機体の性能が低い以上は慣れておく必要もあるのだ。
「さて…少しは弾薬を節約せねばな」
今度は頭部に内蔵してあるガドリングキャノンを放った。
通常ならば実弾が秒/1000発で吐き出されるのだが、先も言ったとおり弾薬を節約してレーザーと交互に撃ち出したのだ。
それが実弾だろうがレーザーだろうが関係ない。
ガドリングの射線に入った敵に待っているのは「即死」のみだったのだ。
大阪と違ってこちらの戦況は圧倒的だった。
それでもケイオウは喜んでいるわけではない。別のことに集中しているのだ。
「合図はいつ来る?」
風は目的地を探して激しく吹き荒れていた。
「全機、止まるな!止まったら狙い撃ちされるぞ!」
グレンリーダーは敵後方に向かう為に幻獣の群れに突入しながら叫んだ。
通常ならば後方に回り込むのが定石だが彼らの実力は正面突破を可能としている。
現にアームドやサリア専用Jファーに向けて膨大な数のレーザーが線と言うより面のような形で撃ち出されているのだ。
「隊長〜こんな中を駆け抜けるのはアルサレア戦役以来ですね〜」
サリアはこのような時でもマイペースを崩さない話し方だった。
しかしサリアよ。君は肝心の事を忘れていないかい?
「サリア…俺は前線に出てなかったんだが?」
「あうぅぅ〜すいませんでした〜」
あの時グレンリーダーはキースとアイリに護られるように後方で待機していた。
結果として彼らにつらい思いをさせてしまったのだ。
だから彼は決めていた。
「今度は俺が前に出てあいつ等を護る」と
本当にアームドなのか分からないような速度でグレンリーダーは駆けているのだ。
彼を止めようと無謀にも挑んでくるミノタウロスやゴルゴーンはいたが瞬殺された。
もしもグリュウがこの場を見ていたらこう言うだろう
『信念無き者を倒すのは容易いが信念有る者を倒すのは万の兵と戦うと同じような物だ』
グレンリーダーの戦い振りから分かるように、その攻撃は信念が具現化したような物だった。
―――大切な仲間を護る―――
「隊長!もうすぐ敵後方に出ます!」
アイリから通信が入ってきた。
「さて隊長。もうすぐクライマックスだぜ」
キースからも激励の言葉が入る。
そして予定ポイントを抜けた。
「各機散開!!」
「「「「「「了解」」」」」」
続々と入ってくる戦況を聞きながら速水はこらえていた。
彼と芝村が乗る士翼号は大阪城の地下ドックで後ろに控える翼持つ侍たちと共に出撃の時を待っていた。
「ねェ、舞。戦況はどう?」
速水は「今が出るとき」と言うニュアンスを含んで相棒の芝村に話し掛けた。
「時期尚早かも知れぬが…今出ていけば戦況をひっくり返せるはずだ。行くか?」
「決まっているさ。行こう!」
相棒の了承を得た速水は後ろに控える部下たちに出撃サインを出すと格納庫のエレベーターのハッチを開けようと手続きをした。
「?」
しかしハッチは開かなかった。
それだけでは無い。謎の文字が速水達のモニターに映った。
「こんにちは!(場合によってはこんばんは!)私は破壊なす○○と呼ばれる聖女です。
突然ですが貴方達の出番はまだ先です。残念ですが、もうしばらくここに居てください」
そう言って画面は消えた。
速水は悟った。
この人が士翼号を作ったんだと。
そして気付いた。彼女は戦況をひっくり返す策を持っていると。
だから速水はもうしばらく耐えてみようと考えたのだった。
場所がまた変ってグレンリーダーサイド
後方に回り込んだグレンリーダー達は優勢に戦闘を進めていた。
「目標ロック…FIRE」
キースの言葉どおりバスターランチャーからレーザーがほとばしって行く。
「ラムス…見といてくれよ!」
スペリオルのMLRSから誘導ロケット弾が24発、それが3回も繰り返された。
「せんぱ〜い!危ないですよ〜」
「サリア!任せたわ!」
「はいです〜」
サリアはビルをハンマーで思いっきり叩いた。
ズゴゴォォォー――――――!
