※今回の話はキャラクター一人×2にスポットを当て、萌え〜ていただこうというJ2クリア記念に発動した短編SSです。
 なお短編内でのキャラクターの性格は私個人が勝手に妄想した性格ですので、読んでいてこの娘はこうじゃない!!とか思うこともあると思いますが、そこは温かい目で見て下さい♪








 聖歴0021年――

 長きに渡るヴァリムとの戦渦は拡大を続け、ついには惑星Jを飛び出して2つの衛星を巻き込み果てしなき宇宙すら戦場と化す……
 他国に先駆けPFを開発したアルサレアであったが、宇宙でのPFの運用をヴァリムに先行されてしまう。
 ――だが、一人の少女が状況を一変させる。

 リーネ・フォルテ――
 彼女が設計開発を手がけた極秘兵器開発施設『シード・ラボ』においてアルサレア軍の宇宙でのPF開発は順調に進む。

 そして『シード・ラボ』にて新型PFのテストを行う特殊部隊、第202特務小隊―通称【レガルド小隊】
 前任であるアークレル・レガルドが不慮の事故で亡くなった後、レガルド小隊は活動する事はなかった。
 しかし新隊長にブレッド・アローズを迎える事で彼らの戦いは動き出した。







 

機甲兵団J−PHOENIX2・序章編
嵐の夜に…… 〜クリオ・ペトリューシカ〜







<第一衛星ルネオア・輸送車両警護任務中>


「……こんな時期に嵐にあうなんて……ついてないな」

 ブレッドは自分に宛われた部屋の窓から外を見て、ため息をつく。
 彼らレガルド小隊は、ミラムーンの鉱物資源輸送隊の警護にあたっていた。
 しかし、運悪くこの時期には珍しい嵐に遭遇し足止めを喰らってしまった。

「明日の朝には止むらしいけど……これじゃあ眠れないっての」

 窓の外の嵐に向けて悪態を言うが、そんな事を聞き入れるはずもなく嵐は降り続ける。

 その時、ブレッドはかすかな音を聞いた気がした。
 そう、ドアをノックするような音を――


「ん?………気のせいか」


 コンコン……


 気にせずベッドで横になろうとしたが今度はちゃんと聞こえた。
 やはりそれは自分の部屋のドアをノックの音だった。
 内心、こんな時間に訪ねてくるとは失礼な奴だと思ったが、それでもこんな時間に来るのは訳があるだろうと思いドアへと向かった。









 此処で話は少しさかのぼる――
 ブレッドの部屋に来客がある15分程前……

「も〜〜何で嵐に遭うのよ〜〜〜」

 そんなことを言いながら自分の部屋で愚痴を言う一人の少女―クリオ・ペトリューシカであった。

「こんな事だったら薬でも……キャッ!!」

 ちょうどその時近くに雷が落ちたらしくシーツを被ってベッドの上で丸まる。

「………とりあえず一人じゃ眠れないから、カグヤの所に行こ……」

 寝間着の上に上着を羽織って雷に震えながらもカグヤの部屋を目指す。

 しかし運が悪い事にカグヤの部屋のノックしても部屋の主が出迎えてくれる様子はない。

「ちょっと〜カグヤまで寝ちゃってるの〜〜?」

 部屋の前で項垂れるクリオ。
 そんな彼女の脳裏にある人物の姿がよぎる。

「………って何考えてんのよッ私////!!」

 必死に考えてしまった事を頭の中から消してしまおうとするが、人間そう都合良くは出来ていないのか彼女の想像は一層膨らんでいく。

「……………////

 理性が働く前に彼女はある部屋に向かって歩き出した。





……………………
………………
…………




 数分後――

「…………来ちゃった…」

 ドアの前で立ち止まるクリオ。
 一呼吸置いてから、恐る恐るドアをノックする。

「……………寝てるかな?でも……」

 諦めずにもう一度だけノックをしてみる。
 すると中から物音がした。

「……誰だ、こんな時間に?」

 返事の声はいつも聞く彼の声より凛々しく格好いい気がした。
 その声にドキドキしながら、どもる口で返事を返す。

「…………あの、クリオです。こんな時間にすいません………」











 ブレッドははっきり言って驚いた、心底驚いた。
 夜中に来たのが誰かと思えば一緒に戦う仲間である。
 しかしそれくらいはまだどうって事はない。
 しかし、それが女の子だと理解した途端、彼の心拍数は一気に跳ね上がる。

