※この文章には機甲兵団J-PHOENIXには考えられない表現が1部含まれています。
 これに関しては作者の空想の物としてご覧ください・・・。








 

 輸送機襲撃事件から1週間後・・・。



 

 グレン小隊隊長執務室にて

『エボリューションズ機1機の撃墜は確認されたものの、キース機及びアイリ、サリア機とは未だに連絡がつきません。』

「捜索隊及びレスキュー隊を現場に派遣してくれ。」

『了解いたしました。』

 ようやく職務に復帰したグレンリーダー。

「あの3人程の実力者が揃っても1機撃墜がやっと・・・ですか。」

「彼らとの差は一体何なんだ・・・。」

「話は変わりますが・・・何の話があってここに呼んだのでしょうか?」

「ああそうだ。ここ数ヶ月、不審な行動を取っているサチコ主任に接触し事情聴取を行ってもらいたい。彼女は現在自分の研究所に居ると考えられる。」

「事情聴取・・・ですか、了解しました。」

「疑いたくは無いが・・・エボリューションズと接触している可能性もある。エボリューションズの指導者は彼女の元助手だった。
 それと・・・君には話しておかなければならないことがる。実は・・・彼の葬儀の翌日、何者かが墓から彼の遺体を強奪した。」

「いったい誰がそんなこと・・・。」

「現在も調査中だが・・・彼自身、第46陸上特殊部隊の出身だ。もしかすれば・・・。」

「犯人はエボリューションズ・・・ですか。」


 

 静かに部屋を後にするジータ。

「エボリューションズ・・・“進化した者達”・・・か。」











 

 突然の雨の中サチコ研究所へと入っていくジータ。

 腰には刀が下げられていた。

「現在研究所への立ち入りは所長の命によって禁止されている。お引取り願いたい。」

 ロビーで大柄のセキュリティーサービスが行く手を塞ぐ。

「退いてくれ。」

 一瞬の出来事。

 鞘で腹を強く突付かれ倒れる男。

「刀は抜きたくない。」

 そのまま奥へと進んで行く・・・。




 

 研究室では・・・

「このままでは・・・ここに到着するのも時間の問題です。我々も時間を稼ぎます。」

「皆には迷惑かけてばかりね・・・でもこれだけはなんとしても届けなきゃいけないの。彼らを救うためにも・・・ね。
 ・・・あれの全データの入った鞄を頂戴、もうすぐ迎えが来るわ。」

「は、はい。こちらになります。」

 助手らしき男が銀の小型アタッシュケースの中身を確認しサチコに渡す。

「無理だけは・・・しないでね。」

 そう言い残して部屋を出て行く。

 しばしの沈黙の後。

「・・・お前等、準備は良いか。」

「ウォオー。」

 さっきの男が突然大声を上げる。

「ひ弱だとか言われてるが、これでも訓練は多少なりとも受けている。恐れるな!」

「ウォオー。」

「武器を持てぇ、1秒でも多く時間を稼ぐのだ。」

「ウォオー。」













 

 傘をさし時計を見ながら迎えを待つサチコ。

 突如右斜め後方の壁が崩れた。

「・・・まさか。もう追いつかれたの!」

 瓦礫の奥から出てきたのは・・・。

「グレン小隊のジータ・ランバートだ。主任、事情を説明してもらおうか。」

「あなただったのね・・・。私は、極秘裏にエボリューションズを調査していたの。この鞄の中にそのデータが入ってるわ。」

 銀色の鞄をジータへ見せる。

「調査していたのなら、何故死んだはずの彼らが生きているかも分かったのですか?」

「ええ・・・実際彼らは死んではいなかった。でも、体はもう使い物にならなかった・・・だから・・・。」

 しばらく黙った後サチコが口を開いた。

「・・・“マンマシーン計画”その内の“ヒューマンフレームプロジェクト”。彼らは皆、脳をPFのインナーBOXに埋め込むことで生きながらえたの。」

「と言うことは・・・彼らは皆“PFと一体化している”と言うことなのですか!」

「ええ、でもそれはPFを使用する際の場合。そのプロジェクトの完成のための“実験台に彼らはヴァリムに拉致された”。“脳”・・・だけね。
 私が駆けつけた時にはもうぐちゃぐちゃになった体しか残されて無かったわ。2ヶ月経ったある日彼が戻って来た時は・・・。」

