原案:ナイトメア
文:バーニィ
セイバー編 〜彼の戦う理由〜
セイバー・シドニス。
最近の新兵の中で一番の出世株、サリア・バートンと同期のパイロットだ。
本来ならばとっくに戦場に出て戦果の一つや二つを得ていたはずだが、彼の遭遇したPF暴走事件以後PFへの搭乗を極端に怖がるようになってしまい後方へとさがる。
一時的には克服できたようだが再発し、彼は振り出しに戻ってしまった。
ところが、後にアルサレア戦役呼ばれる大きな戦いが始まり人員を余らせておく余裕のなくなった軍は、彼にPFパイロットとして転属命令を与えた。
彼に拒否権はあったが。
(よし、やってやる、やってるぞ。僕はPFに乗ってアルサレアを守るんだ)
彼は意気込み転属を受諾。ランブル小隊へと配属された。
ここで彼は片思いの人サリア・バートンに再会し、喜びと共にPFに乗ってやると言う決心を強める。
(頑張るぞぉ、PFに乗って大活躍してサリアを守るんだ)
ランブル小隊に出撃の時が来た。
今こそPFに乗って憧れの人、サリア・バートンにかっこいいところを見せる時だ、セイバー・シドニス!
だが、現実は甘くなかった。
彼はいざPFに乗ろうという時になって足がすくんでしまい乗ることが出来なかったのだ。
ランブルとサリアが出撃した後、セイバーは格納庫の隅で、膝を抱えて座り込んでいた。
周りの整備員たちは忙しく働いているのにセイバーの周りだけまるで時間が止まったかのようだ。
彼のことなど気にも目にも留める人はここには誰一人いなかった。
セイバーは背にしている壁の冷たい感触と孤独感を感じていた。
(PFのパイロットとして、配属されたのにPFに乗れない。サリアだって頑張っているのに僕は・・僕は・・・なんて情けないんだ。何で乗りたいのに乗れないんだろう)
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「貴方は何のためにPFに乗るんですか?」
「俺は自分の信じるものを守るために戦っているんだ」
「信じるものを守るためですか」
「そうだ、信念を貫くためといっても良いな」
「信念を貫くため・・・ですか」
「まだ、実感がわかないか、そのうちに気がつく時が来るさ。君の中にはすでにあるかも知れない。誰にも譲れない自分の大切なものがな」
セイバーは一度だけ英雄グレンリーダーに直接会ったことがある、彼はその時の事を思い出していた。
彼の見たグレンリーダーの眼には何の迷いもなく、ずっと先の未来を見ているようだった。
(グレンリーダーの強さは何の迷いもないからかな?)
その時のセイバーは英雄の強さの秘密がそこにあるような気がした。
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(僕は怖いのに何でPFに乗りたいんだろう・・・信念なんて立派なモノなんかないのに・・・)
PF格納庫内が少しあわただしくなってきた。出撃していたサリアとランブルが帰還してきたのだ。
セイバーは気が付かなかったがだいぶ時間が経っていたようである。
彼の目に長い緑色の髪をたなびかして早足で歩いていくサリアが目に入った。
「サリア」
セイバーは少しで良い、ちょっとだけで良いから誰かに話を聞いて欲しい気分だった。
それに今の彼にはこの基地で唯一の知り合いはサリアしかいない、見知った人と話したい、そんな気持ちが彼にサリアの後を追わせた。
だがサリアはセイバーに気が付かないのか、振り向きもせず肩を怒らせたままズンズンと歩いていく。
「サリア」
セイバーがもう一度呼ぶとサリアが勢いよく振り返る。
サリアの顔は頬を膨らませ目が据わっている、見るからに不機嫌な膨れっ面だ。
「なぁに、セイバー」
「あ、あの・・・えっと」
サリアは言葉こそ柔らかだが不機嫌な様子は見え見えだ。
(うわ、こういう時のサリアは危険なんだよなぁ、なんて声かけたら良いのかなぁ・・・えっと、何かあったのって聞いたほうが良いかな・・・それとも、何も触れない方が良いのかな)
