※この文章には機甲兵団J-PHOENIXには考えられない表現が一部含まれています。
 これに関しては作者の空想の物としてご覧ください・・・。






機甲兵団Jフェニックス 中巻 「アルサレア戦役」









 


 その日もグレンリーダーは休憩室で肩を落としていた。

 なぜなら数日後アルサレア要塞にてヴァリム軍の大部隊を迎え撃つという、アルサレア至上類を見ない作戦が実行されるからであった・・・。

「あっ隊長、具合でも悪いんですかぁ〜。」

 廊下からグレンリーダーに声をかけたのはサリアであった。

「大丈夫だ、問題ない。」

「そうですか、それならいいんです。」

 既に深夜になったためか、休憩室には数人しか居なかった。

「・・・隊長、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

 休憩室に入ってきたサリアはグレンリーダーの隣に座ってそう言った。

「何をだ?」

「・・・何故、最近私はオペレーターばかりなんですかぁ・・・。」

「・・・。」

 返す言葉が無かったのではなかったが彼は無にも言わなかった。

「やっぱりまだまだ未熟だからですかね。」

「いやっ、サリ・・・。」

「もっともっと特訓して上手くなりますから。じゃぁ時間も遅いので隊長、お休みなさ〜い。」

「・・・ああ、お休み。」

















 

「・・・それで、ヴァリムが要塞攻略用に使う機体は何か分かった?」

 第7研究所の1室でサチコは誰かと話しているようであった。

「使われる大半はジャポネクル製のJN−KSO5 KI−SHINだそうだ。それでこれが構成データ。」

 聞こえてきたのは若い男の声であった。

「じゃ、早速拝見と行きますか。」

 そう言うと彼女は端末の差込口にそれを入れた。

「主兵装は・・・カタナと・・・サブマシンガン、後は2門のキャノンね。」

「ジャポネクルらしい武装と言えばそうだな。で、どうだ。」

「う〜ん・・・キャノンが曲者かな。あちらさんには“自爆”するようなパイロットも居るからね・・・。」

「接近戦は好ましくないな。撃ち合いにするしかないかな。」

「あら?珍しく“砲撃奨励”?」

「向こうは数が数だ。横に10体でも並ばれて一斉射撃でもされてみろ。」

「それもそうね〜。じゃ、本部長に伝えておこうかしら。」

「そうしてくれ。その方が沢山の仏様を見なくて済む。」

「ふふ、やっぱり“隊長さん”ともなるとそう言う事言うようになるのね。」

「何しろ戦ってきた仲間が居なくなるのは避けたいんでな。」

「居なくなる・・・ね。結構前の話だけど、“アポロン”に乗ろうとしたある少尉が急に居なくなった話があったの覚えてる?」

「まぁな。色々と機能付けてたから・・・“長距離瞬間転送”システムが誤作動でもしてどっかに飛ばされたんだろうな。」

「で、どういう“からくり”なの?」

「ん〜とな、3日間ぶっ続けで徹夜で作業してたら無性にレモンが食いたくなってな。研究所の厨房に忍び込んだんだ。」

「で、忍び込んでどうしたの?」

「あ〜・・・入ってからの・・・記憶が無いんだ。目が覚めたら作業場に居てな、“みかん”の皮がそこら辺に散らばってた。で、目の前見たらもう組み上がってたわけさ。」

「・・・要するに・・・。」

「どうやって作ったかも分からんし、いつ作ったかも分からん。」

「・・・そんな危ない物付けてた訳。」

「まぁ、テストは“俺1人”でやったし周りには迷惑かけてないし。で、テストは一応成功。予定じゃ第7研究所まで転送されるはずだったんだが・・・
 ど〜いう訳か“カシュー平原のみかん畑”に居てな。腹も減ってたんでそこらのを何個か・・・」

「も〜ヤメヤメ。聞こうとしたらきりが無いないからもっと敵さんのこと詳しく教えて。」

「・・・そうか。あくまで“噂”なんだがな。黒夜叉専用のカスタム機が作られたって話しだ。」

「あの黒夜叉の専用機?」

「そうだ。ただ、そのことに関してはヴァリム内でもトップシークレットでな。作ったって話しか手に入らなかった。」

「ふ〜ん。ヤシャの発展型だとしたらかなりのハイスペックかもね。で、あなたのあれなら勝てそう?」

「まったく・・・冗談きついな。勝てるに決まってんだろ。ただな、今のままじゃとうてい勝ち目が無い。」

「・・・。」

「今の彼では40%ぐらいのパワーしか引き出せて無いんでな。完壁になるまで後半年、もっとかかるかもしれない。」

















 