アイリがドリルアームで穴を開けまくったため大量の幻獣を巻き込んでビルは崩れた。
PFの装備武器の破壊力は実は戦艦とまでは行かなくても駆逐艦程度なら余裕で潰せるのである。機動兵器程度の幻獣が耐えられる事は滅多にない。
「こちらルリエル、グレンリーダー応答してくださーい!」
「こちらグレンリーダー。ルリエルどうした?」
「はいです。敵援軍が皆さんを挟む形で進撃してきますぅ」
「分かった!」
グレンリーダーが通信を切った時、今度は別から通信が入ってきた。
「こちらキース!すまねぇ、右腕持ってかれた!」
確認するとJブラスターの右腕がレーザーソードごと飛んでいた。
「こちらサリアです〜。たいちょ〜う、ハンマーが壊れました〜」
「馬鹿な!」
グレンリーダーが言う前にコウスケが驚いた。
Xハンマーは金属の塊である。それが壊れる事は滅多にない。
「サリアはキースの破棄したレーザーソードを拾ってくれ。アイリ、サリアの援護を頼む。コウスケにキース。悪いがしばらく指揮を執っていてくれ」
キースとコウスケは先ほどのルリエルの通信を知っているのだ。
「無茶するんじゃねぇ隊長!」
「お前んとこ死なせたら、俺がケンにぶっ殺されっちまうんだぞ!」
しかしグレンリーダーはそんな事で意志を変えるわけはない。
「問題はない!」
そう言って飛び上がって行ってしまった。
後を追おうとしたキース達だったが、挟撃していた幻獣の数はいまだに多くてそれが出来なかった。
「うっぉぉーーーーーー!」
グレンリーダーは高度300メートルでブースト飛行をしていた。
ここらで新しい事実をお知らせしよう。
実はこの1週間で防空型幻獣「玄武」に新しい弱点が見つかったのだ。
それは高度300メートル以下では2キロの距離までレーダーの性能が低下するのだ。
理由は簡単。空から降り注ぐ紫外線や電磁波が地上で乱反射して、それの影響でかく乱されてしまうのだった。
もっとも、普通の飛行機には300メートル以下の低空飛行は出来ないのだった。
それゆえに注目を浴びたのが蒼風などの人型戦車である。背部ブースターにより超低空戦闘が可能の為に完全に主力の座を取ったのだ。
ヘリも主力候補だったが地上戦闘と装甲の差で負けたのだった。
そんな訳でグレンリーダーはアームドを全速で飛行させていた。
2000メートルまで近寄れば目視戦闘である。
グレンリーダーならレーザーだろうが回避可能だ。
「距離…2500…2300…2000!くらぇぇーー!」
アームドを急降下させて地面に降ろすとコアバスターの発射態勢に入った。
ズビュババァァァー―――――――!
これまで何度も幻獣を消滅させてきた光の奔流が走った。
正面に展開していた玄武が消え去る。
「来るか!」
そう言った刹那、生体ミサイルとロケット弾が飛んできた。
いかにグレンリーダーの技術が高くてもアームドは重量級である。何発も突き刺さる。
だがアームドの装甲はそれ以上を誇る。アルサレア自慢のPFだ。
「ナインやレールキャノンは残弾無しか…終わる訳にはいかないんだ!」
すぐに両肩の武装を切り離すとレーザーソードとアームドシールドを掲げて突っ込んだ。
レーザーやロケット弾がなおも撃たれてくるが回避とシールドを巧みに使いながら接近に成功した。
スパッ!
ブシャッ!
鋭い剣技が幻獣を葬っていく。さすがはアルサレア最強と呼ばれている男だ。
ズルッ!ガク!