セイバーはサリアにどう声をかけて良いのか迷いおどおどしてしまう。
「ちょっと、セイバー聞いてよ。ランブルさんってば・・・○#■%☆$◆&◇!★?□*●」
彼がおどおどとしているとサリアのほうから声をかけてきた。
しかし、セイバーが言葉を返すまもなく一方的にペラペラと赤く光、跳弾の激しい弾丸を撃ち出すレーザーマシンガンのように派手に喋り始めた。
話しを聞いているセイバーが何を言っているのかわからないぐらい文法も言葉の順序もばらばらである、心に思った単語をそのまま気の向くままに口にだしているようだ。
サリアはけっこう目立つ声の持ち主だ。
そのサリアが大声で話し始めたものだから周囲から何事かと人が集まってくるし、変な目で見られるし、サリアは喋ることに集中しているのでなんとも思わないがセイバーは非常に気まずく、恥ずかしくなってきた。
「サ、サリア、あっちで話そうよ・・・ここだとみんなに迷惑掛かるしさ」
「ん、わかった。ってちょっと押さないでよぉ〜」
セイバーはサリアの背中を押しながらそそくさと冷たい視線の集まる舞台から退場しようとする。
遠くの人垣の向こうにいるランブルとセイバーは目があった気がした。
ランブルはただ見ていただけなのだが、目つきの悪いランブルの顔を見たセイバーは狼に狙われて獲物のように逃げ足を速くして去って行く。
セイバーはサリアを押しながら休憩室に入る。ここなら周りから白い目で見られても少しは良いからだ。
「でさぁ〜●+□*★!◇?◆$☆&■#○%」
椅子に座るとまたサリアのマシンガントークが始まった。彼女の話はまだ終わりが見えない。
セイバーは作り笑顔でうん、うん、と相槌を打つことしかできず、心の中で彼は自分が言いたい事も言えずに泣いていた。
(はぁ〜早く終わってくんないかなぁ・・・)
「セイバー、きいてるぅ?」
「うん、聞いてるよ」
油断していたり、相槌を打つタイミングを間違えるとサリアにそう言われてしまうのでけっこうこれはこれで難しい。
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30分後。
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セイバーはようやく開放されることとなる。
「あぁ〜スッキリした。じゃあ、私は次の出撃まで休むからぁ〜」
サリアは言いたい事を全て言いきり、すっきりとした顔と軽やかな足取りで去って行った。
後半の方はグレンリーダーの武勇伝やアイリとの思い出、キースの間抜けな話など、全然関係ない話まで出てきていた。
サリアも久しぶりに気の知れた友人であるセイバーに会って溜まっていた憂さをまとめて晴らしたのであろう。
「ぁ・・・サリ・・ア」
自分の話でも聞いてもらおうと思っていたのだが、サリアを引き止めることが出来なかったセイバー。彼はすっかり疲れきってしまっていた。
肩をがっくり落とし椅子に力なく座り、千尋の谷よりも深い溜め息一つ、暗い影が彼の周りを囲んでいた。
「僕って駄目だなぁ・・・」
膝に肘を付け、頭を抱え込む。
「小僧、まだこんなところに居たのか!」
「ラ、ランブル少尉」
セイバーはあわてて立つと敬礼をする。
「貴様、何故PFに乗らなかった」
「え、その、目の前まで行ったら、やっぱ怖くて・・・・・・」
「・・・乗る気はあるのか」
「もちろんです」
「じゃあ、何故乗らない」
「・・・・怖くて乗れないからです」
「PFに乗りたいが、怖くて乗れない、そうだな」
「・・・・はい」
ランブルがセイバーを見たまま黙っている。
セイバーはランブルの顔をちらっと一度見ると目を逸らしてしまう。
「おい」
「は・・・ぃっぐ」
殴られた。
ランブルに声を掛けられたので返事をしようとしたらその途中でみぞおちに一発、いい一撃をまともに受けた。
前のめりに倒れこみ咳き込む、まともに殴られた経験のないセイバーはしばらく下を向いたまま咳き込んでいる。
その間、ランブルは冷ややかにセイバーを見下ろしていた。