 作戦開始まで・・・残り4時間28分 

 要塞内の宿舎にて



「・・・オイオイ勘弁してくれよ・・・もう食えねぇよ・・・。」

 作戦前に仮眠をとるキースであったが、なにやらうなされているようだ。

「大将・・・に言ってくれよ・・・こんなに食わされると・・・腹が・・・。ああっ・・・またこんなに持って来て・・・。」

「・・・キースさん、またうなされてますよ。」

 キースの寝ている2段ベッドの下段に寝ていたボーイ兵長が寝静まった部屋で口を開いた。

「うるせぇったらありゃしないな。毎晩毎晩みかんがなんたらとか。アンディ軍曹、麻酔銃は持ってるか?」

「ヨシナガ中尉殿、あいにくですが私はそのような物は持ち合わせておりませんねん。」

「けっ、眠らせたまま精密検査にでもかけてやろうと思ったんだがな。」

「ダメダメ、精密検査してもなんも悪い所ないし頭から変な機械も出て来ないの。やるだけ無駄、無駄。」

 1人離れたベッドに寝ていたラッセル中尉も起きて来た。

「おめぇ、よく知ってるな。」

「ここの軍医に知り合いが居ましてね。こっちへ運ばれた時に検査した時も意味不明なことを言って騒いでいたそうです。」

「苦しんでるなら“楽にしてあげた方が”良いんじゃないねん?」

 恐ろしい言葉を口にしたのは軍曹であった。

「まぁな。どっか行ってくれりゃこっちも安心して眠れるってこった。」

「それで、どうやって彼を“楽にしてあげましょうか”。」

「決まってんだろ。ほら、自分の出せ。」

「ああ、なるほど。」

「で、でも・・・。」

「いいから出せ。“サプレッサー”付けときゃ分からねぇよ。」

 キースと同じ部屋に寝ている他の兵士達は皆、銃を取り出し“サプレッサー”を取り付け始めた。

「よーし、弾も入れたな。狙うのは・・・。」

「あ〜待ってくれ。入れてる時に何発か“落とした”。」

「まったくしょうがなねぇな〜。手分けして拾うぞ。それから1発も残すなよ、後で面倒なことになるからな。」



 

「1つ、2つ・・・後2発足りねぇ。」

「はぁ?隅々まで探すぞ。もう時間がねぇ。」

「入り口の方見てきますねん。」












 

作戦開始まで・・・残り3時間



「ふぁ〜あ。そろそろ起きねぇと頭回らねぇしな。お、皆して探し物か?」

 彼が目を覚ましたのはなかなか見つからなかった2発目がようやく見つかった直後であった。

「あ、キースさんおはようございます。」

「よう。どうだ気分は?(ちっ、逃したか)」

「今日もまたうなされてましたねん。(後2分寝てれば良かったねんを・・・)」

「探し物と言いましても大した物ではありませんよ。(・・・睨まれてる)」

「あ〜今日もみかん何とかって言う奴らに沢山みかん食わされる夢見ちまいましたよ。」

「疲れが貯まってるんですよ。きっと。(絶対宇宙人か何かに脳みそいじられてるぞ)」

「ま、今日の作戦が終わればしばらくはゆっくりできるだろうし。そしたらどっか食いに行こうな。(払いは全部キース持ちだがな)」

「お、それ良いなぁ。払いは割りでな。」

「僕はまだ未成年なんでお酒は・・・。」

「オッホン。もう時間も押してますので、出撃前に副室長から一言どうぞ。」

「一言か・・・まぁ、“何が何でも全員生きてこの部屋に帰って来い”。飯なんかはその後だ。(ちっ割りとか言い出しやがった)」

「以上、副室長からのありがたいお言葉でした。」

「では、僕は輸送艇へのPF積み込みがあるのでお先に。」

「おう、新米君。がんばって来いよ。」

「じゃ、俺もそろそろ行くわ。なんせ“将軍閣下”がお待ちだからな。」

「キース、しっかり援護しろよ。間違っても誤射だけはすんなよ。」

「分かってるって。じゃ、行ってくるぜ。」










 