不意にアームドの動きが狂い始めた。
異変に気付いたグレンリーダーはモニターを見て叫んだ
「機体各部に異常!馬鹿な!」
ルリエルの整備の技術力はかなり高い。ケイオウ特尉のヘルフェニックスに触れる許可があるのだから当然だ。
さらにはこの世界に来てから、ぜんぜん生産工程の違う地球製の部品でPFを稼動させていたのだから神様と呼ぶべきだろう。
実はそれが問題だったのだ。
グレンリーダーのアームドは高品質の部品をふんだんに使っている。
部品の品質には気を使っているのだが、この世界の地球製の部品はかなり劣悪な物だった。
それでも今まで100%の稼働率を維持していたのだからルリエルの整備は完璧だったのだろう。
しかし、その余波が今頃来たのだ。度重なる酷使と規格外部品の使用でアームドは能力を一気に失ってしまったのだった。
本当に場所がしょっちゅう変わるが、この事件の発端となった惑星J アルサレア第2研究所跡地。
今は廃棄された第2研究所の地下2000メートルに1つの研究施設があった。
そこには一人の男性がいた。
そう、アーネスト・キルシェ!アポロンの製作者である。
彼は次元のひずみを介して流れてくるグレンリーダー達の状況を見ながら1機のPFを整備していた。
そしてグレンリーダー機が停まったのを見た瞬間、レバーを引きつつ言った。
「いまこそ友に頼まれた物を貴方に送りますんで使いこなしてくださいよ、元帥殿」
PFが霧のように消えた。
「なぶり殺しにするつもりか!」
動けなくなったアームドに幻獣は砲撃を繰り返し行なっていた。
アームドの装甲が次々と剥がれ落ちていく。
しかしグレンリーダーは諦めていなかった。
アームドを復旧しようとコクピットの配電板の配線を必死に繋ごうとする
「俺は…まだ死なない!」
グレンリーダーの奮闘も虚しくアームドはウンともスンとも言わない
PFは喋らないのが当然だからであるがそんなボケは今してはいけない。
今入ったボケは無視して、砲撃でアームドを破壊できないと気付いた幻獣は接近を試みてきた。格闘戦で破壊するつもりなのだろう。
「まだだ!まだ終わりじゃ…何だあれは!」
グレンリーダーの願いは通じたのか一機のPFが落ちてきた。
グレンリーダーがピンチの頃、一応この話の主役であるタケル達は未だに格納庫にいた。
「隊長…俺達がこの世界に来たのって、この時の為だと思うんですが」
「さあな。俺はこの世界に来た意味なんて考えた事はないんでな」
その答えをタケルは満足していた。
「さて…行くか?」
「そうですね。って、扉が開かないだって!」
ここも謎の聖女の影響で扉が開かなかったようだ。
しかしケンは冷静そのものだった。
「邪魔!」
両腕で持っている機体よりも大きいレーザーソードで扉をぶった切ってのけた。
普通なら文句や呆れる物だがタケルは無反応だった。
障害物があった場合、ケンなら壊してでも突き進む事が分かっていたので慣れていたのだ。
タケルがOSを起動させると視界に文字が映り出した。
――汝、憎悪に染まりし空を断つ焔(ほむら)
汝、終わり無き絶望の中から生まれた希望
汝、世界に望まれし永遠
汝、世界を駆ける翼となれ――
オルタネイティブシステム…OK
タケルは叫んだ
「飛び上がれ!鳳翼!」
人の心を持った翼は舞い上がった。
「PF…なのか?」
そう言いながらもグレンリーダーは目の前の機体をPFと認めた。
何故認めたのかと言うと外見である。
頭部、腕部、脚部がJフェニックスなのだ。
さらに特徴的な物としてメインがJフェニックスでは在るのだが、胸部がフェニックスの顔(鳥の顔)になっているのだ。
メインフレームに動物のレリーフを搭載するなど地球の技術者がやるわけが無い。そんな事をやるのはJの人間ぐらいだ。
かなり失礼な考えだがアリスやミルクが実戦配備されているのだから否定は出来ない。
それはともかく、グレンリーダーは自分のアームドと目の前のPFを見比べた。