「つまり・・・この1件はヴァリムが裏で手を引いているということか!」

「ええ・・・それに、何かをされてもうディア達は“別人”になっているわ。」

 ガシャンとガラスの割れる音。

 研究所の3階から黒い何かが地上へ落ちてきた・・・。

 落ちてきた何かがゆっくりと立ち上がる。

「見つけたぞ・・・サチコ・ロックナートぉ。」

「!!」

 落ちてきたのは黒いレインコートの・・・声からするに男だ。

「研究員達も馬鹿な真似をしたなぁ。大人しくしていれば死なずに済んだものをよぉ。」

 手にした銃をサチコへ向ける。

「データはその鞄の中かぁ・・・渡してもらおうかぁ。」

 レインコートの人物・・・どこか懐かしい人だと気がついたジータ。

「ま、まさか・・・。」

「はっ、フードの下が見たいってかぁ。」

 レインコートのフードを外した下の顔・・・それは・・・

「・・・コバルト・・・リーダー。」

「懐かしい呼び名だなぁ。」

 今までのイメージとは違う印象を受けた。

「俺は・・・あの時隊長の死を見届けた。でも・・・。」

「ジータ君、彼もまた・・・“多分”そうよ。“ヒューマンフレームプロジェクト”によって、彼には新しい“機械の体”が与えられたの。」

「この体になったおかげで・・・あの苦しみからは解放されたぁ。」

「・・・。」

 肺の病と闘うコバルトリーダーの姿が思い出された・・・。

「渡してもらおうかねぇ、その鞄。」

「それは・・・出来ないわ。あなたたちを助けるためには・・・これが必要なの!」

「ふん、ならば仕方あるまい。奪うまでだ。」

 サチコに近寄るコバルトリーダー。

 だが、刀を構えたジータに拒まれる。

「切りたけりゃ切ればいい。」

「無理よ、見た目は私たちと同じでも彼の体は“機械”なの。」







 

「その体になることは・・・自分が望んだことなんですか!」







 

 ジータの目には・・・涙が溢れている。

 しばらく黙ってから。

「望んではいないさぁ、でもなぁ、2度と無いチャンスだとは思わないかぁ?」

「・・・。」

「どうだ、一緒に来ないか?疲れることも飢える事も無い、これほどまで素晴らしいことはないだろうよぉ。」

「ダメよ、言うことを聞いては・・・。」

 コバルトリーダーとの思い出が・・・頭の中をよぎる。

「どうするんだぁ?仲間たちも歓迎してくれるぜぇ!」

「人を捨ててまで俺は・・・生きたくは無い!」

 刀の先をコバルトリーダーへ向ける。

「はっ、くだら・・・うっ・・・ぐがっガァァァァァァァ。」

 頭を抱え突然地面にうずくまるコバルトリーダー。

「何が起こったんだ?」

「分からない・・・。」

「ァァァァァァァァァァ・・・。」

 奇声を発しながら地面をごろごろと転がり続ける。

 そして・・・ピクリとも動かなくなった。

「壊れた・・・まさか?」

「任務ハァァァ・・・・・・サチコ・ロックナートの抹殺!」

 むくっと立ち上がると懐の銃をサチコへ向ける

 目は・・・完全にイッていた。

「外部から・・・データを書き換えられたのだわ。」

「なんだって!」

「さよならだぜぇぇぇぇ!」









 

