Jフェニックスオリジナルストーリー
欠けた誇りと戦士の誓い
〜THE・KNIGHT・OF・RUSIFEL〜
第1話
〜参謀本部長執務室〜
「ロストナンバーズメインメンバー全員揃いました。」
部屋にはゴルビー参謀本部長とロストナンバーズの5人がいた。
「うむ。それでは、ロストナンバーズの諸君に任務内容を告げる。
ロストナンバーズは、高速輸送機ゲシュペンストを使ってミラムーン経由で
ヴァリム内に進入、ヴァリムの内偵を進めているスパイと接触後、ある研究所を破壊してもらいたい。」
「参謀長、ある研究所とはどんな研究所なんですか?」
とナナセ少尉が聞いている。
参謀長は鷹揚に頷くと
「キサラギ研究所と言うらしくてな。その内の7番研究所を強襲して欲しい。
キサラギ研究所と言うのは、人を兵器として強化、育成を行っているらしいのでな。
それだけならまだしも話しによれば軍の捕虜や戦争孤児まで集めて実験しているとの事だ。
ただの教育ならさして問題はないんじゃが薬物や暗示、刷り込み等も行っているらしいのでな。
こんな非人道的な真似を許すわけにはいかんし、ことを公にすれば前線の兵士達も動揺するだろうしな。
だから君達に動いてもらうことにしたわけじゃ。何か質問はあるかね?」
「あ、あの〜ひとついいでしょうか〜?」
エスト少尉がおずおずと手を挙げる。
「構わんよ。エスト少尉言ってみなさい♪」
答える参謀本部長は何故かやけに嬉しそうだ。
「研究所ってことはヴァリムの奥の方に位置しているはずですよね?
そんなところまで燃料が持たないし、見つかったりしませんか?」
「その点は心配ない。途中にヴァリムの基地に偽装した我が軍の基地がある。
行きにその基地に寄っていけば燃料は十分持つはずじゃし
ヴァリム内ではヴァリム戦略機動軍第18特務部隊で押し通せるはずじゃ。
帰りは1直線にアルサレアに戻ってきてくれればいい。」
「わかりましたぁ」
「他の皆は質問はないな?じゃあ皆出撃するぞ!」
「「「「了解。」」」」
俺が音頭を取ると全員がそれに唱和する。
そして全員が出て行った後、俺と参謀本部長は
「・・・今回の情報の出所はヴァリムの穏健派からですね?」
「カークス少将がな。この研究が進めばもっと多くの犠牲が出るから止めて欲しいと言ってきおった。
まあ穏健派が自分の国の研究所を襲うわけにもいかんだろうしな。」
「それでこちらに対する見返りは?」
「うむ。新しくロールアウトしたヤシャの詳細なデータと強硬派の現在の動向だ。」
「なるほど。それと研究所は資料を回収してから破壊しますか?」
「なるべく持ち帰ってきてくれ、我々としても奴らがどのようなことをしていたか知りたいからな。」
「わかりました。では吉報を待っていてください。」
こうしたやり取りをした後俺も皆の後を追った。
〜5分後格納庫にて〜
「隊長〜遅いですよ〜!」
エスト少尉が頬を膨らませながら待っていた。
「すまない、最後の確認をしていたんだ。俺のPFはもう積んであるか?」
「はいミーナさんが昨日積み込んでいましたよ。」
「よし俺達も中に入るか。」
「はい〜」
俺とエスト少尉は連れたって、輸送機に入っていった。
入ってみてわかった事だがゲシュペンストの中は意外に狭かった。
5人部屋が3つ、3人部屋が1つあとは俺とマリン中尉の部屋とハンガー、食料庫だけだった。
(・・・狭いな。まあスピード重視の大型輸送機なんぞこんなもんなんだろうな。
いやむしろ破格の内装か)
「隊長〜どうしたんですか?」
エスト少尉が心配そうにこちらを見つめていた。
何時の間にかパイロットルームについていたらしい。
「うん?ああすまない。エスト少尉はここまででいいから自室に戻っていてくれ。」
「わかりました〜」
エスト少尉はこちらを少し気にしながら今来た通路を戻っていった。
パイロットルームに入るとパイロットとマリン中尉が待っていた。
俺がマリン中尉のそばにいくと彼はすでに管制室と通信を繋いでいてくれていた。
「こちら高速輸送機ゲシュペンスト。管制室発進許可を。」