「アームドは使用不可か…やはりこれを使うか?」
自分の使っているアームドが限界だと悟ったグレンリーダーはすぐに目の前のPFに移った。
幸いにも幻獣は謎のPFが来た時に発生した衝撃波で吹き飛んでいた。死んではいないが戻ってくるまでには乗り込めるだろう。
アポロンに似ている為、同じ場所にコクピットがあると思った所、本当だったようだ。
「中はJフェニックスと変らないか…電源も入ってるようだな」
コクピットを覗いたグレンリーダーは機体が使えると判断してシートに座った。そしてハッチを閉めた。
シートに体を固定するとメインモニターの脇に「説明書」と書かれた紙が張ってあった。
「機体名は…フェニックス・ラーか!」
説明書の内容は簡潔だった。
―基本は従来機と変わりないです。専用武装はモニターに出ますんで―
たった2文だったのですぐに読み終わると起動動作を始めた。
「モニター類は異常なしと…メインジェネレーター出力は100000kw!?…コロナシステムだと!」
コロナシステム。アポロンに搭載された超エネルギーユニットのことだ。
いまだに解析できない上に出力もリミッタ―が掛かって僅か1%ぐらいの出力しか発揮できないはずだが、それでもJファーカスタム以上の出力を出すジェネレーターである。
グレンリーダーは誰が作ったのか理解した。
その時モニターに再集結しつつある幻獣が見え始めた。
(アーネストの言った太陽とはこれの事か!行ける!)
目の前の敵を撃破し、アイリ達の元に向かうべくブーストペダルを踏み込んだ。
だが機体ポテンシャルの高さの所為で肝心の事を忘れたようだ。
「何故動かん!」
グレンリーダーの叫びどおりフェニックス・ラーは全然動かなかった。
「何を考えてるんだ、彼は!」
トリガーを引いても腕は動かず、ウェポンチェンジをしても反応無し。
起動しているのに動かないのだ。
グレンリーダーは珍しく混乱した。
(アルサレア戦役の時にPF開発だけに予算を優遇してた分の恨みか?)
実際に内装部品よりも機体フレームに予算をつぎ込んでいたから、内装パーツ中心の2研研究員に恨まれたのだと思ったらしい。
混乱の中で遂に幻獣が攻撃を開始してきた。
スキュラやキメラからレーザーが集中して着弾する。
(フェンナ…スマン!)
混乱から戻ったのか自分を信じてくれている女性を思い出した。
彼は走馬灯を見たのだから死ぬと思っていた。
だが予想に反してラーは無傷だった。
「生きてる…俺生きてる!」
どこぞのカフェの中年店主のセリフにも聞こえるがグレンリーダーは自分が生きている事に気付いた。
(レーザーが消えただと?)
レーザーは着弾した瞬間に全て消え去ったのだ。
自分が生きてたことよりも何故無傷だったか疑問に思った。
その答えはすぐ分かった。
「こんちはーー!俺はAIのヨウです。集光装甲のおかげで無事みたいですね〜」
集光装甲とやらよりも自称AIのヨウのほうが謎だ。
「お前はこの機体のAIなのか?」
「いや〜そうなんですよ〜」
グレンリーダーはこの性格に戸惑った。
彼が今までに見てきたAIの性格は超合理主義型か、とにかく反抗的な性格が多かったのだ。目の前のは馴れ馴れしいが愛嬌がある。
気を取り直したグレンリーダーは一番重要な事を聞いた。
「この機体は動かないのか?」
「ハイ。何かしらの合図で動くらしいです」
驚いたグレンリーダーは声に出した
「何!」
「ばかな!」
ヨウ…お前まで驚いてどうする?
って言うかアーネスト。AIにギャグを学ばせてどうする?
ヨウはグレンリーダーを安心させようとしたのか、自分が安心だと言う事を説明した。
「まぁ〜このラーの装甲はナノサイズの太陽電池が埋め込まれてるんでレーザーは全部吸収しますから大丈V!」
「…実弾や格闘攻撃には?」
ヨウの漫才スパイラルから抜け出そうとグレンリーダーは真面目な状態に戻ろうとした。
「運に任せるっきゃないですよね〜!」
見事な問題発言である。お前本当にAIか?