 引き金を引く前に直撃する弾丸・・・PFのサブマシンガンの物だ。

 何発も受け、コバルトリーダーは吹き飛ばされ・・・爆発した。

 それは数十メートル先のJファーから放たれたものであった・・・。

「サチコちゃ〜ん、おじさんが迎えに来たよ〜。」

 その声は・・・・・・オスコットだ。

 それからすぐ2人の真横でJファーを停止させ降りてくる。

「姫様、お迎えに上がりました。」

 深々とお辞儀をする。

「オスコットさんが・・・迎え?」

「飲み仲間のなんて言うか・・・あれだ。」

「先にデータを収納して、離脱はそれから・・・。」

 ガリッ・・・ガリッ・・・。

 何かが地面を削る音。

「G・・・ァッ、・・・ァ・・・。」

「ありゃりゃ、耐えたってのかよ。」

 彼らの目に映ったもの。

 それは金属パーツ剥き出しになったコバルトリーダーがこちらへ這って来る姿であった・・・。

 彼の両足と左腕・・・胴体と顔の左半分は爆発で吹き飛んでいたが、・・・右手にはしっかりと銃が握られていた。

「まだ・・・生きているのか。」

 近寄るジータにサチコは・・・。

「もう、あなたの知っているコバルトリーダーではないの。彼は“戦闘マシーンなのよ”!」

 彼の耳には・・・聞こえていなかった。

「・・・ァ・・・・G・・・ァ。」

 ボロボロになったコバルトリーダーを抱き上げるジータ。

 自分のことを呼んできた気がしたのだ。

「これ・・・・・・・か・・・たっ・・・。」

 がくんと垂れる右腕と首。

 もう動く気配は・・・無い。






 

 しばらくして・・・。

「・・・行こうぜ。」

 オスコットはコクピットへ入り、ジータはJファーの左手に乗った。

「主任も〜こちらへ〜。」

 機能を停止したコバルトリーダーの傍らでしゃがみこむサチコに向かってジータが叫んだ。

 サチコは・・・何かをしているようだ。

(彼の脳が入ったユニット・・・と言っても、脳内の記憶やらなにやらを移植したというか・・・焼きこんだ“ハードディスクドライブ”。壊れては・・・ないみたいだわ。
 “新しい体を与えれば復活する”けど、“そのまま永眠させる”こともできるわ・・・。)

「サチコ主任〜!」

「分かったわよ、すぐ行くわ。」

 コバルトリーダーから取り出した“黒い四角形の何か”を銀色の鞄に入れる・・・。











 

「これが・・・俺の乗っていたJランチャーだったのか・・・。」

 格納庫の隅に詰まれたガラクタを見てため息を漏らす。

「あれだけの性能の機体を撃墜できただけでも・・・奇跡ですよぉ。」

 右目に眼帯をしたサリアが答える。

「たった1機のために20人死んだんだ、くそっ・・・。」

 左手に作った握り拳を壁に叩きつける。

「この差は・・・なんだってんだ。」










 

 「氷皇帝再び」   END・・・

 



設定関係の説明


黒いレインコートの人物

命を落としたコバルトリーダーがマンマシーン計画(ヒューマンフレームプロジェクト)によって復活した姿。

生前の姿に似せて作られた体は9割が機械部品で構成されており、(残りの1割は外装の人工皮膚等)

脳はハードディスク(容量不明)となっている。以前の性格とは大きく変わってしまったようだ。

 

ヒューマンフレームプロジェクト

脳をPFのインナーBOXに埋め込むことで機体性能を向上させるプロジェクトが分岐して立ち上げられた。

自身の体がPFとなっては何かと不都合があるため、その脳を機械部品で構成された体に移し生身の時と変わらない生活が“ほぼ”できるようにするのが目的である。

脳はハードディスクドライブ化されており、PFと乗せ変えの際もスムーズに行える。また、機械の体は自分の生身の時と変わらない姿。

第46陸上特殊部隊のメンバーの一部は、このための実験台としてヴァリムに拉致された。




 

 ♪後書き♪

 第一部から不振な行動をしていたサチコを事情聴取する命令を受け、サチコ研究所へ赴いたジータ。そこで死んだはずのコバルトリーダーと再開を果たす・・・。

 今回の話ではエボリューションズの真実と蘇ったコバルトリーダーを書かせていただきました。

 戦役時に瀕死の重症を負った彼らはマンマシーン計画のあるプロジェクト(実験台)によって生きながらえ、記憶を操作されアルサレアと戦って・・・。

 いよいよ次回、新生グレン小隊はエボリューションズと全面対決をすることとなります。

 どういった話になるかは・・・また次回に。


 


 管理人より

 Guttiさんよりご投稿いただきました!

 何となくメカボーグを思い出したり(爆)

 次回は遂に全面対決……と。
 



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