「・・・行ったか。」

「室長・・・いつから起きていらっしゃったねん?」

「お前さんらが落とした弾探してる時さ。」

「・・・“大佐”、グレン小隊の配置と任務は。」

「ん〜とな。グレン小隊は要塞付近にて防衛線を突破した敵を撃破するんだと。お前さんらは何処だい?」

 室長もとい大佐は葉巻に火をつけながらそう答えた。

「・・・私達“第46陸上特殊部隊”は要塞南部の前線にてヴァリムと戦闘いたいますねん。」

「全員帰ってくるって言っちまったが、どうもな・・・。」

「ハッハッ、言っちまったんなら守るしかないな。」

「お言葉ですが、大佐は・・・。」

「お前さんらとなんら変わらん所さ、陸と空の違いだがね。ま、頑張って来いや。」

「何かあっても大丈夫ですねん。」

「隊長は私らが捕虜になった時も“1人”で助けに来てくれましたからね。」

「じゃ大佐、行ってきますぜ。」













 


 所変わって第1研究所新兵器開発室

 ここでもサチコとあの男は何かをしているようであった。

「で、これが“対キシン”用の・・・。」

「そう、これが対キシン用PF専用の兵器。名づけて・・・。」

「名前はどうでも良いから性能は、威力は?」

「まぁ焦るなって。テストじゃ予想以上の威力だったし、実戦でも十分使えるだろう。」

「よくもまぁ“バスターランチャー”をここまで小さくしたものね〜。」

「小型化して軽量になったが本家に劣って無いぞ。ただ、エネルギー効率が悪くて2秒しか発射してられないがな。」

「う〜ん。2秒だけでも十分かもしれないね・・・。」

「後、素材にはラルサ2使ってるんだがどうも連続使用に耐え切れないようでね。5回振るだけで砕けちまう。」

「腰にでもマウントすれば何個か持てるわよね?」

「まぁな。もう俺の機体には腰3本の肩2本、合計5本マウントしてる。部下にはウイングシールドの内側に2本ずつ付けさせたがな。」

「流石にあなた以外は使いこなせないか・・・。」

「いろんな意味で2本にしたんだ。信用して無い訳ではない。」

「お得意の“第46陸上特殊部隊”ね。で、あなた達何処が配置?」

「ぶちゃけ俺らは要塞南部でムラキ中隊らと戦うと言っても後始末みたいなもんな。ギブソン中隊の遠距離砲撃で分断されたのを潰してくんだと。」

 メインモニターに映し出されたテスト時の映像・・・そこには800メートル前方に展開したキシン部隊を一振りで全滅させたPFの姿が映し出されていた・・・。

「ふふっ。間違っても味方は切らないでね。」














 

 日が沈み、辺りが闇に包まれ始めた頃・・・歴史に残る大戦が開始された。

 誰もが知っているであろう「アルサレア戦役」である。



「キース、アイリ・・・無事でいてくれ・・・。」

 要塞付近の雑木林にただ1機立っているJフェニックス。

 搭乗しているのはグレンリーダーであった。

「“超過勤務手当て”と“ライバル宣言”か・・・こんな時にそんな話持ち出すなよ。」




 

(・・・・やっぱり隊長は隊長だよね。)

(・・・・ここは隊長が守備してくれ。俺らはもっと前に出る・・・。)

(今、お主にここで居なくなられては困る。)

(大〜丈夫〜。帰ってきたら〜・・・・)

(・・・これは、参謀本部長の命令でもあるんだ。)

(たった今から無き将軍閣下の意思を継いでいただくことになります・・・。)

(フェンナ様と共に新しいアルサレアを・・・)

(どうか私がいなくなった後、フェンナの事を支えてあげて欲しいのです。)

(助けて、御願い、私を助けて・・・)

(娘達を・・・・・・頼む・・・・。)





 

[・・・レーダー二反応・・・敵接近中]

「感傷に浸っている余裕も無いと言うのか。絶対に、生きて帰ってやる!」

[敵機ヲ捕捉シマシタ。数6。]