そもそも降下地点間違えたんじゃないのか?
敵地で動けない状態にして放置なんて誰もやらんぞ!
グレンリーダーはそれでも諦めなかった。
「奇跡は起こすものであり、呼び込む物!俺は諦めない。諦めた奴には負けしかないんだ」
その声は本当に奇跡を呼び込んだ。
「そこの朴念仁!何やっている?」
「グレンリーダー!援護します!」
ケンとタケルの声の後に16本もの破壊の光が降り注いできた。
それはあまりに暴力的で、グレンリーダーを葬ろうとしていた幻獣群が逆に消滅した。
目の前の殲滅劇を見たグレンリーダーはタケル達に通信を送った。
「それがお前達の新しい機体か?」
その声にタケルはキメ台詞の様に答えた。
「名前は鳳翼。英語名はウイング・オブ・フェニックス…新しい翼です」
「そうか」
その時、後方からPFの接近を知らせる反応があった。
「隊長。無事か!」
「た〜いちょう〜。心配したんですよ!」
グレン小隊やヴァ―ルラッシュ小隊達、それに第17戦隊が合流してくる。
だが、いきなりアイリが本気で泣く様に叫んだ
「た、隊長…そんな…死ぬなんてーーーー!」
どうやらアームドが半壊しているのを見て戦死したと勘違いしたのだろう。
「俺はまだ死んでないんだが?」
「え!?」
どうやらアイリもグレンリーダーがアポロンの仲間に乗っている事に気付いたようだ。
他の連中もグレンリーダーがフェニックス・ラーに乗っているとは予想もしなかったようだ。
「俺は今この機体に乗っているんだが…動く事が出来ないらしいんだ」
グレンリーダーは絞るように言った。
アルサレア戦役後、彼にとって仲間だけ戦わせて自分だけが悠々としているのは拷問よりもツライのだ。
だが悲嘆にくれている暇は無かった。ルリエルから通信が入る。
「敵主力が接近してます〜どうやらこの方面から大阪城を攻撃するみたいですぅ」
「こちらケンだ。俺達が主力に攻撃を仕掛けてくる。お前らはここで防衛戦を展開していてくれ。ついでだが、そこで動けない奴の事も頼む…」
通信を聞いたケンはすぐさま全機に通信を送った。
「さっきから気になってるんですけど〜何処にいるんですか〜」
サリアの意見はこの場の部隊の代弁だった。
少なくともレーダーには映ってはいるが周囲にはいない。
1つだけ可能性ははある。だが、そこは玄武の防空攻撃で居る訳無いはずだ。
「今現在…高度30000メートルだけど?」
「「「「「「「「ええぇぇぇぇぇーーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」
「そこまで驚かなくても…」
周りの驚きようにタケルの方が驚いた。
マコトは「信じられない」と顔に書きながら言った。
「先輩!防空レーザーは大丈夫なの?」
タケルの返事はさらに驚かせた。
「さっきから300発ぐらい当たってるけど?」
「「「「「「「「ええぇぇぇぇぇーーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」
「だからそこまで驚かなくても…」
いや驚くって。
レールキャノン級兵器が300発も当たったらPFを20機ぐらい余裕で消滅させる。
タケルの言っている事は、あまりに非常識すぎて全員が閉口した。
「伊達でTES積んでるわけじゃないしな」
とりあえずタケルは自分が無事の訳を説明しようとした。
だが今まで話に混ざれなかったケンが混ざって来た。
「タケルは低空戦闘で行け。俺は急降下攻撃をやる」
「分かりました…じゃあ、下に降りますね」
そう言うと通信を切った。
そして…
キュイィィーーーーーーーン
上空から落下物が落ちてきた。
あまりに早すぎて地面に激突間違い無し、の筈だったが無事に着地していた。
大地に全高18mの巨人…その翼から天使や鳳凰にも見える機体が立っていた。
「これが鳳翼の姿です」
タケルはVサインをして見せた。
鳳翼の姿を見たキースは何とも言えない様な表情だった。
「なんか…頭部がすごいな」
「角付きだし…口も開けそうね」
実際、鳳翼のヘッドはEVA初○機に似ているのだ。
今までに例の無い頭部を見て驚くなと言う方が無理だろう、特にそれなりにPFを運用しているアルサレア勢はその影響が強かった。
その中でタケルは逆立ちした、踊ったり、しまいにはソーラン節をやっている始末である。
「じゃあ、じゃあ…バック転やって!」
グルン!