休憩室にいたほかの兵士たちは出て行くか野次馬として残るかのどちらかであった。
「いぃっ・・・いきなり・・・な、にす、んですか?」
少し落ち着くと苦しそうにランブルを見上げながら涙目で訴える。
ランブルは襟首を掴みセイバーを無理やり立たせた。
「ここは訓練所ではないんだぞ、貴様のような半端者がいる場所ではない」
「そ、そんなこと言ったって・・・僕だって乗りたくなくて乗らないわけじゃな
いんですよ」
「だったら乗れ、乗れないのなら去れ!」
「簡単に乗れたら苦労しませんよ!」
ランブルに突き飛ばされ、床に転がるセイバー。
「わからんな・・・お前は何故そこまでPFに乗ることにこだわる。何故PFに
乗ろうとする」
「僕が・・・」
「僕がPFに乗るのは・・・」
「サリアを・・・・」
「サリアを守りたいからです!!」
セイバーは大声で叫んだ。
叫んだ後、自分が言った言葉を思い出してこちらを見ている周りの人を見渡して恥ずかしくなる。
セイバーは自分の顔が下から熱くなりみるみるうちに赤くなっていくのを感じた。
「そんな理由でPFに乗るとは傑作だな」
「別に理由なんて何でも良いじゃないですか」
「・・・・」
「なんですか、また殴るんですか」
口を閉じ、こちらを睨んでいるランブルに目を逸らさずにセイバーが自分から睨み返した。
先ほどのセイバーとは180度反転し、すっかり強気になっている。
ランブルへの怒りがそうさせたのか、PFに乗る理由を大声で口にだし自分の中であやふやだったモノがはっきりしたからか、あるいはその両方か、とにかく今のセイバーはいつになく強気であった。
「小僧、一つ賭けをしようじゃないか・・・次の戦闘でお前が戦果を挙げたら俺はお前の言うことを何でも聞いてやる。ただし、お前が負けた時は、PFのパイロットは諦めろ」
「良いですよ、戦果をあげれば良いんでしょ、やりますよ」
「後悔するなよ」
「後悔なんかしませんよ、ランブルさんこそ覚悟してください!」
今のセイバーを動かしているの衝動以外の何モノでもなかった。
日付の変わった数時間後、さっそくセイバーが試される時が来た。
ヴァリムの新型兵器である全長600mを超える空中空母の警戒、牽制、に従事している大隊の司令部が強襲を受け苦戦中との情報がセイバーたちの駐屯している基地に入った。
そして、基地で待機中のランブル小隊に出撃の指令が下された。
セイバーが大また歩きでどうどうとJファーのコックピットに向かって歩いていく。
(よ〜し、やってやるぞぉ)
「おい、小僧。逃げ出すなら今だぞ」
後ろからランブルの挑発的な声が聞こえてきた。
「ランブルさんこそ、覚悟していてくださいね! 絶対に戦果あげて見せますから!!」
「せいぜい、頑張れよ!」
(くっそぉぉぉ、絶対に戦果をあげてランブルさんに絶対頭を下げさせてやる)
セイバーの頭の中はランブルへの怒り一色で染め上げられていた。彼の心の中では恐怖など見る影もなかった。
至極単純だが、彼にとってはPFコックピットへの恐怖は長大な山の如く大きく見えていただけで、実はもろい砂場の砂山ほど大きさ程度しかなかったのである。
(やってやる、絶対にやってやるぞぉ)
「あ、セイバー、PFに乗るんだね。一緒に頑――」
セイバーの思い人、サリアが明るくセイバーに声をかけた。
いつもの彼ならまじめな顔も一瞬にして崩れ笑顔になるところだが彼は聞こえなかったのか無視してコックピットへ向かう。
今の彼の頭の中には「戦果をあげてランブルに土下座させる」その事しかないのだ。
――張ろうねって・・・・・・ぶぅぅ、行っちゃった」
(僕を甘く見たランブルさんを見返してやる。僕を殴ったことを絶対に後悔させてやるんだ。プライドの高そうなあの人だから土下座なんかさせたら絶対にプライドが傷つくぞ)
セイバーの動機は不純だがそれも良し。
今、彼は誰よりも熱く燃えているのだ。
セイバーがコックピットの前に立った。
自分の心臓の音がやけにはっきりと聞こえる気がする。
流石に目の前に立つと鳥肌がたち嫌な感じがしてきた。