「こちら管制室。ゲシュペンスト発進許可をだします。作戦の成功を祈っています。」
「了解。ゲシュペンスト発進します。」
パイロットの声とともに俺達は目的地へと飛び立っていった。
〜2時間後〜
俺は艦内放送でメインメンバー四人を司令室も兼ねている俺の部屋に呼び出した。
「一体どうしたんですか隊長?」
と4人の代表としてマリン中尉が聞いてくる。
「ああ。向こうに着いてからでは遅いから今大まかな作戦行動を決めようと思ったから集まってもらった。
俺達の目的は目標の破壊及び行われていた研究データの奪取だ。
まず俺の意見を言おう。ゴルビー参謀長からマリン中尉は情報部に所属していてハッキングの知識も持っていると聞いている。
そこでだ。ヴァリム領内にある基地を出た後目標に到達するまでの間に中尉にハッキングを試みてもらう。
一応基地の方でその研究所の回線コードを教えてくれるらしいからハッキングは可能なはずだ。
もし情報を取り出せるようならそのままPFで研究所を破壊。
できなかったら逃走、通信手段を奪ってから基地内部に突入する。
これが俺の案だ。」
「なるほど回線コードがあるなら可能かもしれませんね。
しかし私が失敗した場合はデータの回収はあきらめるべきでは?」
「本来ならそうだろうな。危険にさらすメンバーを減らすために俺一人で突入する。
パイロットスーツに生命反応をリアルタイムで送りつける機能があるからもし反応が切れる様なら目標を破壊して撤退してくれ。」
「なにを死に急いでるんですか隊長?」
とナナセ少尉が聞いてくる。他の3人も同じ意見らしく怒った眼でこちらを見ている。
「ふう、何を言っているお前達、俺が死に急いでいるだと?
確かに俺一人で突入することは無謀以外のなんでもない。
だがな俺達は将軍と参謀本部長に見込まれて選抜されたメンバーだ。
たとえどんなに無謀なことであっても遂行できる能力があるからこそ俺達は選ばれたんだと言うことを忘れるな」
部屋に沈黙の帳が下りている中、ただ一人マリン中尉だけは反論してきた。
「論旨のすり替えをするな。お前のしようとしている事は死に急ぐこと以外の何者でもない。
それともお前はたった一人で研究所の最深部に潜入し、
データを入手してなおかつこちらに帰ってくることができるのか?」
静かな口調ではあったがその中にはかなりの怒気が含まれていた。
「やれないことはないだろうな。俺は親父から潜入工作員としての訓練を受けている。
まあ成功率はおそらく4割ぐらいだろうな。」
「・・・まあいい。それほどまでに言うのなら自信があるのだろう
できる限りのバックアップはしてやるが死んでも知らんぞ?」
「マリン中尉俺達は軍人です。少なくとも俺は任務遂行のためなら死を覚悟しています。
それにこんなくだらない事のために犠牲になる人がいるのは我慢できません。
資料があれば何か他の場所の手がかりが見つかるかもしれませんから。」
「覚悟はできているようだな。私は彼の案にのろうと思うが皆はどうだ?」
「「「賛成できません!」」」
三人の声がきれいに重なる。
(勢いだけで乗り切ろうと思っていたがどうやら無理だったらしいな。)
「ん〜なにが不満なんだお前ら?」
ととりあえずその場しのぎで聞いてみる。
「マリン中尉が失敗したらという仮定の後です。」
「つまり俺が突入することが駄目だと言いたいわけか?」
「「「はい」」」
・・・どうやら許してくれないらしいな。仕方ないな。
「わざわざ隊長を死ににいかせるわけにはいきませんから」
「わかった。なら俺の突入はなしにしよう。
マリン中尉が失敗したら研究所は破壊するとゆうことで文句はないな」
「それでは一旦解散しよう。ちなみに基地に着くのは3時間後で一旦基地で休息をしてから作戦を行うから作戦開始は夜明けとともに行う。
マリン中尉は話があるので少し残ってください。」
3人が俺の部屋を出て行った後マリン中尉は、
「作戦前に潜入するつもりですね。」
「はい。それが一番確実だと思いますから。それで・・・・」
「わかってますよ。私にバックアップを頼みたいんでしょう。わかってますよ。」