面白がったマコトのリクエストにタケルは本当にバック転をやった。
フルマニュアルですら困難な機動に疑問を持ったコウスケはタケルに聞こうとした
「どこをどうやったら、そんな動きできるんだよ?」
コウスケの疑問はタケルによって答えは出た。誰も予想もしなかったものであるが。
「これの操縦システムっスか?かなり複雑な内容ですけど、機体と一体化してます」
誰も喋れなくなってしまった。
アルサレアは勿論、ヴァリムやミラームーンですら、まだそんなシステムの開発できてない。
しかし目の前にあるのだ。
原理を聞こうとしたが誰も聞けなかった。
聞こうものなら確実に夕子が説明を始めるだろう。そうしたら誰も生き残れない。
またもや話に混ざれなかったケンが何とか口を開いて来た。
「いい加減行くぞ?」
「あ、スイマセンでした。と言うわけで行ってきますね」
タケルは500メートルの高さをマッハ2で飛行していった。
さっきまでふざけていた面々だが、最後の最後は敬礼で送ってくれていた。
「タケル。今から30秒後に攻撃に移る、しくじるなよ!」
「了解。隊長、防空の方はどうですか?」
「レーザーに加えて粒子砲やミサイルも飛んでくるようになったな」
どうやら玄武も強化されているらしく、威力重視の粒子砲や命中率重視のミサイル型も配備し始めたようだ。
「TESにはどれも無駄な兵器ばっか」
それでもタケル達は平然としていた。
彼らが言うTESとは鳳翼に搭載された防御能力の総称である。
対粒子装甲、誘導撹乱ジャマー、レーザースクリーンの3つを束ねたものだ。
「言ってるのに悪いが攻撃開始だ!」
「ウィッス」
ケンは高度30000メートルを飛行しながらウイングを変形させて3連ショットにした。
同時に腰にマウントされた折畳式バスターランチャーを展開させて地上を狙う。
「マルチロック…Go!」
バスターランチャーから光が走る。
3連ショットからもメガバスターがほとばしる。
合計8本の光刃が地上に降り注いだ。
ズギュゥゥーーーーーン!
さらにケンは目標地点を変えて再度発射する。
ズギャァァーーーーーン!
「こんなもんか…次は制空権だな」
そう言いながら迫ってきた航空機型幻獣に向かって、両手で構えた鳳翼よりも大きなレーザーブレードで斬りかかって行った。
目の前に降り注ぐレーザーとビームの雨がやんだ事を確認したタケルも3連ショットと起動させながら単分子ブレード「斬魔」と「神薙」を両手で構えた。
「速度をこのまま維持にして…うりゃ!」
タケルは上空のケン(マッハ2)と違って時速300キロで突撃した。
地上では空気の密度や地上からの衝撃波で音速は出せないが十分な速度だ。
3連ショットのメガバスターを狙いもせずにバラバラに撃つ。
同時に両腕の外側に内蔵されている56ミリ速射砲を撃ちまくりながら敵の中に入っていった。
ズダダダダッ!