「接近して叩く。毎分レーダーの敵機数を教えてくれ。」

[・・・了解]

「アポロンより機重は遥かに軽い気がする・・・。こいつなら!」

 接近してきたキシンのパイロットの目には、一瞬ながら“有り得ない”光景が写っていたであろう。

「何だあれは、PFが・・・。」

「後続の隊にも警・・・。」











 

「・・・先方隊との連絡が途絶えました。」

「何かあったに違いない。お前達は左の雑木林を抜けて合流してくれ。」

「はっ。」

(先方隊にはそれなりに実力がある奴が入っていたはずだ。なのに何故・・・。)

 先方隊から通信が途絶えてから数十秒後。後続の隊もその場所に到着した。

 だが、そこには回転するPFにボディを切り刻まれるキシンが1体いるだけであった。

[新タナ敵機ヲ捕捉シマシタ。数6。]

「敵の増援か!!!」

 回転が緩やかになった時に、右肘で突き飛ばされたキシンは大爆発を起こした。

「・・・雑木林に回った隊に警戒しろと伝えろ。」

「わ、我々は。」

「逃げたいのなら逃げればいい。私はここに残るぞ!」













 

「くそッまだ来るのか。」

[敵機ヲ捕捉シマシタ。数4。」

「流石に12体も連続で相手にしたのはきついな。」

[心拍数ガ大キク上昇シテイマス。大変危険デス。」

「コンピュータにまで心配されるとはな。だが、ここで負けるわけにはいかないんだ!」

 そしてまた彼は、Jフェニックスを回転させるのであった。

「接近される前に撃破だ・・・今だ、撃てぇ〜。」

バン・・・バン・・・バン・・・と言う大きな音が辺りに響き渡ったが・・・。

[全弾空中デノ爆発ヲ確認]

「この回転速度ならキャノンの弾など・・・。」

バン・・・バン・・・バン・・・バン・・・バン・・・。

「何て奴だ、着弾前に・・・両断してやがる。このままでは・・・・。」


















 

「ようやく見つけたぞ。グレンリーダー!」

「グリュウか!!」

 キシンの破片が散らばる荒地を見下ろすかのように、グリュウの専用機“オニ”は崖の上に姿を現した。

「しかし見損なったぞ。自分の小隊を前線に投入して・・・己はこんな後方で小競り合いをしているとな!」

「なに?キースとアイリを見たのか?」

「ああ、この私が“手厚く歓迎”してやったぞ。やたらと元気なのが出てきて、隊長がどうとか言っていたな・・・。今頃、戦場の真ん中で転がっているだろうがな。」

「アイリ!キース!お前だけは・・・。」

 Jフェニックスはカタールを構え、グリュウのオニへ向かって大きく跳躍した。

「お前だけは絶対に許さない!!!」




 渾身の一撃・・・になるはずであった。だが・・・。



 

「哀れなものだな。」

 カタールは無残にもシラギクの刃先で止められていたのだ。

「・・・まだだ、まだ終わるわけには・・・。」

「こちらにはショットガンがある事を忘れてはいないか?」

「しまっ・・・。」

 PFの装甲が打ち抜かれる鈍い音・・・近距離でショットガンの弾が全弾命中した音であった。

 次の瞬間、地に足を着けたばかりのJフェニクスが後ろに倒れるようにして崖から転落した。



[レッグモーター二異常発生!レッグモーターニ異常発生!]

(くっ、回転の時に負荷をかけ過ぎた上に貫通か・・・。)

「どうやら貫通した様だな・・・。脆い、脆すぎるぞ。アルサレアのパンツァーフレームはこんなにも脆い物だったとはな!」

(飛行機能は・・・まだ生きているな・・・。まだ、こいつも・・・やれる!)