小刻み少しずつ近づいて行くと、徐々に心臓の鼓動が早くなってくる。
突然、誰かがセイバーの背中を押した。
「ほらほら、ボサッとしてないで乗るならサッサと乗ってくれよ」
「うわぁ、よっとっと・・」
計器に頭をぶつけたのは痛かったが、セイバーはコックピットの乗ることが出来た。
彼がシートに座りなおして背中を押した人物を見てみると、腕まくりをしたおっさんがこちらを見ていた。
「兄ちゃん、乗るなら早く乗ってくんないと困るんだよね」
「あ、すみません」
ぺこりと頭を下げる。こういう所は実にセイバーらしい。
キョロキョロとコックピットの中を見回す。乗ってみるとなんとも感じない、彼は怖いとかなんだとかいっさい感じていなかった。
(よぉ〜し、乗れるじゃないか、どうって事は無い。僕はパイロットとしてやってけるんだ)
『小娘、小僧、聞こえるか』
『はぁ〜い、聞こえてますよぉ〜』
「聞こえます」
『小僧、乗れたようだな』
「当然ですよ、僕を甘く見ないで下さい!」
セイバーは整備のおじさんに押されてコックピットの乗ったことなど忘れて自分の足で乗った気になっている。
『指示を伝える。俺の機体は整備の連中のミスですぐに出撃できない。お前ら二人で先に行け、指揮は・・・そうだな、小娘が執れ』
『りょうかい!』
『グレン小隊の所属の経歴が伊達でないところを見せてもらうぞ』
セイバーはサリアと二人っきりで出撃する事となった。
その頃、救援要請を出した基地では司令官が取り乱していた。
「どうなっているんだ、救援は? うちの隊の兵士たちは?」
「落ち着いてください少佐、現在基地の防衛にあたっている一個小隊が防戦中ですが、敵の数が多くてかなり厳しい状況です」
「そんなことわかっている! 何故、他の部隊は引き返してこないのだ。偵察任務に出た部隊が引き返してくるはずです。少佐、今は落ち着いてください。少佐が冷静になりませんと他の兵士たちが・・・」
「うるさい! 私は冷静だ!! ・・・まったく、ネルモア中尉は何をしているのだ」
そう言って手元においてあったものを副官に投げつける少佐と呼ばれている人物。
この基地はすでに落ちたも同然である。
「大変です。基地の防衛にあたっていた小隊が・・・全滅です」
他の部下から少佐に死刑宣告にも似た報告があがった。
「なんだとぉ! 歩兵でも何でも良い、時間を稼げ!!」
それだけ言うと少佐はあわてて司令室からでて行こうとする。
「少佐、どちらへ?」
「逃げるに決まっているだろ、貴様らは時間を稼げ!!」
「しょ、少佐。本気ですか!?」
「いいか、命令だぞ。私が逃げる時間を稼げ!」
少佐が司令室から出ていこうとしていた頃、ちょうどサリアとセイバーが基地に到着した。
セイバーのモニターに防衛兵器を破壊している敵影が映る。アシュラとキシンの混成部隊だ。
「サリア、大変だ。基地が・・・襲われてるよ」
『セイバー、基地がピンチだから私たちが来たんでしょ。変なこと言わないでよ」
「それに、見たことないPFが混じってるよ」
見たことがないPFとはキシンのことだ。キシンはまだそんなに数の出回っていない新型機なのでセイバーは見たことがなかったのだ。
『もう、セイバー情けないなぁ』
セイバーのとっても弱気な発言にサリアは少しあきれてしまう。
彼女の共に戦ってきたパイロットにセイバーように弱気な人間など誰一人としていなかったからだ。
しかし、セイバーはいつもよりは多少ではあるが強気になっている。強気になっても彼の基本は弱気なのだ。
『つぶれちゃぇぇぇぇい!』
物騒なことを明るいさわやかな声で叫びながら一機のキシンにXハンマーを投げた。
このサリアのXハンマー、実はただのXハンマーではない色々とカスタマイズが施されているのだ。
ここでスペシャルカスタマイズ第一弾が力を発揮する。
内蔵されているブースターが火を噴きキシンに向かって大回転しながら向かい。
直撃。
左の腰にXハンマーの直撃が受けたことによりキシンは派手に吹き飛ばされながら近くの建物にぶつかり動きを止めた。