「ク、クリオ?…ちょ、ちょっと待てよ。今開けるから」

 少々鍵を開けるのに手こずりつつドアを開ける。
 そこには初めて見る寝間着姿のクリオが立っていた。
 胸の前で腕を組んでいて、それが普段の彼女よりもより少女らしい美しさを感じさせる。

「すいません、リーダー。こんな時間に……お休みだったんじゃないですか?」
「い、いや。ちょっと寝付けなかったから。……とりあえず入る?」
「あ………失礼します。」

 お互いに緊張しつつクリオを自室へと招き入れた。





「…………………」
「…………………」

 テーブルに付いているがどちらからも会話が進まず沈黙が続いている。
 お互いに妙に意識し合ってしまい、どうにもこそばゆい。

「えっと……何か飲む?っていっても珈琲ぐらいしかないけど…」
「あっ!べ、別に良いですッ!!」
「そ、そう?」
「…………………」

 間が持たない感じがして話しかけるがそれも続かない。

「…………そ、それで、どうしたんだ一体?こんな時間に来るって事は何か在るんだろ?」
「そ、それは〜その……////

 クリオはもじもじと指を絡めて恥ずかしがる。
 しかし何かを決意しブレッドに視線を向ける。

「あのッ!リーダー…その……今晩泊めて下さいッ!!」
「なッ!?」

 クリオのあまりに突然な申し出に腰掛けていた椅子からブレッドは落ちる。

「だ、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…大丈夫大丈夫。それで……今……なんて?」

 苦笑しつつ立ち上がると確認の為にもう一度だけ聞く。

「だから……今晩、此処に泊めて下さい////
「なッ!?駄目駄目!!」
「お願いします!!私リーダーしか……キャッ!!」

 慌てふためきながら断ろうとしたブレッドにクリオが身を乗り出した時、忘れられていたのを怒るように落雷が近くに落ちる。
 クリオは落雷に驚きそのままブレッドともつれ合いながら床の上に転がる。





「……………////

 今、クリオはブレッドの腕の中に居て、2人共床に倒れている。
 今までの生活では絶対にあり得ない距離で2人は触れ合っている。
 ブレッドはあまりに近くで感じるクリオの温もりと柔らかさを感じてドキドキしていたが、クリオの様子が何かに怯えている事に気付く。

「………もしかしてクリオって雷怖いの?」

 クリオはブレッドの胸に顔を埋め、質問にこくこくと頭を上下させるだけ。

「……とりあえず退いてくれるか?」
「あっ、すいません!!」

 ブレッドはクリオが自分の上から退く様子を苦笑混じりに見ていた。

「それでどうして俺なんだ?……俺の所じゃなくてカグヤだったら女の子同士だろ?」
「……何度ノックしても駄目だったんです。寝てるみたいで。それに……」

 次の言葉を紡ぎ出す前に俯く。

「……リーダーの側が良かったんです…////

 ぼそっと小声で話す。

「えっ?今なんて?」
「な、何でもないです!!それで……駄目、ですか?」
「………そうは言っても………」

 何とか断ろうと思い言葉を探すが、クリオの寂しげな表情――そう例えるなら雨の中捨てられている子犬が向けてくる純粋な視線――に見つめられ次第に勢いを失っていく。

「り〜だぁ〜…」

 駄目押しの涙目。そしてついに――





「………はぁ〜仕方ないな。でも、今晩だけ。今晩だけだからな?」

 その言葉を聞いた途端にクリオの表情が変わっていく。

「リーダー……ありがとうございます♪」
「いや良いんだよ、クリオが困ってるんだ。君を助けるのが俺は役目。なんと言っても俺は君の隊長だからね」

 微笑みながらももっともらしい事を言う。

「……それじゃあ俺は床で寝るからクリオはベッド使って」
「えっ?一緒に寝てくれるんじゃないんですか?」


 ゴッ!!