 残弾数“900発”のサブマシンガンを撃ちつつ、Jフェニックスは空へと再び飛翔した。

「ようやく本気を出したか。それでこそ我が好敵手!」

 飛んでくる弾丸をシラギクで叩き落としつつ、オニもまた空へと飛び上がった。


















 

 グレンリーダーがグリュウと死闘を繰り広げている頃、最前線では・・・。



「こちらアルサレア陸軍第4分隊。増援を・・・うわぁっ・・・。」


「・・・部隊、アルサレア要塞東部の地雷原にて全滅との事です。」


「助けてくれぇ、俺はまだ・・・。」


「隊で残ったのは私だけか・・・隊長、今逝きます。」



 スクラップと化したPFの装甲を盾代わりに進軍する歩兵部隊・・・。

 爆雷を投下しに来て撃墜された戦闘機・・・。

 生き残ったものの、爆風で焼け死んだ兵士達・・・。



 そんな場所に2人は居た。



 

「キース、もっとしっかりしなさいよ。せっかく・・・“生かされた”んだから。」

「・・・わりぃな。眩しすぎて目、開けられねぇんだ。」

「全く、生身の人間が居るんだから目の前で照明弾なんか打ち上げないでよ。」

「・・・どうやら、俺らの悪運もここまでみてぇだ。」

「えっ、どう言う・・・。」

「まだ、お前だけなら逃げ切れる。」

 反射的にアイリは後ろを振り向いた。

「そんな・・・ヴァリムの新型が追ってきてるなんて・・・。」

「俺に構うな、早く逃げろ!」

「ダメだよ、一緒に隊長のとこに帰ろうよ。」

「・・・この分からず屋が。」

 次第に大きくなってくるPFの歩行音。そしてついに・・・。





 

「へっへっへ、見つけたぜ〜。こんな所歩ってるアルサレアの兵隊さんをなぁ。」

 男性兵士の声がPFの外部スピーカーから聞こえてくる。

(すまねぇ隊長、俺らはここまでみてぇだ。)

「今日は運が付いてるぜぇ。これで俺も“軍曹さん”に昇進ってこった。」

 必死で逃げようとする2人にキシンは銃口を向けた。

 だが、次の瞬間。

「生身の人間撃って回ってるとんだ野郎が居るとはなぁ。」

「何だ貴様は、ぐわっ・・・。」

 キシンは振り向くよりも早く顔面に飛んできたハイキックに吹き飛ばされた。

「お2人さん、まだ生きてっか?」

「ええ、何とか・・・ゴホッゴホッ。」

「ちぃ〜とばかし砂ぼこり立て過ぎちまったか、もうちょい待ってな。すぐけりをつけっから。」

 その直後立ち上がったキシンの方から男性兵士の声が聞こえた。

「くっ、不意打ちとは卑怯な。」

「な〜にが卑怯だ。脱出ポッド撃ち落したり負傷者をキャノンで吹き飛ばしたりしてたクセにな!」

「減らず口叩けるのもここまでだ。お前も始末してやる。」

「で、どうやって“始末”するおつもりでしょうか?」

「・・・馬鹿な、コントロールが効かない。コンピュータ、緊急停止だ。」

[・・・・・・・・・]

「どうした、動けよこのポンコツ。」

「・・・いったい何があったんだ。」

「キース、もう大丈夫?」

「目の方はもう大丈夫なんだが・・・脱出する時に足ひねったみたいだ。」

「んじゃま、俺のJフェニックスの左手に乗りな。要塞近くまで連れてってやる。」

「え?あいつはどうするの?」

「あちらさんのコンピュータは俺が掌握したんでな。あそこから1歩も動けねぇよ。ほら、乗りな。」

 Jフェニックスは少し屈んで左手を2人の前へ差し出した。

「畜生、脱出装置も動かねぇ。こいつに何をしやがった!」

「ガードが甘いコンピュータ君を外部からちょちょいとね。ま、外部スピーカーは動くから助けでも呼ぶんだな。」

「汚い手を・・・。(ガードを破っただと?そんな馬鹿な)」

「汚い?これでも30分ごとに洗ってるんだが?」









 