「すみません。面倒をかけます。」
「気にしない気にしない。私達は元々そのためにいるんだから。
そんなことでいちいち感謝してたら身が持ちませんよ?」
「違いないですね。ではお願いします。」
この後いくつかのやり取りの後マリン中尉は部屋を出て行った。
現在10:00作戦開始まで後6時間
〜3時間後〜
ヴァリムの基地の近くまで来た時、俺は艦内放送で全員に呼びかけた。
「艦内の全員に告ぐ。これより基地との通信を開始する。
皆にはすまないが機密保持のため艦内で待機してもらうことになっている。
それにこの基地では俺達戦略機動軍第18特務小隊になっているからきをつけてくれ。」
俺はインカムを置くとマリン中尉に基地へ通信を送ってもらった。
「こちら戦略機動軍第18特務小隊聞こえますか?」
「こちらです。ミラムーン方面中継基地です。第3滑走路に下りてください。」
「了解しました。」
ゲシュペンストが緩やかに着陸する。
その後俺とマリン中尉だけが滑走路に降りた。
俺達は滑走路で待っていた下士官に連れられて基地司令室に向かった。
〜基地司令室〜
俺達は先ほどの下士官に連れられて基地の奥まった一室の前まで来ていた。
「グリュウ・アインソード司令代理、先ほど補給のために着艦した輸送機の隊長と副官をお連れしました。」
「わかった。君は、元の仕事に戻っていてくれ。」
と中の男が声をかけると彼は、ドアを開けるだけ開けると着た道を戻っていった。
俺達はすばやく部屋の中に入るとマリン中尉が後ろ手にドアを閉めた。
しばらくの間無言で中の男と対峙する。
やがて中にいた男グリュウ・アインソードが口を開いた。
「心配するな。盗聴器の類は全て探し出して外して置いた。安心しろ」
俺はその言葉を聞いて安心して答えた。
「あんたが言うんなら問題ないんだろうな。」
マリン中尉も俺と同じように安心したように話し始めた。
「それにしてもあなたがここにいるとは思いませんでしたよグリュウ・アインソード大尉、
ヴァリムでも有数のパイロットであるあなたに戦闘以外会えるとは、
アルサレアの人間では私達以外にはいないでしょうね」
「ふ、面白いやつらだ敵同士でしかも敵の基地にいながら私を疑いもしないとはな。」
「あんたがだまし討ちをする可能性を気にする奴なんてなんぞいないと思うがね
正々堂々を重んずる武士とまで言われているあんたがだまし討ちなんぞしたらヴァリムに正々堂々なんて言葉自体が無くなるよ」
俺は彼のような武人がだまし討ちなどする訳が無いと本気でそう思っていた。
「本来敵である君に誉められるとは思わなかったな。
さてと、無駄話はこれぐらいにして本題に移ろう。」
グリュウのその言葉に俺が後を続けた。
「俺達に共通している目的は、強硬派の研究施設の破壊だ。
あんた達にとっても俺達アルサレアにとっても人体実験なんぞをしている施設なんぞないほうが良いからな。」
「うむ、本来なら我等がヴァリム国内にアルサレアの人間招き入れるなど断じてあってはならないことだが我々が研究所を破壊したら大問題になるからな。
非常に不本意だが今回は貴様らに協力を頼んだわけだ。」
「建前はどうでも良いですから、さっさと情報の受け渡しをして相談に入りましょう。」
「「すまない」」
と俺とグリュウの声がきれいにハモッた。
三人同時に顔を見合すと誰からともなく笑い出した。
ひとしきり笑った後、グリュウが
「ふう、また脱線してしまったらしいな。
では今後の予定を話そう。これから私は君達のどちらかと一緒に研究所に向かう。
すんなりどちらかが入れるようにIDや身分も偽造してある。写真に合わせた変装用のかつらなども用意してある。」
「おいおいそこまでしたらあんたらも危ないんじゃないか?」
「何を言うお前達が証拠を全て消してくれるのだろう?」
「確かにそうだが万一のことがある。」
「隊長、それ以上はいわないほうがいい。彼だって覚悟しているはずだ。」
「ふ、そうゆうことだ。貴様が気にしても意味がない。」
「わかりました。俺がついていきます。本当は誰も殺したくはないが仕方がない。