Xハンマーはサリアの手元に戻っていったが、その派手な音と異常に大振りなハンマーが敵の目を引きたちまちサリア機の方に敵の注意が向いた。
「よ〜し、僕も行くぞぉ」
サリアの活躍を見たセイバーが自分も続けとJファーで突貫。
しかし、あえなくキシンのキャノンでのカウンターをもらい、吹き飛ばされる。
『セイバーそんなんだから、ドジデスって言われるんだよぉ』
サリアが自らの機体でアシュラの放ったガトリングを受けセイバーへの追撃を防ぐ。
『みんな消えちゃぇぇぇぇ!!』
スペシャルカスタマイズ第二弾、内蔵型バスターランチャーが砲火を放つ。
Xハンマーからレーザーが出るとは予想もしていなかったアシュラが数機巻き込まれた
しかし、バスターランチャー系の兵器は発射後隙ができる。
これを敵のキシンが見逃さずに肩のキャノンを放った。
直撃コース。
「サリア、あぶなぁぁぁぁぁい!!」
これを見たセイバーがキャノンの射線に割ってはいる。
この時の彼の動きはいつもの数倍は反応がよかった。
セイバーのJファーがキャノンの直撃を受け吹き飛ばされサリアの機体にぶつかり二人の機体は重なり合うように倒れる。
『セイバー、ちょっと、どいてよぉ・・・セイバー、セイバー・・・セイバーったら!』
「・・・・・」
『セイバー、返事をしてよ、セイバー』
セイバーからの返事は無い。
彼はキャノンの衝撃によりコックピット内で気絶してしまったのだ。
動けなくなっている二人の機体に向け数機のキシンが照準を合わせる。
二人のコックピット内で敵機にロックオンされた時になる警告音が鳴り響くが
、セイバーはいっこうに目を覚まさない。
『二人とも何をしている!』
セイバーはランブルのその怒鳴り声で意識を取り戻した。
目を開きモニターを見るとちょうどこちらを撃とうとしていたキシンがランブルのサーマルプラズマライフルの直撃を受け、煙を上げて倒れるところだった。
「ランブルさん」
『気が付いたのなら早く機体を起こせ、敵はまだいるぞ』
『セイバー、早くどいてよぉ』
「今、退くよ。サリア」
敵はアシュラが四機ほどまだ残っている。
二機のアシュラがランブルに向かい、残りの二機が立ち上がったばかりの二人に攻撃を仕掛けて来た。
セイバーはアシュラのガトリングを避けることなく受けながら距離を詰め、フォースソードを振るった。
空振り。
だが、横に避けたアシュラをサリアがハンマーを振りかざして待っていた。
『セイバー、ナイスフェイント!』
(本当に外しただけなんだけどなぁ・・・)
セイバーが気を抜いた瞬間、Jファーの背中をアシュラのレーザースピアが掠めた。
『横に飛んで、セイバー』
「え・・」
彼がその場からPFを横に素早く移動させると機体のすぐ脇をサリアの投げたXハンマーが飛んで行きアシュラをスクラップに変えた。
(危ないなぁ・・・僕に当たるところだったじゃないかぁ・・・って、戦果あげなくちゃ戦果を)
セイバーが残った敵の方、つまりはランブルと戦っている敵のほうを見た。
よく見るとランブルの機体は右手に持ったサーマルプラズマライフルしか武装がない。
出遅れランブルは少しでも機体を軽くしスピードを上げ、戦場に早く着くためにサーマルプラズマライフル以外の武装を外して出撃してきたのだ。
ランブルがマシンガンとガトリングの雨を左右へと機体を振りながら潜り抜け、一機のアシュラの目の前まで距離を詰める。
アシュラはレーザースピアを横に振るいランブルを迎撃しようとしたが、素早く距離を詰めたランブルが、スピアを振る動作の頭を開いている左手でアシュラの右腕を押さえる形で止めた。
流れる水のように動きを止めることなくそのままサーマルプラズマライフルの先端をアシュラのヘッドフレームとメインフレームの接続部にあてプラズマをこれでもかと言うほど撃ち込む。
七発ほど撃ち込んだところでアシュラのヘッドフレームがもげる。
もげてヘッドフレームがなくなったことによって生じたメインフレームの穴にサーマルプラズマライフルを押し込むとランブルはトリガーを引こうとした。