「あの〜。」

「ん?」

「助けてくれて・・・ありがとう。(このJフェニックス第46陸上特殊部隊のステッカー貼ってる・・・)」

「親切に運んでくれて・・・ありがとうな。礼を言うぜ。」

「・・・こちらにも色々と事情があってな。お前らに死なれたら困るんだ・・・っと。敵さんのお出ましか。」

「うわっ。礼儀正しく並んでこっちへ来るぜ。」

 前方2キロに並んだキシン部隊・・・数は約40体であった。

「ねぇ、武器持って無いみたいだけど大丈夫なの?」

「武器ならあるから心配するな。(5本付けてたのにもう最後の1本か・・・この際ためらう必要は無いな)」

 そう言うと右腰にマウントされたペンライト状の物を右手に取った。

「な、なんだよそれ?」

「まぁ、見てなって。しっかり摑まってろよ。」

「摑まってろって・・・勘弁してくれよ〜〜〜〜〜〜〜。」

「あ、危ないじゃな〜〜〜〜〜〜〜〜。」

 半ばジェットコースターに乗ったような絶叫が荒地にこだました。

 Jフェニックスは大きく揺れながら機体の右上から左下へ、そして右側にペンライト状の物を振った・・・。


 

 それは一瞬の出来事で、ペンライト状の物から伸びたビームは機体前方に展開したキシン部隊を一瞬で全滅させたのであった。

 しかし・・・。

 

「ありゃ、気絶しちまってら。」






 

「・・・聞こ・・・か?」

 未だぼんやりしている意識の中、かすかながらにキースの声がアイリの耳に入ってきた。

「う・・・もう・・・着いたの?あれ?Jフェニックスは?」

「ようやくお目覚めかよ。さっき俺らを下ろしてどっか行っちまった。」

「あ・・・名前聞き忘れちゃった。」

「ん〜とな、名乗るほど大した名じゃないとか言ってたからな。それに、またどっかで合える気がするんだよ。」

「私も・・・そんな感じがする。」

「目もパッチリしてきたことだ。さっさと帰ろうぜ。」

「それもそうね。隊長も、もう戻ってそうだし。じゃ、肩に摑まって。」

「悪りぃな。」







 それから20分後・・・。







 

 アルサレア要塞内部にて


「ん?なんだか格納庫が騒がしくないか?」

 第26仮設医務室で手当てを受けている途中、キースがそのことに気付いた。

「私はもう平気だからちょっと見てくるね。」

 第26仮設医務室は丁度格納庫2階の廊下に作られていた。

「そこをどけ!俺の出撃の邪魔すんなこの☆#〜&%¥〜!!!」(伏字部分は適当に&や#を入れてくださっても構いません)

「“団長”、勝手に乗られるのも困りますし出撃されるのも困ります。」

「アルサレアの一大事に黙ってられるか!“将軍様が行方不明”なんだよ。この☆#〜&%¥〜。」

(・・・おい、この間作った“簡易麻酔銃”持ってるか。?)

(ええ・・・まだ1発ほど入っているのが・・・。)

(そいつを寄こせ。あの五月蝿ぇ団長黙らせて来る。)

(ちょっと、班長・・・。)

「ダグオン団長、グレン小隊の出撃前の“儀式”のことは知っていらっしゃいますか?」

「儀式だあ?どんな奴だよ?」

「こういう奴ですよ!!!」

 自分の正面をダグオンが向いた瞬間、額めがけて整備班長はサプレッサー付きの銃を発砲した。

 その直後、アイリが格納庫へ駆け込んできた。

「もうちょっと静かに・・・って、班長何してるの!」

「おお、生きてたか。ちょいと麻酔銃で五月蝿ぇ団長を黙らせてた所だよ。」

「麻酔銃って・・・ちょっと、“泡吹いてる”じゃない!!!」

「班長、それは“すり潰した小動物のエキス入り”の奴です。麻酔銃はこっち!!!」

「ナニィ〜!!!」

「と、とにかく医務室へ!!!死なれたら銃殺とか毒殺では済まないかも知れませんよ!!!」











 

 所変わって兵士宿舎


 怪我の手当てが終わったキースは宿舎の部屋に戻って来ていた。

「・・・ずいぶんとダンボールが積まれてるな・・・。」

 部屋一杯に積み上げられたダンボール箱の奥の方から誰かがゆっくりと入り口の方へ歩いてきた。

「キース・・・さん?」

 現れたのはボーイ兵長であった。

「ボーイ、おめぇ生きてたのか!」

「ええ、何とか・・・輸送艇は墜落しちゃいましたが・・・。それで・・・。」

「・・・言わなくていい。俺だってダンボール見ただけで分かったさ。」

「キースさん・・・。」

「いつか・・・2人で大佐達の仇取ろうな・・・。」
















 