証拠なんて残さず片付けてやるよ。」
俺は苦笑いを浮かべながら答えた。
「・・・そうか、すまんな君達にはつらい役目を押し付けてしまったな。」
グリュウが苦しげな表情をしながら言った。
「いえ、あなたもつらいでしょうから気にしないで下さい」
マリン中尉の言うとおりだろう。
俺達とは違って同胞を裏切っていることになる彼の苦悩は俺達には計り知れないほどつらいものであろう。
俺は何も言えなかった。
しばらくして、10分ほど打ち合わせを行い、俺とグリュウは研究所へ、マリン中尉はゲシュペンストへと向かった。
〜数分後〜
俺とグリュウは研究所に向かうジープの中にいた。
「グリュウ・アインソードひとつ聞きたいことがあるんだが?」
俺は彼を階級で呼ぶのにも抵抗があったのであえてフルネームで彼を呼んだ。
「構わん。言ってみろ」
「あんたは何故この作戦に参加しているんだ?」
「そうだな。一つ目の理由は、カークス少将にはいままでいろいろと世話になってきたからな
ここらで恩を返しておくのも悪くないと思ったからだ。
二つ目の理由は、私なりの信念だな。今は戦争中で殺し合いが日常的に行われている。
だがだからといって無駄な犠牲を出すことは我慢ならん。だから大きな犠牲を出しているであろう行為を見過ごすわけにはいかん」
「・・・そうか」
ほんの数日前自分の戦う理由を見失いそして誇りをも失った。
信念を貫き通している彼に比べて俺は戦う理由も見失ってただ状況に流されているだけだった。
俺はそれ以外何も言えなかった。
俺達はその後何も話さずに研究所に向かった。
〜ゲシュペンスト内部〜
私は隊長とわかれた後、ゲシュペンストに戻るとすぐにいつもの3人を呼び出した。
程なくして3人共一緒に司令室にやって来た。
「隊長はどうしたんですか〜?」
と私が隊長の椅子に座っているのを見てエスト少尉が不思議そうに周りを見回している。
「隊長はまだ基地内部で打ち合わせをしています。私は連絡事項を伝えるために先に戻ってきました。
私達は02:00にここを出発、03:00に研究所のレーダーの範囲外で待機、
隊長からの指示があり次第、研究所の破壊に入りますので、機体の調整をしておいてください。」
「わかりました(ぁ〜)」
パイロットの2人は何も気にせず返事をしたが、ミーナさんだけが、しばらく迷っていたが意を決したらしく
「了解しました」
とだけ答えた。
「それでは皆さん、私にも準備があるのでこれで解散しましょう。」
パイロット2人は出て行ったがミーナさんだけはまだ中に残っていた。
「どうしたんですミーナさん?」
「彼はもう研究所に向かったんですか?」
・・・どうも彼女は気づいていたらしい。
「・・・隠し事は嫌いなので正直に答えましょう。もう向かっていますから連れ戻すのは無理ですよ?」
「そうですか。彼のPFはどうするんですか?」
「あなたが届けてくれますか?私も指揮車で近くまで行きますので」
「わかりました」
とだけいって彼女は出て行った。
彼女が出て行くのを気配で察した私は緊張を解くと、
「ふう〜やっぱり代理でもこんなことはしたくなうなぁ〜」
と思わずぼやいてしまった。
その後私は隊長と相談したとおり、2時間程待ってからハッキングを開始した。
第1話後編へ続く
設定
カークス・バルダー
48歳 階級は少将
ヴァリム穏健派の中心人物の一人。
ゴルビー参謀本部長と顔見知りでお互いに裏でいろいろな密約を交わしている。
強硬派を抑えるためにはアルサレアでも使う穏健派とは思えない人。
後書き
第一話前編です。思ったより長くなったんで2つに分けました。
前回後書きで書いた因縁のあるキャラは次回に持ち越しになりました(滝汗)
後編は戦闘中心で行きます。
相変わらず拙い文ですができれば感想送ってください待ってます。
管理人より
百夜さんより第1話前編をご投稿頂きました!
なるほど、ヴァリムの穏健派を持ってきましたか(笑)
しかしまぁ……両者共に内心は複雑でしょうね。結局敵である事には変わりないのですから。