 鈍い音を立てながらブレッドは床に頭を打ち付ける。
 はっきり言ってその様は熟練された芸人の様でもあった。
 それ程見事なこけっぷりだった。

「ク、クリオッ!!それはさすがに…―」
「私、リーダーしか頼れる人が居ないんです……側に居て欲しいんです……」

 再びの涙目、更にヘビーボクサー級の破壊力のある台詞。
 そして結局――





「あの、リーダー。大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫。クリオの方こそ寒くないか?」
「わ、私は大丈夫です///

 結局ブレッドは断りきれず、クリオと一つのベッドで背中合わせで寝る事にした。
 お互いに背中合わせで眠れば変な気も起こさないと考えての事だった。
 支給されたベッドのサイズはシングルだったので二人ともはみ出しそうになっている。
 それ程狭いので背中合わせであってもお互いの温もりが感じられる距離だ。

「それにしても……」
「な、何ですか?」
「クリオが雷が苦手だなんて、意外だったな」

 そう言いながら必死に笑いをこらえているのが判る。

「あっ、酷〜い。私だって、苦手な物くらいありますよ〜」
「ごめんごめん。でもさ、クリオって何でも出来るイメージあったから」
「……小さい頃から雷が怖かったんですよ……ちょっとでも雷が鳴ったらお気に入りのぬいぐるみに抱きついてました……」

 クリオは自分を落ち着けるように体に手を回しながら話し始める。
 その体は微妙に震えている。
 幼い頃、何か怖い思いをしたのかも知れない。

「最近は落ち着いてたんですけど、今日は急に……」
「………昔、雷様におへそ取られるとか信じてた?」

 ブレッドの突然の質問に少しだけ恥ずかしそうにクリオは頷く。

「そっか……じゃあ」

 ブレッドはクリオの体に腕を回し、振り向かせるとぎゅっとクリオを抱きしめる。
 このブレッドの行動にクリオは目を回して驚く。

「リ、リーダー!?あの、その////!?」
「暴れるなよ。こうしてれば雷様からクリオのおへそ、見えないだろ?」

 腕と脚をじたばたさせ暴れているクリオの頭を撫でる。

「ちゃんと俺が守ってやるからな。」
「あっ………」

 ブレッドの屈託のない笑顔。そして――思い出されるかつて命を救われた時の事――




『大丈夫か!後は俺に任せろ。』




 もう駄目だと思った時、颯爽と現れた一機のPF。
 その人はたった一機で立ち向かって、私達を守る為に戦ってくれた。
 その時に通信機越しに見た、彼の浮かべた笑顔。
 それに安心して私の意識はとぎれた。
 そして気付いた時、私は救助隊の輸送機の中で寝かされていて、話を聞けばあの時のパイロットは偶然任務であの区域に来ており、命令を無視して駆けつけたと聞いた。

 その後、何とかあの人の事を調べて任務の合間にあの人を捜した。
 ただ一言お礼を、そして今自分は頑張って戦っている、それだけを伝えたかった。
 でも、機会がないまま宇宙への転属を命じられた時はショックだった。
 でも、新しく配属されてくるリーダーの名前を聞いて本当に嬉しかった。
 やっとあの時のお礼が言えるって。
 そして初めて挨拶したとき、リーダーは、リーダーの笑顔は全然変わってなかった。
 あの時もそして、今も――