 夜が明ける直前、参謀本部の活躍によってヴァリムの母船は撃沈され、ヴァリムの指揮系統は完全に寸断されました。

 でも、アルサレアが終結宣言後に行った降伏勧告を聞き入れないヴァリムの兵隊さんが今も尚抵抗を続けています。

 私達の隊長も、現在行方不明・・・。とっても心配です・・・。

 オペレータールームで隊長を泣きながら呼ぶフェンナさん・・・私は・・・もう見ていられません・・・。



 

終結後に書かれたサリア・バートン兵長の日記より・・・













  中巻   「アルサレア戦役」   END・・・

 


設定関係の説明

ちょっと増えたオリジナル部分をこの場を借りて説明いたします。


 

長距離瞬間転送システム

サチコと話していた男が作ったっぽい。

どういった原理かは不明だが、パイロットを指定したポイントに転送することができる。


 

カシュー平原のみかん畑

テスト時に第7研究所に転送されるはずが、このみかん畑に転送されてしまった。

キースはここで何かされたらしい。


 

ボーイ兵長

第46陸上特殊部隊所属の新米輸送艇操縦士。年齢19歳。

キース以外で生き残った部屋の住人。


 

アンディ軍曹

第46陸上特殊部隊所属のPFパイロット。 享年24歳

アルサレア戦役時に搭乗していた輸送艇が砲撃され墜落。その際に命を落とす。


 

ヨシナガ中尉

第46陸上特殊部隊所属のPFパイロット。 享年33歳

アルサレア戦役時に搭乗していた輸送艇が砲撃され墜落。その際に命を落とす。


 

ラッセル中尉

第46陸上特殊部隊所属のPFパイロット。 享年30歳

アルサレア戦役時にアルサレア側のトーチカからの遠距離砲撃によってPFもろとも吹き飛ばされ・・・無念の最後をとげた・・・。


 

大佐

本名トーマス・カートマン         享年52歳

第82空輸部隊の指揮官をしていたが、ヘルファイアの直撃を受け船もろとも大空の塵となった・・・。


 

性格の悪いヴァリム兵

本名ミッチェル・アルタイル        年齢22歳

生身のキース、アイリをキシンで殺そうとしたヴァリム兵。

戦役終結後、コクピット内で餓死しかけていたところをヴァリムに保護された。


 

ペンライト状の物

「長〜いブレードでキシンを一掃しちまおう!」という滅茶苦茶なコンセプトで作られた長射程ビームブレード。(正式名称:ハクモクレン)

作ったのは研究所でサチコと話していたあの男。


 

サチコと久しい(謎)男

当時未確認であったキシンや謎のPFアポロンについて詳しい男。ハクモクレンを作ったのも彼である。

その他、本作では謎が多い行動も取っていた。


 

簡易麻酔銃

何故整備班が作っていたかは不明だが威力は凄まじいらしい。

デザートイーグルを改造して作ったとのこと。


 

すり潰した小動物のエキス入り〜

ダグオンに向けて整備班長が発射した銃弾。

泡を吹くほどヤバイ物が含まれているようだ・・・。







 

♪後書き♪

ようやく続編が完成いたしました!!!

私なりに「アルサレア戦役」を書いたつもりですが、後書き書いている間になんだか物足りない気がしてきました。(汗)

そんなことはさておき、今回もラストながら大暴れをした整備班。ダグオン団長をやってしまいました・・・。(予告はどうなった)

今回はキースとアイリの危機についに“あの男”が登場!次回はどんな活躍を見せてくれるのか!!!

そして、グレンリーダーとグリュウの死闘の結末は・・・・。

もしかしたら追加バージョン書くかも知れないです。(滝汗)

私は長文とか後書き書くのダメなんでこの辺で後書きは終了します。(もっと喋る事あるだろ)

次回は、下巻外伝(序章篇と言った方が良いかも知れません)「剣士の宿命」をお送りしたい所ですが、全く関係の無い物の場合がございますのでご了承ください・・・。

最後まで読んでくださってありがとうございました!!! m(_ _)m



 


 管理人より

 Guttiさんより第2作をご投稿頂きました!

 何やら第7研が色々関わっている様子……(笑)

 これからどうなるのか、楽しみです!

 



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