セイバーはランブルの戦いぶりを見て絶句する。
ランブルの行動は彼の知っている戦いからからあまりに逸脱したその動きだったからだ。
『ランブルさん!!』
言葉を失っている彼の耳に通信機からサリアの叫びが聞こえてきた。
このままでは殺されると死期を感じたアシュラのパイロットは脱出ポッドを作動させる。ヘッドフレームが取れランブルがトリガーを引く寸前、間一髪のところで脱出することができた。
しかし、アシュラのパイロットが感じる死期のもたらす悪寒は消えてはいなかった。むしろ、強まっていく。
彼の脳裏に敵が脱出ポッドを狙っているのでは、という不安がよぎる。
次の瞬間、彼は何の苦しみもなくこの世から消えてなくなっていた。
仲間がいともたやすくこの世から消された事への恐怖からか、撤退時間だからなのか、最後の一機のアシュラは逃亡を開始した。
その時である。
基地の司令官である少佐を乗せたヘリが飛び立ち、偶然にも逃走を邪魔する形でアシュラの目の前に飛び出す。
しかし、ヘリごときがPFの障害になるわけもなく軽くを腕を払っただけでヘリは大破し墜落してしまう。
基地から逃げようとしていた少佐は運悪くここで戦死することとなった。
(戦果、戦果をあげるチャンスだ!)
ヘリを払い落とし背中を向け逃亡しようとするアシュラをセイバーが追い、ランブルの照準もアシュラの背中に狙いをつける。
だが、ランブル機とアシュラ間に入る影。
サリアだ。
『逃亡しようとした敵を狙うのは酷いですぅぅ〜』
サリアのランブルに発したその言葉はセイバーも聞こえていたが彼は目先の戦果に心を奪われていた。
『セイバー、だめっ!!』
彼女はアシュラを追っているセイバーに気が付き一喝。
彼はサリアの声に圧され動きを止めた
『小娘、俺の邪魔するなと言っただろ!』
『目の前であんなことをすれば誰だって止めます』
通信機の向こうでサリアとランブルの水掛け合戦が始まる。
それを聞きながらセイバーは小さくなっていくアシュラの背中を見ながら一人落ち込むのであった。
(戦果が・・・僕の戦果が・・・・・いっ・・ちゃ・・・った・・・・)
『小僧、聞こえるか』
口論を終えたのかランブルがセイバーに声をかけてきた。
「はい・・・・聞こえてますよ」
『賭けは戦果をあげられなかったお前の負けだ』
「言われなくってもわかってますよ」
『だが・・・今回は特別に、小娘を敵の砲弾から身を挺してかばったことを評価して、それを戦果と認めてやる』
「じゃあ、僕の勝ちですね!」
『・・・阿呆、今回は引き分けだ。まぁ、お前は俺の小隊においといてやることにする感謝しろ』
「え・・・ランブルさんの小隊ですか」
『そうだ、何か問題あるか』
「・・・・別に、ないです」
セイバー・シドニス。
彼が一人前のパイロットになる日は果てしない遠くのようだ。
−設定−
○サリア専用“XハンマーDX”(別名:ソーンの槌)
サリア専用兵器で、形状は通常のXハンマーと変わらない。
内部にバスターランチャーを内蔵しているほか、PFの姿勢制御用ブースターとほぼ同じものが搭載されておりハンマーを投射すると手元に帰ってくるブーメラン機能もある。
ヴァリム内ではサリアのこのハンマーを「アルサレアの雷」と呼び恐れているとかいないとか・・・・
―後書き 原案:ナイトメア―
セイバーの話はストレスがかなり溜まる事が判明。皆さんセイバーの話を書くのは極力控えましょう(爆)
ー後書き 文:バーニィー
セイバー・シドニス。ゲーム中で最弱キャラに近い彼ですが、SSではいままでの中で最大の強敵でした!
セイバー君、君の勇姿は忘れない。 2004.02.20.usagi
管理人より
バーニィさんよりセイバー編をご投稿頂きました!
……確かにセイバーが主役というのは難しいですね(汗)<脇役向きのキャラですし
それにしてもランブルの小隊……南無(合掌)
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