「……リーダー……覚えてますか?あの時の事…」
「………………」
「あの時……リーダーに助けて貰った時からずっと……私は………」

 しばらくの沈黙の後、あまりにもブレッドの反応がないので顔を上げる。
 自分はこんな恥ずかしい想いをして告白しようとしているのに。
 すると――

「…………寝てる。こんな状況で寝ちゃうなんて……ちょっと酷いよ?」

 微笑みながらブレッドの寝顔を眺める。
 その寝顔に見とれながら何となくブレッドのほっぺたに指で触れる。

「リーダーのほっぺたって柔らか〜い。羨ましいくらい」

 そうやってブレッドで遊んでいたが、射し込む朝日でいつの間にか嵐が去っていた事に気付く。

「あっ、雨上がったんだ……これなら今日はいいお天気だよね」

 窓を開けてそこから身を乗り出す。
 そして雨上がり独特の澄んだ空気を胸一杯吸う。

「ん〜〜〜……さてと。後少しだけど今日はいい夢見れそう。お休みなさい、リーダー……」

 ブレッドの隣に潜り込むとすぐに眠りについてしまう。









「ふぁ、ふわあぁ〜〜〜……」

 大きな欠伸をしながらブレッドは体を起こす。
 そして隣にクリオが居ない事に気付き、少し部屋を見回して部屋には居ない事を確認する。

「あれ?もう帰ったのか。……ん?」

 机の上に置かれた一通の手紙。
 それを手に取ってみる。
 どうやらクリオの書き置きのようだ。
 そしてその内容は――


『リーダーへ』
『目は覚めましたか?みんなに色々誤解されないように部屋に帰ります』
『それと、私が雷苦手なの絶対!!人に言わないで下さいね?』
『私とリーダーだけの秘密ですよ♪ クリオ』


「……参ったな。俺はそんな事しないんだから、もう少し信頼しても――」


 ビーッ!!ビーーッ!!


 手紙を読んで一安心したところに突然の警報。
 もう少しゆっくりとした時間が過ごしたかったのだが、そうも言ってられずブレッドはベッドから飛び出す。

「ヴァリムの奴ら、嵐が去ったと同時に仕掛けてきたな。くそッ!!」

 馴れた手つきでパイロットスーツに袖を通すとハンガーへと急ぐ。







 ハンガーに固定された愛機のコックピットに飛び込むと急いで起動シークエンスを立ち上げていく。
 その間にカグヤから現状の戦況確認を受ける。

「カグヤ!今の状況は?」
「――かなりの距離まで接近されています。迂闊でした……昨日の嵐を利用してレーダー網をかいくぐって潜伏していたようです」
「……敵機種、判別出来るか?」
「――……照合の結果、重機動型のヴェタールです。確認できるだけで8機!!」

 それを聞いてブレッドは舌打ちする。
 こちらの戦力なら十分相手を出来る数だが今回は朝方の奇襲だ。
 まだ動きの悪い輸送車両の護衛を他の隊員に任せてレガルド小隊でヴェタール8機を相手にするのが最前の方法だろう。

「……ヴェタールか。クリオとバックスは?」
「――バックス機は整備中の為出撃まで後5分程掛かります。クリオ機はスタンバイ中です」
「了解した。バックアップは頼む!!」
「――はい、任せて下さい!」

 そして完全にPFが起動した後、ハッチへと向かう。

「――リーダー、聞こえますか?」

 後ろに続いていたクリオ機からの通信。
 モニターにパイロットスーツ姿のクリオが映し出される。

「クリオ?どうかしたか?」
「――いえ、なんでもないんです。リーダー。頑張ろうね♪」

 屈託のない笑顔。
 その笑顔を見ていると不思議と力がわいてくる。

「……あぁ。レガルド小隊、出撃する!!」
「――了解!!」

 真紅とイエローに染められた2機のPFが戦場へと飛び立つ。










〜fin〜




 あとがき

 え〜〜取り敢えず多少の追加と誤字などの修正を行いました。
 内容的には殆ど変わっていませんが細々と修正をいれています。
 今見返してみてもひじょ〜〜に恥ずかしいです。
 ホント、このような作品で感想を頂けて嬉しかったです。
 今後ともよろしくお願いします。

 


 管理人より

 クレストさんよりJ2序章篇の短編小説をご投稿頂きました!

 何かこういう話も良いですよね♪ クリオもGOODですし(笑)

 ・・・・リップスなんかより、寧ろJフェニ本編の小説が出ないものかなぁ。
 


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