メガバスターの粒子でスキュラが焼き尽くされる。
56ミリ徹甲榴弾がキメラやミノタウロスを貫いていく。
「デェェーーイ!」
両手の単分子ブレードが煌いた。
超振動によって青白く発光したカタナは幻獣を背後のビルごと両断した。
バシュ…ブッ
ヒュゥゥーーーーン…ヒュウ
シュバッ!…キュン
幻獣も果敢に反撃はして来るがTESの前に全て無効化してしまう。
ミサイル、レーザー、ビームの全てが時代遅れと呼ぶに相応しい有様だった。
強いぞ鳳翼!さすが作者がジハードを超えられないかと熟考しただけはある。
タケルの剣技はケイオウやケン、グレンリーダーに劣るがそれでもエース級の実力はある。
「2段ジャンプ!そのままジャンプキャンセル!」
空中瞬間ブーストジャンプをしてすぐに反転ブーストダイブ。
低空を飛び回っていたきたかぜゾンビやコブラゾンビ(自衛隊のヘリ「コブラ」に幻獣が寄生)を斬りおとしていく。
「タケル…そっちはどうだ」
「戦局は優勢ですね。このまま全滅させるべきッスね。そうすりゃ敵援軍が来る頃にはこちらも集結し終わっているですしね」
「意外に頭使うようになったな…だが機先を指すのも手だが?」
酷い言い様である。確かにタケルは馬鹿だがスラッシュ小隊だって全員馬鹿に見えるぞ。
それは置いといて、敵の主力の先遣隊1000は2機の鳳翼に壊滅させられるだろう。
すでに700もの幻獣が消えうせている。
残りは後続のグレン小隊やヴァールラッシュ小隊に任せて、彼らは本陣に攻撃を加えるのが有効だ。
ケンの考えを納得したタケルも飛び上がってケンに続こうとした。
「悪いんだけど頼まれてくれない?」
いきなり夕子から通信が入ってきた。
いつも急に通信を送ってくるのでいい加減に為れた様だ。
「良いっすけど」
「その様子じゃ厄介ごと何だな?」
夕子は苦笑しながら頼みごとを言った。
「敵後方からアザント級が接近中なのよ。悪いんだけど潰してくれない?」
その名前を聞いたときタケルもケンも目付きを変えた。
ケンもタケルもケイオウの仇と思ったのだ。
「分かった」
「ヘイ」
目上の人に対する返事とは到底思えないが彼らである。
「じゃあ頼んだわよ」
通信が切れた。
タケルもケンも敵本陣を無視して加速していった。
大阪城での戦いを遠くから傍観している者がいた。
「さて…イレギュレーがでましたが問題は無いでしょう」
そう言いながら後ろの男性を見た。
その顔はいつにも増して微笑んでいる。
「もうすぐ終章の音が鳴りますわね」
「おい、タケル…」
敵主力の上空を通り越して、迫り来るアザントを迎え撃つべく高速飛行していたタケルにケンは手を向けた。
「なんすか?」
タケルが喋った瞬間、
「ジャン!ケン!ポン!」
グーを出した。
突然の事でタケルは自分が何を出したか解らなかった。
だが、
「俺の勝ちッスね」
パーだった。
実際はオソダシだったがそれに誰気付かない(当たり前だ)
「隊長?いきなり…」
センサーが幻獣の接近を知らせた。
タケルはようやくジャンケンの意味を悟った。
「敵集団の接近中。寄生航空型に…新型?」
鳳翼と一体化している彼らの目に新型の幻獣が映った。
全長は鳳翼と同じだが外見には見覚えが合った。
アザントである。かなり小型化しているがアザントだ。
「アザントの簡易小型量産型と言った所か?」
「数は…数得るのが悲しくなりましたよ」
一体一体の性能は大した事は無いかもしれないが数が多いければ撃破に時間が掛かる。
それではアザント攻撃に間に合わない。
「タケル…さっさと行け!」
ケンの言葉にタケルは機体を加速させて行った。
別に深い考えがあったわけではない。二人共、深く考えない○鹿ゆえの行動だった。
そう言う訳でケンは残ったのだ。
偶然見つけた鳳翼を破壊しようと迫って来る幻獣を睨みながらケンは叫んだ。
「さて…魔王すら恐れる絶望。貴様等に刻み込んでやる!」
管理人より
神楽歌さんより最終話戦闘Aパートをご投稿頂きました!!
また凄い兵器が出て来ましたね♪
しかし、アレでは役に立たないって(汗)<フェニックス・ラー
ラーの制作者は何を考えているのやら・・・・<AI共々